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2018.5.3 〈ルール〉はどこで・どう作られていく(べき)?

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大学1・2年生向けの憲法・法学入門です。

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2018.5.3 〈ルール〉はどこで・どう作られていく(べき)?

  1. 1. 〈ルール〉は どこで・どう 作られていく(べき)? ―― 法文化の国際比較を踏まえたうえで 憲法的な思考法を身につけよう 2018年5月 吉良 貴之 (法哲学) jj57010@gmail.com SNS: tkira26 1
  2. 2. 今日やりたいこと • みなさんにとっての「法」のイメージを聞いてみる • 科学技術倫理が関わる問題から、英米・独仏・日本の それぞれの「法文化」を比較してみる • 憲法をルール作りのためのデザインとして捉え、 イノヴェーション促進にはどういうあり方がよいか考える • 日本国憲法をはじめとする日本の「法」の根本に、 どんな価値観があるのかを考えてみる 2
  3. 3. ここで質問 • 法律といってもたくさんのものがありますが、 みなさんが最も重要だと思うものはどれでしょうか? • いわゆる「六法」は以下のものです。 1. 憲法 Constitutional Law(Japanese Constitution of Law) 2. 民法 Civil Law 3. 刑法 Criminal Law 4. 商法 Commercial Law 5. 民事訴訟法 Civil Procedure 6. 刑事訴訟法 Criminal Procedure あと、行政法 Administrative Law とか。 3 Civil って何? 商法なんて、 ほぼ毎年変わる……
  4. 4. もちろんどれも重要ですが、 • 一般の人は「憲法」が大多数だと思います。 • 法律家、法学者は「民法」「民事訴訟法」が多そう。 • 大事なのは: • 刑事法モデルで考えすぎないこと。 • 法的な考え方は、法分野ごとにかなり異なる。 • 書かれていない法(慣習法、自然法……)も大切。 • さらに大事なのは: • 時代や文化によって法的な考え方はまったく異なる。 • 各国法文化の比較をふまえたグローバルな法思考へ。 4
  5. 5. 具体例で考えてみよう ――フォード・ピント事件 • 「ピント(pinto)」はアメリカ 自動車メーカー・フォードが 1970年に発売したコンパクト カー。 • 日本車との激しい競争が繰り 広げられていた時代だった。 5 [ついでに] • John Rawls, A Theory of Justice が出たのは1971年。 • この時代の「アメリカ」の 雰囲気ってどうだっただろう?
  6. 6. ピントの構造上の欠陥 6 • 開発者はこの欠陥に途中で気づいていたが…… • ↓↓こんな計算をして発売し続けた。 Cost 1:販売台数1250万台×単位費用11$=約178億円 Cost 2:死傷者の出る火災180件×(死亡による損失20万$/件+負傷による 損失67000$/件)+車両炎上2100台×車両損失700$=約64億円 *1 http://www.shippai.org/fkd/cf/CA0000636.html *2 http://www.pejp.net/pe/ichiji/ichiji_tekisei_episode2.htm *1 *2
  7. 7. そして訴訟へ:製造物責任 • 検索しにくい題名の映画にもなっています。 7
  8. 8. 懲罰的損害賠償へ • 案の定、懸念された事故が起こり、フォード社の製造物 責任(Product Liability: PL)が問われた。 • 最終的な判決は Grimshaw v. Ford Motor, Co., 119 Cal. App. 3d 757, 1981. • フォード社の「コストベネフィット分析」が暴露され、 陪審によって約200億円の賠償が命じられる(裁判官に よって約7億円まで減額されたが)。 • アメリカ法に特徴的な懲罰的損害賠償(punitive damage) 8……それは正義の実現? それとも素人の感情的判断?
  9. 9. 「訴訟社会」アメリカ? • アメリカ「訴訟社会」の背景 • 例1)マクドナルド・コーヒー事件(1992年) • 例2)”Ambulance Chaser” という弁護士イメージ • 懲罰的損害賠償の可能性 • 弁護士の腕前の格差 • 日本で訴訟件数が少ないのはなぜ? • 裁判員もやりたがる人が少ない…… • 権利意識の遅れ?(丸山、川島) • 予測可能性の高さ?(ラムザイヤー) • ……それとも他に? 9 • ギャンブル性の強さ • 裁判を通じたルール形成 自分たちの事件は 自分たちで解決する、 という「民主主義観」も 画像:http://frjohnicchurch.blogspot.com/2016/03/ambulance-chasers.html
  10. 10. 懲罰的損害賠償、 日本でも取り入れるべき? • 日本の損害賠償は、損害額に応じた賠償が基本。 • ただし、懲罰的損害賠償を禁止する条文があるわけでも ないので、ある程度は裁判官の裁量に任されている。 • しかし最高裁は「日本の公の秩序に反する」として 認めていない(最高裁判決・平成9年7月11日)。 • 日本でも取り入れるべきだろうか……? • 裁判所が政策形成にどれだけ積極的になるべきか? という問題でもある(司法積極主義/消極主義) • 裁判官ってそこまで信頼できる? まして裁判員は? 10
  11. 11. 各国の法文化: 事前規制と事後規制 • アメリカ法は事後規制的な発想が強い • 裁判を通じたルール形成 • まずやってみて、訴えられたら考えるという姿勢 • 例)グーグルのストリートビュー • イノヴェーション促進? • ヨーロッパ法(大陸法)は事前規制的発想が強い • 制定法主義の伝統 • 例)自動運転車をめぐる規制の整備 • 日本法はその中間……? • 「行政」が強いのか弱いのか… 「忖度」…… • 官民協働の「ソフトロー」的発想になじみやすい 11 ルール形成の主体は 立法? 司法? 行政? ……それとも?
  12. 12. これからの立憲主義 • この国際比較は、ルール形成にあたって、 どの国家権力にどれだけの権限を分配するか? という問題と隣り合わせ。 • 立憲主義(constitutionalism) • 国家権力を憲法によって制限する面が 最近は強調されがちだけれども…… • 国家権力を適切に構成(constitute)する面も重要。 • 人権保障、経済発展、科学技術発展…… などにとって最適な権限配分のデザインを 「主権者」として考える立憲主義へ。 12
  13. 13. まとめ: • 憲法に定められている「権力分立」は、 ルール作りの役割を立法(国会)、行政、司法(裁判所)、 場合によっては民間の、どこに割り振るかという問題。 • 日本の場合、どこがはっきりと「強い」というよりは、 問題の性質に応じてどこが主導権を握るべきかが 柔軟に決めていくことができる規定になっている → 事前規制、事後規制、(官民)共同規制…… → 問題の種類に応じて、適切なルール作りのあり方を 考えていってみよう。 13あなたのそのアイデア、実現するためにはどんなルールが必要?

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