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2015LETシンポジウム 時系列指標とライティング方略

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石井雄隆・石井卓巳・川口勇作・阿部大輔・西村嘉人・草薙邦広(2015, August)「Writing MaetriXを用いた言語資源の構築と英語学習者のライティング・プロセスの解明」外国語教育メディア学会 第55回全国研究大会 公募シンポジウム. 千里ライフサイエンスセンター.

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2015LETシンポジウム 時系列指標とライティング方略

  1. 1. 分析事例紹介 その2 時系列指標と ライティング方略との関係 川口 勇作 名古屋大学大学院生 y.kawaguchi@nagoya-u.jp 外国語教育メディア学会 第55回全国大会公募シンポジウム WritingMaetriXを用いた言語資源の構築と 英語学習者のライティング・プロセスの解明
  2. 2. ここまで • W石井先生 –コーパス構築の概要のおはなし • 草薙先生 –時系列モデリングのおはなし • 西村先生 –時系列指標と言語的特徴との関係のお 話
  3. 3. ここから • 私のおはなし –時系列指標とライティング方略との関 係 • 学習者のライティング方略が、現実のライ ティングプロセスに反映される傾向がある (e.g., 川口, 2015)←New!!
  4. 4. 背景 • Yamanishi(2009) –日本人大学生の、熟達度間の使用方略 の差異を比較 • 4つの下位尺度を持つ質問紙を使用 – 包括的計画・局所的計画・推敲・回避 • 学習者のライティング方略を量的に操作化 • 高熟達度学習者は、低熟達度学習者より、 包括的な計画をより多く用いる傾向
  5. 5. 背景 • 予測 –包括的計画方略をよく使う人は、計画 の時間が長そう –推敲方略をよく使う人は、書いたり消 したりを頻繁にしそう –回避方略をよく使う人は、語数の伸び が大きくなりそう …などなど
  6. 6. 背景 • 計画の時間の長さ(全体に占める割合) • 修正の回数 • 語数の伸び方 • こういった変数を時系列指標を以っ て操作化する試み(e.g., 川口・室田・後藤, 2014)
  7. 7. 背景 • 川口・室田・後藤(2014) –エッセイライティングの増加語数の時 系列推移傾向を、ポアソン分布モデル および線形回帰モデルに当てはめ • ポアソン分布モデル:下位プロセスが明確 な、望ましい語数の時系列推移と近似 • 線形回帰モデル:書き始めから終了まで語 数が伸び続けるという時系列推移と近似
  8. 8. 0 5 10 15 20 25 30 0.00.20.40.60.81.0 Example Time Wordnumberratio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.20.40.60.81.0 Lambda=10 Time Wordnumberratio 計画 文章化 推敲
  9. 9. 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 1 Time WordNumberRatio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 5 TimeWordNumberRatio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 10 Time WordNumberRatio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 15 Time WordNumberRatio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 20 Time WordNumberRatio 0 5 10 15 20 25 30 0.00.40.8 Lambda = 25 Time WordNumberRatio
  10. 10. 背景 • 典型的な語数の増え方(サブプロセスが明確 or 語 数が一貫して伸びる)をモデルに設定 • そのモデルにどのくらいあてはまってる かという度合い →モデルへのあてはまり指標 • モデルにあてはめたときに出てくる値 →プロセスの傾向指標
  11. 11. 背景 • 川口・室田・後藤(2014) –結果 • 当てはめによって得られた値を、ライティ ングプロセスの傾向を示す指標(時系列指 標)とし、エッセイ評定との相関を検証 • 線形回帰モデルに当てはまりがよいほど エッセイ評定が高い傾向 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 5 10 15 Words Time (min)
  12. 12. 背景 • 川口(2015) –時系列指標とライティング方略との関 係について • 両者の間には関係がありそうという結果に –課題 • 小さいサンプルサイズ – 一般化には程遠い – だが大規模サンプルのコーパスなら…!
  13. 13. Corpus Project
  14. 14. 背景 • 本研究の主眼 –プロセスをモデルにあてはめて得られ る指標と、学習者のライティング方略 には、関係がある?(e.g., 川口, 2015) –学習者が使用する方略と時系列指標と の相関関係を検証
  15. 15. 背景 • 考えられる仮説 –包括的計画方略を用いる学習者は、サ ブプロセスが明確なプロセス(=ポアソン分 布への当てはまりがよく、λ値も大きく、切片は小さい)を示 す –局所的計画方略を用いる学習者は、手 を止める回数(=語数が増加しない時間)が多い
  16. 16. 課題 学習者のライティング方略は、ライ ティングプロセスの傾向を示す時系列 指標と相関を示すか?
  17. 17. 調査 • 標本(N = 194) –日本の大学に在籍する英語学習者 • 欠損のあるデータを除外 • ほぼ大学1年生 • 自己申告されたTOEFL ITPスコア平均は 467.23(SD = 31.82) –想定される母集団 • 大学に在籍する、熟達度が初級~中級の日 本人英語学習者
  18. 18. 調査 • ライティング方略に関する尺度 (Yamanishi, 2009) –31項目を分析に使用 • 包括的計画方略(k = 10, α = .77) • 局所的計画方略(k = 6, α = .82) • 推敲方略(k = 7, α = .89) • 回避方略(k = 8, α = .84)
  19. 19. 包括的計画方略 1. はじめに大まかに書いて,後で細かな修正をしなが ら書いた 2. 内容がまとまるように文の順番を考えながら書いた 3. 内容をまとめるための表現を考えながら書いた 4. 表現に一貫性があるようにして書いた 5. 物語調で書こうとした 6. 日本語で考えを整理してから,英語で書いた 7. 課題で何が要求されているかを考えながら書いた 8. 課題の趣旨を読者に伝えるように書いた 9. 課題内容をよく理解してから書いた 10. 結び(文章のオチ)の表現に気を遣って書いた
  20. 20. 局所的計画方略 1. 冠詞や単数形や複数形に注意しながら書いた 2. 語と語の組み合わせ(イディオムなど)を考えなが ら書いた 3. 思いついた英語の表現が日本語の意味にあっている か考えながら書いた 4. 思いついた複数の表現から,最もふさわしい表現を 選びながら書いた 5. 次にどのような内容を書こうか考えながら書いた 6. 書きやすい表現を使えるように,書く内容を調整し た 7. 定型的な表現(決まった言い回し)を気にしながら 書いた
  21. 21. 推敲方略 1. 課題を見直して,書いた内容を修正した 2. 課題を見直して,足りない情報を書き足した 3. 書いた内容を見直して,表現が簡潔になるように修 正した 4. 書いた内容を見直して,全体的な表現(文章の構成 など)を修正した 5. 書いた内容を見直して,足りない情報を付加した 6. 書いた内容を見直して,内容のまとまりが良くなる ように修正した 7. 書いた内容を見直して,不要な情報を削除した 8. 書いた内容を見直して,部分的な表現(文法,つづ りなど)を修正した
  22. 22. 回避方略 1. どのように書こうか考えたが,あきらめて作文を終了した 2. 書いている途中に違和感を覚えたが,そのまま書き進めた 3. 書きたい内容はあったが,表現が思い浮かばなかったので 書かなかった 4. 書きにくそうな箇所は書かなかった 5. 日本語では書けても英語で表現するのが難しい内容は書か なかった 6. 書き足りない内容があったが,書くと大変そうだったから 書かなかった 7. 書こうとした内容はあったが,ぼろを出さないように書か なかった 8. 文のつながりがおかしいと感じた箇所があったが,気にし ないようにした
  23. 23. 調査 • 分析方法 –以下の項目を変数とする多変量相関分 析(スピアマンの順位相関) • カイ二乗値 – ポアソン分布モデルへの当てはまりのよさを示 す(小さければ小さいほど当てはまりがよい) • λ値 – 学習者のライティングプロセスの傾向を示す
  24. 24. 調査 • 分析方法 –以下の項目を変数とする多変量相関分 析(スピアマンの順位相関) • 傾き・切片 • 決定係数 R2 – 線形回帰モデルへの当てはまりのよさを示す – 大きければ大きいほど当てはまりがよい
  25. 25. 調査 • 分析方法 –以下の項目を変数とする多変量相関分 析(スピアマンの順位相関) • 局所的計画の回数 – 語数が変化しなかったデータポイントの数 • 推敲の回数 – 語数が減少したデータポイントの数 • ライティング方略に関する尺度の回答 – 包括的計画・局所的計画・推敲・回避
  26. 26. 分析 • 記述統計の算出 • 多変量相関分析 –相関・散布図行列 –グラフィカルモデリング
  27. 27. 結果 • 記述統計(N = 194) M SD 最小値 中央値 最大値 歪度 尖度 語数 214.95 37.71 28.00 218.00 349.00 -0.75 3.34 λ 19.34 3.03 7.19 19.34 27.65 -0.51 1.95 χ2 63570.97 340020.45 3.41 3719.71 3315465.83 8.56 76.35 切片 29.51 18.78 -8.77 29.15 133.36 1.24 4.21 傾き 3.82 0.73 0.25 3.88 6.06 -0.72 2.78 R2 0.90 0.06 0.54 0.91 0.99 -2.33 8.41 包括的計画回数 22.33 4.77 10.00 22.00 51.00 1.65 6.84 推敲回数 1.67 1.52 0.00 1.00 7.00 1.03 0.85 包括的計画方略 1.51 0.49 0.00 1.50 3.00 -0.27 0.22 局所的計画方略 1.81 0.61 0.00 1.83 3.00 -0.43 0.54 推敲方略 1.42 0.75 0.00 1.43 3.00 -0.26 -0.76 回避方略 1.57 0.67 0.00 1.63 3.00 -0.10 -0.52
  28. 28. Words 10 20 -0.15 -0.19 0 60 0.36 0.90 0.6 0.8 1.0 -0.15 -0.01 0 2 4 6 -0.15 0.00 0.0 1.5 3.0 -0.02 0.01 0.0 1.5 3.0 -0.09 1025 Lambda 0.92 -0.91 0.14 0.95 -0.74 0.19 -0.09 -0.08 -0.02 0.14 Poisson.chisq -0.80 0.06 0.92 -0.71 0.24 -0.04 -0.05 -0.02 0.12 080 Intercept 0.03 -0.84 0.58 -0.20 0.10 0.09 0.03 -0.11 Slope 0.10 -0.20 -0.11 -0.01 -0.04 0.01 -0.04 0.61.0 R.2 -0.75 0.13 -0.08 -0.07 -0.03 0.12 NLP -0.31 0.03 -0.10 0.03 -0.10 04 NR 0.03 0.07 0.09 0.05 GP 0.53 0.54 -0.04 0.02.5 LP 0.42 -0.04 RR 0.01 50 200 0.02.5 0 2500000 1 3 5 10 30 50 0.0 1.5 3.0 0.0 1.5 3.0 AV
  29. 29. Words Lambda Poisson.chisq Intercept Slope R.2 NLP NR GP LP RR AV 緑色:正の相関 赤色:負の相関 線が太いほど係数が大きいことを示す 紫色で囲まれているのがライティング方略 時系列指標 方略
  30. 30. 結果 • 多変量相関分析の結果 –ライティング方略とライティングプロ セスの傾向を示す時系列指標とは相関 を示さなかった
  31. 31. 総括 • 以下のような変数の影響によって関 係性が変化する可能性 –熟達度、トピック、タスク時間 –方略使用傾向は、トピックやタスク時 間によって変化し得る –熟達度が関係性を変動させる要因であ る可能性(cf. 川口, 2015)
  32. 32. 総括 • 以下のような変数の影響によって関 係性が変化する可能性 –熟達度、トピック、タスク時間 • これらの影響を緩和するために… –さらなる条件統制、サブコーパス作成 –データ収集を継続してより偏りのない サンプリングを
  33. 33. 参考文献 川口勇作 (2015). 「学習者のライティング方略は現実のライティングプロセス に反映されるか」『外国語教育メディア学会 第55回全国研究大会発表要項 集』92–93. 川口勇作・室田大介・後藤亜希 (2014). 「エッセイライティングにおける増加 語数の時系列推移傾向はエッセイ評価を予測するか―線形回帰モデルおよ びポアソン分布へのフィッティングを用いて―」『第40回全国英語教育学 会徳島研究大会発表予稿集』306–307. 草薙邦広・阿部大輔・福田純也・川口勇作 (2015). 「学習者のライティングプ ロセスを記録・可視化・分析する多機能型ソフトウェアの開発: WritingMaetriX」『外国語教育メディア学会中部支部研究紀要』26, 23–34. Yamanishi, H. (2009). Japanese EFL learners’ use of writing strategies: A questionnaire survey. The Bulletin of the Writing Research Group, JACET Kansai Chapter, 8, 53–64.

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