キャリアデザインの理論
そのウラ・オモテ
2限目 認知特性とキャリアデザイン	
	
遠藤 野ゆり	
(法政大学キャリアデザイン学部 准教授)
自己紹介	
•  臨床教育学=ベッドサイド(働きかけの対象になる相
手が実際に働きかけられている現場)の教育学
•  学校やフリースクール、児童福祉施設、シェルターな
ど様々な現場にボランティアとして関わりながら「教
育・養育現場から学ぶ」を実...
授業の流れ	
①「キャリアデザイン」という言葉の使われ方
  キャリアデザイン=「人は社会でどう生きていくか」
    個人と社会をめぐる基礎事項の確認
②五感の違いによる世界の見え方の違い
       社会から刺激を受け取る「知覚」の個人差...
①「キャリアデザイン」という	
  
言葉の使われ方	
  
キャリアデザインっ
て?	
個人は、家族、職業、学
校、居住地、遊びなどを
選択しつつ、自分の人生
を築く。その際、・・・外に
向けた奮闘と内における
葛藤という両面をもつスト
ラグル(struggle)をともな
いながら、キャリアをデザ
イン...
キャリアデザインのイメージ	
	
  
	
  
	
  
	
  
	
個人	
  
	
  
	
  
	
  
	
社会
家庭 職場学校地域
将来どんな職業
につきたい?	
そのために今ど
んな努力をした
らいい?	
「努力の問題」とする...
キャリアデザインのイメージ	
    	
  
	
  
	
  
	
  
	
個人	
  
	
  
	
  
	
  
	
変化する社会に対応
できる能力/態度を
獲得しよう! 	
・進路指導 ・
職業観 ・自尊
感情 etc・・・	
意...
キャリアデザインの「正解」	
キャリアデザインにおいて重要なのは 
自立した個人として社会に向き合う力を育てること
社会(必要なスキル 職場の状況 etc…  )は刻一刻と
変わっていく
求められるのは 社会の現状(と未来)を常に見抜き 
必要...
キャリアデザイン論の前提	
  	
  
	
   【キャリアデザイン論】
「社会の現状(と未来)を常に見抜き 
  必要なことを 自分で学び続ける力」
【前提】
みんなが同じ一つの『社会』の中で
 それぞれのキャリアデザインをしていくこと
2限目のテーマ	
	
  「社会の現状(と未来)を常に見抜き 	
  必要なことを 自分で学び続ける力」	
  とはいうけれど・・・	
  	
みんなが「社会」って	
呼んでるものは	
 本当に同じものなの?
 	
  
②五感の違いによる	
  
世界の見え方の違い	
  
	
  
動物が五感で外界からの刺激を	
  
受け取る作用のことを	
  
知覚( 英:Perception)という
Quiz 1 全部で何色ある?
(お使いのパソコン環境によっては正確にわからない可能性があります)
①	
 ③	
②	
④	
⑦	
 ⑧	
 ⑨	
⑤	
 ⑥
Quiz 2
Quiz 2
五感のセンシティヴさ	
味覚
 魚やエビ・カニは近くの海でとれたものは好きだけど、
遠くから運ばれていると生臭くて食べられなくなります。
トマトの場合は、冬は食べられないけど、夏に近づくに
つれて食べられるようになります。…きっと旬が関係し
て...
五感のセンシティヴさ	
嗅覚
 水に敏感で匂いを嗅いで飲める水と飲めない水と
をかぎわけます。売ってる水でも飲めない水がありま
す。歯磨きすらできない水もあります。
触覚
 柔軟剤を使って洗濯をすると衣類に残っている薬
で必ず肌がかぶれます。ど...
五感のセンシティヴさ	
視覚
 買い物などに行くと気分が悪くなるのですが、
それは視界に入ってるものを全部写真のように
記憶しているからだと最近わかりました。細かい
商品も広告も全部見て覚えてしまいます。情報
過多になって気持ち悪くなります。普...
Ques*on 1	
  
感覚がセンシティヴで	
  
インセンシティヴで	
  
困ること 	
  
ありませんか?
③認知やその優位性の違いに
よる社会の見え方の違い	
  
	
  
	
  
外界にある対象を知覚した際に	
  
それが何であるかを	
  
判断したり解釈したりする作用を	
  
認知(英:cogni*on) という	
  
	
  
優位性という考え方	
   物体を見ると、その色や奥行きや質感や形など様々
な側面を一度に捉えている
   ⇒ 認知は複合的におきる
  優位性とは そうした多様で複合的な認知のなかで
  特に強く働くものと あまり強く働かないものがある
  ...
面認知優位と線認知優位	
ものをとらえるときに 
 その面の部分をきわだって捉えるひと 
 その線の部分をきわだって捉えるひと
画家の作品に現われる認知優位の違い
 ワイエス:面認知優位
 モディリアーニ:線認知優位
面優位の画家の作品(ワイエス)
線優位の画家の作品	
  
(モディリアーニ)
局所優位と全体優位	
  
ものごとをとらえるとき
  全体像がまず頭に入ってくるひと
  局所(細かい部分)が頭に入ってくるひと
例)部屋を片付けるとき
    部屋全体をざっくり片づけたくなる派
    細かいところからやりたい派
  局所...
視覚優位と聴覚優位	
情報を取り入れる際に
  写真のように視覚情報を捉えるひと
  その状況の言語的意味を捉えるひと
視覚優位がきわだつと
 客体視:自分自身を含めた周囲の人や環境を俯瞰す
るようにとらえた映像が見える
 映像思考:文章を読ん...
Ques*on 2	
  
	
  
みなさんの認知には	
  
どんな優位性がありますか?
④キャリアデザイン 再考
生得的な能力である認知によって	
  
「社会」はそれぞれ異なって現れる	
	
  
	
  
	
  
	
  
	
個人	
  
	
  
	
  
	
  
	
社会
家庭 職場学校地域
将来どんな職業
につきたい?	
そのために今ど
ん...
実際にみんなが認知している社会は	
・奥行きがわからないので平面みたいな社会
・一部がクリアに見えて全体像がわからない社会
・全体的にぼんやり曖昧な社会
・まぶしすぎて正視できない社会
・いろんな匂いが充満していて吐き気のする社会
・客体視して...
キャリアデザインの「正解」(再掲)	
キャリアデザインにおいて重要なのは 	
自立した個人として社会に向き合う力を育てること	
社会(必要なスキル 職場の状況 etc… )は刻一刻と
変わっていく	
求められるのは 社会の現状(と未来)を常に見...
課題	
  
	
  
①みなさんにとって「社会」は	
  
どんなふうに体験されていますか?	
  
	
  
②今日の授業の感想や	
  
質問を教えてください
Upcoming SlideShare
Loading in …5
×

法政大学--「キャリアデザインの理論」そのウラ・オモテ(2限目:認知特性とキャリアデザイン) 先生:遠藤 野ゆり

773 views

Published on

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
schoo WEB-campusは「WEBに誕生した、学校の新しいカタチ」。
WEB生放送の授業を無料で配信しています。
▼こちらから授業に参加すると、先生への質問や、ユーザーとのチャット、資料の拡大表示等が可能です。
https://schoo.jp/class/751/room
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Published in: Business
  • Be the first to comment

法政大学--「キャリアデザインの理論」そのウラ・オモテ(2限目:認知特性とキャリアデザイン) 先生:遠藤 野ゆり

  1. 1. キャリアデザインの理論 そのウラ・オモテ 2限目 認知特性とキャリアデザイン 遠藤 野ゆり (法政大学キャリアデザイン学部 准教授)
  2. 2. 自己紹介 •  臨床教育学=ベッドサイド(働きかけの対象になる相 手が実際に働きかけられている現場)の教育学 •  学校やフリースクール、児童福祉施設、シェルターな ど様々な現場にボランティアとして関わりながら「教 育・養育現場から学ぶ」を実践中 •  本日の授業は『あたりまえを疑え! 臨床教育学入門』 をベースに 受講生のみなさんの体験をとりまぜなが ら さぐっていきます •  またこの議論は岡南著『天才と発達障害』(講談社 2010)を参考にしています
  3. 3. 授業の流れ ①「キャリアデザイン」という言葉の使われ方   キャリアデザイン=「人は社会でどう生きていくか」     個人と社会をめぐる基礎事項の確認 ②五感の違いによる世界の見え方の違い        社会から刺激を受け取る「知覚」の個人差に迫る ③認知やその優位性の違いによる社会の見え方の 違い     社会を捉える認知や優位性の違いに迫る ④キャリアデザイン 再考
  4. 4. ①「キャリアデザイン」という   言葉の使われ方  
  5. 5. キャリアデザインっ て? 個人は、家族、職業、学 校、居住地、遊びなどを 選択しつつ、自分の人生 を築く。その際、・・・外に 向けた奮闘と内における 葛藤という両面をもつスト ラグル(struggle)をともな いながら、キャリアをデザ インする。 (『キャリアデザイン学への招待』pp.3-4) キャリア教育って? 「児童生徒一人一人の キャリア発達を支援し、そ れぞれにふさわしいキャリ アを形成していくために必 要な意欲・態度や能力を 育てる教育」であり、端的 には「児童生徒一人一人 の勤労観、職業観を育て る教育」 (文部科学省2006「小学校・中学校・高等学 校キャリア教育推進の手引き」p.3)
  6. 6. キャリアデザインのイメージ         個人         社会 家庭 職場学校地域 将来どんな職業 につきたい? そのために今ど んな努力をした らいい? 「努力の問題」とすることは「内的」で 「変動的」と原因を帰属させること 意欲をわかせることにつながる 意欲⇒行動⇒結果
  7. 7. キャリアデザインのイメージ              個人         変化する社会に対応 できる能力/態度を 獲得しよう!  ・進路指導 ・ 職業観 ・自尊 感情 etc・・・ 意欲⇒行動⇒結果 外的な原因も増えてきている 社会 家庭 職場学校地域 グローバル化 格差社会 少 子化 etc・・・
  8. 8. キャリアデザインの「正解」 キャリアデザインにおいて重要なのは  自立した個人として社会に向き合う力を育てること 社会(必要なスキル 職場の状況 etc…  )は刻一刻と 変わっていく 求められるのは 社会の現状(と未来)を常に見抜き  必要なことを 自分で学び続ける力  = 自立した個人となること    外的な原因も増えているのに 「努力の問題」にすべてを落とし込む ことは必ずしも適切ではない
  9. 9. キャリアデザイン論の前提        【キャリアデザイン論】 「社会の現状(と未来)を常に見抜き    必要なことを 自分で学び続ける力」 【前提】 みんなが同じ一つの『社会』の中で  それぞれのキャリアデザインをしていくこと
  10. 10. 2限目のテーマ   「社会の現状(と未来)を常に見抜き    必要なことを 自分で学び続ける力」   とはいうけれど・・・    みんなが「社会」って 呼んでるものは  本当に同じものなの?
  11. 11.     ②五感の違いによる   世界の見え方の違い     動物が五感で外界からの刺激を   受け取る作用のことを   知覚( 英:Perception)という
  12. 12. Quiz 1 全部で何色ある? (お使いのパソコン環境によっては正確にわからない可能性があります) ① ③ ② ④ ⑦ ⑧ ⑨ ⑤ ⑥
  13. 13. Quiz 2
  14. 14. Quiz 2
  15. 15. 五感のセンシティヴさ 味覚  魚やエビ・カニは近くの海でとれたものは好きだけど、 遠くから運ばれていると生臭くて食べられなくなります。 トマトの場合は、冬は食べられないけど、夏に近づくに つれて食べられるようになります。…きっと旬が関係し ているんだと思います。…料理の中の普通のカブが口 に入った時にはひどい味がしました。それは牛小屋の臭 いにそっくりだと思えたのです。  「僕の感覚過敏について」http://bokukan.tumblr.com/post/17869851076より抜粋  
  16. 16. 五感のセンシティヴさ 嗅覚  水に敏感で匂いを嗅いで飲める水と飲めない水と をかぎわけます。売ってる水でも飲めない水がありま す。歯磨きすらできない水もあります。 触覚  柔軟剤を使って洗濯をすると衣類に残っている薬 で必ず肌がかぶれます。どんなに念入りにゆすぎを してもだめです。服のタグも肌に触れると肌荒れし てしまうので全部切り取っています。
  17. 17. 五感のセンシティヴさ 視覚  買い物などに行くと気分が悪くなるのですが、 それは視界に入ってるものを全部写真のように 記憶しているからだと最近わかりました。細かい 商品も広告も全部見て覚えてしまいます。情報 過多になって気持ち悪くなります。普通の人は見 てもちゃんと見てなかったりすぐ忘れたりしてると 知って愕然としました。
  18. 18. Ques*on 1   感覚がセンシティヴで   インセンシティヴで   困ること    ありませんか?
  19. 19. ③認知やその優位性の違いに よる社会の見え方の違い       外界にある対象を知覚した際に   それが何であるかを   判断したり解釈したりする作用を   認知(英:cogni*on) という    
  20. 20. 優位性という考え方    物体を見ると、その色や奥行きや質感や形など様々 な側面を一度に捉えている    ⇒ 認知は複合的におきる   優位性とは そうした多様で複合的な認知のなかで   特に強く働くものと あまり強く働かないものがある   という考え方
  21. 21. 面認知優位と線認知優位 ものをとらえるときに   その面の部分をきわだって捉えるひと   その線の部分をきわだって捉えるひと 画家の作品に現われる認知優位の違い  ワイエス:面認知優位  モディリアーニ:線認知優位
  22. 22. 面優位の画家の作品(ワイエス)
  23. 23. 線優位の画家の作品   (モディリアーニ)
  24. 24. 局所優位と全体優位   ものごとをとらえるとき   全体像がまず頭に入ってくるひと   局所(細かい部分)が頭に入ってくるひと 例)部屋を片付けるとき     部屋全体をざっくり片づけたくなる派     細かいところからやりたい派   局所優位がきわだつと      文章の音読が難しい(一文字ずつ追ってしまう)   全体優位がきわだつと     細かなミス(誤字脱字など)が異常に多くなる
  25. 25. 視覚優位と聴覚優位 情報を取り入れる際に   写真のように視覚情報を捉えるひと   その状況の言語的意味を捉えるひと 視覚優位がきわだつと  客体視:自分自身を含めた周囲の人や環境を俯瞰す るようにとらえた映像が見える  映像思考:文章を読んだり聞いたりするとそれらがす べて映像となって浮かんでくる 聴覚優位がきわだつと  奥行き(明暗)が把握できない  ひとの表情がわからない     
  26. 26. Ques*on 2     みなさんの認知には   どんな優位性がありますか?
  27. 27. ④キャリアデザイン 再考
  28. 28. 生得的な能力である認知によって   「社会」はそれぞれ異なって現れる         個人         社会 家庭 職場学校地域 将来どんな職業 につきたい? そのために今ど んな努力をした らいい? 意欲⇒行動⇒結果
  29. 29. 実際にみんなが認知している社会は ・奥行きがわからないので平面みたいな社会 ・一部がクリアに見えて全体像がわからない社会 ・全体的にぼんやり曖昧な社会 ・まぶしすぎて正視できない社会 ・いろんな匂いが充満していて吐き気のする社会 ・客体視してしまいひとの視線が突き刺さるように痛い 社会 ・ことばがほとんどない社会 ・ひとの表情が一切ない社会 ・全員が同じ顔・姿に見える社会
  30. 30. キャリアデザインの「正解」(再掲) キャリアデザインにおいて重要なのは  自立した個人として社会に向き合う力を育てること 社会(必要なスキル 職場の状況 etc… )は刻一刻と 変わっていく 求められるのは 社会の現状(と未来)を常に見抜き  必要なことを 自分で学び続ける力  = 自立した個人となること   = 自立した個人と なること    私たちが「社会」と捉えているものは それぞれ異なっているのに その中で 自立した個人として社会に向き合え なんて 過剰な課題ではないの?
  31. 31. 課題     ①みなさんにとって「社会」は   どんなふうに体験されていますか?     ②今日の授業の感想や   質問を教えてください

×