時空間制約と経路相関を考慮した
歩行者の活動配分問題
⃝ 東京大学 大山雄己
 東京大学 羽藤英二
11/12(土)発表番号 : 68 (11:20-11:40)
日本都市計画学会 学術研究論文発表会 @東洋大学
Behavior in Networks Studies Unit
Pedestrian Activity Assignment Problem with
Time-Space Constraint and Path Correlation
発表の流れ 0
1.  背景と目的:歩行者の活動配分問題
2.  既往研究の課題:活動配分モデルの整理
3.  研究手法:活動配分問題の定式化
1)  時間構造化ネットワーク
2)  時空間制約の導入
3)  活動経路選択モデル
4.  活動配分結果
5.  結論
歩行者の活動配分問題 1
「過ごし方」の多様性のデザイン
どこで、どれくらいの時間を過ごすのか?
「活動配分問題」:
施設計画と連動する街路・公共空間整備
(歩行者が移動・滞在含めて)
活動時間を空間へ割り当てる
行動を記述し,予測する
歩行者の活動配分問題 2
移動と滞在が連続的な系をなす
1.移動・滞在の相互作用
2.高解像度な空間の記述
3.確率的/動的な意思決定
段階的(目的地→移動)
ゾーン,施設間遷移
確定的,静的(Pre-trip)
時間制約と活動範囲 街路Orientedな活動発生 事前の予定と文脈依存型活動
活動配分モデルの整理 3
一日の移動・活動を総合的に記述
・段階的選択 (移動は活動の派生需要)
・プレトリップ的な意思決定
■代表的な需要予測手法
・一体的な枠組みが少ない
・時間制約下の動的な意思決定が記述できない
→ 活動経路選択モデルによる移動-活動の連続的な記述
・アクティビティベースドアプローチ
目的地・活動時間
移動経路
・施設間遷移モデル(石橋ら, 1998)
・逐次的な街路選択モデル(大山・羽藤, 2012)
・活動発生-滞在時間選択モデル(大山ら, 2014)
■歩行者回遊行動の記述
移動or活動シークエンスの記述
Space
Time
t=1
t=2
t=3
A B
C
マルコフ連鎖
による記述
Bowman and Ben-Akiva (2001)
活動配分モデルの整理 4
時空間制約を用いたネットワーク操作と動的経路選択モデル
・LHAPP (Kang and Recker, 20134))
・MSSN (Liao et al., 2013)
・空間解像度が粗い
・アウトプットが確定的
・静的(プレトリップモデル)
歩行者の活動経路選択モデル開発に向けた課題
・高解像度な空間記述:組み合わせ爆発
・確率的行動:選択肢集合の生成が不可能
■活動経路選択モデル
t1
t2
Space
Time
A B
C
移動経路・目的地・活動時間の
組み合わせ選択問題
計算負荷が極めて高い
研究のフレームワーク 5
1) ネットワーク表現
•  空間ネットワークを意思決定タイミ
ングにより構造化(サイクル除去)
•  経路・スケジューリングの同時評価
時空間プリズム制約の導入
•  ネットワーク位相情報を用いた活動
制約の定義
•  状態空間(経路候補集合)の限定
経路非列挙型アプローチ
•  期待効用の導入→経路列挙回避
•  時間割引率の導入→逐次/動学的意
思決定
•  n-GEVモデル適用→活動相関の記述
時間構造化ネットワーク
2) 状態空間の限定手法
3) 活動経路選択モデル
時間構造化ネットワーク 6
G = (N, A)
i, j ∈ N
:ノード
(i, j) ∈ A
:リンク
G = (S,E)
S =[S0,...,St,...,ST ]
E =[E0,..., Et,..., ET−1]
移動空間ネットワーク 時間構造化ネットワーク
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10
11 12 13 14 15
16 17 18 19 20
21 22 23 24 25
y
x
: Node : Link
y
Space
x
t t
Time t=1
t=0
t=2
t=3
t=4
t=5
move
from 8 to 9
from 9 to 14
at 14
from 13 to 8
move
from 14 to 13
move
move
stay
ψ =[8,9,14,13,8] ψ =[(0,8),(1,9),(2,14),(3,14),(4,13),(5,8)]
st = (t,i) ∈ St
et = (st,st+1) ∈ Et
:状態ノード
:状態アーク
移動経路:
xy平面・t軸への射影により,移動経路・スケジューリングが同時評価可能
膨大な状態量と組み合わせ爆発	
δ( j |i)
:接続条件
活動経路:
時空間制約による状態空間の限定手法 7
STEP1:
s0 = (0,o),sT = (T,d)
各ノード i についてo, d からの
最短ステップ数       を計算.Do
(i), Dd
(i)
STEP2: 時点tの状態ノード集合St
St = {i | It (i) =1}
It (i) =
1, if Do
(i) ≤ t, Dd
(i) ≤ T −t
0, otherwise
#
$
%
Δt ( j |i) = It (i)δ( j |i)It+1( j)
Et = {(i, j)| Δt ( j |i) =1}
STEP3:
1o
d
2 3
4 5
6 7
8 9 10
3
4 5
7
8 9
5
0/4
1/3
1/3
1/3
2/2
3/1
2/2
3/1
4/0
2/2
1o
d
2 3
4 5
6 7
8 9 10
3
4 5
7
8 9
5
9 10
s0 = (0,o),sT = (5,d)
S4,E4
S3,E3
例)
時空間制約
時点t, t+1間の状態アーク集合Et
時空間接続条件 ※活動経路選択モデルに用いる
ネットワーク位相情報
時空間制約による状態空間の限定手法 8
yy
x
t
x
t
T
0
x
t
St = {i | It (i) =1} Et = {(i, j)| Δt ( j |i) =1}
時空間プリズム
個人が活動可能な時空間領域
に経路が限定(Hagerstrand,
1970により提唱)
バンドル
「個人を一定時間,特定空間
に拘束する活動が存在する」
ドメイン
「個人が立ち入ることのでき
ない時空間領域が存在する」
G = (S,E)
s0 = sT = i st = i (t1 ≤ t ≤ t2 ) st ∉ Ζ (t3 ≤ t ≤ t4 )
限定後の時間構造化ネットワーク
活動経路選択モデル 9
Pk = Pr uk = max
k'∈C
uk'( ) k :活動経路選択肢
C :選択肢集合uk :活動経路 k のランダム効用
活動経路選択モデル
1
3
2
1
3
2
o
d
[1,1,1,1],[1,1,2,1],[1,1,3,1]
[1,2,1,1],[1,2,2,1],[1,2,3,1]
[1,3,1,1],[1,3,2,1],[1,3,3,1]
Pk :活動経路 k の選択確率
個人が最も効用の高い活動経路を確率的に選択する
t = 0
t = T
[1,1,1],[1,2,1],[1,3,1]
T = 2のとき
C = 3
C = 9
T = 3のとき
T = n のとき C = 3n−1
列挙不可能
経路非列挙型アプローチ
経路非列挙型アプローチ 10
yy
?
yy
t
x
逐次的な状態遷移をモデル化
pt ( j |i) = Pr ut ( j |i) = max
j∈At (i)
ut ( j |i)( )
時点tに状態iからjへ遷移する確率:
pt ( j |i)
P(k =[s0,...,sT ]) = pt (st+1 | st )
t=0
T−1
∏
活動経路  の選択確率は状態遷移確率の積:k
yy
?
yy
t
xx
Vt+1
sT
( j)
vt ( j |i)
ut ( j |i) = vt ( j |i)+ βVt+1
sT
( j)+εt+1( j)
vt ( j |i) :アーク     の一次効用(st,st+1)
Vt
sT
( j) :状態    の将来期待効用st = j
接続空間の効用と期待効用との和を最大化:
β :将来期待効用の割引率
動的な意思決定
マイオピック
な判断
(0 ≤ β ≤1) ft (xj|i,θ)
経路非列挙型アプローチ 11
期待効用の算出 (Bellman方程式)
再帰性を利用し,後ろ向き帰納法により求解.時空間制約により計算安定:
Vt
sT
(i) = E max
j∈At (i)
vt ( j |i)+ βVt+1
sT
( j)+εt+1( j){ }"
#$
%
&'
= log Δt ( j |i)exp vt ( j |i)+ βVt+1
sT
( j){ }j∈A
∑ (※誤差項にガンベル分布を仮定)
Bellman(1957)
pt (it+1 |it )
t=0
T−1
∏ =
eVt+1
ST (it+1)
eVt
ST (it )
evt (it+1|it )
t=0
T−1
∏ =
eVT
ST (iT )
eV0
ST (i0 )
e
vt (it+1|it )
t=0
T−1
∑
=
evk
evk'
k'∈Ω(s0,sT )
∑
= Pk
pt ( j |i) =
Δt ( j |i)exp vt ( j |i)+ βVt+1
sT
( j){ }
Δt ( j' |i)exp vt ( j' |i)+ βVt+1
sT
( j'){ }j'∈A
∑ Δt ( j |i) :時空間プリズム制約
β :時間割引率
状態遷移確率の積が経路選択確率に一致: (※β=1のとき)
活動経路選択モデル
Akamatsu (1996)
歩行者の活動配分結果 12
シンプルネットワークにおける試算
•  移動経路-目的地-活動時間の選択
を一体的なパスとして出力
•  リンク交通量+ノード滞在時間を
同時評価
•  時間割引率βにより回遊意識の違
いを表現
a1
o
a1
a1
a1
o
a2
a3
a2
a3
a2
a3
a3a2
a2
a3a1
o
o
o
o
a1 a2
a3
a1 a2 a3
a1 a2 a3
a1 a2 a3
Most frequent Assignment ( linkflow / #Activity )
299
966
1947
750
6
1362
164
683633
1497 46
8541
27
1016 292
40986
14
1342 1105
161660
15
568
1000
a1
a1
a1
a2
a2
a2
a3
a3
a3
a1
o
a3
a3
a1
a2
a3o
o
o
o
a2
o a2
a3
a1
a3
a1 a2
a3
a2
a2
a1
a1
481
1000
a2
o
a2
a2
a2
a1 a3o
o
o
o
a1 a3
o a1 a3
a1
a1 a2
a3
a1 a2
a3
a3
409
1000
=
0
=
1
=
0.5
a1
a2
a3o
*( ca
) : 移動効用
**[ba
, ca
] : 滞在効用
**
*
(-1)
[5,-1]
[9,-2]
[12,0]
(-2)
(-2)
(-3)
(-3)
設定:遠い施設の滞在効用が高い
歩行者の活動配分結果 13
松山まちなかネットワークにおけるケーススタディ
いよてつ高島屋 銀天街
大街道
三越
堀之内公園
1 2 3 4
5 6 7
8 9
10 11 12 13
14 15 16 17
18 19 20 21
1o
[2.4, 0.1]
[3.0, 0.25]
[1.8, 0.1]
[1.8, 0.2]
[1.8, 0.2]
[2.4, 0.4]
N = 100
N = 300
N = 200
N = 400
[1.8, 0.1]
[3.0, 0.25]
[1.8, 0.2] [1.8, 0.2]
3o
4o
2o
n
Legend
: 滞在可能ノード
: parameter
n : 通過ノード
o : 始点 / 終点
[b, c]
: 出発者数N
100mN
•  2核1モール型のL字商業空間
•  唯一で最大の公園は商店街の
対角に位置
歩行者の活動配分結果 14
松山ネットワークにおけるケーススタディ
(A) T=1h, (B) T=2h, (C) T=3h,
1 2 3 4
5 6 7
8 9
10 11 12 13
14 15 16 17
18 19 20 21
1 2 3 4
5 6 7
8 9
10 11 12 13
14 15 16 17
18 19 20 21
1 2 3 4
5 6 7
8 9
10 11 12 13
14 15 16 17
18 19 20 21
μstay
0.7, 0.3stay
== μstay
0.8, 0.3stay
== μstay 0.9, 0.3stay
==
1
5
0
10
15
20
4 7 13 15 17 18 19 20 21 1 4 7 13 15 17 18 19 20 21 1 4 7 13 15 17 18 19 20 21
:100
Link flow
:250
:500
:1000
(min./person)
Stay at:
Activity duration
時間制約に応じた回遊範囲の広がりが明らかに
・ノード4, 18での活動が卓越
・空間的広がりを持たない
・ノード4, 18に加えて周
辺施設の利用も顕在化
・空間的な広がりが顕在化
・活動時間分布は変化せず
今後の展開 15
このモデルが何に使えるのか?
1.時間制約下の回遊行動メカニズムの理解
2.施設計画と連動する街路・公共空間整備の評価
3.駐車料金,勤務・休憩時間等のソフト施策の評価
観測と組み合わせることで,「どういう要因が」「どの程度」歩行者
の移動経路・目的地・活動時間の選択行動に影響しているのかを把握
「施設の位置・規模」や「街路空間の質」の変化(施策)が,歩行者
通行量・場所別滞在時間に与える影響を定量的に評価
時間制約に与える影響を通じて,歩行者通行量・場所別滞在時間の変
化を予測
b
結論 16
•  歩行者の移動・滞在が連続した系をなすことに着目し,
1)操作性の高い高解像度な時間構造化ネットワーク
2)時空間プリズム制約に基づく状態空間の限定手法
3)意思決定の動学性を考慮した非列挙型活動経路選択モデル
を提案し,経路・目的地・活動時間の選択を一体的に記述した.
•  適用例から,
–  時間割引率が回遊意識の違いを表現する指標であること
–  時間制約が回遊範囲の広がりに影響を及ぼすこと
を明らかとした.
今後の課題
•  観測と組み合わせた精緻な行動メカニズムの解明
•  最適施設配置問題への展開
ご清聴ありがとうございました.

大山雄己 - 時空間制約と経路相関を考慮した歩行者の活動配分問題