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博士号取得への道

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経営者をやりながら8年かけて博士号を取得した経験をまとめました。社会人で博士課程に挑戦している方の一助となれば幸いです。
【博士学位論文】https://www.agulin.aoyama.ac.jp/repo/repository/1000/20873/20873.pdf

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博士号取得への道

  1. 1. 博士号取得への道 8年(うち2.5年休学)の経験から 太田滋(Shigeru Ota) ビルコム株式会社 代表取締役兼CEO 青山学院大学国際マネジメント学術フロンティア・センター特別研究員 2019年11月23日
  2. 2. 1 目次 1. 査読が通らなければ意味がない 2. リジェクト経験値を高めよう 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 4. 先行研究は主張を補強する根拠 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか 6. ツールを活用して効率化を図る 7. 博士課程はプロジェクトだ 8. 博士論文と学術論文は全く違う 9. 博士学位は人に与えられるもの 10. 博士学位の先にあるもの
  3. 3. 2 1. 査読*が通らなければ意味がない *学術誌に査読付き論文として掲載されること
  4. 4. 3 1. 査読が通らなければ意味がない 学内表彰
  5. 5. 4 1. 査読が通らなければ意味がない 学会賞
  6. 6. 5 1. 査読が通らなければ意味がない 学内表彰
  7. 7. 6 1. 査読が通らなければ意味がない 学会賞
  8. 8. 7 1. 査読が通らなければ意味がない 研究ノート
  9. 9. 8 1. 査読が通らなければ意味がない 国際学会での研究発表
  10. 10. 9 1. 査読が通らなければ意味がない 研究計画審査・中間報告審査
  11. 11. 10 1. 査読が通らなければ意味がない 慢心・驕り・昂ぶりからの脱却。 研究者として常に謙虚であれ。
  12. 12. 11 2. リジェクト経験値を高めよう
  13. 13. 12 2. リジェクト経験値を高めよう 投稿先が違う
  14. 14. 13 2. リジェクト経験値を高めよう ジャーナルの 傾向・文法が違う (実証研究等)
  15. 15. 14 2. リジェクト経験値を高めよう ①集計結果に留まっている ②仮説導出の根拠が弱い
  16. 16. 15 2. リジェクト経験値を高めよう 理論的な枠組みに対する解釈が恣意的
  17. 17. 16 2. リジェクト経験値を高めよう 概念の定義と操作化は峻別するべき
  18. 18. 17 <参考>概念・定義・操作化 ・概念は、個別事象から一般化することによって形成 された抽象のこと。 ・定義とは、概念の意味・内容を他と区別できるよう に、言葉で明確に規定すること。 ・操作化とは、RQ(研究を通じて明らかにしたい問い のこと)を、検証可能なレベルに変数化すること。
  19. 19. 18 2. リジェクト経験値を高めよう リジェクトされると研究の質は上がる。 だから、たくさん投稿しよう。
  20. 20. 19 3. 修正リスト(List of alterations)を作る
  21. 21. 20 3. 修正リスト(List of alterations)を作る リジェクトレターを受領したとき
  22. 22. 21 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 条件付き採択を受けて改稿したとき
  23. 23. 22 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 指導教員との打ち合わせ終了後
  24. 24. 23 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 論文提出に対してご指摘をいただいたとき
  25. 25. 24 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 研究発表会や公開指導委員会の終了後
  26. 26. 25 3. 修正リスト(List of alterations)を作る 修正リストは知見の蓄積。 博士論文を書く際の糧になる。
  27. 27. 26 4. 先行研究は主張を補強する根拠
  28. 28. 27 4. 先行研究は主張を補強する根拠 先行研究の羅列は意味がない・・・So What?
  29. 29. 28 4. 先行研究は主張を補強する根拠 主張したいストーリーを補強するために引用する 中略
  30. 30. 29 4. 先行研究は主張を補強する根拠 大量の先行研究・文献は分野ごとにフォルダ管理
  31. 31. 30 4. 先行研究は主張を補強する根拠 先行研究を整理する(RQ・データ・分析・結論など)
  32. 32. 31 4. 先行研究は主張を補強する根拠 さらに、先行研究の「欠落している視点」を記述する
  33. 33. 32 4. 先行研究は主張を補強する根拠 「欠落している視点」は学術的意義になる
  34. 34. 33 4. 先行研究は主張を補強する根拠 先行研究のレビュー数も大事 博士論文の参考文献数は303。 そのうち海外文献は244。論文32ページ分。
  35. 35. 34 4. 先行研究は主張を補強する根拠 「穴は空いているか?」 「その穴に意義があるか?」 こういう研究がある。ああいう研究もある。しかし、XXはやられていない。 XXは学術的にも、実務的にも重要である。したがって、XXをやる。 →自分のやりたいアイディアと先行研究は反復しながら進める。
  36. 36. 35 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  37. 37. 36 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか 研究テーマ 研究目的 RQ データ (分析)手法 分析結果 考察 学術的理論 先行研究 問題意識 実務関連性 限界 今後の課題 学術的・実務的 意義 研究・論文の大きな枠組み
  38. 38. 37 遠大かつ抽象度が高い研究テーマだと結論がでない 2015年2月25日 中間報告審査 発表資料抜粋 ソーシャルメディア? 消費者ベース? ブランド評価? ↓ 何となくやりたいこと はわかるが、テーマが 大きすぎて最終的な結 論を導出できない。 =RQが設定できない 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  39. 39. 38 学術的貢献を意識して具体的な研究目的を設定する 2019年1月23日 最終審査 発表資料抜粋 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  40. 40. 39 研究目的が具体的であればRQは必然的に決まる 2019年1月23日 最終審査 発表資料抜粋 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  41. 41. 40 RQ データ 手法 何を明らかにするのか? そのデータを どのように分析するのか? RQを明らかにするために 必要なデータは何か? 誰に何の貢献をするのかを明確にして一貫性を保つ 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか ※データの集計は分析ではない。 分析とはRQを検証すること。 一貫性
  42. 42. 41 RQ・データ・分析手法の論理的一貫性を確認する 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか RQ データ 手法 ブランド名が含まれるリツイー トを生起するメッセージ要因が 業種別に異なるのかを明らかに する 3業種18ブランドが含まれる投稿を 約170万件収集し、各月のツイート 数に対する変数ごとの割合データ 特定の説明変数に交差項を 入れた線形重回帰分析 太田博士学位論文5章の実例 例:扱うデータがカウントデータであれば線形ではなく、非線形回帰式が妥当
  43. 43. 42  研究目的は何か?  その分野でどのような先行研究があるのか?  穴はあるか?その穴は重要か?  穴を明らかにするためのRQと仮説は何か?  その仮説は帰納的に導出されたものか?正しい問いか?  その仮説を検証するためにはどういうデータが必要か?  データの収集方法は適切か?  どのような分析手法で仮説を検証するのか?  分析結果で仮説は検証されたか?RQは明らかになったか?  その分析結果から言えることは何か?  学術的・実務的見地からみてどう考察(解釈)できるか? 社会科学でも実証型(仮説検証型)の研究が主流に 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  44. 44. 43 筋が良い/悪いRQの要件をよく見ておくことも重要 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  45. 45. 44 1. What is your purpose and research question? 2. Why is this question importance? Importance means that why now? and why previous research is not existing? 3. How do you solve the question? 5. RQ・データ・手法の一貫性はあるか
  46. 46. 45 6. ツールを活用して効率化を図る
  47. 47. 46 先行研究はWeb of Scienceが便利 ※Google Scholarも便利だが、文献情報が間違っていることが多いので注意 6. ツールを活用して効率化を図る
  48. 48. 47 WoSでないときはAurora Researchなど複数DBを使う 6. ツールを活用して効率化を図る
  49. 49. 48 Web of ScienceはEndNoteとも連携している 6. ツールを活用して効率化を図る
  50. 50. 49 文献管理はEndNote(WoS連携・クラウド同期可能) 6. ツールを活用して効率化を図る
  51. 51. 50 WORDアドインで引用・参考文献・スタイル管理 6. ツールを活用して効率化を図る
  52. 52. 51 アイディア・データ・記事などはEvernoteで一元管理 6. ツールを活用して効率化を図る
  53. 53. 52 統計分析ツール:STATA コマンド記録すると処理早い 6. ツールを活用して効率化を図る
  54. 54. 53 統計分析RはフリーウェアかつSTATAとの併用で活用 6. ツールを活用して効率化を図る
  55. 55. 54 書き方で迷ったら「APA論文作成マニュアル」 6. ツールを活用して効率化を図る
  56. 56. 55 6. ツールを活用して効率化を図る 論文作成に必要なツールを活用することで 時短・作業効率化を図る
  57. 57. 56 7. 博士課程はプロジェクトだ
  58. 58. 57 WBS作成のススメ:タスク・工数・スケジュール確保 7. 博士課程はプロジェクトだ
  59. 59. 58 主査・副査とのコミュニケーションも忘れずに 7. 博士課程はプロジェクトだ
  60. 60. 59 年間の学会発表・論文投稿もマイルストーン化 7. 博士課程はプロジェクトだ 博士課程 全体スケジュール 太田滋 6月 9月 10月 # Category Task 1W 2W 1W 2W 3W 4W 1W 2W 19 日米の事例選定およびデータ収集 20 仮説検証のモデルを作成(日米文化相違を考慮) 21 データ分析 22 論文作成 23 ジャーナル投稿(日本マーケティング学会) 6/3 9/15 10/10 24 25 26 リサーチクエスチョンの作成 27 研究方法論の決定 28 分析 29 論文作成 30 日本マーケティング学会発表or投稿 31 第三論文 日米のマイクロブログにおけるブ ランド評価の国際間比較 第二論文 ソーシャルメディアにおけるブラン ド評価の影響要因 予定論題のみエントリー フルペーパー提出 (1万字~2万字) 採択結果の連絡
  61. 61. 60 7. 博士課程はプロジェクトだ 細かくタスク・スケジュール管理を しないと仕事との両立は困難になる ※休学という切り札を出すタイミングも重要(修業年限問題)
  62. 62. 61 8. 博士論文と学術論文は全く違う
  63. 63. 62 学術論文の基本的な構成 8.博士論文と学術論文は全く違う  はじめに:問題意識と目的  先行研究と欠落している視点  理論的枠組みと仮説の帰納的導出  データと調査方法  分析方法  分析結果  考察  今後の課題  まとめ
  64. 64. 63 博士論文にはストーリーが必要≠学術論文の足し算 8.博士論文と学術論文は全く違う
  65. 65. 64 博士論文にあって学術論文にないもの 8.博士論文と学術論文は全く違う ・経営学における 研究テーマの位置づけ ・用語の定義 ・そのテーマを扱う 学術的・実務的意義 ・研究方法論(哲学)
  66. 66. 65 経営学における研究テーマ・対象の位置づけ 8.博士論文と学術論文は全く違う
  67. 67. 66 論文内で扱う重要な用語の定義 8.博士論文と学術論文は全く違う
  68. 68. 67 その研究テーマ・対象を扱う学術的・実務的意義 8.博士論文と学術論文は全く違う
  69. 69. 68 科学哲学の立場 8.博士論文と学術論文は全く違う
  70. 70. 69 リサーチ・デザイン 8.博士論文と学術論文は全く違う
  71. 71. 70 相関関係と因果関係について 8.博士論文と学術論文は全く違う
  72. 72. 71 研究哲学で有用な参考文献一例 8.博士論文と学術論文は全く違う
  73. 73. 72 他者の博士学位論文は参考になる 8.博士論文と学術論文は全く違う
  74. 74. 73 8.博士論文と学術論文は全く違う 博士論文はゼロから構築する作品
  75. 75. 74 9. 博士学位は人に与えられるもの
  76. 76. 75 9. 博士学位は人に与えられるもの Integrity(誠実・品位)の証左 https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/rinri.pdf
  77. 77. 76 9. 博士学位は人に与えられるもの  発表済み論文 1.(査読付)太田滋. (2017). リツイートに対する影響要因に関する 2 時点間の探索的研究− 3 業種 18 ブランドの Twitter データを用いた業種別分析−. Direct Marketing Review, 16, 37-64. 2.(査読付)太田滋. (2017). リツイートに対する影響要因の業種間比較: 7 業種 45 ブランドの大容量 Twitter データを用いた実証研究. 日本経営システム学会誌, 34(1), 115-126. 3.(研究ノート)太田滋・岩井千明. (2013). マイクロブログにおける口コミ情報と包括的意思決定モデル の関係: Twitter による口コミ推奨行動の事例研究. Direct Marketing Review, 12, 18-33.  著書(単著) 太田 滋 (2009) 「WebPRのしかけ方 : 広告だけに頼らなくても、モノは売れる。」; インプレス. 太田 滋 (2018) 「広告をやめた企業は、どうやって売り上げをあげているのか。」; インプレス.  学会発表 Ota, S., and Chiaki, I. (2011), Reference Group of Microblog Influence on the Consumer Decision Process: A Multiple Case Study on Tweets as Electronic Word-of-Mouth, 2011 Direct/Interactive Marketing Research Summit, Boston, MA; Marketing EDGE. 太田 滋 (2014) 「ソーシャルメディアにおけるブランド評価の影響要因-13業種44ブランドのTwitter データを用いた実証研究-」,マーケティングカンファレンス2014; 日本マーケティング学会. 太田 滋 (2015) 「Twitterにおける業種別リツイートの影響要因-6業種45ブランドの大容量データを用 いた実証研究-」, 日本経営システム学会第55回全国研究発表大会; 日本経営システム学会.
  78. 78. 77 9. 博士学位は人に与えられるもの  受賞歴 2011/03 国際マネジメント研究科 2010年度学生研究奨励賞論文 最優秀研究賞 2014/11 日本マーケティング学会 オーラルセッション2014 / ベストドクターコース賞 2015/05 青山学院大学 2014年度学生表彰 2015/10 日本経営システム学会 学生研究発表優秀賞  社会活動 2008年3月 Japan Blog Award 2008実行委員会 実行委員長 2009年3月 Japan Blog Award 2009実行委員会 実行委員長 2009年7月~2011年7月 WOMマーケティング協議会(The Word of Mouth Japan Marketing Association) 理事長 2010年2月~7月 総務省「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」 構成員 2014年8月~2015年6月 一般社団法人日本インタラクティブ広告協会 ネイティブアド研究グループ 主査 2015年6月~2017年6月 同協会 ネイティブ広告部会 事例研究分科会リーダー 2015年6月~2018年6月 同協会 ネイティブ広告部会 推進メンバー
  79. 79. 78 9. 博士学位は人に与えられるもの  社会に向き合う視座の高さ  批判を受容できる器の大きさ  Comfort zoneからの脱却  実務半径5mを超えた新たな世界  謙虚に学ぶ姿勢と素直さ  知に貢献する意義  孤独を耐え忍び、継続するチカラ  論理と真理の追求  データリテラシーや統計的分析スキル  他者に対する感謝の気持ち 博士課程は全人格を鍛えるプロセス
  80. 80. 79 10. 博士学位の先にあるもの
  81. 81. 80 10. 博士学位の先にあるもの 最上位の学位に対する信頼(Credential) https://www.nsf.gov/statistics/2018/nsb20181/assets/nsb20181.pdf 日本の博士号取得者数(自然科学・工学分野)は減少傾向だが
  82. 82. 81 10. 博士学位の先にあるもの 特に博士学位に対する国際的な評価は高い https://www.creighton.edu/academics/value-education 博士号取得者に対する国際的な評価は高い
  83. 83. 82 10. 博士学位の先にあるもの 博士課程を乗り越えてきた絆・相互理解による絆
  84. 84. 83 10. 博士学位の先にあるもの 仕事に適用できるフレームワーク・データリテラシー
  85. 85. 84 10. 博士学位の先にあるもの キャリアの機会や選択肢の広がり(実務家教員・社外取締役など) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai6/siryou8.pdf 首相官邸:第6回 人生100年時代構想会議 資料8
  86. 86. 85 10. 博士学位の先にあるもの 人類の知に対して貢献する喜び ≠ 学ぶ・インプット http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/ 博士号とは何か?(The illustrated guide to a Ph.D.) 博士号 人生の知の先端
  87. 87. 86 10. 博士学位の先にあるもの 博士学位は人生の彩りをつくる
  88. 88. 87 博士学位論文 https://www.agulin.aoyama.ac.jp/repo/repository/1000/20873/20873.pdf
  89. 89. 88 End of File

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