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プレゼンテーション中の発表者のみが聴取可能な音楽による緊張緩和手法の提案

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何らかの発表にまつわるプレゼンテーションでは,発表者 1 人に対し複数人以上の聴講者という 1 対多のコミュニケーションが基本である.ここで,発表者の個性や会場の雰囲気などにより,発表者は緊張を覚えながらプレゼンテーションを行うことも珍しくない.発表者は緊張してしまうと,思い通りにプレゼンテーションを行うことができず,伝えたいことが伝えられないなどの問題がある.この問題の対策として,人前で繰り返し発表練習を行うといったことが考えられるが,本番の緊張を練習で再現することは難しい.そこで我々は,音楽のリラックス効果に着目し,プレゼンテーション中の発話者のみに遮音性のないイヤフォンを用いて音楽を聴かせることで緊張を和らげ,プレゼンテーションを支援する手法を提案する.本稿では,実際にプレゼンテーションの発話者に音楽聴取を行ってもらう継続的な実験から,手法の有効性を検討した.その結果,プレゼンテーションの発表中に音楽を聴くことで,緊張は緩和され,話しやすさが向上する傾向が明らかになった.

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プレゼンテーション中の発表者のみが聴取可能な音楽による緊張緩和手法の提案

  1. 1. プレゼンテーション中の発表者のみが 聴取可能な音楽による緊張緩和手法の提案 徳久弘樹 大野直紀 中村聡史 (明治大学大学院)
  2. 2. 背景:プレゼンテーションの広がり •プレゼンテーション(以下プレゼン)は 現代の様々な場面で行われている • 大手企業の新商品説明会 • 大学生のゼミ活動 •PowerPointやKeynoteといったツールの 普及でより身近なものに
  3. 3. 背景:プレゼンの問題点 •プレゼンの多くは1対多のコミュニケーション •大人数の聴講者を前に、緊張を感じながらプレゼンを 行うことも珍しくない •緊張したまま発表を行うと・・・ • 早口になる • 下を向いたまま話す
  4. 4. 背景:プレゼンの問題点 •プレゼンの多くは1対多のコミュニケーション •大人数の聴講者を前に、緊張を感じながらプレゼンを 行うことも多い •緊張したまま発表を行うと・・・ • 早口になる • 下を向いたまま話す 無意識にプレゼンに 悪影響となる行動を取ってしまう
  5. 5. 背景:音楽を用いて緊張緩和 • 音楽を聴くことでリラックスして、緊張を緩和する手段が 知られている • 心拍数を下げる • 筋肉の緊張度を低下させる • 効果は聴いている間だけの一時的なもの
  6. 6. 背景:音楽を用いて緊張緩和 • 音楽を聴くことでリラックスして、緊張を緩和する手段が 知られている • 心拍数を下げる • 筋肉の緊張度を低下させる • 効果は一時的、継続性がない 体験の前だけでなく、体験中も音楽を聴けば 緊張を緩和できるのではないか?
  7. 7. 音楽のリラックス効果を用いた研究 •手術前の患者に音楽を聴かせることで、血圧や脈拍が安 定した[Kipnisら,2016] • 体験前に行うアプローチ •運動後に遅いテンポの音楽を聴いた場合、速いテンポや 音楽無しより疲労の回復が速かった[Rajeshら,2015] • 体験後に行うアプローチ
  8. 8. 音楽のリラックス効果を用いた研究 •手術前の患者に音楽を聴かせることで、血圧や脈拍が安 定した[Kipnisら,2016] • 体験前に行うアプローチ •運動後に遅いテンポの音楽を聴いた場合、速いテンポや 音楽無しより疲労の回復が速かった[Rajeshら,2015] • 体験後に行うアプローチ 体験中を想定した 緊張対策アプローチの研究は少ない
  9. 9. 背景:発表中に音楽を聴く方法
  10. 10. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •スピーカーで会場に音楽を流す
  11. 11. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •スピーカーで会場に音楽を流す •好みによっては聴講者の集中を阻害する可能性
  12. 12. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •スピーカーで会場に音楽を流す •好みによっては聴講者の集中を阻害する可能性 •イヤフォンを装着して音楽を聴きながら発表
  13. 13. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •スピーカーで会場に音楽を流す •好みによっては聴講者の集中を阻害する可能性 •イヤフォンを装着して音楽を聴きながら発表 •自分の声の大きさがわからない •聴講者のリアクションに気づけない
  14. 14. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •遮音性のないイヤフォンの流行 • 分割磁界供給型骨伝導による常時装着 音響デバイス[暦本,2018] • Xperia Ear Duo(SONY、2018)
  15. 15. 背景:発表中に音楽を聴く方法 •遮音性のないイヤフォンの流行 • 分割磁界供給型骨伝導による常時装着 音響デバイス[暦本,2018] • Xperia Ear Duo(SONY) 自分だけが音楽を聴きながら 話をすることが可能に
  16. 16. 提案手法 プレゼン中に 遮音性の無いイヤフォンを用いて、 自分だけ音楽を聴くことで、緊張を緩和させる
  17. 17. 音楽を用いたプレゼン中の緊張緩和の 有効性について実験で検証 本研究の目的 •発表者を対象とした主観評価実験 •聴講者を対象とした客観評価実験
  18. 18. 音楽を用いたプレゼン中の緊張緩和の 有効性について実験で検証 本研究の目的 •発表者を対象とした主観評価実験 •聴講者を対象とした客観評価実験
  19. 19. 音楽を用いたプレゼン中の緊張緩和の 有効性について実験で検証 本研究の目的 •発表者を対象とした主観評価実験 •聴講者を対象とした客観評価実験
  20. 20. 発表者を対象とした主観評価実験 •「発表者がどれだけプレゼンをしやすくなったか」 という点に着目 •プレゼンを行った本人が回答したアンケートで 提案手法の有効性を検証
  21. 21. 実験概要 実験協力者 テーマ 実験監督 ① テーマを伝えられる ② 10分の考察時間 ③ 3分プレゼン • ①~③の流れを1セットとした • 休憩を挟みながら合計3セット行ってもらう • 最初の1セットを練習、残り2セットを本番とした 実験協力者 実験協力者
  22. 22. •音楽ありのセット • Xperia Ear Duoを装着 • 音楽を聴きながらプレゼン 実験概要 装着 • 音楽なしのセット • 何も着けず行う 本番2セットの内容(練習は音楽なし) ※音量はこちらで小さめにセット
  23. 23. 実験で使用した音楽 •作業中に聴く音楽は好きでも 嫌いでもない曲が最も良い [Yakuraら,2018] •よくカフェで流れているような ジャズを採用
  24. 24. プレゼンのテーマ •テーマには以下の3種類を採用 • 「働くことの意味は何か」 • 「理想の社会人とは何か」 • 「仕事において重要なのは質とスピードのどちらか」 •文系理系問わず、その場で考えてできるテーマ
  25. 25. 実験概要 •実験協力者 • 明治大学及び同大学大学院の 学生20名(19歳~24歳)
  26. 26. 実験:アンケート •回答形式は⑧を除いて 7段階リッカート尺度 • ⑧は自由記述 質問内容 音楽あり/なし それぞれのセットについて ① プレゼン中の緊張は どのくらいか ② 話しやすさ ③ 与えられた テーマの好感度 ④ プレゼンの 自己評価 音楽ありのセットについて ⑤ 音楽はどのくらい気になったか ⑥ 聴いた音楽の好感度 全体について ⑦ 元々スピーチはどのくらい得意か ⑧ 感想
  27. 27. 実験:アンケート •回答形式は⑧を除いて 7段階リッカート尺度 • ⑧は自由記述 質問内容 音楽あり/なし それぞれのセットについて ① プレゼン中の緊張は どのくらいか ② 話しやすさ ③ 与えられた テーマの好感度 ④ プレゼンの 自己評価 音楽ありのセットについて ⑤ 音楽はどのくらい気になったか ⑥ 聴いた音楽の好感度 全体について ⑦ 元々スピーチはどのくらい得意か ⑧ 感想
  28. 28. 1 2 3 4 5 6 7 音楽なし 音楽あり 音楽なし 音楽あり 緊張 話しやすさ 実験結果:全体
  29. 29. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の緊張状態 1の差を誤差ととらえ、2以上の差に注目
  30. 30. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の緊張状態 10名の緊張が緩和、1名の緊張が増大
  31. 31. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の緊張状態 10名の緊張が緩和、1名の緊張が増大 どういう人?
  32. 32. 実験考察:緊張について 「プレゼン中に音楽はどのくらい気になりましたか?」 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T
  33. 33. 実験考察:緊張について 「プレゼン中に音楽はどのくらい気になりましたか?」 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T
  34. 34. 実験考察:緊張について •P「音楽がほとんど気にならず、ただ最初のプレゼンと いうことに緊張した」 •Pは音楽ありのセットを先に行っていた
  35. 35. 実験考察:緊張について •P「音楽がほとんど気にならず、ただ最初のプレゼンと いうことに緊張した」 •Pは音楽ありのセットを先に行っていた 緊張の増大は音楽が原因ではない
  36. 36. 実験考察:緊張について •プレゼン中の音楽聴取は、緊張緩和に一定の効果 •逆に緊張を増大させてしまう懸念も少ない
  37. 37. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の話しやすさ 7名の話しやすさが向上、2名が低下
  38. 38. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の話しやすさ 7名の話しやすさが向上、2名が低下
  39. 39. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 実験結果:個人の話しやすさ 7名の話しやすさが向上、2名が低下 どういう人に 逆効果?
  40. 40. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 実験考察:話しやすさ 「元々のプレゼンの得意度合いはどのくらいですか?」
  41. 41. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 実験考察:話しやすさ 「元々のプレゼンの得意度合いはどのくらいですか?」
  42. 42. 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 実験考察:話しやすさ 「元々のプレゼンの得意度合いはどのくらいですか?」
  43. 43. 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 話しやすさ プレゼンの得意度 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T
  44. 44. 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 話しやすさ プレゼンの得意度 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T
  45. 45. 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 話しやすさ プレゼンの得意度 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 自信がある人には 音楽は有効でない傾向
  46. 46. 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 話しやすさ プレゼンの得意度 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T
  47. 47. 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり 話しやすさ プレゼンの得意度 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 苦手な人は 音楽で話しやすさが向上する傾向
  48. 48. 実験考察:話しやすさ •話しやすさを向上させた要因 • 「自分の声以外の音があり、 自分の言葉を気にしすぎず喋れた」 • 「一人でカメラに話す妙な空気感を 気にせず話せた」 プレゼン中の不安要素から注意を逸らした
  49. 49. 実験考察:話しやすさ •プレゼン中の音楽聴取は • プレゼンに自信がない人の話しやすさを向上させる傾向 • プレゼン中の不安要素から注意を逸らした • プレゼンに自信がある人には邪魔になる可能性
  50. 50. 聴講者を対象とした客観評価実験 •音楽聴取時の発話が客観的に悪影響が出る恐れ • 声に覇気がなくなる • 話すスピードが速くなる/遅くなる • 不真面目と思われる
  51. 51. 聴講者を対象とした客観評価実験 •音楽聴取時の発話が聴く側からどのような印象を受ける かを実験で調査 •プレゼンを聴いた人が回答したアンケートによる 客観評価で検証
  52. 52. 実験概要 音楽ありプレゼン 音楽なしプレゼン 音声聴取 聴講経験が豊富な 大学院生4名 アンケートで 印象を回答 • プレゼンの音声は音楽で緊張が緩和された3名を採用 • 映像では音楽を聴いているのがわかるため、音声のみで行う
  53. 53. 実験アンケート •音声を聴いた後に、 アンケートに回答 •回答形式はすべて 7段階リッカート尺度 質問内容 ① 発話者の緊張状態 ② 話の聞き取りやすさ ③ 話すスピード ④ スピーチの完成度
  54. 54. 実験結果 •全回答の平均値を比較 •すべての項目において 有意差はなし 1 2 3 4 5 6 7 音 楽 な し 音 楽 あ り 音 楽 な し 音 楽 あ り 音 楽 な し 音 楽 あ り 音 楽 な し 音 楽 あ り 緊張 聞き取りやす さ スピード 完成度
  55. 55. 実験考察 •客観的な評価で音楽あり/なしによる違いは小さい • 「ほとんど違いはわからなかった」 •発表者の音楽聴取は聴衆に悪影響を 及ぼさない
  56. 56. 実験まとめ •プレゼン中の音楽聴取の特徴 •発表者の緊張を緩和 •自信がない人の話しやすさを向上させる傾向 •聴講者にとっての悪影響はない
  57. 57. 今後の展望 •フィードバックより • 「音楽を聴くことで練習でつかんだ3分の感覚がわからなく なった」 • 「もう3分経ったのか感があった」 • 「メロディやテンポで話すスピードが変わりそう」
  58. 58. 今後の展望 •フィードバックより • 「音楽を聴くことで練習でつかんだ3分の感覚がわからなく なった」 • 「もう3分経ったのか感があった」 • 「メロディやテンポで話すスピードが変わりそう」 音楽聴取が発話者の時間感覚や 発話スピードに影響を及ぼす可能性
  59. 59. 今後の展望 •音楽のテンポや曲調で発話状態をコントロール • 残り時間を直感的に把握させる • 発話スピードを聴きやすいものに! •あらゆる面からプレゼンを支援が可能に!
  60. 60. 今後の展望 •音楽のテンポや曲調で発話状態をコントロール • 残り時間を直感的に把握させる • 発話スピードを聴きやすいものに! •あらゆる面からプレゼンを支援することができる可能性プレゼンに応じた適切な選曲をするための ガイドラインの完成を目指す
  61. 61. まとめ •提案 • プレゼン中に音楽を聴くことで、発表者の緊張を緩和 •結果 • 緊張は緩和され、自信のない人の話しやすさが向上 •今後の展望 • プレゼンに応じた選曲ガイドラインを作成
  62. 62. 実験考察:順序効果について •緊張が緩和された10名のうち、本番2セットで • 音楽ありのセットを先に行った(練習のセットの直後) • D、J、T(3名) • 音楽ありのセットを後に行った(最後のセット) • B、G、I、K、O、Q、S(7名) •後に行った方が多かった
  63. 63. 実験:考察(順序効果について) •このとき音楽ありを後に行った人は、その場で行うプレ ゼンが3回目であった •そのため、慣れなどの効果も重なり、緊張の緩和を実感 する人が多くなったと考えられる
  64. 64. 実験考察:話しやすさ •話しやすさが向上した7名のうち • 音楽ありのセットを先に行った(練習のセットの直後) • C、D、J、L(4名) • 音楽ありのセットを後に行った(最後のセット) • B、K、Q(3名) •ほぼ半分ずつ
  65. 65. テーマの好感度 「プレゼンテーマの好感度はどのくらいですか?」 1 3 5 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T 音楽なし 音楽あり
  66. 66. 聞いた音楽の好感度 「プレゼン中に聴いた音楽の好感度はどのくらいですか?」 1 2 3 4 5 6 7 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T

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