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心肺蘇生術教育から患者安全への     橋渡しを目指して-学習成果基盤型フィードバック・デブリーフィングの提案-            東京慈恵会医科大学 麻酔科                松本尚浩                     ...
本日の内容•   「見えるフィードバック」の提案•   デブリーフィングとフィードバックの関係•   フィードバック・デブリーフィングを学ぶには•   「フィードバック学習」が目指すこと                        Feedb...
「見えるフィードバック」の提案                    Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011                                    ...
使い古された言葉に気をつけよう• 使い古された言葉は誤解のもと – 使うヒト、場面、立場、価値観により、異なる用法• 使い古し「フィードバック」の問題点 – 異なる定義による混乱 – 形容詞付き「フィードバック」の誤解             ...
フィードバックの定義• フィードバックの定義はいろいろとある – 生物学 – 気象科学、制御理論 – 機械工学、電気工学 – ソフトウエア工学、コンピュータシステム – 社会科学                     Feedback and...
一般的フィードバック定義• 出力の一部を入力へ返し、出力調整• Inputが増加傾向(+)の場合に – Outputを増加させるのは、positive feedback – Outputを減少させるのは、negative feedback   ...
クリームパン製造ラインの        フィードバック成果• 例)クリームパン製造ライン、クリーム注入 – クリーム注入量(入力)は5グラム• 製品を計量すると、クリーム4.3グラム(出力)• 製造工程を改善• もう一度測定し、クリームが5.1...
学習のためのフィードバックとは• 学習が起こることが目的• ある定義 – Information describing students’ or house   officers’ performance in a given activity...
【松本のこだわり】学習成果基盤型      フィードバック• 医療者の学習は、時折、以下の点でモンダイ – 効果的・効率的・魅力的学習に欠損• 言葉を投げるだけのフィードバックは学習効果  不明 – 「言ったはず」や「教えたはず」を避けたい• ...
学習の定義• 行動主義的な学習 – 客観的に観察できる行動の変化• 認知主義的な学習 – 行動の向こうにある脳での変化• 構成主義的な学習 – 新たな概念やアイデアを学習者が積極的に構築   する過程  – (http://en.wikiped...
医療者にとって        分かりやすい「学習」とは• 目の前の学習者に「学習が起こった」と分か  るのは、どんなときですか? – 行動変化 – 概念変化 – 環境から学べるようになった                     Feedbac...
【提案】学習見守り型フィードバック• 難しく言うと「学習成果基盤型」フィードバック• 「見えるフィードバック」の3段階 – 内省を得る – 変化する – 変化を保証する  • (松本尚浩、インストラクターコンピテンシーの医療者    教育への応...
フィードバック・デブリーフィングの      開始前に,必ず• まず、気持ちを抜く(vent) – イベントの後には、学習者の心に衝撃がつきもの – シミュレーションでは適切な衝撃が必要• 学習者の気持ちに対応 – 学習者に「どう感じましたか?...
1.内省を得る• パフォーマンスについての情報を伝える(cue) – 総括的評価(最終判定)ではない  • 形成的評価は適切 – 支援者が自分で観察した情報に限る(噂はダメ)• 適切な時と場を選ぶ – 動機付けできるようなcueならば、イベント...
パフォーマンスギャップ(MGH)パフォーマンスギャップの図。フレームは見えないが質問をつうじて可視化できる。フレームが学習者の行動を左右する。Action(発言を含む)は観察できる。「パフォーマンスギャップ」は「望ましい行動」と学習者の「実際の...
Actual ActionとDesired Action• 医療実践者の日々は、Actual Actionの連続• 私たちにはDesired Actionがある – Guidelines, Evidence    • 例:心停止治療のアルゴリズ...
2.変化する• 変化、それが学習 – 望ましい方向への変化が条件 – 変化の支援、これがファシリテーション• 学習者に適切な学習方略を選ぶ(選ばせる) – 自己学習、その場で繰り返し練習など – ibstpiインストラクターコンピテンシー応用を...
形容詞の誤使用に気をつけて• ポジティブフィードバックは無駄な形容詞 – 学習フィードバックは望ましい方向への変化を前提   • ポジティブを付加する必要がない(当たり前だから)• 形容詞を適切に用いるべき – 「ポジティブなcueのフィードバ...
行動はFrameに由来するパフォーマンスギャップの図。フレームは見えないが質問をつうじて可視化できる。フレームが学習者の行動を左右する。Action(発言を含む)は観察できる。「パフォーマンスギャップ」は「望ましい行動」と学習者の「実際の行動」...
Frameの改善はややこしい• 【Frameの定義】学習者に内在する知識、思い  込み、感情などで、行動を左右するもの – ヒトはframeを通じて外界を認識し、納得している – 別名:schemata, mental models• 指導者の...
変化の深度に注意• 行動(performance)の変化は変化の最低条件 – 認知・理解の変化は一般的に判別困難   • 心理学的背景が必要• 行動変化に認識変化が伴わないこともある – 例)リーダーとして、ある「せりふ」を発言するだけで、  ...
3.変化を保証する• 何が変化したか – 「◎◎が出来る」:技能 – 「△△が分かる、言える、書ける」:認知・理解 – 「××を選ぶ」:態度、動機づけ• お勧めの道具:チェックリスト – 具体的で、測定可能な項目• 適切な時と場を創る     ...
いつ、どこで変化を保証するか• イベント直後、その場で – 動機づけにつながるフィードバックならば是非  • 例)シナリオ中、「胸骨圧迫の深さ5cm以上sです!」 – 形成的フィードバックは役に立つならば可能• イベント後、時間をおいて、別の場...
確認• 狭義のフィードバックは「言葉を投げ返す」 – 投げ返す言葉の分類に焦点• 狭義のフィードバックは「教師中心的」可能性• 医療者の学習が確実になるために、「学習成  果基盤型」フィードバックを利用したい – 学習者中心フィードバックへの拡...
小まとめ1• 医療者に必要な「学習成果基盤型フィード  バック」 – 効果的・効率的・魅力的な学習の道具• 「見えるフィードバック」の提案 – 1.内省を得る – 2.変化する – 3.変化を保証する                     F...
フィードバックとデブリーフィング                    Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011                                   ...
超簡単に、デブリーフィングとは• 2~数名での会話• イベントや行動について振り返る – 行動や思考過程、感情、情報を分析• 目標は将来のパフォーマンス改善  • (http://www.harvardmedsim.org/debriefing...
医療の学びはいつ起こる• 学びの時期 – 計画・準備 (Pre-event) – 実践中 (at the event) – イベント後 (Post-event)• 学びの生じる確率 – 麻酔管理での例   • 全身状態良好な患者の麻酔管理→イベ...
学びはいつ起こる•   イベント発生後、PDCAサイクルで•   最近の若者は学ばない•   失敗後•   たたけば学ぶ•   起こった後•   予定どおりであれば、前もって•   自信がないと前もって                     ...
SGD: イベント後の状態• どんなことがおこりますか? – 失敗感 – 喪失感 – 責任を追及する – 改善を誓う – 学びの機会ととらえる                     Feedback and Debriefing for He...
振り返って学ぶ重要性・根拠• プロフェッショナルは”Reflective Practice”から学ぶ – Schon D. The Reflective Practitioner. New York: Basic Books, 1983.• デ...
学習を保証できる         デブリーフィングは難しい• 適切な時と場 – なるべく、イベントに近い時期• 学習者の状態について情報収集・分析 – 具体的、簡潔、こまめに – 評価判定でなく形成的に• 心理的に安全 – 人格への配慮がなけれ...
辛い「反省会」では学習成果不安• デブリーフィングの目標 – 「よりよいパフォーマンス」 – 「フレームの再構築」• 要注意!:否定的内容の「反省会」は辛くなる• 得意・不得意の原理 – 得意なことは伸ばしやすい – 苦手なことは出来づらい• ...
反省会からデブリーフィングへ• デブリーフィングの手順にそって – 構造化デブリーフィング• デブリーフィング指導者の訓練 – 学習者との関わり方が重要                     Feedback and Debriefing f...
構造化デブリーフィング• デブリーフィングの手順 – GAS method – GREAT method• 強みを活かす(長短のバランスに注意) – 長所・得意なことを抽出し、さらなる発展へ – 短所・改善の余地を分析し、改善策模索• 次に活か...
構造化デブリーフィングの例• GAS method                         • GREAT method                                            –    Guideline...
GAS method• Gather information  – まず「どう感じましたか?」:気持ちを抜く(svent)  – 客観的データを集める• Analysis of information  – 長所、得意なこと→何故出来るのか  ...
DebrieferのDebriefing 技能評価• Debriefing Assessment for Simulation in Healthcare  (DASH)   – The Center for Medical Simulatio...
問題:フィードバックと   デブリーフィングの関係は?• 両者の類似点・相違点は? – 構造化デブリーフィング  • GAS method, GREAT method – 「見える(学習成果基盤型)フィードバック」  • 1.内省を得る  • ...
SGD:類似点、相違点• フィードバックは、コースのインストラクターが  主語• デブリーフィングは通常、「変化」まで – 学習者が自律的になるに従って、「保証」可                     Feedback and Debrie...
デブリーフィングの効果• デブリーフィングの対象者別効果 – 学習者個人の学習 – チーム能力向上• 学習内容別効果 – 知識 – 技能 – 態度 – 患者安全                     Feedback and Debriefi...
お勧め• 「ぷちデブリーフィング」は毎日、どこでも – 「ここまでで、何が出来た?どこ変えたい?」• 医療現場での「反省会」を「学習成果基盤型  振り返り」へ – 症例検討会、死亡症例検討会• 心肺蘇生術コース、種々のシミュレーションで – デ...
小まとめ2• 医療者は「イベント後」に学ぶ – Reflective practitionerがプロの在り方• 辛い「反省」は学習効果が低い可能性 – 学習成果基盤型デブリーフィングで代替しよう• フィードバック支援者の技能促進が重要 – 評価...
フィードバック・デブリーフィングを学ぶには                    Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011                              ...
お勧めの資料• ibstpi インストラクターコンピテンシー – 特に、以下のコンピテンシー    • 1. コミュニケーション、9. 議論管理、10. 効果的質問    • 11. フィードバック、12. 知識技能の維持• Uk航空協会版ファ...
番宣• 「医療者のためのフィードバック・デブリーフィ  ング学習会@慈恵医大」開発中• 「試行版」を既に2回開催• 試行版体験者は、現在宿題中 – 【宿題】自分のフィードバック・デブリーフィングを   録画する  • 次回以後、これを解析  •...
フィードバック支援者養成のために• 「ibstpi インストラクターコンピテンシー学習支援  者養成学習会」開催計画中。 – 「ibstpi指導者養成技能」を使いこなし、 – 「ibstpi指導者養成技能」学習者を支援 – 「ibstpi指導者...
学習会の基本構想• 新たなフィードバックデブリーフィング提案 – 構造化フィードバック・デブリーフィング – 学習者成熟度依存型フィードバック・デブリーフィング• 構造化デブリーフィングの必須技能 – 「肯定・否定・バランス重視型データ抽出・分...
「フィードバック学習」が目指すこと                    Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011                                  ...
「フィードバック学習」の             目指すべきことは• 医療者の重要な「学習方略」として捕らえる• 様々な場面で応用する• 最終目標は、「教えなくても学べる医療者」                     Feedback and...
フィードバックは多方向• 学習者←指導者• 指導者←学習者 – 方法:学習後意識調査、アンケート、試験・実技• 学習者←→学習者 – 別名:デブリーフィング• 医療者は内省的実践者 – フィードバックとデブリーフィングは重要な学習方法     ...
理想は、自律的フィードバック者を       育てる• 1:自分で内省を得る – 指導者に聴く、自分で分析する• 2:自分で変化する – 望ましい方向へ – 自信過剰にならない• 3:自分で変化を保証する – 最初は指導者に保証を依頼 – 最後...
「教える」時代から「学習支援」時代へ• フィードバック支援者は多様 – 非自律学習者へは、「インストラクター的」支援 – 自律学習者へは、「ファシリテータ的」支援• 「教え方追求」ばかりでは、指導者疲弊 – しかも、学習成果は不明な場合もあり•...
Take Home message                   医療者の使命• 医療プロフェッショナルは実践を振り返り学ぶ – 「効果的振り返り」が患者安全につながる• 実践後必ずフィードバック支援者と学ぶべきであ  る – 自律的フィ...
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医療者教育のためのフィードバック・デブリーフィングの応用 (feedback_and_debriefing_for_healthcare_professionals)

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医療者教育のためのフィードバック・デブリーフィングの応用 (feedback_and_debriefing_for_healthcare_professionals)

  1. 1. 心肺蘇生術教育から患者安全への 橋渡しを目指して-学習成果基盤型フィードバック・デブリーフィングの提案- 東京慈恵会医科大学 麻酔科 松本尚浩 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 1 Professionals
  2. 2. 本日の内容• 「見えるフィードバック」の提案• デブリーフィングとフィードバックの関係• フィードバック・デブリーフィングを学ぶには• 「フィードバック学習」が目指すこと Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 2 Professionals
  3. 3. 「見えるフィードバック」の提案 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 3 Professionals
  4. 4. 使い古された言葉に気をつけよう• 使い古された言葉は誤解のもと – 使うヒト、場面、立場、価値観により、異なる用法• 使い古し「フィードバック」の問題点 – 異なる定義による混乱 – 形容詞付き「フィードバック」の誤解 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 4 Professionals
  5. 5. フィードバックの定義• フィードバックの定義はいろいろとある – 生物学 – 気象科学、制御理論 – 機械工学、電気工学 – ソフトウエア工学、コンピュータシステム – 社会科学 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 5 Professionals
  6. 6. 一般的フィードバック定義• 出力の一部を入力へ返し、出力調整• Inputが増加傾向(+)の場合に – Outputを増加させるのは、positive feedback – Outputを減少させるのは、negative feedback – (http://en.wikipedia.org/wiki/Feedback) Feedback and Debriefing for Health 6 Professionals
  7. 7. クリームパン製造ラインの フィードバック成果• 例)クリームパン製造ライン、クリーム注入 – クリーム注入量(入力)は5グラム• 製品を計量すると、クリーム4.3グラム(出力)• 製造工程を改善• もう一度測定し、クリームが5.1グラム(成果) 製品5.1 5g 注入 製品4.3g Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 7 Professionals
  8. 8. 学習のためのフィードバックとは• 学習が起こることが目的• ある定義 – Information describing students’ or house officers’ performance in a given activity that is intended to guide their future performance in that same or a related activity (Ende J, JAMA 250:777-81, 1983)• 要点 – 学習者のパフォーマンスを記述する情報 – 将来のパフォーマンス改善を目指す Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 8 Professionals
  9. 9. 【松本のこだわり】学習成果基盤型 フィードバック• 医療者の学習は、時折、以下の点でモンダイ – 効果的・効率的・魅力的学習に欠損• 言葉を投げるだけのフィードバックは学習効果 不明 – 「言ったはず」や「教えたはず」を避けたい• 医療者の学習を確実にするために学習成果を 見届けるフィードバック(FB)を提唱したい – 学習が確実に起こるFB→「学習成果基盤型」FB Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 9 Professionals
  10. 10. 学習の定義• 行動主義的な学習 – 客観的に観察できる行動の変化• 認知主義的な学習 – 行動の向こうにある脳での変化• 構成主義的な学習 – 新たな概念やアイデアを学習者が積極的に構築 する過程 – (http://en.wikipedia.org/wiki/Learning_theory_(education), 21/Dec/2011) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 10 Professionals
  11. 11. 医療者にとって 分かりやすい「学習」とは• 目の前の学習者に「学習が起こった」と分か るのは、どんなときですか? – 行動変化 – 概念変化 – 環境から学べるようになった Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 11 Professionals
  12. 12. 【提案】学習見守り型フィードバック• 難しく言うと「学習成果基盤型」フィードバック• 「見えるフィードバック」の3段階 – 内省を得る – 変化する – 変化を保証する • (松本尚浩、インストラクターコンピテンシーの医療者 教育への応用、医療職の能力開発;1:41-52,2011、篠 原出版新社) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 12 Professionals
  13. 13. フィードバック・デブリーフィングの 開始前に,必ず• まず、気持ちを抜く(vent) – イベントの後には、学習者の心に衝撃がつきもの – シミュレーションでは適切な衝撃が必要• 学習者の気持ちに対応 – 学習者に「どう感じましたか?」と尋ねる – チームであれば、「皆さん、どう感じましたか?」• フィードバック支援者の落ち着きも重要 – 感情的な言葉・態度では、学習効果が低下かも Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 13 Professionals
  14. 14. 1.内省を得る• パフォーマンスについての情報を伝える(cue) – 総括的評価(最終判定)ではない • 形成的評価は適切 – 支援者が自分で観察した情報に限る(噂はダメ)• 適切な時と場を選ぶ – 動機付けできるようなcueならば、イベント直後 – 修正するようなcueならば、直後も良いけど、適宜• 到達点:理想と現実の差を認識し動機を得る – パフォーマンスギャップを埋めるのが学習目的 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 14 Professionals
  15. 15. パフォーマンスギャップ(MGH)パフォーマンスギャップの図。フレームは見えないが質問をつうじて可視化できる。フレームが学習者の行動を左右する。Action(発言を含む)は観察できる。「パフォーマンスギャップ」は「望ましい行動」と学習者の「実際の行動」の差違であり、「望ましい行動」と比べ高度だったり不足だったりする。 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 15 Professionals
  16. 16. Actual ActionとDesired Action• 医療実践者の日々は、Actual Actionの連続• 私たちにはDesired Actionがある – Guidelines, Evidence • 例:心停止治療のアルゴリズム – 組織の掲げる目標 • 例:初心者向け-コンピテンシーリスト – ACGME(US): anesthesiologist competency • 例:上級者向け-プロフェッショナルリスト – RCOA (UK): Continuing Professional Development (CPD)• ほとんどいつも、両者にはGapがある Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 16 Professionals
  17. 17. 2.変化する• 変化、それが学習 – 望ましい方向への変化が条件 – 変化の支援、これがファシリテーション• 学習者に適切な学習方略を選ぶ(選ばせる) – 自己学習、その場で繰り返し練習など – ibstpiインストラクターコンピテンシー応用を推奨• Negative (学習できない)feedbackを避ける – 非難され傷つく、自信過剰など Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 17 Professionals
  18. 18. 形容詞の誤使用に気をつけて• ポジティブフィードバックは無駄な形容詞 – 学習フィードバックは望ましい方向への変化を前提 • ポジティブを付加する必要がない(当たり前だから)• 形容詞を適切に用いるべき – 「ポジティブなcueのフィードバック」は適切• Negative cueのフィードバックが有用な条件 – 人間関係 • 模範的存在、尊敬、憧れ、継続的関係 – 適切な時と場 • 人前での辱めにならない配慮 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 18 Professionals
  19. 19. 行動はFrameに由来するパフォーマンスギャップの図。フレームは見えないが質問をつうじて可視化できる。フレームが学習者の行動を左右する。Action(発言を含む)は観察できる。「パフォーマンスギャップ」は「望ましい行動」と学習者の「実際の行動」の差違であり、「望ましい行動」と比べ高度だったり不足だったりする。 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 19 Professionals
  20. 20. Frameの改善はややこしい• 【Frameの定義】学習者に内在する知識、思い 込み、感情などで、行動を左右するもの – ヒトはframeを通じて外界を認識し、納得している – 別名:schemata, mental models• 指導者の重要な役割は『認知探偵』として、 frameを探ること – 探偵の常套手段のように、質問を用いる – 学習者の躓きを単なるエラーととらえるより、解く べきパズルととらえる Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 20 Professionals
  21. 21. 変化の深度に注意• 行動(performance)の変化は変化の最低条件 – 認知・理解の変化は一般的に判別困難 • 心理学的背景が必要• 行動変化に認識変化が伴わないこともある – 例)リーダーとして、ある「せりふ」を発言するだけで、 実は、適切な認知・判断が出来ていない • 「換気の確認。胸郭上がってます。」(シミュレータ設定は、 片肺換気) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 21 Professionals
  22. 22. 3.変化を保証する• 何が変化したか – 「◎◎が出来る」:技能 – 「△△が分かる、言える、書ける」:認知・理解 – 「××を選ぶ」:態度、動機づけ• お勧めの道具:チェックリスト – 具体的で、測定可能な項目• 適切な時と場を創る Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 22 Professionals
  23. 23. いつ、どこで変化を保証するか• イベント直後、その場で – 動機づけにつながるフィードバックならば是非 • 例)シナリオ中、「胸骨圧迫の深さ5cm以上sです!」 – 形成的フィードバックは役に立つならば可能• イベント後、時間をおいて、別の場所で – 変化が難しい、時間を要する場合 – 変化を確認する時間・場所を決める• 受動的学習者と自律的学習者での使い分け – 受動的学習者:学習支援者が時と場を決める – 自律的学習者:学習者自身が時と場を決める Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 23 Professionals
  24. 24. 確認• 狭義のフィードバックは「言葉を投げ返す」 – 投げ返す言葉の分類に焦点• 狭義のフィードバックは「教師中心的」可能性• 医療者の学習が確実になるために、「学習成 果基盤型」フィードバックを利用したい – 学習者中心フィードバックへの拡張が必要 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 24 Professionals
  25. 25. 小まとめ1• 医療者に必要な「学習成果基盤型フィード バック」 – 効果的・効率的・魅力的な学習の道具• 「見えるフィードバック」の提案 – 1.内省を得る – 2.変化する – 3.変化を保証する Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 25 Professionals
  26. 26. フィードバックとデブリーフィング Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 26 Professionals
  27. 27. 超簡単に、デブリーフィングとは• 2~数名での会話• イベントや行動について振り返る – 行動や思考過程、感情、情報を分析• 目標は将来のパフォーマンス改善 • (http://www.harvardmedsim.org/debriefing-assesment-simulation-healthcare.php) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 27 Professionals
  28. 28. 医療の学びはいつ起こる• 学びの時期 – 計画・準備 (Pre-event) – 実践中 (at the event) – イベント後 (Post-event)• 学びの生じる確率 – 麻酔管理での例 • 全身状態良好な患者の麻酔管理→イベント前優位 • 全身状態重症患者の麻酔管理→イベント後優位 – 皆さんの医療現場では?(SGD) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 28 Professionals
  29. 29. 学びはいつ起こる• イベント発生後、PDCAサイクルで• 最近の若者は学ばない• 失敗後• たたけば学ぶ• 起こった後• 予定どおりであれば、前もって• 自信がないと前もって Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 29 Professionals
  30. 30. SGD: イベント後の状態• どんなことがおこりますか? – 失敗感 – 喪失感 – 責任を追及する – 改善を誓う – 学びの機会ととらえる Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 30 Professionals
  31. 31. 振り返って学ぶ重要性・根拠• プロフェッショナルは”Reflective Practice”から学ぶ – Schon D. The Reflective Practitioner. New York: Basic Books, 1983.• デブリーフィングは心肺蘇生術教育・実施に有用 (Resuscitation 81S (2010) e1–e25) – CoSTR 2010(心肺蘇生術ガイドライン根拠)• MGHでは最近2年間2000以上、”debriefing with good judgment” approachで実施、研究中 – Simul Healthcare 2006;1: 49–55 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 31 Professionals
  32. 32. 学習を保証できる デブリーフィングは難しい• 適切な時と場 – なるべく、イベントに近い時期• 学習者の状態について情報収集・分析 – 具体的、簡潔、こまめに – 評価判定でなく形成的に• 心理的に安全 – 人格への配慮がなければ、debriefing困難 • 指導者は、言葉を曖昧にする • 学習者は場を避ける Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 32 Professionals
  33. 33. 辛い「反省会」では学習成果不安• デブリーフィングの目標 – 「よりよいパフォーマンス」 – 「フレームの再構築」• 要注意!:否定的内容の「反省会」は辛くなる• 得意・不得意の原理 – 得意なことは伸ばしやすい – 苦手なことは出来づらい• デブリーフィングでは長所・短所のバランスを Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 33 Professionals
  34. 34. 反省会からデブリーフィングへ• デブリーフィングの手順にそって – 構造化デブリーフィング• デブリーフィング指導者の訓練 – 学習者との関わり方が重要 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 34 Professionals
  35. 35. 構造化デブリーフィング• デブリーフィングの手順 – GAS method – GREAT method• 強みを活かす(長短のバランスに注意) – 長所・得意なことを抽出し、さらなる発展へ – 短所・改善の余地を分析し、改善策模索• 次に活かすまとめで終わる Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 35 Professionals
  36. 36. 構造化デブリーフィングの例• GAS method • GREAT method – Guidelines – Gather – Recommendations – Events – Analyze – Analysis – Summary – Transfer of knowledge to clinical practice• WISER • Harry Owen & Val Follows – http://www.wiser.pit – http://onlinelibrary.wiley.c om/doi/10.1111/j.1365- t.edu/sites/wiser/ns0 2929.2006.02421.x/pdf 8/day1_PP_JOD_Deb riefingInSimEdu.pdf Feedback and Debriefing for Health 36 Professionals
  37. 37. GAS method• Gather information – まず「どう感じましたか?」:気持ちを抜く(svent) – 客観的データを集める• Analysis of information – 長所、得意なこと→何故出来るのか – 改善の余地→改善策を探る• Summary for the next practice – 強み:次回どう活かすか – 改善点:次回もっとよくするには Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 37 Professionals
  38. 38. DebrieferのDebriefing 技能評価• Debriefing Assessment for Simulation in Healthcare (DASH) – The Center for Medical Simulation (Harvard Univ)で開発 – http://www.harvardmedsim.org/debriefing-assesment-simulation-healthcare.php – 6要因について、7段階評価 – 日本語化中。慈恵医大シミュレーションセンターで応用 予定• A Checklist for Team debrief Facilitators – (Salas E, et al. Jt Comm J Qual Patient Saf. 2008;34:518-527.) Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 38 Professionals
  39. 39. 問題:フィードバックと デブリーフィングの関係は?• 両者の類似点・相違点は? – 構造化デブリーフィング • GAS method, GREAT method – 「見える(学習成果基盤型)フィードバック」 • 1.内省を得る • 2.変化する • 3.変化を保証する Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 39 Professionals
  40. 40. SGD:類似点、相違点• フィードバックは、コースのインストラクターが 主語• デブリーフィングは通常、「変化」まで – 学習者が自律的になるに従って、「保証」可 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 40 Professionals
  41. 41. デブリーフィングの効果• デブリーフィングの対象者別効果 – 学習者個人の学習 – チーム能力向上• 学習内容別効果 – 知識 – 技能 – 態度 – 患者安全 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 41 Professionals
  42. 42. お勧め• 「ぷちデブリーフィング」は毎日、どこでも – 「ここまでで、何が出来た?どこ変えたい?」• 医療現場での「反省会」を「学習成果基盤型 振り返り」へ – 症例検討会、死亡症例検討会• 心肺蘇生術コース、種々のシミュレーションで – デブリーフィングの技能を身につけ現場へ伝搬 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 42 Professionals
  43. 43. 小まとめ2• 医療者は「イベント後」に学ぶ – Reflective practitionerがプロの在り方• 辛い「反省」は学習効果が低い可能性 – 学習成果基盤型デブリーフィングで代替しよう• フィードバック支援者の技能促進が重要 – 評価システムを応用しよう Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 43 Professionals
  44. 44. フィードバック・デブリーフィングを学ぶには Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 44 Professionals
  45. 45. お勧めの資料• ibstpi インストラクターコンピテンシー – 特に、以下のコンピテンシー • 1. コミュニケーション、9. 議論管理、10. 効果的質問 • 11. フィードバック、12. 知識技能の維持• Uk航空協会版ファシリテータマニュアル – http://www.casa.gov.au/wcmswr/_assets/main/down load/caaps/ops/sms-3-1.pdf• マサチューセッツ総合病院シミュレーションセン ターのデブリーフィング評価システム – http://www.harvardmedsim.org/debriefing- assesment-simulation-healthcare.php Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 45 Professionals
  46. 46. 番宣• 「医療者のためのフィードバック・デブリーフィ ング学習会@慈恵医大」開発中• 「試行版」を既に2回開催• 試行版体験者は、現在宿題中 – 【宿題】自分のフィードバック・デブリーフィングを 録画する • 次回以後、これを解析 • 将来のフィードバック・デブリーフィングと比較 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 46 Professionals
  47. 47. フィードバック支援者養成のために• 「ibstpi インストラクターコンピテンシー学習支援 者養成学習会」開催計画中。 – 「ibstpi指導者養成技能」を使いこなし、 – 「ibstpi指導者養成技能」学習者を支援 – 「ibstpi指導者養成技能」応用しフィードバック支援• 学習様式 – face-to-face, onlineなど • http://www.facebook.com/matsumoto.takahiro?sk=wall , 12月4日 23:22 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 47 Professionals
  48. 48. 学習会の基本構想• 新たなフィードバックデブリーフィング提案 – 構造化フィードバック・デブリーフィング – 学習者成熟度依存型フィードバック・デブリーフィング• 構造化デブリーフィングの必須技能 – 「肯定・否定・バランス重視型データ抽出・分析」 – 「効果的質問」• 構造化フィードバック必須技能 – 「フィードバック確認用チェックリスト作成と利用方法」 – 「知識技能の保持・伝搬促進」• 自律的フィードバック者養成必須技能 – 「パフォーマンスギャップ改善技能」 – 「フレーム洞察技能」 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 48 Professionals
  49. 49. 「フィードバック学習」が目指すこと Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 49 Professionals
  50. 50. 「フィードバック学習」の 目指すべきことは• 医療者の重要な「学習方略」として捕らえる• 様々な場面で応用する• 最終目標は、「教えなくても学べる医療者」 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 50 Professionals
  51. 51. フィードバックは多方向• 学習者←指導者• 指導者←学習者 – 方法:学習後意識調査、アンケート、試験・実技• 学習者←→学習者 – 別名:デブリーフィング• 医療者は内省的実践者 – フィードバックとデブリーフィングは重要な学習方法 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 51 Professionals
  52. 52. 理想は、自律的フィードバック者を 育てる• 1:自分で内省を得る – 指導者に聴く、自分で分析する• 2:自分で変化する – 望ましい方向へ – 自信過剰にならない• 3:自分で変化を保証する – 最初は指導者に保証を依頼 – 最後は自分で保証するように • 「いつまでにやる?」 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 52 Professionals
  53. 53. 「教える」時代から「学習支援」時代へ• フィードバック支援者は多様 – 非自律学習者へは、「インストラクター的」支援 – 自律学習者へは、「ファシリテータ的」支援• 「教え方追求」ばかりでは、指導者疲弊 – しかも、学習成果は不明な場合もあり• 自律学習者への「学習支援」が鍵 – コンピテンシー理論はもう過去のもの – 卓越した医療者は「背中を見て育つ」 – 重要なことは、学習者が憧れる「背中を示せるか?」 Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 53 Professionals
  54. 54. Take Home message 医療者の使命• 医療プロフェッショナルは実践を振り返り学ぶ – 「効果的振り返り」が患者安全につながる• 実践後必ずフィードバック支援者と学ぶべきであ る – 自律的フィードバック者を目指して• 将来はフィードバック支援者になるべきである – 学習を確実にするフィードバックは難しい • 効果的な学習が継続できる場を創る • 人格否定、辛い学習の場を創らない – 早期にフィードバック支援者訓練を開始すべきである Feedback and Debriefing for Health 25 December 2011 54 Professionals

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