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190127kozaki

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1月27日@新宮商工会議所にて行われたシンポジウム「熊野で若者をどう育てるか」
南紀医療福祉センター 精神科医 小崎有理さま

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  1. 1. シンポジウム 熊野で若者をどう育てていくのか 2019.1.27 小崎有理
  2. 2. 子育て中の「母」として 「医師」として感じたこと ・(発達障害なのは)私の育てかたのせいではないんですか? ・私が〇〇したからこの子は発達障害なんじゃないでしょうか? ・発達障害と診断されたらその時点でできることはないから診断してほしくない。 ・発達相談に行ったらあの子はそういう子(障害児)と周りに言われるから相談 できない。 ・療育手帳をもったら結婚できない、運転免許もてないと言われたからとりたくない。 ・支援学級に行ったら普通級に戻れないんじゃないですか? ・私は支援級がいいと思うんですが、支援級に行くのは(本人の)父や祖父母が反対 なんです。 ・自分たちの子供のころも、そんな感じの子は教室にいたから、この子は支援級に行く 必要は無いと思います。
  3. 3. ・この子は口で言っても聞かないんです。(だから叩くんです。) ・この子がこんな風(集団行動しにくい)なのはお母さんの育て方のせい ですよと言われました。 ・虐待する親は愛情が足りない。虐待をする親は我慢が足りない。 ・保育所に預けるのに罪悪感を感じるけど働かないとやっていけない。 ・部活が3つで全部運動部(だから学校に行きたくない)。 ・趣味の合う子がいない(から学校に行きたくない)。 子育て中の「母」として 「医師」として感じたこと
  4. 4. 精神科医として気づいたこと ・成人精神科受診をされる方の中に知的障害や発達障害と診断される人も いる ・それまでなんとなく家にいた人が、親が亡くなり50歳過ぎて初めて相談 受診に訪れ、知的障害や発達障害と診断されることもある ・発達障害のなかでも学習障害はとくに知られていない ・不登校になった瞬間に家族以外とのヒトの繋がりが切れやすい ・中学まではどこかの機関につながりやすいが、その先は自分から相談に いかないと、高齢者になるまで放置されてしまうことがある
  5. 5. ①熊野という土地 ②子育てに対する誤解 以下は時間があれば… *③障がいへの偏見 *④制度に対する誤解
  6. 6. ①熊野という土地 ・和歌山県西牟婁郡・東牟婁郡・三重県北牟婁郡・南牟 婁郡をあわせ3000平方キロメートル以上(佐賀県より広 い)人口は30万人未満 ・ここでは熊野を主に東牟婁南牟婁中心と考え話をして いきます。 ・東牟婁南牟婁と合わせると、約2200平方キロメートル (沖縄県と同じ位の面積)、人口約11万人 ・昭和の半ば(?)までは海運や林業、鉱業、製紙業で 栄えた土地であったが現在は土建業、介護福祉が中心。 ・過疎地域で少子高齢化が非常に進んでいる(新宮市年 少人口11.6%老年人口35.1%、熊野市年少人口9.9%老年 人口41.7% 2015年)
  7. 7. ・和歌山三重奈良、どの県庁所在地(車で2時間以上)や大都市も遠い(車 で3時間以上) →大学や専門学校など高等教育を受けるためのハードルがとても高い 少し上のおとなのモデルが見つけにくい 様々な職、文化、考え、情報(専門職、マニアな趣味、性的マイノリ ティ、発達障害という概念、支援制度など)に触れにくい ・東牟婁圏域では複式学級がある学校が半数→少数派は更に少数派に ・子ども若者に関わる医療機関、福祉サービスは非常に少ない。 児童精神科医常勤の施設 無し 定期的なリハビリ 1箇所(言語のみ) 通園施設 東牟婁2箇所・南牟婁1箇所 若者サポートステーション 東牟婁1箇所(特定日のみ) ・ネットを使ったサービスやIT機器への理解が進んでいない
  8. 8. 正しく診断、支援、理解されず、埋もれてしんどい思い、悲しい思いをし ている子どもや若者、元若者だった人が多くいる可能性があります。
  9. 9. 児童精神科医療のできること ・早期診断・早期発達支援 ・子育て支援としての発達支援→愛着障害の予防と治療的介入 ・薬物治療 (・入院治療) ・地域子育て支援機関との積極的連携
  10. 10. →1)「納得と安心」を得るため 2)福祉的なサービスや教育、職場で合理的配慮を得るため 診断を付ける意味は?
  11. 11. 有効とされている治療 安定した日々の生活 児童発達支援(通園) 本人や周囲の障害特性への理解(合理的配慮、当事者研究、どんまいクラブ、 ペアレントプログラムなど) 環境整備 応用行動分析 ペアレントトレーニング 感覚統合療法 薬物治療
  12. 12. 薬物治療 例)眼鏡 <できること> <できないこと> ①落ち着かせること ①好ましい行動を理解させ増やす ②集中時間を延長させる ②対人関係や学習のスキルを学び ③衝動性を減らす 実践する ④攻撃的な態度を緩和する③弱点を理解し悪化した感情を ⑤抑うつ不安感の軽減 改善する ④成功体験を増やし自信とやる気 を持たせる 医師ができることより、保育教育福祉生活の中でできる 大事なことのほうが断然多い!!!
  13. 13. ②子育てへの誤解 完璧な子供を生むことはできない 現在の医学ではなんの環境因(感染症、薬剤や放射線など)がなく ても3%の子供になんらかの奇形が存在すると言われている。 (「妊娠と授乳」より) 誰もが何らかの弱さを持って生まれてくる可能性を持っています。
  14. 14. そもそも「育てにくい子」はいる そもそも子供には①育てやすい子(40%)②育てにくい子(10%)③ エンジンがかかりにくい子(15%)がいる。(ニューヨーク市縦断研 究より) 育てる側ではなく、本人のもともと持っているものとして「育てにくい子」 という子どもたちがおり、子どもを選択できる親はいません。 仮にさほど苦労なく子育てできた人がいたとしてもたまたま「育てやすい 子」であったのかもしれません。
  15. 15. 母性本能というものは無い 問題です。 ①生まれたばかりの子供がいます。首は座っていません。どうやって抱くのでし ょうか? ②生まれたばかりの子供がいます。へその緒はどうするのでしょうか? ③生まれたばかりの子供がいます。泣いています。乳も飲みおむつも変えました。 それでも泣きます。なぜないているのでしょうか? 人は本能の代わりに知識をもとに子育てするように作られています。
  16. 16. 三歳児神話 「三歳までは母の手で」と日本ではよく言われるが、、、 ボウルビィ「乳幼児と母親との人間関係が密接かつ継続的で、しかも両者が共に 満足と幸福感に満たされる状態であることが、乳幼児の性格発達や精神発達の基 礎である」 「保育の経験(保育園に入れること)そのものが、その後の問題行動に直接影響 を及ぼすことはない」「保育の質の高さのポジティブな影響に関してはさまざま な知見」が得られている(網野武博「厚生労働科学研究」より) 必ずしも母が子どもと24時間一緒にいる必要はありません 母が自分の役割や生活に満足していることが大事です
  17. 17. 子育ては一人でしてきたものではない ヒト科(チンパンジー、ゴリラを含む)のなかで人間だけが年子の子供を生む(猿 などのように母にしがみつくことすらできないのに)→多くの人の手を借り て育てることが前提の生物 乳母という存在「ねえや」という人たち 子ども集団 子どもだけの祭り 子ども参加の祭り 若者組、若連中、若衆組 明治以前も思春期以降は特に仲間集団や少し年上の人た ちとの関係は大事にされていた
  18. 18. ①罰には慣れてしまう→効果が一時的 ②「見つからないようにやる」ことだけを学ぶ ③罰を与える人との関係が悪くなる ④無気力で臆病になる ⑤他者をコントロールするときに「罰を使えばいい」というモデルを学習してし まう 「体罰」という躾はなにが良くないのか
  19. 19. 虐待を防ぐために 幼少期の虐待が実際の脳の成長に大きなダメージを与えることが脳科学の研究 により分かってきています。 例え大声で罵倒されるだけでも聴覚、言語機能を司る機関の発達が障害される 児童虐待の要因となる家族背景の57.9%は経済的問題(「児童虐待」の家族背 景を調べた調査[池田1987]) 家庭及び養育者へのサポートとケアが重要です。
  20. 20. 地域のつながりが濃く、生活を気にかけてくれる人が多い(以前は「あの子 は〇〇は苦手やけど〇〇は得意やねん」と受け入れられていた可能性も) 県をまたいで、熊野圏内での人の移動(就職、結婚、買い物、通院、通学) は多い 例)熊野川小(新宮市)←新宮市、熊野市、十津川村の子が通う 少人数の園や学校、小規模店が多いからこそ、保育や学校、職場で職員子ど も雇用主、同僚みんなが、その子、その人の得意不得意をわかって、お互い 工夫できる可能性がある 子育て、就労においても和歌山、三重、奈良と県を超えて情報共有し協力し ていけたら 熊野でできること
  21. 21. 熊野でできること 「発達障害でない子どもに発達障害の支援をしても 有害ではないし有益です」 「子育ては母親だけでなく地域でするものです」 「いろいろな価値観を認めていくことが多数派の人にとっても 生きやすい社会をつくります」
  22. 22. 参考文献 「子どものための精神医学」滝川一廣 「やさしく学べる乳幼児の発達心理学」田中亜裕子 「子どもの精神医学ハンドブック」清水將之
  23. 23. ③障がいへの偏見 発達障害の原因 「発達障害は脳の機能障害です。」 現在「子育てによるもの」ということは完全に否定されています。 環境因は様々に言われていますが現時点で確定しているものはありません。 発症のきっかけになる遺伝子は多くのヒトがもっている、多因子疾患です。
  24. 24. ③障がいへの偏見 発達障害の人たちも発達します。 周囲の理解と自己理解によって高等教育を受ける人、一般就労し ている人、結婚している人もいます。 ただし苦手なところは伸びにくいし、使わなければ能力は低下し ていくこともあります。
  25. 25. ③障がいへの偏見 発達障害を持つ人は犯罪被害者になりやすい 話の裏を読むのが苦手なため、いじめられても気づかない。 カツアゲされても気づかない。詐欺にあっても気づかない。 いじめられているかもと思っても、「私たちは友達だよね」といわれると 「そうかな」と思ってしまう。 困っている人は助けなければならないと思ってしまう。 <対策> 社会のルールとしてこういうことは犯罪であると事前に教えておく。 日々の行動を相談できる信頼できる人を作っておく
  26. 26. 発達障害は二次障害を起こしやすい
  27. 27. ④制度に対する誤解 療育手帳を持っていても就職も運転免許も取ることはできます。 結婚は双方の合意のもとにするもので手帳の有無と関係はありま せん。 手帳はその人の生活を守るためのあるものです。
  28. 28. ④制度に対する誤解 普通学級、支援学級、支援学校は本人並びに親の希望により移行 可能なものになりました。 日本では小学校中学校は普通級や支援級で高等部から支援学校と ういうことも多く、高等部が溢れていることも多いです。海外や 日本でも小学校を支援級などで学び自分なりの学び方を身に着け た後に普通級で学ぶということも行われています。 本人にとって最も適した学び方ができる場所を考えていくことが 大事

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