実際の講座制作について 〜「オープンエデュケーションと未来の学び」

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北海道大学におけるオープンエデュケーション
私のMOOC講座について
「オープンエデュケーションと未来の学び」
MOOC教材制作のポイント
インストラクショナル・デザインに基づいた設計
gaccoでのMOOC開講の実際
私の経験をもとに

実際の講座制作について 〜「オープンエデュケーションと未来の学び」

  1. 1. 実際の講座制作について 〜「オープンエデュケーションと未来の学び」 重田勝介 北海道大学 情報基盤センター 准教授 高等教育推進機構教育支援部 オープンエデュケーションセンター 2014/7 JMOOCワークショップ
  2. 2. あらまし • 北海道大学におけるオープンエデュケーション • 私のMOOC講座について – 「オープンエデュケーションと未来の学び」 • MOOC教材制作のポイント – インストラクショナル・デザインに基づいた設計 • gaccoでのMOOC開講の実際 – 私の経験をもとに
  3. 3. 北海道大学におけるオープンエデュケーション OERを用いた道内国立大学の教養教育連携 • 道内大学の教養教育連携(遠隔教育) – 地理的要因 / 財政的要因 / 単科大学 – 多様な授業を共有し、教養教育を充実 • 遠隔教育にOER(オープン教材)を導入 – 遠隔授業システムを補完する – OERを用いた反転授業とアクティブラーニング 18世紀 20世紀 21世紀 アクティブ ラーニングの 導入
  4. 4. 取り組み(1) OERの開発 オープン教材の開発・共有による教育改善 • オープン教材(OER)の開発との運営 • SPOC(Small Private Online Courses)を使った モデル授業の開発
  5. 5. 取り組み(2) MOOCの推進 蓄積されたコンテンツのオープン化と活用 • 優れたオープン教材の公開(MOOCやOCW) – 開かれた教育環境の実現 – 英語教材の公開による 国際化推進 (留学生獲得へ) – オープンコースウェア による公開 – 大学の「知」の公開に 貢献
  6. 6. オープン教材リポジトリの構築 • Academic For Education (ACE) • Open edXをベースにしたプラットフォーム http://ace.iic.hokudai.ac.jp/ (教材視聴にはログインが必要)
  7. 7. 取り組み(3)edX参加 「北大の教育」を国際発信 • edXの「OECx」チャンネルで開講 – オープンエデュケーション・コンソーシアム (旧OCWコンソーシアム)による – 世界5カ国の大学が参加 北大は2015年春から + ⇒
  8. 8. 環境放射能基礎 Introduction to Radioactivity and Radiation • 環境中の放射能について学ぶ – 放射線の基礎知識 – 環境・食品等に与える影響 – 放射線の計測方法 – 放射線の応用(医学・原子炉) • 道内教養教育連携で制作した教材 を英語化 – 字幕または吹き替え • 開講期間は4週間
  9. 9. OCW教材をもととしたMOOC制作 • 環境放射能基礎コース(初級コース) • オープンエデュケーション コンソーシアムから 依頼を受け開講 • MOOC用に教材を再設計 – スタジオ収録で撮り直し • クイズとテストの作成 • MOOC運営体制の確立 北海道大学オープンコースウェア
  10. 10. 北大のビジョン:OERと教育方法の革新による 大学教育改革 • Phase 1: SPOCによる教育の改善 – 利用目的に沿った教育コンテンツ制作と改善 • Phase 2: MOOCによる教育の公開と国際化 – 学生獲得・広報などの副次的効果を期待する • オープンソースソフトウェアによるコスト削減 – Open edXを用いたOER公開 – 学習履歴データの分析による教材と講座の改善 • 教育の多様化と質向上・大学の魅力発信へ
  11. 11. 私のMOOC講座について
  12. 12. オープンエデュケーションと未来の学び • インターネット上で広く教育機会を提供する活動「オー プンエデュケーション」の拡がり – オープンな教材(OER) 学習コミュニティ – オンライン講座「ムーク(MOOC)」 • 目的 – 「オープンエデュケーション」を深く考える – 活動の実態、背景、可能性、課題について理解する • 7月7日(月)〜8月3日(日)開講
  13. 13. PV
  14. 14. 講座の構成 • 4週間の講座 – Week1「オープンエデュケーションとは何か」 – Week2「MOOCとは何か」 – Week3「オープンエデュケーションが進む背景と 課題」 – Week4「オープンエデュケーションが変える学びと 社会」 • 「反転授業」という公開講座あり – オプション 有料(5000円) – 大阪(8/3) 札幌(8/8:PCカンファレンス@札幌学院大)
  15. 15. 2つのコース 1)「MOOCコース」 • オンライン講座のみ+最終レポート
  16. 16. 2つのコース 2)反転学習コース • MOOCコース+最終レポート(同じ課題) • 補習として反転授業を受講する
  17. 17. 講師 • 重田勝介(MOOC担当) • 武田俊之・森秀樹(反転授業担当)
  18. 18. ぜひご受講ください! • https://lms.gacco.org/courses/gacco/ga004/2014_07/about
  19. 19. MOOC教材制作のポイント インストラクショナル・デザインに基づいた設計
  20. 20. 「講義そのまま」ではMOOCにならない! • 通常の講義×15回では収まらない – 90分の講義をビデオで見続けるのは難しい – 講座が長すぎると離脱者が増える(ドロップアウト) • 大学の講義を圧縮してMOOCを作る – 教える内容をいかにしてコンパクトにまとめるか?
  21. 21. 教材設計のポイント • 学習目標を定める – 教材の「構造化」 • 学習目標に沿ったクイズを作る – 評価の伴った教材作り • ビデオ教材用のスライド作り – 映像構成・形式をよく考える
  22. 22. ポイント(1) 学習目標を定める • まず「何を学んでほしいのか」を定める – 「教えたいこと」「話したいこと」ありきでは駄目 • 教授設計理論の導入 (インストラクショナル・デザイン:ID) – 効果:学習者に期待する力をつけさせる – 効率:限られたリソースで無駄なく実施 – デザイン:学習者・実施者にとって魅力あるように
  23. 23. IDは3つの要素のバランスを取る方法
  24. 24. 学習目標の設定 ポイント 例)リンゴの剥き方について学ぶ講義 • 行動で目標を示す 「……を理解する」ではなく「……ができる」 ✕:リンゴを剥く方法について理解する ◯:リンゴの皮を剥くことができる • 評価の条件を示す 「…ができる」だけでなく、制限を示す ✕:リンゴの皮を剥くことができる ◯:ナイフを使い、剥いた皮を途中で切らずにリンゴを剥くことができる • 到達目標を明確に 「……以内に」「……の基準で」を定める ✕:ナイフを使い、剥いた皮を途中で切らずにリンゴを剥くことができる ◯:ナイフを使い、一分以内で、剥いた皮の厚さは1mm以内で、皮を途中で切らさずにリン ゴを剥くことができる
  25. 25. 学習目標の「構造化」が大事 • 学ぶ要素 • 要素同士の関係性 • 要素を並べる順番 知識A 知識B 知識C 行動A 行動B(学習目標)
  26. 26. 私の講座の学習目標 • オープンエデュケーションの現状について 説明できる – Week1(オープンエデュケーション全般)で学ぶ – Week2(MOOC)で学ぶ • オープンエデュケーションの可能性と課題について 説明できる – Week3で学ぶ • オープンエデュケーションが実現しうる未来の教育 と学びの姿について説明できる – Week4で学ぶ
  27. 27. 私の講座 (一応)構造化されている Week1 オープン エデュケーション についての知識 Week2 MOOCに ついての知識 Week3 オープンエデュケーションの 背景・可能性・課題 Week4 オープン エデュケーションが 変える学びと社会 学習目標3−1 学習目標3−2 ‥‥ ‥‥ ‥‥ ‥‥ それぞれの週に小さな学習目標が ぶらさがっている
  28. 28. ポイント(2) クイズの作成 • 学習目標に沿ったクイズを作る • 学習目標が達成されたかを判定 • 教えたことのみを尋ねる
  29. 29. クイズの例 例)Week1 オープン教材の制作 の一部 【学習目標】 オープンエデュケーションの特徴のうちオープン教材を配布す るウェブサイトの特徴について説明できる 【クイズ】 1. オープン教材を配布するウェブサイトについて述べた次の 文(ア)(イ)の正誤の組み合わせとして最も適切なものを一つ 選んで下さい。 • ア)インターネット上には様々なオープン教材が存在するた め、自らのレベルや興味に沿った教材を見つけるのは非常 に難しい。 • イ)オープン教材を配布するウェブサイトであるオープンコー スウェア(OCW)は大学の正規講義を公開しているため、そ の教材を用いて学習すれば単位認定がなされる。
  30. 30. クイズ・レポート一覧 クイズ レポート(相互採点) Week1 選択問題12問 なし Week2 選択問題10問 オープンエデュケーションのサービスを 3つ以上調べて、用意された掲示板に 投稿する Week3 選択問題10問 なし Week4 選択問題12問 800字程度のレポート (相互採点:受講者同士で用意された 基準(ルーブリック)に従って採点する) 合計得点が60点以上で合格 認定証が発行される
  31. 31. ポイント(3) スライド制作 イラスト入り 簡潔な箇条書き スマホでも見やすいように文字は大きく簡潔に
  32. 32. スライド+講師映像の画面構成
  33. 33. 実際のビデオ教材
  34. 34. gaccoでのMOOC開講の実際 私の経験を元に
  35. 35. (大まかな)経緯 • 昨年夏 講座開講の打診を受ける • 昨年11月 JMOOC開設 開講が発表される • 昨年12月 講座開設準備スタート – 講座概要の作成と提出 – 私の兼業申請(非常勤講師) • 今年2月 スライドの作成 • 今年3月 ビデオ教材の収録(東京) • 今年6月 クイズの制作
  36. 36. JMOOCのサポート MOOC開設への手厚いサポートがあります • 講師向け説明会の開催(昨年12月) – 疑問点の解消 • メールまたはSkypeでの打ち合わせ(複数回) – スケジュール提示、作業割り振り、疑問点の解消 • 契約締結 – 契約内容についての協議や擦り合わせ • 講座ビデオの収録 – スタジオの確保、当日のサポート 費用の補助
  37. 37. スタジオ収録 PVの素材撮り 講義の撮影
  38. 38. いよいよ来週開講、今のところの感想 • MOOCをやるのは面白い – 講師として(コース企画、教材作成) – オープンエデュケーションの研究者として (MOOC制作の「裏側」を見れた) • 手厚いサポートはあったが、負担も大きい – 教材作り、反転授業の段取り、契約等々‥ – 組織的に取り組むことをお勧めします • 開講してみないと分からないことは多い – 手探りしながら、頑張ろうと思います。
  39. 39. 実際の講座制作について 〜「オープンエデュケーションと未来の学び」 重田勝介 北海道大学 情報基盤センター 准教授 高等教育推進機構教育支援部 オープンエデュケーションセンター 2014/7 JMOOCワークショップ

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