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導入したことがない規制・制度変更を議論
→ 実証データが全くない
価格形成に関して規制・制度変更の効果だけを取り出す
→ 実際の市場ではさまざまな要因が複雑
当局や取引市場が規制・制度を策定するときの議論
⇒ 仮説検証型の分析に基づかない定性的...
人工市場
調査対象に応じたモデルに必要な要素の特定
規制・制度のパラメータ感応度を分析
実際に議論されている規制・制度を分析・設計
規制・制度の議論に実務的に使える
知識の獲得を目指す
実際の議論で参考にされることを目指す
コロンブスの
たまご...
計算機上に人工的に作られた架空の市場
マルチエージェントシステム + 価格決定メカニズム
・ エージェント(投資家)
計算機プログラムで表現された仮想的な取引参加者集団
↑同一の戦略を持つ集団で1エージェントとする
各々の売買ルールに従い発注量...
ファンダメンタル
予想リターン
予想価格
現在の取引価格
ファンダメンタル価格
正規乱数
平均0
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テクニカル
過去リターン
ノイズ
一様乱数で決定
途中で変わらない
エージェントの
パラメータ
10000 =定数
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エージェント
市場A 市場B
市場A: 初期の取引量シェア大、呼値⊿PA=大きい
市場B: 初期の取引量シェア小、呼値⊿PB=小さい
人工市場のモデル
呼値の変更前後
2014年7月22日と18日(前営業日)
1円刻み 10銭刻み
呼値の縮小
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取引市場Aの出来高シェア推移
tAB=5日,⊿PB=0.01%の場合
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で取引でき
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取引
価格
取引市場Aの出番がない
→ 取引市場Bの高い約定率
⇒ 素早く取引市場Bがシェアを奪う
時間
取引
価格
取引市場B
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⇒ シェアが動かない
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> ⊿P...
完全空売り:空売りを一切認めない
アップティック:空売り価格規制=直近の取引価格以下で空売りの注文ができない規制
ファンダメンタル価格急落(=10000→7000)
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7500
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買い売り
価格
決定
取引所
市場の
非効率化
妥当でない価格で大勢が取引してしまう
参照
? 買い手
いない
妥当でない取引価格
少数で価格
決めちゃう?
価格変動の
不安定化
半分以上の取引が価格決定に関わって無いと不安定・非効率化
ダーク...
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人工市場シミュレーションを用いた金融規制・制度の研究の動向 第20回進化経済学会発表資料 スパークス・アセット・マネジメント株式会社 水田孝信

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人工市場シミュレーションを用いた金融規制・制度の研究の動向
第20回進化経済学会発表資料
2016/3/26,27 東京大学
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
水田孝信
本発表資料はスパークス・アセット・マネジメント株式会社の公式見解を表すものではありません.すべては個人的見解であります.

本報告では最近,金融規制・制度の議論に貢献し始めた人工市場シミュレーションの特徴を示した上でいくつかの研究を紹介する.マルチエージェントシミュレーションの一種である人工市場シミュレーションでは,投資家(エージェント)の行動と取引所(価格決定メカニズム)の注文処理というミクロプロセスをモデル化し,それらの相互作用をコンピュータ上でシミュレーションしてマクロ現象を観察する.そのため,実証分析では難しいミクロとマクロの相互作用の分析を行い,規制・制度の変更でどのようなことが,どのようなメカニズムで起こりえるのかを議論することができる.本報告では,実際の市場で大きな議論があり,実際に変更が行われた規制・制度を議論した研究を紹介する.日本の株式市場ではかつて,空売りの価格規制(直近の取引価格以下で空売りの注文ができない規制)が導入されていたが2013年11月に一部の場合を除き撤廃となった.人工市場研究では,空売りの価格規制は価格上昇時にバブルを誘発するという副作用がある可能性を指摘していた.東京証券取引所は2014年7月に一部の株式で呼値(注文価格の最小の刻み幅)を1円から0.1円に引き下げた.東証ワーキングペーパー(現JPXワーキングペーパー)として発表された人工市場研究では,呼値の刻みの大きさがその銘柄の短期のボラティリティよりも大きいと,短期のボラティリティを大きくしてしまう可能性を指摘していた.ダークプールとは注文を公開せずに注文をつき合わせる取引市場であり米国や欧州でかなり普及しているが日本でも普及し始めている.欧州では2014年の金融商品市場指令の見直し(MiFID II)において,各銘柄のダークプールの売買代金を全体の8%に制限する規制が導入された.人工市場研究ではダークプールが50%以上のシェアになると金融市場の価格発見機能が破壊される可能性を指摘している.

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人工市場シミュレーションを用いた金融規制・制度の研究の動向 第20回進化経済学会発表資料 スパークス・アセット・マネジメント株式会社 水田孝信

  1. 1. 導入したことがない規制・制度変更を議論 → 実証データが全くない 価格形成に関して規制・制度変更の効果だけを取り出す → 実際の市場ではさまざまな要因が複雑 当局や取引市場が規制・制度を策定するときの議論 ⇒ 仮説検証型の分析に基づかない定性的な議論のみ 導入した後に副作用を発見し導入したものを 廃止するといったことが繰り返される場合も 実証研究の困難さ 人工市場シミュレーション 市場の設計をうまく行う = 難しいけど社会発展に非常に重要 金融市場 うまく設計されたときのみ、うまく機能する 人工市場シミュレーションを用いた 金融規制・制度の研究の動向 水田孝信 (スパークス・アセット・マネジメント株式会社) 和泉潔 (東京大学大学院工学系研究科) 1この資料はこちらで取得できます。 http://www.slideshare.net/mizutata/2016032601
  2. 2. 人工市場 調査対象に応じたモデルに必要な要素の特定 規制・制度のパラメータ感応度を分析 実際に議論されている規制・制度を分析・設計 規制・制度の議論に実務的に使える 知識の獲得を目指す 実際の議論で参考にされることを目指す コロンブスの たまご的な 気づき 過去の特定事象の再現は目的でない 過去起きた現象 これから起きる現象 実証分析 人工市場 2
  3. 3. 計算機上に人工的に作られた架空の市場 マルチエージェントシステム + 価格決定メカニズム ・ エージェント(投資家) 計算機プログラムで表現された仮想的な取引参加者集団 ↑同一の戦略を持つ集団で1エージェントとする 各々の売買ルールに従い発注量と発注価格を決定 ・ 価格決定メカニズム(架空取引市場) 各エージェントが出した発注量と発注価格を集めて取引を成立 エージェント発注量 発注価格 架空 取引所 価格決定 メカニズム 取引価格の 決定 人工市場モデルを用いたシミュレーション 3
  4. 4. ファンダメンタル 予想リターン 予想価格 現在の取引価格 ファンダメンタル価格 正規乱数 平均0 σ=3% テクニカル 過去リターン ノイズ 一様乱数で決定 途中で変わらない エージェントの パラメータ 10000 =定数 j: エージェント番号 (1000体,順番に注文) t: 時刻(ティック時刻) 0~10000 i=1,3: 0~1 i=2: 0~10 エージェントモデル         t jj t jhjt f j i ji t je wrw P P w w r ,3,,2,1 , , log 1 jtt jh t PPr   /log, t P fP jiw , j jiw , j j t  )exp( ,, je tt je t rPP  4
  5. 5. エージェント 市場A 市場B 市場A: 初期の取引量シェア大、呼値⊿PA=大きい 市場B: 初期の取引量シェア小、呼値⊿PB=小さい 人工市場のモデル 呼値の変更前後 2014年7月22日と18日(前営業日) 1円刻み 10銭刻み 呼値の縮小 ⊿PAと⊿PBがどのような関係のときに取引量シェアが移り変わるのか? 水田孝信, 早川聡,和泉潔, 吉村忍, 「人工市場シミュレーションを用いた取引市場間におけるティックサイズと取引量の関係性分析」, JPXワーキング・ペーパー, Vol. 2, 日本取引所グループ, 2013 5
  6. 6. 6 取引市場Aの出来高シェア推移 tAB=5日,⊿PB=0.01%の場合 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0 25 50 75 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450 475 500 経過営業日 取引市場Aの出来高シェア ⊿PA=0.01% ⊿PA=0.05% ⊿PA=0.1% ⊿PA=0.2% 取引市場Aの出来高シェア推移 tAB=5日,⊿PB=0.0001%の場合 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0 25 50 75 100 125 150 175 200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450 475 500 経過営業日 取引市場Aの出来高シェア ⊿PA=0.0001% ⊿PA=0.0005% ⊿PA=0.001% ⊿PA=0.002% 現在の呼値の大きさ同士の戦い 両市場の呼値の差が大きいほどすばやく取引量シェアが移る 概ね2年ほどで新規参入市場(市場B)へシェアが移る ↑米・欧での伝統的取引所の市場シェアの低下速度と整合的 呼値の異常に小さい同士の過当競争 取引量シェアは動かない ← ある閾値以下の呼値にすれば競争に関係ない 現在の呼値の大きさ同士の戦い 呼値の異常に小さい同士の過当競争
  7. 7. 時間 取引市場A で取引でき ない領域 取引 価格 取引市場Aの出番がない → 取引市場Bの高い約定率 ⇒ 素早く取引市場Bがシェアを奪う 時間 取引 価格 取引市場B の必要性 が薄い ⇒ シェアが動かない ⊿PA < ⊿PA t > ⊿PAt > ⊿PAtor取引市場間シェアが 移り変わらない条件 ⊿PB>⊿PA %05.0t ボラティリティ 呼値が大きすぎると価格の変動幅が大きくなる可能性を指摘 ⊿PA 7 ← これが閾値であると発見
  8. 8. 完全空売り:空売りを一切認めない アップティック:空売り価格規制=直近の取引価格以下で空売りの注文ができない規制 ファンダメンタル価格急落(=10000→7000) 6000 6500 7000 7500 8000 8500 9000 9500 10000 10500 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 ティック時刻 (×1000) 価格 規制なし 値幅制限 完全空売り アップティック ファンダメンタル価格 ファンダメンタル価格一定(=10000) 9800 9900 10000 10100 10200 10300 10400 10500 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 ティック時刻 (×1000) 価格 規制なし 値幅制限 完全空売り アップティック 空売り価格規制 水田孝信, 和泉潔, 八木勲, 吉村忍, 「人工市場を用いた値幅制限・空売り規制・アップティックルールの検証と最適な制度の設計」, 電気学会論文誌 論文誌C, Vol. 133, No.9, pp.1694-1700, 2013 空売り価格規制: 価格下落時にオーバーシュートを防ぐ しかし、常に割高で取引 ⇒ バブルを誘発するという副作用がある可能性 値幅制限: 価格下落時にオーバーシュートを防ぐ かつ、副作用なし ← 値幅制限が機能する値幅・制限時間も議論 8
  9. 9. 買い売り 価格 決定 取引所 市場の 非効率化 妥当でない価格で大勢が取引してしまう 参照 ? 買い手 いない 妥当でない取引価格 少数で価格 決めちゃう? 価格変動の 不安定化 半分以上の取引が価格決定に関わって無いと不安定・非効率化 ダークプール 水田孝信, 小杉信太郎, 楠本拓矢, 松本渉, 和泉潔, 「ダーク・プールが市場効率性と価格発見メカニズムに与える影響 ~人工市 場モデルと数式モデルを用いたメカニズムの分析~」, 第16回 人工知能学会 金融情報学研究会, 2016 注文を公開せずに注文をつき合わせる取引市場 欧州では各銘柄のダークプールの売買代金を全体の8%に制限する規制 欧州の8%制限は厳しすぎる可能性 9

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