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データ視点のit資産価値評価の検討(経営情報学会2014)

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2014年10月25日の「経営情報学会2014秋季全国研究発表大会」での発表資料です。
データ視点のIT資産価値評価の検討をしています。

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データ視点のit資産価値評価の検討(経営情報学会2014)

  1. 1. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -0- Discussion Purpose Only データ視点のIT資産価値評価の検討 2014年10月25日 河田 哲 (ブレインズテクノロジー株式会社) 経営情報学会 2014年秋季全国研究発表⼤会 IT資産価値研究部会
  2. 2. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -1- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 目次 -1- 1.検討の背景 2.データの重要性(先⾏調査/研究より) 3.IT資産価値の検討対象とすべきデータ 4.データの価値評価の検討視点の考察 5.データのIT資産価値の考察 6.まとめ
  3. 3. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -2- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 1.検討の背景 -2- 企業活動に関わるデータの増加、重要性の高まりに比して、企業が取り扱 うデータ、企業情報システムにおけるデータの資産性、価値評価の検討は 十分になされているとは言えない。 IT技術のコモディティ化の流れと同様に、分析方法についても既にコモ ディティ化の兆しは⾒られており、多くの企業がデータそれ自体の価値に ついて、改めて向き合うべき状況となっている。 本研究では、企業情報システムが扱うデータに着目して、IT資産としての 価値の変化について仮説の提示を⾏う。
  4. 4. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -3- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 2-1.データの重要性(先⾏研究より) -3- ITのコモディティ化が進む中、データと情報は「究極の企業独自テクノロ ジー」と言える(Carr,2004年)。 データ分析の活用と事業の業績の間にははっきりした相関関係が認められ ている(Davenport,2008年)。 データは企業における最も重要な経営資産である。データに対する投資機 会は無限にあり、その投資は自社独自の価値を生み出す(Redman,2010年)。 データに問題(遅延、不正確性、⽋如等)があると、作業を⾏うコストは データがすべて正確だった場合と比較して十倍になる(Redman,2010年)。 データの重要性を改めて主張するまでも無いが、データの価値を評価する フレームワークは無く、評価・検討のアプローチも十分とは言えない。 従来のデータの議論では、データ品質に着目したデータマネジメントの重 要性が指摘されてきた。 近年のビッグデータの議論では、データの品質・重要性よりも、「データ 分析(⼒)」に着目した主張が増加。
  5. 5. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -4- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 2-2.データ分析の重要性(先⾏研究より) -4- データ分析の視点では、データの価値はデータそれ自体から生まれるもの ではなく、分析⼒(具体的には組織や⼈的資源)から⽣まれてくるという 考え方が主流。 改善余地×既に手元にあるのに気づいていないデータの検討は、これからの テーマ。 ビジネスインテリジェンス系のソフトウェアを使⽤することで「分析⼒」 がより手の届くものになっているが、その「分析」の根源となる「デー タ」の品質や管理・利活⽤については、多くの企業に改善の余地が残され ている(Redman,2010年) 。 既に手元にあるのに気づいていないデータを活用すれば、売上とROIを同 時にかつ劇的に上昇させることができる(Maex & B.Brown,2012年)。 データの価値は(それがどんなに巨大なものであろうと)データそれ自体 から⽣まれるものではなく、処理・分析を通して得られる発⾒や製品、 サービスから生まれてくる(Davenport,2014年)。
  6. 6. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -5- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 2-3.多くの検討要素 -5- 企業独自の価値 品質への要求 永続的な重要性 データのIT資産としての価値を考えるには、多くの視点が必要 データの種類 組織⼒・分析⼒ 所有者・責任者 活用目的・用途 収集範囲・コスト 環境変化 (データ量 技術) 環境変化 (データ量/技術) 業種業態
  7. 7. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -6- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 2-4.環境変化︓企業が扱うデータの急増 -6- 総務省の試算では、データ流通量(≒新たに生成されたデータ※)は過去7年 間で5.2倍、年率20%超で急増しており、2012年度のデータ流通量は、2.2 エクサバイトと推定。 データの蓄積量は、2012年時点の推定合計で9.7エクサバイトと肥大化が進 むが、業種によってデータ蓄積環境(社内/社外国内/社外国外)に大きな 違いもある。 (※)企業が、企業内/外部企業/消費者/政府から受信・閲覧・活用するデータを推定試算 (出典︓総務省「平成25年版 情報通信白書」,2013年) 【データ流通量の推移】 【データ蓄積量(産業別、2012年)】
  8. 8. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -7- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 2-5.ビッグデータの中のログデータへの着目 -7- 【構造化データと非構造化データの伸び】 (出典︓総務省「情報流通・蓄積量の計測⼿法の検討に係る調査研究」,2013年) 【ビッグデータの概念】 データ急増の要因は、従来の「構造化データ」に加えて「非構造化データ」 の飛躍的な増加にある。 ₋ 構造化データ︓汎⽤的なデータベースに格納することができるタイプのデータ ₋ 非構造化データ︓構造化されておらずデータベースに格納できないタイプのデータ ビッグデータをテーマとした議論は様々あるが、企業情報システムに深く関 係するのは非構造データ区分の中の「ログデータ」。
  9. 9. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -8- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 3.企業情報システムが扱うデータの種類 -8- マスタデータ トランザクションデータ ログデータ 概要 基本的な属性情報をまとめた 台帳的なデータ 業務に伴って発生したシステ ム上の処理結果を記録した データ システムの構成要素/レイヤー 単位の時系列の記録 具体例 顧客マスタ、商品マスタ、社 員マスタ等のシステム共通で 使用可能なデータ 小売業であれば、いつ、誰に、 何を、いくつ、いくら等の伝 票系データ、⾦融業であれば 取引明細データ アクセスログ、OSログ、 Syslog等のデータログの他、 DBのトランザクションログも 含まれる 特徴 固定的に扱うことを前提とし た定型データ、DBに格納 システム共通で利⽤ 構造化データ 追加・更新することを前提と した定型データ、DBに格納 システム個別に利⽤ 構造化データ 追加することを前提とした非 定型データ、テキスト形式 システム構成要素毎に利⽤ 非構造化データ 従来、企業情報システムが扱うデータは、特に「マスタデータ」、「トランザク ションデータ」に着目して、データマネジメントの重要性が指摘されてきた。 近年は、Web系システムの増加に伴い、ユーザの利⽤状況、⾏動パターンを把握す るためのアクセスログを代表とした「ログデータ」にも注目されるケースが増加。
  10. 10. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -9- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 4-1.業種業態の視点 -9- (出典︓総務省「平成26年版 情報通信白書」,2014年) 総務省の試算によれば、データ利⽤の効果は業種によって⼤きく異なる。 更に同業種の中でも業態、企業規模によっても、売上向上効果が⼤きく異なる ため、データ利⽤の価値は企業個々の基準で検討が必要。
  11. 11. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -10- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 4-2.情報の価値とデータ収集コストの視点 -10- 【情報価値の試算結果(個人情報1件あたり)】 JIPDCの調査(※)は、情報の価値を「有用性」と「取得難易度」で試算して おり、有⽤性・取得難易度が⾼いほど価値が⾼くなる。 (出典︓総務省「海外におけるビックデータの実態把握に関する情報収集・評価に係る調査研究報告書」,2013年) (※)Evaluation of economics value incurred from using big data (JIPDEC) 逆の視点(データ収集)で捉えると、情報価値は「データ収集コスト」と同 義で、有用性は「データ活用の用途の重要性/投資効果」と考えられる。 ⇒データ収集コストが低い分野については、データ活用用途が更に広がる。
  12. 12. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -11- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 4-3.データ分析の活用法の視点 -11- 出典︓ Enterprise Analytics by TH.ダベンポート Three Types of Analytics 事実・実績(過去 データ の分析 事実・実績(過去 データ)の分析 将来の予測分析 将来に対する⾏動 最適化の分析 将来に対する⾏動 最適化の分析 データ分析の活用法は3分類(descriptive-predictive-prescriptive)がある。 過去-現在-未来の軸において、事実・実績のデータ分析は構造化データを 使って従来から実施されてきたが、将来の分析、⾏動最適化の分析をする には非構造化データを使った予測分析が必要。
  13. 13. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -12- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 5-1.ログデータのIT資産価値の考察 -12- マスタデータ トランザクションデータ ログデータ 品質要求 高:低品質のマスタは意義無 高 低 企業の独自性 低~中:対象属性による 高:唯一無二の記録データ 中〜⾼:システムによる データ量 少ない、変化も軽微 多いが、変化は軽微 (構造化データ) 最も多く、大きく変動 (非構造化データ) 収集コスト -︓収集しない 高い 安い 分析の活用法 -︓分析しない 事実・実績(過去)の分析 将来の予測分析 事実・実績(過去)の分析 将来の予測分析、⾏動最適化 分析 分析の汎用性 -︓分析しない 低︓システム個別 中〜⾼:システムによる 価値としての 考察 整備できていない場合は、整 備の必要性が極めて高いが、 共通データであり、基本的に は差別化要素には位置付けら れない(生産性向上:○、売 上拡⼤︓×) 従来から優先的に分析されて きたデータ、更なる価値増⼤ に向けては、社外データとの 掛け合わせ等の考慮が必要 従来は異常時の参照のみで、 特定分野でしか分析されてい ないが、明確な目的とセット であれば、分析による潜在的 な価値⼤(⾒えなかったもの が⾒えるようになる価値) 多くの企業、情報システムにおいて、ログデータは十分には活用されておら ず、企業に眠っている状態「既に手元にあるのに気づいていないデータ」。 収集コストが低く、汎用性が高い(業種依存が低い)ことも大きな特徴。
  14. 14. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -13- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 5-2.近年のデータ分析事例 -13- マスタデータ トランザクショントランザクション データ ログデータ 従来はマスタ+トランザクション分析が多かったが、近年の分析は殆どがログ 分析も組込まれている。ログデータ中⼼の分析事例も急激に増加。 企業名 業種 取組み概要 カブドット コム証券 証券 Twitterの投稿を分析。特定キーワードの登場頻度と株価の動向に相関 関係があるかどうかを分析。顧客への適切な投資情報の提供を志向。 楽天 サービス 数千万人の会員情報、購買履歴、各サービスの利⽤履歴、ポイントの 活用状況などを分析/活⽤。顧客毎の広告配信、複数サービスの利⽤率 や購買率の向上を志向。 ヤフー サービス 利⽤者のアクセスログを分析。利⽤者に応じた適切な広告・商品の掲 載を志向。サイトデザインやメニュー変更による売上貢献への変化を 把握する指標にもデータを活用。 C・C・C サービス TSUTAYA各店舗のPOSデータ、レンタル商品の利⽤履歴、3000万人 を超える会員の購買履歴を分析。サービス向上、価格交渉を志向 ぐるなび サービス 運営する飲⾷店検索サイトを訪れるユーザーのアクセスログを分析し、 サービスの品質向上を志向。 全日本食品 小売 約1800店舗のPOSデータを収集/分析する。発⾏したクーポンや配布 したチラシの効果の最大化を志向。 ファンケル 化学 顧客マスターを統合し、顧客の購買履歴や問合せ履歴などを一元化。 顧客ごとに適切な商品やメルマガを案内。 ソフトバン クテレコム 情報通信 携帯電話やスマートフォンの接続率と利⽤者の満⾜度を調査すること で、費用対効果の高いエリア対策を実施。 大阪ガス 電気・ガ ス 給湯器の修理依頼内容から、交換が必要な部品を⾃動で割り出す。過 去数百万件の修理履歴や機器の型番をもとに適切な部品を⾃動抽出。 東芝 製造 ノートPCに搭載するHDDの稼働時間やエラー発生回数などを収集し、 HDDの故障を事前検知を志向。故障によるデータ紛失を未然に防止。
  15. 15. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -14- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 5-3.ログデータの活用の広がり -14- 対象データ 分析の活用法 分析による効果・価値 A社 Webシステムのアクセスログ ⾏動最適化の分析 (生産性の向上) システムへのアクセスの増加 B社 社内検索システムの利⽤ログ ⾏動最適化の分析 (生産性の向上) 利⽤者の業務時間の短縮 C社 ファイルシステムの利⽤ログ 過去の分析 (生産性の向上) 利⽤者の業務時間の短縮 D社 HWリソースのログ 将来の分析 (コストの低減化) トラブルの未然防止、余剰の可視化 従来はデータの「分析⼒」に着目されてきたが、分析⼒がコモディティ化 されると、価値を生み出す源泉は、データそのものに移る。 クラウドコンピューティングの進展により、データの分析サービスも増加 しており、ログデータの分析・活用の範囲は企業外部への「競争優位」か ら企業内部の「⽣産性向上」へと広がりも⾒せている。
  16. 16. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -15- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 6.まとめ -15- データの重要性、環境変化(データの増大、技術の進化)、データ分析によ る効果を考えれば、データをITリソースの一つとして資産価値の評価を検討 することは重要。 データの価値評価はデータ単体ではなく分析(目的、用途)とセットで、そ の評価対象は企業情報システムが扱うデータに絞って、企業独自の基準で考 えるべき。 従来は分析対象として扱われてこなかったログデータは「⾒えなかったもの を⾒える化する(できなかったことできるようにする)」、「将来の⾏動の 最適化を実現する」ためのデータとして、活用⽤途に広がりを⾒せている。 企業のIT資産としてデータを位置付けた場合、価値評価の対象とすべきは、 従来のトランザクションデータからログデータへと変化の兆しがある。 - トランザクションデータ︓従来の価値(弱点の補完) - ログデータ︓新たな価値(競争優位/生産性向上)の源泉となる可能性
  17. 17. Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan -16- Discussion Purpose Only Copyright (c) Brains Technology, Inc. Japan Discussion Purpose Only 参考文献 -16- 1. Thomas C. Redman, “Data Driven: Profiting from Your Most Important Business Asset”, Harvard Business School Press, 2008(栗原潔訳『戦略的データマネジメント』翔泳社, 2010年). 2. Nicholas Carr, “Does It Matter?”, Harvard Business School Press, 2004(清川幸美訳『もはやITに戦略的価値はない』ダイ ヤモンド社, 2014年). 3. Thomas H. Davenport & Jeanne G. Harris, “Competing on Analytics: The New Science of Winning”, Harvard Business School Press, 2007(村井章子訳『分析⼒を武器とする企業』日経BP社, 2008年). 4. Thomas H. Davenport & Jeanne G. Harris & Robert Morison, “Analytics at Work : Smarter Decisions,Better Results”, Harvard Business School Press, 2010(村井章子訳『分析⼒を駆使する企業 発展の五段階』日経BP社, 2011年). 5. Thomas H. Davenport, “Enterprise Analytics : Optimize Performance, Process and Decisions through Big Data”, Financial Times Prentice Hall, 2012. 6. Thomas H. Davenport, “Big Data at Work: Dispelling the Myths, Uncovering the Opportunities”, Harvard Business School Press, 2014(⼩林啓倫訳『データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦』日経BP社, 2014年). 7. Dimitri Maex & Paul B.Brown, “Sexy Little Numbers”, Crown Business,2012(⼩林啓倫訳『データ・サイエンティストに 学ぶ「分析⼒」』日経BP社, 2013年). 8. 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)『企業IT動向調査報告書2014』日経BP社, 2014年. 9. 安宅和人『ビッグデータ vs. ⾏動観察データ︓どちらが顧客インサイトを得られるのか』,Harvard Business Review August 2014, ダイヤモンド社, 2014年. 10.総務省「ICT分野の革新が我が国社会経済システムに及ぼすインパクトに係る調査研究」, 2013年 11.総務省「海外におけるビックデータの実態把握に関する情報収集・評価に係る調査研究報告書」,2013年

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