庶民の絵画−浮世絵 始祖 菱川師宣から
浮世絵 江戸時代、町人社会を母体として生まれ育ち200年で展開した。 前期ー始祖菱川師宣が登場する 1661 年から 1765 年の錦絵の創始まで   版本から版画が独立し墨一色摺に筆彩色が加わり素朴な二、三色摺が試みられる初期段階 後期ー錦絵の時代、幕末まで   錦絵といわれる多色摺が一般的になった成熟期 一点制作の肉筆画も両期を併せて盛んであった
浮世とは 井原西鶴の小説が浮世草子と言われたように「この世」「現代」「今様」という本来の意義に加えて好色というニュアンスもかなりの比重で盛り込まれていた。師宣は遊里と芝居町の好色あふれる二大悪所に力点をおいた。
菱川師宣画 歌舞伎肉筆画
鳥居派 師宣の死後二大悪所のスター、遊女と役者が単独で鑑賞の対象になり、美人画と役者絵の浮世絵の核が成立する。 主導的な役割を果たしたのが鳥居清信と清倍(ます)である 浮世絵前期においては墨一色の墨摺絵や岩絵具の丹を主調色とした丹絵から紅絵に変化していきデリケートで、しなやかな画風に変わっていく それらが後期の春信へと受け継がれていく
鳥居清倍(きよます) 市川団十朗の竹抜き五郎図 歌舞伎絵に活躍した鳥居派の様式を完成 させた記念碑的作品
石川豊信 花下美人 花見を抜け出し短冊を結んで いる画 前期、紅絵・紅摺絵を代表する美人画家
鳥居清広画 道成寺物初演時によるもの  紅摺絵期の絵師
錦絵ー春信、写楽 1765 年に錦絵といわれる多色刷り版画が生まれ、鈴木春信の代表作である「坐しき八景」に見られる 日常生活 を描写した美人風俗画が確立されてくる。美人図を通して美化された日常性を表現する手法が用いられる。つまり現実主義が時代精神や浮世絵に反映されてくる。役者絵においても役者の個性を表現する似顔絵として流行し写楽の登場でピークを迎える。
鈴木春信画 雪中相合傘 歌舞伎に登場する道行の イメージを重ねられているー道行とは 男女の心中のための目的地への旅立 後期、錦絵創始期の第一人者で千点を 超える作品を生む
鈴木春信画 深夜恋人のために白梅を折る図であるが 源氏物語などが見立てられている
鈴木春信画 紅葉舞美人 見事な色彩感覚と舞の持つ 明快な動きが描写されている
鈴木春信画  あやとり 庶民の生活を多く描き家庭の 平和さや裕福さを表現した
東洲斎写楽画 十か月という短い活動期間で姿を消した 写楽の役者絵は異端といえるほど個性的 であり、いざ抜刀という瞬間の空気を 描き出している
東洲斎写楽画 二世瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木 演劇の世界とは異なる役者自身の姿を 描いている
東洲斎写楽画 三世大谷鬼次の川島治部五郎 第二期以降の写楽は世人には不評で あまり多く残っていない
鳥居清長・喜多川歌磨 役者絵の鳥居派に育ち、実証主義による舞台の背景や江戸の風景までも描き込み、また大判サイズの大きさに西洋画の遠近法を取り入れた風景描写はその後の風景版画を成立させた。 歌磨は半身像の形式の中にすべてを取り込んだ大首絵という 様式美 を生み出し独特の世界を作り上げた。
鳥居清長画 美南見十二候九月漁火 フェノロサによりヴィーナスに比せら れている清長の美人像は当時の世人に 絶大な支持を受けた
鳥居清長画 当世遊里美人合 叉江涼 遊女や芸者の風俗に季節感を取り入れ 描く
鳥居清長画 三囲の夕立 透視図法が生かされ広々した空間が描かれる
喜多川歌麿画 婦人相学十躰 浮気之相 美人大首絵のスタイルでシンプルな 描写ながら多情な性格を見事に描い ている
喜多川歌麿画 歌撰恋之部 匂うような色気を得意とし 人物の境遇や心理までを表現している
喜多川歌麿画 山姥と金太郎 山姥の官能美を表現する ために金太郎絵を使う
北斎・広重・歌川三俊才 19世紀に入り風景画と花鳥画という新しいジャンルを北斎と広重が作り出した。そして幕末に歌川派の豊国、国貞、国芳という三人の俊才が登場し、かれらの弟子たちが開港後の横浜絵などの時事報道画を展開し、マスコミ機能をになうようにもなった。 明治の中頃に浮世絵の歴史は終わる
歌川豊国画 役者舞台之姿絵 まさつや 豊国は様々な流派を柔軟に取り入れ 江戸庶民の好みを敏感に反映させた画風で 不動の地位を築いた、代表作の一つ
歌川国貞画 二世尾上菊次郎の滝夜叉姫  国貞は後の三代豊国、歌川派は浮世絵界を 独占したが、その秘密は劇中の興奮を 生み出す虚構性を人物描写で演出する能力。
葛飾北斎画 諸国滝廻り 勝川派をはじめ和漢洋の あらゆる流派をめぐり画狂と呼べる 生涯を送る 実景を大胆にディフォルメし独自の 絵画を築いた
北斎ー富嶽三六景、神奈川沖波裏 江戸後期の旅行ブームの影響 を受け風景版画が発展する
北斎画 百物語 さらやしき 怪談が終わるごとに蝋燭を消してゆき 百本目に妖怪が現れるとした百物語の 催しにちなんだもの
北斎漫画 一般庶民の画技習得のために編まれた もので明治十一年までに十五編刊行
歌川広重画 東海道五拾三次之内 蒲原 広重は見た自然をそのまま移す。 広重の画はゴッホにより模写されている
東海道五十三次 御油(ごゆ)
歌川広重画 木曽路之山川 死の前年に版行された 雪月花三部作の一つ 画面の大半を景観のみで描き、自然の 雄大さ厳しさを伝える
風俗・肉筆浮世絵
葛飾北斎画 潮干狩図 洋画から学んだ遠近図が生かされ 広々とした風景の中に各人物が生彩を もって描かれている。北斎肉筆画中 屈指の名作
伊藤若沖 動植綵絵 雪中錦鶏図 江戸時代のアンリ・ルソーといわれる 奇抜なひずみと過剰な装飾
伊藤若沖画 群鶏図襖  桃山の影響を受けつつ異質なスケール
今週の宿題

Japan II: Momoyama to Edo (Part A)