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SRE NEXT 2026 / SESSION
SRE はどこまでやるのか?
セキュリティの民主化時代の
運用再設計ライフサイクル
SPEAKER
檜垣 慶太 / Sysdig
SRE NEXT 2026 / AGENDA
目次
01 問題提起: SRE / Platform / Security の境界
02 なぜ境界が曖昧になったのか(歴史的背景)
03 認知負荷の限界とセキュリティの民主化
04 Platform Engineering という解法
05 Embedded SRE をセキュリティに適用する
06 運用再設計ライフサイクルと実装
Sysdig Inc. Proprietary Information 2
PROBLEM
SRE の責任はどこまでか?
SRE
Security
Platform
SRE 本来の責任
信頼性・可用性( SLO 運用)
+ Platform
セルフサービス基盤・ガードレールの整備まで
Security
検知・脆弱性対応まで巻き込まれることも
▸ 責任は同心円状に外へ積み上がり続けている。
Sysdig Inc. Proprietary Information 3
01
なぜ境界が曖昧になったのか
○ SRE の責任はどこまでか?
○ セキュリティは誰の仕事か?
○ 運用はなぜ複雑になったのか?
○ 今の体制で守れているか?
○ 運用をどう再設計すればよいのか?
Sysdig Inc. Proprietary Information 4
BACKGROUND / HISTORY
そもそもの境界:インフラとアプリの分断
▲ デプロイのたびに摩擦が生じ、障害時には責任のなすり合いが常態化
▸ 分断は組織と評価指標に埋め込まれていた—— Dev は速度、 Ops は安定。
Sysdig Inc. Proprietary Information 5
BACKGROUND / HISTORY
DevOps は境界を“文化”で埋めようとした
分断
インフラとアプリが別組織・別指標
● デプロイ摩擦
● 障害時の責任のなすり合い
DevOps 誕生
文化・コラボレーションで接着
● Dev/Ops が協力しよう、という理想
の提唱
でも…
具体的な実践方法は未定義
▲ 再現性がない
▲ 規模が大きくなると機能不全に
▸ 文化は属人的——再現可能な実践方法は定義されなかった。
Sysdig Inc. Proprietary Information 6
BACKGROUND / HISTORY
google-sre — the one-liner
class SRE implements interface DevOps
Google は DevOps という理想を、 SLI / SLO / エラーバジェットという
定量的なエンジニアリング手法として実装した。
Ben Treynor Sloss ( Google )の定式化として広く知られる
▸ SRE は DevOps という理想( interface )の実装( class )である。
Sysdig Inc. Proprietary Information 7
BACKGROUND / HISTORY
セキュリティも同じ課題の連鎖をたどっている
2010s
専任セキュリティ時代
課題:検知〜対応のタイムラグ
2015 頃
シフトレフト提唱
課題:ランタイムの当事者が曖昧
2018 2024
→
Falco 標準化
CNCF Graduated で検知が仕組み
化
Now
検知・対応の民主化
SRE / 開発が一次対応の当事者に
▸ 検知が仕組みになって初めて、民主化は絵空事でなくなる。
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BACKGROUND / HISTORY
DevOps と SRE の矛盾
▸ 内側の実践だったはずの SRE が、巨大化で外側のチームに切り離されていく。
Sysdig Inc. Proprietary Information 9
PROBLEM
SRE は“何でも屋”になっていないか?
▸ 答えは線引きではなく、認知負荷をどう仕組みに逃がすかという設計の話。
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本編の問い
少し手を挙げてみてください
Q1
直近 1 ヶ月で、“これって自分の仕事なんだろうか”と思いながら
対応したインシデントがある方は?
Q2
SRE / Platform / Security の責任分解点が、
ドキュメントとして書かれているチームの方は?
(挙手しづらければ、心の中でカウントしてみてください)
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PROBLEM
SRE が“何でも屋”になる 4 つの構造的理由
01
責任が「結果」で定義される
信頼性を脅かすものは理屈上すべて SRE の仕事になる
02
SRE は構造的に“最後の受け皿”
行き場のない仕事がデフォルトで落ちてくる
03
降ってくる大半は Extraneous Load
本来集中すべき設計判断の時間と認知資源を奪う
04
“ 誰がやるか”の議論しかなかった
“ 仕組みに逃がす”という第三の選択肢が存在しなかった
▸ 線引きの問題ではなく、設計の問題。
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COGNITIVE LOAD
3 つの Cognitive Load
Intrinsic 学習対象の難解さによる負荷
例:分散システムの障害モード、脆弱性の技術判断
Extraneous 学習に無関係な余分な負荷
例:誤検知アラートの一次判定、複数ツールへの往復
Germane 適切な学習のための負荷
例:機能を考える、設計を Design Doc に整理する
出典:山田氏『ちがいからみる Platform Engineering 』を参考に Sysdig で再構成
▸ SRE の責任範囲論は、認知負荷の配分問題である。
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SECURITY DEMOCRATIZATION
セキュリティの民主化
従来
ランタイムの異常
アラートが発生
セキュリティ専任チーム
検知・トリアージ・対応を独占
SRE / 開発
基本関与しない
▲ 一次対応まで
タイムラグ
人がボトルネックになり、対応は営業時間と人数に縛られる
民主化時代
ランタイムの異常
同じアラート
仕組みが検知・要約
Falco / Sysdig Platform
SRE / 開発が一次対応
ガードレール内で自己解決
セキュリティ
設計と例外対応に集中
▸ 検知と要約は仕組みが担い、人は判断に集中する。
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SECURITY DEMOCRATIZATION
民主化の理想と、うまくいかない理由
理想 検知・対応を現場( SRE / 開発)に広げれば、対応は速くなるはず
▲ 現実:そのまま渡すと、 4 つの理由で失敗する
01 認知負荷が直撃する
“ 何でも屋”の SRE に、素のアラートがそのまま乗る
02 大半が Extraneous
誤検知の一次判定とツール往復が時間を奪う
03 判断基準がない
何が本当に危険か、現場だけでは決めきれない
04 丸投げになる
責任分解点が曖昧なまま、名前だけの“民主化”に
▸ 民主化は“丸投げ”ではない——仕組みを介した委譲である。
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SECURITY DEMOCRATIZATION
なぜ今、認知負荷にセキュリティが乗るのか
5 秒
検知に許される時間
クラウド攻撃は、
秒単位で進行する。
検知から対応までの速度が問われる時代。人手前提の分業では、攻撃の
速度に追いつけない。
だからこそ、検知と一次対応を仕組みに埋め込む設計が SRE の認知負荷
の上に乗ってくる。
▸ 秒単位の攻撃には、仕組みによる一次対応が前提になる。
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02
Platform Engineering という解法
● SRE の責任はどこまでか?
● セキュリティは誰の仕事か?
● 運用はなぜ複雑になったのか?
○ 今の体制で守れているか?
○ 運用をどう再設計すればよいのか?
Sysdig Inc. Proprietary Information 17
PLATFORM ENGINEERING
Platform Engineering とは
開発者が自己解決できる“内部プラットフォーム”を、
プロダクトとして設計・運用するアプローチ。
目的は、認知負荷を下げ、速度と信頼性を両立させること。
ゴールデンパス 推奨構成を“舗装された道”として提供する
セルフサービス 申請・依頼を待たずに開発者自身で完結できる
ガードレール 安全に使える範囲をあらかじめ仕組みで担保する
Platform as a Product 開発者をユーザーとして扱い、改善し続ける
2026 年までに、ソフトウェアエンジニアリング組織の
80% がプラットフォームチームを設置する
出典: Gartner ( 2022 年予測)
▸ 人を増やすのではなく、仕組みで受けるための方法論。
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PLATFORM ENGINEERING
責任共有モデルと責任分解点
Application
ビジネスロジック・ランタイム設定
責任分解点
Platform
ゴールデンパス・ガードレール・検知の要約
責任分解点
Cloud / Sysdig
マネージドサービス・ランタイムシグナルの責任範囲
出典:下川氏『 Platform Engineering on Serverless 』の責任共有モデルを参考に Sysdig で再構成
▸ 責任分解点を明示すれば、セキュリティも同じ設計原則で扱える。
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PLATFORM ENGINEERING
X-as-a-Service :セルフサービス化
アプリ /SRE チーム プラットフォーム API Sysdig / Falco セキュリティチーム
セルフサービスでリクエスト
ランタイム検知を自動適用
検知結果を要約して返却
ガードレール内で自己解決
局所対応が必要な場合のみエスカレーション
▸ 人が出るのは局所対応だけ——残りはプラットフォームが受ける。
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PLATFORM ENGINEERING
最小限のプラットフォームから始める
01 最小限 Platform
既存 OSS / AWS を活用し、最小構成
( Thinnest Viable Platform )から始める
02 計測
SPACE ・ DORA 指標で認知負荷の変化を計
測し、フィードバックを得る
03 横展開
効果を確認できたら社内で周知し、他チー
ムへ横展開する
▸ Thinnest Viable Platform から始めて、計測しながら広げる。
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PLATFORM ENGINEERING
Embedded SRE と Platform Engineering の違い
Embedded SRE Platform Engineering
低減する認知負荷 Intrinsic Intrinsic + Extraneous
責任範囲 サービスの信頼性・稼働率 認知負荷を下げるプロダクト運用
指標 SLI / SLO SPACE, DORA
コミュニケーション Collaboration X as a Service
出典:山田氏『ちがいからみる Platform Engineering 』の比較表を参考に Sysdig で再構成
▸ この軸を、そのままセキュリティに当てはめる。
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EMBEDDED SECURITY
同じ構造をセキュリティに適用する
Embedded Security Security as a Platform
低減する認知負荷 Intrinsic (局所的な脅威判断) Intrinsic + Extraneous (検知〜要約全体)
責任範囲 特定サービスの脅威対応 ランタイム検知の仕組み化・運用
指標 MTTD / MTTR 検知の再現率・自動対応率
コミュニケーション ローテーションでの協働 Sysdig / Falco as a Service
▸ Embedded (人)と as a Service (仕組み)——両方が必要。
Sysdig Inc. Proprietary Information 23
03
運用再設計ライフサイクルと実装
● SRE の責任はどこまでか?
● セキュリティは誰の仕事か?
● 運用はなぜ複雑になったのか?
● 今の体制で守れているか?
○ 運用をどう再設計すればよいのか?
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REDESIGN LIFECYCLE
検知→トリアージ→対応→学習を仕組みに埋め込む
▸ ループのどこを仕組みに、どこを人に置くか——それが設計の核心。
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REDESIGN LIFECYCLE
表紙の問いに戻る
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IMPLEMENTATION
実装:検知パイプラインの責任分解
Workload
コンテナ / ホスト
Falco
ランタイム検知
Sysdig Platform
要約・優先度付け
SRE / 開発
一次対応
▸ 責任の受け渡しを、ツール任せではなく設計として定義する。
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T-850 vs. T-X
Rise of the Machines
— AI と Agentic AI は何が違うのか
AI Agentic AI
自律性
完全自律。ただし目的は最初
に与えられたまま固定
> 完全自律+状況に応じて計
画そのものを再設計
意思決定
目の前の脅威を評価し、定型
パターンで対応
> 戦う・退く・ハックするを
リアルタイムに戦略判断
適応力
人間の行動を簡易学習、基本
的なソーシャルキュー
> 高度な模倣、環境や他シス
テムまで乗っ取る
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IMPLEMENTATION
デモ:検知から一次対応まで
Falco Sysdig Platform SRE
異常なランタイムイベントを検知
関連イベントを集約・要約
優先度付きで通知
承認 / ロールバックを指示
▸ 人が判断し、機械が実行する。逆ではない。
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TO-BE
SRE ・セキュリティ運用の将来像
2026
検知の仕組み化
Falco/Sysdig の要約が標準運用に
2027
セルフサービス化
ガードレール内で開発者が自己解決
2028
Germane Load に集中
SRE は信頼性の設計判断に専念
Beyond
“ 設計者”へ
認知負荷を配分する設計者になる
※ 仕組みに“奪わせる”のは Extraneous だけです
▸ “ 何でも屋”から、“認知負荷を配分する設計者”へ。
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CALL TO ACTION
まずこの 3 つだけ、今週やってみてください
01
棚出し
直近のオンコール対応を Intrinsic / Extraneous / Germane に分類してみる
▸ どこに Extraneous (余計な負荷)が溜まっているかが見える化される
01 棚出し 02 境界を書く 03 一点突破
▸ 線引きを議論するのではなく、小さく設計してみる。
Sysdig Inc. Proprietary Information 31
CALL TO ACTION
まずこの 3 つだけ、今週やってみてください
02
境界を書く
SRE / Platform / Security の責任分解点を 1 枚のドキュメントにする
▸ 境界が“感覚”から“ドキュメント”になる( Q2 で挙がらなかったやつ)
01 棚出し 02 境界を書く 03 一点突破
▸ 線引きを議論するのではなく、小さく設計してみる。
Sysdig Inc. Proprietary Information 32
CALL TO ACTION
まずこの 3 つだけ、今週やってみてください
03
一点突破
一番 Extraneous が高いタスクを 1 つ選び、自動化・セルフサービス化を試
す
▸ 小さく設計して仕組みに逃がす感覚を、チームで掴む
01 棚出し 02 境界を書く 03 一点突破
▸ 線引きを議論するのではなく、小さく設計してみる。
Sysdig Inc. Proprietary Information 33
※ こうならないための、“設計”です。
「どこまで」ではなく
「どう仕組みに逃がすか」
SRE を“何でも屋”にしないために、認知負荷をどの仕組みに配分するかを設計する。
Sysdig Inc. Proprietary Information 34
REFERENCES
出典・参考資料
下川 健介氏『 Platform Engineering on Serverless 』( Platform Engineering Kaigi 2024, Amazon Web Services
Japan )
責任共有モデル、 X-as-a-Service 、最小限のプラットフォームから始める、の各図を参考に Sysdig ブランドで再構成
山田 陵太氏『ちがいからみる Platform Engineering 』( AWS オンラインセミナー , Amazon Web Services Japan )
Cognitive Load 、 Embedded SRE と Platform Engineering の比較表、 Thinnest Viable Platform 、の各図を参考に Sysdig ブランドで再構成
Sysdig Inc. Proprietary Information 35