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客観的に状況を把握する市場調査
埼⽟⼤学 経済経営系⼤学院
加藤拓⺒
マーケティング #04
今回の位置付け
顧客管理と効果測定
戦略と実⾏
価値づくりの考え⽅
調査による客観的な状況把握
#01 マーケティング
#02 ブランドマネジメント
#04 市場調査
#08 ランダム化⽐較試験
#09 感性⼯学
#05 消費者⾏動
#06 回帰分析
#03 ロイヤルティとCRM
#10 クチコミ
#11 戦略と組織能⼒
仮説⽴案 具現化 検証
#07 知覚品質
#12 まとめ
対象のプロセス
コンセプト
検証
ラインナップ戦略 コンセプト
策定
知覚品質検証
価値づくり
市場反応
想定される社会変化・消費者の⽣活変化
を踏まえ,解決すべき問題は何か︖
どんな困っている⼈(実⽤+⼼理)に
どんな価値を提供するのか︖
そのコンセプトは
購⼊意向・⽀払意思額
を⾼めるか︖
コンセプトを⼀貫して,
かつ⾼い知覚品質で具現化できているか︖
消費者はコンセプトを感じ取り,
購⼊⾏動を起こしているか︖
ブランド評価
消費者のロイヤルティ
は⾼まっているか︖
価値づくりの活動全体を通じて,考え⽅と対応する科学的アプローチを議論する
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
顧客に”答え”を聞くのは,調査ではない
意味の乏しい「顧客に直接聞く調査」
まだ解決されていない問題とその対策(仮説)は,顧客に聞くものではなく,考えるもの
独創的な新製品をつくるヒントを得ようとしたら,市場調査の効⼒はゼロとなる.
⼤衆の知恵は決して創意などはもっていな いのである.
⼤衆は作家ではなく,批評家なのである.
本⽥宗⼀郎1
グラハム・ベルは電話を発明したとき,市場調査をしたと思うか︖
顧客が今後何を望むようになるのかを本⼈よりも早くつかむのが我々の仕事だ.
Steve Jobs2
なにが欲しいかと顧客に尋ねていたら,『⾜が速い⾺』といわれたはずだ.
⼈々はみんな,実際に“それ”を⾒るまで,“それ”が欲しいかなんてわからない.
Henry Ford2
1:本⽥宗⼀郎.(2005).やりたいことをやれ.PHP 研究所,30.
2: Gallo, C. (2010). The Innovation Secrets of SteveJobs. New York : McGraw-Hill Education.(井⼝耕⼆(訳).(2011).スティーブ・ ジョブズ 驚異のイノベーション.⽇経 BP,180-213.)
調査の位置付け
顧客に答えを直接聞いているようでは,”誰もが考えられる域”から抜け出せない
顧客に聞く
顧客の知覚で
仮説検証する
のではなく
• ⽬的は知りたい項⽬をひたすら聞く
• 調査したい項⽬があれこれ出てくる
• ⽬的は仮説検証ただ1つ
• 調査設計を考え抜く
客観的な
状況の把握
仮説づくり 価値づくり 仮説⽴証客観的な
状況の把握
主観的な
仮説⽴案
仮説の
具現化
科学的な
仮説検証
• 認知
• 購⼊意向
• ⽀払意思額
• 推奨意向
• ブランドイメージ
• 困りごとの発⾒
• コンセプト策定
- 何に困っている⼈に
- 何を
- どのように
• コンセプト具現化
• ⾼い知覚品質
• プロトタイピング
による繰り返し
• 科学的根拠に
基づく意思決定
お⾦を払ってでも解決して欲しい困りごとは,消費者に聞くものではなく,
データと理論をもとに考え抜いた仮説を何度も検証しながら創造する
仮説検証の繰り返しから,顧客に「それなら⾼いお⾦を払っても欲しい」と⾔われる価へ
調査・検証プロセス
物理的指標の優劣ではなく,消費者の知覚上での優劣を科学的に検証すべき
1: Ries, A., Trout, J. (2009). The 22 immutable laws of marketing: Exposed and explained by the world's two. Harper Collins.
商品・サービスの利⽤時に
• 再購⼊意向・⽀払意思額・ロイヤルティは⾼まっているか︖
• コンセプトを感じているか︖
消費者の知覚=現実
消費者の知覚を理解し,消費者の知覚で科学的に検証すべき
マーケティングとは,商品の戦いではなく,知覚の戦いである.
知覚こそ現実であり,その他のものはすべて幻である.1
客観的な
状況の把握
仮説づくり 価値づくり 仮説⽴証客観的な
状況の把握
主観的な
仮説⽴案
仮説の
具現化
科学的な
仮説検証
• 認知
• 購⼊意向
• ⽀払意思額
• 推奨意向
• ブランドイメージ
• 困りごとの発⾒
• コンセプト策定
- 何に困っている⼈に
- 何を
- どのように
• コンセプト具現化
• ⾼い知覚品質
• プロトタイピング
による繰り返し
• 科学的根拠に
基づく意思決定
今回の位置付け
消費者の知覚を,いかに客観的に把握するか︖
出発点である
客観的な状況把握
今回の対象
「客観的な状況把握」だけでは過去に囚われる
偏⾒なく客観的に状況を把握することは必要だが,その先はマーケターが考える仕事
過去とその延⻑線しか知ることができないことから,
状況把握のみに依存すると,新たな価値を⽣み出すことが難しくなる.
過去 その延⻑戦
×
消費者の回答
↑
この知覚を把握することは
出発点にすぎない
予測するべからず
予測の⼤前提
未来を予測することは基本的に困難であり, あくまで過去の傾向に基づいた推定に過ぎない
“The best way to predict the future is to invent it.”
Alan Kay
2種類の予測
価値づくりでは, 想定される技術進化・社会変化を前提として, 解決すべき問題を考える
販売・製造計画に向けた短期予測
• ⽬的︓コスト削減
• 期間︓数ヶ⽉先
• ⼿法︓過去傾向に基づく統計モデル
新価値に向けた⻑期予測
• ⽬的︓新価値の創出︖
• 期間︓10年先
• ⼿法︓存在しない
やるだけ効果が出る.ただし,
• 常に予測モデルの更新が必要
• 内部に専⾨家を採⽤しないと困難
(ピッチャーにキーパーをやらせる愚)
そもそも不可能.したがって,
訪れると想定される未来をベースに,
解決されていない問題を考える
(⾃動運転や⾼齢化を前提として考える)
「変わるもの」より「変わらないもの」
Amazonにとっては「価格・スピード・品揃え」が10年経っても変わらないもの
「10年後には何がどう変わっているか︖」ではなく,
「10年経っても変わらない価値は何か︖」の⽅が重要
Jeff Bezos
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
EUにおける臓器提供の同意率
「同意するならチェック」と「同意しないならチェック」では,⼤きく結果が変わる
Hague, P. (2019). The Impact of Behavioural Economics on Market Research. B2B International, https://www.b2binternational.com/ publications/behavioural-
economics/ (last accessed September 30, 2019)
オプトアウト質問オプトイン質問
統計という嘘
適切な調査設計をしなければ,得られたデータはウソやゴミになってしまう
1: ⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ (Vol. 110). ⽂藝春秋.
世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである.
この国では社会調査についてきちんとした⽅法論が認識されていないからだ.
⼤阪商業⼤学 ⾕岡⼀郎教授1
嘘には3種類ある.嘘,⼤嘘,そして統計だ.
元イギリス⾸相 ベンジャミン・ディズレーリ
統計調査の⽬的
⼿元の調査データを知ることが⽬的ではなく,あくまで⺟集団の推定が⽬的
⺟集団 (神のみぞ知る世界)
⺟平均μ, ⺟標準偏差σ, ⺟集団サイズN
標本(サンプル)
標本平均 !𝑋, 標本標準偏差s,
標本サイズn
標本抽出・調査 ⺟集団の推定
⺟集団の全数調査は現実的に難しいため,
限られた標本から⺟集団を推定すること
(参考) 例外の国勢調査
全数調査には膨⼤なリソースが必要であるため,⼀般的には標本調査を⾏う
• ⽇本在住のすべての⼈及び世帯を対象とする統計調査
• 国や地⽅公共団体の政治・⾏政を公正で効率的に⾏うことが⽬的
• 総務省統計局が5年に1度実施
• 1920年の第1回から数えて, 2020年は21回⽬
• 10年ごとに⼤規模調査,その中間年に簡易調査
• 予算規模は650億円/回 (2005年時)
• 国勢調査員は約85万⼈,国勢調査指導員は約9万⼈
• 紙の調査票を調査員が訪問回収・郵送回収することが中⼼だが,
2015年よりオンライン調査を導⼊
統計局. 国勢調査について. https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/kokusei/pdf/census.pdf
統計局.令和2年国勢調査実施計画. http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/kokusei/yusiki32/pdf/06sy0203.pdf
調査のプロセス
調査の有益さ(意思決定に役⽴つか否か)は,調査設計までで概ね決まってしまう
仮
説
構
築
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⽬
的
定
義
調
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企
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調
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設
計
調
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⾯
2
制
作
事
前
調
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7
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確
認
本
調
査
=
>
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@
A
>
B
C
D
集
計
分
析
%
⽰
唆
導
出
この範囲で調査の有益さが決まる
・意図せずに信頼性の低い結果が出る
・意図的に結果を歪める
調査のプロセス
仮
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構
築
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的
定
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調
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=
>
?
@
A
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B
C
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集
計
分
析
%
⽰
唆
導
出
調査の⽬的定義
⽬的が曖昧な調査からは,曖昧な結果しか得られず,次の⾏動に結びつかない
「何を明らかにしたいのか︖」を定義する
※(次回のテーマである)仮説検証の場合は,以下の定義が必要.
­ 何の問題を解決したいのか︖
­ 検証する仮説は何か︖
­ どのように検証するか︖
­ 仮説が⽀持された場合,どのような⾏動を起こすか︖
­ なぜ聞くのか︖
­ 誰に聞くのか︖
­ 何を聞くのか︖
­ どのように聞くのか︖
調査のプロセス
仮
説
構
築
%
⽬
的
定
義
調
査
企
画
調
査
票
設
計
調
査
画
⾯
2
制
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調
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7
8
9
確
認
本
調
査
=
>
?
@
A
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B
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D
集
計
分
析
%
⽰
唆
導
出
調査企画
その調査⽬的を達成すれば,具体的な⾏動に移ることができるか︖
項⽬ 内容
調査背景 調査結果からどんな⾏動に繋げようとしているか︖1
調査⽬的
調査によって何を明らかにするのか︖
どんな仮説を⽴証しようとしているのか︖
2
調査対象者 調査対象の⺟集団は何か︖(属性, 状況など)3
サンプリング 標本の代表性を担保するためにどのようにサンプリングするか︖5
調査項⽬
⽬的を達成するには何をどの順序で聴取するか︖
項⽬数はどの程度にするのか︖(項⽬数が増えるほど、回答品質低下・回収率低下)
8
調査回数・時期 調査は1度か, 定点観測か︖ 時期はいつに設定するのか︖7
調査⽅法
どのように調査するのか︖(オンライン調査,⾏動追跡調査,インタビュー調査等)
有効回答率を踏まえた調査配信数はどうするか︖
6
サンプルサイズ 許容できる誤差の範囲からサンプルサイズはどうするか︖4
調査企画
項⽬ 内容
調査背景 調査結果からどんな⾏動に繋げようとしているか︖1
調査⽬的
調査によって何を明らかにするのか︖
どんな仮説を⽴証しようとしているのか︖
2
調査対象者 調査対象の⺟集団は何か︖(属性, 状況など)3
サンプリング 標本の代表性を担保するためにどのようにサンプリングするか︖5
調査項⽬
⽬的を達成するには何をどの順序で聴取するか︖
項⽬数はどの程度にするのか︖(項⽬数が増えるほど、回答品質低下・回収率低下)
8
調査回数・時期 調査は1度か, 定点観測か︖ 時期はいつに設定するのか︖7
調査⽅法
どのように調査するのか︖(オンライン調査,⾏動追跡調査,インタビュー調査等)
有効回答率を踏まえた調査配信数はどうするか︖
6
サンプルサイズ 許容できる誤差の範囲からサンプルサイズはどうするか︖4
サンプルサイズ ≠ サンプル数
標本サイズ(サンプルサイズ)のことを標本数(サンプル数)と呼ぶ誤⽤が散⾒
サンプルサイズ = 1 回の標本抽出において調査した個体数
サンプル数 = サンプルという集団の個数
• サンプルサイズ = 200
• サンプル数 = 5
⺟集団
標本2
n=200
標本1
n=200
標本5
n=200
・・・
正規分布 (Normal distribution)
正規分布を仮定することでデータの特徴をわかりやすくする,最も⼀般的な分布
※標準正規分布:平均0で標準偏差が1の正規分布
ガウス分布とも呼ばれる,平均μ, 標準偏差σの左右対称な釣鐘型の分布
偏差値は,平均50,標準偏差10の正規分布である
Ø 偏差値40-60の範囲に,全体の68.3%の⼈が該当する
Ø 偏差値70とは,上位から2.3%の位置を意味する
μ σ 2σ 3σ-3σ -2σ -σ
μ ± σ = 約68.3%
確率変数
確率密度
確率密度関数
グラフ描画
μ ± 2σ = 約95.5%
μ ± 3σ = 約99.7%
Image: Wikipedia
⺟⽐率の誤差 とおくと,
サンプルサイズ
サンプルサイズの決定(1/4) ­⺟⽐率の信頼区間
サンプルサイズを決めるには,信頼係数・誤差・標本⽐率の3つを決めれば良い
⺟⽐率(知りたい事象の出現率)の95%信頼区間(正規分布)
※信頼係数︓パラメータを区間推定するときにパラメータが信頼区間内に含まれる確率
⼤は⼩を兼ねるの考えで,サンプルサイズが最⼤で必要な場合を⾒積もる
⺟⽐率の誤差 とおくと,
サンプルサイズ
標本⽐率は不明なことが多いため,どんな場合でもあてはまるよう,
サンプルサイズが最⼤となる0.5を採⽤することが⼀般的
p=0.5のとき最⼤
サンプルサイズの決定(2/4) ­標本⽐率の決定
信頼係数と標本⽐率は実質的に固定のため,誤差を何%に収めたいかを決めるのみ
商品ブランドAの認知度を調査する場合
サンプルサイズの決定(3/4) ­具体例
• 5%の誤差で推定したい
• (調査前なので認知度は不明のため)標本⽐率を0.5と設定
• 信頼係数は95%の1.96を使⽤
A. 必要なサンプルサイズは385⼈
調査予算を踏まえて,許容できる誤差の範囲を決め,サンプルサイズを導出する
サンプルサイズの決定(4/4) ­早⾒表
信頼係数1.96, 標本⽐率(知りたい事象の出現率)0.5の場合
5%より⼩さくする投資対効果はあるか︖
視聴率のサンプルサイズ
視聴率(標本⽐率)10%のテレビ番組では,誤差は±2.0%
ビデオリサーチ. (2016). 関東地区テレビ視聴率調査の仕様変更について. プレスリリース, 8⽉26⽇, https://www.videor.co.jp/press/images/b74c28ba955a5404d091df3ebdfa2349.pdf
ビデオリサーチ. (2019). 視聴率の誤差について.視聴率をご覧いただくときの注意事項, https://www.videor.co.jp/tvrating/attention/index.html
• 2016年より関東地区視聴率調査世帯数を900世帯に拡張
(これまでは600世帯で実施)
• 900世帯すべてで視聴率・タイムシフト視聴にも対応できるセンサーを配備
(2013年に開始したタイムシフト視聴調査は,これまでは300世帯で実施)
Image from ビデオリサーチ
(関数)電卓を使えば,サンプルサイズから簡易的に誤差を⾒積ることが可能
(参考)簡易的な誤差の⾒積り
サンプルサイズから誤差を⾒積る場合
サンプルサイズ900なら
最⼩分析単位の考慮
調査対象の⺟集団の性質を踏まえて,サンプリング⽅法も併せて決定する必要がある
最終的な最⼩の分析対象のサンプルサイズが少なすぎると分析できないため,
最⼩分析単位を意識してサンプルサイズを考慮する.
(最⼩分析単位で30-50程度のサイズが必要)
例︓性別×年代が最⼩分析単位で,⽬標サンプルサイズ385の場合
全体では満たしても,20代×男⼥の分析は難しい
調査企画
項⽬ 内容
調査背景 調査結果からどんな⾏動に繋げようとしているか︖1
調査⽬的
調査によって何を明らかにするのか︖
どんな仮説を⽴証しようとしているのか︖
2
調査対象者 調査対象の⺟集団は何か︖(属性, 状況など)3
サンプリング 標本の代表性を担保するためにどのようにサンプリングするか︖5
調査項⽬
⽬的を達成するには何をどの順序で聴取するか︖
項⽬数はどの程度にするのか︖(項⽬数が増えるほど、回答品質低下・回収率低下)
8
調査回数・時期 調査は1度か, 定点観測か︖ 時期はいつに設定するのか︖7
調査⽅法
どのように調査するのか︖(オンライン調査,⾏動追跡調査,インタビュー調査等)
有効回答率を踏まえた調査配信数はどうするか︖
6
サンプルサイズ 許容できる誤差の範囲からサンプルサイズはどうするか︖4
サンプルサイズを満たしても,代表性がない標本では⺟集団を推定できない
サンプリングの基本はランダム(無作為)
偏って抽出している標本の例︓銀座を歩いていた100⼈に調査
※(調査実施⽇時の)平⽇13:00-14:00に銀座を歩く⼈が対象の⺟集団で,無作為に声がけしたなら良い
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⺟集団
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ランダムに抽出した
標本1
偏って抽出した
標本2
●■
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●
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●■
⺟集団の代表性がある ⺟集団の代表性がない
調査したい⺟集団と⼿元の情報を踏まえて,適切なサンプリング⽅法を決定する
サンプリング⽅法の決定
シンプルランダムサンプリング
⺟集団から完全に無作為に調査対象を抽出
層別サンプリング
⺟集団がいくつかの層に分かれている場合,
各層のから必要な数の対象を無作為に抽出
クラスターサンプリング
⺟集団を構成する⼩集団(クラスター)に対して,
⼩集団をランダムに抽出
+ 最も基本的な考え⽅
­ ⺟集団の構成リストが必要
(例)電話番号リストから乱数表で対象者を決定
+ ⺟集団を層別に推定できる
­ ⺟集団の層の構成⽐を把握する/決定する必要
(例)性別×年代の層で⼈⼝動態⽐に即して抽出
+ クラスター情報があればサンプリングが容易
­ クラスター内は偏りがあるため偏る懸念
(例)学⼒測定のために全国の⾼校をランダム抽出
ウェイトバック集計
⺟集団の代表性がある標本を得る取り組みは,サンプリング⽅法+補正の両⾯
⺟集団の構成⽐に即した標本を抽出できなかった場合,
標本の構成⽐を⺟集団に合わせるように補正して代表性を担保する
⺟集団に合致
ウエイト値 = 対象属性の⺟集団サイズ ÷ 対象属性の標本サイズ × (標本サイズ ÷ ⺟集団サイズ)
(例)男性65歳〜74歳
ウエイト値 = 6,078,716 ÷ 507 × (2,308÷22,343,025) = 1.24
内閣府政策統括官. (2003).平成14年度 ⾼齢者の健康に関する意識調査結果, https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h14_sougou/html/0-1.html
調査企画
項⽬ 内容
調査背景 調査結果からどんな⾏動に繋げようとしているか︖1
調査⽬的
調査によって何を明らかにするのか︖
どんな仮説を⽴証しようとしているのか︖
2
調査対象者 調査対象の⺟集団は何か︖(属性, 状況など)3
サンプリング 標本の代表性を担保するためにどのようにサンプリングするか︖5
調査項⽬
⽬的を達成するには何をどの順序で聴取するか︖
項⽬数はどの程度にするのか︖(項⽬数が増えるほど、回答品質低下・回収率低下)
8
調査回数・時期 調査は1度か, 定点観測か︖ 時期はいつに設定するのか︖7
調査⽅法
どのように調査するのか︖(オンライン調査,⾏動追跡調査,インタビュー調査等)
有効回答率を踏まえた調査配信数はどうするか︖
6
サンプルサイズ 許容できる誤差の範囲からサンプルサイズはどうするか︖4
代表的な調査⽅法⼀覧
区分 No 調査⽅法 内容
定量 1 訪問調査 調査員が対象者の⾃宅を訪問して,質問する調査⽅法
2 郵送調査 調査票と返送⽤封筒を対象者に郵送し,回答した調査票を期⽇までに返送してもらう調査⽅法
3 電話調査 対象者リストに基づいて,調査員が対象者(世帯)に電話をかけ,電話内で質問をする調査⽅法
4 ランダムディジットダイヤリング(Random Digit Dialing, RDD) 無作為に数字を組み合わせて番号を作り,調査員が電話をかけて調査する⽅法
5 オンライン調査 調査会社が保有する調査パネル(モニター)等に,Webページにアクセスしてもらい,回答を得る定量的な調査⽅法
6 ホームユーステスト (Home Use Test, HUT) 家庭で実⽣活の中で商品・サービスを使⽤してもらい,感想を調査する⽅法
7 オンライン⾏動ログ調査 CookieによるWebサイトの⾏動ログ等のデータを利⽤した調査⽅法
8 オフライン⾏動ログ調査 スマートテレビによるテレビ広告等の視聴ログや,スマートフォンによる位置情報ログ等のデータを利⽤した調査⽅法
定性 9 デプスインタビュー 調査員と対象者1対1で,インタビュー形式で深く聞き込む調査⽅法
10 フォーカスグループインタビュー (Focus Group Interview, FGI) 調査員1⼈と対象者複数⼈で,より⾃然な意⾒を収集することを狙う調査⽅法
11 会場調査(Central Location Test, CLT) 専⽤の会場を⽤意して,対象者に商品・サービス等を使⽤してもらい,感想を調査する⽅法
12 店頭陳列調査 調査員が店舗を訪問して,商品の陳列状態や販促物の設置状況を観察する調査⽅法
13 ショップアロング調査 調査員が同⾏しながら,対象者に店舗で買い物してもらい,商品・サービスを買うまでの感じたことを調査する⽅法
14 ミステリーショッパー 調査員が消費者のふりをして店舗に訪問し,商品・サービス・従業員の応対等を調査する⽅法
15 エスノグラフィ 調査員が対象⺠族と⾏動を共にしながら⽇常の⾏動様式を詳細に記述する,⽂化⼈類学等で利⽤される調査⽅法
その他 16 ⽂献調査 図書館やオンラインで,統計データや論⽂・書籍等の⽂献を調査する⽅法
17 店舗導線調査 ビデオカメラやビーコン等を使⽤し,店舗での対象者の導線を調査する⽅法
18 アイトラッキング アイトラッキングデバイスを利⽤し,対象者の商品・サービス利⽤中や店舗で買い物中の視線の動きを調査する⽅法
19 表情解析 商品・サービスの利⽤中などの対象者の表情を解析し,使⽤後ではなく,リアルタイムの感情を調査する⽅法
20 ⽣体情報・ニューロサイエンス ⼼拍などの⽣体情報,脳⾎流・脳波などの脳活動を専⽤機器でデータ化し,対象者の感性を調査する⽅法
有効回答率を⾒ないで,サンプルサイズだけを確認してはならない
サンプルサイズよりも重要な有効回答率
抽出したサンプルが偏っていなかったとしても,
そのサンプルで回答した⼈に偏りがあっては代表性があるとは⾔えない.
有効回答率60%
500⼈に調査
300⼈
有効回答率0.6%
50,000⼈に調査
300⼈
信頼性が異なる
調査⽅法・内容・国によっても回答率は異なるため,⼀律の基準を設けることは難しい
(参考)オンライン調査における各国の回答率
加藤拓⺒. (2019). 企業・商品ブランドのイメージ合致がロイヤルティに与える影響. ⽇本経営システム学会誌, 36(2), 151-158.
例︓⾞に関する調査における各国の回答率1
⽂献調査におけるソースの種類
アカデミック・専⾨的な議論には,1次・2次ソースに基づいて⾏うべき
1次ソース
・調査データ
・独⾃の研究
・企業のリリース
・創造物
2次ソース
・(査読付き)論⽂
・専⾨書籍
・専⾨家の報告書
・(事実の)ニュース
3次ソース
・⼀般向け書籍
・⼀般向け記事
・百科事典
・教科書
次数が増えるにつれ,情報量が減り,異なる意図が追加されるため,
コストをかけて⽣み出された1次・2次ソースを重視すべき
調査企画
項⽬ 内容
調査背景 調査結果からどんな⾏動に繋げようとしているか︖1
調査⽬的
調査によって何を明らかにするのか︖
どんな仮説を⽴証しようとしているのか︖
2
調査対象者 調査対象の⺟集団は何か︖(属性, 状況など)3
サンプリング 標本の代表性を担保するためにどのようにサンプリングするか︖5
調査項⽬
⽬的を達成するには何をどの順序で聴取するか︖
項⽬数はどの程度にするのか︖(項⽬数が増えるほど、回答品質低下・回収率低下)
8
調査回数・時期 調査は1度か, 定点観測か︖ 時期はいつに設定するのか︖7
調査⽅法
どのように調査するのか︖(オンライン調査,⾏動追跡調査,インタビュー調査等)
有効回答率を踏まえた調査配信数はどうするか︖
6
サンプルサイズ 許容できる誤差の範囲からサンプルサイズはどうするか︖4
価値づくりにおける測定すべき消費者の知覚
認知 消費者が知らないと何も始まらない
「買いたいほどではない」では価値ではない
「安いなら買う」では価値が低い
「1回で⼗分」では利益率が低い
(再購⼊意向・推奨意向)
コンセプトが理由で
なければ再現性が低い
購⼊意向
⽀払意思額
ロイヤルティ
コンセプト
想起率
定点観測では,時系列で⽐較するため,やみくもに項⽬を増やさず,絞って固定すべき
トップオブマインドで挙げられるブランドが⽀配的な場合,強固な競争優位に
ブランド認知の⽔準
トップオブマインド
ブランド想起
ブランド認識
ブランド未知
認知度
低
⾼
⼼の中で最上位の認知である
純粋想起で最初に挙げたブランド
カテゴリーに属するブランドを
挙げてもらう純粋想起で確認
選択肢を提⽰して,認識している
ブランドを問う助成想起で確認
選択肢を提⽰しても認識がない
Aaker, D. A. (1991). Managing brand equity. Free Press. (陶⼭計介ら訳. (1994). ブランド・エクイティ戦略. ダイヤモンド社)
ロイヤルティを向上することで,顧客基盤は競合からの攻撃に強くなり,経営を⽀える
ブランドロイヤルティの⽔準
コミット
好意
満⾜
不満ではない
ロイヤルティ
低
⾼
ブランドの利⽤者であることを誇り,
他⼈に勧める確信を有する
ブランドとの付き合いが⻑く,
愛着があり,友好関係を築いている
これまでのブランドに対する投資から
スイッチングコストがかかる
習慣的に購⼊していても,競合他社
の訴求になびきやすい
Aaker, D. A. (1991). Managing brand equity. Free Press. (陶⼭計介ら訳. (1994). ブランド・エクイティ戦略. ダイヤモンド社)
設問の順序
調査対象者の負担が少なく,⾃然に回答でき,バイアスを考慮した順序に
⾏動モデル 認知→興味→検索→購⼊→シェア(AISAS)等の⾏動の順序に則して質問する
事実と感情 店舗への訪問や商品の購⼊等の事実を質問した後に,その感情・感想を問う
⼀般と個別 ⼀般的な質問から始め,対象者のみに個別の(詳細な)質問をする
関連質問 関連する質問は分断せずに,まとめて質問する
想起⽅法 純粋想起と助成想起を併⽤する場合,純粋想起を先に質問
順序バイアス 前の質問は後の質問に影響を与えるため,バイアスを避けたい指標は先に質問
回答形式
調査⽬的と設問項⽬を踏まえて,適切な回答形式を選択する
No 回答形式 内容
1 単⼀回答 (Single Answer, SA) 複数の選択肢から,その中から1つ選ぶ回答形式
2 複数回答 (Multiple Answer, MA) 複数の選択肢から,その中から複数選択可能な回答形式
3 制限付き複数回答 (Limited Answer, LA) 複数の選択肢から,その中から上限がある複数選択の回答形式
4 ⾃由回答 (Free Answer, FA) 単語や⽂章で⾃由に記述する回答形式 (⽂字数の上下限を設ける場合もある)
5 数値配分回答 複数の選択肢に対して,合計が⼀定の数(例︓100点)になるように配分する回答形式
6 順位回答 ⽤意された複数の選択肢に順位をつける回答形式
7 ⼀対⽐較 複数の選択肢の順位について,1対1で⽐較して順位を明確に回答する形式
8 数値回答 数値で⾃由に回答する形式
9 助成想起 企業・商品ブランドの認知等を調査する際に,⽤意された選択肢から選ぶ回答形式
10 純粋想起 企業・商品ブランドの認知等を調査する際に,選択肢を提⽰せずに⾃由に回答する形式
助成想起の危険性
助成想起での提⽰は過⼤評価に誘導する傾向があり,純粋想起のほうが望ましい
A群 B群
Q.これら3社のうちの1社が最⾼品質のカメラを製造する可能性はどのくらいか︖
評価の偏向がなければ平均50%前後になるはずだが,
選択肢を提⽰されたことで過⼤評価が発⽣
Kardes, F. R., Sanbonmatsu, D. M., Cronley, M. L., Houghton, D. C. (2002). Consideration set overvaluation: When impossibly favorable ratings of a set of brands are
observed. Journal of Consumer Psychology, 12(4), 353-361.
“純粋想起型SA”のススメ
企業・商品の辞書を⽤意しておき,バイアスなくコード化された回答を得ることが可能
Q. あなたが最も購⼊を検討している⾞名をお答えください.
「フ」と⼊⼒ 「フィット」と⼊⼒
「fit」と⼊⼒ 「フィッツ」と⼊⼒
仮想市場評価法 (CVM; Contingent Valuation Method)
存在しない価値のWTPを測定する⽅法は,CVM以外存在しない3
1: Ciriacy-Wantrup, S. V. (1947). Capital returns from soil-conservation practices. Journal of farm economics, 29(4), 1181-1196.
2: Murphy, J. J., Allen, P. G., Stevens, T. H., Weatherhead, D. (2005). A meta-analysis of hypothetical bias in stated preference valuation. Environmental and Resource
Economics, 30(3), 313-325.
3: ⽵内憲司. (1996). CVM は使えるか?. 公共選択の研究, 1996(27), 55-66.
• 価格を持たない・市場に存在しない価値に対する⽀払意思額(WTP)の評価法1
• 質問形式は,主に以下の3種類ある.
- Open-ended ︓⾦額を⾃由回答で問う.
提⽰情報の内容に依存する,アンカリングバイアスが懸念
- Bidding game︓⾦額を(上げながら/下げながら)提⽰し,⽀払意志をYes/Noで問う
初期提⽰額が妥当でないと真値と乖離する初期点バイアスが懸念
- Payment card︓選択肢を提⽰し,最⼤限払っても良いと感じるものを選択
選択肢の範囲に縛られる,範囲バイアスが懸念
• しかし,被験者は実際に⽀払う必要がないことから,仮想的な評価に過ぎず,
バイアスが⽣じる.表明されたWTPは真のWTPに⽐べて1.4-2.6倍になる2
仮想市場評価法に対する批判
包含効果の解消には,被験者に正確かつ想像できるように情報を伝えることが重要
1: Desvousges, W. H., Reed Johnson, F., Dunford, R. W., Nicole Wilson, K., Boyle, K. J. (1993). Measuring natural resource damages with contingent valuation.
Contingent valuation: A critical assessment. Emerald Group Publishing Limited, pp. 91-164.
包含効果(embedding effect)
評価対象が数量的に⼤きくなる/質的に向上するときに,
CVMの評価額がそれに応じて⼤きくならないこと
原油流出の防⽌による⽔⿃保護の価値1
A︓2,000⽻保護 B︓20,000⽻保護 C︓200,000⽻保護
𝑊𝑇𝑃!
= $80
𝑊𝑇𝑃"
= $78
𝑊𝑇𝑃#
= $88
仮想市場評価法の条件
CVMを施⾏するうえで,必ず遵守すべき調査の基準
⽀払意思額(Willingness To Pay, WTP)と受⼊意思額(Willingness To Accept, WTA)2
WTA︓ある価値を⼿放す場合に,その代償として受け⼊れられる最低限度の⾦額(売値)
WTP︓ある価値を⼿に⼊れる場合に,対価として⽀払う最⼤限度の⾦額(買値)
※⼀般に市場で取引される財の場合はWTAの⽅が2倍程度で,公共物の場合は10倍以上に
1: Cummings, R. G. (1986). Valuing environmental goods. An Assessment of the Contingent Valuation Method, 104-107.
2: Kahneman, D., Knetsch, J. L., Thaler, R. H. (1991). Anomalies: The endowment effect, loss aversion, and status quo bias. Journal of Economic perspectives, 5(1),
193-206.
• 被験者は評価する価値に馴染みがあり,理解していなければならない
• 被験者は当該価値について,事前に評価・選択した経験がなければならない
• 提⽰する情報に,不確実性を含めてはならない
• WTAではなく,WTPを引き出さなければならない
ROCs (Reference Operating Conditions)1
CVMの精度が評価額の±50%程度にしかならないとしたうえでの準拠正確性を達成するための条件
市場に存在しない価値を,消費者の⽀払意思額として評価できることは,有益な⼿段
仮想市場評価法を⽤いた研究
• 江⼾城外堀のアオコ発⽣による悪臭を改善するための施策に関する
便益を評価1
• 地球温暖化対策のため,ガソリンの代替燃料として,割⾼なバイオエ
タノールのWTPを評価2
• 積雪で不作が⽣じている岩津ねぎにおける「除雪技術による安定供
給」について,妥当な値上げ⾦額を推定3
• ⾞のエクステリアの知覚品質の向上が⽀払意思額に与える影響の評価4
1:吉岡佐, 栗栖聖, 花⽊啓祐. (2015). 江⼾城外濠における⽔質改善施策のモデル評価と費⽤便益分析. ⽔環境学会誌, 38(1), 9-21.
2:⾓崎俊⼀郎, ⽮部光保. (2007). ⾃動⾞⽤国産バイオエタノール燃料の導⼊に対する⽀払意思額に関する研究. 農村計画学会誌, 26, 347-352.
3:加藤雅宣, 寺脇拓, 福嶋昭. (2007). 伝統野菜の安定供給に対する消費者の⽀払意志額. 農業経営研究, 45(1), 73-78.
4:加藤拓⺒. (2019).⾃動⾞のエクステリアデザインにおける仕上げが⽀払い意思額に与える影響の定量的評価. 応⽤統計学, 48(3).
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
誤差とは
調査の⽬的は⺟集団を知ることであり,サンプルを分析することではない
真値
(⺟集団)
推定値
(サンプル)
誤差
知りたいもの ⼿元にあるもの
標本誤差と⾮標本誤差
標本誤差と⾮標本誤差を合わせた誤差が少ない調査が「代表性の⾼い調査」
誤差
標本誤差
(sampling error)
⾮標本誤差
(non- sampling error)
標本調査における⺟集団を推定する際の誤差.
確率論によって標本誤差の範囲は計算可能.
標本調査以外のすべての誤差.
・無回答誤差︓無回答の⼈の発⽣率に偏り
・サンプリング誤差︓⾮確率抽出で⽣じる偏り
・⼈的ミスによる誤差︓調査実⾏,⼊⼒,集計など
上⽥拓治. (2010). マーケティングリサーチの論理と技法. 4, ⽇本評論社.
標準偏差SDと標準誤差SE
標準偏差は⺟集団のバラツキの推定,標準誤差は⺟平均の推定に⽤いられる
⺟集団
平均値!,標準偏差"
サンプル1
平均値!"
標準偏差s
サンプル2
平均値!"
標準偏差s
サンプルK
平均値!"
標準偏差s
・・・
抽出
各サンプルの分布の標準偏差=標準誤差
不偏標準偏差
(Standard Deviation, SD)
標準誤差
(Standard Error, SE)
※分⺟をnにすると標本分散(sample variance),
⾃由度n-1にすると不偏分散(unbiased variance)
※標本分散はあくまで標本の分散で,調査の⽬的は
⺟集団の推定である.そこで,⺟分散に等しくなる
ように補正した不偏分散を使⽤することが⼀般的.
上⽥拓治. (2010). マーケティングリサーチの論理と技法. 4, ⽇本評論社.
標準偏差SDと標準誤差SEの使い⽅
標準偏差は⺟集団のバラツキの推定,標準誤差は⺟平均の推定に⽤いられる
(不偏)標準偏差(Standard Deviation, SD)︓
⺟集団のバラツキを推定する. (⺟平均と⺟標準偏差に興味)
μ ± 2SDの範囲に⺟集団のデータの95.5%が存在すると期待される.
標準誤差(Standard Error, SE)︓
⺟平均の値を推定する. (⺟標準偏差には無関⼼)
μ ± 2SE の範囲に⺟平均が含まれている確率が95.5%と期待される.
※統計調査の⽬的は,⺟集団(⺟平均と⺟標準偏差)推定のため,標本標準偏差を使うことは稀
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
バイアスは調査のあらゆるプロセスに潜んでおり,発⽣メカニズムを理解して設計すべき
⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ. ⽂藝春秋.
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
シーズナルバイアス
⽐較可能な複数時点の調査,異常値にならない1回の調査を設計すべき
1: ⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ. ⽂藝春秋.
• 休⽇・祝⽇よりも平⽇の⽅が朝7:00-9:00の電⾞の乗⾞率が⾼くなる
• 年末年始やゴールデンウィーク等の時期になると消費が増える
• ⾃動⾞の販売台数は年度末の決算⽉である3⽉が最も多くなる
• ⾮⾏⾏為の件数を調査すると,冬よりも夏の⽅が頻度が多い1
季節等の周期によって消費者⾏動などに影響を与えるバイアス.
2時点の調査を⽐較するときに,⽐較不可能な時点を選んではいけない.
悪意がなくとも事実と記憶は乖離していくため,それを前提として調査設計すべき
⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ. ⽂藝春秋.
・メモリー効果︓
⼈間の記憶には限界があり,よほど重⼤でない⽇常的なことは忘れていく
・ドラマタイジング効果︓
過去の出来事を実態より⼤きな出来事として記憶してしまう
メモリー効果・ドラマタイジング効果
1995年 ⼤阪府知事選
• 選挙の確定投票数
→ 横⼭ノック48.2%, 平野拓也34.1%, …
• 1年後の⽀持率調査 (Q. 1年前の知事選で誰に投票したか︖)
→ 横⼭ノック43.1%, 平野拓也9.5%, …
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
単語⾃体にポジティブ・ネガティブな印象がないものを選択して設計すべき
1: 安⽥三郎. (1966). 質問紙のワーディング実験. 社会学評論, 17(2), 58-73.
類似する単語でも,消費者にポジティブ・ネガティブな印象を与えるバイアス.
同じ意味の質問でも,異なる結果が得られてしまう.
ワーディングバイアス
「官僚」というネガティブワード1
A: 国鉄官僚が無料で電⾞に乗れる制度があるが,あなたは賛成ですか︖
B: 国鉄職員が無料で電⾞に乗れる制度があるが,あなたは賛成ですか︖
→ Aは25⼈中3⼈が賛成
Bは25⼈中13⼈が賛成
キャリーオーバー効果
前提知識や記憶を呼び起こす前に,⽬的の指標を聴取する設計にすべき
Strack, F., Martin, L. L., Schwarz, N. (1988). Priming and communication: Social determinants of information use in judgments of life satisfaction. European journal of
social psychology, 18(5), 429-442.
Pattern A
Q1 あなたは最近どのくらい幸せですか?
Q2 あなたはこの1か⽉で何回デートしましたか?
Pattern B
Q1 あなたはこの1か⽉で何回デートしましたか?
Q2 あなたは最近どのくらい幸せですか?
相関なし 相関0.64
前の設問で想起された記憶や感情が後ろの設問に影響を与えるバイアス.
幸福感のような瞬時に回答できない質問は,現在の状況を考えてから答える.
しかし,前の設問で幸福感に繋がる質問があると,誘導される形で答えてしまう.
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
調査⽬的を踏まえて⺟集団を定義し,代表性のあるサンプル抽出⽅法を設計すべき
1: ⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ. ⽂藝春秋.
調査したい⺟集団が(意図的に)曖昧なため,代表性があるかわからない
サンプルからデータを集めることで,偏りのある結果となるバイアス.
⺟集団の不明・⾮代表性
「武装する少年たち」(雑誌記事)1
都内4ヶ所(渋⾕, 原宿, 池袋, ⻲⼾)で男⼦中学⽣63⼈に聞き取り調査をした結果,
5⼈に2⼈がナイフ・エアガンなど所持していた.
→ ⺟集団は「都内に住む男⼦中学⽣」と設定したと読み取れるが,サンプル抽出
⽅法が未記載である.深夜に繁華街を歩き回って調査した結果と推察される.
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
1: 峰久和哲. (2010). 新聞の世論調査⼿法の変遷 (< 特集> 世論と世論調査). マス・コミュニケーション研究, 77, 39-58.
2: ⻲ケ⾕雅彦. 選挙予測のアナウンスメント効果に関する先⾏研究の概観ーアナウンスメント効果の下位効果の拡張に向けて.⼭形県⽴⽶沢⼥⼦短期⼤学紀要, 36, 71-86.
バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
・バンドワゴン効果︓
既に有利な状況の⼈気のある⼈がさらに⽀持を集める効果
・アンダードッグ効果︓
弱い⽴場・不利な状況の⼈を応援したくなる効果
(2つの効果はほぼ相殺されると考えられているが,⼗分に⽴証されていない1)
調査期間中に速報や予測を公表して回答に影響が⽣じないよう設計すべき
選挙の出⼝調査における予測の問題2
• アメリカの東海岸地域の出⼝調査に基づき,投票終了時に予測値が出
されるが,時差が3時間ある⻄海岸ではまだ終了していない.
• そこで,予測値を⾒て⼤勢が判明した有権者が投票を放棄してしまう.
調査対象者が回答する環境・状況を,調査⽬的に即して適切に設計すべき
1: ⾕岡⼀郎. (2000). 「社会調査」 のウソ: リサーチ・リテラシーのすすめ. ⽂藝春秋.
調査員の特徴等が回答者に与えるバイアス
• 調査員の特徴(⼈種, 性別, 年齢, 容姿等)で回答に影響する属性的効果
• 調査員の⽬的や思想から無意識に回答を誘導してしまう予想効果
⿊⼈と⽩⼈のインタビュアー1
⿊⼈・⽩⼈それぞれ10名の男性に訓練をした後に,以下のインタビューを実施.
「ふさわしい⼒量があれば⿊⼈が⼤統領になることに賛成しますか︖」
→ 「調査員が⽩⼈・回答者が⽩⼈」 より「調査員が⿊⼈・回答者が⽩⼈」の⽅が
より肯定的な回答が得られる.
インタビュアー効果
バイアスの種類
調査票
調査プロセス
タイムフレーム
サンプリング
調査・データ回収
• ワーディングバイアス
• キャリーオーバー効果
• シーズナルバイアス
• メモリー効果・ドラマタイジング効果
• ⺟集団の不明・⾮代表性
• バンドワゴン効果・アンダードッグ効果
• インタビュアー効果
分析・報告 • フレーミング効果(印象操作)
調査票設計
バイアスの種類
「助かる」等のポジティブな単語を好み,「死亡する」等のネガティブな単語を避ける
1: Tversky, A., Kahneman, D. (1981). The framing of decisions and the rationality of choice. Science, 221, 453-458.
実質的に同じ意味でも,表現⽅法によって相⼿に異なる印象をあたる効果
フレーミング効果 (印象操作)
突発的に発⽣した特殊な病気への対策1
パターンA
対策A︓600⼈中200⼈が助かる
対策B︓600⼈が助かる確率が1/3,
誰も助からない確率が2/3
パターンB
対策C︓600⼈中400⼈が死亡する
対策D︓誰も死なない確率が1/3,
600⼈が死亡する確率が2/3
被験者の76%が
対策A
被験者の87%が
対策D
同じ
多国間の⽐較調査
⽇本⼈の中間回答傾向
複数国での調査は,単純に⽐較すると,回答傾向によるバイアスを除外できない懸念
吉野諒三,林⽂,⼭岡和枝.(2010).国際⽐較データの解析:意 識調査の実践と活⽤.20-95,朝倉書店.
• 複数国の価値観調査において,⽇本⼈のスコアが低いとする結論が散⾒される
• しかし,⽇本⼈は明確なYes/Noを表明しにくく,選択肢の両極端を避ける中間
回答傾向が指摘されている
• したがって,⽇本の選択肢は「1.満⾜,2.やや満⾜, 3.やや不満,4.不満」,
アメリカの選択肢は「1. very satisfied, 2. satisfied, 3. unsatisfied, 4. very
unsatisfied」 のように強弱の調整をする等,⽐較可能な状態を設計すべき
バイアスの捉え⽅
バイアスを完全になくすことは,おおよそ不可能である.
バイアスの存在と発⽣原因を把握し,対象者の状況を考慮して
最⼤限バイアスを低減する調査設計を⾏うことが重要である.
調査にあたって,バイアスの存在を知らないことが最も恐ろしい状態である
2. 結果を決めてしまう調査設計
アジェンダ
4. 調査に潜むバイアス
1. 調査・検証のプロセス
3. 誤差とは何か
5. まとめ
まとめ
• まだ解決されていない問題とその対策(仮説)は,顧客に聞くものでは
なく,⾃ら考えるものであり,その出発点として客観的調査がある
• ただし客観的調査は,過去とその延⻑線しか知ることができないため,
状況把握のみに依存すると新たな価値を⽣み出すことが難しい
• ⺟集団の定義とサンプリング⽅法の決定,サンプルサイズ設計,調査
⽅法と回答率,質問の順序など,調査では設計が極めて重要である
• バイアスの存在と発⽣原因を把握し,対象者の状況を考慮して最⼤限
バイアスを低減する調査設計を⾏うべき
• 多国間の調査における結果は,単純に⽐較すべきではない
END
https://researchmap.jp/hm_tk

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