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土壌分析と施肥設計

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土壌分析の結果から施肥設計で改善する話

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土壌分析と施肥設計

  1. 1. 1 土壌分析と施肥設計
  2. 2. 2 土壌の前提 土が良ければ、自然と秀品率が高くなりつつ、農薬の 使用量が減る。 ※10分の1の使用量まで減った事例がある
  3. 3. 3 根量が増える≒根の先端の数が増える 窒素分の吸収は過剰成長に繋がり、 株全体が虫や病気に弱くなる。 根毛が増えることで窒素分の吸収に 対してミネラルの吸収が多くなると、 虫や病気に強い株となる 例: カリウムとマグネシウムで光合成の パフォーマンスが向上する 側根や根毛が多いとなぜ良いか?
  4. 4. 4 土壌の発達1 財団法人職業訓練教材研究会 植物学概論 97ページ
  5. 5. 5 土壌の発達2-1 土のはじめは川底の様な砂地(鉱物)から始まり、様々な 植物が根付くことによって土壌へと変化する。
  6. 6. 6 土壌の発達2-2 石灰石(方解石):苦土石灰の中に入っている炭酸石灰のこと (鞍馬川上流で撮影) パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=292635
  7. 7. 7 土壌の発達2-3 黒雲母:バーミキューライトの原料で、土壌中でマグネシウム    とカリウムの供給源となる By Didier Descouens - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7899984
  8. 8. 8 有名な肥料の原料として使用される鉱物 左:かんらん石(苦土肥料等) 右:ベントナイト 土壌の発達2-4
  9. 9. 〇(一次)鉱物の種類 風化しやすい鉱物と風化しにくい鉱物がある ミネラルの給源となる鉱物は風化しやすい 土壌の発達2-5 JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 32ページ
  10. 10. 10 土壌の発達3 植物の死骸が腐植に変わって、砂地(鉱物)と混ざることで、 より大きな植物が生育できる土壌へと変化する。
  11. 11. 11 土壌の発達4 砂(鉱物)と腐植がちょうどいいバランスで混ざると 栽培にとって良い土だと言われる。
  12. 12. 12 土壌の発達補足 栽培にとって良い土になると、土に空気が入りやすくなる 他に、微生物の活動により地温が上がり、酸素+地温で根 の成長が促進され、大きな株になれる可能性を秘める。
  13. 13. 13 基肥設計で成果の出る肥料の組み合わせ 粘土鉱物 + 腐植 + く溶性苦土(水マグ等) + α で基肥設計 根の張りを良くし、土自体の保肥力も増やし、肥料の効率を高める ミネラルを適切に吸収できる環境を用意し、秀品率を高めつつ、 農薬散布の回数を削減する
  14. 14. 14 腐植を土壌に定着させる
  15. 15. 良い土にするために 栽培にとって悪い土壌はひび割れしやすく、良い土壌は ひび割れしにくくなるのが目印
  16. 16. 良い土の代名詞:団粒構造 土作りの際の堆肥の活用には土壌中の粘土鉱物の量と 質が重要な要素となる。
  17. 17. 17 粘土鉱物と腐植の関係 + 粘土鉱物 + 腐植で土壌に腐植を蓄積すると考えられている ○粘土鉱物 + 腐植の効果 ・腐植が土壌の微生物によって分解されにくくなる ・保肥力が高まる
  18. 18. 18 粘土であればどれでも良いか? うちの畑は粘土質だから粘土鉱物は要らないは注意 機能性の低い粘土鉱物の可能性大 ※カオリナイトやイライト等の粘土が堆積している
  19. 19. 19 物理性の向上 粘土鉱物とは? モンモリロナイト、ゼオライトやバーミキュライトと記載 された2:1型の粘土鉱物が良い JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 32ページ
  20. 20. 20 物理性の向上 粘土鉱物とは? 1:1型粘土 カオリナイト 陶器の材料 肥料としては使えない 2:1型粘土 ベントナイト or ゼオライト (モンモリロナイト) 使い勝手の良い粘土の肥料 2:1型粘土 バーミキュライト 園芸用の倍土でよく 使われる 火山灰土壌だとアロフェンという粘土鉱物が多く、 非火山性土壌だと有効な粘土鉱物が少ない傾向がある
  21. 21. 鉱物が風化すると粘土になる 鉱物(一次鉱物)が風化や熱水作用によって、更に構成が変化した ものを粘土鉱物(二次鉱物)と呼ぶ 例:正長石→カオリナイト(1:1型粘土) 物理性の向上 粘土鉱物とは?
  22. 22. 物理性の向上 鉱物の風化後 ・植物性繊維の有機物 ・木質が分解された有機物 ・土壌微生物の死骸由来の  タンパク等(PEON) ・有機酸 上記の有機物が土壌の微生物に分解されながら、風化した 鉱物を取り込むことで団粒構造ができる。 ミミズがいると、植物性の有機物が土に馴染みやすくなる
  23. 23. 23 土作りにとって良質な粘土鉱物の分布 緑色のエリア アロフェン質の黒ボク土 赤色のエリア 非アロフェン質の黒ボク土 引用 非アロフェン質黒ボク土とフィールド科学に魅せられて 肥料科学,第29号,1~62(2007) 18ページ ※非アロフェンはベントナイト等  の2:1型粘土鉱物
  24. 24. 24 粘土鉱物の注意点
  25. 25. 腐植と結合していない粘土鉱物が強酸に触れ続けると 壊れて活性アルミナがでてくる ※活性アルミナ≒アルミニウム 例:一次鉱物→粘土鉱物→アルミニウム 活性アルミナの発生 アルミニウム カリウムやマンガン等の金属 イオンの養分も合わせて流亡
  26. 26. 26 生理的酸性肥料 硫安や熟成牛糞堆肥に含まれる硝酸アンモニウム等が土壌 を酸性にする JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 96ページ
  27. 27. 27 アルミニウム アルミニウムが可給態リン酸と強く繋がり、植物がリン酸を 吸収できなくなる アルミニウムの毒性 リン酸
  28. 28. 28 〇pHが下がり過ぎると 土壌の鉱物から有害なアルミニウムが溶出する アルミニウムが植物の根を内部から破壊して根の伸長を止める http://root.jsrr.jp/archive/pdf/Vol.12/Vol.12_No.4_149.pdf から引用 アルミニウムが溶出している土壌の目印はないの? アルミニウムの毒性
  29. 29. 29 〇アルミニウムが溶出している土壌の目印 スギナはアルミニウム耐性の植物で、スギナが繁茂している ところはアルミニウム障害の疑い有り アルミニウムの毒性
  30. 30. 30 アルミニウムの毒性を逆に活用する アルミニウム + アルミニウム + 腐植で腐植の効果を高める。 ※腐植に包まれることによって活性アルミナが無害化する ○アルミニウム + 腐植の効果 ・腐植が土壌の微生物によって分解されにくくなる ・保肥力が高まるかも?
  31. 31. 31 アルミニウムの土壌の注意 アルミニウム + 粘土鉱物から溶け出したケイ酸とアルミニウムが結合すると 土を締める要因のカオリナイトになる。 アルミニウム障害の土壌で粘土鉱物のみの施用は効果が小さい
  32. 32. 32 基肥設計で成果の出る肥料の組み合わせ 粘土鉱物 + 腐植 + く溶性苦土(水マグ等) + α で基肥設計 根の張りを良くし、土自体の保肥力も増やし、肥料の効率を高める ミネラルを適切に吸収できる環境を用意し、秀品率を高めつつ、 農薬散布の回数を削減する
  33. 33. 33 肥料について
  34. 34. 34 N:P:K 肥料袋(堆肥を除く)に記載 NPKは肥料の三大要素を指す 肥料の基礎 Nは窒素 Pはリン酸 Kはカリウム 各数字は要素が何%含まれているか を示す 例:Nが16だと20kgの袋に3.2kgの   窒素が含まれていることになる
  35. 35. 35 肥料の基礎 〇肥料の効き方 ・肥料は水に溶けることによって効く。溶けなければ効かない 水溶性:水によく溶けるので、肥効は即効性 不溶性:水に溶けるが、溶ける量は少量 ※難溶性と呼ばれることもある く溶性:根から放出される根酸で溶ける     すぐには効かず、植物が欲しいタイ     ミングで少しずつ吸収される
  36. 36. 36 肥料の基礎 〇く溶性肥料のイメージ く溶性とは2%クエン酸溶液に溶けて肥効を発揮する肥料を 指す。溶ける場合はクエン酸ではなく、根から放出される 他の有機酸でも良い。 水ではなく、有機酸による溶解の ため、根の成長に合わせ、緩やか に長く効く。 根から放出される有機酸には、 クエン酸、シュウ酸、ギ酸等がある
  37. 37. 37 肥料の種類 〇有機質の肥料 〇無機質の肥料 土壌微生物にどのように分解されていくか?が大事 分解されて無機質の成分になって水に溶けて効く ※写真は米ぬか どのように水に溶けるか?が大事 各無機化合物毎に水に溶けるための条件がある ※写真は水マグ
  38. 38. 肥料の種類 デンプン ブドウ糖 ピルビン酸 クエン酸 タンパク アミノ酸 アンモニア 硝酸 分解されて無機肥料として効く
  39. 39. 39 鶏糞堆肥 糞尿が発酵したものが主成分 餌の未消化分もある ・微生物の死骸(有機) ・硝酸態窒素(無機) ・炭酸カルシウム(無機) ・リン酸カルシウム(無機) ・有機態リン酸(有機と無機) etc 有機質の肥料として扱われているものでも、 無機の養分もたくさん含んでいる 肥料の種類
  40. 40. 40 堆肥等の土作り用の肥料 作物に養分を与えることよりも作物がストレスなく育つ為の 環境作りの為に利用する肥料がある 腐植質の肥料 植物の死骸由来の有機物で粘土と合わ さることで土となる ※微生物によって分解された木材等 鉱物質の肥料 今まで触れた肥料では与えにくい良質 な粘土や微量要素と呼ばれる成分を安 全な形で含む
  41. 41. 41 基肥設計で成果の出る肥料の組み合わせ 粘土鉱物 + 腐植 + く溶性苦土(水マグ等) + α で基肥設計 根の張りを良くし、土自体の保肥力も増やし、肥料の効率を高める ミネラルを適切に吸収できる環境を用意し、秀品率を高めつつ、 農薬散布の回数を削減する
  42. 42. 42
  43. 43. 43 pHは肥料の効きの指標 pH(1〜14) 適正よりも低い場合:酸性  苦土や加里の吸収が落ちる  →光合成の質が下がる  →虫害を受けやすくなる 適正よりも高い場合:アルカリ性  鉄や微量要素の吸収が落ちる  →病気にかかりやすくなる 栽培中、常に適正値をキープできれば、肥料散布の無駄は減り、 秀品率が上がりつつ、農薬の使用量を削減できる ※適正値は6.5
  44. 44. 44 財団法人職業訓練教材研究会 植物学概論 72ページ 全ての要素を加味すると鉄と マンガンの吸収が他の要素と 逆のパターンになるため、鉄 とマグネシウムの吸収のバラ ンスをとると良い pH6.5前後にすると良い pHは肥料の効きの指標
  45. 45. 45 pHはどうして下がる? 〇〇Aという数値の肥料で、数字が大きい肥料を使用すると 土のpHが下がりやすい。 数字が大きいほど効きが速い(強い)肥料 JA全農 肥料農薬部 施肥診断技術者ハンドブック 2003 96ページ
  46. 46. 46 栽培前の石灰でpH調整 苦土石灰 前作の栽培で使用した肥料で下がってしまったpHは 栽培開始時に石灰を使用することでpHを戻すことができる。 ※石灰の使い過ぎでpHを上げすぎないように注意
  47. 47. 47 土作りでpHを常に安定にする 炭酸石灰や炭酸苦土※1を栽培前に 仕込んでおくと、pHが下がりはじめた 時に元に戻してくれる。 ※pHが適正の場合はpHを高めすぎ  ない 腐植にもpHを安定させる効果がある pHの安定を緩衝性と呼ぶ ※土作りの化学性要素 ※1 く溶性石灰、く溶性苦土と呼ばれる肥料 を使用する
  48. 48. 48 〇pHが下がり過ぎると 土壌の鉱物から有害なアルミニウムが溶出する アルミニウムが植物の根を内部から破壊して根の伸長を止める http://root.jsrr.jp/archive/pdf/Vol.12/Vol.12_No.4_149.pdf から引用 アルミニウムが溶出している土壌の目印はないの? アルミニウムの毒性
  49. 49. 49 〇アルミニウムが溶出している土壌の目印 スギナはアルミニウム耐性の植物で、スギナが繁茂している ところはアルミニウム障害の疑い有り アルミニウムの毒性
  50. 50. 50 アルミニウムの毒性を逆に活用する アルミニウム + アルミニウム + 腐植で腐植の効果を高める。 ※腐植に包まれることによって活性アルミナが無害化する ○アルミニウム + 腐植の効果 ・腐植が土壌の微生物によって分解されにくくなる ・保肥力が高まるかも?
  51. 51. 51 ECは根からの吸水のしやすさの指標 EC(電気伝導率)は前作で使用した 水溶性肥料の残量 適正値よりも低い場合 即効性の養分が少ない 適正値よりも高い場合 即効性の養分が多い 適正値よりも低い場合は、基肥を見直すだけで良い。 適正値よりも高い場合は生育障害が多発するので注意。 ※適正値は0.2
  52. 52. 52 ECが高すぎた場合 土壌のEC値が高くなると、作物は根で 土の水分を吸収しにくくなる。 水が吸えなくなることで、養分も 吸えなくなる 与えた肥料が吸収されずに経費を かけた分の効果が得られない。 秀品率も下がり、農薬の散布回数も 増える。
  53. 53. 53 ECが高すぎた場合 〇浸透圧(補足)
  54. 54. 54 ECが高すぎた場合 根の中が土よりも濃度が 高ければ、土から水を吸水 できる 根から水が吸えなければ、 養分も吸えなくなるので、 土壌のイオン濃度(EC値) も吸水時に重要になる
  55. 55. 55 ECを上げにくくする堆肥 腐植を入れて、排水性を高めることでECを上げにくい土にする ※粘土鉱物と組み合わせることで腐植の定着を良くする
  56. 56. 家畜糞堆肥による土作りはNG 家畜糞堆肥に含まれる腐植量は少なく、ECを高める要素が多く含む ため、基肥で使用すると逆効果となる。 ECを高めると発根を抑制するという悪影響もある。
  57. 57. 57 CECは保肥力 CECは窒素、リン酸を除く肥料分を 土に保持する能力を示し、数値が高い 程、肥料散布の無駄を減らす。 適正値より高くて発生する問題はありません。 CECが高くなると、ECが高くなりにくくなる。
  58. 58. 58 CECを高める堆肥 粘土鉱物と腐植を投入することで腐植を高める。 EC同様、2:1型粘土鉱物、ベントナイト、ゼオライトか バーミキュライトと記載されているものを使用しましょう 保肥力や排水、保水性を高め施肥の無駄を減らす
  59. 59. 59
  60. 60. 60 カルシウム(石灰)施肥時の注意点 財団法人職業訓練教材研究会 植物学概論 72ページ カルシウム過剰は他のすべての 要素の吸収を阻害する
  61. 61. 61 カルシウムはいつ施用する? ・栽培を開始する前にpH調整の為の石灰 カルシウムの用途は多岐にわたるため ついつい過剰施用になってしまう ・追肥や葉面散布で水溶性のカルシウム等 ・酸素供給剤にも入っていたりする カルシウム(石灰)施肥時の注意点
  62. 62. 62 鶏糞堆肥 糞尿が発酵したものが主成分 餌の未消化分もある ・微生物の死骸(有機) ・硝酸態窒素(無機) ・炭酸カルシウム(無機) ・リン酸カルシウム(無機) ・有機態リン酸(有機と無機) etc 有機質肥料でカルシウムを大量に含んでいる ものがある カルシウム(石灰)施肥時の注意点
  63. 63. 63 pHは石灰でなくても調整することができる ・水マグ  く溶性の苦土(マグネシウム)  苦土石灰の中にある炭酸石灰と  同じ働きをしつつpH調整後に残  るのがカルシウムではなく、  マグネシウム ・重炭酸カリ  水溶性のカリウム  水に溶けた瞬間にpHを調整する カルシウム(石灰)施肥時の注意点
  64. 64. 64 基肥設計で成果の出る肥料の組み合わせ 粘土鉱物 + 腐植 + く溶性苦土 + α で基肥設計 根の張りを良くし、土自体の保肥力も増やし、肥料の効率を高める ミネラルを適切に吸収できる環境を用意し、秀品率を高めつつ、 農薬散布の回数を削減する

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