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意識障害の対応(研修医レクチャー)
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救急部長 at 大隅鹿屋病院
Jul. 26, 2018
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Health & Medicine
研修医向けに行うようにテーマを割り振られたものです。私は意識障害得意ではないのですが、、、、、、、
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意識障害の対応(研修医レクチャー)
1.
意識障害と その初期対 応 救急部 木村 圭一
2.
本日の目標 • 意識障害が何故起こるか説明できる。 • 意識障害の鑑別が出来る。 •
意識障害の初期対応ができる。
3.
• 今日の内容は時間の関係で超簡単にしています。 異論反論がある物も多いと思います。 • 各自さらに勉強してみてください。 •
決して今日の内容を鵜呑みしないように! はじめにー注意点
4.
症例: 55 歳男性
5.
• この医局で、このような症例に遭遇 する可能性は高いです。 • どうしたらいいでしょうか? •
先日 ICLS で習ったことを、もちろ んやります。 • 次に何をしますか?
6.
意識障害の初期対応
7.
ベロを出してくださいと言ってみましょう! • 一瞬にして、一度に以下のことが確認できます。 指南力があるか 気道確保が自分で出来るかどうか 大脳の大きな障害はないか 日本語が分かるか
8.
ベロを出してくださいと言ってみましょう! • 一瞬にして、一度に以下のことが確認できます。 指南力があるか 気道確保が自分で出来るかどうか 大脳の大きな障害はないか 日本語が分かるか
9.
指南力とは • ここはどこ?私は誰?ということです。 • 高崎駅で「ちょっと舌を出してもらえませんか?」と 言っても、出してくれる人はいないでしょう。 •
しかし、救急外来ではやってくれます。 • 自分は患者として病院に来ており、命令している人は 医者か看護師なのだから、言うことを聞かなければ! と分かっていると言う事です。
10.
ベロを出してくださいと言ってみましょう! • 一瞬にして、一度に以下のことが確認できます。 指南力があるか 気道確保が自分で出来るかどうか 大脳の大きな障害はないか 日本語が分かるか
11.
気道確保ができる • 意識障害時の気道閉塞の多くは舌根沈下です。 • 舌を前に出せる人は、自分で気道確保が出来ます。
12.
ベロを出してくださいと言ってみましょう! • 一瞬にして、一度に以下のことが確認できます。 指南力があるか 気道確保が自分で出来るかどうか 大脳の大きな障害はないか 日本語が分かるか
13.
大脳の大きな障害はない • 筋肉は縮むことしか出来ない。 • 舌を前に出す運動は、かなり複雑な運 動である。 •
舌を前に出せるならば、広範囲な 脳 障害はないと言える。
14.
ベロを出してくださいと言ってみましょう! • 一瞬にして、一度に以下のことが確認できます。 指南力があるか 気道確保が自分で出来るかどうか 大脳の大きな障害はないか 日本語が分かるか
15.
「ベロを出してくださ い」と言って、舌を出し てくれたら 一安心できま す。
16.
DO YOU KNOW 「
DO DON’T 」?
17.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
18.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
19.
D ブドウ糖静注 • 低血糖は簡単に診断できます。救急外来では
1 分もあれば 分かります。バイタルサインの一つという意見もある。 • 低血糖は簡単に治療できます。 • 外傷患者さんであっても、意識障害があれば、ブドウ糖を 投与しても良いでしょう。
20.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
21.
O 酸素投与 • 低酸素の診断は、意外に難しいです。 •
SpO2 が 90 %以上でも組織が低酸素かもしれません。 • よく分からなければ、酸素を 10L /分以上投与しても 良いです。 • COPD の患者さんであっても、全く恐れる必要は ありません。 • 人間は酸素が足りなければ、死んでしまいます。
22.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
23.
N ナロキソン • 麻薬中毒による意識障害、呼吸抑制に有用です。 •
麻薬中毒を疑った場合は、 1A 1ml ( 0.2mg )を静注 します。 • 効果がなければ、 2-3 分ごとに 2 回まで(合計 3 回) 追加投与して良いです。 • ナロキソンの方が半減期が短いため、意識レベルが 再度低下する可能性があることに注意しましょう。 • 静注、筋注、鼻腔内投与が可能です。
24.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
25.
T チアミン • ビタミン
B1 欠乏時にブドウ糖だけ を投与すると、症状が悪化する。 • ビタメジン 1 バイアル、または、 アリナミン F 4 アンプル を静注 または点滴します
26.
意識障害患者さんを見つけたら DON’T ! • D
dextrose ブドウ糖静注 • O oxygen 酸素投与 • N naloxone ナロキソン静注 • T thiamine ビタミン B1 静注
27.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
28.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
29.
意識障害は何故 起こるの か?
30.
意識障害の原因 • 意識障害は脳幹の障害、あるいは広範囲な大脳(通常は 両側の大脳)の障害で起こります。 • 脳の障害でも起こりますが、全身の問題、つまり脳以外 が原因の事の方が多いです。 •
何か患者さんに問題があれば、原因として考えやすい 臓器以外が原因ではないか?と考えるのが良いです。 腹痛なら、お腹以外の臓器が原因ではないか?と最初に 考えるべきです。
31.
脳梗塞は意識障害を伴うことは少ない • 両側の脳梗塞が一度に発生する可能性は低いです。 • よって、脳梗塞では意識障害を伴わないと考えた方 が良いです。 •
もちろん脳幹梗塞は意識障害を伴います。 • よって、意識障害患者さんで脳梗塞を疑った ら、 MRI を撮像した方が良いでしょう。
32.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
33.
脳出血は血圧が上がります • 脳出血は脳内に腫瘤が突然出来るため、脳圧が亢進し、脳 幹や両側大脳を圧迫するため、意識障害が起こります。 • 脳圧が亢進すると、血圧が上昇(クッシング現象)し、脈 が遅くなります。 •
血圧が高くない意識障害を診たら、脳疾患以外を考えるよ うにしましょう。 • 動脈解離が意識障害の原因と考えたら、脳出血→高血圧→解 離という病態の人がいました。
34.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
35.
TIA は意識障害を伴わないと考えましょう • TIA
は脳の血管が血栓で閉塞し、その血栓が短時間で溶けて、脳の 血 管が再開通するという病態です。 • 意識障害を起こすためには複数の血管を閉塞させる必要があります。 • 複数の血管が同時に閉塞し、それらが同時に短期間で再開通すると い う病態は考えにくいです。 • よって短時間の意識障害は失神であり、循環器系の精査が必要です。 • 意識障害を伴わない麻痺やしびれは TIA であり、直ちに抗血小板薬 な どの投与が必要です(救急疾患です!)。
36.
意識障害の鑑別
37.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
38.
原因不明の意識障害では敗血症を! • 前立腺炎の患者さんが、意識障害があったのだが、 翌朝英字新聞を読んでいたと言う症例の紹介が青木 先生の講演でありました。 • 「
ICU 入室後に新たに生じた意識障害の原因として 最も多かったのは敗血症性脳症であった」 リトル ICU ブック第 2 版 P.518 • 原因不明の意識障害では、必ず血培を!
39.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 D. 原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
40.
低血糖を忘れずに! • 意外に忘れがちです。 • A
comatose patient is hypoglycemic until proved otherwise. 低血糖患者はそうでないと分かるまで低血糖として扱う。 • ルートがとれない時には、グルカゴン 筋注をしてください。
41.
意識障害について正しいものは A. 脳梗塞は意識障害を伴うことが多い。 B. 脳出血による意識障害では、ショック状態を伴う事が多い。 C.
原因不明の意識障害では、敗血症も考えるべきである。 D. 一過性脳虚血発作は意識障害を伴う事が多い。 E. 意識障害患者は、そうでないと分かるまで、低血糖があると 考えるべきである。 F. 薬剤による意識障害を常に忘れないようにすべきである。
42.
薬剤による意識障害を忘れない • どんな時でも、薬剤によって異常が起こっているので はないか?と疑いましょう。 • 術後に原因不明の意識障害が発生し、意識が戻らない 人がいたのですが、意識障害が改善した時に、本人に 問診をしたら、自分で睡眠薬を大量に飲んで自殺未遂 を図ったことが判明しました。ゴミ箱に空の
PTP が 大量にあったはずですが、掃除の人は、全く気付いて いませんでした。 • 午前中の高齢者の意識障害は、薬剤が原因のことが多 い。
43.
意識障害の判定法
44.
どの方法を使えば良いの? • グラスゴー・コーマ・スケールとジャパン・ コーマ・スケールの二つをやっておけば 問 題ないでしょう。 • 一つだけ選ぶとすれば、グラスゴー・コーマ・ス ケールにしましょう。 •
GCS が 8 以下あるいは急激に 2 以上下がる場合 を 「切迫する D 」と言い、緊急介入を要す る状態です。
45.
意識障害判定の注意点 • 医局で寝ている先生は意識障害ですか? • 最良の反応を診ます。 •
刺激を与えないで 15 秒以上開眼を保てれば、 E は 4 です。 • 手を握ってもらう場合、把握反射に注意しま しょう。
46.
• 意識障害は広範な大脳や脳幹の障害がなければ起 こらない。 • 脳以外が原因であることの方が多い。 •
意識障害患者さんを見つけたら、あっかんべーを してもらう。 • Do DON’T を行う。 まとめ