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福祉環境デザイン学科
163218 金城 弘樹
小坂田研究室
1
「目次」
1. 研究目的
2. 研究方法
3. 調査地の概要
4. 共同店とは
1 共同店の概要
2 共同店の必要性
3 共同店の利用者の現状
1)共同店利用者の年齢状況・世帯状況
2)共同店利用者の健康状態
3)共同店の利用頻度
4)共同店に...
(2)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に対する利用者の意識
7、地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開の実現に向けて
(1)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に果たす行政の役割
(2)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に...
1
1. 研究目的
沖縄では、過疎化、高齢化が進んだ村落の特に車を持たない高齢者の「地域での暮らし」
を「共同店」が支えている。また「共同店」は高齢者にとって購買の場だけでなく、交流
の場ともなっている。
しかし、道路交通網の整備、大型スーパー...
2
3.調査地の概要
我が国においては、1970 年に高齢化率 7.1%に達し、いわゆる「高齢化社会」に突入して
以来、急速に人口の高齢化が進み、1994 年には 14%を超え、わずか 24 年で「高齢社会」
となり、他の先進諸国にも例をみない...
3
資料:平成 17 年「国勢調査」を基に作成
字(集落)名 総人口(人) 高齢者数(人) 高齢化率(%) 後期高齢者数(人)
字 奥 206 85 41.2 50
字 宇良 148 32 21.6 18
字 宜名真 177 95 53.6 7...
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4.共同店とは
(1)共同店の概要
共同店は地域によっては「共同売店」「共同組合」「協同組合」などと呼ばれ、主に小売
店における購買事業を中心とした、いわゆる生活協同組合的組織のことである。基本的に
は、集落(字)を単位として住民の共同出資...
5
(3)共同店の利用者の現状
1)共同店利用者の年齢状況・世帯状況
共同店の利用者の年齢状況を見ると、共同店の利用者の 55%が高齢者であり、共同店が
多くの高齢者の生活を支えていることが分かる。(図 1-2)また、そのような共同店を利用
し...
6
小学生以下
9%
中・高生 9%
青壮年 27%
高齢者 55%
 図1-2 共同店利用者の年齢層
後期高齢者
(75歳以上),
35人,70%
前期高齢者
(65~74歳),
15人,30%
図1-3 前期高齢者、後期高齢者の割合
7
配偶者
24%
自分だけ
22%
子供
16%
配偶者と子供
8%
子供夫婦
8%
配偶者と子供夫婦
6%
兄弟と配偶者と子
2%
自分と子供夫婦と
孫
6%
配偶者と子供夫婦
と孫
8%
2)共同店利用者の健康状態
利用者の健康状態は、高...
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ア
 
高
血
圧
イ
 
低
血
圧
ウ
 
血
糖
値
エ
 
内
臓
の
調
子
オ
 
腰
痛
カ
 
膝
の
痛
み
キ
 
肩
こ
り
ク...
9
ア はい
88%
イ いいえ
12%
ア 月1.2回
77%
イ 週1回
9%
ウ 週2.3回
5%
エ その他
9%
図 1-6 ここ 1 年以内の通院状況
図 1-7 通院回数
1
0
3)共同店の利用頻度
共同店に行く頻度は、「毎日行く」が 52%と最も多い。「週に 4、5 回行く」、「週に 2、
3 回行く」も合わせると 84%の方が、週に何度も共同店を利用している。このことから共同
店が主要な日常生活用品購入先と...
1
1
5)共同店での主たる購入品
利用者の主たる購入品は、食料品であり、(96%)次いで日用品(42%)、酒・煙草(20%)
となっている。(図 1-10)また、食料品の内容としては、豆腐が一番多く、次いで牛乳等
で他にも生鮮食料品が多かった...
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30
40
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ア
 
食
料
品
イ
 
日
用
品
ウ
 
医
療
品
エ
 
衣
料
品
オ
 
酒
・
煙
草
カ
 
文
具
店
キ
 
本
・
雑
誌
ク...
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3
6)共同店への移動方法
共同店への移動方法は 62%が徒歩であり、車やバイクを利用している人はわずか 18%とな
っている。(図 1-12)利用者の多くが後期高齢者であることからも車等の移動手段を持た
ない者が多く、徒歩圏内にある共同店...
1
4
8)共同店利用者の生活相談状況
利用者の共同店経営者・従業員への生活の悩み等相談状況では「よくする」「時々する」
と 20%が行っている。(図 1-14)他の相談者が「家族」(32%)、「親戚・親族」(6%)、「友
人」(8%)、「役場...
1
5
ア よくする
12%
ウ しない
80%
イ 時々する
8%
図 1-14 共同店経営者・従業員への相談状況
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ア
 
家
族
イ...
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6
注:共同店の主任・店員に相談を「よくする」「時々する」と答えた人の回答
(4)共同店の現状と課題
1)利用者の年齢層
国頭村奥の人口構成状況を例にみると、10 才代が 17.0%、20 才代から 50 才代が 35.4%、
60 才代以...
1
7
経営が厳しい理由としては、「地域共同体の弱体化」13 店舗(約 93%)、「近くに大型
スーパーができたから」11 店舗(約 79%)、「近くにコンビニができたから」6 店舗(約
43%)の三つが主な理由となっている。また、「地域共同体...
1
8
しかし、このように経営が厳しい中でも経営を続ける理由としては、全ての店舗が
「地域住民の生活のため」と答えた。また、「地域住民の集いの場だから」という回答
も 11 店舗(約 78%)ある。このことからも共同店が地域住民、特に高齢者にと...
1
9
4)利用者からの生活相談への対応状況
先にみたように、利用者の 20%が生活相談をしており、共同店ではそのほとんど(80%)
が、生活相談を受けている。(図 1-21)このように、共同店は、今も強く福祉的機能を持
ち続けている。
(イ)...
2
0
こうした、相談への対応方法としては、「自分がアドバイスする」が最も多く(81%)次
に「区長さんにつなげる」(31%)となっている。このように、相談対応者の役割と直接調
整者としての役割を共同店の主任、従業員は果たしている。(図 1-2...
2
1
(5)本章のまとめ
第 1 項では、共同店が基本的には集落(字)を単位として住民の共同出資によって運営
されている生活共同組合組織であること、最初の共同店が今からおよそ 100 年前に誕生し、
1980年頃には沖縄本島、離島あわせて11...
2
2
食料品が買える共同店は、重要な購買の場であり、生活になくてはならないものとなって
いる。このように、第 2 項で述べた共同店の必要性について裏付ける結果をここでは得る
ことができた。
第 4 項では、共同店の主任、従業員に対して行ったア...
2
3
憩いの場、安否確認の場、ニーズ発見の場といった、福祉的な機能も果たしている。第 4
章 3 項で明らかにしたが、共同店を利用している高齢者の多くが現在何らかの問題を抱え
ている高齢者、あるいはこれから問題を抱える確率の高い高齢者である。...
2
4
問題として共に考え、問題解決へ向けて活動していく住民の主体的な支えあいのネットワ
ークづくりを機軸として、さらにその上に住民主体の福祉活動を支える多様な関係機関・
団体のネットワークを形成し、この両者の連携のもとで“誰もが人として尊厳を...
2
5
のサービス提供や援助を行われることが求められる。
「共助力」は、地域住民やボランティアなどの支援のことであり、いわゆるインフォー
マルな支援のことである。地域の特性や実態に合わせ、住民主体の地域福祉活動を創造し
ていくことが必要である。...
2
6
地
域
福
祉
在宅福祉
サービス
環境改善
サービス
組織活動
予防的福祉サービス
専門的ケア・サービス
在宅ケア・サービ
ス
福 祉 増 進 サ ー ビ
ス
住民の福祉への参加・協力、意識・態度の変
容を図り福祉コミュニティづくりを...
2
7
⑤福祉コミュニティとは
福祉コミュニティとは「地域における様々な生活課題について、住民自らが気づき、そ
れを自分たちの問題として共に考え、問題解決へ向けて活動していく住民の主体的な支え
あいの土壌が定着したものとしてあり、その上に日常的...
2
8
「新・社会福祉協議会基本要項」(1992 年策定)において、社協は、
1 地域における住民組織と公私の社会福祉事業関係者等により構成され、
2 住民主体の理念に基づき、地域の福祉課題の解決に取り組み、誰もが安心して暮らす
ことのできる地...
2
9
4 公私協働の原則
公私の社会福祉及び保健・医療・教育、労働などの関係機関・団体、住民等の協働と役
割分担により、計画的かつ総合的に活動を進める。
5 専門性の原則
地域福祉の推進組織として、組織化、調査、計画等に関する専門性を発揮した...
3
0
(4)介護予防とは
介護予防の定義
「介護予防とは、どのような状態にある者であっても、生活機能の維持・向上を積極的
に図り、要支援・要介護状態の予防及びその重症化の予防、軽減により、高齢者本人の自
己実現の達成を支援することである。」[...
3
1
表 1 市村別特定高齢者数、要支援 1、要支援 2、高齢者数
注:(読谷村:平成 19 年 3 月現在、うるま市:平成 19 年 3 月現在、国頭村:平成 19 年 7 月現
在、名護市:平成 19 年 8 月現在[特定高齢者は平成 1...
3
2
1 統合性
高齢者の多様なニーズや相談を総合的に受け止め、尊厳ある生活の継続のために必要な
支援につなぐこと。
2 包括性
介護保険サービスのみならず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、
支え合いなどの多様な社会資源を有...
3
3
る。この活動の対象は、高齢者だけでなく地域の障害者、子育て中の親など多様であり、
この内特に、種々の事業により、閉じこもりがちな人たちが気軽に仲間づくりを促進し、
地域でいきいきと元気に暮らせることをめざす活動。活動の場所も、自宅開放か...
3
4
れを利用し、なければ共同店の空きスペースの利用や駐車場等にテントと椅子を用意して
「ふれあい・いきいきサロン」を開催する。
1 外出の場、交流の場としての機能
ここでは特別なプログラムは用意せず、地域内の高齢者同士や住民同士の気軽な話し...
3
5
「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「一体型共同店」イメージ図
福祉
委員
医療関係
者
住民
介護予防
教室
ケアマネ
ジャー
行政
保健師
地域
共同店+ふれあい・いきいきサロ
ン
購買機能
安否確認
情報提供、交換
生きがい...
3
6
(2)「一体型共同店」に対する利用者の意識
このような「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「ふれあい・いきいきサロン一
体型共同店(以下「一体型共同店」とする)」に対する利用者の意識は、「ぜひ参加したい」
(64%)、「時々参加し...
3
7
注:これは「一体型共同店」へ「ぜひ参加したい」「時々参加したい」と答えた人の希望
「ふれあい市」の開催についての利用者の方の意識は 60%の方が「参加したくない」と
答えた。(図 3-3)その理由として多くを占めていたのが「家族や友人に...
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8
イ 時々参加したい
4%
ウ 参加したくない
60%
エ わからない
0%
オ その他
0% ア ぜひ参加したい
36%
注:これは「ふれあい市」へ「ぜひ参加したい」「時々参加したい」と答えた人の希望
図 3-3 共同店での出品活動への...
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注:これは「ふれあい市」へ「参加したくない」と答えた人の希望
7.地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開の実現に向けて
社会福祉法では、「国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と
協力して、社会福祉を目的とする事...
4
0
められる。このことは、保母武彦氏が指摘するように、経済的効率での視点ではなく、
「いのちと暮らしの保障」[15]
という視点での取り組みでなければならない。このように、
「そこに人間が住み、集落が維持され」ていくための取り組みのひとつで...
4
1
行政が、「一体型共同店」の事業の具体化を図っていくため条件としては「地域ボラン
ティアの確保」を多くあげている。次に「事業財源の確保」、「地域住民との調整」、「移
動手段の確保」、となっている。行政は、事業財源の確保とともに、何よりも地...
4
2
(3)「一体型共同店」に果たす社会福祉協議会の役割
社協は、社会福祉法において「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」(第 109 条)
として位置づけられ、地域福祉推進の中核としての役割を持っている。社協は、「新・社
会福祉協議会...
4
3
人口の減少と若い年代が共同店に対しての意識が弱いことなどがあげられたのだが、私の
調査中には「若い年代の人たちが共同店を利用してくれない」「若い主婦の方々がもっと共
同店を利用してくれたら」という意見を共同店の主任の方々、そして高齢者の...
4
4
先述したように、「一体型共同店」に果たす社協の役割の重要性を考えると、社協抜き
での実現は見えてこない。2社協から取り組みの一歩を始め、その成果を積み重ねていく
ことが重要だといえる。
①積極的に取り組
んでみたい,
1社協,17%
⑤...
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「一体型共同店」の事業の具体化を図っていくための 1 番の条件として社協は、「事業
財源の確保」「地域内で集まれる場の確保」が最も多くあがっていた。次いで「共同店との
調整」となっている。(図 4-5)行政の中には「一体型共同店」の実施...
4
6
ち地域内の関係作りを進め、高齢者の身体機能の低下につながる「閉じこもり」の防止を
図ることができる。また、(相談、情報提供の場としての機能)により、行政保健師やそ
の他福祉関係職員等の専門職が参加し、簡単なレクリエーションや健康相談、リ...
4
7
けではいずれ限界が来る。やはり外部から利用者を呼び込めるような取り組みも行ってい
く必要があると考える。その取り組みの参考としては岡山県の新庄村の取り組みがある。
岡山県の新庄村は岡山県最北端に位置し、人口 1078 人(2007 年 ...
4
8
らである。そのため、経営の面への行政の補助というものはこのような共同店の主体性を
失わせるものであり、共同店が共同店でなくなってしまうことを意味している。
私はこのように地域住民の主体性の象徴であり、「中間媒体組織」としての機能を持つ
...
地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹
地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹
地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹
地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹
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地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹

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共同店とその利用者の現状を踏まえての一考察 美作大学社会福祉学科卒業論文

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地域福祉の視点から考える沖縄共同店の新たな展開 金城弘樹

  1. 1. 福祉環境デザイン学科 163218 金城 弘樹 小坂田研究室 1
  2. 2. 「目次」 1. 研究目的 2. 研究方法 3. 調査地の概要 4. 共同店とは 1 共同店の概要 2 共同店の必要性 3 共同店の利用者の現状 1)共同店利用者の年齢状況・世帯状況 2)共同店利用者の健康状態 3)共同店の利用頻度 4)共同店に行く目的 5)共同店で主に買う物 6)共同店への移動手段 7)共同店利用者の外出状況 8)共同店利用者の生活相談状況 4 共同店の現状と課題 1)利用者の年齢層の割合 2)共同店の経営状況 3)経営上の課題 4)利用者からの生活相談への対応状況 5)地域住民のための新たな事業 (5)本章のまとめ 5. 共同店の今後に向けての新たな展開 (1)共同店の新たな展開の必要性 (2)地域福祉とは (3)社会福祉協議会とは (4)介護予防とは (5)地域包括支援センターとは (6)ふれあい・いきいきサロンとは 6、地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開 (1)「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」 1)多機能型ふれあい・いきいきサロンの開催 2)様々な福祉機能の場としての活動 3)「ふれあい市」の開催
  3. 3. (2)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に対する利用者の意識 7、地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開の実現に向けて (1)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に果たす行政の役割 (2)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に対する行政の認識状況 (3)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に果たす社会福祉協議会の役割 (4)「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に対する社会福祉協議会の認識状況 8、共同店の課題解決に向けて (1)共同店利用者の高齢化とそれに伴う健康問題 (2)地域共同体の弱体化 (3)利用者の増加、収益の増加 9、結論 10、最後に 11、謝辞 3
  4. 4. 1 1. 研究目的 沖縄では、過疎化、高齢化が進んだ村落の特に車を持たない高齢者の「地域での暮らし」 を「共同店」が支えている。また「共同店」は高齢者にとって購買の場だけでなく、交流 の場ともなっている。 しかし、道路交通網の整備、大型スーパーやコンビニエンスストアの進出等により、 「共同店」は減少の一途をたどっている。存続している「共同店」も多くが経営困難な中、 「お年寄りのために」との思いにより経営を続けている状況にある。 本研究は、このような「共同店」の抱える現状と課題をアンケート調査結果の分析によ り明らかにするとともに、高齢者の「住み慣れた地域でのいきいきとした暮らし」を支え るための共同店の必要性と今後の新たな展開を地域福祉の視点より明らかにしていく。 2.研究方法 (1)文献による研究・事例研究 (2)アンケート調査 1)沖縄県本島中・北部の共同店調査 ①調査対象地:沖縄県本島中・北部 7 市村(読谷村・うるま市・国頭村・名護市・大宜 味村・今帰仁村・恩納村) ②調査対象者:共同店主任・店員(計 20 店舗) ③調査方法:質問紙法による個別面接調査法 2)沖縄県本島北部の共同店利用者調査 ①調査対象地:沖縄県本島北部 4 村(国頭村・大宜味村・今帰仁村・恩納村) ②調査対象者:沖縄県本島北部の共同店利用高齢者(計 50 人) ③調査方法:質問紙法による個別面接調査法 3)沖縄県本島中・北部の行政職員意識調査 ①調査対象地:沖縄県本島中・北部 7 市村(読谷村・うるま市・国頭村・名護市・大宜 味村・今帰仁村・恩納村) ②調査対象者:沖縄県本島中・北部の行政職員 ③調査方法:質問紙法による郵送調査法 ④回収率 71.4%(5 人/7 人) 4)沖縄県本島中・北部の社協職員意識調査 ①調査対象地:沖縄県本島中・北部 7 市村(読谷村・うるま市・国頭村・名護市・大宜 味村・今帰仁村・恩納村) ②調査対象者:沖縄県本島中・北部の社協職員 ③調査方法:質問紙法による郵送調査法 ④回収率 85.7%(6 人/7 人)
  5. 5. 2 3.調査地の概要 我が国においては、1970 年に高齢化率 7.1%に達し、いわゆる「高齢化社会」に突入して 以来、急速に人口の高齢化が進み、1994 年には 14%を超え、わずか 24 年で「高齢社会」 となり、他の先進諸国にも例をみない急速なスピードで高齢化が進行している。今後も急 速に高齢化は進み、2006 年の日本の将来推計人口は国立社会保障・人口問題研究所による と、2014 年には 25.2%まで増加し、4 人に 1 人が高齢者となることが推測されている。 今回、調査した沖縄県中・北部 7 市村でも、2007 年現在ですでに 3 村が高齢化率 25%を超 えており(表 1-1)、さらに、字(集落)別にみると、2005 年の時点で、7 市村の 20 字 中 16 の字が高齢化率 25%を越えている。(表 1-2)、後期高齢者数は 7 市村の内 4 市村 において高齢者数に占める後期高齢者数の割合が 5 割を超えており、前期高齢者より後期 高齢者の方が多くなっている。(表 1-1)、字(集落)別に見ると 20 字中 16 の字で前期 高齢者より後期高齢者数が上回っていた。(表 1-2)、また、高齢者世帯の状況をみてみ ると一人暮らし高齢者と二人以上の高齢者のみ世帯を合わせた高齢者のみ世帯の全世帯に 占める割合は 7 市村中 1 村が 30%を超え、2 村が 20%を超えていた。(表 1-1)、人口の 推移では、今回調査した、20 字中 13 の字で平成 7 年から平成 17 年の 10 年間において、 地域により差はあるものの人口減がみられた。このように、共同店のある地域は高齢化が 進み、過疎化傾向にある地域が多い。(平成 7 年「国勢調査」、平成 17 年「国勢調査」よ り) 注:(読谷村:平成 19 年 4 月現在、うるま市:平成 19 年 3 月現在、国頭村:平成 19 年 7 月現 在、名護市:平成 19 年 3 月現在《 但し、名護市の一人暮らし高齢者、高齢者のみ世帯は平成 18 年 10 月現在》、大宜味村:平成 19 年 3 月現在、今帰仁村:平成 19 年 8 月現在、恩納村:平 成 19 年 4 月現在) 表 1-2 字別高齢者基本情報 総人口(人) 高齢者数(人) 高齢化率 (%) 後期高齢者数 (人) 一人暮らし高 齢者数(人) 高齢者のみ世 帯数(世帯) 読谷村 38,619 6,069 15.7 2,585 830 645 うるま市 116,573 19,104 16.3 8,699 3,675 1,900 国頭村 5,641 1,565 27.7 965 506 225 名護市 59,270 9,612 16.2 4,764 1,863 1,357 大宜味村 3,500 1,045 29.8 688 234 122 今帰仁村 9,499 2,413 25.4 1,455 615 353 恩納村 10,295 1,995 19.3 1,102 427 202 表 1-1 市村別高齢者基本情報
  6. 6. 3 資料:平成 17 年「国勢調査」を基に作成 字(集落)名 総人口(人) 高齢者数(人) 高齢化率(%) 後期高齢者数(人) 字 奥 206 85 41.2 50 字 宇良 148 32 21.6 18 字 宜名真 177 95 53.6 74 字 宇嘉 62 27 43.5 9 字 与那 258 74 28.6 41 字 奥間 441 119 26.9 71 字 大兼久 124 51 41.1 34 字 諸志 360 97 26.9 57 字 運天原 313 108 34.5 70 字 天仁屋 133 53 39.8 32 字 嘉陽 85 42 49.4 27 字 汀間 215 56 26.0 23 字 三原 329 88 26.7 49 字 恩納 2,173 414 19.0 195 字 山田 1,136 200 17.6 102 字 谷茶 434 183 42.1 131 与那城宮城 196 97 49.4 59 与那城桃原 255 84 32.9 51 与那城伊計 293 127 43.3 82 都屋 1,343 240 17.8 69
  7. 7. 4 4.共同店とは (1)共同店の概要 共同店は地域によっては「共同売店」「共同組合」「協同組合」などと呼ばれ、主に小売 店における購買事業を中心とした、いわゆる生活協同組合的組織のことである。基本的に は、集落(字)を単位として住民の共同出資によって運営されている。共同店の歴史は古 く、1906(明治 39)年に国頭村の奥に初めて誕生した。(1) そして、「大正期には近隣の集 落でも奥に倣って共同店が開設されていき、その広がりは沖縄本島中南部や離島にまでお よんでいった。1980 年頃には沖縄本島、離島あわせて 116 の共同店が存在した。しかし、 1980 年頃には 116 存在した共同店は 20 年の間に確認されただけでも 46 店が閉鎖され、減 少状態にある。」[1] (2)共同店の必要性 共同店はかつて交通が不便で、立地条件が厳しい村落が生活防衛の方策として、部 落単位の団結による生産物の共同販売、日用品の共同購入を中心として発足した。そ して、さらに「経済的機能、福祉的機能、文化的機能、情報的機能、等の包括的機能 を共同店は持ち、あらゆる苛酷な立地条件を主体的に克服」してきたのである。共同 店が持つこのような包括的機能は、さらに「村落共同的な連帯は、村落住民の間に生 活の安定・向上という共通の目的と基盤があってこそ醸成されるものであり、この主 体的な連帯と一致協力を形成するのが共同店の包括的な機能であり、そこに共同店の 存在意義がある」[2] と指摘される通り、共同店は様々な機能を持ち、住民の連帯意識 を作り、住民生活を支えてきたのである。 しかし、人口減少、道路交通網の整備、通信技術の発達・発展、共同店の売り上げ の低下等の理由により共同店がかつて持っていたこれらの機能は減退、あるいは失わ れていった。また、それらの機能の中には公的機関・民間事業所へ移行していったも のもある。 農林産物の生産・加工・販売、共同バス運行、電話の取次ぎ、冠婚葬祭費の援助、 集落内放送、住民への配当等の機能を持っている共同店が現在ではわずかとなってい るが、共同店は現在でも高齢者が重くて持って帰れないような品物、例えばお米を家 まで届けてあげるといった宅配サービスや、人々が買い物ついでに気軽に集まり情報 交換をし交流を深めるといった、情報交換の場、憩いの場という機能を持ち続けてい る。(図 1-1)さらに、道路交通網の整備が進み、車を使えば簡単に市街地まで買い 物に行ける現在でも、車を持たない高齢者にとって共同店は重要な購買の場となって いる。このように、共同店は時代の変遷、集落の変容とともに、その姿を変えてきた が、現在でも人々の貴重な交流の場、そして、高齢者の購買の場として、村落住民に とって必要不可欠なものとなっている。
  8. 8. 5 (3)共同店の利用者の現状 1)共同店利用者の年齢状況・世帯状況 共同店の利用者の年齢状況を見ると、共同店の利用者の 55%が高齢者であり、共同店が 多くの高齢者の生活を支えていることが分かる。(図 1-2)また、そのような共同店を利用 している高齢者のうち、75 歳以上の後期高齢者は 70%を占めている。(図1-3)このように、 現在の利用者の多くが後期高齢者であることから、利用者が介護の問題を抱えていくこと が予想され、介護という新たなニーズを持つことが推測される。 利用者の世帯状況では、配偶者と同居が 24%、自分だけが 22%となっている。(図 1-4) 共同店を利用している高齢者の 70%が後期高齢者であることから、こうした世帯の多くが 高齢者のみ、あるいは一人暮らし高齢者であるといえる。このことから、高齢者の中でも 特に高齢者のみ世帯の生活を共同店が支えていることがわかる。 3 0 1 2 1 15 20 2 1 1 1 13 0 5 10 15 20 25 ( ア ) 農 林 産 物 の 生 産 ・ 加 工 ・ 販 売 ( イ ) 共 同 バ ス 運 行 ( ウ ) 電 話 取 次 ぎ ( エ ) 冠 婚 葬 祭 費 の 援 助 (オ ) 宅 配 サ ー ビ ス ( カ ) 集 落 内 放 送 ( キ ) 集 落 民 の 情 報 交 換 の 場 ( ク ) 集 落 民 の 憩 い の 場 ( ケ ) 住 民 へ の 配 当 ( コ ) 茶 工 場 ( サ ) 給 油 所 ( シ ) 子 ど も た ち の 遊 び の 場 (店舗) 図 1-1 共同店の購買以外の機能
  9. 9. 6 小学生以下 9% 中・高生 9% 青壮年 27% 高齢者 55%  図1-2 共同店利用者の年齢層 後期高齢者 (75歳以上), 35人,70% 前期高齢者 (65~74歳), 15人,30% 図1-3 前期高齢者、後期高齢者の割合
  10. 10. 7 配偶者 24% 自分だけ 22% 子供 16% 配偶者と子供 8% 子供夫婦 8% 配偶者と子供夫婦 6% 兄弟と配偶者と子 2% 自分と子供夫婦と 孫 6% 配偶者と子供夫婦 と孫 8% 2)共同店利用者の健康状態 利用者の健康状態は、高血圧が一番多く(44%)、次いで膝の痛み(24%)、健康(20%)、 内臓の調子(16%)となっている。(図 1-5)健康(20%)の方を除き 80%の者が何らかの疾 病を抱えている。(図 1-5)ここ 1 年で病院に行ったことがある者がほとんどであり(88%) その内の(91%)が月に 1、2 回以上は通院している。(図 1-6、図 1-7)このように共同店 利用者の多くが、何らかの病気を抱え、通院がちの生活を送っている。 図 1-4 利用者の世帯状況
  11. 11. 8 22 0 1 8 3 12 4 2 3 0 0 0 21 0 5 10 15 20 25 ア   高 血 圧 イ   低 血 圧 ウ   血 糖 値 エ   内 臓 の 調 子 オ   腰 痛 カ   膝 の 痛 み キ   肩 こ り ク   よ く 眠 れ な い ケ   手 足 の し び れ コ   手 足 の は れ サ   疲 れ や す い   シ   イ ラ イ ラ す る ス   そ の 他 (人) 図 1-5 健康状態 10 3 2 1 2 1 1 1 1 1 1 0 2 4 6 8 10 12 健 康 足 腰 が 弱 い 目 手 が 痛 い コ レ ス テ ロ ー ル 値 が 高 い 動 脈 硬 化 歯 め ま い 甲 状 腺 関 節 炎 不 整 脈 (人) 図 1-5 その他の内容
  12. 12. 9 ア はい 88% イ いいえ 12% ア 月1.2回 77% イ 週1回 9% ウ 週2.3回 5% エ その他 9% 図 1-6 ここ 1 年以内の通院状況 図 1-7 通院回数
  13. 13. 1 0 3)共同店の利用頻度 共同店に行く頻度は、「毎日行く」が 52%と最も多い。「週に 4、5 回行く」、「週に 2、 3 回行く」も合わせると 84%の方が、週に何度も共同店を利用している。このことから共同 店が主要な日常生活用品購入先となっているとともに高齢者の重要な外出先となっており、 外出の機会づくりとしての役割を果たしているといえる。(図 1-8) イ 週に4,5回 8% ウ 週に2、3回 24% エ 週に1回 14% オ その他 2% ア 毎日行く 52% 4)共同店に行く目的 共同店利用の目的はほとんどの者(98%)が「買い物のため」となっている。その中で買 い物のみが目的である者は 48%と約半数を占める。これは共同店の持っている多くの機能 が時代の変遷の中で減退、あるいは失われていったことにより、共同店と地域住民の関係 も変化してきたからだと考えられる。一方で、友人と話をするためという目的を持ってい る者も 40%あり、共同店が「交流の場」「憩いの場」となっていることが分かる。(図 1-9) 図 1-8 共同店に行く頻度
  14. 14. 1 1 5)共同店での主たる購入品 利用者の主たる購入品は、食料品であり、(96%)次いで日用品(42%)、酒・煙草(20%) となっている。(図 1-10)また、食料品の内容としては、豆腐が一番多く、次いで牛乳等 で他にも生鮮食料品が多かった。沖縄では毎日のように豆腐を食べる方が多い。車等の移 動手段を持たない多くの高齢利用者にとっては、豆腐や生鮮食料品などの長く保存できな い物の購入先は身近にあることが必要であり、共同店は重要な存在といえる。(図 1-11) 49 20 5 9 1 2 0 10 20 30 40 50 60 ア   買 い 物 の た め イ   友 人 と 話 を す る た め ウ   情 報 収 集 の た め エ   出 荷 の た め オ   株 主 だ か ら で き る だ け 利 用 カ   主 任 さ ん と 話 を し に (人) 図 1-9 共同店に行く目的
  15. 15. 1 2 21 0 0 10 0 0 0 0 0 48 0 10 20 30 40 50 60 ア   食 料 品 イ   日 用 品 ウ   医 療 品 エ   衣 料 品 オ   酒 ・ 煙 草 カ   文 具 店 キ   本 ・ 雑 誌 ク   新 聞 ケ   お 土 産 品 コ   そ の 他 (人) 図 1-10 共同店で主に何を買うか 1 9 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 弁 当 豆 腐 野 菜 そ ば 冷 凍 食 品 飲 料 牛 乳 か ま ぼ こ パ ン 納 豆 ヨ ー グ ル ト ヤ ク ル ト (人) 図 1-11 主にどのような食料品を買うか(自由回答)
  16. 16. 1 3 6)共同店への移動方法 共同店への移動方法は 62%が徒歩であり、車やバイクを利用している人はわずか 18%とな っている。(図 1-12)利用者の多くが後期高齢者であることからも車等の移動手段を持た ない者が多く、徒歩圏内にある共同店はこうした方々にとってきわめて便利な所といえる。 このように共同店は「移動」という点からも重要な役割を果たしているといえよう。 ア 徒歩 62%イ 自転車 6% オ タクシー 0% キ 押し車 10% カ セニアカー 2% エ バス 0% ウ 自動車 14% ク 家族の送迎 0% ケ その他 6% 7)共同店利用者の外出先 ここ最近、1 ヶ月以内の共同店以外の外出先として最も多かったのは、「病院」であった (78%)。次いで「田・畑」(70%)、「農協」(60%)、「友人・知人の家」(50%)となって いる。本章第 3 項「1)共同店利用者の年齢状況・世帯状況」「2)共同店利用者の健康状態」 でみたように、利用者の多くが後期高齢者であり、何らかの疾病を抱えていることから分 かるように、「病院」が主要な外出先となっている。また、田・畑に行っている者は、農 業者に従事している人、家庭菜園をしている人等、差はあると思われるが、畑仕事が多く の高齢者にとって外出の機会となっているようである。農協は、農薬等の購入や貯金の出 し入れにより高い割合になっていると考えられる。友人・知人の家には半数の方が外出さ れているが、調査中に毎日共同店に集まっておしゃべりするという仲良し三人組のおばあ ちゃんに話しを聞くことができ、「売店があるからユンタク(おしゃべり)できる」と中 には家ではなく共同店だから毎日、気兼ねなく集まり、おしゃべりできるという方々もい た。(図 1-13) 図 1-12 共同店への移動方法
  17. 17. 1 4 8)共同店利用者の生活相談状況 利用者の共同店経営者・従業員への生活の悩み等相談状況では「よくする」「時々する」 と 20%が行っている。(図 1-14)他の相談者が「家族」(32%)、「親戚・親族」(6%)、「友 人」(8%)、「役場、民生委員、ホームヘルパー」(各 2%)、「誰にも相談していない」(38%) ということと比較して 20%が共同店の経営者、従業員に相談しているというのは注目すべ きことといえる。(図 1-15)また、相談内容は「健康についての相談」(80%)が最も多く、 次に「栄養管理について」(40%)、「家族について」(30%)であった。(図 1-16)共同店 利用者の 80%の方が何らか疾病を抱えていることからも健康について関心を持っている方 が多いようである。 39 30 6 14 5 25 6 15 10 2 5 17 5 35 6 7 3 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 ア   商 店 イ   病 院 ( 医 院 ・ 診 療 所 ) ウ   農 協 エ   町 役 場 オ   郵 便 局 カ   銀 行 キ   近 所 の 家 ク   友 人 ・ 知 人 の 家 ケ   近 所 の 家 族 の 家 コ   公 民 館 サ   福 祉 施 設 ( デ イ サ ー ビ ス ) シ   理 ・ 美 容 店 ス   趣 味 の 会 ( 囲 碁 ・ 将 棋 ・ 絵 手 紙 等 ) セ   ス ポ ー ツ 会 場 ( グ ラ ン ド ゴ ル フ ) ソ   娯 楽 場 ( カ ラ オ ケ ・ 映 画 ・ パ チ ン コ 等 ) タ   田 ・ 畑 チ   そ の 他 (人) 図 1-13 共同店利用者の外出先
  18. 18. 1 5 ア よくする 12% ウ しない 80% イ 時々する 8% 図 1-14 共同店経営者・従業員への相談状況 16 3 4 0 1 1 0 1 0 0 19 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 ア   家 族 イ   親 戚 ・ 親 族 ウ   友 人 エ   地 域 住 民 オ   役 場 カ   民 生 委 員 キ   保 健 師 ク   ホ ー ム ヘ ル パ ー ケ   ケ ア マ ネ ー ジ ャ ー コ   相 談 に あ っ た 専 門 職 ・ 専 門 機 関 に 連 絡 す る サ   相 談 し な い シ   そ の 他 (人) 図 1-15 共同店主任、従業員に相談しない方の相談者
  19. 19. 1 6 注:共同店の主任・店員に相談を「よくする」「時々する」と答えた人の回答 (4)共同店の現状と課題 1)利用者の年齢層 国頭村奥の人口構成状況を例にみると、10 才代が 17.0%、20 才代から 50 才代が 35.4%、 60 才代以上が 47.6%となっており、利用者の多くが高齢者であることから、高齢者の死亡 とともに、利用者の数が今後減少していくことは確実である。(平成 17 年「国勢調査」よ り)さらに青壮年は車等の交通手段をもっているため、利用の必要度は、減少していく。 また、利用者の中には工事関係者も含まれており、工事の減少とともにこの割合も減少し ていくことが考えられる。 2)共同店の経営状況 共同店の収支状況をみると、「どちらともいえない」8 店舗(40%)と最も多く、次いで 「やや黒字」が 6 店舗(30%)「やや赤字」が 3 店舗(15%)「かなり赤字」が 3 店舗(15%) となっており、黒字になっている共同店はわずか 30%にとどまっている。また、「どちらと もいえない」共同店も主任の方が無給に近い状態で働いている所が多く、人件費を取ると 赤字になるとのことであった。このようなことから、多くの共同店が厳しい経営状況に置 かれているといえる。(図 1-17) 8 3 4 1 0 1 1 2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ア   健 康 に つ い て の 相 談   イ   家 族 に つ い て の 相 談 ウ   栄 養 管 理 に つ い て の 相 談 エ   人 間 関 係 に つ い て の 相 談 オ   金 銭 面 に つ い て の 相 談 カ   料 理 に つ い て 等 簡 単 な も の キ   生 活 に つ い て 色 々 教 え て も ら う ク   商 品 に つ い て (人) 図 1-16 相談内容
  20. 20. 1 7 経営が厳しい理由としては、「地域共同体の弱体化」13 店舗(約 93%)、「近くに大型 スーパーができたから」11 店舗(約 79%)、「近くにコンビニができたから」6 店舗(約 43%)の三つが主な理由となっている。また、「地域共同体の弱体化」の内容としては、 若い年代が共同店に対しての意識が弱いことや、地域の人口の減少などが聞かれた。(図 1-18) このように、現状でも厳しい経営状況の中、「1)利用者の年齢層」でみたように、将来 にわたり利用者の減少が見込まれ、さらに厳しい経営状況になるものと推測される。 注:収支状況が「どちらともいえない」、「やや赤字」、「かなり赤字」と答えた人の回答 11 13 2 1 1 1 1 1 1 6 0 2 4 6 8 10 12 14 ( ア ) 近 く に 大 型 ス ー パ ー が で き た か ら ( イ ) 地 域 共 同 体 の 弱 体 化 ( ウ ) 不 況 ( エ ) 駐 車 場 が 少 な い ( オ ) つ け 払 い の 回 収 が で き て い な い ( カ ) 消 費 税 を 取 ら な い ( キ ) 本 島 と 橋 が か か っ た か ら ( ク ) 夏 場 の 光 熱 費 ( ケ ) 高 齢 者 の 方 の 買 物 単 価 が 減 っ た ( コ ) コ ン ビ ニ (店舗) 図 1-18 経営が厳しい理由 0 6 3 3 8 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ( ア ) か な り 黒 字 ( イ )や や 黒 字 ( ウ ) ど ち ら と も い え な い ( エ ) や や 赤 字 ( オ ) か な り 赤 字 (店舗) 図 1-17 共同店の収支状況
  21. 21. 1 8 しかし、このように経営が厳しい中でも経営を続ける理由としては、全ての店舗が 「地域住民の生活のため」と答えた。また、「地域住民の集いの場だから」という回答 も 11 店舗(約 78%)ある。このことからも共同店が地域住民、特に高齢者にとって住 みなれた地域で、いきいきとした生活を継続していくための重要な役割を今現在果た しており、そのこのことの認識を共同店経営者は持っているといえよう。(図 1-19) 注:収支状況が「どちらともいえない」、「やや赤字」、「かなり赤字」と答えた人の回答 3)経営上の課題 経営上の課題としては厳しい経営状況からか、やはり「利用者の増加」16 店舗(80%)「収 益の増加」15 店舗(75%)が高い割合となっている。他には「商品の質の向上」9 店舗(45%) 「後継者づくり」6 店舗(30%)等があげられている。共同店は年中無休、一日 12 時間以上 営業という店舗が多く、現在の共同店のしくみでは主任にかかる負担、また、その家族に かかる負担というものはかなり大きなものとなる。次の担い手がいないため閉店せざるを えない店舗もあり、そのことを考えると共同店を継続させていくための後継者づくりも大 きな課題の一つといえる。(図 1-20) 14 11 4 3 5 1 1 1 1 0 2 4 6 8 10 12 14 16 ( ア ) 地 域 住 民 の 生 活 の た め ( イ ) 地 域 住 民 の 集 い の 場 だ か ら ( ウ ) 村 の 貴 重 な 財 産 だ か ら ( エ ) 自 分 の 代 で 終 わ ら せ た く な い か ら ( オ ) や り が い が あ る か ら ( カ ) 文 化 を 伝 え る た め ( キ ) 店 の 借 金 を 返 す た め ( ク ) 赤 字 に な る ま で は つ づ け る 。 ( ケ ) 将 来 の 自 分 の た め (店舗) 図 1-19 経営が厳しい中でも経営を続ける理由
  22. 22. 1 9 4)利用者からの生活相談への対応状況 先にみたように、利用者の 20%が生活相談をしており、共同店ではそのほとんど(80%) が、生活相談を受けている。(図 1-21)このように、共同店は、今も強く福祉的機能を持 ち続けている。 (イ)いいえ, 4店舗 ,20% (ア)はい, 16店舗,80% 図 1-21 利用者から生活相談を受けているか 16 15 9 6 5 3 1 1 1 1 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 ( ア ) 利 用 者 ( お 客 さ ん ) の 増 加 ( イ ) 収 益 の 増 加 ( ウ ) 商 品 の 質 の 向 上 (エ ) 後 継 者 づ く り ( オ ) 情 報 発 信 ( イ ン タ ー ネ ッ ト や 広 報 紙 の 活 用 ) ( カ ) ネ ッ ト ワ ー ク 作 り( 集 落 民 、 行 政 、 ボ ラ ン テ ィ ア な ど ) ( キ ) 村 意 識 づ く り ( ク ) 夏 場 の 観 光 客 の 呼 び 込 み ( ケ ) 赤 字 に し な い よ う に ( コ ) 地 域 の お 母 さ ん に 利 用 し て ほ し い (店舗) 図 1-20 経営上の課題
  23. 23. 2 0 こうした、相談への対応方法としては、「自分がアドバイスする」が最も多く(81%)次 に「区長さんにつなげる」(31%)となっている。このように、相談対応者の役割と直接調 整者としての役割を共同店の主任、従業員は果たしている。(図 1-22) また、「いつも来るおじー、おばーが来なかったら心配になるさ。」との主任さんや従 業員の話から分かるように、共同店は高齢者の安否確認の場、そしてニーズの発見の場に もなっている。 注:利用者からの生活相談を受けていると答えた人の回答 5)地域住民のための新たな事業 地域住民のための新たな事業としては「地域の高齢者の生きがいづくり」、「移動販売」、 「お茶づくり」、「地域住民による出荷」、「デイケアに店を半分貸す」、「農協が閉鎖 されるので農具や肥料をかわりに扱う」、等があげられていた。(図 1-23)ここからは共 同店が地域のニーズに積極的に対応しようとする姿勢がうかがえる。しかし、新たな事業 に取り組む予定のない店舗が 60%を占めており、「何か新しいことを始めたいが、まずは収 益を上げなければいけない」という意見もあり、現状維持がやっとという共同店が多い。 2 0 1 13 0 2 5 0 2 4 6 8 10 12 14 ( ア ) 役 場 に つ な げ る ( イ ) 相 談 に あ っ た 情 報 提 供 を す る ( ウ ) 相 談 に あ っ た 専 門 職 ・ 専 門 機 関 に 連 絡 す る ( エ ) 自 分 が ア ド バ イ ス を す る ( オ ) 近 隣 住 民 に 相 談 す る ( カ ) 公 民 館 へ つ な げ る ( キ ) 区 長 さ ん に つ な げ る (店舗) 図 1-22 相談への対応方法
  24. 24. 2 1 (5)本章のまとめ 第 1 項では、共同店が基本的には集落(字)を単位として住民の共同出資によって運営 されている生活共同組合組織であること、最初の共同店が今からおよそ 100 年前に誕生し、 1980年頃には沖縄本島、離島あわせて116の共同店が存在したこと、しかし、現在は減少 状態にあること等共同店の概要について述べた。 第 2 項では、道路交通網の整備、通信技術の発達・発展、共同店の売り上げの低下等の 理由により、共同店がかつて持っていた機能は減退、あるいは失われていったが、現在で も共同店は地域住民の情報交換の場、憩いの場、そして高齢者にとって重要な購買の場と なっており、村落に必要不可欠なものとなっていることを述べた。 第 3 項では、65 歳以上の共同店利用者に対して行ったアンケートより、共同店を利用し ている高齢者は後期高齢者が多いこと、約半数(46%)が高齢者のみ世帯であること、80% がなんらかの疾病を抱えていることを明らかとした。これは、共同店を利用している高齢 者の多くが援助を必要としている高齢者、あるいはこれから援助が必要となる確率の高い 高齢者であることを示している。そして、84%の高齢者が週に何度も共同店を利用してい ること、40%の高齢者が共同店に友人と話しをする目的で出かけていること等からそのよ うな高齢者にとって共同店は「外出の機会づくり」、「交流の場」「憩いの場」となってい ることを明らかにした。また、共同店では特に買いだめしておけないような生鮮食料品を 買われている方が多く、車等の移動手段を持たない高齢者の方にとって、徒歩圏内で生鮮 0 1 1 1 2 1 1 1 0 0.5 1 1.5 2 2.5 ( ア ) 地 域 の 高 齢 者 の 健 康 づ く り ( イ ) 地 域 の 高 齢 者 の 生 き が い づ く り ( ウ ) 移 動 販 売 を 行 う ( エ ) お 茶 づ く り ( オ ) 地 域 住 民 に よ る 出 荷 ( カ ) デ イ ケ ア に 店 の 半 分 を 貸 す ( キ ) 農 協 が 閉 鎖 さ れ る の で 農 具 や 肥 料 を か わ り に 扱 う ( ク ) な る べ く 安 く 売 る (店舗) 図 1-23 地域住民のための新たな事業
  25. 25. 2 2 食料品が買える共同店は、重要な購買の場であり、生活になくてはならないものとなって いる。このように、第 2 項で述べた共同店の必要性について裏付ける結果をここでは得る ことができた。 第 4 項では、共同店の主任、従業員に対して行ったアンケートより、共同店の現状と課 題について明らかにした。 利用者の年齢層については、国頭村奥の例より利用者の多くが高齢者であることから、 高齢者の死亡とともに、利用者の数は今後減少していくことは確実であると述べた。 共同店の経営状況は、多くが厳しい経営状況に置かれており、その理由としては「地域 共同体の弱体化」が最も多くなっていることを明らかとした。厳しい経営状況にあるにも かかわらず、経営を続けている理由としては全ての共同店が「地域住民の生活のため」と 答え、共同店が地域住民、特に高齢者にとって住みなれた地域で、いきいきとした生 活を継続していくための重要な役割を今現在果たしており、そのことの認識を共同店 経営者は持っていることを明らかとした。 経営上の課題としては厳しい経営状況からか、やはり「利用者の増加」(80%)「収益の増 加」(75%)が高い割合となっていた。また、次の担い手がいないため閉店せざるおえない 店舗もあり、共同店を継続させていくための「後継者づくり」というのも大きな課題の一 つであることを明らかにした。 利用者からの生活相談への対応状況としては、共同店の 80%が利用者からの生活相談を 受けており、相談対応者の役割と直接調整者としての役割を共同店の主任、従業員は果た していることを明らかとした。また、共同店は高齢者の安否確認の場、そしてニーズ発見 の場にもなっていることを明らかとした。 地域住民のための新たな事業からは共同店が地域のニーズに積極的に対応しようとする 姿勢がうかがえたが、新たな事業に取り組む予定のない店舗が 60%を占めており、「何か新 しいことを始めたいが、まずは収益を上げなければいけない」という意見からも、現状維 持がやっとという共同店が多いことを明らかとした。 5.共同店の今後に向けての新たな展開 (1)共同店の新たな展開の必要性 これまででみてきたように、共同店は移動手段を持たない高齢者が毎日食べる豆腐や牛 乳といった生鮮食料品を買うことができる貴重な購買の場となっている。共同店が地域か ら消滅してしまうことは、すなわち、移動手段を持たない高齢者が新鮮な食料品を買うこ ともできず、必要な物を必要な時に買えなくなる生活を余儀なくされてしまうことを意味 している。このように、共同店のある地域では、共同店なくして、高齢者の住み慣れた地 域でのいきいきとした暮らしの実現は難しいのである。そのため、現在、多くが厳しい経 営状況におかれている共同店の存続のための新たな展開が求められているといえる。 さらに、共同店はこのような購買の場としてだけではなく、地域住民の情報交換の場、
  26. 26. 2 3 憩いの場、安否確認の場、ニーズ発見の場といった、福祉的な機能も果たしている。第 4 章 3 項で明らかにしたが、共同店を利用している高齢者の多くが現在何らかの問題を抱え ている高齢者、あるいはこれから問題を抱える確率の高い高齢者である。このため、共同 店の持っている福祉的な機能に注目し、共同店をこのような存在として位置づけた取り組 みを行うことはきわめて重要といえる。 また、現在、地域の公民館を拠点として、多くの市町村で介護予防事業が展開されてお り、共同店を利用している高齢者も 60%の方が参加されていた。(図 2-1) しかし、介護予防事業は、多くが月に 1 回のペースでしか開催できていないこと、また、 公民館はあるけれど介護予防事業が開催されていない地域もあり、参加したくても近くで やっていないので参加できない等の課題を抱えている。そこで、高齢者の方が日常的に利 用している共同店に介護予防活動の場としての機能を持たせ、ここを会場として介護予防 事業に取り組むことで、こうした課題の解決が可能となる。介護予防事業の拠点としての 役割を共同店が持つ新たな展開により共同店は新たな意味を持ちうると考える。 イ 参加していな い 40% ア 参加している 60% 地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開について述べる前にここでは、その基礎 知識として、重要なものについて説明していく。 (2)地域福祉とは 地域福祉とは「地域の様々な生活課題について、住民自らが気づき、それを自分たちの 図 2-1 介護予防事業への参加状況
  27. 27. 2 4 問題として共に考え、問題解決へ向けて活動していく住民の主体的な支えあいのネットワ ークづくりを機軸として、さらにその上に住民主体の福祉活動を支える多様な関係機関・ 団体のネットワークを形成し、この両者の連携のもとで“誰もが人として尊厳をもって、家 庭や地域のなかで、その人らしい自立した生活が送れるような地域社会”をつくっていくこ と」[3] と定義している。 ①地域福祉を支える理念 地域福祉を支える理念として、障害のある一人ひとりの人権を認め、取り巻いている環 境条件を変えることによって、生活状況を、障害のない人の生活と可能な限り同じにして、 「共に生きる社会」を実現しようとするノーマライゼーションの理念(2) 、また単なるサー ビスの提供や、場づくりだけでなく地域住民や要援護者の Q O L の理念(3) を持って地域福 祉に取り組まなければならない。 ②社会福祉法における地域福祉の位置づけ 2000 年に制定、公布された社会福祉法では「この法律は、社会福祉を目的とする事業の 全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まって、福祉 サービス利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(以下「地域福祉」という。)の 推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とす る事業の健全な発達を図り、もって社会福祉の増進に資することを目的とする。」(第 1 条) として、これからのわが国の社会福祉は「地域福祉の推進を図る」ことであることが示さ れた。さらに、「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関す る活動を行うものは、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構 成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化、その他あらゆる分野に参加する機 会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」(第 4 条)として、地 域福祉推進の主体者が住民であることが明記された。 このことは「住民の主体的な活動の促進」と「公私の社会福祉事業者の組織化・連携」 を行っていく社協が、今後の地域福祉推進の中核的役割を果たすことが法に明確に位置づ けられたことを意味するものといえる。 ③地域福祉を推進する「3つの力」 地域福祉を推進するためには、3つの力(要素)が不可欠である。それは「自助力」「公 助力」「共助力」である。 「自助力」は、支援の必要な当事者やその家族自身の自立に向けての努力である。最終 的には、行政保健師、社協の福祉活動専門員、地域包括支援センター職員が自助力を引き 出し高めなければならない。そのためには、地域ケア会議(4) を積極的に運営し、専門職・ 専門機関の連携、協働が重要となる。 「公助力」は、専門職や制度・サービス・援助のことであり、いわゆるフォーマルサー ビスによる支援である。介護保険制度のような全国一律的な制度がある一方で、自治体独 自のサービスについては大きな格差がみられる。よって、社協と行政が協働し、高い水準
  28. 28. 2 5 のサービス提供や援助を行われることが求められる。 「共助力」は、地域住民やボランティアなどの支援のことであり、いわゆるインフォー マルな支援のことである。地域の特性や実態に合わせ、住民主体の地域福祉活動を創造し ていくことが必要である。この活動を高めるのは社協の役割である。具体的には、小地域 福祉活動を展開することであり、地区社協(5) の設置、福祉委員制度(6) の設置、小地域ネ ットワーク活動(7) (要援護者の見守りシステム)などがあげられる。 この3つの力は、単独で機能するのではなく、これらが相互に作用し、協働し合って大 きな力を発揮することとなるのである。(図 1) 出展:『地域福祉ガイドブック』 岡山県社協 2003 年 ④地域福祉の構成要素 永田幹夫氏は「地域福祉とは、社会福祉サービスを必要とする個人・家族の自立を地域 社会の場において図ることを目的とし、それを可能とする地域社会の統合化および生活基 盤形成に必要な生活・居住条件整備のための環境改善サービスの開発、対人的福祉サービ ス体系の創設、改善、動員、運用、およびこれらの実現のためにすすめる組織化活動の総 体をいう」[4] と述べ、その構成要素として「①在宅福祉サービス(予防的サービス、専門 的ケアサービス、在宅ケア、福祉増進サービスを含む対人福祉サービス)、②環境改善サ ービス(物的・制度的施策を含む生活・居住条件の改善整備)、③組織活動(地域組織化 およびサービスの組織化、管理の統合的運用によるコミュニティワークの方法技術)」[5] としている。(図 2)   公・民の多様な福祉サービス 支えが必要な人・家族支えが必要な人・家族支えが必要な人・家族 住民の主体的な福祉活動住民の主体的な福祉活動住民の主体的な福祉活動 社会福祉法への住民の 主体的活動の明確化 高齢者福祉 障害者福祉児童福祉 地域福祉地域福祉地域福祉 地域社会 地域社会 Cf.50年ぶりの法改正 これまでは、行政と社会福祉法人 自助自助 共助共助 公助・償助公助・償助 図 1 地域福祉の 3 つの力
  29. 29. 2 6 地 域 福 祉 在宅福祉 サービス 環境改善 サービス 組織活動 予防的福祉サービス 専門的ケア・サービス 在宅ケア・サービ ス 福 祉 増 進 サ ー ビ ス 住民の福祉への参加・協力、意識・態度の変 容を図り福祉コミュニティづくりをすすめる 要援護者の社会参加を促進するために 必要な制度的条件の改善整備 地域組織化 福祉組織化 要援護にならないための諸活動 地域住民全体・あるいは特定の 階層の集団等に対して行う 要援護者のニーズのうち、従来社会 福祉施設、医療機関の一部で行われ てきた専門的サービスを地域で再編 成したもので、特質はあくまで専門 的サービスを中軸とするもの 家族内で充足されてきた日常生活上の 介助、保護、養育等のニーズが家族機 能の変化により社会化されたものを、 施設で対応するのでなく地域で在宅の まま再編するもの。 専門的サービスにあわせて非専門的サ ービスとしてボランティア、地域住民 の参加を求める サービスの組織化・調整、サービス供給 体制の整備、効果的運営 (要援護者に限らず、一般住民を含めて福祉 の増進を図る)老人の社会参加、生きがい対 策 要援護者の生活、活動を阻害している 物的条件の改善整備を図る <情報の提供、教育、相談活動 > ニーズの早期発見 事故等の発生を防ぐための地域 環境条件や物的危険防止などの 点検整備 <医療、看護、(訪問)> リハビリテーション、教育、カ ウンセリング、濃密な身辺介助 サービス (施設の社会化、中間施設創 設、サービス・ネットワーク) <家事援助サービス> 給食、配食、入浴、洗濯、布団 乾燥、買物、歩行、外出、雑用 図 2 地域福祉の体系図 出展:永田幹夫『改訂 地域福祉論』全国社会福祉協議会,1993 年,46 項
  30. 30. 2 7 ⑤福祉コミュニティとは 福祉コミュニティとは「地域における様々な生活課題について、住民自らが気づき、そ れを自分たちの問題として共に考え、問題解決へ向けて活動していく住民の主体的な支え あいの土壌が定着したものとしてあり、その上に日常的な住民の生活を支える多様な関係 機関・団体のネットワークが形成されていると同時に、生活課題の解決へ向けた、この両 者(住民と関係者)の有機的な連携が図られているコミュニティ」[6] のことをいう。 これは一般のコミュニティを形成の基盤として、福祉的援助を必要とする人々の福祉追 求を原点において、、サービスや施設の体系的整備とともに、そこに住む地域住民が社会福 祉に関心と理解を持って、それに積極的に参加していくコミュニティである。そこでは要 援護者を含むすべての人々が、ノーマライゼーションの理念に基づいて、、自立した生活を 送ることが可能である。そのためには、まず、地域住民の福祉意識・態度の醸成が必要と される。 出展:岡山県社会福祉協議会,『地域福祉ガイドブック』,2003 年 (3)社会福祉協議会とは ①社会福祉協議会の定義 社会福祉協議会(以下「社協」とする。)とは、「地域において民間の自主的な福祉活 動の中核となり、住民の参加する福祉活動を推進し、保健福祉上の諸問題を地域社会の計 画的・共同的努力によって解決しようとする公共性・公益性の高い民間非営利団体で、地 域福祉の推進により福祉コミュニティづくりを使命とする組織」[7] として 1951 年(昭和 26 年)の社会福祉事業法(現・社会福祉法)の成立とともに、同法に基づき誕生した。 福祉コミュニティの形成のための3要素 “社協活動で推進していくべき要素” ①住民主体の福祉活動と“共に生きる”福祉意識の浸透 ②フォーマル、インフォーマルを含めた多様な在宅福祉 サービス(福祉施設・市民活動含む)及び社会資源 ③サービス関係者と地域住民等のネットワーク 生活圏としての地域 図 3 福祉コミュニティ形成のための 3 要素
  31. 31. 2 8 「新・社会福祉協議会基本要項」(1992 年策定)において、社協は、 1 地域における住民組織と公私の社会福祉事業関係者等により構成され、 2 住民主体の理念に基づき、地域の福祉課題の解決に取り組み、誰もが安心して暮らす ことのできる地域福祉の実現をめざし、 3 住民の福祉活動の組織化、社会福祉を目的とする事業の連絡調整および事業の企画・ 実施などを行う、 4 市区町村、都道府県・指定都市、全国を結ぶ公共性と自主性を有する民間組織とされ ている。(図 4) 図4 社会福祉協議会の組織体系 出展:全国社会福祉協議会:『新版・社会福祉学習双書 2007 15 社会福祉協議会活動論』, 2007 年,44 項 ②社会福祉協議会活動の5つの原則 「新・社会福祉協議会基本要綱」では、社協が地域福祉活動を進めていく上で堅持すべ き基本姿勢を「5つの活動原則」として示している。 1 住民ニーズ基本の原則 広く住民の生活実態・福祉課題などの把握に努め、そのニーズに立脚した活動を進め る。 2 住民活動主体の原則 住民の地域福祉への関心を高め、その自主的な取り組みを基礎とした活動を進める。 3 民間性の原則 民間組織としての特性を生かし、住民ニーズ、地域の福祉課題に対応して、開拓性・即 応性・柔軟性を発揮した活動を進める。 2 以上 全国社会福祉協議会 都道府県・指定都市社会福祉協議会 郡社会福祉協議会 市区町村社会福祉協議会 広域圏社会福祉協議会 小地域社会福祉協議会
  32. 32. 2 9 4 公私協働の原則 公私の社会福祉及び保健・医療・教育、労働などの関係機関・団体、住民等の協働と役 割分担により、計画的かつ総合的に活動を進める。 5 専門性の原則 地域福祉の推進組織として、組織化、調査、計画等に関する専門性を発揮した活動を進 める。 ③社会福祉協議会の機能 「新・社会福祉協議会基本要綱」では、地域福祉推進の中核組織として発揮すべき「7 つの機能」を示している。 1 住民ニーズ・福祉課題の明確化及び住民活動の推進機能 地域住民と協力して、福祉ニーズを早期かつ的確に把握し、福祉課題を明らかにしてい くため、ニーズキャッチシステムを中心とした地域ケアシステムを作り上げ、問題解決 への活動を展開していく。 2 公私社会福祉事業等の組織化・連絡調整機能 社会福祉、保健、医療、教育、労働、建築などの幅広い関連分野の関係者との連絡調整 を図り、ネットワーク作りを推進していく。 3 福祉活動・事業の企画及び実施機能 1,2 の機能に基づきながら、地域ニーズや課題に即した様々な活動や事業を企画し、実 施していく。 4 研究調査・開発機能 地域の福祉課題や問題、ニーズを明らかとしていくため、実態調査を実施し、その分析 に基づき新たな活動や社会資源を開発、実施していく。 5 計画策定、提言・改善運動機能 地域の福祉課題や問題の解決に的確かつ継続的に取り組んでいくため、住民参加による 地域福祉活動計画の策定を行い、これに基づいて活動を推進していく。また、地域の福 祉課題や問題の解決に向けて、行政をはじめとした関係機関に提言や具体的な改善活動 を行っていく。 6 広報・啓発機能 地域の福祉課題や問題、ニーズあるいは福祉理念や福祉制度、サービスなどについて、 住民や関係者の理解と認識を深めていくために、広報誌や様々な情報誌の発行を行うと ともに、積極的なアウトリーチ活動や住民座談会の開催等を行っていく。 7 福祉活動・事業の支援機能 地域で展開される住民の自主的・自発的な福祉活動や各種団体活動を支援していく。
  33. 33. 3 0 (4)介護予防とは 介護予防の定義 「介護予防とは、どのような状態にある者であっても、生活機能の維持・向上を積極的 に図り、要支援・要介護状態の予防及びその重症化の予防、軽減により、高齢者本人の自 己実現の達成を支援することである。」[8] つまり、介護予防の対象は、必ずしも「生活機 能の低下の無い者」のみではなく、生活機能の低下が疑われる者(特定高齢者)、要支援・ 要介護状態にある者に対しても行われるものであり、単に、心身の機能的な向上のみが目 的ではなく、高齢者本人にとっての生活目標が自己実現できるように支援することが重要 である。このため、高齢者の生活機能の低下の程度に対応して「一次予防」「二次予防」「三 次予防」(8) を行うことが必要で、特に、生活機能の低下が軽度である時期からの早期発見、 早期対応を効果的に行うことが必要不可欠である。 さらに、「介護予防」は、高齢者個人のみではなく、「地域」を包み込んだ取り組みや 視点が必要である。「介護予防を『まちづくり』として捉えて、むしろ高齢者自身が作り 上げていくことを行政や専門職が黒子となって支援していくような介護予防のまちをつく る。そのために、高齢者を保健・福祉サービスの受給者としてのみ捉えることなく、一部 サービスの提供者としても捉え、それぞれの生活する場所で、自助、共助、そして公助を 介護予防という理念で集約していく」[9] ことが重要とされる。即ち、介護予防は「地域づ くり」「まちづくり」といえる。 [表 1]は今回調査した 2 市 5 村の「特定高齢者数」、「要支援 1」、「要支援 2」、高 齢者数である。特定高齢者数は、高齢者数のうちの 5%であるとする厚生労働省の予想を 大幅に下回っている。このように市町村の特定高齢者数の把握が困難であることは、今回 調査した市町村だけではなく、他の市町村でも見られ、今後の課題である。
  34. 34. 3 1 表 1 市村別特定高齢者数、要支援 1、要支援 2、高齢者数 注:(読谷村:平成 19 年 3 月現在、うるま市:平成 19 年 3 月現在、国頭村:平成 19 年 7 月現 在、名護市:平成 19 年 8 月現在[特定高齢者は平成 19 年 3 月]、大宜味村:平成 19 年 3 月現 在、今帰仁村:平成 19 年 4 月現在、恩納村:平成 19 年 4 月現在) (5)地域包括支援センターとは 地域包括支援センターは、「生活圏域で地域包括ケア(9) を有効に機能させるために、保 健師、主任介護支援専門員、社会福祉士といった専門職を配置し、各職種が力を合わせ、 その専門職が技能を互いに活かしながら、地域での各種のサービスや住民活動を結びつけ、 地域のネットワークを構築あるいは再生するなどの取り組みを第一の柱としながら、個別 サービスのコーディネートをも行う中間機関」[10] であり、「どのようなサービスを利用し てよいかわからない住民に対して1ヶ所で相談からサービス調整に至る機能を発揮するい わばワンストップサービスの拠点」[11] である。さらに、「地域住民の心身の健康の保持及 び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進 を包括的に支援すること(介護保険法第 115 条の 39 条第1項)」[12] を目的として設置され る、いわば「地域包括ケア」の中核機関として位置づけられている。責任主体は市町村と なっている。 ①地域包括支援センターの視点と機能 地域包括支援センターは、地域ケアを展開していく重要な柱であり、公正・中立な立場 で、以下の視点と機能を持つことが求められている。 〈地域包括支援センターの視点〉 特定高齢者数(人) 要支援1(人) 要支援2(人) 読谷村 15 111 152 うるま 市 104 188 373 国頭村 調査未実施 64 28 名護市 14 223 170 大宜味 村 調査未実施 27 21 今帰仁村 6 29 32 恩納村 1 61 37
  35. 35. 3 2 1 統合性 高齢者の多様なニーズや相談を総合的に受け止め、尊厳ある生活の継続のために必要な 支援につなぐこと。 2 包括性 介護保険サービスのみならず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、 支え合いなどの多様な社会資源を有機的に結びつけること。 3 継続性 高齢者の心身の状態の変化に応じて、生活の質が低下しないように適切なサービスを継 続的に提供すること。 4 地域性 退所から在宅へ、退院から在宅へ至る際のワーカーの継続的支援。 〈地域包括支援センターの機能〉 1 「新予防給付」のマネジメントを含む「介護予防マネジメント」 要介護状態となることの予防と要介護状態の悪化予防の一体的対応である。 2 地域の高齢者の実態把握を含む「総合的な相談窓口機能」 ワンストップ相談から多面的(制度横断的)支援の展開を行う。具体的には、実態把握・ 初期相談対応・専門相談支援などを行政機関、保健所、医療機関、児童相談所等、必要な サービスにつなぐ。 3 介護サービスのみならず、介護以外の様々な生活支援を含む「包括的・継続的マネジ メント」 高齢者が住みなれた地域で暮らせるよう、主治医、ケアマネジャーなど他職種協働・連 携による長期ケアマネジメントの後方支援、地域包括支援システム確立への取り組みがあ る。 4 虐待への対応・早期発見などの「権利擁護機能」 虐待の発生予防のための相談、指導、助言。通報や届出先として早期発見の役割、等が ある。 ②設置主体 市町村又は市町村から委託を受けた法人(在宅介護支援センターの設置者、社会福祉法 人、医療法人、公益法人、NPO 法人、その他市町村が適当と認める法人) ③職員体制 保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員等を配置 (6)「ふれあい・いきいきサロン」とは 「ふれあい・いきいきサロン」とは、平成 7(1995)年に全社協が提案した住民の自発 的な活動形態の1つの名称であり、「地域を拠点に、住民である当事者とボランティアと が協働で企画をし、内容を決め、共に運営していく楽しい仲間づくりの活動」[13] としてい
  36. 36. 3 3 る。この活動の対象は、高齢者だけでなく地域の障害者、子育て中の親など多様であり、 この内特に、種々の事業により、閉じこもりがちな人たちが気軽に仲間づくりを促進し、 地域でいきいきと元気に暮らせることをめざす活動。活動の場所も、自宅開放から公民館 など、地域の実情に即して展開している。近年は寝たきりや認知症の予防活動と位置づけ、 町内会・自治会単位で開発が始まっている。 高齢者を対象にした場合、この活動の効果として、「①楽しさ・いきがい・社会参加、② 無理なく体を動かせる、③適度な精神的刺激、④健康や栄養について意識する習慣がつく、 ⑤生活のメリハリ、⑥閉じこもらせない」[14] 等多くの効果があげられている。このように、 この活動は、ある種の予防活動であり、同時に高齢者などの社会参加やボランティア活動 の場というように、多様な側面を持っている。しかも「自由で、楽しい」活動の追求とい う住民活動の原点ともいうべき内容をもっていることもあって、急速に全国に広がってい る。 社協は、これまで「ふれあいのまちづくり事業」(10) などを通じて、福祉コミュニティづ くりを推進してきた。この「サロン活動」は当事者やボランティア、各種団体が協働して 取り組めることから、福祉コミュニティづくりに最もなじんだものといえよう。 現在は、「地域福祉等推進特別支援事業」(11) の具体的な取り組みとして「ふれあい・い きいきサロン」が位置づけられている。しかし、「地域福祉等推進特別支援事業」は市区 町村社協に委託可能となっており、「ふれあい・いきいきサロン」は引き続き、社協が推 進していく活動である。 6.地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開 第 5 章第 2 項でも述べたように、地域福祉とは単なる地域での福祉支援ではない、要援 護者が「在宅」で過ごしているというだけでなく、「心のはずむ暮らし」の実現を支援し ていくことが求められる。すなわち、実践の質が問われるのである。さらに、要援護とな った個人の生活を支え、いきいきとしたものに変えていくだけでなく、こうした取り組み を通して、要援護者と地域住民との関わりを組織化し、これにより地域住民の意識を変え、 地域の有様そのものを変えていく取り組みでもある。こうした一連の実践により、はじめ て「住み慣れた地域での、いきいきとした暮らし」は実現されるのである。 第 5 章第 1 項で共同店の新たな展開の必要性について述べたが、共同店の新たな展開の 一考察として、ここではこのような地域福祉の視点から、共同店の今後に向けての新たな 展開について考える。 (1)「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「ふれあい・いきいきサロン一体型共 同店」 1) 多機能型ふれあい・いきいきサロンの開催 共同店の近隣に公民館等の「ふれあい・いきいきサロン」が開催できる建物があればそ
  37. 37. 3 4 れを利用し、なければ共同店の空きスペースの利用や駐車場等にテントと椅子を用意して 「ふれあい・いきいきサロン」を開催する。 1 外出の場、交流の場としての機能 ここでは特別なプログラムは用意せず、地域内の高齢者同士や住民同士の気軽な話しや 交流の場とし、地域からボランティアにも参加してもらい地域内の関係作りを進めてい く。 2 相談、情報提供の場としての機能 行政保健師や社協の福祉活動専門員、地域包括支援センター職員、リハビリ職員、その 他福祉関係職員等の専門職が参加し、簡単なレクリエーションや福祉相談、情報提供、血 圧測定、健康相談、リハビリ等も行っていく形としていく。 ③介護予防活動の場としての機能 介護予防サポーターを育成し、その人達により、介護予防体操等を行い、介護予防デイ サービス等での効果を継続させる地域での受け皿とする。身近な場所で、しかも顔見知り ばかりなので気兼ねもなく、そして買物のついでに参加できる。このようなことからより 多くの高齢者が介護予防活動へ気軽に日常的な参加が可能となる。 2)様々な福祉機能の場としての活動 共同店は、「話し相手」、「生活相談」、「安否確認」、「情報交換の場」等の福祉的 な役割を果たしており、これらを事業としてしっかり行うことで「予防的福祉機能」を持 った共同店とする。 3)「ふれあい市」の開催 共同店の敷地内では「生きがい活動」として定期的に「ふれあい市」を開催し、出品活 動を通じて高齢者の生きがいづくりを図るとともに、出品者同士、お客さんとの交流によ る地域全体の関係の拡大を目指していく。
  38. 38. 3 5 「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「一体型共同店」イメージ図 福祉 委員 医療関係 者 住民 介護予防 教室 ケアマネ ジャー 行政 保健師 地域 共同店+ふれあい・いきいきサロ ン 購買機能 安否確認 情報提供、交換 生きがいづくり、社会参加 地域住民同士の交流 人と人との絆の広がり ニーズキャッチ 生活相談をはじめとした総合相 談 介護予防 健康づくり 高齢者 (在宅) 住民 住民 民生 委員 PT OT 地域包括 職員福祉関係 職員 社協職員 住民
  39. 39. 3 6 (2)「一体型共同店」に対する利用者の意識 このような「介護予防機能」「予防的福祉機能」を持った「ふれあい・いきいきサロン一 体型共同店(以下「一体型共同店」とする)」に対する利用者の意識は、「ぜひ参加したい」 (64%)、「時々参加したい」(2%)、「時間帯によっては参加したい」(2%)と、合わせて 68%の方が参加してみたいと答え、こうした取り組みへのニーズは高いといえる。(図 3- 1) そして、参加したいと答えた方で「そこでは何をしたい(何をしてもらいたい)か」と いう質問には「買い物」(100%)、次に「みんなと話がしたい」(91.1%)、「筋トレや体操 等介護予防事業をしてもらいたい」(79.4%)、「健康相談に乗ってもらいたい」(70.5%)、 「レクリエーション」(61.7%)、「福祉・保健・医療の情報提供」(41.1%)、等の希望が 多くなっていた(図 3-2 参照)。「一体型共同店」はこうした利用者の希望を含んだプロ グラムとし、その時々の要望内容に応じてプログラムも変更して行っていく形としてい く。 イ 時々参加したい 2% ウ 参加したくない 28% エ わからない 4% オ その他 2% ア ぜひ参加したい 64% 図 3-1 「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」に対する利用者の意識
  40. 40. 3 7 注:これは「一体型共同店」へ「ぜひ参加したい」「時々参加したい」と答えた人の希望 「ふれあい市」の開催についての利用者の方の意識は 60%の方が「参加したくない」と 答えた。(図 3-3)その理由として多くを占めていたのが「家族や友人に配るのが楽しみ だから」(53.3%)であった。(図 3-5)しかし、一方で「ぜひ参加したい」(36%)、「と きどき参加したい」(4%)を合わせた「参加したい」と答えた者も 40%あり注目される。 (図 3-3)その理由としては「収益が得られる」(70%)が最も多かった。次いで「農作 物を作るのが楽しい」(65%)、「健康のため」(60%)があげられており、(図 3-4)介 護予防につながるものとなっている。私たちが岡山県の道の駅の出品者に対して行ったア ンケートでも 90%の方が出品活動はいきがいになっていると答えており、40%の方々から でも出品活動を始める価値は十分にある。 31 34 24 3 14 21 1 27 11 11 1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 ア   み ん な と 話 が し た い イ   買 い 物 が し た い ウ   健 康 相 談 に 乗 っ て も ら い た い エ   福 祉 の 相 談 に 乗 っ て も ら い た い オ   福 祉 ・ 保 健 ・ 医 療 の サ ー ビ ス に つ い て の 情 報 を 提 供 し て も ら い た い カ   レ ク リ エ ー シ ョ ン キ   リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン を し て も ら い た い ク   筋 力 向 上 ト レ ー ニ ン グ や 体 操 と い っ た 介 護 予 防 事 業 を し て も ら い た い ケ   食 事 を し た い コ   手 芸 、 囲 碁 、 将 棋 な ど い ろ い ろ な 趣 味 活 動 を し た い サ   情 報 交 換 (人) 図 3-2 ふれあい・いきいきサロン一体型共同店への希望内容
  41. 41. 3 8 イ 時々参加したい 4% ウ 参加したくない 60% エ わからない 0% オ その他 0% ア ぜひ参加したい 36% 注:これは「ふれあい市」へ「ぜひ参加したい」「時々参加したい」と答えた人の希望 図 3-3 共同店での出品活動への参加意識 8 4 13 14 12 1 3 0 2 4 6 8 10 12 14 16 ア   出 品 者 同 士 で 話 が し た い イ   お 客 さ ん と 話 が し た い ウ   農 作 物 ( 工 芸 品 ) を 作 る の が 楽 し い エ   収 益 が 得 ら れ る オ   健 康 の た め カ   共 同 店 の た め 余 っ た 物 を 出 品 し た い (人) 図 3-4 出品活動(ふれあい市)への参加理由
  42. 42. 3 9 注:これは「ふれあい市」へ「参加したくない」と答えた人の希望 7.地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開の実現に向けて 社会福祉法では、「国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と 協力して、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サー ビスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策 その他の必要な各般の措置を講じなければならない。」(第 6 条)と地域福祉推進における 行政責務について明記している。同法ではさらに「地域福祉の推進を図ることを目的とす る団体」として社会福祉協議会を位置づけている(第 109 条) 先に第 5 章第 2 章「③地域福祉を推進する力」において述べたように、地域福祉の視点 から考える共同店の新たな展開を考える時、行政と社協の連携なくしてその実現は困難で あるといえる。ここでは行政と社協が「地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開」 に果たす役割、そして行政、社協に対して行ったアンケートより「一体型共同店」に対す る認識状況についてみていくこととする。 (1)「一体型共同店」に果たす行政の役割 先ほど述べたように、行政は、社会福祉法第 6 条において地域福祉推進における責務を 明記されていることから、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、共同店の あるような高齢化の進んだ地域のいきいきとした暮らしづくりに取り組んでいくことが求 0 1 3 0 0 3 5 16 2 1 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 ア   共 同 店 の 売 り 上 げ に 影 響 が あ り そ う だ か ら イ   自 分 が 作 っ た 農 作 物 《 工 芸 品 》 に 自 身 が な い か ら ウ   健 康 に 不 安 が あ る か ら エ   忙 し い か ら オ   あ ま り 人 前 に 出 た く な い か ら カ   興 味 が 持 て な い キ   そ ん な に 多 く 作 れ な い か ら ク   家 族 や 友 達 に 配 る の が 楽 し み だ か ら ケ   趣 味 の 範 囲 で 楽 し み た い コ   体 力 的 に き つ い (人) 図 3-5 出品活動(ふれあい市)への不参加理由
  43. 43. 4 0 められる。このことは、保母武彦氏が指摘するように、経済的効率での視点ではなく、 「いのちと暮らしの保障」[15] という視点での取り組みでなければならない。このように、 「そこに人間が住み、集落が維持され」ていくための取り組みのひとつである「一体型共 同店」は、「たとえ経済効率が低くとも」大切な取り組みであり、まさに行政責任として 取り組むべき性格を持った課題といえるものである。 (2)「一体型共同店」に対する行政の認識状況 行政職員の「一体型共同店」についての認識状況は、「今すぐ必要だと思う1市行政」「い ずれ必要になると思う 2 市村行政」を合わせて 3 市村行政(回答 4 市村行政中)が「必要 である」との認識をしめした。(表 1)「必要でない 1 村行政」の村行政が「必要でない」 との認識を示した。(表 1) 表 1 「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」への市村行政の認識状況 ①今すぐ必要だと思う ②いずれ必要になると思う③必要がないと思う 市行政(2行政) 1 1 村行政(2行政) 1 1 合計 1 2 1 また、自由回答でも「地域の共同意識が弱体化し、行政が何かしらのきっかけを作らな いと、地域住民は動き出さない。今後、それがより強い傾向になってくると思われる。高 齢者も、若年層も、地域での共同体意識の向上が必要。」「少子・高齢社会において、障害 者、高齢者、子どもや親などのふれあいの場として地域社会の協力を得ながら推進してい く。ボランティアの育成、世代間の交流、高齢者の介護予防等、地域社会の活性化にとっ て、大変良い取り組みであると思う。」等の意見があった。このように「一体型共同店」 に対する行政の理解はあり、認識や関心は高いものといえる。また、「一体型共同店」の 実施依頼があった場合の取り組みとして、「健康相談、福祉相談等への職員参加」「関係機 関との連絡調整」が最も多く、「介護予防事業として取り組む」、「介護予防サポーター の養成」、「活動の資金助成」があげられている。「協力できない」「協力したいが現状で は難しい」等の意見はなく、取り組みに向けての前向きな考えを示している。(図 4-1)
  44. 44. 4 1 行政が、「一体型共同店」の事業の具体化を図っていくため条件としては「地域ボラン ティアの確保」を多くあげている。次に「事業財源の確保」、「地域住民との調整」、「移 動手段の確保」、となっている。行政は、事業財源の確保とともに、何よりも地域ボラン ティアの確保を重要視している。(図 4-2)このことは、本事業の具体化を図っていく上 で重要点であるといえる。 1 2 3 3 2 0 0 0 0 1 2 3 4 ① 活 動 の 資 金 助 成 ② 介 護 予 防 事 業 と し て 取 り 組 む ③ 健 康 相 談 、 福 祉 相 談 等 へ の 職 員 参 加 ④ 関 係 機 関 と の 連 絡 調 整 ⑤ 介 護 予 防 サ ポ ー タ ー の 養 成 ⑥ 協 力 で き な い ⑦ 協 力 し た い が 現 状 で は 難 し い ⑧ そ の 他 (ヵ所) 図 4-1 「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」への行政の取り組み内容
  45. 45. 4 2 (3)「一体型共同店」に果たす社会福祉協議会の役割 社協は、社会福祉法において「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」(第 109 条) として位置づけられ、地域福祉推進の中核としての役割を持っている。社協は、「新・社 会福祉協議会基本要綱」(1992 年)において、その活動原則として、「住民ニーズ基本の原 則」「住民活動主体の原則」「民間性の原則」「公私協働の原則」「専門性の原則」の 5 つの 原則をもっている。即ち、「住民ニーズ基本の原則」に基づき、「日常生活用品の確保」、 ニーズに対して、「民間性の原則」に基づき、民間の立場から即応的、開拓的に必要な制 度サービスを開発し、「専門性の原則」による高い専門性を持って、「公私協働の原則」「住 民活動主体の原則」に基づき、行政機関(公)及び地域住民(私)と連携して積極的にそ の解決に向けた地域福祉活動に取り組んでいくことが求められている。また、第 5 章第 2 項、「④地域福祉の構成要素」で述べた、地域福祉の重要な活動である「環境改善サービス」 の活動として「一体型共同店」は位置づけられるものであり、「地域福祉の推進を図るこ とを目的とする団体」である社協としての重要な課題として考えられる事業といえる。さ らに、「一体型共同店」に果たす社協の役割として私が最も重要な活動となると考えるの が「環境改善サービス」と同じく、地域福祉の構成要素である「組織活動」である。「組 織活動」には住民の福祉への参加・協力、意識・態度の変容を図り福祉コミュニティづく りをすすめる(地域組織化)とサービスの組織化・調整、サービス供給体制の整備、効率 的運営(福祉組織化)の 2 つの活動がある。第 4 章第 4 項で述べたように、共同店の抱え る一番の課題は「地域共同体の弱体化」である。この「地域共同体の弱体化」には地域の 2 0 0 0 3 0 00 1 1 1 2 0 0 1 1 0 0 0 1 2 0 1 2 3 4 事 業 財 源 の 確 保 地 域 住 民 と の 調 整 共 同 店 と の 調 整 あ る 程 度 の 利 用 者 の 数 の 見 込 み 地 域 ボ ラ ン テ ィ ア の 確 保 地 域 内 で 集 ま れ る 場 の 確 保 移 動 手 段 の 確 保 1位 2位 3位 (ヵ所) 図 4-2 事業の具体化を図っていくための条件
  46. 46. 4 3 人口の減少と若い年代が共同店に対しての意識が弱いことなどがあげられたのだが、私の 調査中には「若い年代の人たちが共同店を利用してくれない」「若い主婦の方々がもっと共 同店を利用してくれたら」という意見を共同店の主任の方々、そして高齢者の方々から多 く聞くことがあった。そこで、社協はこのような特に若い世代の方々が共同店が地域から なくなるということを自分たちの問題であると認識し、「一体型共同店」への協力、参加 が促されるよう、意識・態度の変容を図る、地域組織化活動を進めなければならない。ま た、このような地域組織化活動は、行政が「一体型共同店」の具体化の一番の条件にあげ ている地域ボランティアの確保という活動も含まれている。そして、福祉組織化活動とし て行政や共同店、その他関係機関や地域住民等のフォーマル・インフォーマルな社会資源 との協働活動を組織化し、その中心的コーディネーターとしての役割を果たしていくこと が求められている。このような社協が行う地域組織化、福祉組織化という組織活動があっ て初めて、「一体型共同店」の基盤が整備されていく。 (4)「一体型共同店」に対する社会福祉協議会の認識状況 今回、社協に対して行ったアンケート調査より「一体型共同店」についての社協の認識 状況をみると「今すぐ必要だと思う 1 社協」「いずれ必要になると思う 3 社協」を合わせて 4社協が「必要」と捉えている。回答のあった 6 社協のうち約 7 割の社協であり、「一体 型共同店」への認識は高いといえる。(表 2) 表 2 「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」への市村社協の認識状況 ①今すぐ必要だと思う ②いずれ必要になると思う ③必要がないと思う ④わからない 市社協 1 村社協 3 2 合計 1 3 2 しかし、実際に取り組んでいくことについては「取り組んでみたいが現状では難しい 3 社協」「取り組みの考えはない 1 社協」と 4 社協が消極的、否定的な考えである。しかし、 一方で、「積極的に取り組んでみたい 1 社協」「条件によっては取り組んでみたい 1 社協」 と 2 社協は取り組みに向けて前向きな考えを示しており、「『一体型共同店』はこれまでの 社協で取り組んできた活動に共同店を組み込んだ点に新鮮さを感じました。共同店は、形 態を変えて存続していくことが移動手段をもたない高齢者の生活を支えていくには大切な ことと思います。」という積極的な意見もあった。また、取り組めないと答えた社協の中 にもその理由として「事前に共同店の実態、活用性について勉強等が必要」と必ずしも消 極的、否定的でない考えもみられた(図 4-3)。 取り組みの考えのある 2 社協どちらも「ふれあい・いきいきサロンの実施」「関係機関と の連絡調整」「生活相談や安否確認等福祉的な役割の事業」の取り組みが可能であると答え た。また 1 社協が「介護予防サポーターの養成」可能であると答えた(図4-4参照)。
  47. 47. 4 4 先述したように、「一体型共同店」に果たす社協の役割の重要性を考えると、社協抜き での実現は見えてこない。2社協から取り組みの一歩を始め、その成果を積み重ねていく ことが重要だといえる。 ①積極的に取り組 んでみたい, 1社協,17% ⑤その他, 0社協,0% ④取り組みの考え はない, 1社協,17% ③取り組んでみた いが現状では難し い,3社協,49% ②条件によっては 取り組んでみたい, 1社協,17% 図 4-3「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店」について依頼があった場合これに取 り組んでいく考えはあるか 注:取り組みの考えのある社協 0 2 0 0 0 1 2 2 0 0 1 2 3 ① 共 同 店 の 運 営 ② ふ れ あ い ・ い き い き サ ロ ン の 実 施 ③ 共 同 店 と ふ れ あ い ・ い き い き サ ロ ン の 運 営 及 び 実 施 ④ 活 動 資 金 の 助 成 ⑤ 健 康 相 談 、 福 祉 相 談 等 へ の 職 員 参 加 ⑥ 介 護 予 防 サ ポ ー タ ー の 養 成 ⑦ 関 係 機 関 と の 連 絡 調 整 ⑧ 生 活 相 談 や 安 否 確 認 等 福 祉 的 な 役 割 の 事 業 ⑨ そ の 他 (ヵ所) 図 4-4 取り組み可能内容
  48. 48. 4 5 「一体型共同店」の事業の具体化を図っていくための 1 番の条件として社協は、「事業 財源の確保」「地域内で集まれる場の確保」が最も多くあがっていた。次いで「共同店との 調整」となっている。(図 4-5)行政の中には「一体型共同店」の実施依頼があった場合 の取り組みとして「介護予防事業として取り組む」「活動資金の助成」をあげているところ もあり、行政、そして共同店、地域住民等との連携が図られればこのような条件を満たす ことも可能であると考える。 8.共同店の課題解決に向けて ここでは、共同店の主任・店員に対して行ったアンケート、共同店の利用者に対して行 ったアンケートより明らかとなった共同店の抱える主な課題を以下のように整理し、その 具体的解決策について考える。 (1)共同店利用者の高齢化とそれに伴う健康問題 先に明らかとしたように、共同店の利用者の 55%が高齢者であり、共同店は多くの高齢 者の生活を支えている。これは、逆に、多くの高齢者によって共同店の経営が支えられて いることを示している。また、共同店の利用者の 70%が後期高齢者であり、80%がなんら かの疾病を抱えている。そのため、このような利用者が疾病や要介護状態に陥り、共同店 の利用者が減少することは共同店の存続という点からも一つの課題といえる。 この共同店利用者の健康問題については、先に述べた『一体型共同店』の「多機能型ふ れあい・いきいきサロンの開催」「様々な福祉機能の場としての活動」「ふれあい市の開催」 という 3 つの活動によりその解決を図っていく。 「多機能型ふれあい・いきいきサロン」は、(外出の場、交流の場)としての機能を持 2 0 1 0 0 2 00 2 1 2 0 0 0 2 0 0 0 1 0 2 0 1 2 3 事 業 財 源 の 確 保 地 域 住 民 と の 調 整 共 同 店 と の 調 整 地 域 ボ ラ ン テ ィ ア の 確 保 役 場 内 関 係 部 署 と の 協 力 体 制 地 域 内 で 集 ま れ る 場 の 確 保 保 健 、 福 祉 の 関 係 者 と の ネ ッ ト ワ ー ク 1位 2位 3位 (ヵ所) 図 4-5 事業の具体化を図っていくための条件
  49. 49. 4 6 ち地域内の関係作りを進め、高齢者の身体機能の低下につながる「閉じこもり」の防止を 図ることができる。また、(相談、情報提供の場としての機能)により、行政保健師やそ の他福祉関係職員等の専門職が参加し、簡単なレクリエーションや健康相談、リハビリ等 が行われ、高齢者の健康づくりを進めていく。そして、(介護予防活動の場としての機能) により、介護予防デイサービス等での効果を継続させる地域での受け皿としていく。 「様々な福祉機能の場としての活動」としては、「共同店」の持つ、「話し相手」、「生 活相談」、「安否確認」、「情報交換の場」等の福祉的な役割を事業としてしっかりと行 うことで、ニーズの早期発見・早期対応へとつなげることができる。「ふれあい市」では、 出品活動を通して高齢者の生きがいづくりを図っていく。このように、「一体型共同店」 の持つ 3 つの活動により、高齢者が疾病や要介護状態に陥ることの予防策として大きな効 果を期待することができ、高齢者の健康問題という課題への解決、そして、生きがいづく りへとつながっていく。 (2)地域共同体の弱体化 第 4 章第 4 項で明らかとしたように、現在、経営が厳しい共同店のその理由として、「地 域共同体の弱体化」が最も多い理由となっていた。「地域共同体の弱体化」の内容として は、「若い世代が共同店に対しての意識が弱い」、「若い世代が共同店を利用しない」と いう意見が共同店の主任・店員、そして利用者から多くあげられていた。しかし、それだ けではなく、これまで共同店を支えてきた世代にも問題がないわけではない。例えば若い 主任の方が新しいアイディアを思いついても理事会で承認を得るのが大変であるという話 を伺うこともあり、調査中にもこれまで共同店を支えてきた世代と若い世代の間に壁があ ることを感じることがあった。そこで、この両者が歩みよれるような「住民座談会」等の 場の設定を社協が行い、「地域の共同意識」を強めていくような「地域組織化活動」を行 っていくことが必要である。このように、「地域の共同意識」が強まることにより、若い 世代の利用者が増えるだけでも、経営状況はある程度改善される。また、このような強い 「地域の共同意識」なくして、「一体型共同店」の実現は困難であり、そのような点でも 非常に重要な活動であるこの「地域組織化活動」を社協は「あきらめない姿勢」で取り組 んでいくことが求められる。そして、このように地域住民の意識が変わり、共同店が変わ り、地域が変われば、共同店の後継者不足という課題の解決の糸口にもつながっていくの ではないかと考える。 (3)利用者の増加、収益の増加 第 4 章第 4 項で明らかとしたように、共同店は、厳しい経営状況から、経営上の課題と して、「利用者の増加」、「収益の増加」をあげている共同店が多い。先ほど述べたよう に、地域内での利用が増えるだけでも「利用者の増加」「収益の増加」という課題はある程 度改善される。しかし、共同店のある地域はその半数以上で人口の減少が見られ、それだ
  50. 50. 4 7 けではいずれ限界が来る。やはり外部から利用者を呼び込めるような取り組みも行ってい く必要があると考える。その取り組みの参考としては岡山県の新庄村の取り組みがある。 岡山県の新庄村は岡山県最北端に位置し、人口 1078 人(2007 年 3 月末)高齢化率 37.9% (2005 年)と共同店のある地域のように過疎化・高齢化の進展した地域である。このよう な状況の中、新庄村は婦人会による特産品づくりと、そのような特産品を「ふるさと便」 (12) として会費を払っている全国各地の会員に発送したり、道の駅に出品するという活動 を行っている。そして、この道の駅や「がいせん桜祭り」というイベントを中心に地域お こしを成功させている。このような取り組みを私は共同店のある地域で行ってみるとよい と考える。婦人会を中心に地域の特産品づくりを行い、ふるさと便を開始し、共同店での 「ふれあい市」と合わせてなんらかのイベントを開催し、外部の利用者の呼び込みを図る。 また、そのためにはインターネットの活用や現在、共同店を紹介する雑誌等が発売されて いるが、そのような雑誌等でさらに共同店やその地域の特産品等を紹介し、「ふれあい市」 を広めていく活動を行っていく必要がある。このような取り組みは共同店を通しての地域 おこしにもつながると考える。新庄村の地域おこし成功の裏には村役場の精力的な関わり があり、やはりこのような共同店を通しての地域おこしに市村行政の協力は不可欠であ る。 9.結論 本研究では、まず、共同店の主任・店員、共同店の利用者に対して行ったアンケートよ り共同店の現状と課題を明らかとした。そして、高齢者の「住み慣れた地域でのいきいき とした暮らし」を支えるための共同店の今後の新たな展開の一考察として、地域福祉の視 点より「ふれあい・いきいきサロン一体型共同店(以下一体型共同店とする)」を提案した。 さらに、行政、社協に対して行ったアンケートより「一体型共同店」の具体化への条件を 示し、その具体化が可能であることを明らかとした。また、共同店の主な課題について 「共同店利用者の高齢化とそれに伴う健康問題」、「地域共同体の弱体化」、「利用者の 増加・収益の増加」の 3 つに整理し、その具体的解決策について示した。 鶴見和子氏は共同店を地域の生活者の様々な活動領域を媒介し、つなぎ合わせる組織を 持つものと考え、「中間媒介組織」[16] であると解釈した。本研究においても、このような 共同店の「中間媒介組織」としての機能があるからこそ、「組織活動」において、共同店 を媒介として地域住民同士、地域住民と行政、といった地域の様々な活動領域をつなぐこ とができ、さらには共同店を通して地域と外をつなぐことができると考える。このような 点で共同店は地域福祉の視点から見て非常に有効な「社会資源」(13) であるといえる。 また、本研究においては、共同店の新たな展開を考察する際、共同店の経営という部分 に補助金を入れるという考えはなかった。それは、共同店が、地域住民の主体性の象徴で あり、また、調査中も、地域の方のお話を伺っている中で、地域の問題を共同店によって、 行政の手を借りず主体的に解決してきたことへのある種の誇りを感じとることができたか
  51. 51. 4 8 らである。そのため、経営の面への行政の補助というものはこのような共同店の主体性を 失わせるものであり、共同店が共同店でなくなってしまうことを意味している。 私はこのように地域住民の主体性の象徴であり、「中間媒体組織」としての機能を持つ 共同店を重要な「社会資源」として捉え、地域福祉の視点より取り組みを進めていく中で、 地域福祉のめざす福祉コミュニティの実現が見えてくると考える。そして、それこそが、 私が今回、地域福祉の視点から考える共同店の新たな展開のめざす最終的な目標である。 そのような点でも共同店は福祉コミュニティの実現の核になれる存在であり、今後社協や 行政が共同店に注目し、このような取り組みが始まることを期待したい。今回の論文、そ して調査が少しでもそのような取り組みのきっかけになってくれればと願い、結論とさせ ていただく。 10.最後に 今回、私は調査の段階で 7 市村にわたり多くの共同店とそして本当に多くの人々と関わ ることができた、そして、私が多くの共同店で見たのは、人と人とのつながりであり、沖 縄に昔からある「結」であった。そこでは、自然に助け合いの関係ができており、見守り の体制ができていた。今、多くの地域からこのような住民同士のつながりが消えつつあり、 このような助け合いの関係が薄れてきている。そして、誰にもみとられず孤独に亡くなっ ていく方々がいる。テレビや映画等の情報から「沖縄の人は暖かい」、「沖縄は地域のつ ながりが強い」というイメージを持たれている方がいるが、私は沖縄でもこのような人と 人とのつながりは薄れつつあると感じている。このような中、私は今一度、多くの人が地 域共同体の象徴ともいえる共同店に目を向け、古き良き沖縄というものを見つめ直す必要 があるのではないかと考える。そのような意味でも現在、多くの地域から共同店が消えて いっているということは非常に残念なことであり、今後、共同店を存続させていくための 新たな展開が求められている。冒頭でも述べたように今回、私は 7 市村で、20 以上の地域 に出向き、調査を行った。その中で地域のためにご尽力されている多くの方々と出会い、 そして、多くのことを学ばせてもらった。このように、学ばせていただいたことは、私は しっかりと地域に還元していかなければいけないと考える。そのために、私自身、地域の ためにご尽力されている方々のお力に少しでもなれる専門職を目指し、努力していこうと 思い、終わりとする。 11、謝辞 まず、卒業論文作成のためにご指導、ご協力いただいた多くの方々に心よりお礼申し上 げます。 今回、アンケート調査依頼を受けてくださり、各市村の行政の皆様、社会福祉協議会の 皆様に深く感謝いたします。特に、大宜味村社会福祉協議会の職員の皆様と実習生の方に は、共同店利用者に対するアンケート調査の際にも協力していただき、あらためて、深く

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