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大学図書館システムについて

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大学図書館システムについて

  1. 1. 大学図書館システムの状況 2014年3月17日 井村邦博 yuuho.hiro@gmail.com
  2. 2. はじめに 私は、2001年から大学図書館システムの初期開発から関わ り、これまで開発・導入・保守・営業のすべてを経験してきまし た。パッケージシステムとして取り組むために、開発手法、導 入ツール、保守ツール、営業ツールを積極的に採用し、各組 織間で連携が進められるように組織作り行ってきました。また、 他の大学図書館ベンダーとの交流、勉強会、セミナーに積極 的に参加してきました。 2014年2月末で現在の会社を退職するにあたり、この13年間 経験してきたことの個人的な感想です。個々の案件では違う こともあるとは思いますが、ご容赦ください。 これから我々は数名と起業するにあたり、何を考えて何を目 指しているか理解いただければ幸いです。
  3. 3. 大学図書館システムの状況 根本的なところでは20年前と変わっていない業務システム。 根本的な部分のデータベース設計は20年前と同じ(20年前しか知らないため、あるいはもっと古くからの 可能性もあり) 縦割りの業務(発注・受入・目録・支払・閲覧・ILL・所蔵管理・OPAC)システム これは、どこのベンダーもあまり変わらない 各社システム自体の開発は行われているが、今となっては時代遅 れなWebの技術や新しい技術(HTML5対応、API対応)に対応され ていない。 ハードウェアの進歩による大規模なシステムバージョンアップがあ るが、業務システムの中身(仕様)は従来通り。 もともと業務システムが中心で、利用者サービス(OPACやポータ ル)は後付けで開発されてきたこともあり、業務ありきでの利用者 サービスとなっている。本当に利用者のことを考えられていないと 思われる。 業界的には狭い世界で新規参入する会社や技術者がいないため、 各社競い合うのではなく既設ユーザを守る形に重点が置かれ、 まったく新しい物を生み出すことがない。
  4. 4. なぜシステムが変わらないのか? 既設ユーザを守るため、大幅な変更は受け入れられない。今まで通りを踏襲する。 各ベンダーは大学図書館業界の情報収集ができていない。セミナー、勉強会でベ ンダーに会うことはほとんどなかった。 NACSIS-CAT対応ということが前提のため国内に閉じており、世界標準や世界の 状況を知らなくてもよかった。 本来のプロとしての技術的なところも積極的に取り入れているとは思えない。過去 の資産を引きずって変えられない状況。あるいは勉強もしていない。 システム自体がパッケージであっても大学毎に大きな作業が発生して、儲ける仕 組みができあがっていない。パッケージと言ってもカスタマイズによる個別対応が 多く、製品を作ったからと言っても儲からない。 図書館システムが平均的な組織に合わせたものになっているため、ある程度は業務に フィットする。逆にフィットしない細部に各図書館毎にカスタマイズが発生。(もっと別なア プローチであれば、変わるかもしれない) 請負SE的な人が多く、提案するのではなくて言われたことを費用をもらって作業すること に慣れている。あるいはそれが正しいと思っている。 結果、技術力の低下と経験が長い技術者は細かい業務知識、製品知識があり、図 書館システムという視点が考えられなくなっている。その結果、何も変わらず新しい 取り組みがされない。
  5. 5. 大学図書館での図書館システム 保守的な組織が多いため、これまで通りのシステムが喜ばれることが多い。 人員削減、予算の削減、かつ新しい仕事が増えてきており現場の作業だけで疲弊している。 さらに図書館システムが大学図書館の変化(例えば電子化対応)に対応できておらず、作業 の効率化がされないままとなっている。 システム更新が4,5年に1回行われており、システム更新に疲れている。システムが落ち着 いた頃には、次のシステムの仕様を検討する必要がある。現場の作業をしながらでは作業 量に限度がある。新しい取り組みや組織全体の効率化するために内部調整できる期間がな い。 現場の人の異動が多く、常に全体、将来を見据えた形で組織が運営されているとは言えな い。 様々の統計データがあるにもかかわらず、図書館内部で閉じており解析が十分されていな い。また図書館システム自体が従来の統計出力にしか対応できておらず、有用な統計出力 に対応できていない。結果、図書館の取り組みについて、学内にアピールが十分できていな いと思われる。 今ある組織前提での業務システム仕様であるため、本来の業務の効率化を考えた仕様には なっていない。あるいは、考えられた大学図書館システムがないため検討すらされない。結果、 従来通りの業務、サービスとなり新たな予算獲得のためのアピールができない。 一方で、ディスカバリーの導入にもあるように、まったく新しいシステムで利用者サービスの向 上であれば予算がつくことがある。
  6. 6. 悪循環の流れ ①次期システム選定。各社のシステムは変わらないし、現行の運用に不満もなく仕様書も前と同じ。(組 織の全体的な指針や効率化が見直されない) ②各社デモを見ても、基本どこも同じ、少し使い勝手がよい程度。現行のベンダーであれば使い勝手も変 わらないのでそのままで良いか。金額的にも安くなるし。 ③システムを導入。でも、データ移行や細かいところでカスタマイズ。 図書館、ベンダーともにシステム導入は大変だね。 ④ベンダーは導入したけど儲からない。作業も大変だし、新しいことにも取り組めない。 営業からは、次のバージョンを作るように指示があるし、システムを少し変えないと。 そういえば他社が出来ているのがあったかな。 ⑤新しいバージョンができた。 営業:今までとあまり変わらないね。売りは何? 開発:この機能を売りにしよう。 営業:他社出来てるんじゃない? まあ、我々ができてなかったからよいか。 ⑥新しいバージョンとして販売。①に行く。
  7. 7. 今後の予想 今後も大学図書館システムに新規参入する企業はなく、これまで通りのベンダー が、バージョンアップを繰り返し、図書館とベンダーが疲弊するばかり。 大学での図書館の位置づけが見直されてきており、大学図書館の活動範囲が広 がっている状況がある。 将来、現状の大学図書館システムでは図書館全体の業務の「ある一部分」の業 務のみ担う形に進むのではないか?そうすると図書館システムという部分では、 ますます予算の縮小が懸念され、システムの悪循環が進む。 日本では電子コンテンツは進んでいないが、海外では電子コンテンツが進んでお り冊子と電子の両方に対応した図書館システムが開発されている。将来、日本で も海外製品の一部導入もやむを得ない状況がでてくるのではないか? 学生、研究者は、図書館システムで提供するサービスを利用せずに(リンクリゾル バ、ディスカバリーの利用など)、各個人が直接文献にアクセスすることが増えてき ている。利用者から見ると図書館システムで提供するサービス範囲がますます狭 くなってきている。利用者支援、研究支援という意味では、直接的に図書館システ ムが対応できることが少なくなっている。 結果、日本の大学図書館システムが衰退していくのではないか。
  8. 8. 我々の思い ここで改めて大学図書館の位置づけを見直し、学習支援・研 究支援、地域貢献というサービスを利用する立場から、シス テムを見直すべきではないか? 求められるサービスがあって初めて業務をどうやって効率化 して提供するかを考えて標準化したい。 そのためには、根本的な大学図書館システムの見直しが必 要と考える。 我々は「図書館システム」と呼ばず、「学術情報アクセスサー ビス」を目指し、これまでとは明らかに異なるシステムを提供 したい。結果、システム更新を機にサービス向上、組織改革、 本当の意味での効率化を提案をしたい。 日本の大学図書館に変化を起こして、学習支援・研究支援が でき、日本の研究促進に貢献したい。
  9. 9. 我々の思うシステム 学生・研究者が使えるシステムを提供する。例えば、図書館ホームページは図書 館システムに含めたトータルなサービスができるシステムを構築する。利用者の 動向、使われているデータベースの把握などが可能。 システム側で学生・研究者の動向が把握できるようにする必要あり、各サービス する機能をそれぞれで提供するのではなくて、APIなどを積極的に利用して提供す るサービスを統合し、ログ出力などができることを考える。 電子や各種メタデータにも対応できるシステム。融合した目録。フォーマットにこだ わらない目録。(NACSIS-CATの利用は可能) 電子リソース対応が可能なトータルでのシステムの提供。 業務については効率化して自動化できる部分を増やす。ワークフローを考え効率 良い標準化の流れを作る。(目録については出来ることが多い) 従来の統計ではなく、入館情報、貸出履歴データ、電子リソースの履歴、OPAC検 索履歴、図書館ホームページのページビューを分析してPDCAサイクルができる ための統計出力を可能とする。 自館のみではなく、協力図書館、コンソーシアムなどと共同を意識した選定・発注、 貸借、複写、除籍の対応。 クラウドで提供し、ハードウェア保守期限切れによるシステム更新を不要にする。 サーバの運用・保守を低減。 小規模であれば最短2ヶ月で導入できるようにスピーディーに導入を可能とする。
  10. 10. 最後に 残念ながら現時点では思いだけで、すべてを開発できる 資金がありません。 ただ諦めることはせずに、まずはできる部分を進めてい き、将来につなげたいと考えています。 我々の進めることが少しでも大学図書館に貢献できるこ とを願っています。

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