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業務システムとfreeeをAPI連携する際の課題と工夫

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業務システムとfreeeをAPI連携する際の課題と工夫

  1. 1. 業務システムとfreeeを API連携する際の課題と工夫 BizTechFrontier2020
  2. 2. 自己紹介  田向祐介(@fw_tx76129)  ヴェルク株式会社 代表 / エンジニア  フューチャーアーキテクト →10人規模のベンチャー →起業  現在でもバリバリコードを書いている
  3. 3. ヴェルクで取り込んでいること  受託開発でスタートした会社で、現在10名  受託と自社サービスとの両立を目指している  自社サービス(board)はサービス開始から6年目で、今期の売 上が全体の約7割になる見込み  資金調達はせず、成長を急がず、じっくり完成度の高いサービ スを作っていく  会社の規模は大きくせず「10人の会社で有料1万社が使うサービ ス」を目指す
  4. 4. boardでは2014年12月から freee APIを使って連携 業務領域・目的・設計思想が 異なるシステム同士をAPIで 連携する際の課題などの話
  5. 5. このスライドについて 後ほど、Slideshareで公開します 後で読んだ時に内容がわかるように、話す 内容はなるべく記載しています
  6. 6. boardとは
  7. 7. 見積書・発注書・納品書・請求書作成 + 中小企業の業務・経営の効率化 https://the-board.jp
  8. 8. 一般的な請求書作成サービスとの違い  書類作成のために作られたシステムではなく、業務・経営 を効率化・自動化するために設計されたシステム  大手企業の業務システムを構築してきた経験を活かして、 スモールビジネス向けに、経営者自身が設計・開発  営業戦略や経営判断で重要な、未来の見込みを把握するた めの仕組み 書類作成サービスではなく業務・経営管理システム
  9. 9. boardの運営で特徴的なこと  開発ロードマップの公開(2015年1月〜)  即レスサポート  回答時間の中央値10分以下  回答時間の中央値公開(2015年3月〜)  個別相談会  これまで400回以上実施し、全て代表が出席している  boardの使い方はもちろん、経営的・業務的な相談にも 対応
  10. 10. 現在のboardの状況(2020/1/28現在)  有料アカウント:2517社  毎月の新規有料アカウント:70〜90社前後  有料解約率:0.5%〜1%前後  ユーザ層  数人〜数十人規模の会社が一番多い  元々はIT関連の会社が一番多いが、最近はあまり偏りはない (受託型のビジネスモデルならどこでも)  社内体制  開発2人(自分+もう1名)  CS2人(最近3人目が入社)
  11. 11. 10人の会社で有料1万社を目指すため 可能な限り人手がかからない運用 を目指している
  12. 12. 業務システムから会計システムへの連携
  13. 13. 新人の頃に すべての取引は最終的に仕訳に落ちる と教わった
  14. 14. 業務システムから会計へ  業務上発生した取引は、最終的に何かしらの形で会計シス テムに登録される  システムで自動的に連携しているものもあれば、経理担当 者が入力しているものもある  そのため、業務システムを開発・運営する立場として、会 計連携は非常に重要な位置づけと考えている
  15. 15. 業務システム→会計連携の課題  APIで繋げばOKというほど単純ではない  業務システムと会計システムは、それぞれ別の用途で作ら れているので、持っているデータが異なる  例:勘定科目・税区分の有無  想定しているユーザが異なる  業務システム:営業・案件担当者など  会計システム:経理
  16. 16. これらの相違を考慮して 連携設計していく必要がある
  17. 17. システム間のデータ・目的の相違例①  「SFA→board」連携はニーズもあり、業務の流れもイメージしやすい  ただし、boardは請求・入金管理までの業務をカバーするため、そのた めに必要な情報は、通常SFAでは持っていない(例:支払条件)  同じ「顧客データ」でも目的が違うシステムだと必須項目が異なる SFA CRM 会計
  18. 18. システム間のデータ・目的の相違例②  boardは、勘定科目や税区分などを日常的に扱っていない人 がメインで使うシステム  会計連携のために、勘定科目や税区分などの会計用の情報を 入力させることは、メインユーザの体験として快適ではない SFA CRM 会計
  19. 19. この相違に対する対応方法①  業務システム側に会計のための情報を入力する  例:勘定科目や税区分を入力できるようにする  メリット  会計視点で必要な情報を入力させることができるので、 会計側での業務がスムーズになる  デメリット  一般ユーザにとっては馴染みのない情報を入力する必 要があったり、入力する必要がなくても、画面上に存 在することになり、使い勝手は悪くなる
  20. 20. この相違に対する対応方法②  業務システムにあるデータをもとに、何かしらの方法でデータ を変換して、会計システムへ取り込む  メリット  業務システムのユーザにとっては、不要な項目がなくなり、 従来通り、業務自体の最適化されたシステムを使うことがで きる  デメリット  必ずしもすべてが必要な形で会計システムに取り込めるわけ ではなく、会計側に取り込んだ後に、適宜修正が必要な場合 がある
  21. 21. boardでは対応方法②を採用
  22. 22. board→freeeのAPI連携の概要
  23. 23. board→freee連携の概要  boardには請求や支払のデータが登録されているので、 freeeの取引に売掛金・買掛金に該当するデータを連携  boardは2014年8月に正式リリースしたサービスで、freee連 携は、2014年12月に対応。  当時のboardは、まだ機能的に足りていないものも多 かったが、その状況において、freee連携を優先したほ ど、重要な位置づけと考えていた
  24. 24. 他の会計システムとfreee連携の違い  boardでは、freee以外にも、弥生会計・弥生会計オンライ ン・勘定奉行・MFクラウド会計向けにCSV出力が可能  freeeのみがオープンなAPIなので、APIで自動連携を実現で きている  CSV連携に比べて、取り込みの手間も少なく、人手が介在 しない分、ミスも起こりにくい  API連携によって、業務システム→会計システム間のデー タ連携における、あるべき姿に近づくことができる
  25. 25. 業務システムと会計システムを繋ぐ設計
  26. 26. boardの会計連携の方針  boardは、勘定科目や税区分などを日常的に扱っていない 人がメインで使うシステム  会計連携のために、勘定科目や税区分などの会計用の情報 を一般ユーザに入力させることは、メインユーザの体験と しては快適ではなく、居心地が悪くなる  一般ユーザには、なるべく会計連携は意識させず、通常業 務を今まで通りできるのがベスト
  27. 27. やりたくないこと たとえば税区分の場合・・・ 請求書を作成する際に、税区分を選択させるようなことをし たくない
  28. 28. boardの請求書作成時の税率選択  経理以外のユーザにもわかりやすいように、8%・10%など の選択のみ  会計連携にあたっては、このギャップを埋める必要がある
  29. 29. ここまで書いてふと気になって freeeの請求書機能を見てみたら・・・
  30. 30. デフォルトでは非表示なものの 勘定科目や税区分がありますね・・・
  31. 31. freeeは会計システムなので そもそも勘定科目・税区分を 日常的に使っているユーザ向け boardはそうでないユーザ向け
  32. 32. そういう違いと考えている
  33. 33. boardの会計連携機能の概要  会計連携のために、一般ユーザが使う画面やデータはいじ らない  日々の業務データをもとに、変換ルールを定義し、必要な 形に変換して連携するという設計思想
  34. 34. 会計データ設定例  boardで登録されているデータを元に条件設定をすること ができ、その条件に合致した場合に使用する勘定科目や税 区分などを指定することができる
  35. 35. 既存の業務データから会計データに 変換するためのルールを定義し その結果をfreeeへ連携
  36. 36. これにより、一般ユーザは 会計的な情報を触る必要はなく その上で、ある程度必要な形で 連携することができる
  37. 37. この設計思想の背景  以前、会計連携のプロジェクトに携わっていて、データ連 携部分を担当していた 連結会計 システム 子会社A子会社 子会社A子会社 子会社A子会社 40社を超える子会社 データ連携 システム 各子会社のシステムはいじれないので、 システムのデータを調査し、業務的・シ ステム的な仕様に合わせてデータを変換 して連携する部分を担当
  38. 38. 疎結合なシステム同士を 業務的に意味のある連携にするための 仕事をやっていた
  39. 39. それをSaaSの形で 簡易的な仕組みとして実装したのが boardの会計連携機能
  40. 40. もちろん、この方式で すべてのデータを必要な形で 連携できるわけではない
  41. 41. この設計思想の課題  対応できないケースは当然あるので、連携後にfreee側で修 正が必要  設定が複雑になりすぎないように、割切っている部分(捨 てている部分)もある  現状、多くのケースにおいて、ある程度妥当な形で連携で きるようになっているが、当然フィットしないケースもあ り、そういった人にとっては、不十分な連携になる
  42. 42. この設計思想がフィットするケース  サービス本来のターゲットユーザに関係がない情報を極力 抑え、メインユーザのユーザビリティを優先したい場合  既存の社内システムなどから連携するにあたって、既存シ ステムの改修が難しい場合  freeeへ連携した後の修正量が許容範囲な場合
  43. 43. まとめ
  44. 44. freee連携において苦労した点  自分自身、税理士ではないし、日常的にfreeeで会計業務を 行っているわけではないため、「業務的に適切な連携がで きているか」という点がとても難しかった。  対策として行ったこと  自社の税理士さんに確認しつつ、自社の会計情報を 使ってシミュレーションしてみたり。  freeeを普段使っている税理士さんにアドバイザーをお 願いして意見を頂いたり。
  45. 45. 会計連携の効果  ユーザさんに提供できる価値としては、会計ヘの入力の手 間は確実に軽減できる  それを、board自体の使い勝手・操作性に影響しない形 で実現できた  サービス(board)としては、freee連携自体が強みになっ ていて、その点を評価して頂くことも多い  5つの会計システムと連携しているが、会計連携機能を 使っているうちの約半数がfreee
  46. 46. まとめ  異なるシステムを繋ぐということは、当然ギャップがある  「APIで繋いだものの、あまり効果的な連携になっていな い」「副作用としてメインのユーザビリティが落ちた」と ならないように、何を軸にして何を優先するのかを決めて、 連携設計するのが良い。  boardでは、board本来のメインユーザや業務を最優先にし て、そこにマイナスの影響がないように、今回のような設 計にした
  47. 47. ご清聴ありがとうございました

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