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社会的養護の今(2017)

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社会的養護の概況についての資料です。

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社会的養護の今(2017)

  1. 1. Living in Peace こどもプロジェクトについて 2017/11/19
  2. 2. ジェフリー・サックス 『貧困の終焉』 2
  3. 3. 完全パートタイムNPO メンバー全員が本業を持ち、終業後や週末の時間を使って活動 働きながら、社会を変える 3
  4. 4. 4 マイクロファイナンス(途上国) + 子ども支援(日本)
  5. 5. すべての子どもに、チャンスを。 Chance Maker 施設建て替えの資金調達 Chance Maker奨学金 施設を退所する子どもの進学支援 キャリアセッション 施設で暮らす子どものキャリア教育 Before After 5 2010年~
  6. 6. すべての子どもに、チャンスを。 栄和町プロジェクト 地域再生・居場所作り事業 「こどもの里」運営支援 先進的な子ども支援団体のサポート 6 2016年~
  7. 7. 7 「Chace Maker」のこれまでの成果 筑波愛児園(茨城県) 鳥取こども学園希望館(鳥取県) 広島新生学園(広島県) 2014年1月竣工 2015年6月竣工 2018年4月竣工予定 寄付総額 66,340,000円 月次寄付者数 603名 ※2017年10月末時点 2017年10月支援決定!
  8. 8. 社会的養護の全体像 慎泰俊 2017年
  9. 9. 社会的養護の課題の全体像 Living in Peace, All rights reserved. | 2 実家庭 児童相談所 一時保護所 (or一時保護委託先) 特別養子縁組 里親家庭 施設 1. 親の貧困・虐待・疾病等によ り児童相談所に保護される 2. 数日∼1年、友人や先生らと 引き離され隔離生活を送る 3. 実家庭に戻れない場合、社会 的養護(特別養子縁組)に 現在の 課題 社会全体 子どもの貧困対 策の弱さ 地域コミュニ ティの弱体化 児相 負担集中による 現場の疲弊 強制介入と家庭 支援の両立の難 しさ 一部の都市部一時保護所では子ども の自由権が著しく侵害 学校に通えないため学業が確実に遅 れ、学校についていけなくなる 一部保護所では異常に厳しい規律 国際的に低い家庭養護比率 施設の多くは大舎、人手不足 他国に比べ非常に少ない予算配分 課題 解決 の 方向性 抜本的な子どもの貧困対策 児相任せでなく、地域での家庭・子 ども支援を強化 職権保護(介入)における司法機関 との連携強化 地域の里親・施設による一時保護委 託を原則とし、子どもが地域を離れ ずに保護を受けられるように 国による外部監査を通じた全国一時 保護所格付けの定期的な実施・結果 公表 里親選定・育成・支援機能の強化 (NPOや児童福祉施設も巻き込み) 施設の小舎化・専門性強化 社会的養護関連予算の増額(主に 人材採用のためのもの)
  10. 10. 格差や貧困と児童虐待
  11. 11. 近年では親の虐待・経済的理由が子どもの入所理由トップであり、35年前に トップだった実親不在は少数派に。 ソース:児童養護施設(旧養護施設)入所児童等調査 8% 10% 19% 33% 38% 1% 1% 19% 17% 10% 17% 16% 13% 11% 8% 5% 5% 8% 11% 13% 40% 34% 18% 9% 8% 21% 22% 10% 5% 4% 8% 12% 13% 14% 19% 1978 1988 1998 2008 2013 親の虐待     |35年で4.7倍に 親の経済的理由 |35年で10.5倍に 親の入院・拘束  |35年で1/2に 親の精神疾患等  |35年で2.5倍に 親の死亡・行方不明|35年で1/5に 親の離婚・不和  |35年で1/5に その他 子どもが社会的養護に入る理由の35年間における変遷 Living in Peace, All rights reserved. | 4
  12. 12. 「普通の人の可処分所得」は1990年代後半以降は低迷を続けている一方で、 貧困状態(普通の人の半分以下)にある人は着実に増えてきた。 ソース:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」 日本の等価可処分所得の中央値(万円)と貧困率・子どもの貧困率 216 227 270 289 297 274 260 254 250 244 245 12.0% 13.2% 13.5% 13.8% 14.6% 15.3% 14.9% 15.7% 16.0% 16.1% 15.6% 10.9% 12.9% 12.8% 12.2% 13.4% 14.4% 13.7% 14.2% 15.7% 16.3% 13.9% 0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 0 50 100 150 200 250 300 350 400 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015 所得の中央値 貧困率 子どもの貧困率 所得は 1997年 以降低迷 貧困率は 着実に 増加中 Living in Peace, All rights reserved. | 5
  13. 13. 日本の子ども貧困率はOECD加盟国でも高く、ひとり親家庭については最悪 水準にある。 子どもの貧困率の国際比較 ひとり親で就労している家庭の子どもの貧困率 ソース:OECD Family Databaseより2017年11月12日において最新のものを使用。日本については、厚生労働省「国民生活基礎調査」より。 22.7% 19.9% 19.3% 19.1% 18.3% 16.2% 15.0% 13.9% 13.0% 12.8% 11.6% 11.2% 10.9% 10.3% 10.2% 9.5% 9.2% 7.1% スペイン アメリカ イタリア ギリシャ ポルトガル 日本(2012) カナダ 日本(2015) オーストラリア ポーランド フランス イギリス ベルギー チェコ オランダ ドイツ スウェーデン 韓国 56.0% 32.3% 32.2% 29.9% 29.6% 25.2% 21.6% 21.4% 19.6% 19.3% 19.2% 17.7% 16.7% 16.1% 13.9% 9.8% 日本 カナダ アメリカ イタリア スペイン ギリシャ チェコ ポルトガル オランダ ポーランド フランス オーストラリア スウェーデン ベルギー ドイツ イギリス 韓国 データなし Living in Peace, All rights reserved. | 6
  14. 14. 一人親家庭(多くが母子家庭)の貧困率が高い背景は給与の低さ。男女の所 得ギャップは狭まってきたが、まだ欧米諸国に届かない状況。 37% 26% 15∼17% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50% 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 韓国 日本 アメリカ イギリス ドイツ オーストラリア フルタイムで働く男女の所得ギャップの時系列推移 ソース:OECD Family Databaseより2017年11月12日において最新のものを使用 Living in Peace, All rights reserved. | 7
  15. 15. 1,101 2,722 17,725 34,472 56,384 103,260 122,578 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 児童虐待防止法の制定以降急激に児童虐待相談件数が増加。近年においては、 身体的・心理的虐待、ネグレクトが主要なものとなっている。 ソース:厚生労働省 児童虐待相談件数の推移 (2016年は速報ベース) +20%/年 Living in Peace, All rights reserved. | 8
  16. 16. ただし、虐待死そのものは2006年∼2008年にピークとなっており、深刻な 虐待が増えているとはいえない。 ソース:福祉行政報告例;児童養護施設入所児童等調査結果、なお2007年は15ヶ月分のデータをとっているため、12/15で乗じている 8 30 65 51 61 39 47 41 39 33 50 56 61 62 67 49 51 58 51 36 58 86 126 113 128 88 98 99 90 69 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 心中以外 心中   虐待死した児童数の推移 2006∼2008 以降は減少傾向 Living in Peace, All rights reserved. | 9
  17. 17. 12.6% 12.6% 12.6% 4.0% 16.5% 51.8% 39.1% 21.9% 一時保護された 子どもの父親 一時保護された 子どもの母親 一時保護された 子どもの両親 社会全体 10.3% 5.7% 7.2% 47.2% 一時保護された 子どもの父親 一時保護された 子どもの母親 一時保護された 子どもの両親 社会全体 一時保護される子どもの親も「しんどい」思いをしている人が多い。親を悪 者にするのではなく、親の支援までも考えるべきではないか。 ソース:「一時保護所の概要把握と入所児童の実態調査」(和田、2014)、国勢調査、総務省統計局労働力調査・人口推計、厚生労働省「患者調査」等を参照 10.6% 38.7% 28.8% 2.5% 子どもが一時保護された親の状況 大卒者の割合 無職者の割合 精神疾患の割合 アルコール依存 の割合* *「疑いあり」も含む Living in Peace, All rights reserved. | 10 親を一方的に悪者にするのではなく、親の支援までも含めた子ども支援を考えるべき。
  18. 18. 負担が増し続ける児童相談所の負担
  19. 19. 児童虐待その他養護ニーズの増加に合わせて児童相談所の数も、児童福祉司 の数も大幅に増加してきた。 ソース:厚生労働省資料 174 2081,230 2,934 - 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 150 160 170 180 190 200 210 220 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 児童相談所(左軸) 児童福祉司(右軸) 児童相談所と児童福祉司数 Living in Peace, All rights reserved. | 12
  20. 20. 9 13 16 15 15 18 17 17 18 18 18 23 23 25 27 31 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 しかし、虐待相談対応件数の増加には追いついておらず、ケースワーカーあ たりの虐待対応は15年で3倍に。 15年間で 3倍以上に ソース:先述の統計の組み合わせにより慎泰俊作成 児童福祉司一人あたりの虐待相談対応件数 Living in Peace, All rights reserved. | 13
  21. 21. 現場は大いに疲弊している。 「うちのケースワーカーたちはみな疲れています。午前 8時半から働き始め、仕事をしている親に会おうとする と、仕事終わりが夜10時を過ぎることも多いです。この 児童相談所だけの話ではありません。二カ月に一度県内 の児童福祉司会議がありますが、県内の全ての児童福祉 司が皆同じ状態にあります。自分たちの仕事について時 間をとって振り返る暇もなく、毎日ケースを追いかけて います。」 「自分自身が子育て中であるにもかかわらず 、自分の子 どもに対してきちんとケアをしてあげられないのが辛い。 たとえば、自分の子どもが明日受験なのに、虐待対応の ために一緒にいてあげられないといったことがある。他 人の子どものことをしながら、自分の子どもが後回しに なっている現実に、日々 藤が絶えません。」 「あまりにも忙しすぎて休職する職員も出てくるし、現 在も一人が休職中です。これは、ある程度の処理能力が ない人には務まらない仕事ですね。」 「児童養護施設にいた子どもの中には、自分が大きく なったら施設の職員さんになりたいという子どもがいる。 里親家庭でも同じだ。その一方で、社会的養護下にある 子どもで児相の職員になりたいと思っている子どもはい ない。子どものためにやっていながら、子どもからは憎 まれ、辛いなあと思う。もちろん、児相は社会の黒子み たいなもので、目立たないのが一番ではあるが、ときど きやっていけないなと思うことがある。」 Living in Peace, All rights reserved. | 14 児童相談所職員らの声 ソース:聞き取りにより慎泰俊が取得した情報(2015年∼2016年)
  22. 22. また、児童相談所は家庭への強力な介入権限を持ちながら、家庭の支援を行 わないといけない。両者のバランスをとるのが難しい 問題がある家庭から子どもを守るために、 親の親権の制限や、家庭からの子どもの 連れ去りなども可能 虐待のみならず経済的その他の問題を抱 える家庭の支援を行い、子どもが安心安 全に育つことができる支援を行う 家庭への介入機能 家庭の支援機能 Living in Peace, All rights reserved. | 15 介入時の司法関与や担当分離などによって、課題解決につながらないか。 児童相談所が有する機能 児 相 が 有 す る 二 つ の 異 な る 機 能 機能混在に伴う難しさ 現状(2017年4月時点) 同一の人が介入・支援両方実施:60% 担当分離、場合によっては分離:40% 問題点 家庭に強権的に介入することによって親の感情 が悪化するため、その後の支援を始めるのに時 間がかかる そもそも介入機能があるために、児相が頻繁に 訪問する家庭が地域から「危ない家庭」だと思 われてしまう(スティグマの問題) ソース:厚生労働省、「平成29年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料」の「児童相談所関連データ」より
  23. 23. 児童相談所内の一時保護所で起きていること
  24. 24. 子どもたちは様々な経緯・場所で一時保護される。 @実家庭 ・親からの虐待に対する児相の介入 ・経済的に養育困難な親からの相談 ・その他養育困難について親からの相談 それ 以外 @学校 ・学生が先生に虐待相談→児相に相談 ・異常に気付いた先生が児相に相談 @警察 ・非行/虞犯少年が警察に補導 ・DV等で親とともに警察へ @施設・里親家庭 ・養育困難(不調) ・追加アセスメントの必要 児童相談所内の一時保護所 (2014) 保護所数:全国に134ヶ所 年間保護児童:約2.2万人 平均在所児童数:約1,700人 職員数:約2,000人 子どもたちが一時保護される場所と経緯、一時保護の内訳 Living in Peace, All rights reserved. | 17 虐待 41.8% 養護 27.0% 非行 15.3% その他 12.8% 不調 3.1% 場所と経緯 一時保護所の状況 一時保護理由
  25. 25. 一時保護件数はゆるやかに増加している。主な増大理由は養護ニーズの増加。 ソース:福祉行政報告例 Living in Peace, All rights reserved. | 18 7,721 10,791 6,442 8,611 10,748 7,056 6,252 5,919 1,889 953 653 141 120 3,191 2,985 2,479 3,202 3,220 3,848 2,397 1,410 1,833 1,849 490 331 155 189 238 17,139 17,457 18,195 20,228 22,094 1997 2000 2005 2010 2014 保健・その他 育  成 非  行 障  害 その他養護 児童虐待(2000年までは虐待&その他養護合算) 一時保護件数と一時保護理由の時系列 +1.5%/年
  26. 26. 様々な一時保護所を訪問して感じたのは、児童相談所別の格差が激しいこ と。 Living in Peace, All rights reserved. | 19 評価が低い一時保護所 評価が高い一時保護所 在所経験者の評価が高い一時保護所と低い一時保護所の違い 一言でいうと 「ソフトな刑務所」 「安心できるシェルター」 優先順位 問題が起きないこと、完全な平等が守られること 子どもの安心と安全 規律 非常に厳しい。個室隔離や叱責も当たり前 必要最低限。問題行動は職員が受け止める 職員の言葉遣い 粗暴で基本的に命令口調 保育園のように柔らかく、子どもの意思を聞く話し方 移動の自由 ほぼなし。窓は開かない、外カギ、監視センサー 外出可能。窓は開く、内カギ、センサーはない 学習 学習指導経験のない人が千篇一律に問題を配布 子どもの状況に合わせて作られた学習指導 職員の人間関係 事務的な関係で、個人的な関係等は特にない リーダーを中心にチームとしてまとまっている 子どもの人間関係 ストレスが高いため、よくケンカや諍いが起きる リラックスしているため、相対的にトラブルが少ない 一時保護期間や 状況説明 長くなる傾向にある。状況説明もほぼなし 短くなる傾向にある。可能な限り状況も説明する ソース:聞き取りにより慎泰俊が作成(2015年∼2016年)
  27. 27. 厳しい一時保護者にいた人々からは厳しい批判が寄せられている。職員たち の一部も「これでいいのか」と懸念している場合も。 ある都市部の一時保護所にいた人たちの声 「あそこは地獄だ。思いだしたくもない。男女間 の規律が異常に厳しくて、お姉さんとの会話も許 されなかった。」 「何をするにしても制限が決まっているのが本当 に嫌だった。扉が二枚重ねで、全てに鍵がかかっ ていた。大人がいる場所と子どもたちの生活空間 の間には扉が二つあり、刑務所のようだった。悪 いこともしていないのに、なんで自分はこんな刑 務所のような場所にいるんだろうと思った。」 「児相の人がきて「2,3日だけでも来ない?」とい われ、「2,3日なら」と思って「はい」と言ったら、 連れていかれて、結果として4ヶ月。自分として は、騙されたと思っている。」 職員たちの声 「私であっても、スマホを取り上げられて、閉じ込め られた場所で生活していると、1週間で気が狂うと思 う。」 「いくら私たちが必死にやっても、子どもたちが『こ こは牢屋だ』と思うのはどうしようもない。子どもた ちにとっては、カゴの鳥のような心境だろう。先日も 2ヶ月以上ここにいる女の子が、『私がここに 連れて こられてから もう2ヶ月になる』とこぼしていた。」 「ここでの経験は子どもに重大なトラウマを与えかね ない。「疑わしきは保護」という方針は、保護期間短 縮とセットであるべき。」 Living in Peace, All rights reserved. | 20ソース:聞き取りにより慎泰俊が作成(2015年∼2016年) これが全てではないとはいえ、こういった保護所が存在することが許容されるのか
  28. 28. 一時保護所間の格差が拡がるのは、情報非公開・認識ギャップといった構造 的な問題と、パターナリズムという制度の問題、人事の問題の組み合わせ Living in Peace, All rights reserved. | 21 1. 情報の非公開 情報が外部と共有されない 4 減点主義人事 ルール違反は人事に悪影響、質 改善は評価されにくい 3. パターナリズム 子どもの声が傾聴されにくい 外部や利用者から の指摘が起きない 過去につくられた ルールが踏襲・強 化され続ける 差異が拡がり続け、 ガラパゴス化 一時保護所間の格差が拡がる要因と構造(仮説) 2. 認識ギャップ 見ている現実・情報が違うため、 外部との会話が成立しにくい 外部の声が改善に つながりにくい 改善が進んでこなかった要因は構造的なもの。 情報公開の拡充や外部監査の実施などにより、かなりの部分は改善していくのではないか。 制 度 レ ベ ル 組 織 レ ベ ル
  29. 29. 1,011 1,158 1,207 1,320 1,384 1,475 1,511 1,540 1,541 1,618 1,693 20.4 22.4 24.3 25.9 26.7 28.0 28.6 27.7 27.7 28.4 29.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 - 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 平均在所児童数 平均在所日数 短期間であればそれでもよいが、1日あたり保護児童数と平均滞在期間はこ の10年でそれぞれ1.7倍、1.5倍になっている。 約1.7倍/10年 1.5倍弱/10年 ソース:全国児童相談所関係資料 Living in Peace, All rights reserved. | 22 1日あたり保護児童数と平均滞在期間
  30. 30. 一時保護期間もバラツキがある。大きな要因は児童人口に対する社会的養護 の定員や空き枠数、すなわち自治体の社会的養護への予算配分。 R² = 0.15821 - 10 20 30 40 50 60 - 20 40 60 80 R² = 0.21072 - 10 20 30 40 50 60 70 (10) (5) - 5 10 15 20 出典:人口については総務省ホームページ「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」;一時保護日数、社会的養護定員数、措置数については福祉行政報告例 Living in Peace, All rights reserved. | 23 児童人口に対する定員比率・空き数比率は一時保護日数に明確に相関。 すなわち、自治体での社会的養護に関心と予算が高まれば、一時保護所滞在日数は下がっていくはず。 対社会的養護の定員/児童人口(2014) 対空き数/児童人口(2014)
  31. 31. 私たちにいますぐにできることは、一時保護委託を増やしていくこと。そう することで、より多くの一時保護された子どもが穏やかに生活しやすくなる。 一時保護所での保護(65.2%)* 一時保護委託(34.8%) 居住環境 閉ざされた児童相談所内 施設もしくは里親家庭で一時保護 移動の自由 著しく制限される ほぼ通常生活通り 子どもの安全 安全性が高い 相対的に安全性が低い(ただし手当可能な場 合がほとんど) 子どもの人間関係 社会的養護に入ると確実に断絶される 地域内での一時保護委託であれば、断絶を避 けることができる 学業 学校に行けないため学業は確実に遅れる 地域内の里親・施設であれば通常どおり学校 に行ける 親への影響 「児相に子どもをとられた親」として地 域から追い詰められる 「子どもの一時預かり」であり、受入れやす い *ソース:「児童相談所関係資料」、比率は虐待児に限ったもの。 子どもの人権擁護の観点からは、小学校区内で一時保護委託ができる状態を目指すべきではないか。 Living in Peace, All rights reserved. | 24 一時保護委託と一時保護の比較
  32. 32. 社会的養護概観
  33. 33. 一時保護所に入った子どもの半分以上は家庭に戻り、残るは社会的養護に措 置される。大多数は施設養護。 一 時 保 護 所 施設 養護 87% 家庭 養護 13% 社会的 養護 41.6% 在宅支援 52.6% 家裁・ 入院など 5.8% ソース:一時保護所の概要把握と入所児童の実態調査(和田一郎ほか, 2012);厚生労働省、「社会的養護の現状について、」2016年7月 Living in Peace, All rights reserved. | 26 児童養護 施設 602施設 27,828人 60.9% 保護者のない児童、虐待されている児 童その他環境上養護を要する児童 乳児院 134施設 2,939人 6.4% 乳児(1歳)。3歳児まで預かる場合も 情緒障害児 短期治療施設 43施設 1,358人 3.0% 軽度の情緒障害を有する児童 児童自立 支援施設 58施設 1,397人 3.1% 不良行為の虞のある/環境上の理由によ り生活指導等を要する児童 母子生活 支援施設 243施設 5,766人 3,465世帯 12.6% 配偶者のない(又はそれに準ずる)女子 及びその監護すべき児童 自立援助 ホーム 123施設 486人 1.1% 義務教育を終了した児童であって、児 童養護施設等を退所した児童等 里親 9,949世帯 4,731人 10.4% 家庭における養育を里親に委託 ファミリー ホーム 257ヶ所 1,172人 2.6% 養育者の住居において家庭養護を行う (定員5∼6人) 一時保護のその後と、社会的養護の施設・世帯数、子どもの数、比率、対象児童
  34. 34. 191,842 127,821 32,204 24,021 22,974 15,107 4,648 4,107 45,677 親族以外里親 親族里親 施設 グループホーム トライアルで ホーム訪問 養子縁組前ホーム 失踪 生活指導受けつつ 一人暮らし 日本の社会的養護 にいる子ども総数 日本では特に里親家庭が他国に比べて非常に少ない。また、そもそも社会的 養護に入っている子どもの数も非常に少ない。 ソース:開原久代ほか、「家庭外ケア児童数及び里親委託率等の国際比較」(2010); Children s Bureau Foster Care Statistics 2015 Living in Peace, All rights reserved. | 27 93.5% 77.0% 71.7% 54.9% 50.4% 49.5% 43.6% 12.0% オーストラリア 米国 英国 フランス ドイツ イタリア 韓国 日本 里親委託率の国際比較 (参考)アメリカの社会的養護の構成と日本の総数 日本は先進諸国に比べて里親委託率が非常に低い 日本の社会的養護においては里親比率も総数も少ない 米国総数 42.2万人 (人口3.2億人) 日本総数 米国比1割
  35. 35. 実際問題として、里親委託拡大に反対している実務家はほとんどいない。対 立軸があるとすれば、それはスピードの問題。 考えるべきは、何が正しい状態であるのか。 正しいことは今するべき。 考えるべきは、何が現実的なのか。 物事を少しずつ進めるべき。 基本的な 考え方 •  里親の選出・支援体制が弱いため、現 時点でも様々なトラブルが発生してい る •  里親不調率は欧米で高く、それが子ど もに与えるダメージは甚大 •  選出・支援体制はすぐに作られるもの ではない •  子どもが日常を過ごす家庭を持つこと ができない人権侵害を今すぐにでも止 めるべき •  家庭環境のほうが子どもの養育に好ま しいという研究結果がある •  全力で推進していけば体制もそのうち についてくる 論拠 全速力で里親委託増加を 里親委託は少しずつ増やしていくべき Living in Peace, All rights reserved. | 28 「あれかこれか」の議論ではなく、どの組み合わせが今と将来の子どもにとって最善なのかを議論するべき 家庭養護全速力推進派と漸進派の考えの違い(個人的見解)
  36. 36. 11.6% 24.2% 21.9% 児童養護施設出 身者 里親出身者 全国平均 12.4% 26.0% 52.2% 児童養護施設出身者 里親出身者 全国平均 社会的養護下の子どもの多くが低い進学率と正規雇用率となっている。専門 学校進学率の相対的な高さは手に職が必要というニーズの反映か。 ソース:厚生労働省「社会的用語の現状」(2017)、正規雇用比率については、東京都の「東京都における児童養護施設等退所者の実態調査報告書」より 社会的養護出身者のその後の状況 大学進学率 専門学校進学率 正規雇用率 Living in Peace, All rights reserved. | 29 社会的養護出身者においては、進学・就職ともにかなりの差が開いているのが現状 45.2% 70.0% 社会的養護 出身者 全国平均
  37. 37. 非認知能力が子どもの学力やその後を決めることは近年においてよく知られ てきた研究結果である Living in Peace, All rights reserved. | 30 非認知能力(やり抜く力や自制心などの気質や性格的な特徴)が将来学歴や収入に非常に大きな影響を与える。 参考:中室牧子「学力の経済学」(2015) そして、そういった気質は環境によって大きく決まってくることが知られている。
  38. 38. そして、そういった気質の土台は子どもが生まれ育つ環境であるため、親と の関係がこじれていると難関が多くなりがち。 1. 自分が存在するだけで 喜ぶ人がいると確信できる 2. 世界に自分の居場所が あると確信できる 4. 人と長期的に関係を 築くことができる 5. 目標に向かって努力できる 3. 生きてて良かったと思える 子どもの心の発展過程 (イメージ) 心の成長の土台 自分の存在を全肯定 してくれる他人の存在 (多くの場合は親) 偶然の成功体験や 成功を喜ぶ人の存在 示唆されること 子どもにとっては、信頼でき る大人が一人でもいることが 最も大切な資産となる。 実親との関係が複雑だったこ とに加え、施設や里親家庭で も心の問題が解決しないこと が、進学率や正規雇用率の低 さの一因ではないか。
  39. 39. ここまでのグラフを見て「では里親を一気に増やすべきでは」という結論に なるかもしれないが、意外と簡単ではない。 相対的に問題の少ない子どもが措置される 被虐待児比率は3割 相対的に難しい子どもが措置される 被虐待児比率は6割 子どもの 状況 専門職の職員がおり、チームで働くため、 難しい子どもでも対応しやすい 養育者が変更しないため、長期的な愛着関 係を築きやすい 長所 家庭養護 施設養護 Living in Peace, All rights reserved. | 32 里親の認知度・選抜・育成の仕組みを 拡充し、数の拡大を 家庭養護と施設養護の比較 ・職員の入れ替わりが生じるため、子ども  と愛着関係を築く難易度が高い ・今も5割が大舎制(合宿所のような生  活)であり、一対一の関係を築きにくい ・認知が進んでいないため絶対数が少ない ・養子縁組希望者が多くマッチングに難 ・育成・支援の仕組みが弱いため、不調  率・事故率が高い 課題 小舎化と離職率改善をしつつ、 里親支援等の児童相談所の機能代替を
  40. 40. 教育支出・家族向け支出は子どもの貧困と明確な相関。まず取り組むべきこ とはそもそもの予算拡大ではないか。 ソース: OECD Family Database 教育向け公的支出と子ども貧困率 家族向け公的支出と子ども貧困率 教育向け公的支出の対GDP比 子ども貧困率 子ども貧困率 0% 5% 10% 15% 20% 25% 0% 2% 4% 6% 家族向け公的支出の対GDP比 0% 5% 10% 15% 20% 25% 0% 2% 4% 6% 8% そもそもの子ども向け支出が諸外国比で非常に低い。予算配分改善なくして根本的解決は難しいのでは。 Living in Peace, All rights reserved. | 33
  41. 41. 社会的養護についても、民間から取り組めることは多数。地域での子ども支 援、一時保護委託の受け入れなど。 これまでとこれからの社会的養護のあり方(個人的見解) これまでの主な課題 これから 家庭内の 子どもの支援 全て児相に任せきりで、児相内のキャパシ ティはすでに限界となっている 児相のみならず、学校、警察、地域団体で 連携し、地域での家庭支援を。必要であれ ば地域コミュニティの強化を 外部による 介入 介入と支援の仕事を両方行っているため、 介入したあとの関係構築が大変 そもそもマンパワーが不足している 司法機関の関与を強め、より客観性がある と親に認められやすい意思決定を 職員増員のみならず地域の取り組み強化を 一時保護 7割の被虐待児は一時保護所内におり、移動 の自由、学ぶ権利などが侵害され、かつ地 域から引き離される 一時保護委託を原則とし、すべての子ども が地域で育てるようにする 社会的養護 施設措置が大部分を占めており、施設に措 置される子どもが必要以上に多い。また、 施設の専門性にも弱い部分がたくさんある 里親の選定・育成・支援を強化。施設の専 門性と人材も強化。特に施設は、地域コ ミュニティの子ども支援センターに Living in Peace, All rights reserved. | 34
  42. 42. 終わり

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