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ローカルネットワーク費用は誰が負担すべきか:韓国 vs. NETFLIXから学べること

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ローカルネットワーク費用は誰が負担すべきか:韓国 vs. NETFLIXから学べること

  1. 1. ローカルネットワーク費⽤は誰が負担すべきか 韓国 vs. NETFLIXから学べること 中央⼤学 実積寿也 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  2. 2. トラヒック増加の状況( VNI Complete Forecast Highlights [CISCO, 2018]) T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  3. 3. ネットビデオの影響( VNI Complete Forecast Highlights [CISCO, 2018]) 消費者向けインターネット・ビデオ・トラフィック ◦ 2017年から2022年にかけて4.3倍、年平均成⻑率34%で成⻑ ◦ 2022年までに⽉間240.2EBに達し、これは⽉間600億枚、1時間あたり8,200万枚のDVDに相当 ◦ 2017年時点では全消費者インターネットトラフィックの73%、2022年には82% ◦ 2022年までに毎⽉3兆分(500万年分)のビデオコンテンツがインターネット上を流通 ◦ テレビ向けは、2017年から2022年の間に2.9倍に増加 消費者向けIP VoDトラフィック ◦ 2017年から2022年にかけて1.8倍、年平均成⻑率12%で成⻑ ◦ 2022年までに⽉間39.9EBに達し、これは⽉間100億枚、1時間あたり1400万枚のDVDに相当 ◦ 2017年に総IPトラフィックの19%であり、2022年には総IPトラフィックの10% ◦ 2017年に消費者向けIPトラフィックの23%であり、2022年には12% T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  4. 4. ⽇本の状況 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典:我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算ー2022年5月のトラヒックの集計結果の公表ー
  5. 5. ネットビデオを巡るビジネスモデル T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典:”Report for Ofcom: Digital Comms Value Chains” (analysys mason, 2022) (https://www.ofcom.org.uk/__data/assets/pdf_file/0 020/244262/digital-communication-value- chain.pdf?fbclid=IwAR2RFelvEaQ7t4gClJOpFMWiEyslC VEYUCJavM1Q_K--e75Dvxnv-wBMJTg)
  6. 6. ⼆つの⾒解、四つの論点 ⽴場によって異なる⾒解 ◦ ISPの視点︓トラフィックの70%以上は少数のストリーミング⼤⼿が占有。必要であれば、当局はコンテン ツ・プロバイダーにサービス料⾦を⽀払わせるべき。 ◦ コンテンツ事業者の視点︓ストリーミングビデオによってブロードバンドははるかに価値の⾼いサービスと なっている、必要なら当局がISPに配信を無料で提供するよう強制すべき。 四つの論点 1. 今⽇のブロードバンド・トラフィックの⼤部分は、ストリーミングビデオで占有。 2. ストリーミングにより、家庭⽤ブロードバンドの価値は⼤幅に向上。 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典:https://strandconsult.dk/blog/broadband-fair-cost-recovery-how-bundling-with-flexible-inclusive-pricing-meets-consumer- demand-for-content-and-broadband/?fbclid=IwAR1x2UYGzl5akYxl5L5DzQ1JVqLlRe7WPHCvYPAbP4-5XUwO8kJftygs2Zk 3. コンテンツ事業者は、収益化のための ビジネスモデルを多数開発。 4. ISPは、ほとんどの場合、⻑年の価格 設定慣⾏と、さまざまな「ネットワー ク中⽴性」規則によって制約を受けて いる。 ◦ バンドリング禁⽌など
  7. 7. SPNP(Sending Party Network Pays)を追求する韓国 韓国電気通信事業法第39条(相互接続) ① 電気通信事業者は、他事業者が電気通信設備の相互接続を要請すれば、協定を締結して相互接続を許容することができる。 ② 科学技術情報通信部⻑官は第1項にともなう相互接続の範囲・条件などに関する基準を定め告⽰する。 <改正2013.3.23.、 2017.7.26.> ③ …基幹通信事業者は、第1項の要請を受ければ、協定を締結して相互接続を許容しなければならない。 電気通信設備の相互接続基準[施⾏2020.3.6] 第44条(接続料算定原則等) ③ 科学技術情報通信部⻑官はインターネット接続市場の独占価格形成を防⽌し、上位レイヤ階層事業者の市場⽀配⼒乱⽤ 防⽌のために接続通信料率上限、接続通信料精算除外区間設定など接続料算定⽅式を決めることができる。 第45条(接続回線費⽤等) ① インターネット接続回線費⽤は次の各号のように負担する。 ◦ 同⼀レイヤ間:接続事業者間でそれぞれ1/2ずつ負担 ◦ 異なるレイヤ間:低レイヤ事業者が負担。 第46条(接続通信料精算) ① インターネット接続通信料は、次の各号のように精算する。 ◦ 同⼀レイヤ間:相互精算 ◦ 他のレイヤ間:低レイヤ事業者が⾼レイヤ事業者に⽀払 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典︓Kim(2020)
  8. 8. SPNPといえば 2012年、欧州の通信ネットワーク事業者(ETNO)グルー プは、ITUに対して、各国政府にSPNPモデルの採⽤を勧告 するよう提案。 この提案に対し、欧州電⼦通信規制機関(BEREC)は、 「ETNOが提案するエンド・ツー・エンドのSPNP⽅式は、 インターネットのデータ伝送における分散型効率ルーティ ング⽅式と全く相反するものだ」として、相互接続コスト を規制しようとする考え全体を否定。また、BEREC は、 「“bill & keep” が SPNP に置き換えられると、アクセスを 提供する ISP は、トラフィック交換の物理的ボトルネック を利⽤し、独占的利益を得ることができ、規制介⼊が必要 となる」と指摘 結果として、ETNOの提案は頓挫 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  9. 9. ネット中⽴性ルールのないオーストラリアの例 ⼤⼿通信事業者のオプタスは2022年、同社のストリーミングコンテンツ配信プラット フォーム「SubHub」のオプションとしてネットフリックスを取り⼊れた。つまり、オプ タスのブロードバンド利⽤者は、SubHubの⽉額料⾦を⽀払い、そこからオプションとし てNetflix(標準サービスは6ドル)を追加可能 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  10. 10. ⽶国でも、欧州でも T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  11. 11. 個別合意をベースにした接続条件設定がベースのinternet 条件が合えば無料(Bill and Keep)、合わねばpaid T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典︓Nikkah, A., and Jordan, S. (2022)
  12. 12. ネット中⽴性の観点 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) ネット中⽴性 ◦ 独占的なネット事業者は⾃らのネットワークをどの程度まで コントロールしても社会的に許容できるか︖ ネット中⽴性のひとつの要素としてのzero-price rule ◦ 「eyeball-ISPは⾃⾝の直接の顧客以外に課⾦してはならな い」という取引慣⾏ ◦ ISPが課⾦できる直接の顧客以外に課⾦できるパワーの源 は、eye-ball ISPが利⽤者に維持している⾼いスイッチング コスト【Termination monopoly】 ◦ 課⾦と引き換えにより⾼品質なコンテンツデリバリーを提 供【paid prioritization】 ◦ 優先制御の禁⽌によりコンテンツ市場の「公平性」を実現で きるという期待 電気通信事業法による制約と、競争圧⼒の併⽤による対処 ◦ 事業法4条(秘密の保護)、同6条(利⽤の公平) 競争が不⼗分である場合に限り、追加的な⾏動制約が適当 ◦ 例︓⾮対称なゼロレーティングガイドライン
  13. 13. ユニバーサルサービス維持という論点 2022年6⽉13⽇、固定ブロードバンドをユニバーサルサービスの対象とする電気通信事業法の改正が成⽴。 ◦ ブロードバンド維持に必要な費⽤(年間約227億円)は、ユニバーサルサービス基⾦を通じて幅広い受益者か ら徴収し、指定事業者に提供されることが想定されている。 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 出典:総務省 「ブロードバンド基盤の在り⽅に関する研究会最終取りまとめ」(2021/12/22) ◦ 不採算地域におけるブロードバンドサービスの提供が確保されることの直接的 な受益者はブロードバンドサービスの利⽤者であると考えられるが、ブロード バンドサービスの提供事業者がサービスの価値に応じた料⾦を利⽤者から徴収 していることを踏まえると、新たな交付⾦制度の負担対象者は、ブロードバン ドサービスの提供事業者とすることが適当である。(p.15) ◦ 不採算地域も含めた⽇本全体におけるブロードバンドサービスの提供が確保さ れる結果として⾃らのサービスの利⽤可能者が増⼤するという意味では、OTT 事業者も受益者であるが、このような観点からの受益者負担の可能性について は、ネットワークのコスト負担の在り⽅全体を巡る議論の中で、中⻑期的な視 点から、海外の事例も参考にしつつ、総合的に検討していくことが適当である。 (脚注32)
  14. 14. SK Broadband vs. Netflix訴訟において問題となった事実 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) 参考︓KDDI総合研究所 趙章恩⽒の講演資料等をベースに要約 2018年 • SK社がトラヒック激増に伴うコスト増についてNetflix社と交 渉。Netflix社側はopen connectサーバーの無償提供を逆提案 2019年11⽉ • SK社が放送通信委員会に裁定を申請。⽇韓国際回線の増速費 ⽤の⼀部負担をNetflix社に要求 2020年4⽉提訴 • Netflix社ら(Netflix Services Korea Ltd.およびNetfix Inc.) が交渉義務・対価⽀払義務の不存在確認を求め提訴 2021年6⽉判決 1. ネット中⽴性はISPによるトラヒック公平取扱いに関する原則 であり、ネットワーク利⽤料に関するものではない 2. Netflix社らはSK社のネットワークを利⽤してビジネスを⾏う 以上、費⽤負担義務は存在 3. 具体的な負担額の⽔準については当事者交渉で決定すべき その後、Netflixは控訴し、現在、上級審で審理継続中
  15. 15. モデル分析の結果 短期分析の結果 ◦ ネットワーク品質やコンテンツバリエー ションが所与である場合 ◦ SKが⾃由に料⾦を決定をできる場合、有 料ピアリング導⼊は市場均衡に無関係。 ◦ 単にコストの付け替えが発⽣ ◦ SKが⼀定の料⾦規律や中⽴性制約の下に ある場合は、有料ピアリングで独占利潤 を拡⼤できる。 ◦ その際、競合ISPやNetflixなどのコンテン ツ事業者やその顧客にコストが⼀⽅的に 転嫁される。 ◦ ISP間の競争により有料ピアリングが⼀般 化され、最終的には全プレイヤーが損失 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) ⻑期分析の結果 ◦ ネットワーク品質やコンテンツバリエー ションが可変である場合は外部性がある ために⾮効率性への対処が必要 ◦ N社はSK社の投資から得るメリットの 対価を⽀払っていない。 ◦ SK社の投資規模は最適⽔準よりも過⼩な ⽔準に留まる。 ◦ 有料ピアリングは外部性の内部化による 資源配分効率性改善をもたらす可能性が ある。(ピグー税) ◦ N社のラインアップはSK社にもメリッ トを発⽣させるため、ピアリング料⾦ はSKにとって負になる可能性あり 今回の判決がもたらしたのは、短期的には、N社とSK社の間の レント分配シェア、⻑期的には外部性内部化の可能性 出典:Jitsuzumi(2022)
  16. 16. 反⾯教師としての韓国 韓国では、2016年に相互接続ルールが施⾏され、ISPはSPNP(送信側ネットワークが⽀ 払う)原則に従って相互決済することが義務に。2020年には、いわゆる「CPサービス安 定化義務法」によって、ISPがSPNP決済の負担をCAPに転嫁可能に。 ◦ 電気通信設備相互接続基準では、科学技術情報通信⼤⾂がアクセス料⾦の上限を設定 これらの取り組みにより、相互接続当事者の裁量が狭められ、効率的な資源配分を実現す ることが困難に ◦ Park and Nelson (2021)は、相互接続規制の結果、韓国内でコンテンツ事業を展開すること の収益性が悪化し、国内ユーザーの便益も低下したと主張。 ◦ Kende and Abecassis(2020)は、こうした相互接続規制によって、Netflixが運営コストを 最⼩化するために、韓国外のSK Broadbandと相互接続せざるを得なかった可能性を⽰唆。 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  17. 17. さて、「ローカルネットワーク費⽤は誰が負担すべきか」 効率性や公平性を考えれば、基本は受益者負担 ◦ フリーライダーは過剰使⽤を誘発 ◦ 受益者以外に負担を求めると政治的反発が惹起 有料ピアリングでOTT事業者にコスト転嫁を試みること は短期的には⾮効率 ◦ 社会全体にとって効率性損失 ◦ OTT事業者が価格上昇に踏み切ると、加⼊に悪影響 ユニバーサルサービス維持のためのネット増強を視野に ⼊れた⻑期的な議論については、OTT事業者へのアクセ ス料⾦⽀払いの可能性も認識しつつ交渉を⾏うしかない。 ◦ 適切なアクセス料⾦を政府が法定することは期待薄 T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10) ブロードバンドの価値を周知して、 必要な費⽤をきちんと加⼊者に課⾦ 必要なのはOTT事業者とネット利⽤者の双⽅を巻き込んだ合意と絶え間のない trial and error ネット事業者、ISPのみなさん、自分たち の提供しているサービスの価値について 利用者と情報共有できていますか?
  18. 18. ⽶国FCCの提案「ブロードバンドラベル」 2015年オープンインターネットルール(Title II Order)で要求されていた情報開⽰を満⾜ させる⼿段としてFCCが制定したもの (2016/4/4) 利⽤者によるサービス⽐較が可能になる情 報を簡易に表⽰するもの T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  19. 19. ⼀⽅、⽇本では どっちがお得︖ T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)
  20. 20. 参考⽂献 Jitsuzumi, Toshiya, Economic Impact of Asymmetric Paid Peering: Implications of the Netflix vs. SK Broadband Dispute (August 1, 2022). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4178217 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4178217 Kende, M. and Abecassis, D. (2020) “IP Interconnection on the Internet: a White Paper,” Analysys Mason, 2020, https://www.analysysmason.com/consulting-redirect/reports/ip-interconnection-korea-white-paper/ Nikkhah, Ali and Jordan, Scott, Are the Settlement-Free Peering Policy Requirements for ISPs and CDNs Based on Network Costs? (August 1, 2022). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4178682 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4178682 Park, K.S., and Nelson, M.R. (2021) “Koreaʼs Challenge to the Standard Internet Interconnection Model,” in E.A. Feigenbaum and M.R. Nelson (eds.) The Korean Way with Data: How the Worldʼs Most Wired Country is Forging a Third Way, Carnegie Endowment for International Peace. T. JITSUZUMI@Okinawa ICT Forum 2022 (Minami-daitojima, 2022/11/10)

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