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「操作変数法」の報告事例 
統計数理研究所リスク解析戦略研究センター 
特任助教竹林由武 
REQUIRE研究会第18回研究集会 
東京医科歯科大学湯島キャンパス(御茶ノ水駅より徒歩1分) 
1号館西7階口腔保健学科第3講義室 
日時:2...
紹介する論文 
肥満と大うつ病性障害:メンデル無作為化研究 
喫煙と気分•不安障害の発症 
1. 
2. 
2
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 
背景: 肥満と大うつ病の関連 
3 
縦断研究のメタ分析: 
ベースラインの肥満は、フォロアップの抑うつ発症リスクを増大 
[ オッズ比: 1.55, 大うつ病性障害> 抑うつ症状] 
先行研...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 
背景: 先行研究の問題 
研究の質の低さ(メタ分析に含まれた研究) 
質の高い研究: 25%のみ 
抑うつの発症を診断面接で評価: 2件のみ 
交絡の可能性 
・心臓血管疾患による交絡 
高齢...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 
背景: メンデル無作為化研究 
5 
曝露と関連する遺伝型を操作変数とし、操作変数回帰によって曝 
露とアウトカムの因果推論を行うタイプの研究(観察研究) 
曝露と関連する遺伝型 
=メンデル...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 
背景: 本研究の操作変数 
6 
肥満関連(FTO)遺伝子(FaT mass and Obesity-associated gene) 
BMIとの関連が繰り返し報告 
ただし、単独ではBMI...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 
目的 
7 
肥満に関連する遺伝型(FTO 遺伝型とwGRS)を操作 
変数としたメンデル無作為化解析によって、高BMIが大う 
つ病のリスクを増大させるか検討 
FTO 
wGRS 
BMI...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究8 
方法: 研究デザインと参加者 
研究デザイン: 症例対照研究 
参加者: 
3つのうつ病多施設共同研究データベースからリクルート 
(DeNT,DeCC,GENDEP) 
症例群の選定基準 ...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究9 
方法: 肥満の測定 
BMIの測定 
自己報告による身長と体重からBMIを算出 
BMI=体重(kg) / 身長の2乗(m2) 
肥満の基準値: 
肥満: BMI 30以上通常: BMI 1...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究10 
方法 
wGRSの構成 
GRS = 各SNPのリスク対立遺伝子数の合計 
FTO遺伝子(rs3751812)を含む32のBMIと関連する 
SNPsからGRSを生成 
SNP1のリスク対...
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究11 
方法: 統計解析 
操作変数(FTO, wGRS)とBMIの関連を線形回帰で分析(1段階推定) 
(年齢、性別、人種関連の主成分を共変量として統制) 
ー操作変数と曝露の関連の強さの基準(...
結果 
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究12 
記述統計量 
・女性の割合、年齢、BMIは、うつ病群が統制群よりも高い 
・操作変数(FTO遺伝型やwGRS)に群間差なし 
・操作変数(FTO遺伝型とwGRS)はBMIと有意な関...
結果 
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究13 
プロビット回帰分析 
BMIは大うつ病との有意な関連あり 
操作変数プロビット回帰 
BMIは大うつ病性と無関連 
操作変数(FTO,wGRS)は大うつ病と直接関連せず 
FTO ...
考察 
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究14 
操作変数解析の結果、BMIと大うつ病の関連は消失 
⇒逆の因果関係または他の未観測の重大な交絡の存在 
逆因果 
抑うつ症状による活動制限⇒肥満化 
大うつ病関連遺伝型の特定を待っ...
限界 
事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究16 
1. 症例対照研究⇒前向きコホート研究が必要 
2. 本研究の参加者は中等症に限られる 
軽度なうつや閾値下のうつには一般化できない 
3. 参加者は欧州の白人家系限定 
他の人種...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連17 
背景: 喫煙と気分障害•不安症の関連 
習慣的な喫煙は、気分障害•不安症の有病率や発症リスク 
の増大と関連することが報告されている 
両者の因果関係は不明確 
− 未知/測定困難な交絡要因の存...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連18 
目的 
3年間のフォローアップ期間における習慣的な喫煙と、気分障害•不 
安障害の新規発症の因果的な関連を操作変数解析を利用し検討 
気分障害 
大うつ病エピソード 
不快気分症 
躁病エピソー...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連19 
背景: 喫煙と気分障害•不安症の関連 
研究デザイン: 前向きコホート研究(の二次解析) 
データの出所: 
米国の一般人口を対象としたNESARCの疫学データ 
ベースラインフォローアップ 
...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連20 
方法: 喫煙の評価 
喫煙経験群(0): 
過去の喫煙歴有、ベース•フォロー両期間での喫煙100本以下 
未喫煙者群(0): 
過去の喫煙歴無、ベースとフォロ両期間で喫煙は100本以下 
習慣的...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連21 
方法: 精神疾患の評価 
評価尺度: 構造化面接 
the Alcohol Use Disorder and Associated Disabilities 
Interview Schedul...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連22 
方法: 操作変数 
① 州のたばこ税 
2001年から2002年におけるtax policy centerの公開データ 
(範囲: 2.8セント〜1.31ドル) 
② 州の喫煙への態度 
• 他...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連23 
方法: 操作変数 
① 州のたばこ税 
2001年から2002年におけるtax policy centerの公開データ 
(範囲: 2.8セント〜1.31ドル) 
先行研究で喫煙の開始と強い関連...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連24 
方法: 解析方法 
① 喫煙と気分障害•不安障害の関連における交絡の評価 
操作変数を用いたプロビット回帰(アウトカムがカテゴリ変数の回帰) 
step1) 操作変数で平均喫煙数を予測 
ste...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連25 
方法: 解析方法 
② 喫煙と気分障害•不安障害の関連 
ロジスティック回帰分析 
1) 全体(少なくともいずれか1つの疾患が発症するリスクを検討) 
2) 個別(疾患の下位分類ごとに発症リスク...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連26 
結果:デモグラフィックデータ 
群平均喫煙数人数割合 
0-1 未喫煙者1> 1845 53.9% 
0-2 喫煙経験者1> +8900 27.9% 
1 
喫煙者 
1-9 1061 
18....
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連27 
結果: 操作変数回帰(交絡の評価) 
操作変数は、喫煙行動と強く有意な関連 
ネガティブ態度:オッズ比= 0.93 [0.92-0.94]; P < .001 
たばこ税: オッズ比= 0.69...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連28 
結果: 操作変数回帰(交絡の評価) 
新規発症疾患 
ρ 係数 
(標準誤差) 
Wald検定 
χ2 (df=1) 
気分障害不安障害0.09 (0.18)ns, b 2.09ns 
大うつ病...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連29 
結果:多変量ロジスティック回帰 
非喫煙群習慣喫煙群 
0-1 0-2 1 2 3 4 F (1,65) 
いずれか1 1.18** 1.49** 1.30** 1.64*** 1.84*** ...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連30 
結果: デモグラフィックデータとの交互作用 
18-29歳: F(5,61) = 8.98; P < .001 
30-39歳: F(5,61) = 4.17; P = .003 
40-49歳...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連31 
考察: 知見のまとめ 
州のたばこ税と喫煙へのネガティブな態度を操作変数 
とした操作変数解析によって、喫煙と新規発症の関係 
について重大な交絡がないことが示唆された 
喫煙と気分障害•不安障...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連32 
考察: 喫煙と精神疾患の関連 
自己治癒仮説 
ニコチン性アセチルコリン受容体の反射 
⇒認知や気分を改善 
⇒アセチルコリン受容体の慢性的な使用 
⇒ニコチン受容体の間接的な抑制 
⇒抑うつの...
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連33 
限界: 
喫煙の開始時期を特定していない 
たばこを吸い始めた人長年吸っている人よりも、脆弱な可能性 
⇒ 大きなコホートで早い年齢の参加者で複数ポイント査定し、 
生涯に渡って喫煙と精神疾患の...
結論 
事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連34 
若年層の喫煙は精神疾患の発症を15.21ポイント増大 
2030年には大うつ病が最も負荷の高い疾患 
⇒特に若年に対する禁煙の政策推進は喫緊の問題 
州のたばこの税率やネガティブな態度は...
JustGiving 統計学で検索! http://justgiving.jp/p/886 REQUIRE研究会は、臨床疫学系の研究者が、統計学の継続学習をする場です。こうした取り組みは、公的研究費や民間財団からの支援を受けることは難しい状況で...
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「操作変数法」の報告事例

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REQUIRE研究会 第18回研究集会
東京医科歯科大学湯島キャンパス(御茶ノ水駅より徒歩1分)
1号館西7階 口腔保健学科第3講義室
日時:2014年12月6日 (土) 14:30~17:40
http://blue.zero.jp/yokumura/workshop.html

Published in: Health & Medicine
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「操作変数法」の報告事例

  1. 1. 1 「操作変数法」の報告事例 統計数理研究所リスク解析戦略研究センター 特任助教竹林由武 REQUIRE研究会第18回研究集会 東京医科歯科大学湯島キャンパス(御茶ノ水駅より徒歩1分) 1号館西7階口腔保健学科第3講義室 日時:2014年12月6日(土) 14:30~17:40
  2. 2. 紹介する論文 肥満と大うつ病性障害:メンデル無作為化研究 喫煙と気分•不安障害の発症 1. 2. 2
  3. 3. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 背景: 肥満と大うつ病の関連 3 縦断研究のメタ分析: ベースラインの肥満は、フォロアップの抑うつ発症リスクを増大 [ オッズ比: 1.55, 大うつ病性障害> 抑うつ症状] 先行研究の問題点 ・研究の質の低さ ・交絡の可能性 The British Journal of Psychiatry (2014), 205, 24–28. doi: 10.1192/bjp.bp.113.130419
  4. 4. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 背景: 先行研究の問題 研究の質の低さ(メタ分析に含まれた研究) 質の高い研究: 25%のみ 抑うつの発症を診断面接で評価: 2件のみ 交絡の可能性 ・心臓血管疾患による交絡 高齢肥満男性、大うつ病の発症リスクを増大 血管系の要因は抑うつの高齢発症に寄与 肥満は心臓血管疾患のリスクを増大 ・他の未観測の要因による交絡の可能性 (例,食事やエクササイズ) 心 4 肥鬱 The British Journal of Psychiatry (2014), 205, 24–28. doi: 10.1192/bjp.bp.113.130419
  5. 5. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 背景: メンデル無作為化研究 5 曝露と関連する遺伝型を操作変数とし、操作変数回帰によって曝 露とアウトカムの因果推論を行うタイプの研究(観察研究) 曝露と関連する遺伝型 =メンデルの独立性の法則から、 曝露と関連する遺伝型は、 アウトカムや交絡因子と独立 操作変数曝露アウトカム 交絡因子 The British Journal of Psychiatry (2014), 205, 24–28. doi: 10.1192/bjp.bp.113.130419
  6. 6. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 背景: 本研究の操作変数 6 肥満関連(FTO)遺伝子(FaT mass and Obesity-associated gene) BMIとの関連が繰り返し報告 ただし、単独ではBMIの分散説明力は低め 重みつき遺伝リスクスコア(wGRS: weighted genetic risk score) 32の一塩基多型(single nucleotide polymorphisms: SNP)から構成 効果量によって重み付け FTOよりもBMIの予測を改善 The British Journal of Psychiatry (2014), 205, 24–28. doi: 10.1192/bjp.bp.113.130419
  7. 7. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究 目的 7 肥満に関連する遺伝型(FTO 遺伝型とwGRS)を操作 変数としたメンデル無作為化解析によって、高BMIが大う つ病のリスクを増大させるか検討 FTO wGRS BMI 大うつ病 曝露と関連する遺伝型交絡因子 The British Journal of Psychiatry (2014), 205, 24–28. doi: 10.1192/bjp.bp.113.130419
  8. 8. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究8 方法: 研究デザインと参加者 研究デザイン: 症例対照研究 参加者: 3つのうつ病多施設共同研究データベースからリクルート (DeNT,DeCC,GENDEP) 症例群の選定基準 • 少なくとも中等から重度の大うつ病エピソードを1~2回以上あり • 大うつ病の診断は構造化面接(Schedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry) • 除外: 物質依存、物質誘発性気分障害、統合失調症、双極性障害 第一親等がうつ、双極性障害、統合失調症 対照群の選定基準 精神疾患の現病、既往なし(past history schedule)
  9. 9. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究9 方法: 肥満の測定 BMIの測定 自己報告による身長と体重からBMIを算出 BMI=体重(kg) / 身長の2乗(m2) 肥満の基準値: 肥満: BMI 30以上通常: BMI 18.5 ~25 遺伝型の測定 the Illumina HumanHap610-Quad BeadChipsで測定 (Illuminia Inc, San Diego, California, USA)
  10. 10. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究10 方法 wGRSの構成 GRS = 各SNPのリスク対立遺伝子数の合計 FTO遺伝子(rs3751812)を含む32のBMIと関連する SNPsからGRSを生成 SNP1のリスク対立遺伝子数= 2 SNP2のリスク対立遺伝子数= 1 SNP3のリスク対立遺伝子数= 1 GRS = 4 合計 wGRS = (各SNPのリスク対立遺伝子数(0,1,2)×対応する効果量)の合計 各リスク対立遺伝子を説明変数としBMIを予測する重回帰 各リスク対立遺伝子の効果量(回帰係数)を算出し合計 例) wGRS = 1.55 SNP1のリスク対立遺伝子数(2) × 効果量(.50) SNP1のリスク対立遺伝子数(1) × 効果量(.35) SNP1のリスク対立遺伝子数(1) × 効果量(.20) 合計 例)
  11. 11. 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究11 方法: 統計解析 操作変数(FTO, wGRS)とBMIの関連を線形回帰で分析(1段階推定) (年齢、性別、人種関連の主成分を共変量として統制) ー操作変数と曝露の関連の強さの基準(F値10以上) BMIと大うつ病の関連を操作変数プロビット回帰(2段階推定) (年齢、性別、人種関連の主成分を共変量として統制) 解析ソフトはstata version 12.1、ivprobitコマンド ⇒ 計3222名からBMI、年齢、性別とGWASデータを取得・解析
  12. 12. 結果 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究12 記述統計量 ・女性の割合、年齢、BMIは、うつ病群が統制群よりも高い ・操作変数(FTO遺伝型やwGRS)に群間差なし ・操作変数(FTO遺伝型とwGRS)はBMIと有意な関連 FTO (リスク対立遺伝子数1): B = 0.048, P = 0.011 FTO (リスク対立遺伝子数2): B = 0.062, P = 0.001 wGRS: B = 0.114, P= 0.001 操作変数として妥当 F値が10以上: FTO: 11.32、wGRS: 33.26
  13. 13. 結果 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究13 プロビット回帰分析 BMIは大うつ病との有意な関連あり 操作変数プロビット回帰 BMIは大うつ病性と無関連 操作変数(FTO,wGRS)は大うつ病と直接関連せず FTO (リスク対立遺伝子数1): 70.06 [70.17-0.05], P= 0.31 FTO (リスク対立遺伝子数2): 70.01 [70.15-0.14], P = 0.93 wGRS: 70.03 [70.14-0.07], P = 0.54
  14. 14. 考察 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究14 操作変数解析の結果、BMIと大うつ病の関連は消失 ⇒逆の因果関係または他の未観測の重大な交絡の存在 逆因果 抑うつ症状による活動制限⇒肥満化 大うつ病関連遺伝型の特定を待って、逆因果のメンデル 未観測の交絡 抗うつ薬や向精神薬の影響 喫煙、飲酒,社会経済ステータス 肥満に対するスティグマによる自尊心の低下 視床下部-下垂体-副腎系の制御不全など生物学的要因
  15. 15. 限界 事例1: 肥満と大うつ病: メンデル無作為化研究16 1. 症例対照研究⇒前向きコホート研究が必要 2. 本研究の参加者は中等症に限られる 軽度なうつや閾値下のうつには一般化できない 3. 参加者は欧州の白人家系限定 他の人種、地域に一般化できない 4. 検定力 メンデル無作為化研究で、例数設計の手法は確立していない。 過去のメンデル無作為化研究と比べると、本研究のサンプル大
  16. 16. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連17 背景: 喫煙と気分障害•不安症の関連 習慣的な喫煙は、気分障害•不安症の有病率や発症リスク の増大と関連することが報告されている 両者の因果関係は不明確 − 未知/測定困難な交絡要因の存在 (例,共通の遺伝的素因や性格特性) − 第3の要因による修飾効果の存在 (例,年齢,性別) RCTで因果関係検討できれば良いが喫煙は倫理的にNG ⇒母集団を代表するサンプルでの前向きコホート研究が最善策 操作変数法によって観察研究の因果推論の確信が強まる
  17. 17. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連18 目的 3年間のフォローアップ期間における習慣的な喫煙と、気分障害•不 安障害の新規発症の因果的な関連を操作変数解析を利用し検討 気分障害 大うつ病エピソード 不快気分症 躁病エピソード 不安障害 全般性不安症,パニック症 社交不安症,特定の恐怖症 外傷後ストレス障害 仮説: 習慣的な喫煙は、気分・不安障害の新規発症リスクを増大 副次評価 容量反応勾配の評価 ⇒ 平均喫煙本数と新規発症の関係を検討 修飾因子の評価 ⇒ 喫煙と精神疾患の関係が社会経済的特徴によって変わるか検討
  18. 18. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連19 背景: 喫煙と気分障害•不安症の関連 研究デザイン: 前向きコホート研究(の二次解析) データの出所: 米国の一般人口を対象としたNESARCの疫学データ ベースラインフォローアップ 時期2001年〜2002年2004年〜2005年 参加者43093名39959名 参加率81% 87% 計34 653 が追跡可能 フォローアップの不参加理由: 死亡、移住、精神、身体的な疾患、徴兵
  19. 19. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連20 方法: 喫煙の評価 喫煙経験群(0): 過去の喫煙歴有、ベース•フォロー両期間での喫煙100本以下 未喫煙者群(0): 過去の喫煙歴無、ベースとフォロ両期間で喫煙は100本以下 習慣的喫煙群(1,2,3,4): ベースとフォローの両期間で毎日喫煙 平均喫煙数によって4群化 群平均喫煙数 0 1> 1 1-9 2 10-19 3 20-29 4 30≦ フォローアップ期間 1日平均喫煙数= 過去1年の平均喫煙数+2(ベースライン測定後2年間の平均喫煙数)/3
  20. 20. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連21 方法: 精神疾患の評価 評価尺度: 構造化面接 the Alcohol Use Disorder and Associated Disabilities Interview Schedule--- Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition versionを使用 新規発症の定義 ベースラインに生涯有病無、フォロアップで有病 • PTSDはwave2でのみ評価されたが、初めて症状を経験した 時期をベースライン期で聞いている。ベースライン期以降に PTSDエピソードがあった場合に、PTSDの新規発症と定義
  21. 21. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連22 方法: 操作変数 ① 州のたばこ税 2001年から2002年におけるtax policy centerの公開データ (範囲: 2.8セント〜1.31ドル) ② 州の喫煙への態度 • 他の調査の一部、各州ごとに集計(the National Survey on Drug Use & Health) • 「一日に1〜2箱以上喫煙した場合、人はどれくらい身体やそ の他に害が生じるリスクがあると思いますか?」 • 深刻なリスクがあり⇒ 喫煙への態度ネガティブ • ネガティブな態度のプレバレンス: 64.4%〜72.2% ⇒ NESARCのベースラインにおける州の登録とリンク
  22. 22. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連23 方法: 操作変数 ① 州のたばこ税 2001年から2002年におけるtax policy centerの公開データ (範囲: 2.8セント〜1.31ドル) 先行研究で喫煙の開始と強い関連が報告 精神疾患に直接影響するとは考えにくい ② 州の喫煙への態度 • 他の調査の一部、各州ごとに集計(the National Survey on Drug Use & Health) • 「一日に1〜2箱以上喫煙した場合、人はどれくらい身体やそ の他に害が生じるリスクがあると思いますか?」 • 深刻なリスクがあり⇒ 喫煙への態度ネガティブ • ネガティブな態度のプレバレンス: 64.4%〜72.2% ⇒ NESARCのベースラインにおける州の登録とリンク
  23. 23. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連24 方法: 解析方法 ① 喫煙と気分障害•不安障害の関連における交絡の評価 操作変数を用いたプロビット回帰(アウトカムがカテゴリ変数の回帰) step1) 操作変数で平均喫煙数を予測 step2) step1で得られる喫煙の予測値で疾患の発症を予測 交絡の評価: ①step2のwald統計量 ②各段階の誤差相関係数ρ (最尤推定) 有意だと通常の回帰モデルは交絡により解釈不能
  24. 24. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連25 方法: 解析方法 ② 喫煙と気分障害•不安障害の関連 ロジスティック回帰分析 1) 全体(少なくともいずれか1つの疾患が発症するリスクを検討) 2) 個別(疾患の下位分類ごとに発症リスクを検討) ※ 解析①、②では社会経済デモグラフィックデータを統制 性別、年齢、人種、所得、教育水準、婚姻状況、身体疾患、居住地域 ③ 修飾因子の検討 ロジスティック回帰分析 社会経済デモグラフィックデータと喫煙状況の交互作用項投入 交互作用項が有意であれば、各疾患ごとに層別解析
  25. 25. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連26 結果:デモグラフィックデータ 群平均喫煙数人数割合 0-1 未喫煙者1> 1845 53.9% 0-2 喫煙経験者1> +8900 27.9% 1 喫煙者 1-9 1061 18.2% 2 10-19 1961 3 20-29 2040 4 30≦ 738 社会経済的指標•身体的健康•精神疾患: 喫煙者< 喫煙経験者<未喫煙者 男性の割合: 未喫煙者< 喫煙経験者•喫煙者 気分障害•不安障害、非ニコチン物質使用障害の既往: 未喫煙者<喫煙者 気分障害•不安障害の新規発症: 喫煙経験者•未喫煙者<喫煙者
  26. 26. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連27 結果: 操作変数回帰(交絡の評価) 操作変数は、喫煙行動と強く有意な関連 ネガティブ態度:オッズ比= 0.93 [0.92-0.94]; P < .001 たばこ税: オッズ比= 0.69 [0.60, 0.80]; P < .001 ( joint F (2,64) = 91.68; P < .001) ρ係数•wald検定は非有意 通常の回帰による喫煙と疾患の発症の関連に交絡なし 一致推定量として解釈可能
  27. 27. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連28 結果: 操作変数回帰(交絡の評価) 新規発症疾患 ρ 係数 (標準誤差) Wald検定 χ2 (df=1) 気分障害不安障害0.09 (0.18)ns, b 2.09ns 大うつ病エピソード0.41 (0.22)ns 1.64ns 不快気分症0.36 (0.33)ns, b 1.44ns 躁病エピソード-0.23 (0.36)ns, b 0.34ns 全般性不安症-0.34 (0.20)ns, b 0.74ns パニック症-0.44 (0.30)ns 0.33ns 社交不安症-0.10 (0.33)ns, b 0.41ns 特定の恐怖症-0.05 (0.33)ns 0.04ns 外傷後ストレス障害0.17 (0.32)ns, b 0.83ns
  28. 28. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連29 結果:多変量ロジスティック回帰 非喫煙群習慣喫煙群 0-1 0-2 1 2 3 4 F (1,65) いずれか1 1.18** 1.49** 1.30** 1.64*** 1.84*** 11.73*** 大うつ1 1.05 1.31 1.11 1.40* 1.93** 2.86* 不快気分1 1.08 1.95 2.87*** 4.26*** 4.31*** 9.05*** 躁病1 1.07 1.07 1.44 2.28*** 2.83** 5.95*** 全般不安1 1.05 1.37 1.05 1.46* 1.55 1.77 パニック1 1.56** 2.03** 2.04*** 2.59*** 2.64** 5.95*** 社交不安1 1.25 1.51 1.85** 2.11*** 1.95* 3.85** 特定恐怖1 1.09 1.83* 1.72** 1.79** 2.35** 5.96*** PTSD 1 1.37* 1.43 1.33 2.17** 1.35 3.03* 習慣的喫煙と疾患の新規発症に有意な関連(GADを除いて) 非喫煙者は他の群より新規発症のオッズが低い傾向 ヘビースモーカーは高オッズ(PTSDを除いて)
  29. 29. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連30 結果: デモグラフィックデータとの交互作用 18-29歳: F(5,61) = 8.98; P < .001 30-39歳: F(5,61) = 4.17; P = .003 40-49歳, F(5,61) = 4.75; P = .001 参加者の14.2%が18-49歳で新規発症 参加者の8.9%が50歳以上で新規発症 (OR = 1.69; 95% CI = 1.56, 184; P < .001) 個々の疾患でも同様のパターン • 年齢と喫煙状況の交互作用項のみ有意(F (20,46) = 2.19; P = .014). • 喫煙と新規発症は、50歳以下のグループでのみ有意 • 50歳以下のグループでは、喫煙は、全ての疾患の発症と関連 • 50歳以上では、躁病エピソードの発症と喫煙が有意な関連
  30. 30. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連31 考察: 知見のまとめ 州のたばこ税と喫煙へのネガティブな態度を操作変数 とした操作変数解析によって、喫煙と新規発症の関係 について重大な交絡がないことが示唆された 喫煙と気分障害•不安障害の発症の関係が年齢に よって有意に調整されることを明らかにした 年齢による調整効果の理由 risk windowの存在(その年齢集団の人が特に曝露に対して脆弱) 高齢層では気分障害、不安障害の発生頻度が減少 喫煙と新規発症の関係は青年期で顕著
  31. 31. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連32 考察: 喫煙と精神疾患の関連 自己治癒仮説 ニコチン性アセチルコリン受容体の反射 ⇒認知や気分を改善 ⇒アセチルコリン受容体の慢性的な使用 ⇒ニコチン受容体の間接的な抑制 ⇒抑うつの罹患増大 遺伝的な特性による修飾効果の可能性 特に、加齢に伴う生物学的要因を検討することが有 益?
  32. 32. 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連33 限界: 喫煙の開始時期を特定していない たばこを吸い始めた人長年吸っている人よりも、脆弱な可能性 ⇒ 大きなコホートで早い年齢の参加者で複数ポイント査定し、 生涯に渡って喫煙と精神疾患の関連を検討すべき 喫煙歴と生涯精神疾患歴はともに自己報告で測定 リコールバイアスの発生 生涯精神疾患の報告では.60バイアスがかかる
  33. 33. 結論 事例2: 喫煙と気分•不安障害の発症の関連34 若年層の喫煙は精神疾患の発症を15.21ポイント増大 2030年には大うつ病が最も負荷の高い疾患 ⇒特に若年に対する禁煙の政策推進は喫緊の問題 州のたばこの税率やネガティブな態度は喫煙に抑制的な影 響 ⇒ たばこの増税、公衆衛生教育やメディアによる行動形成 が、若年の喫煙の低減に有効であるかもしれない
  34. 34. JustGiving 統計学で検索! http://justgiving.jp/p/886 REQUIRE研究会は、臨床疫学系の研究者が、統計学の継続学習をする場です。こうした取り組みは、公的研究費や民間財団からの支援を受けることは難しい状況です。しかし、運営費を確保するた めに参加費や年会費を高く設定することは、大学院生の参加を妨げ、かつ「参加者が講師」というスタンスを貫くために採用したくないと考えています。継続的に健全な研究会を運用可能な仕組みにするため、どうか、ご支援を頂けると幸いです。

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