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評価事例から考える
文化的価値の評価の
課題
2023年3月19日
大澤 望
(一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ)
日本文化政策学会 第16回年次研究研究大会
企画フォーラムⅢ-A「文化的価値をどう評価するか?」
自己紹介
大澤 望(おおさわ のぞむ)
• 岩手県盛岡市出身
• 早稲田大学公共経営大学院修了(公共経営修士)
• 日本評価学会認定評価士
<主な所属>
• 株式会社 大沢会計&人事コンサルタンツ 取締役
• 一般社団法人 インパクト・マネジメント・ラボ 共同代表・アソシエイト
• 特定非営利活動法人 日本評価学会 理事
• 日本おせっかい学会
• 大阪おせっかい研究所
1
©Nozomu Osawa
これまでに携わってきた評価案件(実施支援含む)
• 就労支援事業
• 青少年のための科学/経済教育事業
• 子どもと大人のための環境教育事業
• 悩み相談事業
• 防災リーダー育成・普及啓発事業
• 再犯防止推進事業
• 介護職の魅力発信事業
• 水産業の6次産業化事業
• コミュニティツーリズム事業
• 自伐林家育成事業
• 若者演劇ワークショップ事業
©Nozomu Osawa 2
…などなど
本発表の趣旨
©Nozomu Osawa 3
「個人や社会に対する芸術文化の価値」*とはどのようなものか?それ
を明らかにするためにはどうすればいいか?を議論するために・・・
「個人の体験」に着目した評価(調査)事例を紹介し、
事例を振り返ることで文化的価値の評価の課題を考察する。
* クロシック&カジンスカ著、中村美亜訳『芸術文化の価値とは何か―個人や社会にもたらす変化とその評価』(水曜社、2022)p.16より
今回紹介する事例
©Nozomu Osawa 4
日本劇団協議会「演劇による社会的包摂プロジェクト」
(文化庁委託事業平成29年度戦略的芸術文化創造推進事業)
調査報告書ダウンロード: http://www.gekidankyo.or.jp/book/
• 演劇的手法による社会包摂活動の社会的価値を可視化するために
調査を実施
大澤が調査(評価)を担当したのは次の2つのプログラム
• 若者自立支援演劇ワークショップ大宮クラス(実施者:青年劇場)
• 若者自立支援演劇ワークショップ東京クラス(実施者:劇団銅鑼)
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
事例紹介①
2017年度若者自立支援演劇ワークショップ
大宮クラス@さいたま市若者自立支援ルーム
( WS実施者:青年劇場)
©Nozomu Osawa 5
大宮クラスの概要
©Nozomu Osawa 6
• 対象者:若者自立支援ルーム利用者(13~30歳)
• 活動場所:さいたま若者自立支援ルーム(さいたま市)
• 実施時期・期間:平成29年6月〜12月 全16回(各2時間前後)
その他、公演映像の上映会1回
• 目的:高校中退者・不登校やひきこもりなど社会的に孤立している青
少年に、演劇ワークショップを行い、コミュニケーションを培いながら、
演劇を通して表現する事にもチャレンジしていく。
最終的には多くの地域の方に成果を見てもらえるよう、発表をする。
発表することで社会的にもこの活動を広め、居場所を求めている若
者達に届けていく。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
プログラム概要
©Nozomu Osawa 7
• 高校中退、不登校やひきこもりなどの若者たちを対象に、居場所づく
りを行なっている、NPO法人さいたまユースサポートネットが運営する
「若者自立支援ルーム」に集まる青少年を対象に、月に2回演劇の
ワークショップを行う。
• そこに集まっている中高生から30代までの若者は、ひきこもり、虐待、
不登校、貧困など一人一人別々の課題を抱えている。「あいさつがで
きない」「自分の気持ちを伝えることができない」などの状態から、少
しでもコミュニケーションをとることが出来るようにワークショップを行
い、自立への後押しの一つにする。
• 期間は半年間、最後の月にはルーム内での発表をする。運営に際し
ては、ルームを支えるボランティアの方にも協力をお願いする。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS参加者数
©Nozomu Osawa 8
• 初期〜中期(6月〜9月):平均10名
• 公演稽古期(10〜12月):平均8名(常連組は5名前後)
• 公演への出演者:計9名
(ルーム利用者6名、ルームボランティア職員3名)
• 公演の観客数:約90名
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
シアターゲームの様子
©Nozomu Osawa 9
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
クリスマス会の演劇の様子
©Nozomu Osawa 10
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS参加者(ルーム利用者)の声①
©Nozomu Osawa 11
• 「練習時間は多くは取れませんでしたが、みなさんにどういう風な受
け取り方をしてもらえるか、どういう風に感じて頂けるかというのを重
点において演技をしました。色んな役があってこその自分の役だと
思っていますので、演劇に感動した方は、ぜひ他の演者の方も労って
もらえると幸いです」
• 「演じてみたら、予想以上に評判が良くて嬉しいです。自分の演じた
役柄が、だんだん、作中のものとは思えなくなっていて、知らないうち
に素の自分を出したのかもしれないです。今日の演劇がきっかけで、
もう少し演劇に入り込んでくれる方が増えることを願っています」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS参加者(ルーム利用者)の声②
©Nozomu Osawa 12
• 「役柄が難しくとても緊張しましたが、また演劇をやりたいと思いま
す」
• 「お客さんが楽しんだり、笑ったりしているのを見て、すごく嬉しかった
です。参加して楽しかったです」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
公演の観客(ルーム利用者)の声
©Nozomu Osawa 13
• 「体調が良くなくWSに参加できなくなっていましたが、次は体調を整
えてまたぜひ参加してみたいです」
• 「クリスマスにふさわしい演劇でとても良かったです。出演者も演技が
とても上手でした。馴染みの人たちが沢山出演していたので見ていて
とても楽しかったです。また、演劇をやってくれると嬉しいです。今日は
良い日になりました」
• 「少ない練習の中で大変だったかと思いますが素敵な演劇を見させ
て頂きました。内容もとても感動的でした。楽しいクリスマスプレゼント
に感謝いたします。来年またルームで演劇ワークショップがあれば参
加したいです」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
公演の観客(地域の方たち)の声
©Nozomu Osawa 14
• 「若さあふれる演技に感心しました。感激」
• 「すごく良かったです。5回の練習とは思えないくらいの完成度でした。素晴
らしい演劇をありがとうございました」
• 「よくセリフを覚えたと思います。うまかった。自信をもって生きて下さい」
• 「出演者のみなさんの一生懸命さが伝わってきました。楽しんでいる様子も
よかったです」
• 「短い時間の中で練習ご苦労さまでした。感動させられる演技でした。これ
からも頑張って下さい」
• 「良かったです。世の中は奇跡の連続かも。そして希望を持って生きること
を感じます。クリスマスにふさわしい劇でした」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
演劇WS終了後の講師との評価WSの様子
©Nozomu Osawa 15
WS参加者の変化の過程のモデル化
©Nozomu Osawa 16
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
演劇WS
の提供 A1. 解放感を味わう
(⼼を解放する)
A2. 他者・未知
のことへの
好奇⼼、関⼼が
⽣まれる
A3. 観察⼒
が⾝につく
A4. 他者を⾒て、
認識して、
⾏動するようになる
A6. 表現することが
楽しいと思うように
なる
A5. ⾮⽇常(フィク
ション)体験を遊
ぶ⾯⽩さを知る
台本分析を
させる
過程A︓⾃⼰の創造性
螺旋状
の変化
A7. ⼈間⾏動
パターンの学習
といった、俳優
⽬線での楽しさ
のポイントに
気づく
公演に向けた
配役を⾏う
過程B︓チームづくり
B4. チーム、
コミュニティの中
で位置ができる
B3. ポジション
認識できるように
なる
B5. みんなで
役割認識する
(→社会認識)
過程Aから過程Bに移り変わる
ターニングポイントとなる介⼊
B6. チームワー
クの理解/チー
ムの⼀員として
の意識の醸成
B7. チームで
観客を喜ばせる
ように向き合う
B8. 葛藤を経て、
理解し合える
(他者を許容)
B9. ⾃分の位置を
理解し、
ぶつかり合いを
怖がらない
B10.
⾒られる
褒められる
承認される
B1. 他者と
関わり合う、
つながる
B2. ⾃分の意⾒、
他者との違いを
認識する
⾏ったり来たりしながら
チームづくりが進んでいく
過程Bのベースとなる社会性要素
さ
ら
な
る
創
造
性
の
醸
成
へ
B11. 良いチーム
になる
→達成感と喜び
→次の課題へ︕
創造性の醸成を
促すための介⼊
モチベーション
を喚起する 読み合わせを
⾏う
各⼈の到達⽬標
を⽴てる
テキストを使う
アウトカムについてのWS講師の評価
©Nozomu Osawa 17
<過程A:自己の創造性>
A1. 解放感を味わう(心を解放する)
A2. 他者・未知のことへの好奇心、関心が生まれる
A3. 観察力が身につく
A4. 他者を見て、認識して行動するようになる
A5. 非日常(フィクション)体験を遊ぶ面白さを知る
A6. 表現することが楽しいと思うようになる
A7. 人間行動パターンの学習といった、俳優目線での楽しさのポイント
に気づく
※ 赤字は重要度が「大」のうち、「大いに達成出来た」と講師が自己評価したもの
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
アウトカムについてのWS講師の評価
©Nozomu Osawa 18
<過程B:チームづくり>
B1. 他者と関わり合う、つながる
B2. 自分の意見、他者との違いを認識する
B3. ポジション認識できるようになる
B4. チーム、コミュニティの中で位置ができる
B5. みんなで役割認識する(それが社会認識につながる)
B6. チームワークの理解/チームの一員としての意識の醸成
B7. チームで観客を喜ばせるように向き合う
B8. 葛藤を経て、理解し合える(他者を許容する)
B9. 自分の位置を理解し、ぶつかり合いを怖がらない
B10. 見られる、褒められる、承認される
B11. 良いチームになり、達成感と喜びを味わう。そして次の課題へと向かう
※ 赤字は重要度が「大」のうち、「大いに達成出来た」と講師が自己評価したもの
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
協働先(ルーム運営者)の声
©Nozomu Osawa 19
• 私たちの活動に大いに貢献していただきました。理由としては、まずクリスマス会
のメインの出し物としてお客様の前で上演し、評価をいただいたことで、演者と
なった利用者たちがダイレクトで達成感、自己肯定感を得られたことがあげられ
ます。
• 彼らは練習の日々を通じて、コミュニケーション力を磨き、自分の意見や心情をき
ちんと表明し、各自の思惑を調整するなどの必要にかられたことでしょう。
• よい影響を受けたのは出演者ばかりではありません。他の利用者も、普段ルーム
で過ごしている仲間によるパフォーマンスを観賞し、応援の気持ちを抱くという貴
重な経験ができました。
• 学校生活や社会生活を通して、"普通の"若者が当たり前のように持っているその
ような体験は多くの利用者にとって貴重です。彼らの生き直しのためにも、大いな
る力を頂いたことと思います。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
演劇WSの課題
©Nozomu Osawa 20
協働先(ルーム運営者)の声
• 芝居の練習を重ねて発表する、という目標の性質上、どうしても参加者が
限定的になりがちだと思う。
• いかにすそ野を広げ、敷居を低くするかという、演技の勉強とは矛盾するよ
うな課題があると思う。
WS講師の声
• ルームは自由参加なので参加者は最後まで常に不安定で、本番メンバー
が全員揃って稽古できたことは皆無だった。
• 良いワークショップは受け手の心と身体を解放させる。したがって心身のア
ンバランスが増幅される場合もある。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
事例紹介②
2017年度若者自立支援演劇ワークショップ
東京クラス
(WS実施者:劇団銅鑼)
©Nozomu Osawa 21
東京クラスの概要
©Nozomu Osawa 22
• 対象者:現在就職・就学していない35歳程度までの若者
• 協働先:NPO法人ワーカーズコープ(労働者協同組合)
• 活動場所:国立オリンピック記念青少年総合センター、ワーカーズ
コープ会議室、劇団銅鑼アトリエ
• 実施時期・期間:平成29年10月〜12月 全15回(1〜7回は10:00
〜17:00、公演直前は10:00〜19:00)
• 目的:仲間と共に舞台をつくり上げる体験を通して、若年無業者やひ
きこもりの若者たちに信頼感や自己効力感を土台とする自己表現力
を培ってもらい、社会参加や就労へと繋げること。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
プログラム概要
©Nozomu Osawa 23
• 若者自立支援団体等を通じて募集を行い、書類選考と面談で参加
者を決定。
• ストレッチやシアターゲームなどコミュニケーションを図る内容のワー
クショップを行う合宿からスタートし、その後、上演作品を決めて稽古
を重ね、関係者に発表する。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
広報チラシ
©Nozomu Osawa 24
WS参加者数
©Nozomu Osawa 25
• 計6名(定員10名)
• WS最後の公演には参加者6名全員が出演
• 公演は参加者の家族・友人や、関係者らが観劇
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
公演のチラシ(WS参加者がデザイン)
©Nozomu Osawa 26
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WSの取材記事
©Nozomu Osawa 27
朝日新聞デジタル > 記事 有料記事
2017年12月23日05時00分
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紙面ビューアー 面一覧
稽古する参加者と劇団銅鑼の劇団員=東京都板橋
区
ひきこもりからの脱出、演劇で 自立支援ワークショップ
続きから読む
ひきこもり や無職の若者たちを対象に
演劇の稽古や公演発表をする自立・就労支
援の「若者演劇 ワークショップ 」を、日
本劇団協議会が今年度から始めた。 文化
庁 の委託事業で、東京クラスは劇団銅鑼
(どら)( 板橋区 )の俳優を講師に10
月の2泊3日の合宿から始め、 ワークショ
ップ や稽古を実施。23日に 東京都 内
で、企業や 家族などの関係者に向けて上
演する。27日の振り返りも含め、全13
日間の演劇体験で自立につなげる考えだ。
社会から孤立した人たちの復帰を支援する同協議会の「演劇による社会的包摂プロジェ
クト」の一環。講師は俳優で銅鑼代表の佐藤文雄さん(64)ら。都内在住の20〜30
代の男女6人が参加。10月の合宿ではゲーム形式の ワークショップ をした。
上演するのは銅鑼の小関直人さん作「Big brother」で終戦直後、非行少年
が出会いを通して立ち直っていく作品だ。
新聞宅配申し込み デジタル申し込み
地域面紙面
天声人語
社説
各本社朝刊紙面 朝夕刊バックナンバー
PR 注目情報
実は…わが家を売りました
築24年でも4,380万円!
9割以上が満足した売却術とは…?
今だけプレゼント!
ダイソンエアドライヤーなどが
当たる豪華景品キャンペーン
最新の朝刊紙面
東京 2017年12月23日土曜日
トップニュース スポーツ カルチャー 特集・連載 オピニオン ライフ 朝夕刊紙面・be MY朝デジ
新着 社会 政治 経済・マネー 国際 テック&サイエンス 環境・エネルギー 地域 朝デジスペシャル 写真・動画
総合ガイド お客様サポート ログイン中
検 索 目次 Language
出所:朝日新聞「ひきこもりからの脱出、演劇で 自立支援ワークショップ」(2017年12月23日朝刊)
WS参加者の声
©Nozomu Osawa 28
• 「これに参加すれば何か変わるかもと思って参加しました。実際、すご
く変わりました。具体的に何が変わったかを言葉にすることはできま
せん。だけど、身近な人たちからも変わったと言われます。自信がつき
ました。やれば出来るんだと思いました」
• 「合宿から稽古と進んでいく中で、喜びや楽しさ、充実感を得られまし
たが、それ以上に戸惑いや不安、葛藤がありました。ですが、後悔はし
ていません。身に余るほどの経験をさせていただいていると思ってい
ます」
• 「演劇ワークショップ参加前は閉塞感がありましたが、今は壁が一つ
壊れた感じです。今度、企業の合同説明会の様子を、友人と一緒に
見学してきます」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
公演の観客の声
©Nozomu Osawa 29
• 「演劇の持つ力のスゴさ。プロ以外の方・若者がそこから得るものは
大きい。素晴らしいプログラムだと思いました」
• 「参加者がキラキラして、本来の自分の力、魅力に気づくきっかけにな
るんだろうな、と思いました」
• 「演劇という枠組みの中では、自分がどんな風にふるまうのか、参加
される方々の試しの場になっていて、素敵だと思います」
• 「若者の可能性を引き出して下さる素晴らしいプログラムと思い、感
謝しています」
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
公演後の振り返りワークショップの様子
©Nozomu Osawa 30
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS参加者の正のアウトカム(ポジティブな変化・体験)
©Nozomu Osawa 31
• ワークショップを楽しんだ。
• 演劇の面白さ、表現することの気持ち良さ、みんなで作る楽しさを実感した。
• あまり頭で考え過ぎず、その瞬間を大事にできるようになった。
• 苦手なダンスを克服できて、自信がついた。やれば何でも何とかなる!と思えた。
• (チラシデザインなど)やったことが褒めてもらえて自信がついた。
• 本番でその時点での自分の精一杯が出せたことで(納得できる出来だったことで)、自信がついた。
• 時間、気持ち、笑い、涙、食事を共にできたこと、共有できたことが、忘れない経験・日々になった。共鳴し合っ
ていたように感じる。
• 好きだな、素敵だなと思う存在が増えた。
• 素晴らしい人々と出会えた事の感謝。
• 全員で終えられたことの喜び。
※ 赤字は生じた人数、重要度ともに「大」となったもの
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS参加者の負のアウトカム(ネガティブな変化・体験)
©Nozomu Osawa 32
• 公演直前の稽古の日々は身体的・精神的に辛かった。
• スケジュール、体調管理の調節が上手くいかなかった。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
WS講師陣・協働先のアウトカム
©Nozomu Osawa 33
• カーテンコールで涙が出た。嬉しい涙は久し振りだった。
• 全員で舞台でできることの喜びを改めて感じた。
• WSや稽古を経て、参加者のみんなとより話せるようになった。
• 待つ事の楽しさ、変化する事の楽しさ、人が発する事の楽しさを以前
よりも感じた。
• 自立・就労に向けて必要な要素、関係性、資源について、考えるヒント
を得た。
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
プログラム共通のロジックモデル
©Nozomu Osawa 34
出所:日本劇団協議会(2018)「平成29年度『演劇による社会的包摂プロジェクト』調査研究報告書」
・ヒト
・モノ
・カネ
演劇WS
• シアターゲーム
• 朗読
• コント
• ミュージカル
• 舞台稽古
• 舞台制作
• 公演
など
• 実施回数
• 参加⼈
数、
参加回数
将来への
意欲の向上
⾃⽴
学習意欲の
向上
働く意欲の
向上
社会参加
新しいことに
チャレンジする
好奇⼼豊か
になる
遊び⼼やゆとり
が増す
他者に対する
想像⼒が⾼まる
物事を様々な⾓度
から考えられる
ようになる
⾃⼰効⼒感の
向上
⾃⼰肯定感の
向上
豊かな⼼と
感性の醸成
創造性の醸成
⾃⼰表現⼒の
向上
社会性・社会
適応⼒が
醸成される
他者を尊重/
配慮する⼒の向上
コミュニケー
ション能⼒
の向上
チームで⽬標に
取り組む経験
の獲得
企画運営に対
する意欲や積
極性が⾼まる
企画運営の
⽅法に関する
理解が深まる
参加者感での
親睦が深まる
⼈間関係が
豊かになる
インプット 活動 アウトプット アウトカム
直接 最終
⽣きる⼒の醸成
評価についての現場(事業担当者)の声
©Nozomu Osawa 35
劇団銅鑼 小関直人氏
• 「専門的評価手法を用いて、参加者や関係者の力を引き出してくれ
た」
• 「終盤で、評価者がそれぞれの変化を見つめる振り返りを関係者た
ち全員とすることで、おのおのが事業の意義を発見し、その気づきの
もとに未来へ歩み出す姿を見た時、こういう職業があったのかと驚か
され、『評価』という言葉から連想される、人事や成績といったイメー
ジは覆された」
出所:しんぶん赤旗「『アウトカム〜僕らがつかみとったもの』混迷の現代 道標示す評価者」(2023年3月10日)
文化的価値の評価の課題
©Nozomu Osawa 36
文化的価値の評価の必要性
• プログラムの改善、学び・知見の獲得
例:募集・運営方法の改善、効果的な取り組みの把握
• プログラムについての社会的理解(良い面だけでなくリスクも含めた
理解)の形成←大きな課題
©Nozomu Osawa 37
2つのレベルのアウトカム
• プログラムに直接的・間接的に関わった者にとっての価値(参加者レ
ベルのアウトカム)
例:参加した若者の自己効力感、自己肯定感が向上する
• プログラムのコミュニティ・地域・社会にとっての価値(コミュニティレ
ベルのアウトカム)
例:施設利用者と地域の人たちとの交流の創出、若者支援に関する
知見の獲得
※ 今回紹介した事例ではコミュニティレベルのアウトカムの調査、深掘
りが不十分だった
©Nozomu Osawa 38
文化的価値の評価の課題①
• 「参加者レベルのアウトカム」の可視化←これだけでは不十分
• コミュニティ等における、可視化された「参加者レベルのアウトカム」
の意義の理解が必要←評価の後のコミュニケーションが重要
©Nozomu Osawa 39
文化的価値の評価の課題②
• 「コミュニティレベルのアウトカム」の可視化←プログラム関係者間の
議論だけではコミュニティ等における多面的な価値は見えてこない、
共有されない
• コミュニティ等の幅広い関係者(多様な価値観の人々)が関与する形
での参加型評価、価値についての議論が必要
※ プログラム単体での価値というより、プログラム同士の関係性を踏
まえて価値を捉えること、文化の生態系の構築という俯瞰的な視点で
議論することが重要
©Nozomu Osawa 40
文化的価値の評価の課題③
• 短期間で発現される、測定できるアウトカムのみでは、プログラムの
意義が理解されにくい(文化的価値が十分に見えない)
• 「参加者レベルのアウトカム」 、「コミュニティレベルのアウトカム」とも
に長期的視点での評価、発展性を含めた評価、価値の議論が求めら
れる
©Nozomu Osawa 41
最後に... 事業評価を題材とした演劇作品の紹介
劇団銅鑼創立50周年記念公演第3弾No.58【自由】
アウトカム~僕らがつかみ取ったもの~
作:小関直人(劇団銅鑼)
演出:磯村純(劇団青年座)
協力:大澤望
【日程】2023年3月17日(金)~22日(水)
【会場】東京芸術劇場シアターウエスト
アーカイブ配信あり:2023/4/2(日)14:00 まで
http://www.gekidandora.com/50th/outcome/
©Nozomu Osawa 42
ご清聴ありがとうございました!
大澤望 連絡先
nozosawabiz@gmail.com
©Nozomu Osawa 43

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