Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

TMDU先進倫理・大学院講義

884 views

Published on

大学院講義で使用しているスライドです。

Published in: Education
  • Be the first to comment

  • Be the first to like this

TMDU先進倫理・大学院講義

  1. 1. 東京医科歯科大学 生命倫理研究センター 江花 有亮 医学系研究を倫理的にする7つのこと
  2. 2. 医学系研究の科学性・倫理性 Research integrity(科学的合理性) 科学・研究活動への誠実さと真実 公正な良き科学活動 scientific misconduct(データ捏造) conflict of interest(利益相反) Research ethics(倫理的妥当性) 被験者・参加者の保護 倫理ガイドライン ヘルシンキ宣言
  3. 3. なぜ倫理的な研究が必要なのか? 研究者の利益 (研究促進・研究成果) 被験者の利益 (疾患機序解明・新規治療開発) 両者の対立のバランスではなく、双方の 利益がともに増大する仕組みの追究 良質な医学系研究とは 科学的に優れかつ倫理的な研究
  4. 4. What Makes Clinical Research Ethical? Ezekiel J. Emanuel, MD, PhD et al JAMA. 2000;283(20):2701-2711 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適正な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  5. 5. 倫理審査申請の書類 •同意書・同意撤回書 1.研究の目的や新しさ 2.研究の種別・デザイン・方法 3.被験者や個人情報について 4.問題が起こった時の対処法 •研究計画書 研究計画書の内容をわかりやすく書く •説明書 •試料の同意書・撤回書 •他施設の承認書 同意を得た内容を1枚にまとめて記載し、保管 科学的 合理性 倫理的 妥当性
  6. 6. 研究計画書:1.研究の目的や新しさ • タイトル 研究の目的が端的に示されている • 研究の背景・目的 科学的にわかっていないこと 従来の方法では解決できない点など 着想に至った経緯、論文など • 新規性 この研究で明らかにすること 被験者にメリットはあるか コスト(科研費)を使う価値はあるか 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  7. 7. 研究を実施するために必要な事柄 (科学的合理性に基づく) •研究種別(観察、介入、侵襲…)→異なる手続き •デザイン(PICO, PECO) •手法・機器・試料・情報 •統計学的解析 •研究体制 •研究資金 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バ ランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法
  8. 8. 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法 •種類(1)観察研究か介入研究か (2)侵襲、軽微な侵襲を伴うか 介入→ 研究目的で、 ①被験者の健康・生活に影響を与えるような制限すること ②通常の診療を超える医療行為 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 6か月間サプリを服用する 6か月間抗がん薬を使う 1か月間運動を続ける ダ・ヴィンチ(手術補助 ロボット)で手術をする 人工知能を使って 心理カウンセリングを実施する
  9. 9. •種類(1)観察研究か介入研究か (2)侵襲、軽微な侵襲を伴うか 侵襲→ 研究目的で、被験者の身体・精神に傷害や負担が生じるも の ①穿刺、②切開、③薬物投与、④放射線照射、⑤心的外傷 に触れる質問等 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法 東日本大震災が起こったとき、 何をされていましたか? ダウン症の赤ちゃんを出産され て、大変なことは何ですか ノーベル賞に選ばれなかったと き、どういう気持ちでしたか?
  10. 10. •種類(1)観察研究か介入研究か (2)侵襲、軽微な侵襲を伴うか 軽微な侵襲→ 「最小限の危険」 日常生活、日常的な医学検査で受けるもの 1. 健康診断の採血、単純X線 2. 通常診療の上乗せ採血 3. 単純MRI(長い拘束時間で被験者に負担がなけれ ば) 4. 質問紙の場合、精神的苦痛を含む内容であること を予め明示してあるもの 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法 1. 食品・栄養食品などで負担を生じない とわかっているもの 2. 自然排泄される尿・便・喀痰・唾液・汗 等、抜け落ちた毛髪・体毛 3. 表面筋電図・心電図・脳波・超音波 4. 運動負荷のうち、軽い運動(ちょっとの 休憩で元に戻るもの)、体力テスト 「侵襲なし」
  11. 11. •種類(3)情報・試料を使う研究 (4)他施設との情報・試料のやり取り •情報・試料: 既存、新規で採取? •他施設とのやり取りは? インフォームド・コンセントのプロセスや手続きが異なる 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法
  12. 12. •デザイン:PICOとPECO P:Patients (被験者) I: Intervention (介入)、E: Exposure (曝露) C: Comparison (比較) O: Outcome (アウトカム、評価項目) •データ解析:統計学的手法は妥当か 解析担当者は妥当か → 利益相反状態の確認 •データ管理:公正な手法でクリーニング 研究終了後のデータ処理 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バ ランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法
  13. 13. 研究体制・研究資金 有資格者 • ヘルシンキ宣言 「研究は資格があるものだけが行うべきである」 • 資格とは研究の経験などが含まれる 研究における役割 • 研究者の役割:総括、リクルート、解析、論文執筆者 • これまでに研究者が行ってきた研究(論文・学会発表)など 研究資金 • 研究資金の獲得方法など • 利益相反 研究計画書:2.研究の種別・デザイン・具体的な方法 公開データベース • ヘルシンキ宣言 「人を対象とするすべての研究は、最初の被験 者を募集する前に一般的にアクセス可能な データベースに登録されなければならない」 • 日本の指針では、介入研究については公開 データベースへ登録することが課せられてい る UMIN大学病院医療情報ネットワーク www.umin.ac.jp
  14. 14. •被験者について 対象→選別された人は妥当か? 研究の目的が達成できるか? 立場の弱い人が不当に巻き込まれないことを確認 例:大学院生・学部生など 例:経済的に困窮している人 例:自己決定の困難な人(認知症、昏睡状態) インフォームド・コンセントの方法 →研究の種別によって異なる 研究計画書:3.被験者と個人情報 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  15. 15. インフォームド・コンセント (IC) 研究内容を相手に十分理解できるように説明し、そのうえで得る同意 を指す → 研究の種類によって、文書IC, 口頭IC, 適切な同意,オプトアウト 1.侵襲を伴う研究→必ず文書IC 2.介入を伴う研究→口頭IC+記載でもOK 3.生体試料を使う観察研究→口頭IC+記載でOK 4.新たに被験者から情報を得る研究→適切な同意 5.既存情報(診療録)から情報を得る研究→オプトアウト 6.既存試料を使う研究→原則IC(文書or口頭IC) 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書:3.被験者と個人情報
  16. 16. オプト・アウト • 先行研究でリクルートされた被験者の臨床情報などの二次利用をする 際に、ポスター公示やウェブによる掲示を行い、拒否の機会を担保する という考え方 情報・試料を他施設と共有する場合 • 共同機関名や研究責任者、試料・情報の項 目について記録を残す • 誰の試料・情報が提供されたのかが分かる ように記録 研究計画書:3.被験者と個人情報 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  17. 17. 個人情報の管理 • 個人情報とは? 被験者の名前や顔、生年月日、住所、 電話番号 ゲノム情報、静脈・指紋・声紋のパターン など個人識別符号 • 個人情報の管理 → 匿名化の方法(対応表の有無) ※連結可能・不可能という用語の廃止 管理責任者(=通常は研究責任者、あ るいは研究代表者) 管理方法(パスワード、鍵付きロッカー、 スタンドアローンのPC) 研究計画書:3.被験者と個人情報 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk- benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  18. 18. 研究計画書:4.問題が起こった時の対処法 • 被験者への不利益 (起こりうる有害事象) • 有害事象が起こった時の対処法 重篤な有害事象、 予期しない重篤な有害事象 • 補償保険 侵襲を伴う医学系研究では必要 (「保険の加入そのほかの必要な措置を 適切に講じなければならない」) 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  19. 19. モニタリングって何? • 医学系指針:侵襲介入研究で必須 • 目的:被験者保護、安全と福祉を確保する ➡ 医学系研究の科学的な質とデータの信頼性を担保 • その研究に直接関与しない者が第三者として実施し研究責任者に報告 ➡ モニター(モニタリング担当者) (研究責任者の指名、カルテを読める、研究者・監査兼ねない) 研 究 開 始 論 文 発 表 研 究 終 了 初期モニタリング 定期モニタリング(1年ごと)
  20. 20. What Makes Clinical Research Ethical? Ezekiel J. Emanuel, MD, PhD et al JAMA. 2000;283(20):2701-2711 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適正な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects 研究計画書作成の心得
  21. 21. 倫理審査について 人を対象とした研究に関する倫理審査の目的 研究開始前 研究計画の「科学的妥当性」「倫理的妥当性」の評価 被験者の保護: 不要なリスクを避ける 研究者の保護: 不当な批判を避ける 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  22. 22. 倫理審査による 研究者の保護 臨床研究の意義とその代償について、当事者以外 の第三者が妥当かどうか判断することにより、 ①無意味な研究による時間と費用の無駄を省く ②問題のある研究を行って被験者による訴訟や社 会からの批判を受けることを防ぐ 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  23. 23. 倫理審査が必要な研究 基本的にすべての人を対象とする研究 ただし、症例報告(1例報告)は不要 (被験者からの同意は得ておく) よくあるまちがい インフォームドコンセントが不要な臨床研究は、 倫理審査も不要か? ×必要 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適性な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects
  24. 24. 人を対象とする研究の倫理審査 <最重要事項> 研究計画の倫理審査は、必ず研究開始前に行う 研究が終わってからの倫理審査は不可能 多くの学術誌は、倫理審査委員会の承認がないヒト対象研究の 論文は受付けない 日本国内の多くの大学では倫理審査委員会の承認がない ヒト対象研究の論文は、学位として認めないことになっている >>>つまり、倫理審査委員会の承認がないヒト対象研究は、 結果が出ても投稿もできず学位にもならない
  25. 25. What Makes Clinical Research Ethical? Ezekiel J. Emanuel, MD, PhD et al JAMA. 2000;283(20):2701-2711 1. 社会的・科学的価値 Social or scientific value 2. 科学的妥当性 Scientific validity 3. 適正な被験者選択 Fair subject selection 4. 適切なリスク・ベネフィット バランス Favorable risk-benefit ratio 5. 第三者による独立した審査 Independent review 6. インフォームド・コンセント Informed consent 7. 候補者及び被験者の尊重 Respect for potential and enrolled subjects Take home message 研究計画書作成の心得

×