形容詞と意味フレームの係わり方について

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言語処理学会第19回年次大会で発表

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形容詞と意味フレームの係わり方について

  1. 1. 形容(動)詞の意味と意 味フレームの係わり方について 黒 田 航 杏林大学医学部 言語処理学会第19回年次大会 2013-03-14 at 名古屋大学 Thursday, March 14, 13
  2. 2. 背景の説明 1/2 • NICTに所属していた頃 (2004–08年)に,意味役割タグ づけの仕事に従事 • 正式には2005年から • 2003年のACLで German FrameNet/SALSA Project の発 表 (Erk et al. 2003) を聞いて “イケるっ” と思ったのが発端 • K. Erk, A. Kowalski, S. Padó and M. Pinkal (2003). Towards a resource for lexical semantics: A large German corpus with extensive semantic annotation. In Proceedings of ACL 2003, Sapporo. 2 Thursday, March 14, 13
  3. 3. 背景の説明 2/2 • German FrameNet/SALSA Project は Berkeley FrameNet (BFN) (Baker et al. 1998) から派生した企画 • BFN と提携して Japanese FrameNet (JFN) Project (Ohara et al. 2003) も始まっていたが独自路線を採用 • 本家 BFN の奇妙な方針に縛られるのが嫌だった • 自分の取り組みを Frame-Oriented Conceptual Analysis (FOCAL) と呼んでました •Baker, C.~F., C.~J. Fillmore and J.~B. Lowe (1998). The Berkeley FrameNet Project. In Proc. of COLING-ACL 98, Montreal, Canada, pp. 86–90. •Ohara, K.~H., S. Fujii, H. Sato, S. Ishizaki, T. Ohori & R. Suzuki (2003). The Japanese FrameNet project: A preliminary report. In Proc. of PACLING '03, pp. 249–254. 3 Thursday, March 14, 13
  4. 4. FOCAL の位置づけ Japan U.S. Europe Fillmore's Frame Semantics Berkeley FrameNet Fillmore's Construction Grammar Ikehara's Theory of Nonlinear Expressions Kunihiro's Theory of Phenomeneme 1980 1990 2000 Japanese FrameNet German FrameNet Spanish FrameNet FOCAL 2008 Goldberg's Construction Grammar SALSA 4 Thursday, March 14, 13
  5. 5. 何を “イケるっ” と感じたのか? • 言語資源の開発に係わると,分析の産物は第三者が利 用できる共有資源に変わる • 私は初めから応用志向の強い言語研究者だったので • 言語学者が産出する分析は通常,言語学の論文中でし か価値を生まない虚構でしかない • 言語学でPhD取ったものの,うんざりしていました 5 •黒田 航 & 井佐原 均 (2004). 日本語の意味タグ体系を定義する試み: {FrameNet} の視点から. In 言語処理学会第10回年次 大会発表論文集, pp. 148-151. Thursday, March 14, 13
  6. 6. 何ができるのか? (1) 彼は ACL に投稿を蹴られた (2) [彼, は, ACL, に, 投稿, を, 蹴ら, (ら)れ, た] 6 Thursday, March 14, 13
  7. 7. (2)への意味タグづけ Textual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら)れ た Categorial 1 Human/ヒト Organization/ 組織 Act/行動 Action/動作 1 Agent/ 動作主 が ?Location/場所 に Act/行動 2 Agent/動作主 が Theme/対象 を Action/動作 3 Experiencer/ 経験者 が Experince -Marker 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO 2c Rejectee/ (被)不採用者 を Rejector/ 行不採用者 が Opportunity/ 機会 で Rejection/ 不採用.EVO 3 Sufferer/ 被害者 が Suffering/ 被害.EVO Thematic Frame- Semantic Suffering/被害 Experience/経験 7 Thursday, March 14, 13
  8. 8. (2)への意味タグづけ ual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら orial 1 Human/ヒト Organization/ 組織 Act/行動 Action/動作 1 Agent/ 動作主 が ?Location/場所 に Act/行動 2 Agent/動作主 が Theme/対象 を Action/動作 3 Experiencer/ 経験者 が Expe -Ma 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO Rejectee/ Rejector/ Opportunity/ Rejection/ atic e- ntic Experience/経験 8 Thursday, March 14, 13
  9. 9. (2)への意味タグづけ ual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら orial 1 Human/ヒト Organization/ 組織 Act/行動 Action/動作 1 Agent/ 動作主 が ?Location/場所 に Act/行動 2 Agent/動作主 が Theme/対象 を Action/動作 3 Experiencer/ 経験者 が Expe -Ma 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO Rejectee/ Rejector/ Opportunity/ Rejection/ atic e- ntic Experience/経験 9 Thursday, March 14, 13
  10. 10. (2)への意味タグづけ ual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら orial 1 Human/ヒト Organization/ 組織 Act/行動 Action/動作 1 Agent/ 動作主 が ?Location/場所 に Act/行動 2 Agent/動作主 が Theme/対象 を Action/動作 3 Experiencer/ 経験者 が Expe -Ma 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO Rejectee/ Rejector/ Opportunity/ Rejection/ atic e- ntic Experience/経験 9 Thursday, March 14, 13
  11. 11. (2)への意味タグづけ xtual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら)れ た 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO 2c Rejectee/ (被)不採用者 を Rejector/ 行不採用者 が Opportunity/ 機会 で Rejection/ 不採用.EVO 3 Sufferer/ 被害者 が Suffering/ 被害.EVO ame- mantic Suffering/被害 10 •黒田 航, 李 在鎬, 渋谷 良方 & 井佐原 均 (2008). 複層意味フレーム分析(の簡略版)を使った意味役割タグづけの現状: タグづ けデータから派生する言語資源の紹介を中心に. In 言語処理学会14回大会発表論文集. Thursday, March 14, 13
  12. 12. (2)への意味タグづけ xtual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら)れ た 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO 2c Rejectee/ (被)不採用者 を Rejector/ 行不採用者 が Opportunity/ 機会 で Rejection/ 不採用.EVO 3 Sufferer/ 被害者 が Suffering/ 被害.EVO ame- mantic Suffering/被害 11 •黒田 航, 李 在鎬, 渋谷 良方 & 井佐原 均 (2008). 複層意味フレーム分析(の簡略版)を使った意味役割タグづけの現状: タグづ けデータから派生する言語資源の紹介を中心に. In 言語処理学会14回大会発表論文集. Thursday, March 14, 13
  13. 13. (2)への意味タグづけ xtual 彼 は ACL に 投稿 を 蹴ら (ら)れ た 1a Submittant/ 投稿者 が Receiver/ 受取り手 に Submission/ 投稿.GOV 1b Applicant/応 募者 が Caller/募集者 に Application/ 応募.EVO 2a Kicker/蹴り手 が Theme/対象 を 蹴り(つけ)/ Kicking.GOV 2b Refuser/拒絶者 が Theme/対象 を Refusing/ 拒絶.EVO 2c Rejectee/ (被)不採用者 を Rejector/ 行不採用者 が Opportunity/ 機会 で Rejection/ 不採用.EVO 3 Sufferer/ 被害者 が Suffering/ 被害.EVO ame- mantic Suffering/被害 11 •黒田 航, 李 在鎬, 渋谷 良方 & 井佐原 均 (2008). 複層意味フレーム分析(の簡略版)を使った意味役割タグづけの現状: タグづ けデータから派生する言語資源の紹介を中心に. In 言語処理学会14回大会発表論文集. Thursday, March 14, 13
  14. 14. 言語学の貢献の条件 1/2 • 最低限の精度 • 分析者ごとに結果がバラバラで, 再現性を期待できな い分析はダメ • 最低限の体系性 • 特定の表現は分析できるが,他はお手上げってのはダメ 12 Thursday, March 14, 13
  15. 15. 言語学の貢献の条件 2/2 • 問題になるのは理論仮構物の認定と命名規約づくり • フレーム名: <投稿>, <応募>, <拒絶>, <不採用> • フレーム要素名: <投稿者>, <応募者>, <募集者>, <(被)不 採用者>, <行不採用者> • “適当に” (= 思いつきで行き当たりばったりに) 名前を つけているように見えるかも知れないのですが,そう ではないのです (黒田+ 2004, 2005, 2006, 2008) •黒田 航 & 井佐原 均 (2005). 複層意味フレーム分析を用いた意味役割タグつきコーパス評価版の公開. In 言語処理学会11回 大会論文集. •黒田 航 & 井佐原 均 (2006). 複層意味フレーム分析 (MSFA) に意味役割の典型的実現値の情報を付加してシソーラス化する 試み. In 言語処理学会第12回大会発表論文集, pp. 181-184. 13 Thursday, March 14, 13
  16. 16. 本発表の狙い 1. フレームの喚起の操作的定義を示す • xFN には喚起の理論的定義しかない 2. 形容(動)詞がフレームと係わる仕方の体系化 • 固い (固く), 重い (重く), 遠い (遠く), 嬉しい (嬉しく), ... • 上手(な, に), 天才(の) 3. その土台となる形容 (動) 詞の分類法の試作 4. 示唆したいこと • <レストラン>フレーム, <天才>フレーム, <固さ>フレームの放棄 14 Thursday, March 14, 13
  17. 17. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 A B C D E F G H I J K L M N O Frame ID F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8 F9 F10 F11 F12 F13 F14 F-to-F relations targets F2 targets F3 elaborate s F11; constitut es F4; presuppo ses F5 elaborate s F13 constitut es F3 consitutu tes F3 targets F11 elaborate s F12 presuppo ses F13 Frame Identifier 加圧 [+metaph oric] 押さえつけ [+metaph oric] 防御の際の 相手の牽制 動作の継 続 行動の先 導 <節の接続 > 行動の連 続 集団行動? 攻撃 封印 [+metaph oric] 防御者によ る攻撃の無 力化 大学ラグ ビーの試合 ラグビーの 試合観戦 観戦内容 の報告 * 観戦者 報告者 *[+anaphoric: target=明大] 加圧体 押えつける 者 牽制者 継続者 共通項 行動体 集団行動 体 攻撃対象 封印者 防御者 チーム1 試合内容 報告内容 京産大 加圧対象. 特徴 押えつける 相手.特徴 牽制相手. 特徴 動作 全体 節1 行動1 攻撃体 手段1 手段1 チーム2 の MARKER ゲーム 先導体.特 徴 チーム2の 主力選手 メーカー 広瀬 加圧対象 押えつける 相手 牽制相手 先導体 に MARKER MARKER MARKER 圧力 GOV[+co mposite] GOV[+co mposite] GOV[+co mposite] を かけ 続け GOV 、 EVOKER EVOKER 集団 目的 目的 目的 目的 節2 行動2 GOV 手段2 手段2 パワー 目的 で MARKER MARKER 京産大 攻撃体 攻撃者 攻撃者 チーム2 の MARKER MARKER 攻め GOV 攻撃技 攻撃技 手 手段: 攻撃 技 GOV を MARKER 封じ GOV た EXT EXT EXT EXT 。 意味役割タグづけの目的と課題 Thursday, March 14, 13
  18. 18. 意味タグづけの下位分類 • 意味型 (semantic types = categories) のタグ/ラベルづけ • 語義タグづけ (語彙大系の語義やWordNet の synsetのタグづけ) • 主題役割 (thematic roles) のタグ/ラベルづけ • PropBank や竹内さんや松林さんの LCSのタグづけ • 意味役割 (semantic roles) のタグ /ラベルづけ • XFNとFOCALのタグづけ • 境界で重なり合うが,基本的に別物で相互補完的 (Ellsworth et al. 2004) •Ellsworth, M., P. Kingsbury, and S. Padö (2004). PropBank, SALSA, and FrameNet: How design determines product. In Proc. of the LREC-04 Workshop on Building Lexical Resources from Semantically Annotated Corpora, Lisbon. 16 Thursday, March 14, 13
  19. 19. 意味型のタグづけ • 可能な限り多くの要素に,オントロジー体系 O が認定するラ ベルを付与 • is-a (x, y), part-of (x, y), at (x, y), in (x, y), after (x, y), until (x, y), ... • 良い点 • うまく行けば,何かできるかも (何もしないよりマシ) • 悪い点 • 制約が弱過ぎて,精度は保証できない (体系性はともかく) 17 Thursday, March 14, 13
  20. 20. 主題役割のタグづけ • 可能な限り多くの要素に,Lexical Conceptual Structure (LCS) 理論 (Jackendoff 1990; 影山 1993) が認定する主題役割を付与 • 実質は,可能な限り多くの名詞句に主題役割名を付与 • 竹内孔一(岡山大学)と松林優一郎(東北大)さんの仕事 • 良い点 • ラベルが {Agent, Patient, Theme, Goal, Path, Location, Means, ...} に限られている ので,体系性と精度の保証が容易 • 悪い点 • ラベルの選択を決める特定の LCS が必要となる条件が不明瞭 • Jackendoff, Ray~S. (1990). Semantic Structures. MIT Press. • 影山 太郎 (1993). 文法と語形成. ひつじ書房. 18 Thursday, March 14, 13
  21. 21. 意味役割のタグづけ 1/2 • 文中の可能な限り多くの要素に,(a) フレーム f を喚起する要素 と (b) 喚起された f の構成要素との対応づけを付与する • 良い点 • 特定のフレーム集合が喚起される条件が特定可能 • これぐらいの粒度であれば,ヒトの “理解” を近似的に記述できる • 悪い点 • ラベル候補が膨大であり,精度や体系性の保証が困難 19 Thursday, March 14, 13
  22. 22. 意味役割のタグづけ 2/2 • 文 s中に喚起要素が n 個あれば,少なくとも n個のフレーム集合 F = {f1, f2, …, fn} が喚起される • 前提の充足の効果で F は H = {F, G} (G = {g1, g2, …, gm} に増加 • 例: <投稿>が<募集>を前提にしている, <拒絶>が<不採用>に転移 している • 従って,s中の名詞句への意味役割タグづけは,N重 (N = n + m) になるのが必然 • 空の役割を含めて 20 Thursday, March 14, 13
  23. 23. 本家 xFNの難点 • フレーム喚起 (evocation) の一般理論が不在 • 喚起体 (evoker) と非喚起体 (non-evokers) はどう区別する? • 喚起の操作的定義が存在しなければ,ムリ • 根本的には,喚起がそもそも何で起きるのか考察されていない • 喚起はパターン補完の副産物 • 分散的な喚起はどうするのか? • 構文的喚起 (constructional) があると言えば済む話じゃない • 名詞句の組合わせで喚起される効果をどうやって記述するの? 21 Thursday, March 14, 13
  24. 24. 分散的喚起の例 1/2 (3) その絵は壁にかかっていた. (4) その男は医者にかかっていた. (5) ??その絵は医者にかかっていた. (6) ??その男は壁にかかっていた. • (3)-(6)の理解を構成するフレームは,特定の語句で喚起され ていない • なのに,“かかる” の語義選択が可能 22 Thursday, March 14, 13
  25. 25. 分散的喚起の例 2/2 • 超語彙的パターンによる分散的喚起を認めないと説明 できない (Kuroda et al. 2007, Nakamoto & Kuroda 2008) (3) X1 は壁にかかって (4) X2 は医者にかかって (5) 絵は Y2 にかかって (6) 彼は Y2 にかかって • K. Kuroda, K. Nakamoto & H. Isahara (2007). When nonce words behave like “real”' words: A case study of the Japanese verb oso(warer)u. In P. Bouillon & K. Kanzaki (eds.), Proc. of the 4th International Conference on Generative Approaches to the Lexicon, Paris, 2007. • K. Nakamoto & K. Kuroda (2008). Representing selectional restrictions in terms of semantic frames equated with situational schemas: A case study of the Japanese verb osou. In T. Ogura, et al. (eds) Studies in Language Science, Vol. 7. pp. 265–282, Kuroshio Publishing. 23 Thursday, March 14, 13
  26. 26. 形容(動)詞と副詞をどう扱うか? Thursday, March 14, 13
  27. 27. BFNの日本語被覆率 • JFNが現代日本語書き言葉均衡コー パス (BCCWJ)の公 開モニター2008年度版への全文タグづけ (小原+ 2011) • タグづけ対象は • コアデータ書籍ジャンルの各サンプル (総数 84 ファイ ル) の冒頭10行の • 固有表現以外の全部の語彙項目 M = {m1, m2, ...} 25 • 小原 京子, 斎藤 博昭, 藤井 聖子 & 佐藤 弘明 (2011). 研究活動・成果の総括: 日本語フレームネット班BCCWJ と意味フレームに基づく語彙・構文複合資源の構築. In 特定領域研究「日本語コーパス」平成22年度公開 ワークショップ(研究成果報告会)予稿集, pp. 231–240. <http://jfn.st.hc.keio.ac.jp/ja/publications/ JFNOhara-3.pdf> Thursday, March 14, 13
  28. 28. 調査の結果 • M への BFNの意味フレームの適合率は平均 82 % • 適合率は異なり語数 (types) ではなく延べ語数 (token) で産出 • 喚起されるフレーム名が特定できなかった語彙要素の異なりは179個 (= 175個 [A] + 4個 [B]) • Bは喚起されるフレームが日本語独特 • 補足 • Mの異なり数が不明で179個の取りこぼし率が不明 • 別の報告書 (小原・加藤・齋藤 2011) では196個 26 • 小原 京子, 加藤 淳也 & 斎藤 博昭 (2011). 日本語フレームネットにおけるBCCWJへの意味アノテーション. In 特定領域研究「日本語コーパス」平成22年度公開ワークショップ予稿集, pp. 513–518. URL: http:// jfn.st.hc.keio.ac.jp/ja/publications/7Feb2011FullTextOharaFinal.pdf Thursday, March 14, 13
  29. 29. 取りこぼしの内訳 • 事態性名詞=サ変名詞の で,扱いは動詞と同じ • 非事態性名詞の一部は形 容動詞 (=形状詞) と分類 すべき • 品詞の区別は非本質 的 (黒田+ 2011) 27 Class L1 L2 L3 動詞 12 34 34 事態性名詞 22 34 34 非事態性名詞 106 106 106 形容動詞 13 14 35形容詞 1 14 35 副詞 21 21 35 接続詞 4 4 4 • 黒田 航, 栗林 孝行, Francis Bond, 神崎 享子 & 井佐原 均 (2010). 日本語ワードネットの異表記対応と並行 コーパスへの語義タグづけ. In 言語処理学会第17回年次大会発表論文集, pp. 888–891. Thursday, March 14, 13
  30. 30. 動詞(句) [12]と 事態性名詞 [22] • 悪びれる, 過ごす, 占める, 建ち並ぶ, 向き合う, する, 潜 む, 遊ぶ, さし出す, 向く, 間に合う, 気をつける • 営業, 制御, 通行, 参照, 捨象, 仲介, 紹介, 関連, 生活, 転 勤, 出血, 観闇, 闇遊び, 体験, 解剖, 出版, 棚割, お使い, 刑死, 牢死, 埋葬 28 Thursday, March 14, 13
  31. 31. 非サ変名詞 [106語] • 支店, 肉声*, セールス, 手づくり*, 規準, 盤, 常識, 神, 精神, 精神構造, 神霊, 海魚, 借り, 玩具, 行き, モノ, 聖書, 単位, 一方, 核, スケール, 印税, こと, 社会, 民間*, 産業主義, かけがえ, ホームレス, 毛布, 巣, , 育ち, 魚, 白豚, 国語, 紙, 体質, 良 性*, 悪性*, 細胞, 割合, 組織, 元気, ぬいぐるみ, 犬, ペット, ワン,畳, ソファ, 抱っ こ, 声, 心, 音楽, 闇, 画面, モデル, 自然, 事象, 法則, 原理, %現象, %遊び, 弾力性 *, バネ, %授業, 内容, 呪力, レーダー, 先, %共通, 点, 民族, 文化, 港, 岸壁, 博士, 一説, 自分, %例, %あて字, 死体, 神仏, %内蔵, 川獺 [かわうそ], 罪人 [?ざいに ん, ?とがびと], **前例, %構成, ユニット, #障子, 週別**, # 紙, 同週**, ポスト, 門, 通い, 暮らし, 志士, 墓, 夢, 屍, 屍骸 [=死骸?], 土, 野犬, 墓地, #侠客, 情況, 筋 肉 • %Nがサ変名詞に入っていないのは 29 Thursday, March 14, 13
  32. 32. 形容詞 (1個)と形状詞 (13個) • 形容詞 (1語) • あらい • 形状詞 (13個) • 好意的, 当然, 一方的, 文字通り, 圧倒的, 地理的, 分野的, のろま (な, の), 順調 (な), 簡単 (な), 壮絶, 徹底的, 科学的 30 Thursday, March 14, 13
  33. 33. 副詞 (21語) と接続詞 (4語) • 実際のところ, もちろん, 必ずしも, 一切, しっかり, ギ リギリ, 一般に, たとえば, 例えば, 半ば, 最も, 実際, 言 い換えれば, はじめて, 多分, 単に, 少なくとも, たまた ま, つかつか, 代々, もともと • だから, しかし, ならば, すなわち 31 Thursday, March 14, 13
  34. 34. 問題 • 形容詞と形容動詞 (=形状詞)と副詞のフレーム喚起を どうやって記述するの? • 接続(副)詞は無視しても • 論点 • 動詞 (句) やサ変名詞と同じやり方では,うまく行かな いと思う 32 Thursday, March 14, 13
  35. 35. フレーム喚起の 操作的定義 Thursday, March 14, 13
  36. 36. 喚起の操作的定義 1/2 • 喚起体 (evoker) e によるフレーム f の喚起を認定するための要件 • e は形態素や語と限らない • 不連続な形態素列 ≡ パターンも可 • f は (とりあえず) 事象タイプの概念構造 • 一般のオントロジーと区別するため • A: e f とB: e ⇐ f の両方向の体系化/モデル化が必要 • これまでの xFN は B 方向の体系化に専念し,A方向の体系化が疎か 34 Thursday, March 14, 13
  37. 37. 喚起の操作的定義 2/2 • e f の体系化 • 任意の e について e が喚起する f の集合 F = {f1, f2, ...}の特定 • F は空集合でも可 • e ⇐ f の体系化 • 任意の f について f を喚起する e の集合 E = {e1, e2, ...}の特定 • f について,E が空集合である可能性は無意味 35 Thursday, March 14, 13
  38. 38. 喚起の3つの場合 A, B, C A. e が f の名称か異名 ≡ e が f の支配体 (governor) • R (x: “犯罪”, f: <犯罪>), R (x: “参加”, f: <参加>), ... B. e が f の要素 p の名称か異名 • R (x: “犯罪者”, f: <犯罪>), R (x: “犯人”, f: <犯罪>) C. e が f の要素 p の典型値か特徴値の名称か異名 • R (x: “米長邦雄”, f: <プロ将棋>), R (x: “名人”, <伝統芸能での熟 達>) • xFN の用語: f の構成要素のことを f のフレーム要素 (frame elements)と言う 36 Thursday, March 14, 13
  39. 39. 含意 1/2 • Cタイプの喚起を認めれば, • <レストラン>フレームを想定する必要はない • “レストラン” は<食事>や<打合わせ>の要素である<場所> の典型値に過ぎない • <>フレームを想定する必要はない 37 Thursday, March 14, 13
  40. 40. 含意 2/2 • 形容(動)詞は原則として Cタイプの喚起を行うと考えれば • <名人>フレームを措定する必要はない • “名人” は<伝統芸能での熟達>の極値 (is 特徴値)に過ぎない • <天才>フレームを措定する必要はない • “天才” は<技能での優秀>の極値 (is 特徴値)に過ぎない • これは形容 (動)詞 が属性を表わすという定義と合致 38 Thursday, March 14, 13
  41. 41. 特徴値の下位部類 • 最高/最低値などの極値 • “Xの名人(の) A” と “Xの素人 (の) B” • これは形容(動)詞が対義対をもちやすいことの理由になる • 異常値 • 非凡な, 並外れた, 異常な • 平均値 • 普通の, 平凡な, ありきたりな, 並の 39 Thursday, March 14, 13
  42. 42. 制限の追加 • 形容 (動) 詞 (と副詞) と言っているが,次のような派生 形は対象としない: • 発展的 (< 発展する), 投機的 (< 投機する), 組織 (?< 組織 する) • 有機的 (*< 有機する), 40 Thursday, March 14, 13
  43. 43. 形容 (動) 詞の分類 Thursday, March 14, 13
  44. 44. モダリティー指定度の違いによる 下位分類 • 派生を動詞を生まず,支配体になりえないもの • おいしい/まずい (<食事>の<味>の特徴値), 重い/軽い (<持ち上げ>の<対象>の<重 さ>の特徴値), 遠い/近い (<移動>の<目的地>の<距離>の特徴値), 高い/安い (<値段 >の特徴値), 早い/遅い <経過時間の評価値>, 固い/柔らかい <把握>の感じの特徴 値, 易しい/難しい <努力>の<報われ方>の特徴値, 熱い/冷たい <触る><対象>の温 度の特徴値, 新しい/古い, 美しい/醜い (観賞の値) • 派生動詞を生み,支配体になりうるもの • 悲しい => 悲しむ>, 嬉しい *=> 嬉しむ (cf. 喜び), 痛い => 痛む • 派生動詞は生まないが,支配体になりうるもの? • 暑い, 寒い <気温の体感> 42 Thursday, March 14, 13
  45. 45. Formal Concept Analysis (FCA) を 使った形容詞の分類 • 意味素性 • Object-directed (True of False) • Personality-directed (True of False) • Event-directed (True of False) • Perceptually based (True or False) • Subjective (True of False) • Emotionally laden (True or False) • Expresses Self-state (True or False) • 語形素性 • derived from other PoS (True or False) • V-derivable (True of False) 43 Ganter, B. and Wille, R. (1998). Formal Concept Analysis: Mathematical Foundations [English translation by C. Franzke]. Springer-Verlag. Thursday, March 14, 13
  46. 46. 44 FCAを使った分類 ConceptExplorer (http://conexp.sourceforge.net/)を利用 Thursday, March 14, 13
  47. 47. 45 •階層が下になるほ ど複雑な概念構造 をもつ? •左にあるほど対物 記述 •右にあるほど対人 記述 •Self-state reference の度合いが高い語 は支配体に近づ く? Parameters Layout: Minimal intersection Show collisions: True Thursday, March 14, 13
  48. 48. 46 Perceptually based Thursday, March 14, 13
  49. 49. 47 Object-directedness Thursday, March 14, 13
  50. 50. 48 Subjectivity Thursday, March 14, 13
  51. 51. 49 Personality-directedness Thursday, March 14, 13
  52. 52. 50 Emotionally based Thursday, March 14, 13
  53. 53. 51 Self-referential Thursday, March 14, 13
  54. 54. まとめ • 喚起体 e によるフレーム f の喚起の操作的定義 P を提 案 • 定義 P と互換性を保ちながら,形容 (動) 詞と一部の副 詞の喚起の記述法を提案 • 形容詞の体系分類を試作 • 今後は形容動詞と形容名詞も包摂する 52 Thursday, March 14, 13
  55. 55. 53 Thank you for your attention Thursday, March 14, 13
  56. 56. 付録 Thursday, March 14, 13
  57. 57. その はX 医者 かかってに いた その は絵 Y かかってに いた その は絵 医者 かかってに いた その はX Y かかってに いた P1 P2 Q S3 その は絵 壁 かかってに いたS1その は男 医者 かかってに いたS2 55 Thursday, March 14, 13
  58. 58. その はX 医者 かかってに いた その は絵 その は絵 医者 かかってに いた その はX Y かかってに いた P1 P2 Q S3その は男 医者 かかってに いた2 56 Thursday, March 14, 13
  59. 59. その はX 医者 かかってに いた その は絵 Y かかってに いた その は絵 医者 かかってに いた その はX Y かかってに いた P1 P2 Q S3 その は絵 壁 かかってに いたS1その は男 医者 かかってに いたS2 57 Thursday, March 14, 13
  60. 60. 者 かかってに いた その は絵 Y かかってに いた その は絵 医者 かかってに いた その はX Y かかってに いた P2 Q S3 その は絵 壁 かかってに いたS1 58 Thursday, March 14, 13

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