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法人包括健康プラン
Team: In the pink
武蔵野大学
指導教員:西川哲夫教授
濱田一輝 湯山力輝 洪偉鋒 馬場綺海
繆丁楠 大和正樹 長久保海斗
2
目次
1.背景
1)生活習慣病の現状と健康づくりの 3 要素(栄養、運動、休養)
2)運動、食事、睡眠の現状
3)生活習慣病削減のための既存のモニタリングシステム
4)従来の取り組みの課題
5)目標
2.データ分析
1)データ分析リスト
2)データ分析のまとめ
3.提案の概要
1)提案
2)提案システムの構成図とデータフロー
3)統合モニタリングシステムの概要図
4)新規性と実現性を高める工夫
4.新たな制度の提案:ポイント制度、健康賞与制度について
5.ヘルスモニタリング振動バイク
1)運動習慣に関する課題
2)課題解決のための要素
3)ヘルスモニタリング振動バイクの提案
4)振動バイクの構造と機能
5)採用したヘルスモニタリングデバイス
6)新デバイスのコスト見積りと設置場所の展開
6.食事モニタリング
1)食生活が生活習慣病に与える影響と食事モニタリング
2)食事分析と分析結果等の表示
7.睡眠モニタリング
1)睡眠と生活習慣病の関係
2)睡眠モニタリングと睡眠分析の表示
8.アプリの提案
9.妥当性・費用
1)ビジネスモデル
2)収支・導入するメリット
3)開発計画と海外展開
10.想定される効果(医療費削減)
11.想定される医療効果
12.まとめ
13.今後の課題
3
1)生活習慣病を包括的にサポートする新商品・新サービスの提供・開発について
file:///C:/Users/nisik/Downloads/20180323-2.pdf
2)生活習慣病とは? | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-001.html
3)健康の三原則|VITANOTE(ビタノート)https://vitanote.jp/conditioning/health/
4)第 17 回健康日本 21(第二次)推進専門委員会 資料5中の「国民健康づくり対策の概要」第 1 次国民健康づくり対策の
【基本的考え方】に、「健康づくりの 3 要素(栄養、運動、休養)の健康増進事業の推進」とある。(www.mhlw.go.jp)
1.背景 1)生活習慣病の現状と健康づくりの 3 要素(栄養、運動、休養)
図1 生活習慣病患者数の推移 1)
図2 健康づくりの 3 要素(栄養、運動、休養) 3)4)
(3)着目する生活習慣
・食事、運動、睡眠に着目する。
・上記は、厚労省の「国民健康づくり対策の概要」でも、謳われた
「 健康づくりの 3 要素(栄養、運動、休養)」に由来する。
・依存症につながる喫煙、飲酒については、次の機会に検討する。
(1)生活習慣病とは?
・「生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒な
どの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる
疾患の総称」2)
(2)生活習慣病の増加
・生活習慣病のうち、3大疾病以外の患者数は増加傾向に
ある(図1)。
生活習慣病の定義と現状。我々は食事、運動、睡眠の3つに着目します。
4
1)Vol.05:若い世代の8割が運動不足!日本人の運動事情 | 医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター
https://www.heart- center.or.jp/rehabnow/1529/
厚生労働省「平成25年 国民健康・栄養調査結果の概要」より改変
2) 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 000687163.pdf (mhlw.go.jp)
3)最近の野菜の消費動向 話題-2017年2月 (alic.go.jp)
1.2)運動、睡眠、食事の現状
(3) 食事(野菜摂取)の現状
農林水産省の「食料需給表」によれば、一人当たりの野菜
消費量(図3)は、20年間で10%以上の減少を示している。
(2) 睡眠の現状
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概
要 」 の睡眠状況の調査結果(図2)によると、
39%の人は一日の平均睡眠時間が6時間未満であった。
(1) 運動の現状
厚生労働省「平成25年 国民健康・栄養調査結果の概要」
によれば、健康な日本人における運動習慣を有する人は
28%。(図1) 72%は運動不足であると考えられる。
図2 一日の平均睡眠時間割合 2)
図1 健康な日本人の運動習慣
を有する割合 1)
図3 野菜消費量の推移 3)
健康づくりの3要素の食事、運動、睡眠が不十
分な社会人が多いことが分かりました。
5
1. 3)生活習慣病削減のための既存のモニタリングシステム
1) Myzone | 心拍数トレーニングをいつでもどこでも可能に | Japan (https://www.myzone.jp/)
2)心肺機能レベルを設定する - Apple サポート (日本)(https://support.apple.com/ja-jp/HT211856)
4) weara(ウェアラ)| 24時間365日のウェアラブルデバイス (https://weara.jp/)
5)株式会社asken (あすけん) (https://www.asken.inc/)
6)健康管理アプリ、カロミルとは?|食事内容・日々の体重・運動量をアプリで簡単に記録 (calomeal.com) (https://www.calomeal.com/about-calomeal/)
7)従業員健康管理システム60日間無料お試し|「勤次郎」にすべてお任せ – 労務・就業・勤怠管理システムの勤次郎株式会社(旧日通システム) (kinjiro-e.com) (https://www.kinjiro-e.com/products/healthcare/health-life/)
8)製品紹介: NEC 健診結果予測シミュレーション | NECソリューションイノベータ (nec-solutioninnovators.co.jp) (https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/healthcheckup_sim/summary.html)
9) https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/ai-iot/risk-predict-ai.html (https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/ai-iot/risk-predict-ai.html)
項目 名称 メーカー 測定・分析機能 サービス
スポーツ
モニタリ
ング
●MZ-Switch 1)
●Apple Watch 2)
●Myzone
●Apple
●腕時計型運動センサー+心拍センサー:心拍数・カロ
リー・運動時間をモニター 運動に特化
●最大酸素摂取量(VO₂max)算出し、心肺機能を推定
睡眠+運動+心臓のヘルス情報
●デバイスとスマホでリアルタイム通知
(心拍数ゾーンを表示)
●心肺機能レベルを通知、データを可視化
し、運動効率の向上に役立たせる
睡眠モニ
タリング
●weara 4) ●トリニティ株式会社 ●心拍数、睡眠時間、睡眠の深さなどを取得し、日々の
睡眠や行動を理解。 睡眠に特化
●アプリ上で行動・休息の提案、睡眠時間
や安定した睡眠の頻度などの目標管理
食事モニ
タリング
●あすけん 5)
●カロミル 6)
●株式会社asken
●ライフテクノロジー株
式会社
●食事写真を分析し、摂取カロリー、14種類の栄養素、
食事バランスを推定
●食事写真を分析し、カロリーと栄養素の推定+3ヶ月
後の体重予測
●食事・栄養の記録と表示、栄養指導
●食事・栄養の記録と表示と3ヶ月後の予
測体重の提示
健診結果
モニタリ
ング
●従業員健康管理システム【ヘ
ルス×ライフ】7)
●NEC健診結果予測シミュレー
ション 8)
●疫病リスク予測AIサービス 9)
●勤次郎株式会社 _
_
●NECソリューションイ
ノベータ株式会社
●東芝デジタルソリュー
ションズ株式会社
●AIで生活習慣病に関する13項目の数値予測および職業
性簡易ストレス調査(57項目)の総合判定結果を予測
●健診結果予測モデルで生活習慣病に関する12項目の数
値予測、生活習慣の改善による検診結果予測
●現在の健康診断データから将来の疫病リスクを予測
●AI予測をもとに産業医等が指導+メンタ
ルの早朝ケア
●健診結果の振り返り動画の視聴、生活改
善の提案
●AIによる生活習慣改善案を指導医が指導
まとめ 単発の機能。一部の統合化しかされていない。 アドバイスにとどまり、実行の支援が弱い。
●既存のモニタリングシステムの機能とサービスを、スポーツ、睡眠、食事、健診結果に分けてまとめました。
6
1. 4)従来の取り組みの課題
(1)統合化されていない
・スポーツ、食事、睡眠、検診結果のそれぞれのモニタリングシステムは、一部(睡眠と運動)
を除いて単発である。
・図1に示すように、生活習慣病は、複数の生活習慣が複数の検診結果(肥満、高血圧、高血糖、
高脂血症)に影響を与え、さらにそれらが複数の生活習慣病に影響を与えている。
・従って、単独のモニタリングでは本当の因果関係が見えてこず、統合化が必要と考えられる。
・例えば、睡眠時間の減少は、糖尿病や肥満のリスク増大につながることが分かっている2)
3)。この場合、睡眠と共に、血糖値や血圧、BMIなどを同時にモニタリングする必要がある。
1)健康日本21実践の手引き - 2-1.pdf(https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/jissen/pdf/2.pdf)
2)たった一晩の「睡眠不足」が糖尿病を悪化 睡眠改善のための7ヵ条 | ニュース | 糖尿病ネットワーク(https://dm-net.co.jp/calendar/2018/028549.php)
3)One night of sleep loss negatively impacts fat, muscle tissue(ノースウェスタン大学 2018年8月27日)(https://news.northwestern.edu/stories/2018/august/sleep-loss-fat-metabolism/)
図1 生活習慣病につながる危険因子 1)
(3)健診結果のフィードバックが十分でない
・モニタリングの分析結果の提示とアドバイスが行われている。
・アドバイスに従った行動が実際に実行されるためには、手間や時間の壁を超える実行支援が
必要だと考えられるが、そこに注目した例はない。
図2 睡眠不足は、生活習慣病の危険因子である 2)
(2)健診結果が疾病予測に十分使えるかを調べる
・健診結果を用いた検診値の予測や疾病発症の予測が行われている。
・予測が使えるかを知るために、以下のことを調査する必要がある。
① これらの予測の精度はどの程度か。
② 健診間隔は十分か
従来の取り組みについての3つの課題について述べます。
7
1. 5)目標
(1)統合化モニタリングシステムの構築
①生活習慣(運動、睡眠、食事)のモニタリングと検診結果の
モニタリング(ヘルスモニタリング)の統合化
②生活習慣(運動、睡眠、食事)と検診結果の相関分析
課題を解決するために、以下の達成を目標とする。
(2)健診データ分析結果の、システム設計への活用
① 疾病の予測の精度はどの程度か
② 健診間隔は十分か
(3)健診結果フィードバックが有効に機能する対策
①制度の検討
②運動について、手間や時間をとらない実行支援策を検討する。
ヘルスモニタリング 生活習慣モニタリング
血糖値
血圧
BMI
ヘルス-生活習慣
データベース
分析
分析結果
(2)検診データ分析結果の、システム設計への利用
(1)統合化モニタリングシステム
設計に活用
ヘルス情報
生活習慣情報
3つの課題に対応して、3つの目標を立てました。
2.データ分析 1)データ分析リスト
8
●提供データを使った生活習慣病の発症リスクの推定が、どの程度可能かという視点[1)~6)]と、
●一年という健診間隔は、十分な頻度であるかという視点[6)]の2つで分析しました。
分析テーマ タイトル 結果
1)疾病ごとの時系列 1)8大疾病ごとの時系列(空腹時血糖と収縮期血圧)
●発症直前の健診値の疾病による違いは、ベースの違いと、発症前の増大の2つ
からなる。
2)健診値の性・年齢依存性
2)疾病(糖尿病、高血圧)の有り無し毎の健診値(空
腹時血糖、収縮期血圧)の性別年齢依存性
●健診値(空腹時血糖、収縮期血圧)は、年齢の増加関数で、疾病(糖尿病、
高血圧)があると、各年齢で増大する。
●増大幅は、性別、年齢で違いがある。
●年齢を3つの区分(35歳未満、35歳~60歳未満、60歳以上)に分けて、性別
も考慮して以後の検討を行う。
3)性・年齢ごとの時系列
3)糖尿病発症時の、 空腹時血糖平均の変化、及び分
布の変化
●糖尿病発症前の変化量は、性別・年齢区分ごとに異なる。糖尿病になると、
空腹時血糖値分布幅が大きくなる。
4)発症予測
4)空腹時血糖とその増分の散布図(糖尿病の有無での
比較)及びロジスティック回帰による糖尿病発症予測
●発症日の前1年間の空腹時血糖と増分を説明変数として、糖尿病発症の有無を
ロジスティック回帰分析によって予測したところ、適合率0.72が得られた。
●男性35-60歳の場合に限定して予測することで、再現率が0.1から0.22に向上
した。
5)合併症の特徴づけ
5)空腹時血糖とその増分の散布図(糖尿病の有無での
比較)及びロジスティック回帰による糖尿病発症予測
●健診値(bmi、収縮期血圧)の発症日の前1年間の値が大きくなるほど、その
後の合併症の数が増大する。
●発症日の前1年間の健診値は、合併症発症予測に有用と考えられる。
6)1年間の空腹時血糖値の
変化量の検討
6)空腹時血糖の1年間の増分(発症日の前1年間ー発
症日の前2年間)のヒストグラム
●1年間で、±30mg/dL以上変化する人は、1000人程度存在 。●適切なフィー
ドバックのためには、もう少し細かい変化をモニターできることが望ましい。
9
空腹時血糖の時系列
●空腹時血糖、収縮期血圧の、8大疾病ごとの平均値の発症前後の時系列をプロットした(糖尿病:オレンジ、高血圧:青)。
●横軸の時点は、発症3年前から発症後5年後までを、それぞれ、b3, b2, b1, a1, a2, a3, a4, a5と表した。
収縮期血圧の時系列
1)8大疾病ごとの時系列(空腹時血糖と収縮期血圧)
●発症直前の健診値の疾病による違いは、ベースの違いと、発症前の増大の2つからなることが分かりました。
●この2つの量は、疾病発症予測に利用可能です。
ベースの違い
発症前の増大
ベースの違い
発症前の増大
10
男性
収縮期血圧
空腹時血糖
女性
2)健診値の性別年齢依存性(疾病の有り無し毎)
●健診値(空腹時血糖、収縮期血圧)は、年齢の増加関数で、疾病(糖尿病、高血圧)があると、各年齢で増大します。
●増大幅は、性別、年齢で違いがあります。
●年齢を3つの区分(35歳未満、35歳~60歳未満、60歳以上)に分けて、性別も考慮して以後の検討を行います。
●:NDB : 第6回NDBオープンデータ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/buny
a/0000177221_00010.html
●特定健診中の「各項目の平均値 都道府県別性年齢階
級別分布 」より数値を取得した。
●NDBオープンデータとは、厚生労働省がホームペー
ジに公表している、日本の医療におけるビックデータ
を扱った統計資料である。
●NDBの値は、疾病有り無しカーブの間にあり、その
位置は、年齢ごとの有病率を反映していると推定さ
れる。
●この推定のもと、有病率が年齢と共に上昇している
様子が見られる。
今回のデータ(●、●)とNDBのデータ(●)を組み
合わせたグラフから、以下の知見が得られた
3)性別・年齢区分ごとの糖尿病発症前の空腹時血糖平均の時系列、及び分布の変化
~8mg/dL
~6mg/dL
~2mg/dL
~7mg/dL
性別・年齢区分ごとの空腹時血糖平均の変化
b1の空腹時血糖分布の変化
●糖尿病発症前の変化量は、性別・年齢区分ごとに異なります。
➡ 糖尿病発症予測に反映させます。
男性 35~60歳
女性 35~60歳
分布幅(90%分位点ー最頻値)が
40 mg/dL だけ増大
分布幅(90%分位点ー最頻値)が
26 mg/dL だけ増大
●糖尿病になると、男性では、空腹時血糖値平均は20mg/dL増大するが、
分布幅は、より大きく(40 mg/dL) 増大。女性でも同様の傾向。
●発症予測の偽陰性への影響が考えられる。
男性
女性
4)空腹時血糖とその増分の散布図(糖尿病の有無での比較)及びロジスティック回帰による糖尿病発症予測
12
●男性35-60歳の場合に限定して予測
・再現率が倍増
予測の境界線
糖尿病発症と予測
●
●
・精度 :0.86
・適合率:0.81
・再現率:0.22
●空腹時血糖とその増分を説明変数とした、ロジスティック回帰による糖尿病発症予測を行ったところ、適合率
0.72が得られました。
●男性35-60歳に限定して予測することで、再現率が0.1から0.22に向上しました。そこで、性別・年齢区分を
発症予測に用いることとします。
●精度改善のためには、以下のことが考えられる。
①血糖値モニタリングの時間分解能の向上
②新しい健診指標(糖尿病診断に用いられる「ヘ
モグロビンA1c」等)のモニタリングへの導入
① bmi分布の疾病発症によるずれ(合併症有無での比較)
13
②収縮期血圧分布要約量の合併症数への依存性
●健診値(bmi、収縮期血圧)の発症日の前1年間の値が大きくなるほど、その後の合併症の数が増大します。
●発症日の前1年間の健診値は、合併症発症予測に有用と考えられます。
糖尿病又は高血圧 糖尿病と高血圧の合併症
5)bmi分布の疾病発症によるずれ(合併症有無での比較)、及び収縮期血圧分布要約量の合併症数への依存性
6)空腹時血糖の1年間の増分(発症日の前1年間ー発症日の前2年間)のヒストグラム
●糖尿病患者9292人中、
1年間で±30mg/dL以上の変化 ~ 1000人程度
●適切なフィードバックのためには、より細かい変
化をモニターできることが望ましい。
毎月、または毎日のモニタリングが望ましい。
血糖値スパイクによる隠れ糖尿病などの発見
には、 24時間のモニタリングが必要。
●1年間で、±30mg/dL以上変化する人は、9000人中1000人程度存在します。
●適切なフィードバックのためには、もう少し細かい変化をモニターできることが望ましいと考えられます。
1
10
100
1000
10000
-100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100
頻度
1年間の空腹時血糖値変化量
>30mg/dL
<ー30mg/dL
2)データ分析のまとめ
15
●血糖値・血圧の値や変化から、性別・年齢別の機械学習により、糖尿病・高血圧の発症や合併症発症予測が可能です。
●1年ごとの健診では不十分であり、デイリーの検査、検査項目によっては24時間検査が望まれます。
テーマ タイトル 詳細
1)生活習慣病になる
リスクの推定にどの程
度使えそうか?
①糖尿病・高血圧
の発症予測
●性別・年齢別に学習した機械学習により、糖尿病や高血圧など
の疾病予測や合併症予測がある程度精度よく可能であること。
②課題
●再現率の向上
そのためには、必要なこと
・モニタリングの時間分解能を上げること
・新たな健診項目(ヘモグロビンA1cなど)を導入すること
2)1年間隔は、健診
間隔として、十分な頻
度であるか?
①空腹時血糖の1年
間の増分のヒスト
グラム
●1年間で±30mg/dL以上変化する人が1000人程度存在し、十
分とはいえない。
●より頻度の高い測定システムの導入が必要である。
2)分析結果の活用方法
16
●分析結果の活用方法として、疾病ごとの発症予測や合併症アラートが考えられます。
テーマ 詳細
1)疾病ごとの発症予測
●検査データ取得タイミングで、予測計算を更新し、インターフェース上に表示する。
2)合併症アラート
●生活習慣病になる前、あるいはなった後の人に対して、いくつかの検査数値が極端な値
の場合に、合併症になる確率を提示する。
●発症予測、合併症アラートのデータは、データベースに蓄積して、健診データと共に時
系列データとして可視化できるようにする。
3)データの整備
●提供データだけでは不十分なので、以下のようなデータも検診データとして可能なデー
タは、導入できるようにする。
・ヘモグロビン(HbA1c)濃度、・HDLコレステロール、・LDLコレステロール、
・中性脂肪、・総タンパク
●また、生活習慣病になっていない人のデータも導入する必要がある。
3.提案の概要 1)提案
17
課題 具体的施策
(2)健診結果
フィードバッ
クが有効に機
能する対策
①運動の手間・時間
を減らす支援策
1)ヘルスモニタリング振動バイクの開発
●独自技術の運動器具で、質の高い運動を手軽に実現
●同時に検査もできる仕組みによって、さらに時短を実現
②動機付けのための
制度
1)法人を中心とした福利厚生としての健
康サービス
●給与システムや配属などがあり、モチベーションを生成、維持
することが容易である。
2)ポイント・健康賞与制度
●常時モニタリングの結果を反映させることで、精緻なスコア付
けが可能
●従来システムにあるポイント制度だけでなく、中期目標に紐づ
いた健康賞与制度を付加することにより、より動機を継続させ
ることができる。
提案名称:法人包括健康プラン
課題 具体的施策
(1)統合化モ
ニタリングシ
ステム構築
●生活習慣と検診結
果の統合化
1)ヘルスモニタリングシステム
●デイリー検診が可能でコンパクトな機器を組み合わせたシステ
ム(血糖値に関しては、24時間検診可能なデバイス)
2)生活習慣のモニタリングシステム
●既存のモニターデバイスを組み合わせて構築する。運動に関し
ては、後述の独自の運動器具を組み合わせる。
3)フィードバックシステム
●モニターしたヘルス情報と生活習慣情報を統合し分析した結果
を、利用者にフィードバックするシステムの構築
4)ヘルス-生活習慣データベースの構築
●モニタリング結果と統合分析結果を統合した「ヘルス-生活習
慣データベース」の構築
目標とデータ分析結果をもとに、法人包括健康プランを提案します。
3.2)提案システムの構成図とデータフロー
18
ヘルス-生活習慣
統合データベース
健康診断
サポートアプリ 健康評価
生活習慣
モニタリング
ヘルス
モニタリング
法人
社員
運営
健康賞与
企
業
の
健
康
問
題
へ
の
解
決
案
測定データ 測定データ/
フィードバック
(ポイント)
測定データ/
フィードバック
分析データ
分析データ
評価データ
統合モニタリングシステム
提案システムの構成図とデータフローを示しました。
3.3) 統合モニタリングシステムの概要図
企業
社員
血糖値
血圧
BMI
体脂肪率
心拍数
ヘルスモニタリング振動バイク
スマートウォッチ
睡眠モニタリング
デイリー
モニタリング
心拍数
加速度
食事モニタリング
運動モニタリング
栄養素
24H
モニタリング
ヘルスモニタリング サポートアプリ
ヘルス-生活習慣
統合データベース
生活習慣モニタリング
デイリー
エクササイズ
会社内
統合分析結果表示
疾病予測
ポイント
健康賞与
統合モニタリングシステムについて、実際に使う機器を当てはめた様子を示します。
行動の実現性を高める工夫
1) 行動変容の基本的考え方 わかっているけど変えられない(平井啓) https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2017/PA03252_05
1)ABCモデル(臨床心理学による行動原理)に基づい
た施策によって、積極的に行動させる
20
A.誘発要因
●ポイント制度
●健康賞与制度
●独自のヘルスモニタリ
ング運動マシン
●特製健康弁当など
●常にモニタリングすることで
健康の改善を可視化
●短期的にはポイント付与
B.行動 C.結果
2)階層的な目標を立てることで、動機を維持させる
短期目標
・毎日のポイント
・毎日のフィードバック
中期目標
・健康診断での結果改善
・健康賞与制度
長期目標
・正しい生活習慣を身につける
・疾患の改善
・生涯健康で居続ける
新規性
1)ヘルスモニタリングと生活習慣モニタリングの統合化
食事、運動、睡眠+ヘルスデータの同時取得と分析に
よる定量的評価
従来の単発のモニタリングではできない、相関分析、例え
ば、食事・睡眠時間と血糖値の関係分析により、血糖値上昇
の原因推定が可能になる点等が新しい。
2)ポイント制度、健康賞与制度の導入
従来システムにあるポイント制度だけでなく、中期目標
に紐づいた健康賞与制度を付加することにより、より動機
を継続させることができる。
3)ヘルスモニタリング振動バイク
エアロバイク、振動マシン、ヘルスモニタリングを統合した、
時短で空間も節約できるこれまでにない独自のマシン
3.4)新規性と実現性を高める工夫
有酸素運動+健康効果絶大な振動刺激+ヘルスデータ取得
運動・検査の手間と心理的バリアを低減
提案の3つの新規性と行動の実現性を高める工夫についてまとめました。
4.新たな制度の提案:ポイント制度、健康賞与制度について
運動
食事
睡眠
【ポイント項目】
・運動の種類 ・心拍数
・運動時間
【ポイント項目】
・3食摂取したか
・健康に配慮している食事か
【ポイント項目】
・睡眠時間 ・寝た時間
・睡眠の質
TOTALPOINT
20460
9/25(日)
300/500
TODAY'S POINT
今日は残り200pt獲得可能
短期的な努力目標となる。
運動、食事、睡眠により
貯まったポイントはサポートア
プリのポイントショップで使用。
【健康賞与制度の概念】
長期的な成果目標となる。
健康賞与制度では普段の獲得ポ
イントと直近の健康診断からの
変化率から算出する。
【ポイント制度の概念】
運動、食事、睡眠によってポイントがつきます。
ポイント制度は短期的な努力目標、健康賞与制度は長期的な成果目標となります。
5. ヘルスモニタリング振動バイク
1)運動習慣に関する課題
①健診結果の運動へのフィードバックの有効性?
●既存の検診結果モニタリングシステム
医師からのアドバイス(運動をしましょう)で終わる場合が多い。 1)
●アドバイスを聞いて、運動する人は少ない。
その理由として、「忙しくて運動する時間が取れない」を挙げる人が多い。2)
②そのような人でも、容易に運動を始められるために重要なこと?
(1)「手軽さ」と「時短」
(2)「運動の効果」も重要
(3)「検査」も同時に (運動の効果が見えるように)
22
1)従業員健康管理システム60日間無料お試し|「勤次郎」にすべてお任せ – 労務・就業・勤怠管理システムの勤次郎株式会社(旧日通システム) (kinjiro-e.com)
https://www.kinjiro-e.com/products/healthcare/health-life/
2)医師が運動を勧めても何もしない人が多い理由:日経ビジネス電子版(https://business.nikkei.com/atcl/report/16/110700081/101800030/)
運動習慣の課題として、健診結果の運動へのフィードバックが有効であるための、3つの条件を示しました。
エアロバイク
1)リカンベントバイク(DAIKOU : DK-8604R)
(https://online.konamisportsclub.jp/products/detail.php?product_id=100152)
2)Ulalov 振動マシン(https://www.amazon.co.jp/dp/B08HRPYNRR?pd_rd_i=B08HRPYNRR&pf_rd_p=c5b1d7cf-51f8-
4943-acc5-1438c3dce572&pf_rd_r=M45V91KZB6MECC0J1BKQ&pd_rd_wg=OFGi6&pd_rd_w=iLpbk&pd_rd_r=33906367-
acb1-4c83-9ee9-087dd9574913&th=1)
1)
23
5. 2)課題解決のための要素
(3)「検査」
振動マシン
ヘルスモニタリング
血糖値
血圧
BMI
ヘルスモニタリング
(2)「運動の効果」
(1)「手軽さ」と
「時短」
要請 特徴・長所 短所
●有酸素運動が可能 (美容にも健康にも良い効果)
脂肪燃焼効果、代謝量の向上、血行促進効果
●天候や時間に左右されず、自身のペースで長時間運動可能
●骨への衝撃が少なく、エアロ
バイクばかりやっていると、骨
密度が低下するといわれている
(1)
●振動刺激により、帰還宇宙飛行士が骨の衰えを短時間で回復
させるために作られたマシン。
●最近多くの臨床研究で、様々な身体への効果が解明
1.全身機能への効果 ・体組成、心血管、機能的効果 3)
2.骨粗しょう症への効果
・骨粗しょう症女性に対する骨塩密度向上効果 4)
・大腿骨頸部骨密度に与える効果は、座位が最も効果的 5)
3.免疫や腸内フローラへの効果(抗炎症作用) 6)
4.脳機能への効果(幻覚反応の抑制効果) 7)
●有酸素運動ができない。
様々なコンパクトな機器が開発されている
●血糖値計 ・2023年~2025年にかけて発売予定
●血圧計 ・小型タイプあり
●体組成計 ・体重、脂肪率、内臓脂肪率などが計測可能
●血糖値計未発売
2)
3)https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0202866
4)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8104211/
5)
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUK
Ewj2j5nNjaj5AhWaat4KHWv3BFcQFnoECA8QAQ&url=https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%
2Frigaku%2F46%2F6%2F46_11606%2F_pdf&usg=AOvVaw02fFWrpnz4_pfyXDsxI7C9
6)https://karapaia.com/archives/52278600.html
7)https://sndj-web.jp/news/000564.php
要素
運動実現の条件を満たす要素として、エアロバイク、振動マシン、ヘルスモニタリングのそれぞれの長所、短所をまとめました。
24
5. 3)ヘルスモニタリング振動バイクの提案
エアロバイクと振動マシンとヘルスモニタリングを組み合わせることで得られるメリットを示しました。
ヘルスモニタリング振動バイク
エアロバイク
サドル
床
ハンドル
背もたれ
ペダル
ハンド
グリップ
2)ヘルスモニタリングを組み合わせる
ことで
●検査の手間が低減
●検査が毎日可能
ヘルスモニタリング
血糖値
血圧
BMI
ヘルスモニタリング
体重・体組成計
血糖値計
血圧計
足置き場所
モニター
ノートPC等
キーボード
●有酸素運動と振動運動が両立
●時間と空間の節約
●ランニングの欠点の克服
(天候や時間に左右されず、ひざに
優しい)
1)エアロバイクと振動マシンを組み合わ
せることで ①
振動マシン 振動
振動
シェイカー式
振動機構
シェイカー式
振動機構
① 類似アイディアあり(引用元は、最終ページ(p41)に記載)
5.4)振動バイクの構造と機能
サドル下の振動機構の健康への効果
図1)大腿骨頸部骨折 1)
1)大腿骨頸部骨折の症状とおすすめ福祉用具|介護用品のレンタル ダスキンヘルスレントhttps://healthrent.duskin.jp/column/condition/vol03/index.html
2) https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwj2j5nNjaj5AhWaat4KHWv3BFcQFnoECA8QAQ&url=
https%3A%2F%2Fwww.jstage.jst.go.jp%2Farticle%2Frigaku%2F46%2F6%2F46_11606%2F_pdf&usg=AOvVaw02fFWrpnz4_pfyXDsxI7C9
25
●高齢者の転倒時に骨折が生
じやすい大腿骨頸部の骨量
増加には、座位による振動
が効果的 2)
fp
fv
fp
fv
Fp(人力)
fv
シェイカー式
振動機構
シェイカー式
振動機構
振動
振動
振動
上下振動
の軸
上下振動の軸
ベルト
1)ペダル周波数(fp)と振動周波数(fv)の連動方式
2)ペダルを漕ぐ人の力で、ベルトを使い振動させる方式
fpとfvが連動
漕ぐ力で振動
うなりを防ぐ
サドル下の振動機構の健康への効果と、バイクを振動させる2つの方式を説明します。
上記のアイディアを特許出願予定
5.4)振動バイク+ヘルスモニタリング機能(+ワーキングデスク機能)
●体重・体組成計 装置の下部
●足置き場所(体組成計測用) 下部台座上
●手の置き場所
ハンドグリップ(心拍センサ兼用)
●血圧計と血糖値 台座上
血圧計
血糖値計 ハンド
グリップ
手の置き場所+心
拍センサー
床
モニター
ノートPC等
体重・体組成計
足置き場所
血圧計
血糖値計
手の置き場所+
心拍センサー
キーボード
●キーボードとモニター フレキシブル支持機構上
(orノートPC)
ヘルスモニタリング機能
ワーキングデスク機能
●フレキシブル支持機構の設置 約1万円
コストについて 26
振動バイク、ヘルスモニタリング機能、ワーキングデスク機能を合わせた様子を示しました。
●血糖値計2 モバイル型血糖値センサー 振動バイクで採用
・ 国内のライトタッチテクノロジー(株)(2023年発売)
・中赤外レーザーの利用により、雑音を拾わず糖だけを観測可能
・世界で初めて国際標準化機構(ISO)の規格を達成(図3)
5.5)採用したヘルスモニタリングデバイス
●体重 体組成計 約1~5万円
●血圧計 約1~8万円
●血糖値計 約2~4万円
●計 約4~17万円
コストについて
ウェアラブル血圧計
K’Watch Glucose
モバイル型血糖値センサー
27
●体組成計(1)
・体重体組成計(タニタ )(体組成計の原理 1))
体重、BMI、脂肪率、内臓脂肪量等を計測
図1 体脂肪量の測定精度
●血圧計
・ウェアラブル血圧計 (オムロン) 2)
・上腕式血圧計
1)https://www.tanita.co.jp/health/detail/37
2)オムロン ウェアラブル血圧計 HCR(https://www.healthcare.omron.co.jp/product/hem/hcr-6900t-m.html
3)針のない血糖値測定器付きスマートウォッチ、2022年に臨床試験終了、約2万円で発売へ(https://iphone-
mania.jp/news-423814/)
4)針を使わず痛みのないスマート血糖値センサーが2022年末に登場(https://iphone-mania.jp/news-422732/)
5) Apple Watch Series 8サプライヤー、血糖値測定のための部品を開発中(https://iphone-mania.jp/news-
415087/)
6) ライトタッチテクノロジー株式会社 | TOP(http://www.light-tt.co.jp/)
●血糖値計1 K’Watch Glucose 3)モバイルヘルスで採用
使い捨ての電気化学センサーパッチを使用
2023年発売予定
・使い捨てセンサー不必要タイプが開発中
・Afon Technology 2024年販売予定 4)
・Apple Watch(アップル、開発中) 5)
図2電気化学センサーパッチの測定精度
図3モバイル型血糖値センサーの測定精度
4つの採用したヘルスモニタリングデバイスを示しました。血糖値計は、モバイルヘルス用にK’Watch Glucoseを使い、
振動バイク用に、ISO規格を達成したモバイル型血糖値センサーを採用します。
5.6)新デバイスのコスト見積りと設置場所の展開
機能 費用
1)振動マシン本体
●振動マシン2台 約4万円
●振動マシン設置費用
約2万円
●ベルト設置費用 約2万円
●ソフトウェア費用 約2万円
約10万円
2)ヘルスモニタリン
グ機能
●体重 体組成計 約2万円
●血圧計 約1万円
●血糖値計 約2万円
約5万円
3)コンテンツ視聴機
能
●フレキシブル支持機構設置 1万円
デバイス総額 約16万円
4)防音室 ●ワークブース 1) 10万円
5)換気機能 ●高機能換気扇設置 2) 5万円
デバイス総額
+防音室
約31万円
6)開発費 20万円
デバイス総額
+開発費用
期間1年 約36万円
コスト見積
28
設置場所の展開(どこでもバイク)引用元は、最終ページ(p41)に記載
会社内(自宅内)
1)ワークブース 集中ボックス テレワークボックス 簡易 オフィス 個室 吸音シート採用 軽量 100-SHB001の販売商品 | https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/100-
SHB001?gclid=CjwKCAjwsMGYBhAEEiwAGUXJaY2_g2PX0UligFKyGNze1tfelkqXiJ_ICqjKVwTeYy2Hy9AVUAbBlRoCuZoQAvD_BwE&ef_id=CjwKCAjwsMGYBhAEEiwAGUXJaY2_g2PX0UligFKyGNze1tfelkqXiJ_ICqjKVwTeYy2Hy9AVUAbBlRoCuZoQAvD_BwE:G:s
2)防音室リフォームの値段はいくら?施工例や設置工事の際に失敗しないための注意点もご紹介 https://rehome-navi.com/articles/2338
駅構内の「シェアオフィス」
カプセルホテル
ジム
予備校自習室
オフィスの机・
椅子を代替
●飛行機内(血栓症予防)
●家庭内女性向け
(骨粗しょう症予防)
●パチンコ
-
-
-
その他の場所
新デバイスのコスト見積もりと、設置場所の展開について示しました。
6. 食事モニタリング:1)食生活が生活習慣病に与える影響と食事モニタリング
食品によって、生活習慣病の発症リスクが低下
食事バランスの遵守で、死亡リスクが15%減少
「食事バランスガイド」
遵守得点と
死亡リスクの関連
1)
カメラによるモニタリング(毎食)
カメラ・アプリを使って
食事画像を取得
血糖値測定によるモニタリング(間食や飲酒)
K’Watch Glucoseを使用して計測
血
糖
値
食事
食事と血糖値の1日の推移
29
1) 「食育」ってどんないいことがあるの?:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/index.html
2) https://arxiv.org/pdf/1812.06164.pdf
2)
3)
食生活と生活習慣病 食事モニタリング
食生活を改善することで生活習慣病の発症リスクが低下します。
カメラと血糖値による食事モニタリングによって食生活の改善をアシストします。
●食事画像の分析
・食材の特定
・含有栄養素の推定
●血糖値推移の分析
・ピークの時刻と血糖値強度の検出
・血糖値強度の判定
●食事の評価
・栄養素の過不足、バランスの判定
●ポイント計算
30
6. 2)食事分析と分析結果等の表示
食事分析(サポートアプリによる分析) 分析結果の表示とアドバイス・ポイント
特製健康弁当
●弁当会社と提携し、バランスの良い弁当を提供
●弁当食事毎に、ポイントを全額配布(70ポイント分)
※弁当代(1食500円を想定)は給料から天引き
※異常がない場合も、個人で購入可能とする
タンパク質:xxxg
野菜:xxxxg
ビタミン:xxxxg
…
血糖値:
料理
栄養素
血糖値
分析結果 アドバイス・ポイント
●食事バランス度が2点
で3点以下ですので、 1日
3食、特製健康弁当に切
り替えましょう。
●食後1時間後の血糖値
が、155mg/dlあり、~の
疑いがあります。
ポイント
アドバイス
今回のポイント:12点
月間累積ポイント:253点
総合ポイント:1235点
様々なデータから食事を分析し、分析結果とアドバイス、ポイントを利用者に通知します。
異常がある場合には特製健康弁当を提供します。
31
7.睡眠モニタリング:1)睡眠と生活習慣病の関係
3つの良い睡眠
最適な睡眠時間 規則正しい睡眠 安定した眠り
最適な睡眠時間が取れると...
高血圧
発症リスク低下
虚血性心疾患
発症リスク低下
糖尿病
発症リスク低下
死亡リスク低下
睡眠時間と死亡リスクの関連 2)
睡眠時間と生活習慣病発症との関連 1)
調
整
オ
ッ
ズ
比
(6~8時間)
1)睡眠障害と生活習慣病との相関: 光療法の総合サイト (lighttherapy.jp)
2) Sleep Duration as a Risk Factor for Diabetes Incidence in a Large US Sample | SLEEP | Oxford Academic (oup.com)
3)[2009年文献] 睡眠時間と全死亡リスクはU字型に関連し,女性の短い睡眠時間は冠動脈疾患死亡リスク|JACC (epi-c.jp)
図1
図2
図1 図1
図1
図2
良い睡眠には3つあり、最適な睡眠時間に着目した場合、4つのリスク低下と関係があることが分かりました。
多
変
量
調
整
ハ
ザ
ー
ド
比
(
95
%
信
頼
区
間
)
32
7.2)睡眠モニタリングと睡眠分析の表示
●睡眠の改善につながる次のような生活習慣のアドバイスと改善案を、
サポートアプリの「ライフマネジメント機能」(次ページ)で、提供
する。
・分析に基づいたアドバイス
「昨日は、睡眠時間はとれていますが、浅い睡眠になっています。また、
血糖値も通常よりも~mg/dL高く、睡眠の浅さと関係がありそうです。血
糖値コントロールのために、毎日30分間の振動バイクを行いましょう」
・睡眠スケジュール案
・快適な睡眠につながる行動案(運動、食事、入浴など)
・スマホ画面の管理
法人だから一貫
してできる。
1件の通知
7:00
23:05
木曜日 2月1日
お風呂に入る時間20:
00、温度40℃
ロック中
就寝準備22:30
19:30
22:20
睡眠の質を統合分析
●K’watchのセンサー類を使って、睡眠のデータを取得。
●睡眠データの、他の生活習慣・健康データとの統合分析を行い、利
用者の特性(血糖値時系列と睡眠の質との関係等(1))を抽出。
●利用者の特性に合わせた睡眠改善策(運動・食事案含む)を提案。
常時・統合モニタリ
ングだからできる。
個人の傾向別に睡眠の質を統合分析し、アプリを使って、運動も含めた健康睡眠のための総合的なアドバイスをします。
(1) 血糖コントロールを改善すれば睡眠の質も改善 睡眠障害は治療できる | ニュース | 糖尿病ネットワーク( https://dm-net.co.jp/calendar/2015/023361.php)
睡眠改善策に沿ったアドバイス
8. アプリの提案
33
上図はアプリの画面イメージ
〷値
ー○○%
〷値 推移
1週間前から-○○%
今日のフィードバック
1週間前から○○を...
ホーム 分析 知識
予測
△△病のリスク
+○○%
ポイント
●アプリの特徴
常時モニタリングで集めたビックデータを使った
統合データ分析。
1)モニタリング結果表示機能
各種モニタリング値の
推移の表示。
5)健康の知識情報表示機能
・利用者の健康に合わせた知識
を提示。
2)分析結果表示機能
・各種分析結果表示機能。
・利用者のどの行動が健康に
効いているかを示す。
3)予測機能
・合併症になる確率などの各種
予測表示機能。
6)ポイント機能
獲得したポイントの表示、利用。
サポートアプリの特徴と5つの機能の概要、及び画面イメージです。
4)ライフマネジメント機能
・食事・運動・睡眠の3要素から
生活をアドバイスするサービス。
・振動バイクが使えない時にや
るべき運動なども表示。
34
9.妥当性・費用:1) ビジネスモデル
運営会社
ヘルプ
アプリ
生活習慣・ヘルス
モニタリング
健康データ・
生活習慣データ
健康賞与
健康の向上
データ分析
健康法人として
法人価値の向上
運営
社員(ユーザー)
使用料
リスク低下による
生産性の向上
法人(顧客)
統合モニタリングシステム
本ビジネスモデルは、法人が顧客で、統合モニタリングシステムを提供することで、社員を健康にし、法人の生産性と法人価値を
向上させる価値を提供します。
9.妥当性・費用: 2)収支・導入するメリット
-103万円
図1 年間一人当たりの健康リスク別
労働生産性損失推定コスト 2)
35
運営会社1社が10社の企業と契約し、1社あたり社員数100人。
1社あたり2台の振動バイクを設置し、
モバイルヘルスは、全社員に配布するとする。
企業
●支出(年間) 合計 300万円
サービスの月額使用料 2500円/1人
※追加費用
モバイルヘルスの交換器具(健康リスクのある者が使用)1万円/月
運営会社
●設備導入費用 合計 2,350万円
振動バイク、モバイルヘルス 、サーバー構築、個室
●支出(年間) 合計 36万円
サーバーの維持費
●収入(年間) 合計 1,200万円
企業からの使用料ーポイント
●年間の利益(収入ー支出) 1,164万円
●従業員が健康リスクを抱えているだけで(低リスク以上)、
企業にとっては1人当たり推定年間59万円以上の損失。(図1)
●高リスクの人が中リスクに下がると一人当たり
年間103万円の損失を回避。(図1)
(従業員の10%:高リスク➡中リスク 一人当たり年間10.3万円の損失回避)
●健康リスク評価項目の中で、
リスク判定項目合計数によって分類
低リスク(0~2項目)
中リスク(3~4項目)
高リスク(5項目以上)
健康リスク評価項目
①不定愁訴の有無、②喫煙、
③アルコール、④運動習慣、
⑤睡眠休養、⑥主観的健康
感、⑦家庭満足度、⑧仕事
満足度、⑨ストレス
労働生産性損失は、1)の定義に
基づき算出
1)003_02_00.pdf (meti.go.jp)
経済産業省
2)phpD6FfQ0.pdf
(yokohama.lg.jp) 横浜市経済局
●病気等に罹った場合に総合損失コストのうちの生産性の低下
などによる労働損失が約8割となる。1)
収支 導入するメリット
使用料は1人当たり月額2500円です。導入することで労働生産性損失を回避します。
●血糖値モニターデバイスK-watch(2023年発売)
・k-watchは、使い捨てセンサーが交換必要。
・2024年以降、センサー交換不要のデバイスが
複数上市の見込み。それまでは、健康リスク
がある人のみを対象とする。
●システムのテストに半年~1年
・ヘルスモニタリング振動バイク、k-watch、
アプリケーションなど正常に動くかの
確認、修正。
●実証実験 2024年以降、1年~
・企業と共同して実証実験を行う。
36
●世界
• 生活習慣病による死亡:年間3280万人
(30歳~69歳) 1)
• 5億3700万人が糖尿病に罹患。 2)
• これからも増加の見込み。
●G7諸国
• 日本より健康関連(予防支出)支出が多い。3)
●アメリカ
• 成人の4割以上:BMIが30以上(肥満判定)
• 男性の肥満率は中所得層が高い。4)
●今後、本サービスの需要が海外で1億人以上と想定される。
但し、文化や体質の違いについて理解が必要。5)
9.妥当性・費用:3)開発計画と海外展開
海外展開
開発計画
1)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/noncommunicable-diseases
2)世界の糖尿病人口は5.4億人に増加 10人に1人が糖尿病 糖尿病のパンデミックが脅威に | ニュース | 糖尿病ネットワーク (dm-net.co.jp)
(https://dm-net.co.jp/calendar/2021/036325.php)
3)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/003_02_00.pdf
4) https://www.cdc.gov/obesity/data/adult.html
5) https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/8539994
●開発計画では、2023年にKwatchが発売されるので、2024年頃には実証実験が可能と考えます。
●世界では生活習慣病患者が増加しており、我々の提案は、海外で1億人以上の需要が想定されます。
●法人労働者(2022年)数 6755万人
法人へのシステム普及率 50%
生活習慣病予備軍の割合 50%
●法人労働者の中で生活習慣病者の人の数 1700万人
6755万人×0.5×0.5
システムの有効率 80%
●生活習慣病を回避可能な人数 1700万人×0.8 1360万人
法人労働者で生活習慣病を回避可能な人数
●生涯医療費 1人当たり 2700万円
(厚労省2015年度の生涯医療費)
医療費は50%を削減
●生涯医療費削減額 1人当たり 1350万円
1人当たり生涯医療費削減額(生活習慣病にり患しなかった場合)
システムの適用による、1年あたり医療費削減額
●生涯医療費削減額 1人当たり 1350万円
●生活習慣病を回避可能な人数 1700万人×0.8 1360万人
●システムの適用による医療費削減額
1350万円× 1360万人 183兆円
●システムの適用による、1年あたり医療費削減額 1.8兆円
● 1年あたり国民医療費 42兆円
●1年あたり医療費削減率 約4%
10.想定される効果(医療費削減)
●想定される効果としては、これらを仮定した場合、1年間で1.8兆円削減可能です。国民医療費は年間42兆円なので4%
程削減することができます。
38
11.想定される医療効果
●統合モニタリングシステム ➡
●強力な生活習慣支援策 ➡
1)疾病予防
●我々のシステム ➡
(以下の論文を参照)
(例)2型糖尿病の例
2型糖尿病患者では、発症後6年以内であれば、食事療法と運動療法を徹底させれば、
糖尿病を完治できる可能性がある。
・英国の臨床試験「DiRECT」の成果発表( Remission of Human Type 2 Diabetes Requires Decrease in Liver
and Pancreas Fat Content but Is Dependent upon Capacity for β Cell Recovery(Cell Metabolism 2018年8月2
日)。
2)病後支援
●疾病発症の微細な兆候を、高感度で
検出可能
●疾病予防に貢献可能
●発症後の重症化防止や完治に貢献可能
●疾病発症の微細な兆候を検出し、強力な生活習慣支援策によって、疾病予防が可能になります。
●食事療法と運動療法の徹底で、発症後の重症化防止や、完治に貢献可能です。
39
12.まとめ
●性別・年齢区分ごとの最適判別条件 ➡
●発症前の血糖値、血圧と合併症数に相関 ➡
●健康診断の1年間隔の測定は、不十分 ➡
1)分析結果
●統合モニタリングシステム
●ポイント制度や健康賞与制度
●ヘルスモニタリング振動バイク
2)法人包括
健康プラン
●高精度な疾病発症予測
●合併症予測の可能性
●より頻度の高い測定シ
ステムの導入
●分析によって、健診結果を用いた、疾病・合併症の発症予測の可能性を見出しました。
●3つの特徴からなる法人対象の健康プランを提案し、3つの課題解決に貢献します。
●疾病予防・重症化防止・完治に貢献
●法人の労働性生産損失回避に貢献
●医療費削減に貢献
40
13.今後の課題
●センサーパッチが交換不要のモバイルヘルスの開発待ち。
● K’watch以外の新たなモバイルヘルスの導入。
●喫煙・飲酒モニタリングの導入。
1.モニタリング
システム
●健診データと生活習慣データの大規模収集(評価重みの決定)
●健診項目の追加
●対象疾病の拡大
2.分析システム
●ヘルスモニタリング振動バイクの設置場所の拡大
●ヘルスモニタリング振動バイクの改良(小型化等)
3.適用対象の拡大
●今後の課題として、モニタリングシステムや分析システムでの課題を解決しながら、
●設置場所の拡大や装置の改良を行って、適用対象を拡大することがあげられます。
ご清聴ありがとうございました。
41
引用の補足
〇P24 5.5)「5. 3)ヘルスモニタリング振動バイクの提案」での補足引用
・① 国際出願番号 PCT/JP2018/040140 健康促進装置(バイク全体をゆっくり揺動させる方式)
・我々のデバイスでは、振動機構を体全体ではなく部分的に振動させ、かつ複数の振動機構を設置するとしている点が異なる。
〇P28 5.6)「5.6)新デバイスのコスト見積りと設置場所の展開」での補足引用
・駅構内に「シェアオフィス」急増 快適?料金は高め?:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASP4Z52PKP4XUTIL05X.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
・FlexiSpot | デスクバイク https://flexispot.jp/fitness-bike/desk-bike
・個別ブースの自習室 | 医学部予備校メディカルラボ https://www.medical-labo.com/method/support/study_room/
・【2022年版】エアロバイクのおすすめ15選 自宅での筋トレ・運動不足解消に|ビックカメラ.com https://www.biccamera.com/bc/i/topics/osusume_exercise_bike/index.jsp
・スイスのカプセルホテルがカッコイイw!! https://www.netagazou.com/archives/39571775.html
〇今回使用させて頂いたフリーイラストのリンク
・ライナストック https://www.linustock.com/
・いらすとや https://www.irasutoya.com/
・ちょうどいいイラスト https://tyoudoii-illust.com/
42
Appendix
43
Q & A
●法人という枠組みを使えるから。
・給与システムや配属などがあり、モチベーションを生成、維持する
ことが比較的容易である。
●法人に設備を置くことができる。
・オフィスに運動器具を置くことによって運動のハードルを下げる。
・仲間と一緒に取り組むことができる。
●30~60歳代の人々は主に企業で働いているから。
1.なぜ法人なの
か?
●モチベーションが個人に委ねられてしまうため、三日坊主になりやすい。
●我々は全ての人々が健康であるべきと考える。その一歩は経済を支える社
会人からである。
2.なぜ個人ではだ
めなのか?
●ペダルを漕ぐ速さを速くすると、振動の速さが速くなるように設定するこ
とで、あたかも、マウンテンバイクで山道を走行しているような状態を味
わえるようにするため。
3.ヘルスモニタリング振
動バイクで、ペダル周波数
と振動周波数の連動方式の
意義は何か?
44
Q & A
-103万円
スライド35枚目の図1について。
●健康リスク評価項目の中で、
リスク判定項目合計数によって分類
低リスク(0~2項目)
中リスク(3~4項目)
高リスク(5項目以上)
健康リスク評価項目
①不定愁訴(ふていしゅうそ)の有無、②喫煙、③ア
ルコール、④運動習慣、⑤睡眠休養、⑥主観的健康
感、⑦家庭満足度、⑧仕事満足度、⑨ストレス
第1回目である本調査では、中小規模事業所に勤務する従業員の生活習慣や健康状態と労働生産性の状況、
及びその関係性を定量的に把握しました1)。
1)横浜市経済局ライフイノベーション推進課
~中小規模事業所を対象に健康経営の効果を測定(第1回調査結果)~
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/keizai/2018/20180607-024-27565.files/phpD6FfQ0.pdf
中小規模事業所を対象に健康経営の効果を測定(第1回調査結果)
横浜市経済局ライフイノベーション推進課
健康リスクの定義
図1 年間一人当たりの健康リスク別労働生産性損失推定コスト 1)
健康リスク
データ分析
1) 8大疾病の発症年齢分布
①8大疾病の発症時年齢分布ヒストグラム
2) 8大疾病ごとの各項目の時系列
②8大疾病ごとの発症前後の8時点における各検診値と治療歴値(18項目)の時系列
3)各項目の性・年齢依存性
③特定検診NDBデータからみた性・年齢別平均値
④提供データからの検診値の発症年齢依存性
4)性・年齢別の検査値の時系列(疾病の有無による違いの可視化)
⑤性別・年齢区分ごとの、発症前後の8時点における検診値の時系列
5)性・年齢別の検査値のヒストグラム(疾病の有無による違いの可視化)
⑥性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖と収縮期血圧(発症日の前1年間)のヒストグラム(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)
⑦性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖と収縮期血圧(発症日の前1年間ー発症日の前2年間)のヒストグラム(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)
6)性・年齢別の検査値とその増分による散布図、及びロジスティック回帰による発症予測
⑧性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖とその増分の散布図(糖尿病の有無での比較)及びロジスティック回帰による糖尿病発症予測
⑨空腹時血糖とその増分、及び収縮期血圧とその増分の散布図(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)及び
ロジスティック回帰による糖尿病・高血圧発症予測
⑩予測
7)性・年齢別のmi値のヒストグラム(合併症によるbmi値の増大)
⑪性別・年齢区分ごとの、bmi(発症日の前1年間)のヒストグラム(糖尿病+高血圧と糖尿病×高血圧の比較):合併症の特徴づけ
⑫収縮期血圧(発症日の前1年間)のヒストグラム(糖尿病の有無、及び糖尿病 対 合併症の数(1, 2, 3)での比較)
8)空腹時血糖値の1年間の変化量のヒストグラム
⑬空腹時血糖の1年間の増分(発症日の前1年間ー発症日の前2年間)のヒストグラム
●ここでは、提供された検診データに基づいて、[1] 生活習慣病になるリスクの推定にどの程度使えそうか、 [2] 1年
間隔という検診の間隔は、フィードバックデータとして、十分な頻度であるか、という二つの観点で分析を行う。
● [1]の観点で、以下の1)~7)の分析を、 [2]の観点で8)の分析を行った。
45
35.00
37.00
39.00
41.00
43.00
45.00
47.00
49.00
高
血
圧
性
疾
患
・
大
動
脈
瘤
等
脳
血
管
疾
患
ガ
ン
糖
尿
病
膵
疾
患
肝
疾
患
腎
疾
患
心
疾
患
発
症
年
齢
(
歳
)
8大疾患名
●8大疾患の平均発症年齢は、36歳~47歳に分
布している。
●これらは、比較的高い年齢の4つの疾病(ガ
ン、糖尿病、脳血管疾患、高血圧性疾患、大
動脈瘤等)44歳~47歳と、比較的低い年齢
の4つの疾病(心疾患、腎疾患、肝疾患、膵
疾患)36歳~40歳に分かれる。
●上記の性質が分布としてみたらどうなるか
を、確かめてみた(次ページ)。
8大疾病の発症時平均年齢
比較的高い年齢の4つの疾病
比較的低い年齢の4つの疾病
46
8大疾病の発症年齢分布
●比較的高い発症年齢の4つの疾病を上段に、比較的低い発症年齢の4つの疾病を下段に並べた。
●これらからわかるように、比較的低い発症年齢の4つの疾病は、どれも20代未満に小さなピークがあり、
このことが平均年齢をより押し下げていると考えられる。
●20代以上でみると、平均発症年齢の幅は、あまり大きくないといえる。
比較的高い発症年齢の4つの疾病
比較的低い発症年齢の4つの疾病
●次に、疾病ごとの各検診値と治療歴値の発症前後の時系列について、調べた。
47
8大疾病ごとの発症前後の8時点における各検診値と治療歴値(18項目)の時系列
●発症前後の8時点における各検診値と治療歴値(18項目)を、
8大疾病ごとに平均し、項目ごとに、各疾病の時系列をプ
ロットした。18個のグラフ、1グラフ内に8個のプロット
●発症3年前、2年前、1年前、発症1年後、2年後、3年後
をそれぞれ、b3, b2, b1, a1, a2, a3と表した。
●空腹時血糖のグラフを見ると、以下のことがわかる。
①どの疾病もb3からa5に行くにつれて、増加しており、その傾
きは、約0.4mg/dLである。これは、恐らく、血糖値の年齢
依存性1)によるものと考えられる。
②糖尿病の患者は、ほかの疾病よりも、どの時点でも10mg/dL
以上大きく、発症2年前のb2時点で少し大きくなり、発症
1年前のb1時点では、 20mg/dL近く大きくなっていること
がわかる。
③高血圧の患者では、各時点で5mg/dL程度、糖尿病を除いた
他の疾病よりも大きくなっている。
●収縮期血圧と拡張期血圧のグラフでも、同様なことがいえる。
①高血圧は、それ以外の疾病よりも、15~20mmHg程度高く
なっている。
●空腹時血糖が糖尿病以外でほとんど同じだったことから、空
腹時血糖の分析をするに当たって、糖尿病以外の疾病の空腹時
血糖を、糖尿病にかかっていない人(正常人)の空腹血糖とみ
なした分析を実施することとする。
●収縮期血圧と拡張期血圧の分析においても、同様の分析を実
施することとする。
●bmiのグラフでは、疾病によるばらつきが大きいこと、
●貧血と睡眠のグラフでは、がんが特徴的なこと、
●喫煙では、がん、飲酒、飲酒量では高血圧が特徴的なことが
それぞれ観察される。
1)年齢層を考慮した情報提供、保健指導の在り方に関する検討(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000111253_8.pdf)
48
8大疾病ごとの発症前後の8時点における各検診値と治療歴値(18項目)の時系列
●30分以上の運動習慣、歩行又は身体活動のグラフを見ると、
どの疾病も、徐々に運動する人が増加しており、特に疾病発症
後により増加していることがわかる。5年間の増加率は15%程
度である。
●入院日数のグラフでは、a1の時期にがんが圧倒的に多く、
脳血管障害もその半分くらいの日数であることがわかる。
●外来日数と手術回数のグラフでは、 a1の時期にがんが圧倒
的に多いことがわかる。
●脂質異常症治療薬のグラフでは、 a1の時期に、高血圧と要
尿病と脳血管障害では、2割の患者が服用を始め、それ以外の
疾病の患者は、1割程度服用しているおり、その後服用人数が
増加していることがわかる。
●糖尿病治療薬のグラフでは、糖尿病の患者が、 a1の時期に、
17%の患者が服用を始め、それ以外の疾病の患者でも数%の
患者が服用していることが分かる。
●降圧薬のグラフでは、高血圧の患者が、 a1の時期に、6割の
患者が服用を始め、それ以外の疾病の患者でも10%程度の患
者が服用していることが分かる。
●医療費のグラフでは、 a1の時期に、がんが圧倒的に多く、
脳血管障害もその3分の1くらいの日数であることがわかる
●これまで、性別、年齢別の分析を行っていないので、次に、
性別、年齢別の検診値について、特定検診NDBデータからの
プロットを調べた。
●特定検診NDBデータから、BMI
と収縮期血圧、拡張期血圧、空
腹時血糖の年齢区分依存性を性
別にプロットした図である。
●男性のBMIは、年齢の増加と共
に減少しているが、それ以外は、
ほぼ増加傾向にある。
●男性の方が全体的に数値が大き
い傾向がある。
年齢層を考慮した情報提供、保健指導の在り方に関する検討(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000111253_8.pdf)
●上記の傾向からいえることは、
検診データと疾病間の関連を議
論する際には、年齢区分と性別
を分けて分析すべきであるとい
うことである。
●次に本コンテストで提供された
データについて、同様の分析を
行ってみた。
50
提供データからの検診値の発症年齢依存性
高血圧とNot高血圧(発症日の1年前)の収縮期血圧の性別ごとの年齢区分依存性
高血圧とNot高血圧(発症日の1年前)の拡張期血圧の性別ごとの年齢区分依存性
●提供されたデータは、疾患発症時の年齢とその周辺
の検診データである。
●ここでは、疾患発症時の年齢と、その1年前の検診
データを用いて、
・血圧データに対しては、高血圧症とそれ以外の患者、
・空腹時血糖のデータに対しては、糖尿病とそれ以外
の患者、
・bmiのデータに対しては、糖尿病とそれ以外の患者
に分けて、性別に年齢区分依存性をプロットした。
・0.25、0.75は25%点、75%点を表す。
以下のことがわかった。
●データ全体で、男性と女性の傾向はかなり異なるこ
とが分かる。
●男性の収縮期血圧では、高血圧でない人は年齢に対
して50台以降少し増加しているが、高血圧の人は、
60代以降の増加が大きい。高血圧の人は、高血圧で
ない人にくらべて、20mhg程度大きい。
●女性の収縮期血圧では、高血圧でない人は年齢に対
して約4mbhg/10年の傾きで増加している。高血圧
の人は、傾きが7mhg/10年でより急であるが、40
歳を過ぎるとほぼ一定の値(140mhg)になり、60
歳を過ぎると減少し始める。
●拡張期血圧については、男女とも女性の収縮期血圧
と似た傾向である。 51
提供データからの検診値の発症年齢依存性
糖尿病とNot糖尿病(発症日の1年前)のBMIの性別ごとの年齢区分依存性
糖尿病とNot糖尿病(発症日の1年前)の空腹時血糖値の性別ごとの
年齢区分依存性
以下のことがわかった。
●男性のbmiでは、糖尿病でない人は年齢に対して50台以降少し減少しているが、糖尿
病の人は、40代以降減少している。糖尿病の人は、糖尿病でない人にくらべて、
2kg/m2程度大きく、30歳~50歳まで平均的に肥満である。年齢と共に差は減少して
いき、70歳で0になる。
●女性のbmiでは、糖尿病の人が糖尿病でない人より、どの年代でも1 kg/m2程度大き
い。年齢依存性はあまりない。
以下のことがわかった。
●男性の空腹時血糖では、
・糖尿病でない人は年齢に対して単調増加(3mg/dL/10年)、
・糖尿病の人は40歳まで、急激に増加( 10mg/dL/10年)した後、40歳~60歳まで比
較的緩やかに増加(5mg/dL/10年)し、60歳以降は、65歳まで一定で、その後5年
で4mg/dL増加する。
・糖尿病の人は、糖尿病でない人にくらべて、空腹時血糖値が20mg/dL程度大きい。
●女性の空腹時血糖では、
・糖尿病でない人は年齢に対して単調増加(3mg/dL/10年)、
・糖尿病の人は40歳まで、ゆるやかに増加した後、40歳~60歳まで急激に増加
(10mg/dL/10年)し、60歳以降は、減少する。
・糖尿病の人は、糖尿病でない人にくらべて、空腹時血糖値が5~15mg/dL大きい。
以上より、以下のことがわかった。
●BMI、血圧、空腹時血糖に対する、疾病(高血圧、糖尿病)の、性別年齢別の影響が
非常に大きいことが明らかになった。
●これらの検診値の年齢依存性は、性別によって、大きくことなることが明らかになっ
た。上記の分析により、年齢区分として、25~35歳、 35~60歳、 60~の3つに分け
て、性別に分けて、以降の分析を行うこととする。
●次に、上記で得られた性別・年齢区分で、疾患のあるなしの、 BMI、血圧、
空腹時血糖に対する影響を、時系列プロットでみてみた。
●空腹時血糖における糖尿病の男性の場合、b3➡b2で約3mg/dL、 b2➡b1で約7mg/dLの増大があり、b1➡a1で約
5mg/dLの減少がある。年齢区分によって10~15mg/dLの違いがあり、高齢になるほど高い。糖尿病でない男性の場
合、ほぼ単調増加している。
●空腹時血糖における糖尿病の女性の場合、35歳未満の女性を除いて、男性と同様の変動を示すが、 b3➡b2の増大は
60歳以上ではみられない。 35歳未満の女性では、b2➡b1の変化がない。以上から、糖尿病のあるなしと空腹時血糖
の発症前後の変動が関連しており、性別・年齢によって傾向が異なることがわかる。
●bmiにおける糖尿病の男性の場合、60歳以上を除いて b3➡b2で約0.3kg/m2、 b2➡b1で約0.2kg/m2の増大があり、
b1➡a1で約0.3kg/m2の減少がある。 60歳以上では、ほとんど変動がない。糖尿病でない男性の場合、b3からb1への
変動は糖尿病の場合と似ているが、 b1➡a1での減少がない。以上からbmiの発症前の変動は糖尿病の発症に関連して
いないが、糖尿病発症後の減少は、発症後のダイエットに起因していると考えられる。
●bmiにおける糖尿病の女性の場合、 bmiの発症前の変動は糖尿病の発症に関連しているように見える。
●次に、性別、年齢区分ごとに、空腹時血糖、及び収縮期血圧のヒ
ストグラムを、糖尿病のあるなし、及び高血圧のあるなしで識別し
て比較した。
性別・年齢区分ごとの、発症前後の8時点における検診値の時系列
糖尿病
空腹時血糖 bmi
空腹時血糖 bmi
高血圧
Not-高血圧
収縮期血圧 拡張期血圧
収縮期血圧 拡張期血圧
●血圧で見た場合、高血圧の場合は、35歳未満の女性の場合を除いて、
b3➡b2➡b1で約10mg/dL増大し、b1➡a1 ➡a2で約10mg/dL減少する。
●高血圧でない場合は、単調減少している。
以上から、糖尿病のあるなしと血圧の発症前後の変動が関連していることがわかる。
●35歳未満の女性の場合のみ、 b1➡a1 で増大している。
Not-糖尿病
性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖と収縮期血圧(発症日の前1年間)のヒストグラム
(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)
●どの性別・年代においても、空腹時血糖の分布は、糖尿病の方が右側にずれており、より
裾が伸びていることがわかる。例えば、男性の35-60歳では、平均で20mg/dL、90%分
位点で40mg/dL大きくなっている。
●どの性別・年代においても、収縮期血圧の分布は、高血圧の方が右側にずれていることがわか
る。例えば、男性の35-60歳では、平均で18mHg、90%分位点で23mHg大きくなっている。
●次に、同様なヒストグラムを、発症日の前1年間ー発症日の前2年間のデータにして、作成して
みた。これは、時系列のプロットで、発症前の増大が観察されていたからである。
性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖と収縮期血圧(発症日の前1年間ー発症日の前2年間)のヒストグラム
(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)
●どの性別・年代においても、空腹時血糖の差の分布は、糖尿病の方が右側にずれており、
より裾が伸びていることがわかる。
●どの性別・年代においても、収縮期血圧の差の分布は、高血圧の方が右側にずれていることが
わかる。
●以上から、発症の前1年間のデータだけではなく、発症の前2年間から発症の前1年間への増分
の値と発症とが関係があることがわかった。
●そこで、次に、発症の前1年間のデータと、発症の前2年間から発症の前1年間への増分の値の
両方を組み合わせることで、発症とのより強い関係が導けることを期待して、両方の変数を両
軸にした散布図を書き、そのうえでロジステック回帰分析を試みた。
55
性別・年齢区分ごとの、空腹時血糖とその増分の散布図(糖尿病の有無での比較)
及びロジスティック回帰による糖尿病発症予測
●空腹時血糖値の、発症の前1年間のデータ
と、発症の前2年間から発症の前1年間へ
の増分のデータをx軸、y軸にして、性
別・年齢区間別に、散布図をプロットし
た。青い点が糖尿病でない人で、赤い点
が糖尿病の人を表す。
●この2つの変数を説明変数とし、糖尿病
か否かを目的変数として、ロジステック
回帰分析を行った。その結果得られた精
度情報(精度、適合率、再現率)を、グ
ラフ中に記した。緑の線は予測の境界線
である。
●男性35-60歳の場合、精度=87%、適合
率=81%、再現率=22%であった。適合率
=81%ということは、予測が当たる割合
が81%ということであり、比較的に高い
値が得られたが、再現率が22%と低く、
取り残しが約80%と非常に多い結果と
なった。
●これは、ヒストグラムでの重なりが多い
ことから、予測された結果ではある。
●このことの改善のためには、2つの方法が
考えられる。
①実際の糖尿病診断に用いられている糖が
付加したヘモグロビン(HbA1c)濃度を
用いる。
②24時間血糖値モニターシステムによる
データを用いる(本提案に含まれる)。
・これによって、血糖値スパイクによる
隠れ糖尿病を、検出することができると
期待される。
●性別・年齢別の結果が大きく異なるもの
となった。
●次に、性別・年齢別に分けずに糖尿病と
高血圧の予測を行ってみた。
56
空腹時血糖とその増分、及び収縮期血圧とその増分の散布図(糖尿病の有無、高血圧の有無での比較)
及びロジスティック回帰による糖尿病・高血圧発症予測
●左側の図が、空腹時血糖による糖尿病判
別の散布図、右側が収縮期血圧による高
血圧の判別の散布図である。
●左図では、糖尿病有無が(赤、青)に対
応し、右図では、高血圧有無が(赤、
緑)に対応する。
●緑の線は予測の境界線である。
●血糖による糖尿病の予測では、男性35-
60歳の場合と比べて、適合率は、あまり
変わらないが、再現率が小さくなった。
●これは、性質の異なるデータを一緒にし
たからであろうと考えられる。
●収縮期血圧による高血圧の予測では、適
合率=0.69、再現率=0.33が得られた。
●次に、合併症の分布を特徴づけるための
検討を行った。
●そのために、bmiのヒストグラムについ
て、糖尿病×高血圧(積集合、赤)と
Not(糖尿病×高血圧、緑)を比較した。
57
性別・年齢区分ごとの、bmi(発症日の前1年間)のヒストグラム
(糖尿病+高血圧と糖尿病×高血圧の比較):合併症の特徴づけ
●左の図は、bmiのヒストグラムについて、糖尿病+高血圧(和集合、赤)とNot(糖尿病+
高血圧、緑)を比較したものである。
●赤は緑の分布よりも、右の方に偏っているが、その量は全体的に小さく大きくて1.5kg/m2
程度である。
●合併症の分布を特徴づけるために、右の図は、bmiのヒストグラムについて、糖尿病×高血圧
(積集合、赤)とNot(糖尿病×高血圧、緑)を比較したものである。
●赤は緑の分布よりも、大きく右の方に偏っているが、年齢区分による差が大きい。
・35歳未満で、5~10kg/m2、35~60歳で2~3kg/m2の差があるが、60歳以上では、ほとん
ど差がない。
●以上から、bmi値の増大と合併症とは、関係があることがわかった。
●次に、同時に罹患する合併症の数の影響を調べてみた。
58
収縮期血圧(発症日の前1年間)のヒストグラム
(糖尿病の有無、及び糖尿病 対 合併症の数(1, 2, 3)での比較)
●合併症数が、収縮期血圧の分布(ヒストグラム)に与える影響を調べるために、以下のことを行った。
1)左上図:①Not糖尿病と②糖尿病単独のヒストグラムを比較した。
2)右上図:②糖尿病単独と③糖尿病+糖尿病以外の合併症1つの場合を比較した。
3)左下図:②糖尿病単独と④糖尿病+糖尿病以外の合併症2つの場合を比較した。
4)右下図:②糖尿病単独と⑤糖尿病+糖尿病以外の合併症3つの場合を比較した。
1)より、 ①Not糖尿病と②糖尿病単独は差がない。
2)、3)、4)より、合併症の数が増加するにつれて(3、④、⑤)、分布が右の方に動き、分布の右
裾が伸びているように見える。
●左記の特徴を定量的に確認するために、各分布の平均と25%点、75%点を計算し、右の
グラフにプロットした。
●このグラフより以下のことが分かる。
1)①Not糖尿病と②糖尿病単独は、平均、四分位範囲ともにほとんど変わらない。
2)③、④、⑤の平均、四分位範囲は、単調に増加する。
●すなわち、糖尿病単独では、収縮期血圧は増加しないが、糖尿病以外の合併症の数が増加
するにつれて、単調に増加していくことが分かった。
59
1
10
100
1000
10000
100000
-100-90-80-70-60-50-40-30-20-10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
次の級
頻度
1年間の血糖値変化量(mg/dL)
空腹時血糖の1年間の増分(発症日の前1年間ー発症日の前2年間)のヒストグラム
●空腹時血糖の1年間の増分(発症日の前1年
間ー発症日の前2年間)のヒストグラムを示
す。
●このように、1年間で、±100mg/dL以上の
変化を示す人は、100人程度、 ±30mg/dL
程度の変化を示す人は、1000人程度存在し、
無視できない数字である。
●このような人の場合は、少なくとも1か月程
度の間隔の測定がないと、手遅れになる可
能性が高くなると考えられる。
●結論としては、健康診断の1年間隔の測定で
は、測定値のモニター間隔としては不十分
であると考えられる。
●従って、測定値を毎日測定するようなシス
テム、血糖値スパイクによる隠れ糖尿病な
どを見つけるためには、 24時間のモニタリ
ングシステムなどが望ましいと考えられる。
60
データ分析のまとめ
1) 8大疾病の発症年齢分布
・20代以上でみると、 8大疾病の平均発症年齢の幅はあまり大きくないことがわかった。
2) 8大疾病ごとの各項目の時系列
・疾病ごとに、どの項目で特徴的な変化があるかが明らかになった。
・特に、空腹時血糖値、血圧での糖尿病、高血圧発症前に大きく上昇することが分かった。
3)各項目の性・年齢依存性
・特定検診NDBデータからみたBMIと収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖の、性・年齢別平均値を参照しながら、提供データから、
・疾病(糖尿病、高血圧)のありなしで、同様のグラフをプロットした結果、性・年齢別依存性が大きいことが明らかになった。
4)性・年齢別の検査値の時系列(疾病の有無による違いの可視化)
・空腹時血糖、bmiと血圧の時系列が疾患(糖尿病、高血圧)のありなしによって受ける影響が、性別年齢区間によって異なることが分かった。
5)性・年齢別の検査値のヒストグラム(疾病の有無による違いの可視化)
・空腹時血糖と収縮期血圧(発症日の前1年間)の分布が疾患(糖尿病、高血圧)によって右にずれ、その程度が性別年齢区間によって異なることが分かった。
・発症日の前1年間ー発症日の前2年間のデータを用いて、上記と同様なことが分かった。
61
●提供された検診データに基づいて、[1] 生活習慣病になるリスクの推定にどの程度使えそうか、 [2] 1年間隔という検診
の間隔は、フィードバックデータとして、十分な頻度であるか、という二つの観点で分析を行った。
● [1]の観点で、1)~7)の分析を、 [2]の観点で8)の分析を行った結果、以下が得られた。。
データ分析のまとめ
6)性・年齢別の検査値とその増分による散布図、及びロジスティック回帰による発症予測
・性別・年齢区分ごとに、発症前の検査値とその増分を2軸とした散布図をプロットした結果、糖尿病とそうでない人をある程度識別できた。
・ロジステック回帰分析の結果、男性35-60歳の場合、精度=87%、適合率=81%、再現率=22%が得られた。
・再現率の改善のために、HbA1c濃度の使用や、連続血糖値モニターシステムの導入等が考えられた。
・性別、年齢区分ごとに、最適な判別条件が異なってくるので、分析結果を用いた実際の運用においても、性別、年齢区分ごとの判別を行うことが重要である。
7)性・年齢別の検査値への合併症の影響
・糖尿病と高血圧の合併症は、bmiの大幅な増大と関連があり、その度合いが性別、年齢区分によって大きく異なることが分かった。
・収縮期血圧の分布の平均は、糖尿病を含む合併症の数に依存して大きくなることが分かった。
8)空腹時血糖値の1年間の変化量のヒストグラム
・1年間で、±100mg/dL以上の変化を示す人は、100人程度存在し、健康診断の1年間隔の測定は、測定値のモニター間隔としては不十分であると考えられる。
[1] 生活習慣病になるリスクの推定にどの程度使えそうか
●今回、データ分析として、18個の項目値について、1)発症の前後の時系列分析、2)分布解析を軸にして、性別・年齢区分ごとに、各疾病の発症の有無毎に分析を実施するこ
とで、疾病の時系列的な特徴、及び分布としての特徴をある程度明らかにすることができた。
●その際に、性別・年齢区分ごとの分析から、多くの重要な知見を得ることができた。例えば、以下のことが分かった。
① 性別・年齢区分によって、項目値自体の分布、時系列が異なること。
② 性別・年齢区分によって、疾病のあるなしの、分布への影響や、時系列への影響が異なること。
③ 性別・年齢区分によって、判別分析のしきい値が異なること。性別・年齢区分ごとに最適化したパラメータを用いれば、より高精度の予測が期待できる。
●性別、年齢区分ごとに、最適な判別条件を求めて予測を行うことで、適合率としては、ある程度の精度を得ることができた。精度を上げるためには、検診データの追加や連続測
定システムの導入などが求められる。
[2] 1年間隔という検診の間隔は、フィードバックデータとして、十分な頻度であるか
●健康診断の1年間隔の測定は、測定値のモニター間隔としては不十分だと考えられるから、より頻度の高い測定システムの導入が必要だと思われる。 62

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