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IN 2012/11/22 @熊本

CS27 Lab. Kobe University

モバイルセンシングデータ可視化のため
の
ライフログ可視化フレームワーク
MashMap の拡張
神戸大学大学院
システム情報学研究科
 高橋 昂平
佐伯 幸郎
柗本 真佑
中村 匡秀
ライフログとそのマッシュアップ
 ライフログ
 人間の行いをデジタルデータとして記録したもの
 様々な目的に利用されている
ex. 自己の振り返り , 生活改善 , 意思決定 ...

 それらに応じた多くのライフログサービスが提供されている

 ライフログのマッシュアップ
 集約・連携することで更に付加価値が上がる
食事の写真 + 体重ログ = 食習慣の振り返り・改善

 先行研究 : ライフログマッシュアッププラットフォーム [1]
ライフログ標準データモデル( LLCDM )
マッシュアップ API ( LLAPI )

LLAPI

LLCDM
Body Log

まつ本真佑,下條彰,鎌田早織,中村匡秀,“異種ライフログ統合のための標準データ
モデルとマッシュアップ api” 電子情報通信学会論文誌, vol.J95-D , p.758–768 , April 2012 .

Transform
Aggregate

PerlLifeLogger

2
先行研究: MashMap フレームワーク
 様々な形式の位置付きライフログを地図上に可視化するため
の汎用的な枠組み
 ライフログを束ねて (Mashup) 、地図 (Map) 化する
 ライフログを地図上に可視化する際の共通した処理をフレー
ムワークで処理する
 様々な形式の位置付きライフログを標準形式 (LLCDM) で保存
 データソースを定義し、 1 つまたは複数のデータソースを同一地図上
へ可視化
 地図上での容易なライフログマッシュアップを実現
MashMap Framework
 効率的なサービス開発を支援
Filter

LLAPI
LLCDM

DisplayFormat

DataSource
DisplayFormat
Filter
DataSource

MashMap
3
モバイルセンシングと参加型センシング
 モバイルセンシング
 人間がセンサを持ち歩く
 移動しながら、周囲の環境や状況をセンシングする
外気温、湿度、気圧、騒音
地磁気、加速度、速度
「晴れている」、「混んでいる」

 参加型センシング
 モバイルセンシングを共通の目的の下で多数のユーザで実施
 多数のユーザによるデータを共有・集約し、有効活用する

4
参加型センシングによる情報を利用した
サービス

各地の個々のユーザの取得したデータを集約し、可視化する
ウェザーリポート Ch.
→ ユーザが見たピンポイントな天気状況を
集約

みんなでつくる放射線量マップ
→ ユーザ各自の放射線量測定結果を集約

目的や用途ごとに専用のプログラムを作成している
ログから位置情報を抜き出し、地図上へ表示する処理は共通
5
MashMap のモバイルセンシングへの適用
 適用イメージ
MashMap Framework
Filter
LLAPI

?LLCDM

?
DisplayFormat
?

DataSource
DisplayFormat
Filter ?
?
DataSource

MashMap

 モバイルセンシングの MashMap への要求
 ① センシングによるデータもライフログと同様に扱いたい
 ② データの細かな選別、選別法の組み替えを行いたい
 ③ 測定値を基に、地図上での表示を細かく指定したい
6
目的とアプローチ
 目的
 以下の要件を満たすように MashMap フレームワークを拡張する
    R1: モバイルセンシングデータをライフログの一つとして管理す
る
    R2: 様々な角度からデータの抽出を行う
    R3: 測定値に応じて地図上での表示方法を変更する

 アプローチ
 以下の拡張を行う
    A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への適用
    A2: Filter の拡張
    A3: DisplayFormat の拡張

7
A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への
適用 1/2

 5W1H の観点から、ライフログの持つ標準的なデータ項目を
整理
 アプリケーションに依らない汎用的なデータ項目を規定
Perspective
ライフログ (by Twitter)
センサログ( by モバイル百葉箱)
When

(投稿日時)
Date: 2013-11-22
Time: 09:00:00

(測定日時)
Date: 2013-11-22
Time: 09:00:00

Where

(投稿地点)
Latitude: 32.81283
Longitude: 130.72792

(測定地点)
Latitude: 32.81283
Longitude: 130.72792

Who

(ユーザ名) “ Kohei”

(測定者) “ Takahashi”

What

(つぶやき)
{ …, text: “ 発表なう” , … }

(センシングデータ)
{ velocity: 10, temperature: 12, …}

How

(アプリ・利用機器)
application: “Twiiter”
device: “iPhone4”

(測定機器)
application: “ モバイル百葉箱”
device: “Phidgets1040”
8
A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への
適用 2/2
Perspectiv
e
When
LLCDM
Where

他のライフログデータと

Who
What

同様に扱うことが可能になる
センシング視点からの解釈

How

センサログ( by モバイル百
葉箱)
(測定日時)
Date: 2013-11-22
Time: 09:00:00
(測定地点)
Latitude: 32.81283
Longitude: 130.72792
(測定者) “ Takahashi”
(センシングデータ)
{ velocity: 10, temperature: 12, …}
(測定機器)
application: “ モバイル百葉箱”
device: “Phidgets1040”

 「センサによって取得された速度と気温のデータ」

ライフログ視点からの解釈
 「 Takahashi が今日、センサでデータを取得した。中身は速度と気温
である。」

9
A2: Filter の拡張
 Filter: 可視化するデータをデータベースから選別する
Filter

 既存

DisplayFormat

DataSource
 1 つの DataSource につき 1 つの Filter しか定義できない
 ライフログでは、「期間 + ユーザ +Web サービスの種類」程度の選別

 拡張

Filter

 Filter の入れ子構造を許す
柔軟なデータの選別
作成した Filter の再利用

例
user と application で絞り込む Filter
date で絞り込む Filter
location で絞り込む Filter

Filter
Filter

user+application
date

location

location
10
A3: DisplayFormat 拡張
 DisplayFormat: データの地図上での表示形式を規定する
Filter

 既存

DisplayFormat

DataSource

 1 つの DataSource につき 1 つの DisplyFormat しか定義できない
 Filter により選別されたデータ全てを同じ表示形式で可視化する

 拡張
 Filter によって選別された各データに対して条件判定をする
データもつ値によって別の表示形式を割り振る

例
気温によってマーカーの色を変える
気温 27 度以上の地点:赤色
気温 15 ~ 27 度未満の地点:緑色
気温 15 度未満の地点:青色

DisplayFormat
Hot
Mid
Cold
11
ケーススタディ
 設定
 旅行中にモバイルセンサを持ち歩き、データを取得した
 移動中、どこを、どのぐらいの速度で移動したのかを可視化したい

 データの投入・変換
{ id: "5269f63f45bd0479d4204bd0",

{Date:"2013-09-08", Time:"13:24:14 JST", GPS:{latitude:24.403,
date: "2013-09-08",
longitude:124.14152333333334, altitude:11.1, velocity:1.668}, light:60,
time: "04:24:14",
sound:63.2664824, temperature:27.33346, humidity:43.66, ...}
user: "okushi",
{Date:"2013-09-08", Time:"13:24:18 JST", GPS:{latitude:24.40300166666667,
location: { latitude:24.403,
longitude:124.14152333333334, altitude:11.0, velocity:2.0372}, light:66,
longitude:124.1415234, altitude:11.1},
sound:61.67583, temperature:27.336, humidity:43.66, ...}
content: { Date:"2013-09-08", Time:"13:24:14 JST",
……..
GPS:{ latitude:24.403,
longitude:124.1415234, altitude:11.1,
velocity:1.668},
light:60, sound:63.2664824,
temperature:27.346, humidity:43.66, ...},
LLCDM
device: "MobileSensorOkushi",
application: "sensorbox",
},….

12
ケーススタディ: DataSource の作成
 Filter の作成
 Child Filter

Filter

User: okushi
Device: velocity sensor

user+device

 Child Filter

date

Date: 2013-09-08

 DisplayFormat の作成
 形状 : 線 (LINE)
 フォーマットルール
速度 10km/h 以下 : 青
速度 10 ~ 30km/h: 緑
速度 30 ~ 50km/h: オレンジ
速度 50km/h より大きい : 赤

DisplayFormat

high

Low
DataSource

 DataSource の作成
 上記の Filter と DisplayFormat の組み合わせ
13
ケーススタディ:可視化結果
 移動中の速度の可視化
 2013 年 9 月 8 日、ユーザ okushi が旅行中に速度センサにより取得

 DataSource
Filter
user+device
date
DisplayFormat
Low

high

DataSource

14
考察

✔ 要件
MashMap を利用した可視化を行うことができた R1 ✔ 要件
R2
✔ 要件
Filter に入れ子構造を許し、組み替えられるようになった
R3



 1 つの DisplayFormat で各色と速度の対応付けができた

 従来手法では、各色毎に DataSource ごと作りなおさなければならない

→ データの収集から可視化までの工数を削減
→ 他のモバイルセンシングデータ・ライフログとも容易にマッ
シュアップ
 限界
 同じ地点で連続的に取られたデータの地図上での可視化は難しい
 地図上で時系列を表現する機能が必要
 データの選別方法の工夫で対応可能
15
まとめと今後の課題
 まとめ
 MashMap フレームワークを拡張し、ライフログのみならずモバイルセ
ンシングデータを地図上に可視化できる枠組みを提案・実装した。
 ケーススタディとして、移動中に速度センサで取得したデータを可視
化した。
 その結果、どの地点をどの程度の速度で移動していたかを詳細に振り
返る地図を容易に作成することができた。

 今後の課題
 より簡単・単純な手順による可視化の支援
 フレームワークの強化
位置情報を持たないデータとのマッシュアップを行う機能
同一地図上で時系列を表現する機能
16

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201311 IN koupe

  • 1. IN 2012/11/22 @熊本 CS27 Lab. Kobe University モバイルセンシングデータ可視化のため の ライフログ可視化フレームワーク MashMap の拡張 神戸大学大学院 システム情報学研究科  高橋 昂平 佐伯 幸郎 柗本 真佑 中村 匡秀
  • 2. ライフログとそのマッシュアップ  ライフログ  人間の行いをデジタルデータとして記録したもの  様々な目的に利用されている ex. 自己の振り返り , 生活改善 , 意思決定 ...  それらに応じた多くのライフログサービスが提供されている  ライフログのマッシュアップ  集約・連携することで更に付加価値が上がる 食事の写真 + 体重ログ = 食習慣の振り返り・改善  先行研究 : ライフログマッシュアッププラットフォーム [1] ライフログ標準データモデル( LLCDM ) マッシュアップ API ( LLAPI ) LLAPI LLCDM Body Log まつ本真佑,下條彰,鎌田早織,中村匡秀,“異種ライフログ統合のための標準データ モデルとマッシュアップ api” 電子情報通信学会論文誌, vol.J95-D , p.758–768 , April 2012 . Transform Aggregate PerlLifeLogger 2
  • 3. 先行研究: MashMap フレームワーク  様々な形式の位置付きライフログを地図上に可視化するため の汎用的な枠組み  ライフログを束ねて (Mashup) 、地図 (Map) 化する  ライフログを地図上に可視化する際の共通した処理をフレー ムワークで処理する  様々な形式の位置付きライフログを標準形式 (LLCDM) で保存  データソースを定義し、 1 つまたは複数のデータソースを同一地図上 へ可視化  地図上での容易なライフログマッシュアップを実現 MashMap Framework  効率的なサービス開発を支援 Filter LLAPI LLCDM DisplayFormat DataSource DisplayFormat Filter DataSource MashMap 3
  • 4. モバイルセンシングと参加型センシング  モバイルセンシング  人間がセンサを持ち歩く  移動しながら、周囲の環境や状況をセンシングする 外気温、湿度、気圧、騒音 地磁気、加速度、速度 「晴れている」、「混んでいる」  参加型センシング  モバイルセンシングを共通の目的の下で多数のユーザで実施  多数のユーザによるデータを共有・集約し、有効活用する 4
  • 5. 参加型センシングによる情報を利用した サービス 各地の個々のユーザの取得したデータを集約し、可視化する ウェザーリポート Ch. → ユーザが見たピンポイントな天気状況を 集約 みんなでつくる放射線量マップ → ユーザ各自の放射線量測定結果を集約 目的や用途ごとに専用のプログラムを作成している ログから位置情報を抜き出し、地図上へ表示する処理は共通 5
  • 6. MashMap のモバイルセンシングへの適用  適用イメージ MashMap Framework Filter LLAPI ?LLCDM ? DisplayFormat ? DataSource DisplayFormat Filter ? ? DataSource MashMap  モバイルセンシングの MashMap への要求  ① センシングによるデータもライフログと同様に扱いたい  ② データの細かな選別、選別法の組み替えを行いたい  ③ 測定値を基に、地図上での表示を細かく指定したい 6
  • 7. 目的とアプローチ  目的  以下の要件を満たすように MashMap フレームワークを拡張する     R1: モバイルセンシングデータをライフログの一つとして管理す る     R2: 様々な角度からデータの抽出を行う     R3: 測定値に応じて地図上での表示方法を変更する  アプローチ  以下の拡張を行う     A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への適用     A2: Filter の拡張     A3: DisplayFormat の拡張 7
  • 8. A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への 適用 1/2  5W1H の観点から、ライフログの持つ標準的なデータ項目を 整理  アプリケーションに依らない汎用的なデータ項目を規定 Perspective ライフログ (by Twitter) センサログ( by モバイル百葉箱) When (投稿日時) Date: 2013-11-22 Time: 09:00:00 (測定日時) Date: 2013-11-22 Time: 09:00:00 Where (投稿地点) Latitude: 32.81283 Longitude: 130.72792 (測定地点) Latitude: 32.81283 Longitude: 130.72792 Who (ユーザ名) “ Kohei” (測定者) “ Takahashi” What (つぶやき) { …, text: “ 発表なう” , … } (センシングデータ) { velocity: 10, temperature: 12, …} How (アプリ・利用機器) application: “Twiiter” device: “iPhone4” (測定機器) application: “ モバイル百葉箱” device: “Phidgets1040” 8
  • 9. A1: モバイルセンシングデータの LLCDM への 適用 2/2 Perspectiv e When LLCDM Where 他のライフログデータと Who What 同様に扱うことが可能になる センシング視点からの解釈 How センサログ( by モバイル百 葉箱) (測定日時) Date: 2013-11-22 Time: 09:00:00 (測定地点) Latitude: 32.81283 Longitude: 130.72792 (測定者) “ Takahashi” (センシングデータ) { velocity: 10, temperature: 12, …} (測定機器) application: “ モバイル百葉箱” device: “Phidgets1040”  「センサによって取得された速度と気温のデータ」 ライフログ視点からの解釈  「 Takahashi が今日、センサでデータを取得した。中身は速度と気温 である。」 9
  • 10. A2: Filter の拡張  Filter: 可視化するデータをデータベースから選別する Filter  既存 DisplayFormat DataSource  1 つの DataSource につき 1 つの Filter しか定義できない  ライフログでは、「期間 + ユーザ +Web サービスの種類」程度の選別  拡張 Filter  Filter の入れ子構造を許す 柔軟なデータの選別 作成した Filter の再利用 例 user と application で絞り込む Filter date で絞り込む Filter location で絞り込む Filter Filter Filter user+application date location location 10
  • 11. A3: DisplayFormat 拡張  DisplayFormat: データの地図上での表示形式を規定する Filter  既存 DisplayFormat DataSource  1 つの DataSource につき 1 つの DisplyFormat しか定義できない  Filter により選別されたデータ全てを同じ表示形式で可視化する  拡張  Filter によって選別された各データに対して条件判定をする データもつ値によって別の表示形式を割り振る 例 気温によってマーカーの色を変える 気温 27 度以上の地点:赤色 気温 15 ~ 27 度未満の地点:緑色 気温 15 度未満の地点:青色 DisplayFormat Hot Mid Cold 11
  • 12. ケーススタディ  設定  旅行中にモバイルセンサを持ち歩き、データを取得した  移動中、どこを、どのぐらいの速度で移動したのかを可視化したい  データの投入・変換 { id: "5269f63f45bd0479d4204bd0", {Date:"2013-09-08", Time:"13:24:14 JST", GPS:{latitude:24.403, date: "2013-09-08", longitude:124.14152333333334, altitude:11.1, velocity:1.668}, light:60, time: "04:24:14", sound:63.2664824, temperature:27.33346, humidity:43.66, ...} user: "okushi", {Date:"2013-09-08", Time:"13:24:18 JST", GPS:{latitude:24.40300166666667, location: { latitude:24.403, longitude:124.14152333333334, altitude:11.0, velocity:2.0372}, light:66, longitude:124.1415234, altitude:11.1}, sound:61.67583, temperature:27.336, humidity:43.66, ...} content: { Date:"2013-09-08", Time:"13:24:14 JST", …….. GPS:{ latitude:24.403, longitude:124.1415234, altitude:11.1, velocity:1.668}, light:60, sound:63.2664824, temperature:27.346, humidity:43.66, ...}, LLCDM device: "MobileSensorOkushi", application: "sensorbox", },…. 12
  • 13. ケーススタディ: DataSource の作成  Filter の作成  Child Filter Filter User: okushi Device: velocity sensor user+device  Child Filter date Date: 2013-09-08  DisplayFormat の作成  形状 : 線 (LINE)  フォーマットルール 速度 10km/h 以下 : 青 速度 10 ~ 30km/h: 緑 速度 30 ~ 50km/h: オレンジ 速度 50km/h より大きい : 赤 DisplayFormat high Low DataSource  DataSource の作成  上記の Filter と DisplayFormat の組み合わせ 13
  • 14. ケーススタディ:可視化結果  移動中の速度の可視化  2013 年 9 月 8 日、ユーザ okushi が旅行中に速度センサにより取得  DataSource Filter user+device date DisplayFormat Low high DataSource 14
  • 15. 考察 ✔ 要件 MashMap を利用した可視化を行うことができた R1 ✔ 要件 R2 ✔ 要件 Filter に入れ子構造を許し、組み替えられるようになった R3    1 つの DisplayFormat で各色と速度の対応付けができた  従来手法では、各色毎に DataSource ごと作りなおさなければならない → データの収集から可視化までの工数を削減 → 他のモバイルセンシングデータ・ライフログとも容易にマッ シュアップ  限界  同じ地点で連続的に取られたデータの地図上での可視化は難しい  地図上で時系列を表現する機能が必要  データの選別方法の工夫で対応可能 15
  • 16. まとめと今後の課題  まとめ  MashMap フレームワークを拡張し、ライフログのみならずモバイルセ ンシングデータを地図上に可視化できる枠組みを提案・実装した。  ケーススタディとして、移動中に速度センサで取得したデータを可視 化した。  その結果、どの地点をどの程度の速度で移動していたかを詳細に振り 返る地図を容易に作成することができた。  今後の課題  より簡単・単純な手順による可視化の支援  フレームワークの強化 位置情報を持たないデータとのマッシュアップを行う機能 同一地図上で時系列を表現する機能 16

Editor's Notes

  1. 神戸大学の高橋が 「モバイルセンシングデータ可視化のためのライフログ可視化フレームワークMashMapの拡張」 というタイトルで発表させて頂きます
  2. まず、ライフログとそのマッシュアップについてです。 ライフログとは、人間の日々の行動をデジタルデータとして記録したものです。 ライフログは様々な目的に利用されており、 例えば自己振り返り、生活改善、意思決定などに利用されます。 現在Web上で、多くのライフログサービスが提供されています。 例えば、歩いたコース等をGPSで記録するGARMIN つぶやきを記録するTwitter、今いる場所を共有するfoursquare等があります。 我々は、これらのサービスを別々に使っています。 しかし、これらを集約・連携させることで更に付加価値が上がると考えます。 例えば、食事の写真と体重ログを組み合わせると食習慣の振り返りや改善を考えるのに役立つといったものです。 また、我々の研究グループの先行研究として、ライフログマッシュアッププラットフォームというものがあります。 これは、ライフログ標準データモデルLLCDMと そのインタフェースとしてマッシュアップAPI、LLAPIを提案しています。
  3. このようなライフログの中でも、位置情報を含むライフログ同士の マッシュアップ、及びそれらのライフログの可視化を容易にするため、 我々は先行研究においてMashMapフレームワークというものを提案しています。 このMashMapとはライフログを束ねてMashupし,地図(Map)上、Map上に可視化する という言葉からきた造語になっています。 MashMapフレームワークは、様々な形式の位置付きライフログを 地図上に可視化するための汎用的な枠組みです。 ライフログを地図上に可視化する際の共通した処理をフレームワークで処理します。 具体的には、様々な形式の位置付きライフログを標準形式LLCDM形式でDBに蓄えます (図) アプリケーションの開発者はまずDataSourceを定義します。 DataSourceはFilterとDisplayFormatからできており、 Filterは必要なデータをデータベースから選別するクエリを持ち DisplayFormatはそのデータの表示形式を定義します. 次に,同一地図上に表示したいデータソースを一つあるいは複数選択して MashMapを定義します。 これにより、地図上での容易なライフログマッシュアップを実現し 効率的な開発を支援します。
  4. 一方、近年、スマホ・センサの普及 モバイルセンシングや、参加型センシングといったものが盛んになってきています モバイルセンシングとは、人間がセンサを持ち歩き、 移動しながら首位の環境や情報をセンシングすることを言います。 これによって取得できるデータの例としては 各種センサによって測定できる、外気温・湿度・気圧・騒音・地磁気・加速度・速度などの他 ユーザ自身の判断した「今晴れている」とか、「ここは混んでいる」といったものがあります。 このモバイルセンシングを、共通の目的のもとで多数のユーザで実施し、 取得したデータを共有・集約することで有効活用していこうというものが、 参加型センシングと呼ばれる手法です。
  5. 参加型センシングを用いたサービスでは 各地の個々のユーザの取得したデータを集約し、広域の測定結果を求めます。 例えば, ウェザーニュース社の「ウェザーリポートチャンネル」では ユーザが自分のいる場所で見たピンポイントな天気状況が集約され、 広域の天気がわかるようになっています。 こちらの「みんなでつくる放射線量マップ」は それぞれのユーザが測定した放射線量や測定状況をまとめて可視化しすることで 広域の放射線量マップが作られています。 このように、様々なサービスにおいて地図を用いた可視化が行われていますが、 これらは、目的や用途ごとに専用のプログラムを作成しています。 しかし、ログから位置情報を抜き出し、地図上へ表示するという処理は共通しています。
  6. そこで、MashMapフレームワークをモバイルセンシングへ適用することを考えます。 適用イメージとしましては、 このように、様々なウェブサービスによるライフログのほか、 モバイルセンシングによるセンシングデータもMashMapに取り込みます。 次に、Filter, DisplayFormatからDataSourceを定義し、様々なデータを同一地図上に可視化します。 しかしながら、現状のMashMapフレームワークではセンシングデータの可視化に対応しておらず 以下の様な要求が考えられます。 1つ目は、センシングによるデータも、ライフログと同様に扱いたいということです。 まず、フレームワークの中で扱うデータはLLCDMに添っている必要があります。 2つ目は、データの細かな選別・選別法の組み換えを行いたいということです。 センシングによるデータの可視化には、データの選別方法も柔軟に行う必要があると考えます。 3つ目は、測定値をもとに、地図上での表示を細かく指定したい、ということです。 現状では、Filterで抽出したデータすべてを同じ形式でしか表現できず、データを俯瞰できません。
  7. そこで、本稿の目的としては この3つの要件を満たすようにMashMapフレームワークを拡張することです R1 モバイルセンシングデータをライフログの一つとして管理する R2 様々な角度からのデータ抽出を行う R3 データの値に応じて地図上での表示方法を変更する そのためのアプローチとして、 既存MashMapを以下のように拡張します。 A1 モバイルセンシングデータのLLCDMへの適用 A2 Filterの拡張 A3 DisplayFormatの拡張 です。 以降で詳しく説明していきます。
  8. まず、A1:モバイルセンシングデータのLLCDMへの適用です LLCDM、ライフログ標準データモデルでは 5W1Hの観点から、ライフログのもつ標準的なデータ項目を整理し、 これによって全てのライフログを統一的に扱うことを可能にしています。 以下の表は、ライフログ・センサログそれぞれが持つデータについて、LLCDMのデータ項目に したがって、振り分けを行った結果です。 ライフログ、例えばTwitterを例にしますと、 Whatには投稿日時、Whereには投稿地点、Whoにはユーザ名、 Whatにはアプリケーション固有のデータ。Twitterなので「つぶやき」のデータ、 Howにはクライアントや端末名 が入ります。 同様に、センサーのログについては、 Whenには測定日時、Whereには測定地点、Whoには測定者 Whatには測定したデータそのもの、Howには測定機器 が入り、LLCDMのデータ項目に従った振り分けが可能です。
  9. このように、LLCDM形式へと変換することにより、 他のライフログデータと同様に扱うことが可能になります。 これは、「センサによって取得された速度と気温のデータ」を 「Takahashiが今日、センサでデータを取得した。中身は速度と気温である」 というライフログとして解釈し直したとも言えます。
  10. 次に、A2:Filterの拡張です。 Filterは、可視化の対象とするデータをデータベースから選別する機能を持ちます。 既存のFilterは 1つのDataSourceにつき1つしか定義できません。 ライフログの可視化においては、「期間+ユーザ+Webサービスの種類」程度の選別が一般的でした。 今回の拡張では 柔軟なデータの選別や、作成したFilterの再利用を実現するため Filterに入れ子構造を許します。 例えば、userとapplicationで絞り込むFilterとdateで絞り込むFilterから 新たなFilterを作成できます。 また、このdateを入れ替えるだけ、同様のデータの別日のデータを集めるFilterが作成できます。 このような複雑なFilterを入れ子で組み合わせ・組み替えて使えるようになります。
  11. 次に、A3:DisplayFormatの拡張です。 DisplayFormatは、データの地図上での表示形式を規定します。 既存のDisplayFormatでは 1つのDataSourceにつき1つしか定義できず、 対応するFilterによって選別されたすべてのデータに対して同じ表示形式で可視化を行うことしかできません。 そこで、拡張においては、 選別された書くデータに対して条件判定を行えるようにし、 データのもつ値によって、それぞれ別の表示形式を割り振る機能を実装します 例えば、データの持つ気温の値によってマーカーの色を替えるということが可能になります。
  12. 拡張したMashMapを用いたケーススタディを行います。 設定としては、旅行中にモバイルセンサを持ち歩きデータを取得した 移動中に、どこを、どのぐらいの速度で移動したのかを可視化したい ということを考えます。 まず、データの投入と変換です。 このように、センサの取得したデータがあります。 速度のデータはここになります。 これをLLCDMの形式に変換します。 元のデータを保持しつつ、LLCDMに基づいた標準的なデータ形式になっています。
  13. 次に、DataSourceを作成します DataSourceはFilterとDisplayFormatからできています Filterには User=Okushi, Device=速度センサ のFilterと Date=2013-09-08 のFilterを入れ子で使います。 あとからDateのFilterのみをかえることで、別日のデータソースの作成がしやすくなります。 次に、DisplayFormatを作成します。 形状を線とし、フォーマットルールを定義します。 今回は、速度によって、線の色が青から赤まで変わるようにします。 これらのFilterとDisplayFormatから、DataSourceを作成します。
  14. 以上により、 2013年9月8日にユーザokushiが取得した速度センサデータの可視化結果は このようになります。
  15. 考察です。 ケーススタディから、MashMapを利用した可視化を行うことが出来ました。 Filterに入れ子構造を許し、柔軟に組み替えられるようになりました。 1つのDisplayFormatで、各色と速度の対応付けが出来ました。 これは、従来手法では、色ごとにDataSourceごと作りなおさなければできませんでした。 これらは、要件R1~R3を満たすと考えます。 また、以上により データの収集から可視化までの工数を削減できると考えます さらに、他のモバイルセンシングデータや、ライフログとも容易にマッシュアップでき、さらなる付加価値を持つことができます しかしながら、 地図上に可視化を行う性質上、 同じ地点で連続的に取られたデータの可視化は難しく、 地図上で時系列を表現する機能が必要になります。 現状では、データの選別方法を工夫することで対応可能です。 例えば、5~8時のDataSource、8~10時のDataSourceというように、時間区切りで それぞれDataSourceを作成するといった工夫をする必要があります。
  16. まとめと今後の課題です。 先にまとめです。 本稿では、MashMapフレームワークを拡張し、ライフログのみならず、 モバイルセンシングによるデータも地図上に可視化できる枠組みを提案・実装しました。 ケーススタディとして、移動中に速度センサで取得した速度データを可視化しました。 その結果、どの地点をどの程度の速度で移動していたか、詳細に振り返る地図を容易に作成することができた。 今後の課題としましては、 より簡単・単純な手順による可視化の支援が必要だと考えています。 また、さらなるフレームワークの強化として 位置情報を持つデータと、持たないデータのマッシュアップを行う機能 同一地図上で時系列を表現する機能 などを考えています。 以上です。 ご清聴ありがとうございました。