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マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得

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2/23 に行った講演の資料です。スタートアップの初期ユーザー獲得の方法としてのセールスならびにサポートについて解説した内容になります。

マーケティングを捨てよ、とは言ってますが、もちろんマーケティングは大事です。ただ初期ユーザー獲得においてはマーケティングよりもセールスやサポートに力を入れたほうが、その活動を通してプロダクトも良くなるのでそっちのほうが良いのでは、というご提案になります。タイトルは寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」からです。

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  • ・カタカナ表現が多く、曖昧に言葉が使われている(e.g.リリース、ローンチ日本語の定義では同じなとこもある,筆者はそれらを使う際にちゃんと定義を書くべき)
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マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得

  1. 1. マーケティングを捨てよ サポートへ出よう (あるいはセールスへ出よう) 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得 Takaaki Umada / https://medium.com/@tumada/ February 23rd, 2015 @ 某所 1
  2. 2. プロダクトリリース、おめでとうございます。素晴らしいプロダクトであれば TechCrunch などのメディアに取り上げられ、以下のように一気にユーザー登録やトライアル申し込み が伸びると思います。 2 プロダクトリリース、おめでとうございます t
  3. 3. そして数時間後に確認したら、知り合いの SNS や他のニュースサイトなどにも掲載され、 さらに多くのユーザーが登録してくれているはずです。 3 プロダクトリリース後、ユーザー数の爆発的増加 t
  4. 4. その後数時間から数日経つとユーザー登録の衰えが見えてきます。TechCrunch などで紹介 される新プロダクトはそれこそ 1 日数個あるので仕方がありません。 (皆さん自身、昨日リリースされた他人のプロダクトのことをいくつ覚えているでしょうか?) 4 しかし大抵のプロダクトは… t
  5. 5. また登録したユーザーもアクティブであり続けてくれず、どんどん離れていってしまうの で、新機能やキャンペーンなどを打って回復を図ります。 5 そして Active User も減っていく t このタイミングで新機能をリリースして ホッケーカーブを描きたい
  6. 6. しかし新機能やキャンペーンでユーザー離れを歯止めをかけることはできず、ニュースに も取り上げてもらえず、ユーザーは徐々に減っていきます。この状態を Y Combinator で は「悲しみの谷 (Through of Sorrow)」と呼んでいます。 6 しかし減る状態が継続し、「悲しみの谷」へと陥る t 悲しみの谷
  7. 7. 7http://www.fastcompany.com/1825877/5-things-i-learned-about-entrepreneurship-y-combinators-paul-graham 新規性が 徐々に消える 悲しみの谷 改善の リリース 愚かさが クラッシュする 偽の希望が小 刻みに現れる 約束の地に! 流動性の 獲得 Y Combinator: The Process – スタートアップが通る道 買い手の 登場 TechCrunch による イニシエーション
  8. 8. プロダクトリリース後に起こるよくある課題は以下のとおりである。 1. ユーザー獲得の難しさ 2. やることが増える 3. 時間の使い方が変わる 8 プロダクトリリース後のよくある課題
  9. 9. 9 1. ユーザー獲得が難しすぎる!
  10. 10. 10 ユーザー獲得の難しさ: Teespring の場合 プロダクトをローンチして、無料デザインをオファーしたり、 ソーシャルメディアをやったり、修正を重ねたり、いろいろし ても地元の NPO に 50 枚の T シャツを売ることしかできず、 収益は 1,000 ドルでした。皆から「うまくいかないから諦めた ほうがいい」と言われました。
  11. 11. プロダクトリリース前はプロダクト開発に注力してさえいればよかったが、リリース後は その後のタスクなどが追加されて、単純にやることが増える場合が多い。 11 2. やることが増える 開 発 企 画 テ ス ト デ プ ロ イ 仕 入 採 用 販 促 営 業 サ ポ ー ト リリース前 リリース後 開 発 企 画 テ ス ト デ プ ロ イ 仕 入 採 用 販 促 営 業 サ ポ ー ト やるべき範囲 やるべき範囲
  12. 12. また大企業とは異なり、各タスクに部門があるわけではなく、組織全体のスループット向 上を自分たちでのみ行わなければならなくなる。 12 スタートアップは部門に分かれていない=全部する 開 発 企 画 テ ス ト デ プ ロ イ 仕 入 採 用 販 促 営 業 サ ポ ー ト 採用部門 購買部門 企画部門 テスト チーム 開発チー ム 運用チー ム Marketin g 部門 営業部門 サポート 部門 開 発 企 画 テ ス ト デ プ ロ イ 仕 入 採 用 販 促 営 業 サ ポ ー ト 創業者たちだけで全部やる & 全体スループット を最適化する(多くは営業/販売=ユーザー獲得がボトルネック) スタートアッ プの場合 大企業の場合
  13. 13. プロダクト開発後は組織全体のスループット向上のため、自分の時間の配分が変わり進捗 感がなくなるほか、自分が情熱の持てない作業の時間が増えることが多い。 13 3. 時間や情熱の使い方が変わる 100% 0%0%0%0% プロダクト開発 セールス サポート 採用 雑用 20% 30%30% 0% 20% プロダクト開発 セールス サポート 採用 雑用 コードに集中していれば進捗感&万能感がある 様々な仕事を並行して走らせる必要が出てき て、次第に進捗感も万能感も下がってくる
  14. 14. 今回はプロダクトリリース後の課題のうち「初期のユーザー獲得」につい ての考え方を中心に解説する。 その他の問題については、スタートアップにおけるオペレーションの課題として別途解説 を行う(予定)。 14 まとめ:プロダクト後は色々変わる覚悟が必要
  15. 15. 初期ユーザー獲得のための Do Things That Don’t Scale スケールしないことをしよう 15
  16. 16. プロダクトの ver. 1 リリース後、ユーザー獲得のためのマーケティングで良く検討される のが以下の3 施策である。それぞれの施策について、どの程度初期のユーザー獲得に使え るのかを見ていく。 16 初期ユーザー獲得のためのマーケティング? PR Ad Viral
  17. 17. PR を大々的に行い「ビッグローンチ」ができればいいのではないかという説。たとえば TechCrunch で大々的に記事になるなど。 17 1. PR が効果的なのでは? t 十分なスパイクがあればいいのでは?
  18. 18. しかし Batch というモバイル開発者向けツールの場合、TechCrunch 本家 (英語) に掲載さ れても、1 日のビジターはわずか 372 で、登録ユーザー数はそのうちの 17% --- つまり 63 ユーザーのみで、華々しいデビューだったにもかかわらずスパイクはわずかだった。 https://batch.com/blog/start-up-launch-power-product-hunt-hacker-news-techcrunch/ 18 例) Batch が TechCrunch (US) に掲載されたときは 63 登録 372 Visits × 17% = 63 Registered Users
  19. 19. Andrew Chen いわく、 • TechCrunch のカンファレンスに出場して PR なども掲載 されたスタートアップの1年後のトラフィックはあまり増 えていない • TechCrunch のようなニュースメディアでの露出は、投資 家やパートナへの露出としては効果的だが、ユーザー獲 得には不向き • なぜなら PR やブログの記事をユーザー繰り返し見ないか ら。一時的に伸びるかもしれないが、長期的にはあまり 意味がない • よって PR 活動やブログのトラフィックにこだわることを 「fool’s gold」(愚か者の金脈)と呼んでいる。これはト ラフィックがあることで影響力を勘違いしてしまうから。 http://andrewchen.co/growing-renewable-audiences-a-talk-at-oreilly-alphatech-ventures/ 19 PR は基本的にユーザー獲得には向かない グロースハックで著名な Andrew Chen TC に出場した会社の 1 年後の traffic
  20. 20. 小規模な広告から始めてチャネルや顧客の検証をするなら良いが、初期段階においてユー ザー獲得を狙うならリスクが高い。 20 2. 広告を出稿すれば集まるのでは? LTV と CAC が分かってない 顧客の Life Time Value と Customer Acquisition Cost が分かっていない 状況で大々的な広告を出稿するの は危険。どの程度の LTV と CAC か が分かったうえで、ターゲットと チャネルを最適化して広告を打た なければ、多くの場合損をする計 算になる。 競争に巻き込まれる 広告出稿にも当然市場原理が働い ており、良い広告枠は高騰する。 仮に業界(ターゲット)を絞った としても、業界平均よりも自社の LTV のほうが高くないと利益が出せ ないことになる。が、スタート アップにその状況が起こることは ほとんどない。 リスティング広告なども多くの企 業や広告代理店が最適化したうえ で出稿しており、簡単に勝つのは 難しい。なお広告出稿量はメディ アのサイトなどを参照(たとえば TechCrunch) 継続率が十分あるかどうか コンシューマ系のプロダクトの場 合、十分な継続率がないと、ユー ザー獲得をしてきてもすぐに離れ て行ってしまい、プロダクトや ネットワークの価値が上がりにく い。初期顧客の継続率が十分に高 まってから広告を使ったほうがス ケールしやすい。
  21. 21. 十分に製品に魅力があると思われている Evernote ですら、ユーザー数の 5% 程度し かお金を払ってくれない。 一方スタートアップがリリースしたばかり の製品はまだ Evernote の完成度に達してい ないので、おそらくもっと Paid ユーザー数 は低くなると思われる。 なお、単純なバナー広告掲載で 100 万 imp. を獲得したとして、あまり CTR などが高く なかった場合の試算が左図の通りである。 これでは広告の費用(数十万円~数百万 円)費用対効果が見合わないことが多い (もちろん初期顧客獲得に対してその金額 が reasonable であれば問題はない) Conversion Rate は高ければ 70% 、ただし大抵のスタートアップは 25% 以下というのが通説 Evernote: http://www.bbc.com/news/business-26336737 21 Evernote ですら 5% 程度の Conversion と考えると… Impression 1,000,000 Acquisition 10,000 Activation 1,000 Revenue 50 AARRR モデルを改変 Conversion Rate はおおよそ平均を取得 Freemium 5% の部分のみ Evernote より CTR 1% Conversion 10% Freemium 5%
  22. 22. 長期的にはバイラルマーケティングは有効だし、バイラルが起こるような良いプロダクト を作っていくべきだが、初期ユーザー獲得できるかはリスクが高い。 22 3. 口コミを起こせばよいのでは? まずは分類から バイラルマーケティングにもいく つかの分類がある。 Pure Word of Mouth (口コミ) 機能の良さなどで、他人に話した くなって口コミを行うケース。例 えば初期の Facebook に招待する機 能はなかったが口コミで広まっ た。 Inherent (生得的) 他人を誘うことにより製品自身の 価値が上がるケース。Skype など。 Incentive (インセンティブ) 意図的に他人を誘う設計を行う。 たとえばゲームで他人を招待する と何かがもらえるなど。 向き不向きがある プロダクトによってはバイラル マーケティングに向き不向きがあ る。B2B のプロダクトなどはオン ラインでのバイラルに向いていな いことが多い。 たとえばコミュニケーション系は inherent で、ゲームはインセンティ ブの設計がしやすく、コンテンツ は感情を引き起こしやすいので口 コミしやすい。どういうものがバ イラルで広まりやすいかは STEPPS (Social Currency, Triggers, Emotion, Public, Practical Value, Stories) フ レームワーク (Book, Contagious by Jonah Berger) などを参照。 多くが失敗している 広告代理店や大企業のマーケティ ング担当者が大企業のプロダクト を使って口コミを起こそうとして いるが、実際には死屍累々な状態 であることを考えると、スタート アップでの成功確率もそれほど大 きくない。 また K factor がきちんと 0.5 以上 (1 以上になれば加速度的に成長) にな り、Viral Loop が起こるように設計 しないと、伝染がすぐに止まって しまうので、実際には詳細な事前 のプランニングや最適化 (LP から登 録の conversion の A/B テストなど) が必要。
  23. 23. 最初に理解すべきことは顧客獲得に 「銀の弾丸」は存在しないということだ Walker Williams Co-Founder, Teespring The first thing you have to understand is that there's no silver bullet for user acquisition. Geek.not.nerd http://startupclass.samaltman.com/courses/lec08/ 23
  24. 24. スタートアップがトラクションを得る手段 24 マーケティング方法は代表的なもの以外にも様々ある 1. Viral Marketing 2. Public Relations (PR) 3. Unconventional PR 4. Search Engine Marketing (SEM) 5. Social 6. Display Ads 7. Offline Ads 8. Search Engine Optimization (SEO) 9. Content Marketing 10. Email Marketing 11. Engineering as Marketing 12. Target Market Blogs 13. Business Development (BD) 14. Sales Affiliate Programs 15. Existing Platforms 16. Trade Shows 17. Offline Events 18. Speaking Engagements 19. Community Building どれが自社のプロダクトに 最適かは検証を行う必要あ り
  25. 25. プロダクト初期は構造的にマーケティングが行いにくい状態にある。 たとえば以下のようなものが判明していない。 • そもそもどの顧客に最もヒットするかも確証はない • 定着率 (Retention) があまり高まっていない状態で獲得をしても離れていく人が多いだけ • LTV や CAC が分かっていない • どのチャネルでマーケティングすれば効果的なのか分からない 25 スタートアップ初期のマーケティングは難しい! 様々なリスクの検証を行いながら、ある程度のリスクの検証が 終わった後にマーケティングに費用をかけたほうが良い。
  26. 26. 正しい価値提案に辿り着く前に マーケティングにお金を使いすぎてしまった I spent too much on marketing before we got the consumer value proposition right. http://www.businessinsider.com/how-billion-dollar-startup-fab-died-2015-2 Picture from Andrew Mager http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jason_Goldberg_and_Ashton_Kutcher.jpg 26 Fab、約 400 億円を調達したものの失敗した理由を語る 400 億円あっても、 スタートアップにマーケティングは難しい
  27. 27. Product/Market Fit ができていない状態で Paid Growth を行おうとしたら、どんなにお金が あっても足りない。よってまずは Product/Market Fit の状態を目指す必要がある。 Running Lean 28 まずは Product/Market Fit に達する Problem /Solution Fit Product /Market Fit Scale 主にここで マーケティングが必要我々はまだここ
  28. 28. 29Omarca Blog Archives “Product/market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market.”
  29. 29. 「Product/Market Fit とはマーケットを満足させることのできるプロダクトが、良いマーケットにいる状態のこと」 a 30 Product/Market Fit とは Product/Market Fit Series A の調達を検討し一気に growth するフェーズ • 十分に大きな市場が ある • 十分な継続率がある • 十分に効果的 (e.g. LTV > 3 * CAC) なチャ ネルをある程度検証 済み t GrowthMetrics
  30. 30. Product/Market Fit をまず目指す Dropbox や Eventbrite といったサービスを 成長させてきた Sean Ellis (現 Qualaroo CEO) も、「グロースは Product/Market Fit の後」に来るとしている。 Product/Market Fit、つまり市場に十分大き な需要があり、その需要を満足させるのこ とのできる製品がある、という段階に持っ ていくことが何よりもまず先決。 http://www.startup-marketing.com/the-startup-pyramid/ 31 成長は Product/Market Fit の後に来る Product/Market Fit Transition to Growth The Startup Pyramid By Sean Ellis Growth
  31. 31. 自分のステージをよく確認する 32 スタートアップ初期は急速な成長を狙う段階ではない We are Here • プロダクトを一度は ローンチできた • 学習を始めようとし ている (Lean Canvas はまだほとんど検証 できていない) Product/Market Fit
  32. 32. よく間違えるのは Product/Market Fit の前にスケールしようとしてしまうこと 33 多くのスタートアップは Product/Market Fit の前に死ぬ We are Here 多くのスタートアップは Product/Market Fit の前に資金が尽きて死ぬ Product/Market Fit
  33. 33. 74% が premature-scaling で死ぬ (Startup Genome Report) http://blog.startupcompass.co/pages/startup-genome-report-extra-on-premature-scal 34
  34. 34. Premature Scaling の特徴としては以下の通りである。 Startup Genome Report 35 Premature Scaling Customer • Product/Market Fit 前の 時点で顧客獲得にお金や 時間を使いすぎてしまう (有効な顧客チャネルを 見つけられていない) • Product/Market Fit 前に マーケティングや PR 活 動を過度に行ってしまう Product • Problem/Solution Fit をし ていないプロダクトを 作ってしまう • Product/Market Fit して いないプロダクトをス ケールさせようとしてし まう • “nice to have” な機能を加 えてしまう Team • 多くの人を早い段階で雇 いすぎる • クリティカルに必要にな る前に専門家を雇ってし まう (CFO, カスタマー サービス, データベース スペシャリストなど。 マーケティングスペシャ リストも含まれる)
  35. 35. 早期にスケールを見越して準備してしまった場合、負債やリソースの無駄遣いになる可能 性が高くなる。 36 早期スケールの準備のために最適化したときの副作用 Customer • 有効なマーケティング チャネルが見つけられて いない状態だと、マーケ ティング費用や時間を効 果的に使えない • マジョリティにターゲッ トを移行しようとする と、捕まえていたアー リーアダプターが離れて 行ってしまうことがある Product • ボタンの色や配置などを 過度に最適化していた場 合、大きな UX の変更が 必要な場面(異なる課題 を発見した時等)で変更 を行いにくくなる • プロダクトのピボットが 心理的に難しくなる(最 適化に使った工数=サン クコストが大きくなり、 loss aversion が発生す る) Team • 成長を見越して採用を進 めると、銀行口座からみ るみる資金がなくなって いく • 一気に従業員を増やすと コミュニケーションの効 率性が落ち、また企業文 化の迷走が始まる • 人の首を切る必要がある が、心理的負担が大きい ほか、企業全体のモチ ベーションが落ちる
  36. 36. 37 早すぎる最適化は 諸悪の根源である By Donald Knuth
  37. 37. Product/Market Fit の前にするべきは 「最適化されていない」活動 38
  38. 38. 39 スタートアップの初期段階は “Do Thigs That Don’t Scale” スケールしないことをしよう
  39. 39. 40 様々なスタートアップがスケールしないことをしていた Pinterest の初期ユーザーがデザインに興 味を持っていることを知り、デザインブ ロガーが集まるコミュニティに創業者が 出向いてユーザーを手動で獲得し続け た。 また Apple Store (店舗) に展示されてあ る Mac のデフォルトページを Pinterest に変更して、怒られるまで続けていた。 Zappos EC サイトを作る前に、販売店で靴の写 真を撮ってWeb にアップして、注文が 来たらその靴を買って配送する、という のを繰り返していた。 SF の自分たちのオフィスを泊まれるよ うにして、Google に広告を出し、本当 に人が申し込みをしてお金を払うか検証 した。また NY で戸別訪問を行い、部屋 の写真を撮るなどしてユーザーのリス ティングの向上を手助けした。 最初は Harvard University 内のみに絞っ て、ユーザーの声を聴いていた。そして 各大学のための履修コースの一覧表を作 成するのに多くの時間を割いて、学生た ちが Facebook を自分たちのホームであ るかのように感じさせるよう注力した。 最初にできたコンピュータは Homebrew Computer Club というコンピュータ愛好 家の集まりでデモを行った。また最初の 販売はバイトショップへの 50 台の納品 で、すべて自作で組み立てた。なお、発 売初期、あまり売れ行きは良くなかっ た。 数百の腕時計を自分たちの手で作ること で、「良いねじを調達することの重要 さ」が分かり、のちに工場を通してス ケールするときに気を付けるべき部分が 分かった。
  40. 40. http://ascii.jp/elem/000/000/164/164144/index-2.html 41 例)食べログはレビュアーを直接リクルーティング • 現在最大手のグルメレビューサイトに 効果 • グルメレビューサイトとして後発の食べロ グ.com が競合のライブドアグルメ (当時数十 万PV / 日) を調べたところ、レビューを書き 込む常連ユーザーは500人しかいないことが分 かったので、500 人なら自分でも集められる と考え、友人に声をかけたほか、ブログのコ メント欄に書き込んだり、競合サイトのメッ セージ機能を使ってレビュー書き込みの勧誘 をしていた。 • また食べログユーザーからのフィードバック を簡単なものは即日、遅くても 1 週間で対応 できるサポート体制を整えていた。 実施
  41. 41. https://www.groovehq.com/blog/customer-development 42 例)Groove は 4 週間で 500 ユーザーにインタビュー • 機能があるのに「この機能が欲しい」と言わ れて、それを伝えたら喜ばれたし、より分か りやすく提示しなければならないと知った • 熱狂的な顧客を得た • ユーザーのペルソナを知るとともに、意外な 使われ方(学校の IT 部門での利用)を知った • より良いマーケティング用のコピーを作るこ とができた • 電話の時間を取ってくれなくても、メールで 意見を返してくれる人が続出した 効果 • 既存のユーザーに対してインタビューリクエ ストを送付 • 4 週間で 500 ユーザーと直接対話 実施
  42. 42. 43 例)筆者の事例:社内向け営業支援で 40 人と対話 • セールス支援策以前の問題点の発見(リード を発掘しても追いきれない理由など) • 社内コミュニケーションプロセスの明確化 副次的効果として: • 存在感が増したせいか、問い合わせの増加 • マーケティング チーム内での発言力の向上 (顧客を知っているという後ろ盾) • 共同でのコンテンツ作成など連携の強化 効果 • マーケティングの立場から営業を支援するポ ジションへの担当変更(社内のセールスマン が顧客になった) • 2 週間で関連営業 40 人に 1 on 1 の Face to Face 会議でのインタビューを実施 実施
  43. 43. 最初期にスケールしないことをすると様々な恩恵を受けることができる 44 スケールしないことのメリット Launch Fast & Small Batch ユーザーと直接関われる プロセスを習熟できる
  44. 44. 下記のようなメリットを得られるので、最初期はスケールしないことをすることが大事 45 スケールしないことのメリット Launch Fast & Small Batch スケールしないことから始 めることで、すぐにサービ スを開始することができ る。本当の学習はリリース してから始まるので、ロー ンチすることは本当に重 要。 またコードとは違い時間の かかる変更などをせずに、 小さなバッチサイズですぐ に学習の結果を反映できる ユーザーとの直接関われる ユーザーから直接フィード バックを得て学習すること ができるし、ユーザーのペ ルソナをはっきり描けるよ うになるため、ユーザーの 獲得の方法が分かる。 また直接ユーザーを喜ばせ ることができるので、大企 業にはできない競合優位性 を獲得できるし、Retention も高めることができる。 プロセスを習熟できる プロセスのどこがボトル ネックになるか(どの順序 で自動化=ソフトウェア化 すべきか)や、どのような アルゴリズムを作ればよい のかわかる。 またハードウェア製造を手 作業で行うことで勘所など を学べる。
  45. 45. 「スケールしないこと」を実際に行ったスタートアップには以下のような事例がある。 https://medium.com/buffer-posts/achieving-scale-by-doing-things-that-dont-scale-adb9bdee273e http://www.fastcolabs.com/3024472/how-we-got-our-first-2000-users-doing-things-that-dont-scale 46 スケールしないことをしたスタートアップ Launch Fast & Small Batch Buffer 課金システムは注文があってからはじめ て作り出した。また最初の登録ユーザー 1,000 人には、登録後すぐに個人的な メールアドレスからメールを送って感想 を求めた。 Product Hunt メールマガジンという形ですぐにローン チし、次第にサイトを構築していった。 ユーザーとの直接関われる Teespring ユーザーと直接話してチャンピオンユー ザーを増やしていた。また、毎日 1 時間 は Twitter やコミュニティで自社の言及 に目を通し、評判をパラノイアのように 確認した。 DoorDash 初めて利用した顧客には全員メールし て、感想やどこで自分たちのことを知っ たかを聞いて回った。またメールには 「私もチキンが好きです、いかがでした か?」と個人的な文面を必ず入れた。 Wufoo ユーザーに手書きの手紙を送っていた プロセスを習熟できる Meraki 自分たちでハードウェアの設計だけでな くルータの組み立てまでしていた。(こ れを YC では「Meraki をする」と呼んで いる) DoorDash フードデリバリーを創業者たちが行うこ とで、デリバリーの実態やドライバーア サインのアルゴリズムについて学べた。 CircleUp 最初に利用者からのフィードバックを直 接聞くことで、どうやって機械学習のア ルゴリズムを構築すべきかを知れた。
  46. 46. Wufoo は顧客一人一人に手書きの手紙を送っていた Image from Wufoo Lecture startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ 47
  47. 47. スケールしないことを続けつつ 成長させることを忘れない 48 スケールしないことを続けることで、成長が止まってしまって は本末転倒なので、必ず成長のための KPI を設定する
  48. 48. スケールしないことをするときには、KPI を絶対値ではなく、成長率で測ると良い。たと えば既存ユーザーが 10 人で週 10% 成長を目標とした場合、8 週間後には 19 人ユーザーが いるという状態が目標になる。これはスケールをしないセールスをしていても達成可能。 その他、売上の成長率や DAU の成長率などを指標とする。 49 スケールしないことをするための KPI は「成長率」 10 11 12 13 15 16 18 19 W1 W2 W3 W4 W5 W6 W7 W8
  49. 49. ただし次第に 10% 成長を続けていれば 10 人だったユーザーは 1 年後には 1,420 人いなけ ればならない。この途中でセールスだけで賄いきれなくなってきたときに、マーケティン グを行うようにすればよい。ただし極力スケールしないことを続けることが重要。 50 「成長率」は複利:初期は簡単、徐々に難しくなる 10 15 21 31 46 67 98 144 211 309 453 663 970 1,420 W1 W5 W9 W13 W17 W21 W25 W29 W33 W37 W41 W45 W49 W53 また「スケールしないこと」をし続けて成長しないのは本末転倒な ので、必ず成長率を測る KPI は設定するようにしておく。
  50. 50. スケールしないことを できるだけ続けること … それがあなたの会社の最も大きな優位性の一つであ り、それを諦めた瞬間に、スケールしないことを続 けている小さな競合会社にあなたは負けるだろう Walker Williams Co-Founder, Teespring http://startupclass.samaltman.com/courses/lec08/ 51 Do things that don’t scale as long as you possibly can
  51. 51. Y Combinator の初日に言われる 3 か月の方針 •プロダクトを作る •顧客と話す •適度な運動 •食事 •睡眠 それ以外はするなhttp://startupclass.samaltman.com/courses/lec01/ 52 Y Combinator の原則
  52. 52. Y Combinator の初日に言われる 3 か月の方針 •プロダクトを作る •顧客と話す •適度な運動 •食事 •睡眠 それ以外はするなhttp://startupclass.samaltman.com/courses/lec01/ 53 Y Combinator の原則
  53. 53. 54 Pre-Production Stage Interview Post-Production Stage Sales & Support 「顧客と話す」ことはステージによって変化する
  54. 54. 製品開発前においてインタビューをして顧客と話していたように、製品開発後はセールス やサポートを通して顧客と直接話し、フィードバックを得ていくことが「スケールしない こと」である。 55 セールスとサポートも「顧客と話す」こと 製品開発前の顧客と話すこと • 顧客の問題を確認する (Lean Customer Development) • ソリューションが適切かを、コンシェル ジュ MVP などで検証する • MVP を作ってプロダクトのフィードバッ クを顧客から得る 製品開発後の顧客と話すこと • 売れるものかどうかを検証する(セール ス) • チャネルを検証する(セールス) • プロダクトの改良点を見つける(サポー ト) • KPI が正しいかどうかを検証する この両方が「プロダクトを作る」ことと「顧客と話す」こと それが「スケールしないことをする」ことに繋がる
  55. 55. https://www.youtube.com/watch?v=SPd5vgXJ-R4 56 セールスは手厳しいフィー ドバックを与えてくれます が、「マーケティング」は そうではありません 「なぜスタートアップはマーケティングでな くセールスにフォーカスすべきか」(WSJ) Jessica Livingston Co-Founder, Y Combinator
  56. 56. スケールしないことをすれば様々なメリットがある。逆にマーケティングでは見た目上の KPI は達成できるかもしれないが、本当に愛されるプロダクトを作ることからは遠ざかっ てしまうことが多い。 まずはスケールしないことをしよう。 そのための方法として、以下にセールスとサポートについて取り上げる。 57 マーケティングではなくスケールしないことをしよう
  57. 57. Sales (User Acquisition) 58
  58. 58. よいプロダクトは勝手に売れる 59
  59. 59. よいプロダクトは勝手に売れる 60
  60. 60. Image by Dan Taylor. www.heisenbergmedia.com 61 差別化されていないプ ロダクトでも、営業と 販売が優れていれば独 占を築くことはでき る。逆のケースは ない。 Peter Thiel Co-Founder of PayPal “Zero to One”
  61. 61. Peter Thiel が「何か新しいものを発明しても、それを効果的に販売する方法を創り出せな ければ、いいビジネスにはならない。それがどんなにいいプロダクトだとしても」(Zero to One) と言うように、良いものを作ったら自動的に人が寄ってくる、というのは今の世の中 では大変起こりにくい。 セールス(手動ユーザー獲得)活動は必要という前提に立とう。 では誰がどのようにセールス (手動ユーザー獲得) をすればいいのか? 62 プロダクト自身が営業してくれる、というのは幻想
  62. 62. 63 スタートアップはどんなセール スマンを雇うべきか? • 営業経験が豊富 • 魅力的かつ外交的(ノリがいい) • 口がうまくて押しが強い • ゴルフや飲み会やパーティか好き • (Enterprise 系の場合) 経営者層の 心をつかむ、そこそこシニアな人
  63. 63. 64 スタートアップはどんなセール スマンを雇うべきか? • 営業経験が豊富 • 魅力的かつ外交的(ノリがいい) • 口がうまくて押しが強い • ゴルフや飲み会やパーティか好き • (Enterprise 系の場合) 経営者層の 心をつかむ、そこそこシニアな人
  64. 64. 通常の営業とスタートアップの営業は大きく違うので、セールスマンを雇っても効果的で はないことが多いし、プロダクトの価格も安いことが多いのでペイしない。 65 スタートアップはセールスマンを”雇ってはいけない” 通常の営業 スタートアップの営業 プロダクト これまで多数の販売経験のあるプロ ダクト これまで売れたことのない、かつ売 れるか分からないプロダクト 市場 既知の市場 未知の(検証されていない)市場 顧客 類似の顧客 未知の(検証されていない)顧客 競合 明確な競合が存在 競合のいない、あるいは競合が競合 として認識されていない 予算 毎年取ってある予算の一部を取りに 行く 予算化されていないので、別の予算 を崩して払ってもらう
  65. 65. 66 ではどうすればいいのか
  66. 66. You 67
  67. 67. Enterprise 系の場合 • 創業者が見込み顧客を獲得してきてセールスをする • とにかく電話する(US では Inside Sales が流行り) • 何かがあった飛行機を使ってでも飛んでいく(Sam Altman 等) Consumer 系の場合 • 創業者がとにかく知り合いを片っ端に登録してもらう • イベントなどに行きとにかく手動でユーザーを捕まえて くる 68 スタートアップの営業現場の実際 図:ひたすら見込み顧客に電話をかけ続ける Y Combinator 期間中の Clever 創業者
  68. 68. http://startupclass.samaltman.com/courses/lec08/ 69 Teespring の創業者曰く 創業者の責任は、どんなことをしても最初のユーザーを確保することだ。そしてそのやり 方は会社ごとに違っている。たとえばそれは1日100通のメールを送ることであったり、 知っている人に片っ端から電話したり、Stanford や Y Combinator のネットワークを使っ たりすることだったりする。 William Walker Founder, Teespring
  69. 69. スタートアップはプロダクトができてからもまだ「可能性を探索している」状況であると いうこと。何をすればよいのか検証をしていくこと。 70 創業者がセールス(手動ユーザー獲得)をすべき理由 製品と市場のことを一番知っている まったく新規のプロダクトなので、作った あなた自身がセールスをすることが最も成 功率の高い方法である。 またプロダクトに対する情熱も世界で一番 高い創業者こそがセールスをすべき。 様々な検証ができる セールスを通して、様々なリスクの検証や 洞察の獲得ができる。詳細は次ページ。 検証ができるという意味で、セールスを 行って売れれば嬉しいことだし、逆に断ら れてもフィードバックを得られればそれは 価値ある営業活動だったと言える。
  70. 70. 71 Talk to Users 顧客と話せ
  71. 71. セールスや手動ユーザー獲得という「顧客と話す」ことで得られるものは売上だけではな い。さまざまな仮説検証や洞察を得ることが可能。 72 セールス(=顧客と話す)を通して得られるものは多数 この製品は Minimum Sellable Product? Product へのフィードバック 適切なチャネルへの洞察 プロダクトができてから検証す べき最も重要なリスクは「売れ るかどうか」。セールスを通し て自分たちの製品が本当に価値 を与えているのかを検証するこ とができる。 セールスの合間に行われる、顧 客候補からの Product への フィードバックを得ることで製 品を良くすることができる。ま たセールスを通して比較対象と なる競合の情報なども得られる セールスを通して顧客の意思決 定方法や情報源を知ることで、 今後のスケールのために必要な マーケティングチャネルや適切 な価格設定へのヒントをつかむ ことができる
  72. 72. 売り物ではない無償のプロダクトの場合、セールスマンとしてやるべきことは、自分の持 ちうるすべてのネットワークを使って、とにかく使ってもらおう人を探すこと。 あなたの知り合いですら使ってくれないプロダクトなら、そのプロダクトはおそらく流行 らないし、直接アプローチしてもインストールをしてくれないのなら、広く告知しても誰 も使ってもらえないものになる。 73 (無償製品の場合) セールス=ユーザー獲得を手動で行う
  73. 73. 決済の仕組みを提供する Stripe。創業者の Collison 兄弟は Y Combinator に入っていた同 期や卒業生に「ベータ版を試してくれます か」と聞いて初期のユーザー獲得をして回っ た。通常のユーザー獲得はここで終わるが、 Collison 兄弟は違った。 彼らは OK を出してくれた相手に 「ではノートパソコンを貸 してください」 と自分たちでセットアップをその場で行って いた。Paul Graham をこれを “Collison Installation” と呼んでいる。 写真は http://www.fastcompany.com/3000038/stripes-john-and-patrick-collison-why-you-should-avoid-y-combinator-clones 74 Collision Installation
  74. 74. 良いニュースは「最初の(これまであなたと関係のなかった)10人の有料顧客は、これか ら得られる 1,000 人の有料顧客とほとんど同じ特性を持つ」ということである。 あなたの直接のネットワークから得られる顧客には偏りがあるかもしれないが、それとは 異なる、自分から二次以上の隔たりのある 10 人の顧客が得られた場合、あなたのプロダ クトは何らかの課題を解決できているということを意味するし、それらの顧客は次の 990 人とほとんど同じ性質を持っているので、そうしたアーリーアダプターとコミュニケー ションすることで、プロダクトの本当の性質や顧客の課題をより深く理解できる。 たった 10 人からの売上は、ビール一杯分の売上にしかならないかもしれないが、それは 成功の兆候であると言える。10 人の顧客を捕まえよう。 http://www.saastr.com/if-you-have-10-unaffiliated-customers-in-saas-you-have-something/ 75 Good News: 最初の 10 人は最初の 1,000 人とほぼ同じ 性質が相似
  75. 75. 技術者は外向的な人が少ない傾向にあるが、外向性とセールスの関係はあまりないことが 研究結果から分かっている。技術者もセールスに臆病にならず、顧客と話しにいくべき。 76 セールスに不安にならなくていい 外向性とセールスの成績は関係ない 外向的な人は上司からの評価が高い傾向にある が、統計的に見て”販売実績”や”販売量”との間に 相関性は認められない (Furnham, 2008)。むしろ セールスの成績が良かったのは外向性と内向性 の極端に偏らない両向型のタイプ (Grant, 2013)。 また成績トップの者は平均以下の者と比べて社 交性が低く、最も社交的な営業マンは往々にし て最低の成績しか上げられていない (Martin, 2011)。これは行き過ぎた自己主張と熱意のせい で、顧客に頻繁に接触を図っていたためと考え られている (Boaz, 2010)。 断られるのは能力のせいではない スタートアップの製品は先進的であるがゆえ に、最初期はイノベーター層しか説得できな い。Everett によればイノベーター層は 2.5%。つ まり 100 人に営業をして 2, 3 人しか買ってくれ ない。 と、拒絶を永続的なものではなく、あくまで個 別の事例であり、また自分のせいではないと考 える楽観的なタイプの人間は、売り上げが多 く、長期にわたって仕事を続ける傾向にある (Seligman, 1991)。
  76. 76. Image by Pnautilus http://en.wikipedia.org/wiki/File:DiffusionOfInnovation.png 77 2.5%
  77. 77. Image by Dan Taylor. www.heisenbergmedia.com 78 優良企業の営業戦略 は、小さく始まるも のだし、またそうで なければならない Peter Thiel Co-Founder of PayPal “Zero to One”
  78. 78. 79 創業者の仕事は 自分の持ちうるすべての リソースを活用して 最初の顧客をつかむこと
  79. 79. startupclass.samaltman.com/courses/lec19/よりモデルを改変 80 顧客候補を掴んで来たら Sales Process に乗せる 図. セールスのファネルモデル(簡易版) 見込み顧客を購入に近づけていくプロセスのこ と。Conversion の時間やステータス管理をする ために、より詳細なステージ分けをしている場 合が多い。 2. Conversion 購入あるいは導入する可能性のある顧客のこ と。この数を大きくするために広くマーケティ ングなどを行うことが多い。 1. Prospect (見込み顧客) 購入がほぼ確定しており、あとは契約を交わす 段階に至るような状況のこと。ただしクロージ ングで揉めることもあるので注意すること。 3. Closing (成約) Prospect Conversion Closing B2B プロダクトの場合、営業回数や Win Rate、ステージ管理 、Velocity なども計測すべき だが、初期は以下のプロセスを頭に入れておくところから始める。
  80. 80. ターゲットを明確にすればするほど conversion が上がりやすくなる。自社のプロダクトに あったターゲットを選び、その中でもアーリーアダプターに注力すること。 81 1. Prospect: 正しいターゲットを選ぶ Consumer ソーシャルやゲームといっても最 初は全人類を相手にするのではな く、必ず絞ること。たとえば写真 ならデザイン系や女性のほうがよ り良いターゲットになる。 またアーリーアダプターはイベン トなどに来ることが多い。大き目 のイベントでは展示をしたり、あ るいはイベントの前に仕掛けてお くことが重要。またスタートアッ プの従業員なども、早期顧客にな る可能性が高い(ただし飽きっぽ い)。 Business 業種、業界のほかに組織セールス (組織単位での購入)か個人セー ルス(組織内の個人から徐々に広 めていくか)を決めたほうが良 い 。Box の初期は会社内の個人が 使い始め、それが徐々に組織全体 に広がった(Peter Thiel, Zero to One) 。 なお B2B のプロダクトの場合、初 期はスタートアップをターゲット にするとうまくいくケースが多 い。彼らは新しい技術の採用に貪 欲だし、リソースも限られている ので本当に必要なものが安価で手 に入るのなら購入してくれる。 Partner Paul Graham 曰く、スタートアップ 初期においてパートナーシップは 機能しない。とりわけユーザー獲 得については機能しないし、交渉 で 6 か月前後の時間がかかるうえ に多くの場合得るものがないま ま、終わるので、基本的にパート ナー獲得は初期は無視したほうが 良い。
  81. 81. ターゲットによって最適な見つけ方は異なる。以下では初期に代表的な方法を挙げる。 82 顧客候補の見つけ方とアプローチの仕方 自分のネットワーク コンシューマ系の場合は自分の人 脈や知り合いから見つける。ター ゲットとしているユーザーに使っ てもらうのが鍵。 自分の専門性を持っている分野な らその専門性のネットワークを使 う。 イベントや展示会 小中規模のセミナーを実施して、 そこから見込み顧客を得る。ある いはユーザーになりそうな人がい るイベントに潜り込む。またイベ ントを “ハック” する手段を考え る。 また専門の展示会のブースでの主 客。ただし展示会は事前に見込み 顧客との会議を入れるなどして効 率化すること。出すだけではあま り意味がない。 オンライン トライアル版などを使ったユー ザーに対しては、すぐに電話を掛 ける。ただし事前に電話をかける かもしれない旨や、すぐに売込む のではなく、使い方や顧客の課題 の相談に乗る形での電話をするほ うが良い。 その後個別営業に行く
  82. 82. 83 黙って聞く Listen
  83. 83. (熱意のある創業者は特に)基本的に喋りすぎている。優れた成績を上げるセールスマン は、顧客の話を聞くことに多くの時間を使っている。 84 営業はピッチではない: 話す時間を減らそう あなた 80% 顧客 20% あなた 30% 顧客 70%
  84. 84. しかしただ聞くだけではいけない。顧客が本当に課題を持っているのか、あるいは自分た ちの課題設定が間違っているかを検証するために、アクティブに質問を重ねていく必要が ある。その結果セールスがうまく進めば上出来だし、うまく進まなくても自分たちの仮説 の検証ができる。 85 Active Listening = 質問して仮説を検証する 過去の営業スタイル • 顧客に情報を提供する • 顧客からの質問に答える 現在の営業スタイル • 顧客に適切な情報を選択して提供する • 顧客に質問を訊ねて問題や課題を見つ け出す • うまく自分たちのソリューションが当 てはまれば、自分たちのプロダクトを 紹介する SPIN Selling などを参照。
  85. 85. 嬉しいことに見込み顧客が多数いる場合、うまく次のステージにコンバージョンできるか どうかの判断を早めにすることで効率的なセールスが可能 Startup Selling: How to sell if you really, really have to and don't know how http://www.amazon.com/dp/1468159240/ 86 2. Conversion: Prospect の判断は早めに 質問項目を決めておく 半構造化インタビューのように、セールスの際の質問 項目は決めておくとステージを管理しやすい。たとえ ば Startup Selling の質問は以下の通り。 1. それはどういう意味ですか? (会話の中で多くの分 からないことが発生するので、その時は聞き返す) 2. あなたのビジネスにとって最も重要なことは? 3. どうやってあなたのビジネスに貢献できますか? 4. 何故それが(どの程度)重要なのでしょうか? 5. 今年度のビジネスの中で 2 ,3 の最も重要な目的と いうのは何でしょうか 6. なぜこのプロダクトをまだ買っていないのですか 7. 最近の大きな変化や、3か月後や半年後に起こりそ うな変化はありますか? 8. 他にはどの人がこのプロダクトを評価しますか? 早い No (お断り) には価値がある 断られるなら早目に断られたほうが価値が高い。No と 言われるなら早目に言われるようにしよう。 また通常、契約前にクライアントが求める仕事量と実 際にセールスにつながるかの確率の間には逆相関があ る。それは時間を吸い取るバンパイアや、ゲートキー パーに話を持って行っているため。そうした人を避け て話を進める必要がある。 そのため質問の中で PNAME (Process, Need, Authority, Money, Estimated Timing) や BANT (Budget, Authority, Need, Timeframe) といった条件を確認しながら進め る。
  86. 86. 1. 紹介 2. 直接会う 3. メール(返信なし) 4. フォローメール(返信な し) 5. フォローメール(返信あり) 6. 電話の日程の調整 7. 電話 8. メール(返信なし) 9. フォローメール(返信な し) 10. フォローメール(返信あり) 11. 次の電話の日程の調整 12. 価格交渉の電話(一回 目) 13. 価格交渉の電話(二回 目) 14. 確定 15. 契約書の送付 16. 見積書の送付 17. メール(返信なし) 18. フォローメール(返信あり) 19. 契約書の修正(一回目) 20. 契約書の修正(二回目) 21. 契約書の修正(三回目) 22. 契約書の修正(四回目) 23. 相手方 CEO との電話 24. 契約書の修正 25. 契約の締結 26. 契約の実行 87 2. Conversion: Clever のセールスでよくあること 通常成約までには長い時間が必要で、購入を検討しているお客様ですら、メールに返答を しないときも多々ある。コンバージョンを確実にしていくために何度もフォローする。
  87. 87. 1. 紹介 2. 直接会う 3. メール(返信なし) 4. フォローメール(返信な し) 5. フォローメール 6. 電話の日程の調整 7. 電話 8. メール(返信なし) 9. フォローメール(返信な し) 10. フォローメール 11. 次の電話の日程の調整 12. 価格交渉の電話(一回 目) 13. 価格交渉の電話(二回 目) 14. 確定 15. 契約書の送付 16. 見積書の送付 17. メール(返信なし) 18. フォローメール 19. 契約書の修正(一回目) 20. 契約書の修正(二回目) 21. 契約書の修正(三回目) 22. 契約書の修正(四回目) 23. 相手方 CEO との電話 24. 契約書の修正 25. 契約の締結 26. 契約の実行 88 フォローアップをきちんと行うこと 適切なタイミングでフォローアップを行わないとセールスは上手く進まない。節度を保っ たリマインダーメールなどを送るようにすること。
  88. 88. 契約締結まで気を抜いてはいけない。契約締結までに様々なトラップがあるのが通例であ る(特に大企業の場合)。 89 3. Closing: トラップの回避 もう一つ機能があれば買う 「○○の機能があれば買うのに」 というのは体のよいお断りだと考 えよう。実際に作るかどうかは他 の顧客の意見を聞いてから決めた ほうが良い。 もしくは「いつまでに機能を作れ ば購買する」といった旨の再度ア グリーメントを締結する。 無償使用期間が欲しい 無償使用期間を提供すると、その まま逃げられる可能性が高い(利 用と購入は大きく異なる!)。本 気度を検証するためにも、「トラ イアルの代わりに、1年間の契約と 30日間の無償キャンセルポリ シー」を提供しよう。実質は同じ だが、コミット度合が異なる。 契約書を変更してほしい 契約書が販売先の利用形態とそぐ わない場合がある他、購入する前 に企業側で取引先のベンダー登録 などが必要なケースもある。必要 最小限の変更だけにとどめてお き、極力標準の契約書で締結する ようにする。そのために標準的な 契約書をしっかりと用意してお く。
  89. 89. Y Combinator では SaaS ビジネスを行って いるスタートアップ向けに、標準的な契約 書テンプレートを提供している。米国ベー スではあるが基本的な条項は網羅されてい る。 オープンソース化されているので、契約書 がまだ未作成の場合は参考にすると良い。 ただし詳細は弁護士等に相談すること。 https://www.ycombinator.com/documents/# sales 90 参考) SaaS ビジネスの契約書テンプレート
  90. 90. セールスを通して、次の成長に必要なマーケティングのための仮説を構築しておくこと。 主に下記の 3 点を中心に検証すると良い。 91 セールスや手動ユーザー獲得から学べることを学ぶ 顧客の課題は解決できるか 提供しているプロダクトがきちん と課題を解決できているか、継続 的に使ってくれているかどうかを 検証する必要がある。販売したに も関わらず使ってくれていないの なら、それはプロダクトに何か問 題があるという兆候である。 価格は適切か 適切な価格で販売できているかど うかを検証する必要がある。ス ケールの際には、顧客が喜んでお 金を払い、かつ十分な競争力のあ る価格の設定をすることで、利益 を最大化できる。マーケティング で広く人を集めてくる際には、 セールスのようなケースバイケー スの価格設定が難しくなるので、 最適な価格帯を検証すること。 どのチャネルが最適か マーケティングをする際に、売買 が成立した顧客がどのような情報 源から自分たちのプロダクトのこ とを知ったのか、あるいは普段ど のような行動をしているのかを聞 いておくことで、マーケティング を行う際にどのチャネルが最適か の仮説を立てることが容易にな る。
  91. 91. 以上、セールス(手動ユーザー獲得)の大きな流れについて説明した。 スタートアップにおけるセールス活動は単純にプロダクトを売る活動なのではなく、プロ ダクトを使った仮説の検証の場であり、プロダクト開発のためのフィードバックを得るた めの活動であることを知ったうえで、創業者自身が恐れることなくセールス(手動ユー ザー獲得)にまずは邁進することをお勧めする。 より詳細な営業活動については、以下の本などを参考にすること。 • To Sell is Human (Daniel Pink) • SPIN Selling (Neil Rackham) • Startup Selling (Scott Sambucci) • 最強の営業戦略 (栗谷 仁) 92 まとめ: セールス(手動ユーザー獲得)を通して顧客と話す
  92. 92. 93 Talk to Users
  93. 93. Customer Support 94
  94. 94. 完璧な製品などないので、プロダクトのリリース後にはバグフィックスや顧客からの問い 合わせなどを含んだ「顧客サポート」が必然的に発生する。また SaaS プロダクトの場合 は SLA の遵守など、販売後にも様々なフォローが必要であるほか、サポートで儲けるビジ ネスモデルもあるので、多くの起業ではサポート部門を用意して、有料コンサルティング のほか、電話受付やメール受付を行っている。 最も心を痛めるのは、顧客が感情的になっているケースである。自分たちに落ち度のある 場合は自分たちの落ち度を認めたうえでどのように謝罪するか、また誤解などがある場合 は、どのように誤解を解いてより良い関係を築いていけるかはサポート次第である。 95 プロダクトにはサポートが必要 開 発 企 画 テ ス ト デ プ ロ イ 仕 入 採 用 販 促 営 業 サ ポ ー ト
  95. 95. 96 スタートアップはどんなカスタ マーサポートを雇うべきか? • 顧客に怒られても心が折れない人 • 技術面、顧客面ともにプロダクト のことを良く知っている人 • 声の良い人(電話サポートは良い 声の人のほうが顧客満足度が高い 傾向にある) • (価値がそれほど高くないので安 いところに発注したい)
  96. 96. 97 スタートアップはどんなカスタ マーサポートを雇うべきか? • 顧客に怒られても心が折れない人 • 技術面、顧客面ともにプロダクト のことを良く知っている人 • 声の良い人(電話サポートは良い 声の人のほうが顧客満足度が高い 傾向にある) • (価値がそれほど高くないので安 いところに発注したい)
  97. 97. 98 ではどうすればいいのか
  98. 98. You 99
  99. 99. You 100 創業者自身がプロダ クトや顧客のことを 最も知っており、最 も情熱を持っている ので、自身でサポー トを行うことが最も 顧客のためになる
  100. 100. Airbnb 創業者の Joe が、創業初期、頭に常にヘッ ドセットを付けているのを何度も見た。だって彼 はノンストップでカスタマーサポートの電話を取 り続けていたんだ。(Kevin Hale – Partner, Y Combinator) http://startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ http://www.forbes.com/sites/alexkonrad/2014/03/20/airbnb-cofounders-are-billionaires/ 101
  101. 101. 創業者がサポートを行うことは、よりよいサポートを提供できるだけではなく、様々なメ リットを享受することができる。 102 サポートをすることにより得られるメリット ユーザーの体験を良くする (製品は体験の一部でしかない) 熱狂的な顧客を獲得する (Earlyvangelist) 最も早くプロダクトについ て学べる方法である ユーザーが求めているのは製品 単体ではなく、製品が課題を解 決できるかどうかと、その体験 であるため、サポートを行うこ とで自分たちのサービスの価値 をさらに向上させることが可能 だし体験そのものを良くできる スタートアップ初期において熱 狂的な顧客を獲得できなけれ ば、以後のマスマーケットで通 常の顧客を獲得することはほぼ 不可能。また初期に熱狂的な顧 客がいれば口コミで宣伝してく れる。 サポートを通して、自分たちの プロダクトのバグや、そもそも のプロダクトへの方向性への フィードバックを直接得ること が可能。またサポートツールの 改善も見込める。
  102. 102. 103 1日あたりの サポートのキャパ シティ 1日当たりの サポート件数 Airbnb のサポートのトレンド (Apr., 2010 – Oct., 2012) サポートキャパシティがサポート件数を上回る (すべてのサポートに対応できるようになる) のは 2012 年に入ってから Airbnb のサポートのトレンド (Apr., 2010 – Oct., 2012) サポートキャパシティがサポート件数を上回る (すべてのサポートに対応できるようになる) のは 2012 年に入ってから
  103. 103. 104 Airbnb のグロース (Apr., 2010 – Oct., 2012) (Google Trends) グロースが始まるのは 2012 年に入ってから
  104. 104. 105 Airbnb のグロース (Apr., 2010 – Oct., 2012) (Google Trends) グロースが始まるのは 2012 年に入ってから
  105. 105. 106 Airbnb のグロースが始まったのは、しっかり と電話対応ができるようになって、顧客からの 要望に応えられるようになってからだった 1日あたりの サポートのキャパ シティ 1日当たりの サポート件数
  106. 106. 107 Photo by Dave Thomas, released under the Attribution Creative Commons license, from http://www.paulgraham.com/bio.html 初期の顧客を幸せに しようと尽力したス タートアップが行き 詰ってしまったこと を見たことがない http://paulgraham.com/ds.html
  107. 107. スタートアップ初期においては、多くの人をまあまあ幸せにするよりも、少数の人を大き く幸せにしたほうが実りが多いことが多い。これは少数のアーリーアダプターのほうがよ り良いフィードバックをくれるし、さらにプロダクトのファンになってくれる可能性が高 いため。彼らをまず幸せにすることを考えよう。 108 多数のちょっとした幸福より、少数の大きな幸福を
  108. 108. たくさんの人を少しだけ幸せに するよりも、少数の人を本当に 幸せにしたほうが良い (Y Combinaor がいつもスタートアップに伝える原則の一つ) Paul Buchheit Creator of Gmail, Co-Founder of FriendFeed Photo by Thomas Hawk, https://www.flickr.com/photos/thomashawk/3408363329/ 109
  109. 109. 110 カスタマーサポートはどうやれば
  110. 110. Photo taken by Wufoo Team https://www.flickr.com/photos/wufoo/5169213466/ 111 Support Driven Development By Wufoo
  111. 111. Image from Wufoo Lecture startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ 112 Wufoo の実績:SDD により右肩上がりの購読者数
  112. 112. Image from Wufoo Lecture startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ 113 Wufoo の実績:投資家にとっての ROI が異常
  113. 113. 常に SDD を行うことでスケール後も サポートリクエストの量がほぼ変わらず Image from Wufoo Lecture startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ 114
  114. 114. Wufoo では 50 万人のユーザーと 500 万人のフォーム利用者に対して、たった 10 人で以 下のような SDD を行っていた。 115 Wufoo の Support Driven Development 10人中 1人はシフト制でサポート担当 専属となる 毎週必ず 4~8 時間 ユーザーと直接対話するよ うに義務付け 開発時間の 30%をサポート用の内部ツール の開発に充てている 毎週 400 の問題と 800 のメー ルに対応できていた。そして 9 時から 21 時までの通常のレス ポンスタイムは 7 ~ 12 分、21 時以降は1時間程度、週末も 24 時間以内にレスポンスしてい た。 ユーザーとの直接のコミュニ ケーションがプロダクトを良く する。報告書やグラフではダメ というルールを課して、サポー トを含むユーザーとの直接対話 を行っていた。 ツールの開発で迅速なサポート ができ、より良いサポートが可 能になるほか、自分たちのサ ポートの時間を減らすことがで きる
  115. 115. Image from Wufoo Lecture startupclass.samaltman.com/courses/lec07/ 116 同様に Kayaku ではエンジニアルームの真ん中にカスタマーサポート専用の 赤い電話を置き、エンジニアがカスタマーサポートの電話を取るようにし ていた。 そうすることで、同じ質問を 2 回、3 回とされると、エンジニアたちがす ぐにその問題解決に取り掛かるようになり、サポートの電話がかかって来 なくなった。
  116. 116. サポートには サポート以上の 価値がある 117
  117. 117. サポートは主に 3 つのユーザーを対象に行うことで、より良い洞察を得ることができる。 118 サポートするターゲットは 3 つ 1. 利用していないユーザー これはカスタマーサポートの対象 外であるが、プロダクト開発前と 同様に、引き続き「なぜ利用して いないか」「なぜ競合を使い続け るのか」は探り続ける必要があ る。 2. 使い続けているユーザー 使い続けてくれている (retention し ている) ユーザーのサポートをすべ き。特に何故使ってくれたのか、 使い続けてくれたのか、そして 困っている部分はないかを聞いて いくことで、彼らの満足度をさら に上げることができるし、最終的 に Earlyvangelist になってもらえ るかもしれない。 3. 離れてしまったユーザー いわゆる churn してしまったユー ザーへのサポートも重要。 サポートをして戻ってきてくれれ ば最高だが、戻ってきてくれなく ても「何故使わなくなったのか」 「どのような使い方をしていた か」などのヒアリングをすること ができ、プロダクト開発への フィードバックを得ることができ る。
  118. 118. Customer Support ↓ Customer Success 119
  119. 119. 顧客がプロダクトを買う、あるいは使っているのは、プロダクトを使って何かしらの Job を終わらせたい、というためである。たとえばそれは CRM であったり、 プロダクトによって顧客がそれに成功していなければ、プロダクトに価値はなく、徐々に プロダクトの利用頻度は下がってくる。 つまり受動的なサポートではなく、顧客の成功のために何ができるか、というカスタマー サクセスの観点から動くと良い。そのため、多くのスタートアップが Customer Success 部 門を用意している。 https://www.linkedin.com/job/customer-success-manager-jobs/ 120 サポートではなくサクセス(成功)を Customer Success 部門がある代表的な企業
  120. 120. サポートに入ってくる顧客の声をそのまま反映させるだけではうまくいかない。 たとえば、「こういう機能があればいいのに」という顧客からのフィードバックは、(創 業者たちがたびたび間違うように)大抵間違いである。 そしてその間違いは顧客のせいではない。顧客が何が欲しいかを知ることは、顧客の仕事 ではない。 顧客の声やフィードバック、そして行動データといったヒントから、優れた仮説を導き出 すのはプロダクト開発側の仕事である。プロダクトの答えはユーザーから与えられるもの ではなく、自分たちが考えなければならない。 121 ただし顧客の声に従順になりすぎないこと
  121. 121. 122 もし人々に何が欲しいかを尋ねていたら、彼 らはきっと「もっと速い馬が欲しい」と言っ ていただろう – Henry Ford
  122. 122. 123 何が欲しいかを 知ることは、 顧客の仕事では ない
  123. 123. サポートを自分たちで行うことで、プロダクトへのフィードバックを含む様々なメリット が得られることを解説した。さらにサポートを中心に開発を進めていく Support Driven Development や Customer Success といった考え方を紹介した。 顧客と話し、サポートの結果からアクションを起こし続け、プロダクトを改善し続けるこ とがスタートアップの唯一の成功方法である。 125 まとめ: カスタマーサポート
  124. 124. function universal_startup_algorithm () { while (startup.cash > 0) { feedback = action(); startup.improve(feedback); } } https://www.youtube.com/watch?v=k4_3uluQsq4 Photo by @gxjansen https://www.flickr.com/photos/onlinedialogue/10208820024/ 126 Optimzely のスタートアップの function
  125. 125. 127 Talk to Users
  126. 126. まとめ 128
  127. 127. 129 Photo by Dave Thomas, released under the Attribution Creative Commons license, from http://www.paulgraham.com/bio.html 失敗した起業家はバカではなかった。 彼らの知性は成功した起業家と同等 で、言われたことの示唆をすべて実行 する能力もあった。 http://paulgraham.com/word.html でも彼らは言われた ことをするのに本気 になれなかったん だ。
  128. 128. プロダクトリリース後は、プロダクトを使って顧客と話 し、プロダクトを良くしていく必要がある。そのために本 スライドではプロダクトリリース後の「スケールしないこ と」を中心に解説した。 特に • セールス • カスタマーサポート の 2 点について、顧客と話すことを中心に解説を行った。 マーケティングはもちろん重要である。ただしプロダクト リリース直後のスタートアップにとって、マーケティング がすぐさま重要であることは少ない。毎週の成長率を維持 しつつ、また今後のスケールのときに必要なマーケティン グを考えつつ、今は「スケールしない」方法でユーザー獲 得をすることが長期的には役に立つと考える。 130 まとめ: マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう スライドタイトルは寺山修司の著作より
  129. 129. Paul Graham の Before the Startupから 「スタートアップを始めるということは、ゲームの攻略法が効かなくなる領域に足を踏み 出すということだ。 大企業に勤めるなら、システムを攻略するやり方はうまくいくだろう。 企業が壊れていればいるほど、適切な人々に取り入ったり、何か仕事しているふりをして いれば、 それなりに成功できるだろう。けれどもそれはスタートアップではうまくいかな い。 ごまかすべき上司はいない。ただユーザがいるだけで、ユーザは自分の望むことを あなたの製品がやってくれるかどうかにしか関心がない。…(中略) だから、攻略のコツを探すのはやめよう。確かに、他の全ての分野と同様、 スタートアッ プにもコツはあるにはあるけれど、それは現実の問題を解くことの重要性に 比べたらほん のちっぽけなものだ。資金集めのことを何も知らなくても、 ユーザが熱狂するものを作っ た創業者は、あらゆるコツを知っていながら ユーザ数のグラフを全く伸ばせない創業者よ りもずっと楽に資金を集められるだろう。 もっと大事なのは、ユーザが愛するものを作っ た創業者は、 資金を集めた後に成功へと向かうだろうということだ。 今まで身につけてきた中で一番強力な武器を取り上げられたと考えると、 これは悪い ニュースだろう。けれども、スタートアップを始めることで これまでの攻略ゲームの外側 に踏み出せるってことは、 わくわくすることだと思う。既存のゲームに合わせるのではな く、 ただ良い仕事をしていれば勝てる領域がこの世にある、ってことは、すごいことじゃ ないか。 」 参考:”Before the Startup” http://paulgraham.com/before.html (訳: http://practical-scheme.net/trans/before-j.html) 太字は引用者によるもの 131 最後に: スタートアップに”ゲームの攻略本”はない
  130. 130. https://www.theinformation.com/YC-s-Paul-Graham-The-Complete-Interview 132 スタートアップを始め るということは、ゲー ムの攻略法が効かなく なる領域に足を踏み出 すということだ - Paul Graham Co-Founder, Y Combinator http://paulgraham.com/before.html http://practical-scheme.net/trans/before- j.html
  131. 131. 133 Make something people want Do Things that Don’t Scale スケールしないことをしよう
  132. 132. 134 Make something people want Writing code and Talking to Users コードを書いて顧客と話そう
  133. 133. 135 Make something people want Make Something People Want 人が欲しいと思うものを作れ

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