SlideShare a Scribd company logo
Submit Search
Upload
Login
Signup
オープンソースの図書館システムNext-L Enjuのいまとこれから
Report
Kosuke Tanabe
Follow
Engineer at National Institute for Materials Science
Mar. 9, 2019
•
0 likes
•
1,187 views
1
of
51
オープンソースの図書館システムNext-L Enjuのいまとこれから
Mar. 9, 2019
•
0 likes
•
1,187 views
Download Now
Download to read offline
Report
Technology
第95回デジタルアーカイブサロン
Kosuke Tanabe
Follow
Engineer at National Institute for Materials Science
Recommended
20151009石川県図書館協会石川県立図書館ソーシャルメディア研修(公開用)
Masahiko Inoue
2.9K views
•
57 slides
ゆかりん時計の話
MakTak
236 views
•
7 slides
20141210 CRESCENT Hour
Masahiko Inoue
2.1K views
•
16 slides
Making EPUB in Japanese
Hiroki Kaneko
890 views
•
17 slides
Kulibrarians 20100129 Nakagawa
kulibrarians
557 views
•
12 slides
202201_s_university
Masahiko Inoue
927 views
•
24 slides
More Related Content
More from Kosuke Tanabe
Next-L Enju ワークショップ #91
Kosuke Tanabe
202 views
•
3 slides
Next-L Enju ワークショップ #90
Kosuke Tanabe
246 views
•
3 slides
Next-L Enju ワークショップ #89
Kosuke Tanabe
172 views
•
3 slides
Next-L Enju ワークショップ #88
Kosuke Tanabe
245 views
•
3 slides
Next-L Enju ワークショップ #86
Kosuke Tanabe
181 views
•
3 slides
Next-L Enju ワークショップ #78
Kosuke Tanabe
211 views
•
4 slides
More from Kosuke Tanabe
(20)
Next-L Enju ワークショップ #91
Kosuke Tanabe
•
202 views
Next-L Enju ワークショップ #90
Kosuke Tanabe
•
246 views
Next-L Enju ワークショップ #89
Kosuke Tanabe
•
172 views
Next-L Enju ワークショップ #88
Kosuke Tanabe
•
245 views
Next-L Enju ワークショップ #86
Kosuke Tanabe
•
181 views
Next-L Enju ワークショップ #78
Kosuke Tanabe
•
211 views
Next-L Enju ワークショップ #75
Kosuke Tanabe
•
261 views
Next-L Enju ワークショップ #76
Kosuke Tanabe
•
186 views
Next-L Enju ワークショップ #74
Kosuke Tanabe
•
254 views
nextlenju73
Kosuke Tanabe
•
213 views
Next-L Enjuのご紹介(2018年版)
Kosuke Tanabe
•
178 views
Next-L Enju ワークショップ #65
Kosuke Tanabe
•
214 views
enju_ws_65
Kosuke Tanabe
•
161 views
Next-L Enju ワークショップ #64
Kosuke Tanabe
•
186 views
Next-L Enju ワークショップ #62
Kosuke Tanabe
•
241 views
Next-L Enju ワークショップ #62
Kosuke Tanabe
•
211 views
Next-L Enju LRM
Kosuke Tanabe
•
546 views
Enju ws 60
Kosuke Tanabe
•
311 views
Next-L Enju 開発ワークショップ #59
Kosuke Tanabe
•
260 views
Next-L Enju 開発ワークショップ #58
Kosuke Tanabe
•
428 views
Recently uploaded
拡散する画像生成.pdf
NTTDOCOMO-ServiceInnovation
226 views
•
38 slides
骨抜きアジャイルの骨を生み出す 〜私(スクラムマスター)のXP学習記録〜(XP祭り2023 発表資料)
NTT DATA Technology & Innovation
321 views
•
44 slides
NoSQL/SQLデュアルインターフェースを備えた IoT向けデータベースGridDB - 強化された時系列データ管理・検索機能について -
griddb
6 views
•
46 slides
ヒアラブルデバイスにおける音漏れ信号を用いた空中ジェスチャ認識
sugiuralab
83 views
•
1 slide
指側面を入力インタフェース化するリング型デバイス
sugiuralab
5 views
•
1 slide
画像生成AIの問題点
iPride Co., Ltd.
127 views
•
9 slides
Recently uploaded
(11)
拡散する画像生成.pdf
NTTDOCOMO-ServiceInnovation
•
226 views
骨抜きアジャイルの骨を生み出す 〜私(スクラムマスター)のXP学習記録〜(XP祭り2023 発表資料)
NTT DATA Technology & Innovation
•
321 views
NoSQL/SQLデュアルインターフェースを備えた IoT向けデータベースGridDB - 強化された時系列データ管理・検索機能について -
griddb
•
6 views
ヒアラブルデバイスにおける音漏れ信号を用いた空中ジェスチャ認識
sugiuralab
•
83 views
指側面を入力インタフェース化するリング型デバイス
sugiuralab
•
5 views
画像生成AIの問題点
iPride Co., Ltd.
•
127 views
MLOps Course Slides_JP(配布用).pdf
Yuya Yamamoto
•
245 views
インフラチームとCCoEの関係.pptx
ssuser5c7ee4
•
72 views
PostgreSQLのバグとの付き合い方 ~バグの調査からコミュニティへの報告、修正パッチ投稿まで~(Open Source Conference 202...
NTT DATA Technology & Innovation
•
32 views
磁石内臓イヤリングによる磁力変化を利用したジェスチャ識別
sugiuralab
•
90 views
遠征ドルヲタのための便利サイトを作ってみた
Kenta Fujimoto
•
91 views
オープンソースの図書館システムNext-L Enjuのいまとこれから
1.
オープンソースの図書館システム Next-L Enjuのいまとこれから 2019年3月8日 第95回デジタルアーカイブサロン 田辺浩介 TANABE,
Kosuke Twitter/Github: @nabeta
2.
今日の話題 1. Next-L Enju前史 2.
Next-L Enjuとは 3. Next-L Enjuのこれから
3.
1. Next-L Enju前史
4.
大学2年生のとき(2000年) • 「OPACを評価する」というレポート課題が出た • 珍しくがんばって書いた •
NACSIS WebCatについて書いた • 「全国の図書館の所蔵を簡易なUIで検索できる」という点を評価 • レポートの評価点と講評に非常に納得がいかなかった • C評価
5.
「いつか自分の手で 図書館システムを作る」
6.
最初に就職したとき(2005年) • 就職先は大学院のサテライトキャンパスの図書館の分館 • 図書館システムがなく、自分の任期切れまでに導入される予定 もなかった •
しかし「図書館のホームページを作る」という理由で、 PCサーバは1台買ってもらえた
7.
じゃあ自分で作ろう! 今こそ5年前の野望を果たすとき!
8.
Project Next-Lの開始(2006年) • 原田隆史先生(現同志社大学、当時慶應義塾大学)が 「図書館システムの標準仕様を策定する」という目的で 「Project
Next-L」を立ち上げ • このプロジェクトでの実装として、田辺の作っていたシステム を用いることにした • これがNext-L Enjuの始まり
9.
システムの方針転換 • 当初はFRBRモデルを単純になぞって実装 • このため(通常の蔵書管理を目的とした)図書館システムと しては大げさで使い勝手の悪いものに •
FRBRのWork・Expressionの部分を別システムに切り出し、 Manifestation・Itemの部分のみを残したシステムに変更 • enju_root: WorkとExpressionの管理 • enju_leaf: ManifestationとItemの管理。一般に「Next-L Enju」と 呼ばれているシステムはこれ
10.
Manifestation Item Item Item ManifestationManifestation MIハブ (CiNii
Books) MIシステム (NACSIS-CAT 参加館A) MIシステム (NACSIS-CAT 参加館B) Manifestation Item Item Manifestation MIシステム (NACSIS-CAT 参加館C) Manifestation Item Expression Expression Expression Manifestation Manifestation ManifestationManifestation WEシステム (ハリーポッターコミュニティ) WEシステム (英語学習コミュニティ) Work Work enju_rootの部分 enju_leafの部分 enju_root / enju_leaf 連携構成図
11.
2. Next-L Enjuとは
12.
Next-L Enjuとは • オープンソースの図書館管理システム •
ソースコードはGitHubで公開 • https://github.com/next-l/enju_leaf • デモサーバは以下で動作 • https://enju.next-l.jp • 現在の最新バージョンは1.3.1(2018年12月2日リリース)
13.
リリースの履歴 • 2011年5月 enju_leaf-1.0.0.beta1 •
2011年11月11日: enju_leaf-1.0.0 • 書誌・所蔵・貸出管理を実装 • 2012年8月: enju_leaf-1.1.0.beta1 • 2013年8月: enju_leaf-1.1.0.rc1 (その後rc22までリリース) • 2015年11月11日: enju_leaf-1.1.0 • 書誌情報TSVインポート・エクスポート強化、CiNii書誌インポート対応 • 利用者マニュアル整備 • 2016年11月11日: enju_leaf-1.2.0 • openBD書影対応、議会図書館書誌インポート対応 • 2018年10月: enju_leaf-1.3.0 • Rails 5.1対応 • 2018年12月: enju_leaf-1.3.1 (現在の最新版) 図書館総合展にあわせての リリースを目標
14.
Next-L Enjuのデモサーバ https://enju.next-l.jp
15.
Enjuはどんなシステムなの? • 小規模な図書館の業務をひととおり行えるシステム • 書誌・所蔵管理 •
受入・検索 • 貸出管理 • 貸出・返却・予約・督促 • 利用者管理 • 個人情報・利用者区分・権限管理 • 施設管理 • 分館・書棚管理
16.
モジュール構造 • Next-L Enjuの各機能はモジュール(取り外し可能な小さな プログラム)として実装 •
テストの簡略化を目的 • 新機能の追加はモジュールの追加として行える enju_biblio (書誌管理) enju_library (図書館管理) enju_event (催し物管理) enju_message (メッセージ管理) enju_seed (ユーザ管理) enju_circulation(貸出管理)enju_ndl (NDLサーチ書誌取得) enju_nii (CiNII書誌取得)
17.
enju_biblio (書誌管理) enju_library (図書館管理) enju_seed (ユーザ管理) enju_ndl (NDLサーチ書誌取得) このような構成も可能
18.
モジュールの一覧 • enju_ndl: NDLサーチ書誌取得 •
enju_nii: CiNii書誌取得 • enju_loc: 議会図書館書誌取得 • enju_grid: 検索結果一覧のグリッド(格子状)表示 • enju_bookmark: ブックマーク管理 • enju_question: レファレンス管理 • enju_erms: 電子リソース管理(非公開)
19.
enju_erms: 電子ジャーナルの 利用統計を自動取得
20.
Enjuは誰が使っているの? • 専門図書館を中心に10館程度が導入 • 物質・材料研究機構(最初の本格導入館、2011年~現在) •
笹川スポーツ財団 • 大阪女学院大学 • 兵庫県立人と自然の博物館 • 茨城女子短期大学 • 南三陸町図書館(2018年3月まで) • その他、イントラで動作している導入例もある
21.
物質・材料研究機構での Next-L Enju https://library.nims.go.jp
22.
デジタル化した資料も アップロードできる
23.
兵庫県立 人と自然の博物館 http://muselib.hitohaku.jp
24.
Enjuはどうやって動かすの? • 仮想マシンをダウンロードしてインストール • 初めての方向け。自分のコンピュータ上に別環境を作成 •
VirtualBoxによる仮想マシンイメージを提供 • ソースコードを入手して自分のコンピュータやサーバにインス トール • 開発者向け
26.
VirtualBoxを使って Windowsの中でEnjuの インストールされた Linuxを動かしている
27.
Enjuはどんな技術で作られているの? • 広く用いられているオープンソースソフトウェアを用いて開発 • 開発言語:
Ruby • Webアプリケーションフレームワーク: Ruby on Rails • データベース: PostgreSQL/MySQL/SQLite3 • 検索エンジン: Apache Solr • 上記が動作する環境であれば、ほとんどのレンタルサーバや クラウド環境で動作可能
28.
Enjuは誰が作っているの? • Project Next-Lというコミュニティ •
https://www.next-l.jp • 図書館システムの開発に興味を持つ図書館関係者 • 図書館員、研究者、エンジニア、図書館利用者
30.
どうやったら開発に参加できるの? • 月に1回開催するワークショップに参加 • 主に筑波大学(茨城県つくば市)で開催 •
東京や地方での開催も不定期に実施 • 前回の地方開催は大阪で2019年1月26日に実施 • GitHubを通して参加 • 不具合報告の報告や機能追加の議論を行うための掲示板(イシュート ラッカー)に書き込む • 機能追加・修正プログラムを作成して提案する(プルリクエスト)
31.
Facebookでの ワークショップ告知
32.
Next-L Enjuの開発系統 • masterブランチ(開発版) •
新機能の追加を積極的に行う • 過去のバージョンと互換性のない変更も行われる • 1.3ブランチ(安定版) • 基本的にバグ修正を行う • 互換性のない変更は行わない • 現在のリリースはこのブランチをもとに行っている
33.
Enjuでわからないことがあったら? • オンラインマニュアルを参照する • https://next-l.github.io/manual/1.3/ •
GitHubのイシュートラッカーで質問する • 不具合報告や新機能の提案を行う掲示板のようなもの • 書き込みにはGitHubのアカウント(メールアドレスの登録)が必要
35.
GitHubの イシュートラッカー への書き込み
36.
機能追加要望の 書き込み
37.
3. Next-L Enjuのこれから
38.
enju_leaf-2.0に向けて開発中の機能 • WebNDLA・Wikidataによる著者名典拠入力 • IIIF対応など、デジタルアーカイブ構築への対応 •
もっと簡単なセットアップとバックアップ
39.
IIIFビューワの 操作パネル
40.
Next-L Enjuの開発の課題 • (開発する側にとって)開発の速度の鈍化 •
極端な場合、進捗がワークショップ開催時のみというケースも • リリース頻度も年3回程度まで低下 • 主たる開発者の仕事が増えたというのもあるが、masterブランチと 安定版ブランチの乖離を大きくしすぎたことも原因のひとつ • ユーザインターフェースが10年間ほとんど進化していない • 近年のWebの動向(JavaScriptによるUIの向上など)に全く追随でき ていない • Bootstrapなどの現代的なフレームワークで書き直す試みもあったが 頓挫
41.
開発の高速化に向けて • サポートするデータベースを絞る • テストに多くの時間が取られているため •
SQLite/MySQL/PostgreSQL -> PostgreSQLのみ • ある機能が他のアプリケーションで代用できる場合は、それを 流用する • たとえば、 Hyraxからデジタルアーカイブ機能を借りてくる
42.
Hyrax • 機関リポジトリ・デジタルアーカイブ構築用ソフトウェア • Next-L
Enjuと同様にRuby on Rails上で動作 • アメリカの大学を中心に多数の導入事例あり • http://hyr.ax/ • https://github.com/samvera/hyrax • 日本では導入事例はない(2019年3月現在)
44.
Arch (ノースウエスタン大学) https://arch.library.northwestern.edu/
45.
Deep Blue Data
(ミシガン大学) https://deepblue.lib.umich.edu/data
46.
Next-L Enjuの導入の課題 • 本当の小規模館では、Enjuでもまだ大げさな場面が多い •
単に蔵書検索を提供したいだけなら、TSVファイルで所蔵情報を 作って、カーリルに拾ってもらったほうが早い • ISBNのついている本の貸し借りを管理したいだけなら、リブライズを 使ったほうが早い • ホスティングサービスが提供できればよいのだが…現在の開発者に とって、副業のハードルは高い • Enjuは複数館の共同利用には機能としては対応しているが、 実現には組織間の調整というさらに高いハードルがある • ここにうまくはまるケースがあるとよい
47.
各人の興味を集めた場として • 図書館に関係するところ • 蔵書管理 •
FRBR, Linked Data • 電子リソース管理 • デジタルアーカイブ • システム開発に関係するところ • Webアプリケーション (Ruby, Ruby on Railsなど) • データベース (PostgreSQL, Solrなど) • 仮想化技術 (VirtualBox, Docker など) • その他のインフラ(GitHubなど)
49.
みなさまの参加を お待ちしています!
50.
リンク集 • Project Next-LのWebサイト •
https://www.next-l.jp • Next-L Enju • https://enju.next-l.jp (デモサーバ) • https://www.next-l.jp/?page=VM (仮想マシンのダウンロード) • https://github.com/next-l/enju_leaf (ソースコード) • https://github.com/next-l/enju_leaf/issues (イシュートラッカー) • https://next-l.github.io/manual/1.3/ (マニュアル) • Facebookページ(ワークショップの開催案内) • https://www.facbook.com/projectnextl