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京都地籍図を用いた大正期における
地価の時空間分析
青木和人1・矢野桂司2 ・中谷友樹2
あおき地理情報システム研究所・1 立命館大学2
地理情報システム学会 第26回学術研究発表大会
於:宮城大学 大和キャンパス
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1.1 問題の所在
地価はその時代の社会経済状況を
示す指標
Berry,B.J.L.(1963)による中心業務地区(CBD)を
頂点としたサーカステント状の地価分布モデル
下位階層の中心地で地価が上昇する
日本の徒歩圏として400~800...
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1.2 既往研究の問題点
資料:1912年出版 明治末期の土地ごとの
地価や所有者、住所が示された「京都地籍図」
資料の特色や性格,価値についての検討
(河原,2008,木村,2010,河角,2017)
四条寺町~鴨川の中心地域(一部)の地...
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1.2 京都地籍図GISデータベースの既往研究
京都地籍図GISデータベースfを活用した
・京都地籍図をGIS上でつなぎ合わせ,現在の地図と比較検
証可能とし,京都市全域の地価等級図による地価分布を示し
た(井上2007)
・100年を単位...
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1.3 研究目的
京都地籍図GISデータベースを活用
(1)明治末期の坪単価を算出し,
100m距離帯別の平均坪単価を算出
(2)土地所有者の居住地分布
(3)名寄処理による大地主の所有土地の分布
明治末期の京都市全域の所有者分布を検証
さ...
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2.1 研究対象地域
1912年出版京都地籍図
明治末期の京都府京都市
1920年の第1回国勢調査
人口591,323 人
全国の市で第4位の人口
【新京極】 昭和11年撮影
【四条通(祇園~柳馬場) 撮影年次不明
出典:京都府立京都学・歴...
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2.1 研究対象
京都地籍図の明治末期の
土地台帳の筆数は68,045筆
この中で最も地目が多く
(80.81%) ,
等級,地価の高い
宅地52,969筆を対象
表1 地目別の等級,地価,筆数
地目
等級の
平均
地価の
平均
宅地 51...
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2.2 宅地の坪単価の分布状況
DBにより各筆の坪単価を算出
最も坪単価が最も高かったのは,
京都市下京区弁慶石町37番地
麩屋町(ふやちょう)三条
宅地,坪単価26,992円,93等級,
坪数90.92坪,地価2,454,084円
坪単価...
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2.2 宅地の坪単価の分布状況
GISで最高価格地から100m距離帯を作成
100m距離帯別の平均坪単価を算出
横軸が100m距離帯で縦軸が坪単価(円)
0
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3.1 所有者の居住地分布状況
全土地46,217筆の所有者のうち
94.18%は京都市内の居住者
東京市,大阪市,滋賀県など
市外居住者の土地も確認できる
図- 3 地域別所有者住所の分布
京都市内 46,217 筆( 94.18% )...
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3.2 土地所有者の名寄処理
土地所有者ごとの名寄処理から
上位5位の大地主の所有土地を地図化
1番目.東本願寺第二十二代法主の大谷光瑩氏.
東本願寺の南北周辺,東方に位置する国名勝
「渉成園」など突出して総坪数が広い.
2番目.京都市上...
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3.2 土地所有者の名寄処理
4番目は第八代京都市長 安田耕之助の父親
である資産家の安田平四郎氏,JR京都駅よ
り南側に広がっている.
5番目は材木商,エトナ映画社代表
田中伊助氏
京都市中心部の最高価格地から2000m圏内
で高価格帯...
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4.本研究の意義
京都地籍図GISデータベースにより
定量的に明治末期の京都市全域の
(1)宅地の各筆坪単価の算出と分布の
地図化・考察
800~1300m(500,1300,2100,3100,4400m)
地価が上昇する距離帯が確認で...
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4.本研究の意義
(2)土地所有者の居住地分布
・明治末期の京都市中心部の土地所有者
のほとんどは京都市内居住者
・中心部のところどころに東京市、大阪
市など京都市外居住者の土地が多数確認
された.→東京市は天皇に付き従った公
家の所有地...
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4.今後の課題
・明治末期とそれ以降~現在までの
100m距離帯別平均地価の分布の比較
→戦後景気、モータリゼーションなどの
日本の都市での地価形成要因の変遷を検証
大地主の土地利用意向が,その後の京都市の都市景
観を大きく変えたと考えら...
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Gisa2017 aoki20171028 京都地籍図を用いた大正期における地価の時空間分析

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京都地籍図を用いた大正期における地価の時空間分析 青木和人・矢野桂司・中谷友樹
本研究では,京都地籍図GISデータベースを活用して明治末期の京都市全域の宅地坪単価の分布を考察し,土地所有者の居住地分布や名寄処理から上位5位の大地主の所有土地分布を検証した.
100m距離帯別坪単価の分布から,地価が距離逓減する中で800~1300mで地価が上昇する距離帯が確認され,サーカステントモデルの下位階層の中心地であることが伺える.ここから明治末期の京都市の中心地階層構造が徒歩圏の1000mに準ずる800~1300m範囲で規定されていたことが推察されるが,その検証には今後,現在の地価での100m距離帯別分布との比較など詳細な検証が必要である.
土地所有者の居住地の分布から,京都市中心部の土地所有者のほとんどは,京都市内居住者であったことが確認でき,中心部には東京市など市外居住者の土地が多数確認された.土地所有者ごとの名寄処理で上位5位大地主の所有地分布から,明治末期の大地主の人物像や所有地の広がりが確認できた.彼らを始めとする大地主の土地利用意向が,その後の京都市の都市景観を大きく変えたと考えられる.今後,大地主の所有土地の利用変化を詳細に検証することで,明治末期からの京都市の都市景観の変遷要因を明らかにできるであろう.また,ネットワークバッファ距離帯による価格分布などGISの空間分析機能をより活用した分析も求められる.

A Spatio-temporal Analysis of Land Prices in the End of the Meiji
Period by Using Kyoto Cadastral Map
Kazuto AOKI, Keiji YANO and Tomoki NAKAYA

Abstract: This paper examines the city’s spatial pattern of land prices in the end of the Meiji Period by using GIS database of the Kyoto cadastral map. First, by using GIS spatial analysis function, we figure out distribution of the land prices by calculating each land unit’s distance from the city center as the most expensive piece of land. As a result, our analysis reveals the bottom parts of the circus tent model of land price distribution. Next, we draw a map of lands owned by large landowners through name identification processing. The result shows that most of the large landowners of the city center were city residents. It also reveals that the top five of the largest landowners consisted of a Buddhist priest, three merchants, and a former village headman, whose lands concentrated on the south side of the Imperial palace in the city center.

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Gisa2017 aoki20171028 京都地籍図を用いた大正期における地価の時空間分析

  1. 1. 1 京都地籍図を用いた大正期における 地価の時空間分析 青木和人1・矢野桂司2 ・中谷友樹2 あおき地理情報システム研究所・1 立命館大学2 地理情報システム学会 第26回学術研究発表大会 於:宮城大学 大和キャンパス
  2. 2. 2 1.1 問題の所在 地価はその時代の社会経済状況を 示す指標 Berry,B.J.L.(1963)による中心業務地区(CBD)を 頂点としたサーカステント状の地価分布モデル 下位階層の中心地で地価が上昇する 日本の徒歩圏として400~800m(海道,2001) しかし、 100年前の地価による都市の中心地階層構造や 所有者構造を明らかにした研究はほとんどない その理由 ・日本の都市で100年前の地価を示す資料が乏しい 出典:都市の地価構造サーカス テントモデル(Berry.B.J.L 1963)
  3. 3. 3 1.2 既往研究の問題点 資料:1912年出版 明治末期の土地ごとの 地価や所有者、住所が示された「京都地籍図」 資料の特色や性格,価値についての検討 (河原,2008,木村,2010,河角,2017) 四条寺町~鴨川の中心地域(一部)の地価分布を 示した研究(山田,2008) →宅地52,969筆もあるため しかし,京都市全域を対象とした地価分布や 土地所有者構造を定量的に明らかにしたものはない. 広大な地域分析のためにGISで利用できる デジタル地価データベースが存在しなかったことも一因 立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメン ト創生研究」にて、京都地籍図がデジタル化された歴史GISデー タベースとして復刻 出典:京都市明細図(部分、京都府立総合資料館蔵) 出典:不二出版 : 京都地籍図 【復刻版】
  4. 4. 4 1.2 京都地籍図GISデータベースの既往研究 京都地籍図GISデータベースfを活用した ・京都地籍図をGIS上でつなぎ合わせ,現在の地図と比較検 証可能とし,京都市全域の地価等級図による地価分布を示し た(井上2007) ・100年を単位とする明治末期と2012年の地価を定量的に比 較し,地価分布の変動を考察( Aoki et al. 2013) 出典:100年の地価の推移(Aoki et al. 2013)出典:京都地籍図の地価等級区分(井上,2007)
  5. 5. 5 1.3 研究目的 京都地籍図GISデータベースを活用 (1)明治末期の坪単価を算出し, 100m距離帯別の平均坪単価を算出 (2)土地所有者の居住地分布 (3)名寄処理による大地主の所有土地の分布 明治末期の京都市全域の所有者分布を検証 さらにGISによる空間分析とデータベース機能を活用し た京都市全域での地価分布と所有者構造分析が必要
  6. 6. 6 2.1 研究対象地域 1912年出版京都地籍図 明治末期の京都府京都市 1920年の第1回国勢調査 人口591,323 人 全国の市で第4位の人口 【新京極】 昭和11年撮影 【四条通(祇園~柳馬場) 撮影年次不明 出典:京都府立京都学・歴彩館(2017) :『京の記憶ア ーカイブ』.<http://www.archives.kyoto.jp/>. 【初代京都駅】 明治頃撮影
  7. 7. 7 2.1 研究対象 京都地籍図の明治末期の 土地台帳の筆数は68,045筆 この中で最も地目が多く (80.81%) , 等級,地価の高い 宅地52,969筆を対象 表1 地目別の等級,地価,筆数 地目 等級の 平均 地価の 平均 宅地 51.76 344.66 52,969 80.81% 田 3.03 68.19 6,506 9.93% 畑 3.77 27.06 3,232 4.93% 山林 2.53 12.65 1,768 2.70% 墓地 0.81 0.47 471 0.72% 學校敷地 1.96 7.50 77 0.12% 堤 0.70 1.93 71 0.11% 原野 0.59 1.08 64 0.10% 道路 2.24 1.32 59 0.09% その他 14.29 78.50 62 0.09% 非課税 0.00 0.00 265 0.40% 計 65,544 筆数(割合)
  8. 8. 8 2.2 宅地の坪単価の分布状況 DBにより各筆の坪単価を算出 最も坪単価が最も高かったのは, 京都市下京区弁慶石町37番地 麩屋町(ふやちょう)三条 宅地,坪単価26,992円,93等級, 坪数90.92坪,地価2,454,084円 坪単価の高価格帯は, 最高価格地から東西に伸びる三条通, 南の四条通,松原通,五条通, 東側に位置する南北に伸びる新京極通, 先斗町通と鴨川以東の祇園地域に広がっ ている.南に離れた旧国鉄京都駅周辺, 北の上七軒周辺でも坪単価の高い地域が 確認できる. 図- 1 京都市全域の坪単価の分布
  9. 9. 9 2.2 宅地の坪単価の分布状況 GISで最高価格地から100m距離帯を作成 100m距離帯別の平均坪単価を算出 横軸が100m距離帯で縦軸が坪単価(円) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 図- 2 100m距離帯別坪単価とサーカステントモデル 図- 1 京都市全域の坪単価の分布最高価格地から距離が離れるほ どに坪単価が下落していく中で、 500,1300,2100,3100,4400m の距離帯で坪単価が上昇 サーカステントモデルの2~6次 点の下位階層の中心地を示して いることが推察される.
  10. 10. 10 3.1 所有者の居住地分布状況 全土地46,217筆の所有者のうち 94.18%は京都市内の居住者 東京市,大阪市,滋賀県など 市外居住者の土地も確認できる 図- 3 地域別所有者住所の分布 京都市内 46,217 筆( 94.18% ) 京都府内 1,117 筆( 2.28% ) 東京市 336 筆( 0.68% ) 大阪市 531 筆( 1.08% ) 名古屋市 38 筆( 0.08% ) 滋賀県 429 筆( 0.87% ) その他他府県 399 筆( 0.81% ) 国外(英国) 4 筆( 0.01% ) 計 49,071 表-2 土地所有者の居住地別集計
  11. 11. 11 3.2 土地所有者の名寄処理 土地所有者ごとの名寄処理から 上位5位の大地主の所有土地を地図化 1番目.東本願寺第二十二代法主の大谷光瑩氏. 東本願寺の南北周辺,東方に位置する国名勝 「渉成園」など突出して総坪数が広い. 2番目.京都市上京区の種油商の山中平吾氏. 二条城北側にある山中油店とそこより西側 3番目.朱雀村長で京北鉄道の発起人である 石原耕太郎氏 現在のJR嵯峨野線が南北に通る 朱雀大路周辺に広がっている. 図- 4 大地主上位5位の所有地の分布 表- 3 大地主上位5位の総所有土地 地主姓名 総筆数 総坪数 総地価 (円) 平均坪 単価(円) 1 大谷光瑩 225 34,081 60,793 2.40 2 山中平吾 177 3,081 17,007 2.06 3 石原耕太郎 176 5,784 11,512 6.94 4 安田平四郎 143 2,916 53,038 18.29 5 田中伊助 138 7,903 46,264 6.50 1 2 3 御 所
  12. 12. 12 3.2 土地所有者の名寄処理 4番目は第八代京都市長 安田耕之助の父親 である資産家の安田平四郎氏,JR京都駅よ り南側に広がっている. 5番目は材木商,エトナ映画社代表 田中伊助氏 京都市中心部の最高価格地から2000m圏内 で高価格帯の地主 明治末期の上位5位の大地主は 僧侶と商家,旧庄屋であり, 京都らしい人物像の特長を示す. 所有地は,御所以南、以西に 地主ごとの区域があった 図- 4 大地主上位5位の所有地の分布 表- 1 大地主上位5位の総所有土地 地主姓名 総筆数 総坪数 総地価 (円) 平均坪 単価(円) 1 大谷光瑩 225 34,081 60,793 2.40 2 山中平吾 177 3,081 17,007 2.06 3 石原耕太郎 176 5,784 11,512 6.94 4 安田平四郎 143 2,916 53,038 18.29 5 田中伊助 138 7,903 46,264 6.50 4 5 御 所
  13. 13. 13 4.本研究の意義 京都地籍図GISデータベースにより 定量的に明治末期の京都市全域の (1)宅地の各筆坪単価の算出と分布の 地図化・考察 800~1300m(500,1300,2100,3100,4400m) 地価が上昇する距離帯が確認できた。 モータリゼーション以前の 明治末期の京都市の中心地階層構造が 徒歩圏の800mに準ずる800~1300m範囲で 規定されていたことが推察される。 今後,それ以降の地価データによる 100m距離帯別分布との比較などの検証が必要 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 図- 2 100m距離帯別坪単価と サーカステントモデル 図- 1 京都市全域の 坪単価の分布
  14. 14. 14 4.本研究の意義 (2)土地所有者の居住地分布 ・明治末期の京都市中心部の土地所有者 のほとんどは京都市内居住者 ・中心部のところどころに東京市、大阪 市など京都市外居住者の土地が多数確認 された.→東京市は天皇に付き従った公 家の所有地? (3)名寄処理による上位5位大地主の 所有土地分布の地図化・考察 僧侶,商家,旧庄屋と京都らしい 明治末期の大地主の人物像や 所有地の広がりが確認できた. 図- 3 地域別所有者住所の分布 図- 4 大地主上位5位 の所有地の分布
  15. 15. 15 4.今後の課題 ・明治末期とそれ以降~現在までの 100m距離帯別平均地価の分布の比較 →戦後景気、モータリゼーションなどの 日本の都市での地価形成要因の変遷を検証 大地主の土地利用意向が,その後の京都市の都市景 観を大きく変えたと考えられる. ・大地主の所有土地の利用変化を検証 →明治末期からの現在への 京都市の都市景観の変遷を検証

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