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シリコンバレーを中心としたアメリカのロボットトレンド

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シリコンバレーを中心としたアメリカのロボットトレンド

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アメリカのロボット開発ロードマップ、シリコンバレーのロボットブームの経緯、今後の変化とポイントについて纏めています。2016年末に日本のロボット関係者向けに講演した内容です。

アメリカのロボット開発ロードマップ、シリコンバレーのロボットブームの経緯、今後の変化とポイントについて纏めています。2016年末に日本のロボット関係者向けに講演した内容です。

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シリコンバレーを中心としたアメリカのロボットトレンド

  1. 1. シリコンバレーを中⼼とした アメリカのロボットトレンド 河本和宏 kazoo.kmt@gmail.com 0
  2. 2. エグゼクティブサマリ • アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロードマップ • 連邦政府はDARPAチャレンジやNational Robotics Initiative (NRI)を通じ、資⾦提供やロードマップの策定を実施。 • NRIではロボットが次のインターネットになるとして、”From Internet to Robotics”というロードマップを2009年より発 ⾏。 • ロードマップでは製造、サービス、医療、軍事、宇宙の5領域について、ロボットの活⽤と研究に関する展望が述べら れている。 • 2016年の更新版ではサービスロボットに関する記述が増えたほか、ロボットを取り巻く法規制や教育システムの整備 についても⾔及。 • シリコンバレーを中⼼とするロボットブームとWillow Garageの功績 • アメリカのロボット産業は、製造や軍事研究が盛んであった東海岸・中部を中⼼に集積。現在、ボストン周辺では iRobot/MIT出⾝者がコボットやソーシャルロボットを牽引。 • ⻄海岸はSRIやStanfordの基盤が存在していたが他の分野ほど⽬を向けられてこなかった。部品の低価格化やソフト ウェアの重要性の⾼まり、Willow Garageの設⽴やGoogleの⾃動運転・ロボット進出などを契機に、⼈材、企業、資⾦ が集まってきた。 • Willow Garageが著名なロボット研究者を集め、「利益は⼆の次」の⽅針でロボットに必要なオープンソースソフト ウェアを開発したことにより、その後のロボット開発が加速した。 • ⼈型ロボットの開発で⽣まれた技術からスタートアップが⽣まれた。オープンソースソフトウェアを共有資産として 活⽤することで、ロボット開発を少⼈数で⾼速に実現している。 • 2013年のGoogleのロボット会社8社の買収を契機にロボットスタートアップへの投資環境は改善。Exitの⽬処も⽴ちや すくなった。 • 資⾦のみならずノウハウ提供や深センでのライン⽴ち上げ⽀援を⾏うスタートアップアクセラレータプログラムも増 加。 • ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイント • センサ性能と計算能⼒の向上、低価格化も相まって、ロボットの役割は量産⼯場での単純作業から様々な業界・プロ セスの複雑な作業へと広がっていく。 • ⽇常社会でロボットとの接点が増え、ロボット脅威論が叫ばれるなかで、ロボットが⼀般の⼈にとって使いやすく、 また、社会に溶け込んでいくためのインタラクションデザインが重要になる。 • 収益安定性を⾼め、顧客のニーズへの迅速な対応を可能にするために、Robot As a Serviceなどロボットを売らないビジ ネスモデルに注⽬が集まる。 • 従来の⽤途を越えてロボットが使われるようになるにはセンサやAIとの組み合わせによる新たな価値提供が必要。 1 Copyright© Kazu Komoto
  3. 3. アジェンダ • アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロード マップ • シリコンバレーを中⼼とするロボットブームとWillow Garageの功績 • ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイント • お問い合わせ 2
  4. 4. ⽶国連邦政府によるロボット産業促進の施策 3 • 連邦政府はDARPAチャレンジやNational Robotics Initiative (NRI)を通 じ、資⾦提供やロードマップの策定を実施。 • NRIではロボットが次のインターネットになるとして、”From Internet to Robotics”というロードマップを2009年より発⾏。 http://jacobsschool.ucsd.edu/contextualrobotics/docs/rm3-final-rs.pdf Copyright© Kazu Komoto
  5. 5. From Internet to Roboticsロードマップの概要 • ロードマップでは製造、サービス、医療、軍事、宇宙の5領域に ついて、ロボットの活⽤と研究に関する展望が述べられている。 • 2016年の更新版ではサービスロボットに関する記述が増えたほか、 ロボットを取り巻く法規制や教育システムの整備についても⾔及。 4 製造 ⼈間と協働作業を⾏うロボット ⼈の器⽤さを備えるマニピューレーション サービス ラストワンマイルの配送を⾏うロボット 複数ロボットの⾃律⾛⾏による協調作業 ⼈の⾏動を認知・獲得するロボット 医療 ⾼度な⼿術⽀援ロボット 遠隔診断、リハビリ⽀援ロボット 軍事 ⽬標の位置・脅威の掌握能⼒の拡⼤ 宇宙 障害物回避能⼒の向上、想定外への対応 精密操作が可能なロボットアーム http://jacobsschool.ucsd.edu/contextualrobotics/docs/rm3-final-rs.pdf に基づきhttps://www.ipa.go.jp/files/000047045.pdfに加筆 Copyright© Kazu Komoto
  6. 6. From Internet to RoboticsロードマップのFindings (1/2) • 過去5〜6年で60万件以上の新たな仕事が製造業で⽣み出され、ロボットの適⽤も 広がった。過去3年は4半期ごとに製造現場でのロボット販売が記録を塗り替えて きており、アメリカでは過去最もロボットが使われるようになった。 • ⼈間と協業可能なコラボレーションロボット(コボット)の導⼊が進んでいる。 ISO 10218とISO/TS 15066といった新たな標準規格も普及を後押ししている。 • センサーやコンピューティングパワーが徐々に低価格化してきたことで、制御の ⾼度化、システムの柔軟化が進んでいる。しかしながら設計、実装、稼働で使わ れている⽅法論は未だ単純なものであり、豊富なリソースを活⽤してよりトレー ニングが少なくてすむようなインターフェース、インタラクションの研究開発が 望まれる。 • マニピュレーションでは、ピックアップ以外の柔軟な動作に課題がある(⽇⽤品 の扱いなど)。素材、センサー統合、動作計画・制御にもまだ課題があり、⼈間 の幼児の器⽤さに近づけることを⽬指す。 • ロジスティクスは主な成⻑分野。Eコマースは40%以上の年間成⻑率を誇り、ラス トワンマイル⽤のドローン、多品種のロバストな仕分けが可能なロボット、ウェ アハウス内の30mph未満の⾃⾛ロボットなどが求められている。研究では複数の ⾃律ロボットの協調制御やロバストなコンピュータビジョンへのニーズがある。 • その他のプロフェッショナルサービスロボット(オフィスの掃除など)は少しず つ⽴ち上がっている。店舗のレイアウトが複雑なため、ロボットで扱うにはまだ 難しい。まずは⼈の介在が少ないところから適⽤が進む。課題はインターフェー スが悪く、素⼈に使いにくいところ。 5http://jacobsschool.ucsd.edu/contextualrobotics/docs/rm3-final-rs.pdf Copyright© Kazu Komoto
  7. 7. From Internet to RoboticsロードマップのFindings (2/2) • 家庭⽤ロボットで⼤きな売上を挙げているのは掃除機・フロアクリーナー。コン パニオンロボット(コミュニケーションロボット)は導⼊が始まったところで、 ⾼齢者の介護や⼦どもの教育などの⽤途が考えられている。今後、状況認識、ロ バストネス、サービスの拡充において、⾶躍的な性能向上が必要。 • ⾃動運転システムは⾃動⾞、⾶⾏機、海中や宇宙空間での⽤途へと広がっている。 ⼈間のドライバーは平均1億マイル⾛ると致命的な事故を起こすが、⾃動運転⾞を その⽔準に引き上げるのは決して簡単とは⾔えない。ドローンについて⾔えば⽣ 活圏での⾶⾏についてはやはりまだ簡単とは⾔えないが、空輸や環境モニタリン グなどで様々な機会がある。宇宙探索では⼩惑星が地球に接近した際の着陸や遠 く離れた惑星でのサンプルの収集は⼿の届くところまで来ている。これらの領域 の主なチャレンジは、⼈間のオペレータや協⼒者を含むシステムの構築だ。 • Industry 4.0やIndustrial Internetといった新たな産業規格によって、安くて普遍的な 通信⼿段が求められており、それによって分散コンピューティング・知能システ ムが可能になる。IoTの流⾏は知能とセンサーを持つロボットの開発とUXの向上に つながる。こうした複雑でロバスト、スケーラブル、互換性の⾼いシステムの設 計には新たな⼿法の開発が期待される。 • 家庭や仕事の場において新たなシステムが導⼊されており、これらの新技術の効 率的な活⽤を実現するためのトレーニングについても考える必要がある。⼤学の みならず、K-12(幼稚園〜⾼校)でもトレーニングすべきで、こうした技術は皆 が利⽤可能になるべき。 • 最後に、⽶国がこれらの⾰新で先頭に⽴つために、適切な政策のフレームワーク が必要。決して⼈々の安全を犯すリスクになるものではいけない。 6http://jacobsschool.ucsd.edu/contextualrobotics/docs/rm3-final-rs.pdf Copyright© Kazu Komoto
  8. 8. アジェンダ • アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロード マップ • シリコンバレーを中⼼とするロボットブームとWillow Garageの功績 • ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイント • お問い合わせ 7
  9. 9. 研究機関由来の技術・⼈に⽀えられるロボットブーム • アメリカのロボット産業は、製造や軍事研究が盛んであった東海 岸・中部を中⼼に集積。現在、ボストン周辺ではiRobot/MIT出⾝ 者がコボットやソーシャルロボットを牽引。 • ⻄海岸はSRIやStanfordの基盤が存在していたが他の分野ほど⽬を 向けられてこなかった。部品の低価格化やソフトウェアの重要性 の⾼まり、Willow Garageの設⽴やGoogleの⾃動運転・ロボット進 出などを契機に、⼈材、企業、資⾦が集まってきた。 8 Copyright© Kazu Komoto
  10. 10. Willow Garageの功績:設⽴から閉鎖まで • Willow Garageが著名なロボット研究者を集め、「利益は⼆の次」 の⽅針でロボットに必要なオープンソースソフトウェアを開発し たことにより、その後のロボット開発が加速した。 9http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1607/22/news008_3.html Copyright© Kazu Komoto
  11. 11. Willow Garageの功績:⽣まれた技術と企業 • ⼈型ロボットの開発で⽣まれた技術からスタートアップが⽣まれ た。オープンソースソフトウェアを共有資産として活⽤すること で、ロボット開発を少⼈数で⾼速に実現している。 10http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1609/15/news004.html Copyright© Kazu Komoto
  12. 12. Willow Garage出⾝のスタートアップ例(1/5) • Simbe Roboticsは⾃律移動する画像スキャナ付きロボットを開発。 ⼩売店の在庫管理を⾃動化し、品切れによる機会損失を減らす。 11http://www.simberobotics.com/ Copyright© Kazu Komoto
  13. 13. Willow Garage出⾝のスタートアップ例(2/5) • Willow GarageからスピンアウトしたSuitable Technologiesでは、遠 隔操作可能なロボットを使った会議システムを提供。「テレプレ ゼンス・テレイグジスタンス」の領域を開拓。 12https://www.suitabletech.com/ Copyright© Kazu Komoto
  14. 14. Willow Garage出⾝のスタートアップ例(3/5) • 産業⽤ROSのROS Industrial開発者によって設⽴されたKinema Systemsでは、パレット積み下ろしにおいてキャリブレーションや ティーチングが不要となるソフトウェアを開発。 13http://www.kinemasystems.com/ Copyright© Kazu Komoto
  15. 15. Willow Garage出⾝のスタートアップ例(4/5) • Saviokeでは、ホテルの宿泊客に依頼されたものを届けるルーム サービスロボットを開発。 14http://www.savioke.com/ Copyright© Kazu Komoto
  16. 16. Willow Garage出⾝のスタートアップ例(5/5) • Willow GarageからスピンアウトしたhiDOFの技術を使い、Googleは Tangoを開発。500ドルのスマートフォンで3Dスキャン、3次元地 図作成、ARを体験することができる。 15https://get.google.com/tango/ Copyright© Kazu Komoto
  17. 17. ロボットスタートアップを⽀える資⾦とノウハウ • 2013年のGoogleのロボット会社8社の買収を契機にロボットスター トアップへの投資環境は改善。Exitの⽬処も⽴ちやすくなった。 • 資⾦のみならずノウハウ提供や深センでのライン⽴ち上げ⽀援を ⾏うスタートアップアクセラレータプログラムも増加。 16http://japan.cnet.com/news/business/35087857/ Copyright© Kazu Komoto
  18. 18. アジェンダ • アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロード マップ • シリコンバレーを中⼼とするロボットブームとWillow Garageの功績 • ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイント • お問い合わせ 17
  19. 19. ロボットを取り巻く変化 • センサ性能と計算能⼒の向上、低価格化も相まって、ロボットの 役割は量産⼯場での単純作業から様々な業界・プロセスの複雑な 作業へと広がっていく。 18 Copyright© Kazu Komoto
  20. 20. 変化を捉えるうえで重要なポイント • ⽇常社会でロボットとの接点が増え、ロボット脅威論が叫ばれる なかで、ロボットが⼀般の⼈にとって使いやすく、また、社会に 溶け込んでいくためのインタラクションデザインが重要になる。 • 収益安定性を⾼め、顧客のニーズへの迅速な対応を可能にするた めに、Robot As a Serviceなどロボットを売らないビジネスモデル に注⽬が集まる。 • 従来の⽤途を越えてロボットが使われるようになるにはセンサや AIとの組み合わせによる新たな価値提供が必要。 19 ⼀⽬でわかるデザイン • Human-Robot Interactionの追求 • アニメーション制作プロセスの適⽤ ロボットを売らない ビジネスモデル • Robot As a Service • ロボットサービス業 知能化による価値創出 • センサの組み合わせや強化学習による複雑 プロセスの⾃動化 • AIによる予測とロボットの⾼速試⾏による 研究開発サイクルの短縮化 ポイント 事例 Copyright© Kazu Komoto
  21. 21. ⼀⽬でわかるデザイン(1/2) • Saviokeでは⼈とロボットの関係性のデザインであるHuman-Robot Interactionに拘り、ロボットの外形、挙動、表⽰について「ひと ⽬で何をしているか分かる」デザインを追求。 • エレベータの昇降動作や客室前での待機動作では⼈を模した動き を取り⼊れることで、社会性を伴った印象を与えられる。 20http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1608/22/news009.html Copyright© Kazu Komoto
  22. 22. ⼀⽬でわかるデザイン(2/2) • AnkiのCozmoではCGアニメーションを作るのと同じ要領でロボッ トの動きを設計し、536のアニメーションを作成。感情の遷移と それによる⾏動の変化もソフトウェアに組み込んだ。 • ⽣き物であることを想起させるためには素早い動きを実現する必 要があるとして、機体の徹底的な⼩型・軽量化にも取り組んだ。 21https://anki.com/en-us/cozmo Copyright© Kazu Komoto
  23. 23. ロボットを売らないビジネスモデル • ”Robot as a Service”、すなわちハード売り切りではなくソリュー ション売りで安定収益を得るビジネスモデルに投資家が注⽬して おり、多くのロボットスタートアップが採⽤している。 • または、バックエンドでロボットを活⽤したロボットサービス業 (eatsa, Zume Pizza等)にも注⽬が集まっている。 22 https://www.eatsa.com/ https://www.zumepizza.com/ Copyright© Kazu Komoto
  24. 24. 知能化による価値創出(1/2) • SwRI ではロボットアームに深度センサを組み合わせることで航空 機や農機の塗装⼯程など、従来チューニングコストの⾼かったプ ロセスの⾃動化に取り組んでいる。 • Osaroは深層強化学習の適⽤により低スキルでも使えるロボットの 開発を⽬指している。 23 http://www.swri.org/4org/d10/msd/automation/default.htm http://www.osaro.com/ Copyright© Kazu Komoto
  25. 25. 知能化による価値創出(2/2) • Notable Labsでは脳がん患者向けのパーソナライズされた薬の処⽅ を狙い、対象患者にとって最も効果の⾼い配合を、AIでの予測と ロボットによる無数の試⾏で特定する技術を開発している。 24https://notablelabs.com/ Copyright© Kazu Komoto
  26. 26. お問い合わせ • ご質問などありましたら下記までご連絡下さい • kazoo.kmt@gmail.com • 過去の寄稿記事 • ロボットの“PARC”「Willow Garage」が撒いた種(MONOist) • Willow Garage出⾝デザイナーに学ぶ、サービスロボットのインタラクションデザイン (前編)(MONOist) • Willow Garage出⾝デザイナーに学ぶ、サービスロボットのインタラクションデザイン (後編)(MONOist) • ロボット開発に学ぶ、モノづくりへのOSS活⽤ポイント(MONOist) • 普及の鍵を握る⽶国の「⾃動運転」‒注⽬すべきスタートアップ12選(CNET) • Androidの⽗が⾒据える「IoT×AI」の未来(CNET) • The legacy of Willow Garage…The “PARC” for robotics (ReadWrite) • Deep Learning Startup PFN Partners With FANUC, Could Save Japanese Manufacturing (Robotics Business Review) • Industrial Transformation Coming From Deep Learning, Says Japanese Startup (Robotics Business Review) 25

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