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100年前の「こころ」観(webアーカイブ用)

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2019.3.21.Thu 全脳アーキテクチャ若手の会 第3回異分野交流会 -学問の垣根を越えて知能とAIを考える- における発表資料です(あ〜ん色味が悪くなってるぅ〜〜〜)

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100年前の「こころ」観(webアーカイブ用)

  1. 1. 100年前の「こころ」観 ーB.ラッセル『⼼の分析』再考ー @kawauSOgood
  2. 2. どんな本? そもそも科学的に⼼理学を分析す るとはどういうことだろう?(意 識、本能、欲求…⼀般語みたいな ⼼理学⽤語を「ぼーっと使ってん じゃねぇよ!!」) 物理学⽣理学的現象の世界観と、 ⼼理学的現象の世界観について考 えよう この本を読んで再考したいこと 科学そもそも論、世界観を考える ことの重要性 B.ラッセル(1921)『⼼の分析』 B.ラッセル (1872-1970) 2
  3. 3. • あなたの研究は積み上げていって最後どうなるの? • その⽅法論は妥当?本当に5段階尺度で質問するだけで⼼がわかるの? • ていうかなんで⼼理学部に⼊ったのにひたすら質問紙や統計やカラスと 触れ合ってるの?⼼どこいったよ?(←⼼理学徒なら⼀度は疑問に思う こと) そもそも論や世界観を考えることが有効な問いたち 3
  4. 4. そ う 思 う ど ち ら か と い え ば そ う 思 う ど ち ら で も な い ど ち ら か と い え ば そ う 思 わ な い そ う 思 わ な い 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 おこりっぽい 朝はご飯より パンを⾷べたい ⽣まれ変われるなら ⾃分以外の ⼈間になりたい たとえば 質問紙 朝はシリアルを ⾷べたいんだけど… 夫には怒りっぽいわ… ⾃分がいいけど ⼈間じゃなくて 猫になりたい そもそも論や世界観を考えないと実証主義的・⼯学的にもきまりが悪い例 4
  5. 5. 『⼼の哲学』が書かれた1921年、⼼理学はどういう学問だったのだろう 5
  6. 6. 素朴にみんな 「こころ」とい うものにラベル をつけはじめた <重要な学者> アリストテレス SCIENCE (20世紀にはすっ かりスピリチュア ルになってしまっ た)形⽽上学とし て研究される 科学の 暗⿊時代 現代的⾃然科学 の黎明 <花形> 古典⼒学 天⽂学 PSYCHOLOGY 歴史上の⼼理 学のはじまり ⾃然科学の成熟 <花形> 量⼦⼒学 神経科学 情報科学 実体のあるものとの 相違が浮き彫りに 「⼼=意識」 <⽣まれた分野> 連合⼼理学 <重要な学者> デカルト (の⼼⾝⼆元論) ⼼理学の⾃然科学化 「⼼=感覚」 「⼼=⾏動」 そうはいっても直接観察 できない無意識はある <⽣まれた分野> 精神物理学 ⾏動主義⼼理学 <重要な学者> フェヒナー ジェームズ フロイト(臨床家) 統計ゴリ押し 脳活動こそこころ 「⼼=構成概念」 「⼼=脳」 「⼼=プログラム」 <⽣まれた分野> 社会⼼理学 認知科学 ⼤脳⽣理学 <重要な学者> オスグッド スティーブンス オールポート BC 5 1200 1700 1900 2000 キリスト教⽂化独裁 何につけても 神、神、神、神 (⾃然)科学と⼼理学の切っても切れない歴史 現代的⾃然科学 の勃興 <花形> 熱⼒学 ⽣物・⽣理学
  7. 7. ⼼理学を科学的(※)に研究する にはどうすればいいんだろう? ※科学的…1900年までの⾃然科学 1900年ごろ、ラッセルは⼼理学の⾃然科学としてのそもそも論を考えていた <意識> こころそのもの といってもよい、 神秘的で本質的 な⼼の成分? <本能> 修正の効かない、 それでいて神から 賜った賢明さを備 えているもの? <欲求> 因果的観測に よって明らか になる⼈間的 営み? 7
  8. 8. ⼼理学を科学的(※)に研究する にはどうすればいいんだろう? ※科学的…1900年までの⾃然科学 1900年ごろ、ラッセルは⼼理学の⾃然科学としてのそもそも論を考えていた <意識> こころそのもの といってもよい、 神秘的で本質的 な⼼の成分? <本能> 修正の効かない、 それでいて神から 賜った賢明さを備 えているもの? <欲求> 因果的観測に よって明らか になる⼈間的 営み? 「ぼーっと使ってんじゃねぇよ!!」 8
  9. 9. 1900年、⾃然科学者の世界観は? ⾃然科学=実体の科学 観測できるもの(こと)についての法則の体系を積み⽴ てていけば科学は成⽴する! 観測可能な“物”だけでできている世界観、実体こそ公理 困ったことに、こころには実体がない これまで⾃然科学で扱ってきた実体で数理モデルが作れない、公 理がない!!( 実体を記述しているわけではない⼒学でさえも、実体の時間 と空間に関する尺度で数理モデルを作っていた ) →⼀般⽤語のぼーっと使い放題を⽣む もっとちゃんと論理的に考えていかなきゃいけないよね <実体> 感覚受容器(⼈類共通の尺度)に よって観測できる。存在している かにを⾔わせない 9 BUT!! コ ラ ム ︶ ⼼ 理 現 象 に 関 わ る 世 界 観 を そ の ま ま 研 究 対 象 に し て し ま っ た の は ⼼ の 哲 学
  10. 10. ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた4つの世界観 10
  11. 11. 物理学と⼼理学は、それらが扱う材料によっては区別されない。⼼と物質 はどちらも論理的構成物である。それらが構成・推論されてくる個物は様々な関係 を持ち、あるものは物理学的に(対象の機能によって)、あるものは⼼理学的に(対象そ のものの構造によって)研究される。 ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた世界観① 11
  12. 12. ⼼理学に最も本質的な特徴は、⾮単調な因果を構成する世界の切り取り⽅ (パースペクティブ)である。⼼理学は「出来事」の離散的な因果関係によって現 象を説明し、物理学は「過程」の連続的な推移によって説明する。 ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた世界観② 12
  13. 13. パースペクティブのメカニズムは物理的原因作⽤に還元できるだろう。 ⼼とは時としてその境界があいまいになるような、程度上の事柄である。 ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた世界観③ 13
  14. 14. 古典物理における「物質」は論理的構成物であるため厳密には「データ」 ではない。この意味ですべてのデータは⼼理的因果法則に従うといってよ い。⼼理学の⽅が、現実に存在するものに近いのである。 ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた世界観④ すべては物の⾒⽅… 実はみんな、⼼理学がとるべき分 析法をとっていたというわけさ… 14
  15. 15. 昔、学問の分野はその対象によって分野を 分けていたが、最近は⽅法論や数理モデル によって分野を分けるようになってきた。 きっと、この先、学問を世界の切り取り⽅ によって分類する時代が来るだろう (ラッセルが⾒ていた通り)21世紀までの100年で ⾃然科学は実体の科学から、むしろ現象の⾒⽅の科学へと 変わってきたように思える あなたは「何を」研究しているのだ? 15
  16. 16. ⼯学的研究において「妥当である」かどうかは愚問であり 科学的研究において「実⽤的である」かどうかは愚問である 16 コ ラ ム ︶ ア ツ ︵ 藝 術 的 ︶ 研 究 に お い て そ れ ら を 問 う こ と は も っ と 愚 か で あ る
  17. 17. …とはいうものの ⼼理現象に関わる世界観=「こころ」観 をよく考えて研究してみるのはいかがだろうか 17
  18. 18. 発表はここで終わりでしたが、ぼーなすとらっく!! ー草稿スライド集ー
  19. 19. 1. 物理学と⼼理学は、それらが扱う材料によっては区別されない。⼼と物質はどちらも論理的構成物で ある。それらが構成・推論されてくる個物は様々な関係を持ち、あるものは物理学的に、あるものは ⼼理学的に研究される。物理学は対象の機能によって、⼼理学は対象そのものの構造によって分類す る。(対象がかかわる現象の因果を対象そのものに帰属しているかいないか)(ひにくにもこのあと、 社会⼼理学で集団⼒学が出てくるのだ!) 2. ⼼理学に最も本質的な特徴は、⾮単調な因果を構成する世界の切り取り⽅(パースペクティブ)であ る。⼼理学は「出来事」の離散的な因果関係によって現象を説明していたが、物理学は「過程」の連 続的な推移によって説明していた。 3. パースペクティブのメカニズムは物理的原因作⽤に還元できるだろう。 4. 意識は⼼的現象の特徴として記述可能であるが、それがこころそのものとは⾔い難い。 5. ⼼とは時としてその境界があいまいになるような、程度上のことがらである。 6. 古典物理においては物理的因果法則が物質によって述べられたが、この物質は論理的構成物であるた め厳密には「データ」ではない。この意味ですべてのデータは⼼理的因果法則に従うといってよい。 ⼼理学の⽅が、現実に存在するものに近いのである。(唯⼼論?いや、論理的⼀元論…) ラッセルが「⼼の科学的分析」のために考えていた世界観
  20. 20. 実体はないけどなんか「ある」 当時までの科学は実体があるもので、唯物論的な世界観によって研究していた こころはやっぱりそれとは違う どういう⾒⽅をして研究していくべきなのだろう? ⾃然科学における公理とは実体であり、世界観と対応し、仮説や理論の源泉であった ⼼理現象に関わる世界観についての議論=⼼の哲学 1900年ごろまでの⾃然科学の世界観は、科学者間で⼀致していた …というか、実体があるものしかやってなかったから⼀致せざるを得なかった なぜ、⼼理学にはこんなにも分野ごとに派閥があるのだろうか?と思ったことはないだろうか こころには⼈類共通の尺度である感覚受容器に観測可能な「実体」がないからだ どんな尺度で測ればいい?未だ証拠は乏しい 実体が観測できないなら世界観の前提から論理的に構成するしかない!!!
  21. 21. ⼼理学の派閥、例えば… ⾏動主義のワトソンさん 態度研究のオールポートさん (社会⼼理学は結構⼒学的) 集団⼒学のレヴィンさん (そもそもこころ考えない派) こころなんてもんに頼らいでも ⾏動…刺激ー反応の集まりで 我々に関することはなんだって 予測可能だぜ! 私は⼼像を完全に否定し、そし てすべての⾃然的思考が喉頭で の感覚運動的過程によって⾏わ れることを⽰そう」⼼像は何ら かの観測可能な⾏動に成る、例 えばテーブルを⾒たらめっちゃ ⼩声で「テーブル」って⾔うて るはずや ⾔うてはないけど脳波は⾒える ね (集団の⾏動の作⽤がこころだ と考えちゃう派) ⼈の⼤きな動き(どこにいるか とか)を起こさせる作⽤そのも のを数式で記述することが、科 学的だろう それが集団にも適⽤されれば良 い (観察可能な(構成概念として の)こころを考えちゃう派) ⽣理学的特徴による認知側⾯、 感情的側⾯、⾏動的側⾯からな る「態度」という⼼の成分から ⼼は観測できるはずだ 潜在的であったとしても、それ は⾏動として現れる それに⾒合う質問紙調査を⾏え ばよい
  22. 22. 1900年ごろまでの⼼理学者がスピリチュアルに、あるいはとりたてて扱ってきた⼼の成分を ばっさりご批判になるラッセルたん <意識> └こころそのものといってもよい、神秘的で本質的で普遍的な⼼の成分? • 意識という概念を⽤いずに⼼は説明できるはず • 意識という志向性を持った作⽤は観察ができず、志向の対象が「なに」か特定もできない • 無意識というのは便宜的虚構といえるほど他の概念との関連が薄い <本能(↔学習された習慣)> └絶対的に正しく修正の効かない、それでいて神から賜った賢明さを備えているもの? • ⼈間の運動には本能的な(先⾏する経験から独⽴である)ものと習慣的な(経験から学習した)ものがある • 本能は学習の推進⼒になりえる • 外的観察研究をするとして、本能は⽬的や予測による⾏動とは独⽴しているため、擬⼈化と過度なストーリー は控えて(「適応」は本来複雑な概念である、あまり粗く使ってくれるな) <欲求(とそれ⾃体としての快/不快)> └因果的観測によって明らかになる⼈間的営み? • ⼀連の⾏動周期の特徴によって観察される(飢え=そわそわして餌を⾒つけるとがっついた) • ⾏動周期とは、機能を持った⼀連の有意的・反射的運動のこと。物理現象などから遮られない限りは機能的結 果まで⾏動が継続する • 欲求そのものは⾏動周期の⽬的、機能的結果を指して呼ぶことが多い • 不快/快とは、⾏動周期を引き起こす/周期の終末となる性質(経験のみが、不快を終わらせることが何かを 知り、それを欲求と呼んだりもする)
  23. 23. 1900年ごろまでの⼼理学者がスピリチュアルに、あるいはとりたてて扱ってきた⼼の成分を ばっさりご批判になるラッセルたん <情動> 外的刺激とある周期の⾝体運動とから成る過程。運動衝動、欲求、快、苦のような、 ダイナミックな要素を含んでいる <意志> 過去の運動感覚のイメージによって起こされる随意的運動(⼀度過去に⾮随意的に起 きないと随意運動はできない) <主観> 任意の世界の切り取り⽅が持っている特徴であり、⼼的な因果的単位を構成する

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