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拡大する日本のバイアウト・ファンド

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ホームページ; http://www.fusion-reactor.biz/japanese
担当; 徳田 浩司
電話 日本 050-5534-1114 (国内電話で通じます)
E-mail: info@fusion-reactor.biz
Linkedin; www.linkedin.com/in/tokuda

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拡大する日本のバイアウト・ファンド

  1. 1. 2002年 2002年9月 拡大する日本のバイアウト・ファンド1.事業の選択と集中を促進する てきた。三菱総研の調査によると、97年まで 「バイアウト・ファンド」 ほぼゼロであったバイアウト市場が、2001年 欧米やアジア諸国では多くのバイアウト・ には22件1,160億円まで広がっている。更に、ファンドが活発に活動しており、投資家から ハゲタカファンドと陰口を叩かれながらも、多額の資金を集めている。我が国においては、 日本経済再生の特効薬としてバイアウト・フ銀行・証券を母体とするベンチャー・キャピ ァンド投資に対する期待は強く、日本政府もタル・ファンドは存在するものの、バイアウ 様々な資金的な支援を行うことを表明しておト・ファンドの歴史はまだ浅い。これは、企 り、今後も拡大することが予想される。業戦略に従って能動的に子会社や事業部門を 日本のバイアウト市場売買するM&A自体我が国にはあまりなじみ 25 1400 件数 金額(億円)がなく、特に売手となるオーナーに抵抗感が 1200 件数(件) 20 金額 1000あったことや、銀行を主体とする間接金融が 15 800 10 600主流であり、未公開株式投資が活発でなかっ 5 400 200たことが背景として挙げられる。 0 0 96 97 98 99 00 01 しかしながら、いまや状況は変わりつつある。90年代初頭のバブル崩壊をきっかけとし 2.我が国の経済に対する影響て表面化した日本の銀行の不良債権問題は、 とはいえバイアウト・ファンドが投資でき底無し沼のようで未だ回復には程遠く、「失 る金額は、年間せいぜい数千億円程度(投資われた10年」と呼ばれるように日本経済の長 先企業数も数十件)と見積もられ、帝国デー期の停滞を招いた。コアビジネスは比較的安 タの調査によると40兆円もあるという銀行の定しているものの、バブル期に採算性を度外 不良債権全体を解決できるわけではない。視した積極的な多角化を進めた結果、収益悪化や資金繰難に陥り、最悪のケースとして倒 しかしながら、近年、破綻した大手銀行が産まで追い込まれた企業は少なくない。90代 バイアウト・ファンドにより買収されること年は、住専処理問題を皮切りに金融機関の整 で事業継続できたことにより、日本の金融シ理統合が進んできたが、いよいよその貸出先 ステム全体の崩壊が回避されたことは記憶にである事業会社が、厳しいマーケットの評価 新しい。また、プライベート・エクイティ投にさらされはじめ、事業の選択と集中を迫ら 資先進国の米国では、80年代からM&Aによれている。 る多角化を極度に進めた結果、90年代初頭の (出典:三菱総合研究所資料) 不況時に、ノンコアビジネスを売却し急速に 上記の背景から、1998年以降、我が国の 業績を回復したが、その際、買手としてバイM&Aのビッグ・ディールの担い手として、バ アウト・ファンドが活躍したことは注目されイアウト・ファンドが活躍するケースが増え る。米国ではこれらのファンドを、公的年金・
  2. 2. 企業年金などが投資家として長期的に支え、 同様の疑問を抱いていたため、同じ質問を知高い投資リターンを得たのみならず、米国経 人のバイアウト・ファンドのマネージャーや済の成長を促し、雇用を創出し、更なる再拡 アドバイザー達に質問し、本音ベースでの回大を実現してきた。このように、バイアウト・ 答を求めてみた。ファンドの成長は、我が国においても経済全体に大きなインパクトを与える可能性がある。 「当ファンドでは、一案件当りIRR30% の投資リターンを目標としているが、その 内訳は①デット(借入金)によるレバレッ3.バイアウト・ファンドの期待リターン ジ効果が6割(18%)、②経費削減効果によ いずれのバイアウト・ファンドも、経営支 るキャッシュフロー増が3割(9%)である。配によるハンズオンを標榜し、投資先の業績 ③売上増加による効果は、わずかに残りの1アップ・収益向上を目標しており、その活動 割(3%)しかない。」が日本経済の再生に一役買いそうだというこ 「バイアウトによる企業価値向上は、実はとは理解できる。従って、誰もが総論として 難しくない。不確実な売上増を狙っていくは、バイアウト・ファンドへの投資は賛同す のではなく、リストラによる収益拡大を主るが、一方で、日本の投資家は投資経験が少 体にストーリーを描いて行く。いかに安く 買うかということも重要である。」なく、リターンを求めるあまり、以下の様な つまり、期待リターンの点においては、デ疑問が起こり投資を躊躇してしまうのが現状 ットを使ったファイナンス・スキームによるではないだろうか。 レバレッジ効果が最も大きく、次に経費節減 効果であり、売上増によるリターンへの貢献「業界で長い経験を持つ経営者がうまく行 は実はそれほど大きくない。どの業界でも売かなかった事業を、その業界の専門家でない 上を伸ばすということは容易なことではない外部の人間が経営参画したところで、ドラス が、経営者やオーナーを変更することで、こティックに売上げが伸びるようなことが、果 れまで収益を阻害していたマイナス要因(コたして起りうるのだろうか?」「一方、再建が スト要因)を一気に取り除くことは可能であリストラ主体であると、日本経済は、縮小均 り、短期間で企業価値を増大させることは、衡の路を歩むばかりではないか?」「投資し 決して不可能なことではない。て何年間か経過したあと、買手が現われ、本当に高いリターンを上られるのであろう これに関しては、M&Aを繰り返すことで成か?」「現在は、一種のバイアウト・ファン 長を続けてきたある企業の経営者のコメントド・ブームであり、2、3年前のベンチャー が多いに参考になる。ブームの二の舞になりはしないか?」 「大企業の子会社は人材の層も厚くポテンシャ ルが高いケースが多いが、大企業病で社員が遊 残念ながら日本のバイアウトの歴史は浅く、 んでいたり、コスト意識が薄いため業績不振に投資した企業が再び売却されたり株式公開を 陥っているケースがある。従って、M&Aにより果たすなどして、投資資金の何倍ものリター 社員の意識を変えることは有効である。」ンを実現したというような成功事例は殆どな 「M&Aの精査は時間が勝負で、投資判断には幾い。日本ではバイアウト投資が本格的にスタ つかのチェックポイントを設けている。最も重ートして数年しか経ておらず、これら疑問に 要視するのが経費の使い方であり、一例として、 名刺一箱いくらで外注しているかを見る。2,000対し、何ら具体的なデータはまだなく、実証 円を切っている場合には、経費を切り詰めるだされていないのが現状である。筆者も当初、
  3. 3. け切り詰めており、改善の余地は少ないと思われるが、3,000円も払っているようなコスト意識 5.全てのファンドが成功するとは限らないの薄い企業は短期間で改善できる余地があり、 ただし、ここで注意しなければならないの買収後優良企業に生まれ変わる可能性がある。 は、全てのファンドがIRR20%を超えるよう従って、まずはコスト削減を行い、売上拡大戦 な魅力的なリターンが期待できるわけではな略はその次のステップと考えるべきだ。」 いことである。バイアウト・マネージャーの 能力と幅広い投資経験、投資先に対する明確4.投資のタイミング な将来展望が必要であり、いずれが欠けても バイアウト・ファンドは前述のように、一 成功はおぼつかない。投資を成功に導くには、般的に、デットによるレバレッジ、経費削減、 優秀なバイアウト・マネージャーの選択が必売上増の3つの手法を組合わせ、4、5年程度 要であり、投資家サイドにも幅広いファンドの短期間で投資先の企業価値を数倍に上げ、 投資の経験と知見が必要である。これらは一年率20%、30%の高いリターンの獲得を目指 朝一夕に身につくものではなく、ファンド投す。主たるリターンの源泉である借入による 資を検討する際には、経験豊富なファンド投レバレッジ効果は、LBO(レバレッジド・バ 資の専門家の門を叩くことが必要となろう。イアウト)と呼ばれる手法によるもので、将来のキャッシュフローを見合いに借入を行うことで、投資金額を押さえるものである。こ 三菱商事 金融事業本部 徳田 浩司れは、ファイナンス・スキームを使うことで (執筆当時)タイムラグを生み、将来高く売れる商品を、先行して安く手に入れることを意味する。 三菱商事証券ニューズレター 三菱商事証券ニューズレター ニューズレタ Alternative Investment Outlook寄稿文 寄稿文 それでは、現在は投資のタイミングなのであろうか?将来を予言することは非常に困難であるが、過去と比較することは可能だ。バイアウトの成功事例はまだ少ないが、日本においてM&Aによる企業価値の向上が可能なことは、ルノーによる日産の買収と、ゴーン社長主導のリバイバルプランの成功により実証された。それまでの、下請企業との長年のもたれあいの関係を厳しく見直し、急速に収益力を回復することで、企業に対するユーザの信用を回復した結果、販売台数も増やすことが可能となった。株価も、1999年初頭、業績不振で300円まで落ち込んでいたが、現在1,000円近くまで回復した。また、外国企業が株式交換により日本企業を買収できるよう法改正される方向であり、今後投資の出口も広がっていくと思われ、少なくとも90年代よりも投資の環境は整ってきたと言えそうだ。
  4. 4. 徳田 浩司(トクダ コウジ)Fusion Reactor LLC(在米国シリコンバレー)社長三和銀行、三和総研、三菱商事証券などで、システムコンサルティング、ベンチャー投融資などに従事。2004年に独立、米国シリコンバレーで、ベンチャーサポート、IT・金融ビジネスのコンサルティング、ワイヤレス・ブロードバンド・ソリューションの開発・ベンチャー経営、老舗スポーティング・グッズ・メーカの米国代表などに従事。 本件に関するご意見・お問い合わせ Fusion Reactor LLC 代表; 代表; 徳田 浩司 電話 日本 050-5534-5314 (国内電話で通じます) 050-5534- 国内電話で通じます) E-mail: info@fusion-reactor.biz info@fusion- http://www.fusion- ホームページ http://www.fusion-reactor.biz/japanese

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