Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

自閉症スペクトラム・自閉症とその原因

2,297 views

Published on

自閉症の原因について。
心理の仕事を始めた時は、自閉症の原因や特徴について、行動的側面や遺伝的側面、心理的側面からしか教わらず、釈然としないものが残っていた。
色々勉強して分かったこともあるし、来訪する方の納得が得られるものも多いなという実感もあるので、ここで知っている限りを掲載するのも良いのかもと思いました。あまりに難しい話は割愛(自分の理解が追いつきませんでした)。

Published in: Education
  • Be the first to comment

自閉症スペクトラム・自閉症とその原因

  1. 1. 自閉症スペクトラムとその原因 佐 名 隆 徳 t . s m 2 @ p r e f . c h ib a . l g . j p
  2. 2. 目次 自閉症スペクトラム(ASD)の特徴 障害の原因 障害がどのように作られるか
  3. 3. 自閉症スペクトラム (ASD)の特徴
  4. 4. 自閉症スペクトラム(ASD) 生得的・先天的な脳の成熟障害によって発生する広汎な領域に及 ぶ発達上の問題や障害 DSM-5では自閉症者をどのように支援すべきかの目安を得るため に、『社会的なコミュニケーション』と『興味の限定・反復的な常同行 動』の分野で『自閉症スペクトラムの重症度の区分』を3段階で設定 している。 「トップダウン処理の障害」もあるといわれている(局所回路レベル の詳細な部分にこだわり、全体を統合できない) ・・・後述
  5. 5. ASDの診断基準1 A.現在または履歴により,以下のようなことが明らかにされ,多くの状況を通した社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な障害 1 .社会―情緒的相互性の障害 2 .社会的相互作用に使われる非言語的コミュニケーション行動の障害 3 .関係性の発達・維持・理解の障害 B .現在あるいは履歴において以下の事項の内少なくとも2 つにより示される,行動・関心・活動における固定的・反復的なパターン 1 .型にはまったもしくは反復的な動作やものの使用ないし会話(たとえば,単純な運動パターン,おもちゃの配列,特異なフレーズ) 2 .同一性へのこだわり,決まったやり方への柔軟性を欠いた固執,儀式化した言語的・非言語的行動パターン 3 .強度や焦点が異常なかなり限定された固定的関心 4 .感覚刺激への過剰反応もしくは鈍感さ、環境の感覚的側面への通常でない関心
  6. 6. ASDの診断基準2 C 症状は発達初期に存在している(しかし,社会的要求が制限された能力を超えるまでは顕現 しないかもしれないし,後の人生で学習されたストラテジーにより隠されてしまっているかもしれ ない)。 D 症状は,現在の機能で社会的,職業的,あるいは他の重要な領域において臨床的に重要な 障害を引き起こす。 E これらの障害は,知的障害ないし発達遅滞によってよりよく説明されない。知的障害と自閉 症スペクトラム障害はしばしば併存する。自閉症と知的障害の併存診断をするためには,社会 的コミュニケ-ションが,一般的発達水準から期待されるものより低くなければならない。
  7. 7. 共感化-システム化仮説 バロン・コーエンは、「共感化の遅れと障害」を「平均以上に強いシステム化」と の対比によって説明 システム化とは、分析したり構成する事やルール化への動機。規則性や構造、 ルールへの強い意識からシステム化を行うというもの この仮説は「汎化・統合の困難さ」の説明になる。強いシステム化傾向の強い 人にとって、システムの差異>共通性の興味・把握となる
  8. 8. 自閉症児のアイコンタクト回避についての仮説 アイコンタクトをした場合、①視覚刺激が扁桃体に伝えられ②扁桃体は それぞれの刺激に対して感情的に反応するかしないかを決め③子ども は適切な感情的な反応(普通正常な鼓動)示す。 一方、ASD児では、②の扁桃体における情報処理が異常であるので、③ の反応が異常になってしまいアイコンタクトの回避が生じる
  9. 9. ASDの脳は定型発達児より大きい 一般的に不要になったシナプスは「刈り込み」により 削除される ASDの子供は「刈り込み」の過程で不具合が生じる ⇒シナプス過多
  10. 10. トップダウン処理の困難さ ASD児の注意の機能として,ボトムアップ処理能力に優れ,トップダ ウン処理能力が低い 例)単純刺激記憶は良好だが、文章などの意味理解を伴う記憶は苦手 視覚情報の処理でも、局所回路レベルの詳細な部分にこだわり、 全体を統合できない・・・「トップダウン処理」の困難さに由来か?
  11. 11. 障害の原因
  12. 12. ASDの原因 単純な世代間遺伝は否定されている 父母いずれかの遺伝子が原因でなく「遺伝子の発現」(後 述)が原因 ASDと関わりのある神経毒性物質(農薬等)が特定されつ つある
  13. 13. 発達障害は“遺伝病ではない” 「発症しやすさを決める遺伝子背景」があり、「引き金を引く環境因 子」により発症する「環境病」である 発症メカニズムは「シナプス形成・維持の異常」
  14. 14. 父親とASD ASDの発生は、父の高齢化と相関あり ⇒父の精子のDNA上の突然変異の蓄積が原因と思われる 精子のDNAは修復力が弱いため、放射性物質や遺伝毒性を持つ 化学物質への長期曝露が大きく影響していると考えられている
  15. 15. 高齢父の精子レベルで突然変異率上昇⇒子供がASD・統合失調症 が発症しやすくなる 原因:放射性物質や突然変異原性を持つ毒性化学物質などの曝 露期間が長くなり、遺伝子異常が蓄積する環境要因であるため
  16. 16. ASDの世代間相関(≠遺伝) ×:遺伝率92%・・・ラターの一卵性双生児研究の誤り(環境因も含 めた数値+調査の杜撰さ??) ○:遺伝率38%程度、胎内などでの共有環境要因が55% 遺伝率が低くない理由:母体が摂取する物質や環境は同一だから、 外部要因でASDとなるならば遺伝率はそれなりの数値になる
  17. 17. 発症の引き金を引く環境因子 出生前の化学物質環境:必須栄養物質の不足(低体重とADHDの関 連?)・ニコチン(自閉症・ADHD)・PCB(ポリ塩化ビフェニル)や農薬類 出生後の化学物質環境:脳への酸素供給断絶(様々な脳発達関連 障害)、農薬殺虫剤類、放射性物質の内部・外部被曝
  18. 18. 農薬と発達障害 「PDD(広汎性発達障害)の有病率」と「農薬の単位面積当たりの使 用量」(OECD2008年)が共に、世界1位:韓国、世界2位:日本、世界3 位:英国、世界4位:米国 ⇒「農薬の使用とPDDは無関係」と言ってよいのか・・・?
  19. 19. 発達に影響を及ぼす農薬や化学毒性物質 ASDと関連:①妊娠初期の喫煙(ニコチン)、②水銀、③有機リン酸系 農薬、④ビタミン等の栄養素不足、⑤親の高齢、⑥サリドマイド、⑦ バルプロ酸(デパケン、セレニカ) ADHD,知的障害と関連:①有機リン酸系農薬、②水銀、③PCB、④ ダイオキシン、⑤鉛
  20. 20. バルプロ酸(デパケン、セレニカ) 抗てんかん薬としての作用:主としてGABAトランスアミナーゼを阻害⇒抑制性シナプスでの GABA濃度を増加 他作用:ヒストンの修飾を外す酵素の阻害⇒DNAを囲むクロマチンの構造を変化させ、脳幹の セロトニン神経細胞等の分化などに関連する遺伝子の発現をかく乱し、ASD等の様々な症状を 発症していると考えられている 妊娠初期の投与が自閉症発症率と関連 ひどい場合は知的障害、学習障害、脳のある部分の奇形などを引き起こすという報告も
  21. 21. 有機リン酸系農薬 コリンエステラーゼ(アセチルコリンを分解)を阻害すること で毒性を発揮 遅発性の神経症状・化学物質過敏症などの神経系障害・ 免疫系障害等
  22. 22. 水銀化合物 ASD,ADHDの原因になるとされる 発症メカニズム:血中の水銀量に比例して甲状腺ホルモンが低下 ⇒シナプス形成・維持の阻害作用が、発症しやすい遺伝子背景を 持つ子どもにASDやADHDを起こすと思われる
  23. 23. 鉛化合物 発達神経毒性メカニズム:胎内で鉛イオンが各種の酵素などたんぱく質に結合し機能障害が おこる 小児期の子供:鉛の血中濃度約15μg/100mlで注意持続時間や記憶力の低下等、ADHDの原 因になりうる変化を起こす 胎児期の子供:平均8μg/100ml程度の鉛曝露で、妊娠後期の血中鉛量増加に比例して6~10 歳の知能指数が低下 「鉛の血中濃度が10μg/100ml増える毎に、子どもの知能指数が4~7ポイントずつ低下(米国 小児科学会)」
  24. 24. ASDとオキシトシンと扁桃体 オキシトシンが他人の感情を理解し、信頼関係に関与していることが示されている 他者の模倣を通して共感や協調に関わる脳部位は、下前頭回の弁蓋部/共感により他者の 感情を理解するのに重要なのは扁桃体 ⇒この2 つの領域がASDに関与すると推測されている。 オキシトシンの受容体は扁桃体に豊富にある。このオキシトシン受容体の遺伝子多型とASDは 有意な相関があるという報告がある オキシトシンを鼻から投与することで、社会性認識や感情理解が増加したという報告も・・・
  25. 25. 参考)GABA アミノ酸のひとつで、主に抑制性の神経伝達物質として機能。興奮 を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする役割を果たす シナプスでは、シナプス前膜から放出され、後膜の膜上にある GABA受容体タンパク質と結合して作用を発揮
  26. 26. 参考)アセチルコリン アセチルコリンは、ドーパミン、セロトニン、GABA、グルタミン酸など 他の神経伝達物質の放出を促進する アセチルコリン神経系は覚醒時の大脳皮質の賦活に重要な役割を 果たしている。アセチルコリンの分泌量が不十分になると、記憶力 の低下や認知力の障害、感情の平坦化等が起こされる
  27. 27. 1. 神経細胞と神経細胞は間があって(シナプス間隙)、そこにアセチルコリンが放出され、 受容体にキャッチされ、信号が伝わる。 2. 受容体に結合したアセチルコリンは、分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)によって、即 座に分解される。 アセチルコリンは他の神経伝達物質と異なり、分解されないと信号伝達が終了しない。 有機リン系農薬はこのときの分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と結合し、アセチルコリン を分解できなくなり、スイッチオンの状態のまま信号が伝わり続ける。
  28. 28. 障害がどのように作られるか
  29. 29. 障害発生のメカニズム 1. 精子や母胎が、放射線や遺伝毒性を持つ化学物質により長期暴露される 2. 遺伝子異常が蓄積 3. シナプス形成・維持の異常に繋がり、遺伝子の発現に影響が出る 4. どのシナプスの形成・維持に異常があるかによって症状(ASD,ADHD等)が 決まる(が、詳細はいまだ不明な点が多い)
  30. 30. 遺伝子の発現 脳など人体の構造や機能は遺伝子ではなく、最終的には環境要因で変わりえ る遺伝子の発現が決定している 本能行動を担う神経回路群は、ほぼ遺伝子の設計図通りにできあがる 言語能力等後天的な獲得行動を担う神経回路群は遺伝子の設計図は無い ⇒環境要因等により、個々で異なる機能を持つ神経回路群へ 純粋な遺伝要因が原因の病気:単一の遺伝子の変異が必ず発病に結びつく 「遺伝病」(レット症候群、脆弱性X染色体症候群等、ダウン症)のみ
  31. 31. 参考)ASDの発症脆弱性と環境の関係 自閉症の発症要因として,環境要因の占める割合が 55%にのぼるとの報告も サンフランシスコ湾岸地域での調査で自閉症のリスクを有意に上げる環境物質は,3つの金属 (水銀,ニッケル,カドミウム)と 2つの塩素化溶媒(トリクロルエチレン,塩化ビニール)であった。 5物質はいずれも,遺伝子の突然変異,酸化ストレスからのDNA傷害,DNAの修復機構の傷害 を起こしうることが示されている メチル化にかかわる酵素の遺伝子多型によっては,母体の妊娠前から受精後 1ヶ月の間のビ タミン不足の影響を強く受け,自閉症発症のリスクを増す ASD、AD では t-検定,多重ロジスティック回帰解析ともに,母では差がなく父では有意に高齢で あった.高機能自閉症/アスペルガー障害では、t-検定では両親ともに有意差 はなかったが, 多重ロジスティック回帰解析では父で有意に高齢であった。「自閉症児」と「父が高齢である児」 に共通する遺伝子には,トランスクリプションと亜鉛にかかわる遺伝子が多数含まれていたと 報告されている.
  32. 32. いつ障害になるか 発達神経毒性をもつ物質の脳シナプス側の感受性期は、特定のシナプス群ごとに異なる サリドマイド、バルプロ酸(デパケン、セレニカ) ASD:受精後1ヵ月(特定) 他の発達神経毒性物質 ASD,ADHD:受精後3~5ヵ月~1歳前 知的障害:受精後2~3ヵ月~出生後数ヵ月
  33. 33. 参考文献 黒田・木村「発達障害の原因と発症メカニズム: 脳神経科学の視点から」(2014) 河出書房新 社 杉江(2012) 自閉症スペクトラムの発症脆弱性と環境 精神経誌 日比・熊田・山口・金沢 (2012) 視覚的探索課題を用いた発達障害児の注意機能に関する実 験的検討 発達研究 Simon Baron‐Cohen「自閉症スペクトラム入門―脳・心理から教育・治療までの最新知識」 (2011) 中央法規出版 「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」(2014)医学書院 http://ameblo.jp/angsanaorchard/entry-12106316562.html

×