SlideShare a Scribd company logo
1 of 6
研究室と震災
(教訓メモ.東北大学某研究室を例
       に)
    早大バイオ合同ゼミでの
 話の一部を改訂.まとまってませんが

       菅原 雄介
参考:宮城県と東北大学の被害
• 宮城県内で死者10,427名,行方不明者1,302名
  (2013.2.28県HPより)
    – 人口2,347,300人(2011.2.1県HP)の0.5%
        • 関ヶ原合戦の死亡者数(約8000)を上回る
• 東北大学青葉山地区は震度6強が3分間継続,
  その後も断続
    –   山の上なので津波の被害は無し
    –   キャンパス内での人的被害は無し
    –   学生2名,入学予定者1名が津波の犠牲になった
    –   28棟が使用不可
    –   被害総額は計900億円
2
①まずは本震で生き残る
• 震度6強は立ってられません
    – 確固たる意志があれば歩けなくはない
• 緊急地震速報はマジ有効.十分身構えることができた
    – 東北大では学内放送が流れた(停電が始まるまで)
    – 携帯とPCに入れておこう
• 机の下は絶対安全ではない
    – 机の上に棚が倒れてくると閉じ込められた
• 棚の転倒防止を過信するな
    – 壁にねじ止めするのは微妙.すべて引き抜いて倒れてきた(K菅H田研)
    – 壁ごと倒れてきた研究室も(U山K野研)
    – 中身はすべて出てしまった方がある意味安心
• 小部屋からはすぐに出ろ
    – 棚が内開きのドアの前に倒れたらもう逃げられない
    – 大災害では誰かが助けに来てくれるとは限らない
• 電子ロックの扉は注意
    – 停電の時に開かなくなるかも
• 研究室で全員分のヘルメットを常備しておこう
    – 大地震の直後は余震が頻発する
3   – 安心感が違う
②学生は覚えておくこと
• 大学から迅速で的確な指示が来るとは限らない
  – 自分を含めて一人でも多くの仲間が助かることを考える
• 一人暮らしの学生はなるべく集団で行動する
  – 治安の悪化(噂だけど不安になるし)
  – 研究室は休みでも,生きるためにやることはいっぱいあるぞ
    • 翌日から食料調達だけで精いっぱい
    • 水が止まっているともっと大変
  – 家の近い友達を把握しておこう
• 電気がないと夜はつらく長い
  – 日の出とともに行動開始.食料・水調達,情報収集を日暮れまで.
  – 8時には寝るしかない
• 携帯の充電ができるように!手回しorソーラー式充電器を必ず買ってお
  け
  – 停電の復旧には時間がかかる
    • 菅原の家は中心部だったので丸2日(これくらいなら平気)
    • 場所によっては2週間の停電.これはかなりつらい
  – 携帯は移動式基地局などで意外と早く使えたりする
  – ワンセグで情報収集もできる
  – 「携帯充電1万円」とかの店も出てくる
• 4 カセットコンロ,ラジオ,懐中電灯は必須
③スタッフがさらにやること
• 研究室全員の安否確認
    – 学生にフリーのアドレスを持たせておく
     • 大学のメールはキャンパスの停電で落ちる
     • 携帯番号,携帯メールアドレスも押さえておくとよい
    – TwitterとFacebookはかなり役に立った
    – 最後の手段は家に突入,家の住所を把握しておくように
    – 留学生は彼らのネットワークを有効活用
• 大学からの連絡は結局ネットでしか得られない
    – 家が停電だと携帯で見るしかない.
    – みられる人が私用メールやTwitterで拡散するくらいしか
      方法がない
    – 連絡網があると役に立つかも
     • K菅H田研ではKN川の尽力で作りました
• (地方大学では)学生の帰省の手助け
5
④その後
• 被災地では一時的に物資が欠乏する
    – 自分にできることがないと思ったら(orあとさき考
      えず)逃げだすのもよい
    – 研究室の決断,大学からの連絡が遅い場合は遠慮せ
      ず帰省を
    – ただし交通機関の確保はやっぱり難しい
• ガソリンは直後なら手に入ることもある
    – 車を持っている人は40Lの携行缶を積んでおくと役
      に立つかも
    – 研究室で発電機を持っていると役に立つかも
     • 避難所に貸す,病院に貸すなど活躍する可能性
     • 自分はガソリンの入手が遅れたため役立てられなかった

6

More Related Content

Viewers also liked

SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässä
SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässäSEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässä
SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässäSuomen Ekonomit
 
Step1 Aobol Shop Setup
Step1 Aobol Shop SetupStep1 Aobol Shop Setup
Step1 Aobol Shop SetupRahul Nandi
 
Anuncio_boligrafo
Anuncio_boligrafoAnuncio_boligrafo
Anuncio_boligrafocamilashare
 
Evc hemorrágico
Evc hemorrágicoEvc hemorrágico
Evc hemorrágicoJavier Luna
 
метод проектів на уроках фізики
метод  проектів на уроках фізикиметод  проектів на уроках фізики
метод проектів на уроках фізикиOkhotnik-Galina
 
ICICI Bank - A Case Study
ICICI Bank - A Case StudyICICI Bank - A Case Study
ICICI Bank - A Case StudySameer Dalvi
 

Viewers also liked (10)

SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässä
SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässäSEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässä
SEFEn Naistenpäivä - Rohkeana työelämässä
 
Step1 Aobol Shop Setup
Step1 Aobol Shop SetupStep1 Aobol Shop Setup
Step1 Aobol Shop Setup
 
Anuncio_boligrafo
Anuncio_boligrafoAnuncio_boligrafo
Anuncio_boligrafo
 
Charles-Henry
Charles-HenryCharles-Henry
Charles-Henry
 
Sin título 1
Sin título 1Sin título 1
Sin título 1
 
test suganya
test suganyatest suganya
test suganya
 
Le Trading Media
Le Trading MediaLe Trading Media
Le Trading Media
 
Evc hemorrágico
Evc hemorrágicoEvc hemorrágico
Evc hemorrágico
 
метод проектів на уроках фізики
метод  проектів на уроках фізикиметод  проектів на уроках фізики
метод проектів на уроках фізики
 
ICICI Bank - A Case Study
ICICI Bank - A Case StudyICICI Bank - A Case Study
ICICI Bank - A Case Study
 

研究室と震災

  • 1. 研究室と震災 (教訓メモ.東北大学某研究室を例 に) 早大バイオ合同ゼミでの 話の一部を改訂.まとまってませんが 菅原 雄介
  • 2. 参考:宮城県と東北大学の被害 • 宮城県内で死者10,427名,行方不明者1,302名 (2013.2.28県HPより) – 人口2,347,300人(2011.2.1県HP)の0.5% • 関ヶ原合戦の死亡者数(約8000)を上回る • 東北大学青葉山地区は震度6強が3分間継続, その後も断続 – 山の上なので津波の被害は無し – キャンパス内での人的被害は無し – 学生2名,入学予定者1名が津波の犠牲になった – 28棟が使用不可 – 被害総額は計900億円 2
  • 3. ①まずは本震で生き残る • 震度6強は立ってられません – 確固たる意志があれば歩けなくはない • 緊急地震速報はマジ有効.十分身構えることができた – 東北大では学内放送が流れた(停電が始まるまで) – 携帯とPCに入れておこう • 机の下は絶対安全ではない – 机の上に棚が倒れてくると閉じ込められた • 棚の転倒防止を過信するな – 壁にねじ止めするのは微妙.すべて引き抜いて倒れてきた(K菅H田研) – 壁ごと倒れてきた研究室も(U山K野研) – 中身はすべて出てしまった方がある意味安心 • 小部屋からはすぐに出ろ – 棚が内開きのドアの前に倒れたらもう逃げられない – 大災害では誰かが助けに来てくれるとは限らない • 電子ロックの扉は注意 – 停電の時に開かなくなるかも • 研究室で全員分のヘルメットを常備しておこう – 大地震の直後は余震が頻発する 3 – 安心感が違う
  • 4. ②学生は覚えておくこと • 大学から迅速で的確な指示が来るとは限らない – 自分を含めて一人でも多くの仲間が助かることを考える • 一人暮らしの学生はなるべく集団で行動する – 治安の悪化(噂だけど不安になるし) – 研究室は休みでも,生きるためにやることはいっぱいあるぞ • 翌日から食料調達だけで精いっぱい • 水が止まっているともっと大変 – 家の近い友達を把握しておこう • 電気がないと夜はつらく長い – 日の出とともに行動開始.食料・水調達,情報収集を日暮れまで. – 8時には寝るしかない • 携帯の充電ができるように!手回しorソーラー式充電器を必ず買ってお け – 停電の復旧には時間がかかる • 菅原の家は中心部だったので丸2日(これくらいなら平気) • 場所によっては2週間の停電.これはかなりつらい – 携帯は移動式基地局などで意外と早く使えたりする – ワンセグで情報収集もできる – 「携帯充電1万円」とかの店も出てくる • 4 カセットコンロ,ラジオ,懐中電灯は必須
  • 5. ③スタッフがさらにやること • 研究室全員の安否確認 – 学生にフリーのアドレスを持たせておく • 大学のメールはキャンパスの停電で落ちる • 携帯番号,携帯メールアドレスも押さえておくとよい – TwitterとFacebookはかなり役に立った – 最後の手段は家に突入,家の住所を把握しておくように – 留学生は彼らのネットワークを有効活用 • 大学からの連絡は結局ネットでしか得られない – 家が停電だと携帯で見るしかない. – みられる人が私用メールやTwitterで拡散するくらいしか 方法がない – 連絡網があると役に立つかも • K菅H田研ではKN川の尽力で作りました • (地方大学では)学生の帰省の手助け 5
  • 6. ④その後 • 被災地では一時的に物資が欠乏する – 自分にできることがないと思ったら(orあとさき考 えず)逃げだすのもよい – 研究室の決断,大学からの連絡が遅い場合は遠慮せ ず帰省を – ただし交通機関の確保はやっぱり難しい • ガソリンは直後なら手に入ることもある – 車を持っている人は40Lの携行缶を積んでおくと役 に立つかも – 研究室で発電機を持っていると役に立つかも • 避難所に貸す,病院に貸すなど活躍する可能性 • 自分はガソリンの入手が遅れたため役立てられなかった 6