IPAX 2004年9月 基調講演「ソフトウェア新創世紀へ向けて」

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IPAX 2004年9月 基調講演「ソフトウェア新創世紀へ向けて」

  1. 1. IPAX Autumn 基調講演 ソフトウェア新創世紀へ向けて 加藤 和彦 筑波大学 2004 年 9 月 9 日 東京国際フォーラム
  2. 2. <ul><li>日本独自のコンピュータとか, ソフトウェアって, あったんですか? </li></ul><ul><ul><li>現在 19 歳の新進気鋭プログラマ (N 君, T 大学 2 年次在学中) </li></ul></ul>
  3. 3. 厳しい現実 電子情報技術産業協会他,ソフトウェア輸出入統計調査2000年実績  http://www.jisa.or.jp/static/iande/2000.pdf 102 倍
  4. 4. <ul><li>コンピュータ創世記に、 </li></ul><ul><li>一度だけ、 </li></ul><ul><li>日本独自のコンピュータシステムを </li></ul><ul><li>作り上げた時代があった。 </li></ul>
  5. 5. <ul><li>素子からオリジナル。 </li></ul>
  6. 6. パラメトロンコンピュータ PC-1 究極の手作りコンピュータ <ul><li>1957 年 4 月~ 1958 年 3 月パラメトロン計算機 PC1 製作 </li></ul><ul><ul><li>高橋秀俊研究室(東京大学理学部物理学科) </li></ul></ul>後藤英一氏と高橋秀俊氏 PC1 ( 1958 年 3 月 27 日稼働) 和田英一,パラメトロン計算機 PC-1 -回路設計と方式設計-,夏のプログラミングシンポジウム, 1996 年 7 月. PC-1 概要
  7. 7. パラメトロン素子 <ul><li>1954 年パラメトロン素子発明 </li></ul><ul><ul><li>後藤英一(東京大学理学部大学院生, 23 歳) </li></ul></ul><ul><li>非常に廉価 </li></ul><ul><ul><li>真空管は千円,消耗 </li></ul></ul><ul><ul><li>トランジスタは 8 千円,不安定 </li></ul></ul><ul><ul><li>フェライトコア(鉄,コバルト,ニッケル,マンガン等の酸化物)は 5 円 </li></ul></ul><ul><li>動作が確実,丈夫,ノイズに強い </li></ul><ul><li>全く新しい論理回路設計理論が必要 </li></ul>パラメトロンの原理 和田英一,パラメトロン計算機 PC-1 -回路設計と方式設計-,夏のプログラミングシンポジウム, 1996 年 7 月. PC-1 に用いられたパラメトロン
  8. 8. 情報処理学会コンピュータ博物館 http://www.ipsj.or.jp/katsudou/museum/index.html 年 日本 世界 1946   Mauchly, Eckert :世界初のコンピュータ ENIAC 1948   ベル研:トランジスタを発明 1949   M.V.Wilkes :初のプログラム内蔵方式 EDSAC を完成 1952 電気試験所:リレー式計算機 ETL Mark I を完成 IBM 社: IBM の最初の商用計算機 IBM 701 (真空管) 1954 後藤英一 ( 東大):パラメトロンを発明   1956 日本電子測器:パラメトロン計算機 PD 1516 完成   1957 電電公社:日本初のパラメトロン計算機 MUSASINO-1 を完成 FORTRAN II 完成   電気試験所: ETL Mark IV (接合型トランジスタ式実用機)を完成     日立:同社初のディジタル計算機 HIPAC MK-1 (パラメトロン式)を完成   1958 東大(高橋研): PC-1 (パラメトロン式)を完成     日本電気:同社初の電子計算機 NEAC-1101 (パラメトロン式)完成 IBM 社: IBM 7070 (トランジスタ式)を発表   日本電気:同社初のトランジスタ式計算機 NEAC-2201 完成 TI 社: IC を開発   日立: HIPAC 101 発表(パラメトロン式) 1959 年にパリに出店     1959 沖電気:パラメトロン式計算機 OPC- 1を完成   1961 富士通(文部省支援): PC-2 完成  
  9. 9. 1959 年、世界を驚かす <ul><li>1959年6月,パリでユネスコ主催の情報処理 国際会議開催( IFIP 前の第一回会議). </li></ul><ul><li>併設展示会で, HIPAC101 (パラメトロン), NEC NEAC2201 (トランジスタ)を出展 </li></ul><ul><ul><li>完成した計算機の出展はこれらのみ. </li></ul></ul><ul><ul><li>IBM でさえ真空管計算機しか作っていない時代. </li></ul></ul><ul><ul><li>HIPAC101 は梱包をほどいて電源を入れるとすぐに動き出した.  </li></ul></ul>
  10. 10. ある意味では,この時期こそ,日本の計算機の最も華やかなときであった.それからあとは,むしろ凋落していったとさえいえる . 高橋秀俊,コンピュータへの道, 1979 , p. 144.
  11. 11. パラメトロン計算機が 消え去った理由 <ul><li>速度が遅かった </li></ul><ul><ul><li>トランジスタコンピュータのクロック: 1MHz </li></ul></ul><ul><ul><li>パラメトロンコンピュータのクロック: 10-30KHz </li></ul></ul>
  12. 12. <ul><ul><li>マッカーシー: パラメトロンとはおもしろいことを考えたもんだが,何でそんな遅い素子を作ったんだい? </li></ul></ul><ul><ul><li>後藤: そんなこと言われたって,予算は MIT の千分の一くらいしかなかったんだからさ. </li></ul></ul>マッカーシー氏と後藤氏との会話 月刊アスキー, Vol. 17, No. 6, 1993 年 6 月 , pp. 192-195.
  13. 13. パラメトロン計算機の特徴 <ul><li>院生の発明,大学研究室の研究がきっかけ. </li></ul><ul><ul><li>高橋秀俊氏,           PC1 稼働 43 歳 </li></ul></ul><ul><ul><li>後藤英一氏,素子発明 23 歳, PC1 稼働 28 歳 </li></ul></ul><ul><ul><li>和田英一氏,「芸術品」イニシャルオーダー作製 28 歳 </li></ul></ul><ul><li>プログラミングしたいという欲求がメンバーを突き動かした. </li></ul>
  14. 14. パラメトロン計算機開発の動機 <ul><li>プログラミングをしたいという強烈な情熱 </li></ul><ul><li>二つの文献がきっかけ </li></ul><ul><ul><li>M. V. Wilkes and W. Renwick: The EDSAC - an Electronic Calculating Machine , Journal of Scientific Instruments, Vol. 26, No. 12, December 1949. </li></ul></ul><ul><ul><li>Maurice V. Wilkes, David J. Wheeler, Stanley Gill: The Preparation of Programs for an Electronic Digital Computer , Addison-Wesley, 1951. </li></ul></ul><ul><ul><ul><li>1951 年刊に注意! </li></ul></ul></ul>
  15. 15. なぜその後,独自技術を育てられなかったのか? <ul><li>ソフトウェアが,財産価値がある「もの」であるということの認識が遅れた. </li></ul><ul><ul><li>ソフトウェアは「利用技術」と説明されていた. </li></ul></ul><ul><ul><li>ソフトウェア・ファーストであるべきだった. </li></ul></ul><ul><li>模倣/輸入から概念作りを学べなかった. </li></ul><ul><ul><li>財産となる新概念を創造できなかった. </li></ul></ul><ul><li>個人の情熱よりも,組織を動かす論理が優先するようになった. </li></ul><ul><ul><li>互換機路線,幾多の国家プロジェクト </li></ul></ul>
  16. 16. ソフトウェアは「もの」である <ul><li>ソフトウェアという概念はまったく新しい概念であり,そして,未だに多くの人が正しく理解していない. </li></ul><ul><li>新聞などにはよく「ソフトウェア(利用技術)」と,決まりきったようにカッコして利用技術と書いてある.この注釈が誤った理解に導く 最悪の元兇 である. </li></ul><ul><li>ソフトウェアは「もの」であって技術ではないのである. </li></ul><ul><ul><li>高橋秀俊,コンピュータへの道,文藝春秋, 1979 . </li></ul></ul>
  17. 17. 表面上の模倣 <ul><li>我々は Multics から多くを学んだが,次の発展を見いだせなかった.ソフトウェアの研究における概念作りと,表面上の模倣との差がいかに大きいかが,私の心に強く残っている. </li></ul><ul><ul><li>益田隆司(電気通信大学学長,情報処理学会会長) 20 世紀の名著名論 (Introduction and Overview of the Multics System) , 情報処理, 2003 年 3 月号. </li></ul></ul>
  18. 18. <ul><li>「もの作り」と言ったとき, </li></ul><ul><li>今でも, </li></ul><ul><li>「もの」はソフトウェアを含んでいない </li></ul><ul><li>(かもしれない). </li></ul>
  19. 19. 設計と実装 <ul><li>「もの」は機能と構造をもつ </li></ul><ul><li>ソフトウェアも機能と構造をもつ </li></ul><ul><ul><li>機能と構造の設計 </li></ul></ul><ul><ul><li>設計からの製造(実装,施工) </li></ul></ul>
  20. 20. 製造 <ul><li>製造(技術)は容易に諸外国にキャッチアップされる可能性がある. </li></ul><ul><ul><li>既にされている?! </li></ul></ul>
  21. 21. 「冬ソナ」の衝撃 <ul><li>一つの「もの」が世を変えられる. </li></ul>
  22. 22. 途中略(当グループの研究紹介)
  23. 23. おわりに <ul><li>ソフトウェア創りは「もの」創り </li></ul><ul><li>知財となるソフトウェアを創り出そう </li></ul><ul><li>情熱溢れる動機を大切に </li></ul>
  24. 24. 情熱溢れる動機が 才能ある個人を突き動かす <ul><li>情熱こもった動機 </li></ul><ul><ul><li>例)それをやらなくては,どうしても気がすまない. </li></ul></ul><ul><ul><li>例)苦労を苦労と思わないような... </li></ul></ul><ul><li>IPA 未踏ソフトウェア創造事業 </li></ul><ul><ul><li>情熱は PM をも突き動かす. </li></ul></ul><ul><ul><li>2004 年度, IPA の全ソフトウェア開発予算中の約 25% が「未踏」予算.( 2001 年度は 13% .) </li></ul></ul>
  25. 25. 情熱溢れる動機の例 <ul><li>某 T 大学では,学生食堂等で無線 LAN が使えるが,ファイアウォールで Web プロトコルのみが許可されていた. </li></ul><ul><ul><li>他のポートも使いたい! </li></ul></ul><ul><li>某 T 大学では,学生マシン室は Linux と Windows マシンしかなかった. </li></ul><ul><ul><li>BSD Unix が使いたい! </li></ul></ul>
  26. 26. 動機に突き動かされた若者達 登 大遊 氏 (19 歳 ) (筑波大学第 3 学情報学類 2 年次) SoftEther 2003 年度未踏ユース(竹内 PM) 榮樂 英樹 氏 (22 歳) (筑波大学第 3 学情報学類 4 年次) LilyVM (BSDCon’03 Student Paper Award) 2003 年度未踏(萩谷 PM)
  27. 27. Thank you.

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