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オープンエデュケーションとは?

Associate Professor at Hokkaido University
Feb. 24, 2013
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オープンエデュケーションとは?

  1. 第一部 解説:「オープンエデュケーション」とは? 2013/02/24 重田勝介
  2. 解説のポイント • 「そもそも、オープンエデュケーションって何? – オープンエデュケーションの活動のポイントを、事例 をもとに紹介します • 「なぜ急速に広がり、誰が支えているの?」 – オープンエデュケーションが世界的に広まる 「背景」について解説します • 「教育のあり方は変わるの?」 – 最新の活動(MOOCs:ムークス)から、オープンエデュ ケーションの可能性と課題を示します
  3. オープンエデュケーションとは? • 教育を「オープン」にする活動 – 教育を受ける機会の促進を目指す – あらゆる人が教育・学習活動に参加 • インターネットを介した活動を指すことが多い – 2000年代以降に概念が拡張 • 社会からの広い支持を集める – 慈善寄付財団の支援(欧米) – 政府の支援(アジア・アフリカ・南アメリカ) – 日本でも大学や民間での取り組みが広がる
  4. ポイント1:教材をオープンにする活動 • 無料の教材・教科書をインターネット上で公開 インターネット 教科書・教 上の 材 無料教材・教科 書 お金が 無料で かかる… 学べ る! 学びたい人 学びたい人
  5. オープン教材 OER(Open Educational Resources) • インターネットを介し公開された教育用素材 • 教育用テキスト、画像、ビデオ、電子教科書 • 「再利用」を推奨(利用目的に応じて作り替え) – クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの明示 • UNESCOによる後押し – 2012 「世界OER議会」にて世界各国へ 利用開発、持続的な支援を求める宣言 • 誰でも教材を作り、公開できる
  6. オープンな教科書(Open Textbook) • セイラー財団が制作するオープン教科書 • 大学の280課目に沿った教科書を無料公開 • 大学単位や学士号を取得 – オンライン大学と協力 – 試験による達成度評価 • 学士号を100万円程度 で取得できるプログラムも
  7. ポイント2:教材を探せるウェブサイト • 学びたい目的に即して、使いたい教材が整理 され、探せる場所 目的に合った どれを使えば 教材が探せる! いいんだ …?? 検索・統合・分類 学びたい人 学びたい人
  8. 大学が作ったウェブサイト オープンコースウェア(Opencourseware) 正規講義のシラバスや教材、講義ビデオを 無償公開 単位認定なし (Publication=出版) MITが提唱 数十カ国の参加(OCWコンソーシアム) 日本ではJOCWによる普及活動
  9. 大学「外」で作られたウェブサイト: iTunes U / Khan Academy • 企業が開設し、大学の教材を無料で公開 • 個人や非営利団体が教材を作り無料で公開
  10. ポイント3:共に学べるコミュニティ • 学び教え合うことで学習の意欲と成果を高める 学び合う 学習コミュニ ティ 分からない所を 聞けない… 一人で学ぶのは 大変… 学びたい人 一緒に 学びたい人 学びたい人 学ぼう!
  11. 大学が作ったコミュニティ:Open Learn 英国Open Universityが開設 オンライン学習コミュニティ「LearningSpace」 興味対象の近い学習者と出会う「Learning Club」
  12. 大学「外」で作られたコミュニティ: OpenStydy / Mozilla Open Badge オンラインで学び教える 学習成果を「見える化」す 学習コミュニティ る「認定証」 OCWと連携 同じ教材を 知識技能を示すシグナル 共に使って学ぶ
  13. オンライン大学:Western Governors Univ. 米国の知事団体が設立 OERを活用し安価に 課目一つでも履修できる⇒他大学と単位互換
  14. オープンエデュケーションが広まる「背 景」
  15. 「理念」と「実利」が相まった拡大 • 社会貢献活動として – 発展途上国への「国際教育協力」 • 教育を受けやすくする(アクセスの改善) – 大学の「知」を、社会に多様な形で還元する • 生涯学習(Life-Long Learning)の支援 – 大学教育に再チャレンジ ドロップアウト対策 • リクルーティング(高校生・留学生・社会人) – グローバル対応(英語コンテンツ公開) • 質向上とコスト削減(電子教科書の無償配布)
  16. 反転授業(Flipped Classroom) The Flipped Classroom: Turning the Traditional Classroom on its Head - http://www.knewton.com/flipped-classroom/ • 知識習得はオンライン(講義ビデオを視聴) • 知識確認やディスカッションを教室で行う – ドロップアウト(米国では30%)を低減する効果 – OERを講義ビデオに利用
  17. オープンエデュケーションは大学教育を 広める・良くすることに役立つ! ⇒だから大学で広がる 実利 理念 リクルーティン 社会貢献 グ OER OCW 国際教育協力 コスト削減 教育機会の拡大 スタディグルー 質向上 プ 利用 開発 教育活動 教育活動 単位互換 大学 オンライン大 学
  18. 大学の悩み(1): ニーズ増大と学生の変化 • 2020年までに、67%の職業で学部卒の経歴が必要 – 大学卒業資格をもった人材が足りない – 発展途上国では、大学自体が足りない • 75%の学生が「非伝統的(non-traditional)」な学生 – 家族を持つ 働きながら通学する – 4年間で学部を卒業できる「非伝統的」学生は24.3% (通常の学生は60.6%)⇒低い – 退学(ドロップアウト)へ ※COMPLETE COLLEGE AMERICAによる調査か
  19. 大学の悩み(2):持続性 • 2008年以降、州からの 補助金が大幅削減 – 学費(tuition)は2倍に – 授業数や人員の削減 • 学生と教員による 抗議活動 – キャンパス封鎖 UC Berkeleyにおける抗議活動 – 大学警察との衝突 (2009年11月) ※UC System Threatens Additional Fee Hikes if State Doesn’t Chip In- KGO 810 San Francisco
  20. オープンエデュケーションの支え • 慈善寄付団体 – ヒューレット財団・ゲイツ財団・セイラー財団… – 社会貢献事業の一環 数十億ドル規模 – 大学や非営利団体に出資し、間接的に支援 • 政府 – 米国:労働省 労働者の再教育に利用 – アジア・アフリカ・南アメリカ 教育機会の不足を補う手法 • 大学は活動の「媒体」
  21. ビデオ:21世紀の「社会」と「学び」 スミソニアン財団 • Video http://www.youtube.com/watch?v=Ax5cNlutAys&list =FLQtHaCcX0-yKbSjMo0RauXw
  22. 21世紀の社会に求められる「学び」 • 変化する社会に適応できる人財の必要性 • 予測しえない未来に対応できる人財を 育てる教育 • 教師と学校の役割が変化 – 「教え込み」から「学習支援」へ • 教育機関の価値はどうなる? – 学校と大学では抱えきれない教育のあり方 • 「オープンな学習環境」=オープンエデュ ケーションの重要性
  23. オープンエデュケーションが変える 教育の「未来」: MOOCs(ムークス)の事例から
  24. MOOCs(ムークス)とは? • Massive(ly) Open Online Coursesの略 大規模公開オンライン講義 • 数週間単位で学べる学習コースを開設 – 「教材」の公開だけでなく「教育」を行う • 数万人〜数百万人が受講する – 世界中から参加する学習コミュニティ • 無料で受講できる • コース完了者に「認定証」を発行(有償の場合も)
  25. ポイント:一般向けeラーニング • 教材からではなく、講師から学ぶ 講師 学び合う 数週間の学習 コースを 学習コミュニ 認定証 ティ 共に受講する 学習コミュニ 学びたい人 受講者 ティ 受講者 学びたい人
  26. MOOCsの例:コーセラ(Coursera) • 大学の講義を公開する 教育ベンチャー企業 • スタンフォード大教授らが 協同で設立 • 古典文学・薬学・数学・コ ンピュータサイエンスなど の多様な講義 • 62の大学が参加 • 日本からは東大が参加
  27. MOOCs拡大の歴史 1) 2008− 大学教員による公開授業(cMOOCs) – 協同的な知識構築 「脱学校」の学び 2) 2010- 営利企業による公開授業(xMOOCs) – スタンフォード大学教員によるスピンアウト – Coursera / Udacity 大学間協定による単位認定へ 3) 2011- 大学による「追随」(xMOOCs) – トップユニバーシティとカレッジのパートナーシップ – edX(米国) / FutureLearn(英国) ※担い手が異なるcMOOCsとxMOOCs:摩擦
  28. MOOCsは「教育の未来」を変えるか? • 変わりそうなポイント – 大学教育の「見本市」 – より安価に大学レベルの教育が受けられる – 「認定証」が、学位に近い価値を持つようになる – ムークスの教材を販売(BtoB) – 大学は「講義」ではなく「学習支援」の場所へ? • 変わらなさそうなポイント – 大学の価値?:ムークスの価値を裏付けている – オンラインだけで「学び」は完結しない
  29. まとめ 1. 「そもそも、オープンエデュケーションって何 – 誰もが教育機会にアクセスしやすくする活動 – 教材・ウェブサイト・コミュニティ 2. 「なぜ急速に広がっているの?」 – 大学に取り組むメリットが多々ある – 慈善寄付団体や政府が社会貢献・教育の質を 高めるために支えている 3. 「教育のあり方は変わるの?」 – MOOCsは大学の教育スタイルを一部変える可能性 – 大学の持つ「価値」そのものは?
  30. 第一部 解説:「オープンエデュケーション」とは? 2013/02/24 重田勝介
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