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イラスト客観視のための部分遮蔽手法に関する検討

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2019年1月25日のDCC研究会@石垣島にて発表させていただいたスライドです。

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イラスト客観視のための部分遮蔽手法に関する検討

  1. 1. イラスト客観視のための 部分遮蔽手法の検討 明治大学 総合数理学部 4年 髙橋 拓 中村 聡史
  2. 2. 背景 誰もが気軽にイラストを制作・発信できるように!
  3. 3. 背景 誰もが気軽にイラストを制作・発信できるように!
  4. 4. 背景 とはいえ、イラストの上達は依然難しい 特に初心者の内は、 作画ミスが生じ、違和感のある絵になってしまう
  5. 5. よくある作画ミスの例 顔が左右非対称 首の付き方が変 頭身(バランス)が おかしい 腕の曲がり方が不自然 など…
  6. 6. 客観視の重要性 ミスに気付くにはイラストの客観視が重要だが… あ、腕が変だ。直そう!
  7. 7. 客観視の重要性 ミスに気付くにはイラストの客観視が重要だが… あ、腕が変だ。直そう! 客観視そのものが困難!
  8. 8. 客観視は難しい 作画中、同じイラストを見続けていると どこに違和感があるのか分からなくなってくる
  9. 9. 客観視は難しい 作画中、同じイラストを見続けていると どこに違和感があるのか分からなくなってくる 普段なら気付けるような作画ミスであっても、 作画中や作画直後には全く気付けない
  10. 10. 客観視は難しい 作画中、同じイラストを見続けていると どこに違和感があるのか分からなくなってくる 普段なら気付けるような作画ミスであっても、 作画中や作画直後には全く気付けない 自分のイラスト 後日見返すと下手すぎ問題
  11. 11. 客観視は難しい https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383467508
  12. 12. 客観視に関する事前調査 ・美術系の大学生4名を対象に調査 ・実際に絵を描いてもらい、作画直後と 数日後での感覚の比較を行った
  13. 13. 客観視に関する事前調査 ・美術系の大学生4名を対象に調査 ・実際に絵を描いてもらい、作画直後と 数日後での感覚の比較を行った ・この現象は全員に生じていた ・普段も悩まされている、との回答
  14. 14. 客観視に関する事前調査 ・美術系の大学生4名を対象に調査 ・実際に絵を描いてもらい、作画直後と 数日後での感覚の比較を行った ・この現象は全員に生じていた ・普段も悩まされている、との回答 初心者・上級者に関わらず 誰にでも起こる現象
  15. 15. この感覚は何故生じる? ・似た現象にゲシュタルト崩壊や順応が挙げられる → 同一の視覚刺激を見続けることで、 パターン全体の認知が歪んでしまう現象 [Faust, 1947][Leopold, 2001] 慣れが客観視を阻害しているのでは? ・制作中に同じイラストを見続けることによって、 認知の「慣れ」が生じている?
  16. 16. 慣れを低減するには? 時間を置いて「慣れ」を排除 ・時間がかかってしまう(数秒や数分では難しい) イラストを左右反転して確認 ・左右反転することで感覚が変化し、すぐにミスに気付ける と言われている手法 ・広く使われているが、関連した研究は見つからなかった ・事前調査においてその有用性を調査した結果、 「左右のバランスの狂い」に特化している可能性が得られた バランスではないより詳細なミスに気付くことは困難
  17. 17. 研究の大目的 時間を置いて「慣れ」を排除 ・時間がかかってしまう(数秒や数分では難しい) イラストを左右反転して確認 ・左右反転することで感覚が変化し、すぐにミスに気付ける と言われている手法 ・広く使われているが、関連した研究は見つからなかった ・事前調査においてその有用性を調査した結果、 「左右のバランスの狂い」に特化している可能性が得られた バランスではないより詳細なミスに気付くことは困難 大目的 より多くのミスに気付くことのできる、 作画直後に使える客観視手法の実現
  18. 18. 調査で得られた体験談 よし、ミスは無いな!
  19. 19. 調査で得られた体験談 投稿! ……ん?
  20. 20. 部分的な遮蔽で客観視が可能? イラストの一部分を隠されたことで、作画中は 気付けなかった提示範囲内のミスに気付けた
  21. 21. 部分的な遮蔽で客観視が可能? イラストの一部分を隠されたことで、作画中は 気付けなかった提示範囲内のミスに気付けた 全体のつながりを切られることで、 慣れの低減が可能に?
  22. 22. 本研究の目的 イラストを部分的に遮蔽することで 即座に慣れを低減し 作画ミスに気付けるような手法の提案 ・今回の研究においては、手法の対象のイラストを 「人物キャラクターの全身のイラスト」とする ・有用性を明らかにしたのち、自動で遮蔽し、 提示するシステムの実装を目指す
  23. 23. 本研究の目的 イラストを部分的に遮蔽することで 即座に慣れを低減し 作画ミスに気付けるような手法の提案 ・今回の研究においては、手法の対象のイラストを 「人物キャラクターの全身のイラスト」とする ・有用性を明らかにしたのち、自動で遮蔽し、 提示するシステムの実装を目指す 一方で、トリミングするだけでは、 全体のバランスの狂いには気が付けない
  24. 24. 本研究の目的 イラストを部分的に遮蔽することで 即座に慣れを低減し 作画ミスに気付けるような手法の提案 ・今回の研究においては、手法の対象のイラストを 「人物キャラクターの全身のイラスト」とする ・有用性を明らかにしたのち、自動で遮蔽し、 提示するシステムの実装を目指す 一方で、トリミングするだけでは、 全体のバランスの狂いには気が付けない 視覚認知の特性に着目した
  25. 25. 視覚の補完 ・アモーダル補完 [Michotte, 1991] ・遮蔽された箇所を整合性 のとれた形で補完する (四角の向こうの正円) ・これを遮蔽手法に応用
  26. 26. 部分遮蔽手法 一通り形になったのでミスを見つけたいが、 この絵がいいのか悪いのか分からない…
  27. 27. 部分遮蔽手法 一部分を遮蔽されることで、イラストの 視覚情報を削減し…
  28. 28. 部分遮蔽手法 提示された箇所のミスに 気付けるように!
  29. 29. 部分遮蔽手法 このとき同時に、遮蔽物の向こう側を よく想像(補完)した後に…
  30. 30. 部分遮蔽手法 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付けるように!
  31. 31. 部分遮蔽手法 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付けるように!
  32. 32. 部分遮蔽手法 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付けるように!
  33. 33. 部分遮蔽手法のまとめ 提示範囲 ・細かなミスに気付ける? 部分遮蔽→もう一度全体を観察で 即座の客観視が可能? 遮蔽範囲 ・視覚の補完によって バランスの狂いに気付ける?
  34. 34. 遮蔽パターンの作成 イラスト内の視覚情報が 丁度半分になるように遮蔽
  35. 35. 実験 「イラストの部分遮蔽手法が客観視に対して有用」 といった仮説の検証
  36. 36. 実験 「イラストの部分遮蔽手法が客観視に対して有用」 といった仮説の検証 作画タスク 気付きに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
  37. 37. 実験 「イラストの部分遮蔽手法が客観視に対して有用」 といった仮説の検証 気付きに関するアンケート ・作画直後(慣れアリ) ・部分遮蔽手法 ・2日後(慣れナシ) ・感覚変化 ・視線計測
  38. 38. 実験協力者の選定 ・実験協力者は情報系の大学生5名 ・このときイラスト制作経験が全くないと、 客観視できる形まで人物を描き切ることが難しい ・一定以上のデジタルイラスト制作経験が ある初心者・中級者を対象とした (目安として、実験から3カ月以内にデジタルで 人物を描いたことのあるイラスト経験者)
  39. 39. 実験 「イラストの部分遮蔽手法が客観視に対して有用」 といった仮説の検証 作画タスク 気付きに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
  40. 40. 作画タスク ・制限時間80分で線画まで制作 ・制作環境はこちらで用意 ・時間内に描き終わらなかった場合でも、 線画終了まで作画を続ける ・作画ミス誘発のため、苦手な構図・ポーズを指定 ・緊張が実験結果に影響を及ぼさないように、 他者の目が無く、リラックスできる環境で制作
  41. 41. 実験 「イラストの部分遮蔽手法が客観視に対して有用」 といった仮説の検証 作画タスク 気付きに関するアンケート (修正したい箇所の記入)
  42. 42. 気付きに関するアンケート 作画直後に単純に眺める ・1分の視線計測→修正したい箇所の記入(無制限) 部分遮蔽手法の適用 ・それぞれの遮蔽パターンで1分間眺め同時に視線計測→ 遮蔽を取って1分間の視線計測→ 修正したい箇所の記入(無制限) これを×4パターン 2日後に単純に眺める ・1分の視線計測→修正したい箇所の記入(無制限)
  43. 43. 実験結果 A B C D E 作画直後 2 5 7 5 4 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2 合計 6 12 22 9 11 作画直後は慣れの状況下でも気付けるミス →作画を継続していれば修正可能だった 部分遮蔽・時間経過で新たに得られた気付きに 着目し分析していく
  44. 44. 実験結果 A B C D E 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2
  45. 45. 実験結果 A B C D E 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2 部分遮蔽による感覚変化(一部) ・「隠れていた箇所のバランスの悪さが目に付くように なった」 ・「変な所が際立って見えた。特に足の歪みに気が付いた」 ・「隠された方のミスに気が付けた気がする」
  46. 46. 実験結果 A B C D E 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2 部分遮蔽による感覚変化(一部) ・「隠れていた箇所のバランスの悪さが目に付くように なった」 ・「変な所が際立って見えた。特に足の歪みに気が付いた」 ・「隠された方のミスに気が付けた気がする」 提案手法によって、実際に イラストの客観視ができている!
  47. 47. 実験結果 A B C D E 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2
  48. 48. 実験結果 A B C D E 部分遮蔽 2 4 11 4 5 時間経過 2 3 4 0 2 時間経過による感覚変化(一部) ・「実験終了後は自分の絵を見過ぎてゲシュタルト崩壊して いたが、1日置くことで客観的に見ることができた」 ・「前以上におかしい点が気になった」 ・「前見た時より下手な気がした。バランスが崩れている 感じがした」
  49. 49. 実験結果のまとめ ・部分遮蔽手法によって、作画直後に眺めるだけでは 気付けなかったミスにも気付けるようになった ・一方で、時間経過でないと気付けないミスも複数 見られた(慣れの完全な低減が難しかった) 部分遮蔽手法はイラスト客観視に ある程度有用である
  50. 50. 考察 部分遮蔽手法は以下のミスに有効だったのか? 提示範囲内の 細かなミス 遮蔽範囲の バランスの狂い
  51. 51. 考察(遮蔽範囲のバランス) イラスト全体のバランスに関する気付きは全体で3個
  52. 52. 考察(遮蔽範囲のバランス) イラスト全体のバランスに関する気付きは全体で3個
  53. 53. 考察(遮蔽範囲のバランス) イラスト全体のバランスに関する気付きは全体で3個 Bさん「頭身が足りないかも」
  54. 54. 考察(提示範囲の詳細なミス) 手法適用時に提示範囲内にあった詳細な作画ミスの 気付きは、全体で7 個
  55. 55. 考察(提示範囲の詳細なミス) 手法適用時に提示範囲内にあった詳細な作画ミスの 気付きは、全体で7 個
  56. 56. 考察(提示範囲の詳細なミス) 手法適用時に提示範囲内にあった詳細な作画ミスの 気付きは、全体で7 個 Dさん「首が長い」
  57. 57. 考察 部分遮蔽手法は以下のミスに有効だった 提示範囲内の 細かなミス 遮蔽範囲の バランスの狂い
  58. 58. 考察 部分遮蔽手法は以下のミスに有効だった 提示範囲内の 細かなミス 遮蔽範囲の バランスの狂い その他にも本手法が有効な ミスの種類があった
  59. 59. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個
  60. 60. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個
  61. 61. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個
  62. 62. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個 ・剣先のよごれを取りたい ・右の鎧の外側の線を細くしたい ・顔のよごれを取りたい ・髪を描きたしたい
  63. 63. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個 ・剣先のよごれを取りたい ・右の鎧の外側の線を細くしたい ・顔のよごれを取りたい ・髪を描きたしたい
  64. 64. 考察(遮蔽範囲の詳細なミス) 最も多い気付きは「遮蔽範囲」内にあった 「詳細なミス」であり、全体で10個 ・剣先のよごれを取りたい ・右の鎧の外側の線を細くしたい ・顔のよごれを取りたい ・髪を描きたしたい 遮蔽し、再確認することで 多くのミスに気付けるように!
  65. 65. まとめ ・部分遮蔽手法によって客観視が可能だった ・しかし、慣れの低減といった観点においては 時間経過程の効力は無かった ・様々なミスに気付くことが可能だった ・遮蔽範囲内の詳細なミスに特に有効だった
  66. 66. 今後の展望 ・より客観視に有効な遮蔽方法や遮蔽範囲の調査 ・本手法が人物イラスト以外にも適用可能かの調査 ・手法によって得られた気付きをその場で修正して もらったときの満足度の調査 ・有効な遮蔽パターンを自動で作成するシステムの 実装、および本システムを搭載したペイントツール やその拡張機能の開発を検討

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