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小児の腹痛と腸重積

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小児系看護師向けレクチャー 『小児の腸重積』

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小児の腹痛と腸重積

  1. 1. 2014年度小児看護勉強会 1. 腹痛& 腸重積 小児科小松充孝 22 May, 2014
  2. 2. 症例 • 1歳4か月の男児 • 家族歴:父・母・患児の3人家族 • 集団保育歴:保育園や児童館へ通園(-) • 現病歴:日中から突然の嘔吐、不機嫌が 出現したため近医を受診、急性胃腸炎と 診断 • その後も嘔吐を繰り返し不機嫌そうに泣 き続けたため、夜間救急外来を受診
  3. 3. この患児は腹痛を持っている? • 腹痛の表現 – 新生児 • 泣き叫ぶ・四肢を屈伸し哺乳を拒否・寝ない・顔 面蒼白・時に発汗 – 乳児 • 苦悶様・泣き方によって痛みの程度や時間を推測 – 幼児 • 2~3歳頃から何となく言葉で伝えるようになる – 学童 • 自発的に説明できるが、時に作為的
  4. 4. 最初に注意するポイント • 何だか腹痛がありそうだけど、、、 • 観察ポイント – 顔色悪い? – ハーハー苦しそう? – 全身の色とかはどうだろう?
  5. 5. PAT: Pediatric assessment triangle あれっ、なんだかこの子やばそう 外観(見かけ) Appearance 呼吸仕事量 Work of Breathing 循環・皮膚色 Circulation to Skin 筋緊張、疎通性 精神的安定、 視線、言葉・泣き声 呼吸仕事量の増加 呼吸努力の減弱・消失 異常な呼吸音 蒼白、まだら模様 出血
  6. 6. 1次評価 C:循環・皮膚色 (Circulation) 皮膚色と温度 心拍数 心リズム 血圧 脈拍 毛細血管再充満時間 D:神経学的評価 (Disability) AVPU小児反応スケール GCS A:気道(Airway) 開通しているか E:全身観察 (Exposure) 体温 出血班 熱傷 打撲痕など B:呼吸(Breathing) 呼吸数 呼吸努力 1回換気量 呼吸音 パルスオキシメトリ
  7. 7. どんな小児(患者)を診る時でも! • 最初に初期評価をしっかり行って下さい – 初期評価が悪かったら、次に行わないといけ ない事は蘇生です! – ここで蘇生(介入)が遅れれば遅れるほど、状 態はすぐに悪化していきます、、、 – 初期評価が「不良」ではなかったら次へ
  8. 8. 小児の腹痛 • 想定する疾患は? • 大切な事は腹痛の原因は『お腹』に起因 するものだけではない! – 腹痛の診察は『お腹』だけを診れば良いわけ ではないのです – 結構怖い疾患も腹痛の原因になります
  9. 9. どんな疾患が腹痛の原因? 臓器2歳未満2-5歳5-12歳 腹腔内急性胃腸炎急性胃腸炎急性胃腸炎 腸重積便秘便秘 ヘルニア嵌頓腸重積急性虫垂炎 ミルクアレルギー外傷(虐待) 外傷 外傷(虐待) 急性虫垂炎機能性腹痛 メッケル憩室メッケル憩室炎症性腸疾患 腸回転異常症(捻転) 腸回転異常症(捻転) 膵炎 炎症性腸疾患メッケル憩室 腹腔内膿瘍術後イレウス 卵巣捻転卵巣捻転 術後イレウス消化性潰瘍 腹腔外ウイルス症候群ウイルス症候群ウイルス性症候群 (全身疾患) 心筋炎尿路感染症溶連菌感染症 代謝疾患肺炎尿路感染症 敗血症Henoch-Schonlein症候群肺炎 HUS DKA Henoch-Schonlein症候群 心筋炎DKA 悪性新生物精巣捻転 敗血症心筋炎 敗血症
  10. 10. 症例 • 1歳4か月の男児 • 家族歴:父・母・患児の3人家族 • 集団保育歴:保育園や児童館へ通園(-) • 現病歴:日中から突然の嘔吐、不機嫌が 出現したため近医を受診、急性胃腸炎と 診断 • その後も嘔吐を繰り返し不機嫌そうに泣 き続けたため、夜間救急外来を受診
  11. 11. 救急外来受診時 • Vital signs HR: 150/min RR: 38/min BT: 37.7℃ BP: 82/45mmHg SpO2: 96% • 身体所見 – 顔色:不良なし意識:母に抱かれ入眠中 – 胸部:呼吸音清心音:異常なし – 腹部:軽度膨隆、右上腹部を触ると啼泣、 明らかな腫瘤の触知なし – CRT:1sec
  12. 12. 急激に悪化する疾患 • 腹腔内 – 腸重積症 – 急性虫垂炎 – イレウス(内ヘルニア・外ヘルニア) – 捻転(精巣・卵巣) • 腹腔外 – 心筋炎 – 敗血症 – 糖尿病性ケトアシドーシス
  13. 13. 腸重積症 • 口側腸管が肛門側腸管に引き込まれ、腸 管壁が重なり合った状態となる。 • 腸管とともに腸間膜の動静脈も引き込ま れてしまうため、腸管の循環障害を伴う 紋扼性イレウスとなる。 • 原因 – 特発性腸重積症 – 術後腸重積症
  14. 14. 病型 • 回腸結腸型 – 回腸末端が結腸に重積 する – 最も多い型(右図) • 回腸回腸結腸型 – 回腸回腸重積が先進部 となり、さらに結腸に 重積する型 • 小腸小腸型 – 空腸空腸型 – 回腸回腸型 • 結腸結腸型 結腸 回腸 盲腸 外筒 内筒: 引き込まれた腸管
  15. 15. 疫学 • 発生頻度 – 長崎市・香川県西部400人前後/10万出生 • 賛育会の年間出生数に当てはめると5人前後 – DPCのデータ4000人前後/年発生 • 好発年齢 – 1歳未満:半数以上 – 3ヶ月未満・6歳以上は少ない • 性差 – 男女比:2:1
  16. 16. 成因 • 特発性 – 原因は不明先行感染:約30%にあり • 器質的疾患 – Meckel 憩室 – 重複腸管 – 異所性胃・膵組織 – 良性ポリープ – 悪性リンパ腫 – 血管性紫斑病
  17. 17. 予後 • 再発率 – 約10% (3-16%) • 死亡報告 – 1989-2008年日本病理学会への登録数 – 全年齢50例(=2.5例/年) – 1歳未満40例
  18. 18. 3主徴 • 間欠的腹痛 – 不機嫌、啼泣⇒腹痛を意味している – 15-20分間隔で数分間の腹痛 – 間欠期には機嫌よく遊べる位になる事もある • 嘔吐 – 初期:腸管嵌入による迷走神経反射による – 後期:イレウス⇒吐物は胆汁様 • 血便 – 発症12時間以内の自然排便はまれ – 浣腸などによって70-90%に認められる
  19. 19. 血便の原因 • 腸重積は紋扼性イレウス – 腸管嵌入=腸間膜の血管系も嵌入 – 静脈のうっ滞+腸管の浮腫 – 血管が破たんし出血 – 粘膜浮腫の為、血液に粘液が混じる – 進行すると – 腸管壊死⇒穿孔へ、、、
  20. 20. 初診時に3主徴を認める頻度 • 初診時に3主徴(腹痛・嘔吐・血便)をみと めるのは? 1. 0-20% 2. 20-40% 3. 40-60% 4. 60-80% 5. 80-100% 約20%!! Textbook of Pediatric Emergency Medicine 5th edition
  21. 21. 診断 • 血液検査 • 画像検査:重要! – 腹部単純レントゲン検査 • 診断的価値はないが、遊離ガス像の確認など – 腹部超音波検査 • 非常に重要な検査 – 注腸造影検査 • 超音波検査が施行出来ない、診断不確かな場合 – 腹部(造影)CT検査 • 診断不確か、もしくは小腸小腸型腸重積症を疑う 場合
  22. 22. 超音波検査 • 非侵襲的、感度・特異度も高い検査 – 感度:96-100% 特異度:88-100% 小児科診療9(63), 1523. 2003
  23. 23. 腹部CT検査 • 下図では典型的な’Target sign’を認める
  24. 24. Target sign
  25. 25. 治療 • 全身管理 – 細胞外液(生食or ソリューゲン®)輸液 • 整復術 – 非観血的整復術 • 第一選択 • 透視下(当院)と超音波下 – 観血的整復術 • ショックから離脱できない、腸管の壊死・穿孔 • 非観血的整復によって整復できない
  26. 26. 非観血的整復術の禁忌 • 全身状態不良例 – 腸管閉塞からの循環血液量減少性ショック • 初期輸液に反応して状態安定すれば禁忌ではない – bacterial translocationによる敗血症例ショック • 初期蘇生を行いながら、高次医療機関へ • 症状発現から48時間以上経過している場合 • 腹膜刺激症状を有する場合
  27. 27. X線透視下非観血的整復術 • 使用する媒体(造影剤) – 当院では6倍希釈ガストログラフィンを使用 – その他:バリウム、空気 • 用意する物品 1. 直腸バルーンカテーテル • クリエークメディック製・30Fr @救外 2. イリゲーター・ゴム管@外科外来or 病棟 • ガストログラフィン® 100mL + 蒸留水500mL 3. その他 • 注射器・潤滑剤(キシロカイン®ゼリー)・点滴スタ ンド・患者観察モニター(SpO2モニター)
  28. 28. 手順 1. 室温に戻したガストログラフィン® 100mL + 蒸留水500mLをイリ ゲーターへ 2. イリゲーターの高さを(60-)80cm高へ設定 3. 患児を透視台の上で仰臥位、直腸バルーンカテーテルを挿肛、透視 下で内側バルーン拡張、ひき戻して外側バルーン拡張 4. 仰臥位で造影剤注入開始 5. カニ爪状の陰影欠損描出にて診断確定 6. 加圧を継続し、造影剤がBauhin弁を通過して小腸まで十分に造影さ れた事を確認 7. 加圧中、イリゲーターが空にならないように適宜蒸留水を追加 8. 3(-5)分間加圧しても整復出来ない場合、一旦休止しイリゲーターを 透視台より下げて加圧を解除、造影剤を回収 9. 加圧再開前にイリゲーターの高さを10-20cmあげて、再度整復する 10.最高120cm(94mmHg相当)、最大3回まで整復を試みる 11.整復が確認できたら、イリゲーターを透視台より下げ、できるだけ 造影剤を回収し、バルーンの空気を抜いてカテーテルを抜去 小児科診療増刊号小児の診療手技2012を参考に改変あり
  29. 29. カニ爪様陰影欠損
  30. 30. 整復術の整復率・合併症 • 媒体整復率穿孔率 – ガストログラフィン® 83.6% 0.37% – バリウム75.7% 0.14% – 空気81.0% 0.76% – 穿孔率の違いは整復圧の違い!? – 穿孔のリスク • 6ヵ月未満 • 高圧での整復
  31. 31. 整復後の対応 • 入院が望ましい – 絶食・輸液継続 – 腹部症状安定していれば経口摂取開始 – その後も安定していれば退院 • 外来で整復後帰宅する条件 – 全身状態良好・保護者の認識、理解が良好 – 医療機関へのアクセスが良い – 整復後の再発を約10%に認め、このうち1/3は最 初の48時間で起きうる事に注意
  32. 32. 参考文献 1. エビデンスに基づいた小 児腸重積症の診療ガイド ライン – 疫学や診断・治療について まとまっています 2. 小児科診療2012年増刊号 小児の診療手技100 – 様々な処置・手技の方法が 記載 3. Happy! こどものみかた – 小児の基本的な見方が記載
  33. 33. Invagination or Intussusception? • Invagination – 重積・嵌入という意味 – 腸管のInvagination ⇒ 腸重積症 • Intussuscetion – 腸重積症 • 英語の教科書などではIntussusceptionと記 載されています

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