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2015.10.10 科学社会学会

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2015.10.10 科学社会学会

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2015.10.10 科学社会学会

  1. 1. 2015.10.10 科学社会学会@東京大学 書評セッション シーラ・ジャサノフ『法廷に立つ科学』 佐野・寺田コメントへのリプライ 吉良 貴之 @法哲学 jj57010@gmail.com @tkira26 1
  2. 2. 本リプライの概要 • 〈法と科学〉はなぜ必要か? ――専門知の社会的背景 ――多元社会における最後の参照軸 • 規範的な民主政理論との接合可能性 • 科学主義のユートピア or ディストピア 2
  3. 3. 今後のイベント • 10月17日(土)日本法社会学会関西支部研究会@大阪大学 発表: 渡辺千原(立命館大学)、吉良貴之 コメント: 平野哲郎(立命館大学) • 11月21日(日)科学技術社会論学会@東北大学 ワークショップ1:「〈法と科学〉の法理論」 ワークショップ2:「〈法と科学〉の社会理論」 • 11月28日(土)生命倫理学会@千葉大学 ワークショップ:「大規模災害における研究倫理」 • 12月05日(土)関西工学倫理研究会@関西大学 発表: 吉良「技術者のための法的思考」 詳細は吉良のサイト(http://jj57010.web.fc2.com)ご参照、 またはメール(jj57010@gmail.com)でお問い合わせください。 3
  4. 4. 政治学的背景 (1) 実証的でなければ… • 1990年代のアメリカ政治学 – 1950年代の行動論革命以降、着々と進む実証化 – エポックとしての KKV G. King, R. Keohane, & S. Verba, Designing Social Inquiry: Scientific Inference in Qualitative Research, Princeton U.P., 1994 – 政治科学(political science)全盛の時代 • 日本でも…… – 『レヴァイアサン』創刊(1987年) – 『現代政治学叢書』出版開始(1988年) 4
  5. 5. 政治学的背景 (2) 規範理論の復活 • ロールズ『正義論』(1971年)以降の規範哲学の復権 • 1990年代以降の「新しい」民主主義理論の登場 – 熟議民主主義(deliberative democracy) – 闘技民主主義(agonistic democracy) – 多文化主義(multiculturalism) • 利益集団多元主義(interest-group pluralism)の機能不全 – 共通善創出をどう達成するか? – マイノリティ集団の承認要求にどう応答するか? • 利益分配(bargaining)and/or 価値承認(recognition) • 「情念=議会 / 理性=司法」図式はどこまで? 5
  6. 6. 穏当な多元主義の事実のもとで* • 両者の政治学潮流は相反するように思われるが…… → 社会の多元化、複雑化への応答 (1) 政治科学の隆盛: イデオロギー対立終焉後に信頼できる 参照軸としての「科学知」の地位上昇 (2) 規範的民主主義理論の隆盛: 実証的に把握されにくい声(=情念、感情)に 正面から向き合うこと → 両者は多元的社会において相補的なもの 6*John Rawls, Political Liberalism, 1993
  7. 7. 法と科学への(最後の)期待 • 遵法主義(legalism)と 科学主義(scientism)の同時進行* (1) 社会的背景: • 冷戦後の価値対立の複雑化、予見可能性の縮減 (2) 制度的背景: • アメリカ:日本以上に (?)「決められない政治」 – 連邦と州の二重構造、複雑化した行政機構 – 少数の反対で容易にデッドロック ex.) オバマケア – 多極共存型/ウェストミンスター型の分類は妥当か?** → 価値中立的(に見える)法と科学知の権威上昇 -- それは他に武器がなくなった時代……? → sweeping な権力としての司法への期待 7 * Chantal Mouffe, The Return of the Political, 1993 ** Arend Lijphart, Patterns of Democracy, 2012
  8. 8. 司法の質と訴訟社会論 • 「アメリカ人は訴訟好き、日本人は訴訟嫌い」? • 予見可能性 の問題として:  アメリカ:法律家の質がバラバラで、ギャンブル 性が 高い(ので、やってみないとわからない)  日本:法律家の水準が高く、均質で、予見可能性が高い (ので、わざわざ裁判をする意味がない)* → 古典的な権利意識論** では捉えきれない面 → 「民主主義の学校」(トクヴィル)としての意識 – 日本人が裁判員をやりたがらないのはなぜ? 8 * J. M. ラムザイヤー『法と経済学――日本法の経済分析』(弘文堂、1990年) ** 川島武宜『日本人の法意識』(岩波新書、1978年)
  9. 9. 政策形成アクターとしての司法 • 政策形成にあたっての独自の存在感 → 問題を集約し、立法・行政を刺激する役割 → 「司法政治過程論」としての『法廷に立つ科学』 ・アメリカ司法の権威(=正統性)は何に由来するか?* (1) 50~60年代 ウォーレンコート – 1954年ブラウン判決:人種別学の撤廃 – 全員一致による明確な意思表示 (2) 70~90年代 バーガー、レンキスト・コート – 共和党政権が思うほどには保守化は進まず – 対立を明示した上での決断 9 * 阿川尚之『憲法で読むアメリカ史』(ちくま学芸文庫、2013年) ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン』(河出書房新社、2013年)
  10. 10. 規制行政を規制するには? • 専門知と資源の格差 – 行政と比べた場合、司法は専門性、情報集約能力、 人的資源などがことごとく弱い – 行政裁量の手続的統制の意味 – 「他にやりようがない」という面も…… – 「ハードルック審査」の隆盛と退潮 • 行政国家化の危うさと莫大なコスト – なんだかんだで安上がりな手段としての司法 – 敬譲(defer)すべき政策分野の切り分け – 長い目で見るための市民教育 10
  11. 11. 合意形成、正統性調達 • 合意形成のためのレトリックとしての法と科学 • ウェーバー的な 合法的正統性 は他のあり方(カリスマ、 伝統)がない時代にこそ有効 • 科学知 はその形式性と客観性ゆえに合法的正統性 (と類似のもの)を獲得する? • 他の知ではダメなのか? ex.) 人文系不要論! • 科学的エビデンスが下支えになる分野、ならない分野 • なりやすい分野を恣意的に選んでいる?? • なりにくい分野(トランスサイエンス?)で 最後に残るものは? ……感情? 11
  12. 12. 感情科学のディストピア? • 法的な知の積み重ねも、科学的な専門知もエビデンスに ならない政策分野で、(民主的)統制は可能か? (典型:教育、刑事政策、エネルギー、etc.) • そこで首をもたげてくるポピュリスト・デモクラシー – そもそも「予防原則」は科学的合理性を超える…… – 大衆的情念に正面から向き合うリベラル・ポピュリ ズムの可能性? ――「新しい」民主主義理論との呼応 – 道徳心理学、神経倫理学、行動経済学……による 成果が招き寄せるのはユートピア? ディストピア? 12

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