Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
“アジャイル開発”で⾔っていること
なんて⼤なり、⼩なりだいたい
皆取り組んでいるんでしょう?
⼆極化しているかも?
アジャイルにしていく取り組みを呼吸するように
進められているところはある。
⼀⽅で、まだ ”アジャイル” に全く⼿を出せていない
ところだって結構ある。
当てずっぽうに想像すると、キャズムを越えて、
アーリーマジョリティの端緒についたくらい?(肌感)
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“これからのアジャイル”は、分が悪い
始められるなら、もう始めている。
始められないのは、理由がある。
それは、始めることに対して逆境にあること。
「現場ではじめよう、明⽇からはじめよう。
新しい取り組みだから多少失敗したって、
学びにして、次にいかそう」
「会社の取り組みなんだから、期待される効果を
定量的に⽰して、上⻑の許可を得て、実施時に
定期的なレポートを⾏なう
…という申請を出して、通らない」
追い⾵
逆境
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このお話のテーマ
逆境で、
開発をアジャイルにしていくための作戦。
※逆境の中、それでも開発のあり⽅をより良い⽅向へと
変えていきたいと諦めずに考えている⽅々へ。
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コンセプトは、”ドラクエ4”
組織で
プロダクト
オーナー
(PO)と
チームで1⼈から
Photo credit: hohbukuro via Visualhunt / CC BY-NC-SA
踏み越える境界を段階的にする
まずは1⼈から。1⼈からチーム。チームの外と。
そして、組織へ。
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“さくせんをねる”
じゅもんをせつやく
いろいろやろうぜ
いのちをだいじに
呪⽂の使⽤を控えめにする。必要最⼩限の呪⽂しか使わず、回復呪⽂より回復アイテムを先に使う
こともある。最終的にMPの消費が少なくなると判断した場合は、強⼒な攻撃呪⽂を使うこともある。
⾏動が戦況に関わらずランダムで選択される。結果として、普段使わないアイテムを使ったり、
無意味な呪⽂を唱えたりもする。
仲間が倒れないことを最優先として、HPの回復を徹底して⾏う。最上級の攻撃呪⽂を連発し、
被害が⼤きくならないよう⼿早く戦闘を終える⼿段をとることもある。
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“じゅもんをせつやく”
⼀気にやらない。
はじめる規模が⼤きいと、⾃分たちの⼒が及び難く、
関係者も多く、期待マネジメントのコストが⾼い。
はじめる規模が⼩さいと、⾃分たちの⼒が及び易く、
関係者も少く、期待マネジメントのコストが低い。
アジャイルのはじめ⽅もリーンスタートアップに。最⼩は1⼈。
期待マネジメント…関係者から寄せられる(たいてい暗黙的な)期待を適切に調整し続けること。
リーンスタートアップ…ざっくりいうと、⼩さく失敗して学びを得て、次に活かすアプローチ。
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“いろいろやろうぜ”
仮説を⽴てて、検証し続ける。
やたらめったらに、プラクティスだけ取り⼊れても
効果的ではないし、上からの「何やっているの?」に
答えられない。
アジャイル開発の型(後述)と⾃分たちの現状とを⽐較し
その間にあるGapを解消するための取り組み(仮説)を
漸次的に⾏なう。結果(検証)を元に次の取り組みを始める
「何やっているの?」
「開発の上でフィードバックループが回るように、タイムボックスを切って、
まずはスプリントレビューをこなせるよう、うごいています。」
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“いのちだいじに”
取り組みを⽌められる=死 だけを回避する
関係者からSTOPが⼊るときがすべての終わり。
少なくとも終わることがないようにだけ最⼤限注意する。
例えば
コミットを破る … 何の⾒⽴てもない約束をしない。
期待に合わない … そもそも何を期待したらいいか
誰も分かっていないことも。
「⽣産性◯倍や!」=虚栄の評価指標
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死(⽌められる)以外は、
負け続けても良い!
負け=失敗経験こそ、学びだから。
負ければ負けるほど、次が上⼿く出来る。
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…さっそく、取り組みをはじめようの前に
必ず「Start with Why」で。
Why
How
What
Why、つまりなぜそれをするのか、を
取り組みの最初に考えるようにする。
ある⽬的を実現するためにHow⼿段が
ある。Howを実際に実⾏可能にすると
Whatプラクティス・タスクになる。
Why無きWhatからの学びは少ない。
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チームで。
じゅもんをせつやく
⼀気にやらない
チームメンバー及び、⼀つ上の⻑
(リーダーやマネージャー)との期待
マネジメントが必要になる。
いろいろやろうぜ
仮説を⽴てて、検証し続ける
まず、チームの⾒える化、リズム
仕事に取り組む。次にフィードバッ
クループの構築にトライする。
いのちだいじに
死だけを回避する
チームのミッションを
果たせなくなると、死。
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①
②
①
2⽅向の期待マネジメント
①の⽅針
「やってみたけど全然だめじゃん」という⼤いなる失望が
起きないよう、⼿に負える範囲で。適⽤するプラクティス
の数を限りなく絞る。
②の⽅針
チームのミッション(ex. いつまでにプロダクトつくる)の
コミットを第⼀に、取り組みを第⼆の優先順位で。
①チームメンバーとの間の期待マネジメント
②リーダーもしくはマネジメントとの間の
期待マネジメント
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チームでは、何からはじめるべき?
⾒える化から、フィードバックループの構築。
1⼈と同じように、まずは⾒える化。
鉄板の⾒える化プラクティス
①チームのカンバン ②デイリーミーティング ③ふりかえり
フィードバックループの構築に挑戦する。
フィードバックループ、つまり、仕事の結果から次に何をする
べきかを意思決定し、結果の改善を⾏っていくこと。
このループを建付けるために、システム(仕組み)が必要になる。
⾶躍的に取り組むことが増えるため難易度が⾼まる。
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フィードバックループをチームで回すシステム
Do Check ActionPlan
計画づくり 実⾏ レビュー ふりかえり
…
サイクル
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フィードバックループをチームで回すシステム
Do Check ActionPlan
計画づくり 実⾏ レビュー ふりかえり
…
サイクル
Do Check ActionPlan
スプリント
計画ミーティング
スプリント開発
デイリースクラム
スプリントレビュー
スプリント
レトロスペクティヴ
…
スプリント
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ここでスクラムガイドを引っ張り出すと
分からないこと、慣れないことが⼀気に増えて
「プラクティスの海」に溺れることになる。
(思考が⽌まる)
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プラクティスをこなすことを⽬的にしない
① 完璧を⽬指さない
最初から完璧に仕組みをつくることを⽬指さない。
不完全な仕組み化によって起きる弊害をカバーできる
ように、
(a)仕事上のバッファを確保する。
(b)スプリントを⽌めることを躊躇しない。
(⾃信をもって終わらせられるやり⽅に戻す)
② 適切なメンターか経験者を調達する
Howの詰め込みではなく、Whyからの取り組みを
⽀援してくれる存在が望ましい。
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POを巻き込むのに、
どんな期待マネジメントを⾏なうべき?
2つの期待マネジメント
インセプションデッキで、期待マネジメント。
プロダクトの⽅向性をPOとチームで整え、どう実現するか
お互いの共通理解を深める。
ドラッカー⾵エクササイズ、で期待マネジメント。
メンバーそれぞれの⽴ち振るまいや価値観を可視化し
お互いの共通理解を深める。
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インセプションデッキ
プロジェクトが然るべき⽅向を向いているか
チーム全員で明らかにする。
https://www.amazon.co.jp/dp/4274068560
※インセプションデッキについてはアジャイルサムライを読もう!
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ドラッカー⾵エクササイズ
4つの質問をチーム全員で答える。
https://www.amazon.co.jp/dp/4274068560
※ドラッカー⾵エクササイズについてもアジャイルサムライを読もう!
⾃分は何が得意なのか?
⾃分はどうやって貢献するつもりなのか?
⾃分が⼤切に思う価値は何か?
チームメンバーは⾃分にどんな成果を
期待してると思うか?
実際にメンバーにも表明してもらってGapを
明らかにする。
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巻き込まない(巻き込めない)という選択
外堀(線表)と内堀(調整余地)で
本丸(アジャイル開発)のハードルを⾼めすぎない
https://www.slideshare.net/papanda/ss-79239778
※「鉄壁の中のアジャイル」
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組織で。
じゅもんをせつやく
⼀気にやらない
経営との期待マネジメント
いろいろやろうぜ
仮説を⽴てて、検証し続ける
取り組みを分かりやすくする。
“型”を最初の理想と置き、“型”との
差分を計画的に倒していく。
いのちだいじに
死だけを回避する
経営からの問いに
答えられないと、死
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屏⾵の⻁を捕まえる問題
経営の期待は?…そもそも存在しているか。
Why
How
What
アジャイル開発
をやれー!
どうやって
やるか考えよ
……。
(何か成果あげてね)
アジャイル開発の取り組みへの期待が
あいまいなまま、「うまいことやって」
は誰も、どこにもたどり着けない。
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期待がよく分からなくても成果は求められる!
①最初の取り組みは「アジャイルとは何なのか」を
まずは関係者全員で理解する機会にする
(最初で「頓死」するリスクは、”型”で回避)
②次の取り組みで「屏⾵の⻁を出す」=「期待は何」
をデッキのアジェンダで可視化する
(デッキ⾃体をやることにこだわらないこと)
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屏⾵の⻁を出すインセプションデッキ
押さえておきたいこと
① われわれはなぜここにいるのか (why)
② アジャイル開発の「ピッチ」
③ 取り組むにあたっての「トレードオフスライダー」
④ 取り組みとして「やらないこと」
⑤ 夜も眠れない問題
⑥ 期間はどれだけ必要か(線表)
…線表?
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線表 = いつまでは「何をしない」表明
アジャイル開発の取り組みで、あえて
「線表(マイルストーンのプロット)」をつくる狙いは、
関係者に向けた「意思表明」と「合意の可視化」である。
線表には、いつ、何をするかが書かれている。
逆に「いつまでは何をしない」を表現することになる。
「唐突に全体の評価をし始めない」
「あれもこれもと詰め込みすぎない」