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Takahiro Yamaguchi / Sakiko Hashimoto
高解像度スタートアップガイド
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はじめに
今回、元起業家・現コーチと現役起業家が共同で
これまでにない解像度で
スタートアップがゼロから事業を成立させるまでのプロセスを描いています。
答えのようなものを書いているのではなく(答えなど、全く分かりません。日々新しい
発見が続きます)、事業を成立させるために日々もがき奮闘する過程で見えてきたこと
を、できるだけ具体的に、高解像度で描かせて頂きました。
事業を生み出す本人だけでなく、その支援者・コーチの皆様にも
ぜひ一読いただきたいと考えております。
起業家養成・事業支援会社GOB Incubation Partners共同代表
山口 高弘(元起業家・現コーチ)
“親戚のおうちのようなあそび場”PAPAMO代表
橋本 咲子(現役起業家)
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Index
<Part1>:スタートアップが直面するリアル
1. スタートアップが直面する事業創造の真実
2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス
3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
<Part2>:スタートアップに不可欠のWild Ideaの生み出し方と価値検証の道筋
4.アイデア期 “Wild Ideaを生み出す”
5.プレシード期 “顧客の価値を検証し深める”
<Part3>:生み出したWild Ideaを市場に浸透させスケール・グロースに導く道筋を示す
6.シード期(リリース前) “プロダクトをマーケットにフィットさせる”
7.シード期(リリース後) “どのようにスケールの壁を超えるか”
8.グロース模索期 “どのようにグロースの壁を超えるか
付録.起業家コーチとして大切なこと、避けるべきこと
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<Part1>:スタートアップが直面するリアル
1. スタートアップが直面する事業創造の真実
2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス
3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
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1. スタートアップが直面する事業創造の真実
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スタートアップが最も苦労することは
何でしょうか?
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自分が“世の中に必要だ”と信じることを
世の中は、必要だと言ってくれないこと
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世の中が受け入れて
くれない期間
あらゆるスタートアップはJカーブを描く
+
時間
―
キャッシュ
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社会のニーズと自分の志が重なる所に
社会価値は生まれる
社会・市場のニーズ 自分の志社会価値
理想的な形
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はじめから社会・市場のニーズを追いかける
スタートアップは社会価値に到達できない
真 実1
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はじめから社会・市場のニーズを追いかける
スタートアップは社会価値に到達できない理由
①隣のライバルも同じ市場を見ているため競争
になる。自ら競争に飛び込むことになり一部
の運の良い者だけしか生き残らない
②そもそも市場には強い先住民がいる。先住民を
意識するあまりニッチ化する。(結果先住民を
凌駕するビジネスアイデアが生まれない)
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社会価値へは、社会・市場ニーズからではなく、
自分の志起点からのルートしか到達しえない
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社会・市場のニーズ
自分の志
社会に価値
を⽣生み出す
通常の新規ビジネス
志重視の新規ビジネス
自分の志を信じて前進し
社会・市場がその価値を
受け入れるところで社会
価値が生じる。
新たな社会価値実現に向
けたルートは、➝からの↑
しかない。
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社会・市場のニーズ 自分の志
アイデア
アイデア
アイデア
自分の志から生み出されるアイデアは
社会にすぐには受け入れられない
真 実 2
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なぜなら、
世の中は変化をもとめていない
(世の中は極めて保守的である)
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新事業は、保守的な世の中にとって
余計なお世話である
真 実 3
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いかなる創造活動も、
はじめは破壊活動だ。
パブロ・ピカソ
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創造は、破壊であり、
だから保守的な世の中から最初は敬遠される
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しかし、世の中から求められない中であっても
志に基づき破壊的アイデアを世の中に届け、
結果世の中を変えるのがスタートアップの至上命題
社会・市場のニーズ 自分の志
破壊的
アイデア
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破壊的アイデアを「Wild Idea」と呼ぶ
【Wild Ideaとは】
・今までにない価値を、今までにない方法で提供するもの
【Wild Ideaの特徴】
・これまでの常識をくつがえす点が含まれている
・不合理なもの(人には理解されないもの)
【Wild Ideaへの世の中の反応】
・すぐに「いいね!」がつかない
・意味が分かってもらえない
・嘲笑される
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“Wild Idea”とは
今までにない価値を、今までにない方法で
提供するもの
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“今までにない価値を
今までにない方法で提供する”
Airbnbは、世界中のユニークな宿泊施設を
ネットや携帯、タブレットで掲載・発見・
予約できる信頼性の高いコミュニティー・
マーケットプレイス。
アパートを1泊でも、お城を1週間でも、
ヴィラを1ヶ月でも、Airbnbはあらゆる価
格帯で、世界191ヶ国65,000以上の都市の人
と人とをつなぎ、ユニークな旅行体験を叶
えている。
世界中の民家に宿泊ができるという今まで
にない価値を、携帯やタブレットで簡単に
予約できるという今までにない方法で提供
している
Airbnb
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Wild Ideaの特徴
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Wild Ideaの特徴①
“これまでの常識を
くつがえす点が含まれる”
カーブスは、「ご近所感覚の手軽な体操教室」を
謳い文句に業界に新しい常識を呼び込んだフィッ
トネスクラブです。運動が得意でない人々にとっ
ては敷居が高かったフィットネスクラブに対して、
格好悪いと思われることなく気軽に行けるという
価値を実現しています。
通常フィットネスクラブは「高性能のトレーニン
グ機器」「大規模な施設」が不可欠と考えられて
いましたが、カーブスは「家庭用に近いトレーニ
ング機器」「お部屋に近い施設の広さ」という従
来のフィットネスクラブ業界の常識を覆し業界上
位5位のポジションを実現している。
ケース:Curves
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Wild Ideaの特徴②
“不合理なもの”
ケース: Instacart
スーパーでの買い物代行サービス。
注文者は、アプリを使って、スーパーマーケッ
ト商品を選択し、配達者はスーパーマーケット
で注文された商品を購入・配達します。
注文者は、商品を受け取った後、今回の取引の
評価します。
配達者は、空き時間を使って稼ぎたい一般市民
が担います。
Instacartによって、注文者は買い物時間の節約
と効率的な買い物という価値を得ることができ
ます。
安全性は?配達トレーニングはできている?な
ど合理的に考えると疑問は尽きないが(不合理
で理解ができない点が立たある)、流通総額数
千億円を実現。
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“Wild Idea”への世の中の反応
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Wild Ideaへの世の中の反応①
“すぐに「いいね!」がつかない”
ケース:大きな胸を
小さく見せるブラ
大きなバストをコンパクトに整えるブラ。ボ
リュームが抑えられるので、洋服を着たとき
すっきりしたシルエットになり、シャツのボ
タンに隙間ができる、フィットする素材の服
が着づらい、というグラマーバストならでは
の悩みを解消するという価値を持ちます。
当初発売前に実施したアンケート結果では欲
しいというユーザーが10%以下という、すぐ
に「いいね!」が付かなかったが、販売して
みると好調な販売を実現。
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ソニーがウォークマンを発売した当初、テー
プレコーダーやラジカセの全盛期であり録音
機能付きやスピーカー内蔵が当たり前の時代
でした。
ところがウォークマンは録音機能なしの再生
オンリーであり、スピーカーなしのヘッドホ
ン付きということで、「録音ができないス
ピーカーもない音楽プレーヤー」という存在
を消費者だけでなく、社内でも聞いた瞬間は
意味が分からないという反応を示しました。
Wild Ideaへの世の中の反応②
“意味が分かってもらえない”
ケース:Walkman
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Wild Ideaへの世の中の反応③
“嘲笑される”
ケース: CouchSurfing
旅先で宿泊先を探している旅人と、場所を無料
で提供しても良いと思っている現地の人を結び
つける、コミュニティサービス。旅人にとって
も現地の人にとっても新たな出会いが生まれる
という価値を受け取ります。
無料で人を泊める?そんな奇特な人はいるの
か?
といった嘲笑を受けてしまいそうなビジネス
(実際にそのような反応は多数あり、今もあ
る)であるが、世界20万以上の都市で1000万人
以上が利用している。
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本来創造は破壊であるが
破壊的アイデア(Wild Idea)は 稀
真 実 4
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ビジネスアイデアの90%は
つまらないものとなる
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ビジネスアイデアの90%がつまらない理由は
市場を見るから
真 実 5
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市場は誰でも見ることができる
・市場を観て見えてくるのはありきたりのニーズ。
言い換えると、保守的な人々が発するニーズ。
・保守的な人々が発するニーズは、従来の枠を超え
ることはない。
・ありきたりのニーズをとらえてもつまらない
アイデアにしかならない。
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私は市場調査はしない。
私達の仕事は、歴史のページに
まだ書かれていないことを読み
取ることなんだ。
S.ジョブズ
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市場を見ないで
どうやって課題を発見するのか?
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優れたアイデアは市場というマスのためではなく
「実在の1人を見て生み出される」
そもそもすぐれたビジネスはスケールを狙って「マス」を見て創られ
るのではなく、「たったひとりの個人」を見て創られる
真 実 6
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QBハウス創業者小西國義さんは
当時の1時間も拘束される理髪
店に不満を抱き、圧倒的時短を
実現する散髪店(QBハウス)を
創業。
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過去のWild Ideaは、少なからず自分自身を
助けることを契機として生み出されている
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当時ソニー名誉会長であり音楽
好きだった井深大氏が飛行機の
機内に大きな音楽再生機を持ち
込む姿を見て、移動中に気軽に
音楽を楽しめないという不満を
捉えた盛田昭夫氏は、手軽にス
トレスなく持ち運びができる音
楽プレーヤーを届けたいという
思いでウォークマン開発につな
げた。
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過去のWild Ideaは、実在の誰かを
助けることを契機として生み出されている
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改めて。“実在の誰か”は、
手触り感があった方がいい
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「僕はこんなふうに考えたんだ。
みんな僕と同じ大学生だ。
だから、自分に面白いものは
みんなにも面白くて便利なもの
になるんじゃないかなって。」
マーク・ザッカーバーグ
再追加スライド
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せっかく「この人を救いたい」と
思ってアイデアを練っても、
価値がこめられていないアイデアは、意外にも多い
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一見理にかなっていると思われるアイデアの
少なからずが、実は価値が空洞化している
真 実 7
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Flytographer
旅行者とフォトグラファーを
マッチングするサービス
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世界中でフォトグラファーマッチングサービ
スがローンチされているが、いずれもブレー
クしていない
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「フォトグラファーが検索できる」
「撮影予約、決済がしやすい」
これらは全て検索や予約のしやすさといった
「側(がわ)」の便益(真ん中ではない、がわという意味で、
単刀直入に“中身がない”、という意味です)
このサービスがなければ手に入らない価値ではない。
(webを検索すれば自力で手に入る価値でしかない)
フォトグラファーマッチングサービスがうまくいかない理由
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真ん中がなくて側だけの価値である場合
(=価値が空洞化している場合)
人々にとってその手段がなければ、
「手が届かない価値」ではないために
強く欲しがられる状態は生み出せない。
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価値の空洞化を防ぐためには、
ユーザーが真に求めるものを掴む必要がある
(本当に成し遂げたい願望を掴む必要がある)
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しかし、ユーザーが真に求めるものを
掴むことは簡単ではない
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人々が言語化している願望と
本当に叶えたい願望は異なる
真 実 8
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人は、風を浴びたいのでは
なく、“涼しくなりたい”
から扇風機を使うのです。
寺尾 玄
(バルミューダ株式会社 代表取締役)
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人々は、「風を浴びたい」と言う
(言語としてはこう言っている)が、
本当は、涼しくなりたい(本音願望)のである
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人々が扇風機を買うのは風を浴びたいからではな
く、「涼しくなりたいからだ」ということに気づ
き、“涼しい風=外で感じる自然の風”という点に
着目。既存の扇風機は風は浴びることが出来るが
涼しくないという問題点を解消し、扇風機が送り
出す風が線の風であったのに対して、自然の風に
近い“面の風”を生み出す扇風機を開発。
開発の背景は人々が持つ「涼しくなりたい」とい
う願望に着目したことにあった。
価格3万円台にも関わらず多くの消費者に購買さ
れている。
“涼しくなりたい”という本音願望を捉えて生み出された
全く新たな扇風機
GreenFan
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なるほど、本音としての願望を引き出すことが
大切なのですね?
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本音が分かったとしても、ほとんどの人は
本音を満たすための行動をとれない
(「買いたい」と思っても「買えない」のです)
なぜならユーザーはトレードオフ(矛盾)を抱えているからである。
真 実 9
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「住居を変えたい(引っ越したい)」としても、
「思い出の部屋を離れたくない/思い出のモノを手放し
たくない」のです。
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・やりたくてもできない理由は、ほとんどの人々は相反する
願望を同時に持っているためである。
・本音を満たしたいのは山々であるが、一方で実現したい本
音とは両立しない願望を同時に持ってしまっており、行動
ができなくなっている。(この状態をトレードオフ(矛
盾)を抱えた状態と言う)
・この両立し難い相反する願望を同時に持っている状態を乗
り越えなければ(トレードオフを解消しなければ)、人々
は本音願望を満たすことが困難となる。
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「住居を変えたい(引っ越したい)」(本音)
↕
「思い出の部屋を離れたくない/
思い出のモノを手放したくない」(トレードオフ)
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解くべき課題は、
「思い出のモノを手放すことなく、引っ越しが出来る」
ということになります。
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改めてトレードオフとは、両立し難い相反
する願望を同時に持っている状態のこと。
言い換えると、どちらかを満たそうとする
と、どちらかが満たせなくなる状態のこと。
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QBハウス
散髪店QBハウスは「納得できる髪型にする
(本音願望)を、超短時間で(相反する願
望)」というトレードオフを解消する課題を
設定し、新たな価値を創出。
納得できる髪型
(本音願望)
超短時間
(相反する願望)
超短時間で納得できる
髪型にする
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本音としての願望実現と、それと相反するトレードオフとなる願望
の同時実現を目指すことというのは分かりました。
矛盾を乗り越えるアイデアを生み出すことは難しそうですが、
どうやって生み出すのでしょうか?
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Wild Ideaはブレーンストーミング
からでは生まれない
真 実 10
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アイデアとは、要素と要素の
新しい組み合わせである。
ジェームス・W・ヤング
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Question:
30分の制限時間で1つアイデアを出すというお題があったとします。
ブレーンストーミングを行い、
20分経過した現時点で10個アイデアが手元にあります。
残りの10分をどう使いますか?
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①生み出したアイデアを投票によって
選出する
②生み出したアイデアを基準を用いて
優先順位付けする
これらのやり方は一見合理的に見えます
が、Wild Ideaを生み出すことは困難です
10分の使い方、2大NGアクション
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LEGOがパーツとパーツを組み合わせて作るのと同じように、
アイデアも、細かい具体的な要素が組み合わさって創られています。
アイデアは、すでにあるアイデアを要素に分解し、要素と要素を新しく組み合わ
せることで生み出します。
(アイデアを構成する要素は、LEGOでいうパーツに該当します)
アイデアは、要素と要素の新しい組み合わせで生み出すものであり、
原理はLEGOブロックと同じです
つまり、30分の制限時間でのアイデア出しの話でいうと、残り10分を投票や優先
順位付けに使うということ(=元々あるアイデアを選んで採用すること)は、
LEGOでいうと元々組み立てられたLEGOを目の前にして、パーツに分解して新た
な組み合わせを創ることなく、元々のLEGOをそのまま選んでいるという状態に他
なりません
(=要素分解して新しい組み合わせを創るところからが本番であるのに対して、
組み合わせる手前で終わってしまっている状態)
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冒頭のQuestionに戻りましょう。
10分を何に使うか。
アイデアの生み出し方を踏まえると、
30分の制限時間でのアイデア出しは、
残り10分は投票でも優先順位づけでもなく、
手元にある10個のアイデアを要素に分解し
それぞれの要素を新しく組み合わせて
アイデアを生み出すことにつかうべきです。
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既存アイデアの要素(のうち特に長所=エッセンス)を
分解し、組み合わせてアイデアを進化させることで、
Wild Ideaを生み出す
※詳しくはPart2 “4.アイデア期 “大胆なアイデアを生み出す” ” にWild Idea創出の
考え方について記載しています。
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コマツの世界的イノベーション
KOMTRAXはコマツが開発した建設機械の情報を
遠隔で確認するためのシステムです。
開発の背景は新興国で発生していた鍵を壊されて
盗難されるのを防止することと、稼働の最適化
(高稼働と低稼働が分散し非効率であった)とい
う課題を解決することにありました。
車両システムには、GPS、通信システムが装備さ
れ、車両内ネットワークから集められた情報によ
り新興国で発生していた盗難を、センサーで遠隔
検知し鍵を施錠することで防止できるという成果
につながっています。また、GPSにより取得され
た位置情報により遠隔での稼働最適化が図られて
います。
KOMTRAX
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山間部・僻地での
重作業
リモートで在庫管理
所在位置と他の
センサー情報が
取得できる
元のアイデア
元のアイデアの要素分解
(良い要素=エッセンス)
エッセンス統合アイデア
センサー情報の取得という
エッセンスから盗難を遠隔
で検知し鍵を施錠すること
で防止という機能が開発さ
れ、リモートで在庫管理す
るというエッセンスから遠
隔での稼働最適化システム
が考案された。
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Wild Ideaの生み出し方は分かったとして、
どうやって儲けるのか見当もつかないが?
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まずは「売れる」(世に届ける)が先決であり、
儲けは後から考えればいい
真 実 11
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どうやって稼ぐかなんて
後から考えればいい。
まずはどういう音楽を
生み出し世に届けるかだ。
プリンス
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アイデアのうちWild Ideaは10%以下と言ったが、
Wild Ideaであったとしても、その後「売れる」と
「スケールする」「持続的に成長する」の壁が待って
いる
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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Wild Idea(今までにない価値を、今までにない方法で実現するアイデア)
であることと売れることは異なる
真 実 12
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価値あるWild Ideaであっても
売れるものになっていない場合が多い
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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なぜなら「キャズム」と呼ばれる状況に陥る
からである。
ユーザーは完全に未知のサービス・商品に遭
遇すると混乱し購買の手前の「比較」にすら
至らない。
Wild IdeaはWildなままの状態では売れない。
このことを「キャズム」と言います
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比較しないと買わない大勢の人たちに売れないという状況をキャズムと言う
比較しなくても買う人達 過去自分が使ってきた手段と比較して「それよりよい」と
感じたら買う=比較しないと買わない人
比較対象がないWild Ideaは
キャズムを超えられない
2.5%
イノベーター
34%
アーリー
マジョリティー
13.5%
アーリー
アダプター
34%
レイト
マジョリティー
16%
アーリー
ラガード
TIME
The Chasm
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車にしては遅いし、小さい
自転車にしては高い
徒歩ほど身軽さもない
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セグウェイは歩行並みのバランス感覚など際立っ
た価値を持つが過去の移動手段のいずれとも比較
ができなかったため
マーケットでは「失敗」と結論付けられた
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際立った価値であっても
市場が受け取りやすい手段で提供しなけ
ればキャズムになる
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市場適応の鍵は差別化ではなく
既視化にある
真 実 13
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Wild Ideaは人々にとって全くの未知
「あ、知ってるそれ」に変換して届ける
必要がある(既視化が必要)
Wild Ideaは、「差別化」ではなく「既視化」を必要とする
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iPhoneは、iPadより先に発売された。
し か し 、 実 は 開 発 さ れ た の は 、
iPadが先だと言われている。
なぜか?
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iPhoneより先に開発されたiPadの、元々のターゲットユーザーは学校の教員
(教育の生産性を上げるツールとして開発されていた)である。しかし、彼
らにとってタブレット型のインターネット通信端末は慣れ親しんだものでは
なかった。(過去慣れ親しんだツールとかけ離れているため比較が出来ず、比
較が出来ないということは購買の手前で脱落してしまう)
このため、iPadの「移動しながらインターネットが自由自在にできる」
「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値はそのままに、過去自分が
使ってきた手段と比較してより価値を理解しうるターゲットであるi-modeや
blackberryユーザーにターゲットをシフト。つまりここで適応市場・業界がパ
ソコン市場から携帯電話市場にシフトしている。
i-modeやblackberryユーザーは、「使いづらい」というイシューを抱えていた。
これらのターゲットに、 「移動しながらインターネットが自由自在にでき
る」「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値を、大きさを縮小して、
慣れ親しんだ携帯電話という手段に近づけ、より「使いやすくスマートな」
電話としてiPhoneを開発し、リリース。
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学校の教員
(元々のターゲット)
iPadが持つ価値
(移動しながら、インター
ネット通信が可能/
使いやすいUI)
i-mode/
Blackberry
ユーザー
(既視感を感じて
くれるユーザーに
シフト)
(シフトした先の
ユーザーが既視感を
感じてくれるプロダ
クト(タブレットか
ら携帯という形状
へ)に変更)
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このように既視感を感じてくれる
ユーザーに対象をシフトし、
さらにそのユーザーにとって「あ、知ってる」を加える
=既視化すること
既視化することにより、過去と比較して
「よりよい」と感じてもらう
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なるほど、Wild Ideaを
既視化すればよいのですね!?
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それは、
「顧客が購買する理由を理解する」
ということです。
NO!
「売れるもの」にするためには、既視化に加えて
もう一つ必要なことがあります。
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え!?
顧客が購買してくれる理由は、
普通分かっているものではないのですか?
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意外にも多くの場合、提供する側は
「顧客がなぜその製品サービスを購入するのか」
が分かっていない
真 実 14
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その理由は、顧客に購買理由を聞いても
明確な答えが返ってこないからです。
なぜ明確な答えが返ってこないのでしょうか?
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同じ人であっても、時により、場面により、
購買理由は異なるのです。
(だから、顧客に購買理由を聞いても、
明確な答えが返ってこないのです)
真 実 15
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こんなシーンを思い浮かべてみて下さい。
カフェでコーヒーを買ってオフィスに持ち帰るとします。
そこでの購買理由は以下のどれでしょうか?
「仕事へのスイッチを入れる」
「乾いた喉を潤す」
「仕事中の口寂しさを紛らわせる」
「目を覚ます」
「コーヒーを片手に同僚と会話を弾ませる」
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実は、同じ人物である私が、同じ日にカフェでコーヒーを購入
した別々の時間帯での購買理由です。
「仕事へのスイッチを入れる」 朝の自分
「乾いた喉を潤す」 午前中の自分
「仕事中の口寂しさを紛らわせる」 午後一の自分
「目を覚ます」 15時の自分
「コーヒーを片手に同僚と会話弾ませる」 夕方の自分
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一つ例にとると、ビジネスマン(属人)が出勤直後(属時)にオフィスで(属場)「 仕
事へのスイッチを入れるため」(購買理由)だったとします。
属人・属時・属場での購買理由に合わせて製品・サービスを最適化するとすれば、
「コーヒーの提供容量を通常のサイズよりも小さく設定し(スイッチ入れ
るだけなので大量に飲む必要はない。 MやLよりも小さいサイズで)、味
を濃くする」というプロダクトの最適化につながります。
一方で、「口寂しさを紛らわす」のであれば長くコーヒーを飲み続けられた方がよ
いので 容量は多く濃すぎない方がよいが
「仕事へのスイッチを入れたい」のであれば、容量は少なく濃い方がよい。
このように、その人、その時、その場に併せて最適化することで「売れる」に近づ
きます。
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人により、時により、場により、購買理由は異なる
(購買理由は多様な場合分けがある)
このため価値を届けるためには、
「購買理由の解像度を上げること」
=それぞれのユーザーが「その製品サービスを購買する理由」
を細かく把握し、製品サービスに反映すること
が求められます。
※細かく把握するとは、=誰が(属人)、いつ(属時)、どのような場面で(属場)まで具体化して
把握すること
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一方で
シンプルに整理すると、
「売れる」 = 購買理由 > 非購買理由
の構図が創られているかどうかによって決まりますが、
多くの場合、購買理由<非購買理由となっているという事実があり
ます。
ユーザーは、購買理由があっても、それを上回る「非購買理由」を
持っている場合、「買えない」という意思決定を下します。