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パーキンソン病の睡眠障害と治療

パーキンソン病の症状と睡眠の関係,睡眠障害,覚醒障害とその治療についてまとめました.

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パーキンソン病の睡眠障害と治療

  1. 1. パーキンソン病の 睡眠障害と治療 新潟大学脳研究所神経内科 下畑享良
  2. 2. 概 略 運動・非運動症状と睡眠 A. 睡眠障害 B. 覚醒障害
  3. 3. パーキンソン病の症状 Gowers WR 1893 1.運動症状 2.非運動症状
  4. 4. 振戦 無動(寝返り困難) → 睡眠障害 運動症状 → 睡眠
  5. 5. 幻覚・妄想 認知症 うつ 便秘症 排尿障害 立ちくらみ 痛み 睡眠障害 非運動症状 → 睡眠
  6. 6. 幻覚・妄想 認知症 うつ 便秘症 排尿障害 立ちくらみ 痛み 睡眠障害 非運動症状 → 睡眠 夜間頻尿
  7. 7. 睡眠 → 運動症状 Sleep benefit 逆に睡眠障害は,翌日の運動症状を悪化する 良い睡眠 睡眠中の ドパミン 合成↑ 運動 症状改善
  8. 8. 小括1.運動・非運動症状と睡眠 相互に作用 種々の非運動症状も,睡眠障害に 影響を及ぼす. 睡眠障害運動症状① ②
  9. 9. A. 睡眠障害 入眠障害 中途覚醒 睡眠呼吸障害 REM睡眠行動異常症(RBD) レストレス・レッグス症候群(RLS) 周期性四肢運動症(PLMS) B. 覚醒障害 日中の過眠 突発性睡眠 パーキンソン病の睡眠異常
  10. 10. A. 睡眠障害 入眠障害 中途覚醒 睡眠呼吸障害 REM睡眠行動異常症(RBD) レストレス・レッグス症候群(RLS) 周期性四肢運動症(PLMS) B. 覚醒障害 日中の過眠 突発性睡眠 パーキンソン病の睡眠異常
  11. 11. 入眠障害 中途覚醒 睡眠呼吸 障害 頻度が高い A. 睡眠障害 日中の過眠を 呈するPD患者 の20%
  12. 12. 中途覚醒の原因 中途 覚醒 非運動症状 抗パ薬過剰抗パ薬不足 夜間頻尿,うつ 幻覚,ジスキネジア振戦,寝返り困難
  13. 13. 入眠障害の原因 入眠 障害 不安 レストレスレッ グス症候群幻覚
  14. 14. 睡眠呼吸障害の原因 睡眠呼吸 障害 パーキンソニズム による上気道機能 障害
  15. 15. 対 策
  16. 16. まず睡眠環境の調整 パーキンソン病治療ガイドライン2011
  17. 17. 入眠障害の治療 ❶ 催眠鎮静薬(エビデンスあり) 推奨 レベル 特徴 文献 エス ゾピクロン (ルネスタ®) 要治験 総睡眠時間改善(-) 副次評価項目改善 Mov Disord. 2010; 25:1708–14. 小規模なランダム化比較試験
  18. 18. 入眠障害の治療 ❶ 催眠鎮静薬(エビデンスあり) 推奨 レベル 特徴 文献 エス ゾピクロン (ルネスタ®) 要治験 総睡眠時間改善(-) 副次評価項目改善 Mov Disord. 2010; 25:1708–14. メラトニン 要治験 睡眠の質を改善 日中の過眠は無効 Sleep Med. 2005; 6:459–466. 小規模なランダム化比較試験
  19. 19. 超短時間・短時間作用型 ゾピクロン(アモバン® ) 7.5-10 mg ゾルピデム(マイスリー® ) 5 mg ブロチゾラム(レンドルミン®) 0.25 mg パーキンソン病治療ガイドライン2011 入眠障害の治療 ❷ 催眠鎮静薬(ガイドライン)
  20. 20. 中途覚醒へのアプローチ 中途 覚醒 非運動症状 抗パ薬過剰抗パ薬不足 夜間頻尿,うつへの 対策 減量抗パ薬追加 催眠鎮静薬
  21. 21. 中途覚醒の治療 ❶ 催眠鎮静薬(エビデンスなし,ガイドライン) 作用時間のより長い中間作用型 フルニトラゼパム(ロヒプノール®) 1-2 mg パーキンソン病治療ガイドライン2011
  22. 22. 推奨度 特徴 文献 L-DOPA合剤 (徐放剤) 要治験 Sinemet CR 200 mg PSG上,改善なし Eur J Neurol. 2011;18:590-6. 【抗パ薬不足】 抗パ薬による睡眠改善? 中途覚醒の治療 ❷ 小規模なランダム化比較試験
  23. 23. 推奨度 特徴 文献 L-DOPA合剤 (徐放剤) 要治験 Sinemet CR 200 mg PSG上,改善なし Eur J Neurol. 2011;18:590-6. パーゴライド (ペルマックス®) 無効 睡眠の質の低下, 断片化 Neurology. 2005;64:1450-1 【抗パ薬不足】 抗パ薬による睡眠改善? 中途覚醒の治療 ❷ 小規模なランダム化比較試験
  24. 24. 推奨度 特徴 文献 L-DOPA合剤 (徐放剤) 要治験 Sinemet CR 200 mg PSG上,改善なし Eur J Neurol. 2011;18:590-6. パーゴライド (ペルマックス®) 無効 睡眠の質の低下, 断片化 Neurology. 2005;64:1450-1 ロチゴチン (ニュープロ®) 要治験 夜間の痛み, 不快感を改善する? Expert Opin Pharmacother. 2011;12:1985-98. 【抗パ薬不足】 抗パ薬による睡眠改善? 中途覚醒の治療 ❷
  25. 25. 【抗パ薬過剰】 ジスキネジア,幻覚 → 抗パ薬の減量,非定型抗精神薬 【非運動症状】 うつ → 三環系抗うつ薬,SSRI 夜間頻尿 → 夕方以降の嗜好品・利尿剤制限 頻尿治療薬 中途覚醒の対策 ❸ (パーキンソン病治療ガイドライン2011)
  26. 26. 頻尿(過活動膀胱)治療薬 中枢移行の少ない抗コリン薬 選択的β 3 受容体刺激薬 ベシケア® ステーブラ® トビエース® ベタニス® 中途覚醒の対策 ❹
  27. 27. パーキンソン病治療ガイドライン2011 エビデンスはないものの以下を推奨 ① パーキンソニズムによる上気道機能障害 → L-DOPA ② CPAP → ガイドライン作成後,RCTが報告された. 睡眠呼吸障害の対策 ❶
  28. 28. Neikrug AB et al. Sleep. 2014 Jan 1;37(1):177-85. 計38例のPD患者を2群に分け, CPAP開始 3,6週後に評価した 【PSG】 AHI,CT90 改善 Arousal 改善 睡眠構造 改善 (N2↓,N3↑) 【日中の過眠】 ESS 改善 PDに伴う睡眠呼吸障害にCPAPは有効
  29. 29. その他の睡眠障害の原因 レム睡眠 行動 異常症 レストレス レッグス 症候群 周期性 四肢 運動症
  30. 30. REM睡眠行動異常症(RBD) αシヌクレイノパチー (PD, DLB, MSA) PD患者の15-50% 悪夢・恐ろしい夢 寝言・荒々しい体動 (夢の内容と一致)
  31. 31. REM睡眠行動異常症(RBD)
  32. 32. 自己記入式のスクリーニング質問票(RBDSQ-J) 13点満点で5点をカットオフ値 Miyamoto T et al. Sleep Med 2009; 10, 1151-4
  33. 33. 通常のRBDと同様 クロナゼパム(リボトリール®) 0.5-1.5 mg パーキンソン病治療ガイドライン2011 PDに伴うRBDに対するRCTなし L-DOPA,プラミペキソール,ドネペジル, リバスチグミン,効果が一定しない. RBDの治療
  34. 34. Urge to move Worse at night Motor relief Worse at rest 4項目 全てを認める Restless legs syndrome(RLS)
  35. 35. RLS症状の表現の多様性
  36. 36. 5つめの項目 これらの特徴を持つ症状が,他の疾患・ 習慣的行動で説明できない. 筋肉痛,静脈うっ血,下肢浮腫,関節炎, こむら返り,特定の体位における不快感, フットタッピングなど 国際レストレスレッグス症候群研究グループ(IRLSSG)診断基準2014改訂版
  37. 37. 診断を補助する4つの特徴 1. 周期性四肢運動症の合併 2. ドパミン受容体作動薬が不快感の軽減に 有効 3. 家族歴がある 4. 日中の強い眠気がない 国際レストレスレッグス症候群研究グループ(IRLSSG)診断基準2014改訂版
  38. 38. 一次性 ドパミン作動性神 経の機能障害 鉄代謝の異常 遺伝的素因 二次性 鉄欠乏性貧血 慢性腎不全 糖尿病 パーキンソン病 妊娠 向精神薬
  39. 39. パーキンソン病と RLS Nomura T, Inoue Y, et al. Mov Disord 21; 380-384, 2006 Nomura T, Inoue Y, et al. J Neurol Sci 250; 39-44, 2006 • 頻度 PD (20/165 = 12%) 対照 (3/131 = 2.3%) • 発症時期 PD発症後5年以内(77%) PD発症に先行する症例なし
  40. 40. RLSはPD患者の睡眠を増悪する 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 PD with RLS PD without RLS Control PSQI Score 睡眠 障害 スコア Nomura T, Inoue Y, et al. Mov Disord 21; 380-384, 2006 *** *** *** P<0.005 N=20 N=145 N=131
  41. 41. PDに伴うRLSに対するRCTなし パーキンソン病治療ガイドライン2011 通常のRLSと同様 ドパミンアゴニストの使用を推奨 しかし,ドパミンアゴニストがすでに使用中の時に, どうしたらよいか? RLSの治療 ❶
  42. 42. ① 非薬物療法 睡眠前のマッサージ,歩行, シャワー(温水・冷水) アルコール,カフェインの減量中止 内服薬チェック(抗ヒスタミン薬,抗うつ薬) ② L-DOPA,ドパミンアゴニストの増量 ☓ Augmentation,Wearing off 現象, 幻覚の可能性 ③ ガバペンチン・エナカルビル (レグナイト®) ④ クロナゼパム (リボトリール®) ⑤ オピオイド RLSの治療 ❷
  43. 43. トピックス
  44. 44. 未治療のPDではRLSではなく, leg motor restlessnessが増加
  45. 45. Urge to move Worse at night Motor relief Worse at rest Leg motor restlessness (Gjerstad MD et al. Neurology 77;1941-1946, 2011) Urge to moveを認めるが 4項目全ては満たさない
  46. 46. 治療中のPDでのLMRの検討 Shimohata T et al. Parkinsonism Relat Disord. 2013;19:571-2.
  47. 47. 不眠の訴え RLS LMR 40.9%77.7% 63.3% ** P=0.004 vs. UMなし * P=0.029 vs. UMなし UMなし
  48. 48. 睡眠時間 RLS LMR UMなし 7.0h5.8h 6.5h P=0.009 vs. non-UM **
  49. 49. 日中の過眠 RLS LMR * P=0.032 vs. UMなし 34.5%61.1% 46.7% UMなし
  50. 50. LMRの意義・原因 意義 RLSより軽度ながら,睡眠に影響を及ぼす可能性 原因 1)PDに伴うRLSの不全型 2)抗パ薬により顕在化したRLSの不全型 3)PD症状としてのオフ時の下肢の異常感覚 → 治療のためには症例毎の機序の解明が必要
  51. 51. 小括2.睡眠障害の治療 1. PDにおける睡眠障害は運動症状に影響を 及ぼすため,積極的な治療が必要である. 2. 中途覚醒では,その原因として非運動症状, 抗パ薬の不足,過剰を鑑別する必要がある. 3. RLSに加え,LMRも睡眠障害の原因になる ことを認識する必要が,治療については確立 していない.
  52. 52. B. 覚醒障害 日中の 過眠 突発性 睡眠
  53. 53. 過眠の評価方法 • 主観的評価 –Epworth 睡眠尺度 • 客観的評価 –反復睡眠潜時検査(MSLT)
  54. 54. 過眠症 11点以上 Epworth睡眠尺度(ESS) EDS; excessive daytime sleepiness
  55. 55. • 目的 眠気の客観的評価 入眠直後のREM睡眠の検出 • 適応 過眠症を呈する疾患 (ナルコレプシーなど) 反復睡眠潜時検査(MSLT)
  56. 56. MSLT 2hごと5回寝る 睡眠潜時 レム睡眠潜時
  57. 57. • 睡眠潜時短い → 眠気が強い • 平均睡眠潜時 – 健常人 10分~20分 – 軽度の眠気 10分~15分 – 中等度の眠気 5~10分 – 重度の眠気 5分以下 – ナルコレプシー 5分以下 結果の解釈
  58. 58. パーキンソン病の日中の過眠 日中の 過眠 睡眠障害 うつ薬剤 非麦角系ドパミンアゴニスト プラミペキソール,ロピニロール 中途覚醒 入眠障害 睡眠呼吸障害 RBD,RLS,PLMS
  59. 59. 抗パ剤のためだけに眠いわけではない ノルウェイ PD: 153名(非内服) 対照: 169名 EDS: ESS ≧11 Tholfsen L et al. Neurology 85; 162-168, 2015
  60. 60. 推奨度 特徴 文献 モダフィニル (モディオダール®) 要治験 2報告で有効 1報告で無効 Sleep. 2002; 25:905–909 等 エビデンス 覚醒障害の治療 対策 1. 日中の刺激を増やす 2. 睡眠障害の治療 3. ドパミンアゴニストの減量・中止
  61. 61. 突発性睡眠 予兆なく寝入り,1-5分で目覚める 症例:73歳女性 60歳時にPDを発症 68歳,wearing off 現象 メネシット 400 mg ペルマックス 1500 mg 突然の睡眠発作 頭部ががくんと下がり,たまに打撲 自覚なし Hirayama M et al. Mov Disord 23; 288-290, 2008
  62. 62. 突発性睡眠 予兆なく寝入り,1-5分で目覚める Hirayama M et al. Mov Disord 23; 288-290, 2008
  63. 63. 増悪因子 1. 罹病期間が長い 2. ドパミンアゴニストの内服(D3受容体) (L-DOPAでも生じうる) 3. 日中の過眠(ESS 11点以上) (認めない人もいる) 交通事故 自動車運転中の突発睡眠(Sleep attack)に よる8症例. Frucht S et al. Neurology 1999:52, 1908-10 突発性睡眠
  64. 64. PD患者の運転 運動障害 思考の 緩徐化 視覚処理 遅延 ドパミン アゴニスト 睡眠・ 覚醒障害
  65. 65. 第56回日本神経学会学術大会 「神経疾患と自動車運転」 荒木信夫教授 PD患者ドライバー43名にアンケート 自動車事故 9/43名(21%)が経験 追突事故が多い 夕方の事故が多い → 明暗の影響 4割が自動車運転に困難を感じていた (車線変更,駐車,反転が困難,信号見落とし) PD患者の運転
  66. 66. PD患者の運転 神内医が日常診療で,運転能力を評価することは困難 → 定量的な評価が必要 路上テスト 運転シミュレーター 運転シミュレーター 進行患者(Yahr Ⅲ)では初期の患者(YahrⅠ)と比較 して,反応時間が遅延し,ミスが増加する
  67. 67. 総括.睡眠障害の治療 1. 睡眠障害の原因は多彩である. 2. 覚醒障害としては日中の過眠と,突発性 睡眠がある. 3. いずれもまず原因を明らかにして,適切な 治療を行うが,エビデンスが不十分であるこ とから,今後の取組が必要である.

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