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肺癌化学療法とケア

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メディカルスタッフの院内勉強会を受けた方が,勉強会後の復習に使うのためのスライド資料です.powerpointのテンプレートはこちらですhttp://sagittarius.dip.jp/toshi/template.php.

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肺癌化学療法とケア

  1. 1. 1 肺癌化学療法とケア2015 medical staff 梶原 浩太郎 画像は シルエットAC,写真AC,イラストAC,笑えるおもしろ画像集 http://gazou.blueneo.jp/, 製薬会社HPのフリー素材などから引用しています
  2. 2. 肺癌の勉強会といえば・・・ 2 一般名とか商品名が ややこしい やたら英語 グラフ見せられても 分かりにくい 次から次に 新しい薬が出てきて・・・ 肺癌治療はエビデンスが重要視される分野です. 新しいエビデンスはほとんど海外の論文なので どうしても英語が多くなります 今日は商品名で統一して 文献紹介はなしでざっくり勉強しましょう
  3. 3. 肺や気道、胸壁を圧迫・浸潤 易疲労感 食欲不振 体重減少 頭痛・嘔吐・麻痺 失語 疼痛・骨折 肝腫大・黄疸 癌が大きくなると… ⇒ 咳・発熱 血痰 呼吸困難 胸痛 癌が転移すると… 肺癌で受診するまで 無症状で… 検診 たまたま 症状がすでに出ている患者さんは 手術不能のことが多いです
  4. 4. 肺癌で入院するまで 4 転移検索 骨シンチ 頭部MRI 造影CT PET-CT 確定診断(病理検査) 気管支鏡 CTガイド下肺生検 喀痰細胞診 縦隔鏡 胸水穿刺 リンパ節生検
  5. 5. 病理組織分類 5 好発部位 特徴 割合 小細胞肺癌(SCLC) 進行が非常に速く、悪性度が 高い 放射線や抗癌剤に対する感 受性が高い 15~ 20% 非小細胞肺癌 (NSCLC) 扁平上皮癌 (Sq) 血痰等の症状が出現する割 合が高い 喫煙との関係が深い 25~ 30% 腺癌 (Adeno) 血痰などの症状が出にくい 50~ 60% 大細胞癌 (Large) ほかに分類できないもの 3~8% 小細胞肺癌は放置で数ヵ月,治療が効けば1~2年なので, とにかく早く診断・治療します
  6. 6. 癌の広がりは ・原発巣がどれくらい大きくなっているか(T因子) ・リンパ節転移がどこまで広がっているか(N因子) ・遠隔転移があるか(M因子) で IA期からIV期の7段階 に分類される 肺癌の病期分類 詳しい分類までは覚えなくていいですが,どこに 癌が広がって症状が出そうかは知っておいてほしい
  7. 7. 基礎知識 化学療法の位置付け 7 局所療法 手術 可能なら手術で根治的な治癒を目指す 放射線療法 手術できない限局した腫瘍,脳転移,骨転移,腫瘍 による気管狭窄,上大静脈症候群など 全身療法 化学療法 術後病期IB,II,IIIA期非小細胞肺癌(全身の微小な 転移を根絶し再発を予防する) 切除不能症例(生存期間の延長やQOLの改善が目 的) 免疫療法 免疫チェックポイント阻害薬 対症療法 緩和医療など
  8. 8. 化学療法を勧めるか? 8 日中の半分以上ベッド から離れて動けるか YES 勧めてよいNO 抗癌剤の効きやすい癌(小細 胞癌,EGFR mutation陽性, EML4-ALK陽性)か YES NO 勧められない 奏効率は通常の抗癌剤は10~50%、 小細胞癌、EGFR-TKI、ザーコリが60~80%程度です
  9. 9. 基礎知識 抗癌剤の種類 9 殺細胞薬 プラチナ製剤 シスプラチン カルボプラチン 骨髄抑制などの副作用が多 い 使ってみるまで効くかどう か分からない プラチナ製剤 以外 トポテシン,ナベルビン, エトポシド,アリムタ, TS-1,UFT,パクリタ キセル,ドセタキセル, カルセド 分子標的治療薬 イレッサ,タルセバ,ジ オトリフ,ザーコリ, アレセンサ,アバスチン 骨髄抑制などの副作用が少 ない 遺伝子解析により、効きや すいか予測できることも 味方も爆撃するミサイルのような殺細胞 薬と,標的を狙い撃つスナイパーのよう な分子標的治療薬
  10. 10. EGFR:上皮成長因子受容体 癌細胞 細胞膜 基礎知識 分子標的治療薬 ~イレッサ・タルセバ・ジオトリフ~ 10 EGFR-TKI EGFR-TKI 癌細胞の表面に発現したEGFR(上皮成長因子受容体)からの癌細胞が増殖す る信号を止める. EGFR遺伝子変異があるとEGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)が効 きやすく,特に東洋人・女性・腺癌・非喫煙者に遺伝子変異がある. この遺伝子がある肺癌は40%程度. 急性肺障害が5%に出現して,そのうちの半数は死亡する.皮疹,下痢,肝障 害が特徴. (画像は製薬会社資料より引用)
  11. 11. 基礎知識 分子標的治療薬 ~アバスチン~ 11 血管内皮増殖因子(VEGF)抗体で,腫瘍による新生血管を抑制し,癌 細胞への栄養供給を阻害し,血流を正常化して抗癌剤が届きやすくする. 副作用は出血,高血圧,消化管穿孔,血栓症など. 出血しやすい癌(扁平上皮癌など)には使えない. (画像は製薬会社資料より引用)
  12. 12. 12 基礎知識 分子標的治療薬 ~ザーコリ~ EML4とALKの癌性融合遺伝子が陽性であれば, ALK阻害薬 ザーコリが効きやすい. 有害事象は,間質性肺炎,肝障害,視力障害など. 5%程度の肺癌に効く,新しい抗癌剤です (画像は製薬会社資料より引用)
  13. 13. 13 基礎知識 免疫チェックポイント阻害薬 ~オプジーボ~ 抗PD-1モノクローナル抗体.癌細胞がPD-1により Tcellを抑制するのを阻害する. (画像は製薬会社資料より引用)
  14. 14. 14 オプジーボはTcellを活性化させるため,免疫異常による疾 患を起こすことがある.特に糖尿病や間質性肺炎など.
  15. 15. 基礎知識 抗癌剤治療の流れ 15 例1 非小細胞肺癌 3週毎に点滴のレジメの場合 例2 非小細胞肺癌 3週毎に点滴のレジメの場合 1サイクルは入院 増悪 4~6サイクル後は経 過観察または維持療法 1 22 43 64 抗癌剤変更? 免疫療法? BSC? 1 22 43 64 副作用 が強い 抗癌剤減量? 抗癌剤変更? 抗癌剤延期? 免疫療法? BSC? 奏功 初めの1サイクルは,副作用の確認のため入院です 1サイクルは入院
  16. 16. 基礎知識 抗癌剤治療の流れ 16 例3 非小細胞肺癌 イレッサ,タルセバ,ジオトリフの場合 例4 小細胞肺癌 3週毎に点滴のレジメの場合 2週間は入院 増悪 増悪するまで続ける 1 14 28 ・・・ 抗癌剤変更? 免疫療法? BSC? 奏功 EGFR-TKIは初めの1ヶ月(特に2週間)が最も重篤 な副作用が出やすいため入院です 奏功 1 22 43 ・・・ 2週間は入院 4サイクル後は経過観察
  17. 17. 化学療法のリスクマネジメント 17  リスクマネジメント 入院スタッフの看る抗癌剤は,初回の抗癌剤. 副作用が出現してから対応するのではなく,あらかじめ起こり うる副作用を予防・早期介入しよう.  セルフケア支援 患者さんのセルフケアにより,副作用を減らすことができる. セルフケアのために患者教育をしよう. 患者さんのセルフケアを支援しよう
  18. 18. 骨髄抑制のリスクマネジメント 18 症状と問題点 白血球減少による易感染 赤血球減少による貧血 血小板減少による出血傾向 発生機序 抗癌剤による骨髄の造血細胞の障害 起きやすい抗癌剤 ほとんど全ての抗癌剤(分子標的治療薬以外) 起きやすい時期 抗癌剤投与後1~2週めで白血球が減り,2~4週めで赤血球 が減り,2週めで血小板が減る 危険因子 多剤併用,繰り返す抗癌剤治療,高齢者,免疫不全,血液疾 患,放射線療法との併用 予防策 なし
  19. 19. 骨髄抑制への対策とセルフケア支援 19  白血球減少の治療 GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)を好中球5,000/μL以上になる まで連日皮下注.白血球は輸血で補えない.  白血球減少のケア 日常生活指導(手洗い,イソジンうがい,歯磨き,シャワー),感染 予防(病状に合わせた行動制限,個室管理),加熱食など  白血球減少のセルフケア支援 感染予防の必要性を理解してもらう. シャワー?浴びていいよ
  20. 20. 骨髄抑制への対策とセルフケア支援 20 発熱性好中球減少症 好中球数500/μl未満、あるいは好中球数が1000/μl未満で500/μl未満にな る可能性がある状況下で,腋窩温で37.5℃以上もしくは口腔内温で38℃以上の 発熱. 敗血症性ショックから死亡することがある重篤な病態. 敗血症対策としてマキシピームやメロペンなどの広域抗生剤,GCSF製剤.血培 2セット.感染予防として個室管理,うがい,手洗い,マスク,加熱食. ただ熱が出ただけじゃない重篤な病態 です
  21. 21. 骨髄抑制への対策とセルフケア支援 21  赤血球減少の治療 Hb 7 g/dl以下で濃厚赤血球2~4単位輸血.エリスロポエチン(赤 血球増多因子)は日本では適応外.  赤血球減少のケアとセルフケア支援 貧血症状(めまい、ふらつき、動悸)や転倒のリスクに気をつけても らう.貧血症状が出た時の報告.  血小板減少の治療 Plt 2 万/μL以下で血小板10単位輸血.血小板を増やす薬剤はない. 血小板減少時はGCSFは静注で.  血小板減少のケアとセルフケア支援 転倒・打撲など外傷に注意.筋肉注射は避ける.排便コントロール. 出血症状が出た時の報告.
  22. 22. 悪心・嘔吐のリスクマネジメント 22 症状と問題点 脱水、電解質異常や低栄養、QOLの低下 発生機序 急性(24時間以内),遅延性(24時間以降),予期性(24時 間前)はそれぞれ機序が違う 危険因子 悪心・嘔吐のリスクはレジメごとに違う 治療への不安.抗癌剤治療で悪心・嘔吐の経験. 予防策 急性にはセロトニン受容体拮抗薬(カイトリル,セロトーン). 遅延性にはNK1受容体拮抗薬(アプレピタント)やリンデロン, ジプレキサ. 予測性にはワイバックス これらの予防薬を,レジメのリスクに合わせて使う. 悪心・嘔吐は,出てから対処するよりも予防が大事です
  23. 23. 悪心・嘔吐のリスクマネジメント 23 アプレピタント セロトーン カイトリル 遅延性 急性 この辺りの薬はケモレジメに入っています 大脳皮質 予期性 ワイバックス ソラナックス 抗不安薬
  24. 24. レジメ別の悪心・嘔吐への対策 24 高リスク(シスプラチンレジメ) アプレピタントは最大5日まで. アプレピタント使用時はリンデロン を半量に. 中リスク(カルボプラチンレジメ, カルセド,トポテシン)
  25. 25. レジメ別の悪心・嘔吐への対策 25 低リスク(ドセタキセル,アリムタ, ジェムザール,ラステット,イリノ テカン) 最小リスク(ナベルビン,アバスチ ン) (制吐薬適正使用ガイドラインより引用)
  26. 26. 悪心・嘔吐への対策とセルフケア支援 26  悪心・嘔吐のケア 食べやすいもの,食べたいものを食べさせる. 悪心・嘔吐を誘発させる臭いなどを取り除く. 嘔吐した場合,吐物を速やかに片づけ,うがいなどをしてリラックス できるようにする. 不安を傾聴する.  悪心・嘔吐のセルフケア支援 不安が大きすぎる患者には,個人差があることや,時間がたてば改善 すること,制吐薬があることを説明する.嘔気は我慢しない.
  27. 27. 全身倦怠感のリスクマネジメント 27 症状と問題点 QOLの低下や精神的な苦痛 発生機序 不明 起きやすい抗癌剤 割と何でも 起きやすい時期 投与後数日 予防策 なし 治療 低酸素,不眠,貧血,感染症,疼痛,低栄養,電解質 異常,抑うつなど原因があれば治療する. 患者さんはしんどいけれど これといった治療法がないのがつらいところです
  28. 28. 下痢のリスクマネジメント 28 症状と問題点 排便習慣の変化,腹痛,脱水,電解質異常,肛門周囲の ただれ 発生機序 副交感神経の刺激,腸管粘膜障害 起きやすい抗癌剤 トポテシン(40%),TS-1,ドセタキセル,ラステット,イ レッサ(49%),タルセバ(72%),ジオトリフ(96%) 起きやすい時期 24時間以内に副交感神経の刺激による下痢. 数日から2週間で腸管粘膜障害による下痢. 危険因子 トポテシンは薬物代謝酵素UGT1A1の変異で重篤な副作用 が出る 予防策 トポテシンに対しては腸内のアルカリ化のため炭酸水素 ナトリウム , ウルソ, 排便のためマグミットを投与する. トポテシンによる下痢で死亡する例もあります
  29. 29. 下痢への対策とセルフケア支援 29  下痢の薬物療法 腸間運動抑制剤(ロペミンなど),整腸剤など.  下痢へのケア 腹部の保温,安静,水分摂取,温かくて吸収の良いものの食事, ウォシュレットなどの肛門周囲の清潔.  下痢へのセルフケア支援 回数や性状など排便の状況を観察してもらう.
  30. 30. 便秘のリスクマネジメント 30 症状と問題点 排便習慣の変化,痔核による出血,イレウスへの進行 発生機序 嘔気などによる食事摂取量の低下による便意の低下. ナベルビンは末梢神経障害で腸筋神経叢を傷害し便秘 になる. 起きやすい抗癌剤 ナベルビン,パクリタキセル 起きやすい時期 投与後数日~1週間 危険因子 経口摂取量の低下,モルヒネの使用,長期臥床,セロ トニン受容体拮抗薬(カイトリル,セロトーン)の使 用 たかが便秘,されど便秘.イレウス症状(間 歇的腹痛,悪心,便秘)に注意
  31. 31. 便秘への対策とセルフケア支援 31  便秘の薬物療法 硬い便にはマグミット,アミティーザ. 蠕動が弱い場合にはプルゼニド、ラキソベロン、テレミンソフト. 直腸への便の停滞には摘便,新レシカルボン座薬. 下行結腸以下の便の停滞にはグリセリン浣腸. ナベルビンによる便秘にはパントールやプリンペラン.  便秘へのケア 腹部の保温,安静,水分摂取,温かくて吸収の良いものの食事, ウォシュレットなどの肛門周囲の清潔.  便秘へのセルフケア支援 回数や性状,痔核による出血の有無など排便の状況を観察してもら う.排便を我慢しない.
  32. 32. 口内炎のリスクマネジメント 32 症状と問題点 経口摂取量の低下,疼痛,出血,感染症 発生機序 抗癌剤による直接の粘膜傷害や,骨髄抑制による易感 染など 起きやすい抗癌剤 パクリタキセル,ドセタキセル,ラステット 起きやすい時期 抗癌剤開始後2~14日後 危険因子 う歯,歯周病,低栄養,刺激物摂取,脱水,糖尿病, ステロイド,高齢者 予防手段がありません
  33. 33. 口内炎への対策とセルフケア支援 33  口内炎の薬物療法 イソジンガーグルは殺菌効果はあるが粘膜の傷の治りが悪くな ることがある 抗炎症作用・上皮形成促進作用のあるアズノール・ハチアズレ 疼痛がひどい場合はキシロカインビスカス  口内炎へのケア 感染リスクを下げるためのブラッシングとうがい.ブラッシン グが痛い場合は柔らかい歯ブラシやスポンジブラシを.舌苔の 除去.  口内炎へのセルフケア支援 刺激の強い食事を避け,とろみ、きざみ、水分の多い食事を とってもらう.ブラッシング・うがいの必要性を理解して実践 してもらう.
  34. 34. 脱毛のリスクマネジメント 34 症状と問題点 頭髪・眉毛・腋毛・陰毛の脱毛 発生機序 抗癌剤による毛母細胞の障害 起きやすい抗癌剤 ドセタキセル(60%),ラステット(40%),パクリタ キセル(70%),トポテシン(50%)、カルボプラチン (10%)、シスプラチン(4%),カルセド(70%) 起きやすい時期 抗癌剤治療開始から2~3週後から 危険因子 なし 予防策 なし 外観を気にされる方が多いです
  35. 35. 脱毛の対策とセルフケア支援 35 抜ける前の散髪、 抜け毛にコロコロ  脱毛の薬物療法 確立した予防法・治療法はない.  脱毛へのケア キャップの着用.ウィッグの用意.髪を短く切っておく.粘着 テープでの対処.頭皮を清潔に保つ(低刺激シャンプー)  脱毛へのセルフケア支援 新しい毛髪は抗癌剤終了後3~6カ月で生えてくることを説明.
  36. 36. 皮膚障害のリスクマネジメント 36 症状と問題点 発疹,乾皮症,色素沈着,爪周囲炎 起きやすい抗癌剤 イレッサ,タルセバ,ジオトリフ,ドセタキセル,パク リタキセル 起きやすい時期 投与後1~2週間 薬物治療 ステロイド外用剤,保湿剤.重症でステロイド全身投与 セルフケア 風呂でゴシゴシこすらない.石鹸は最小限に. EGFR-TKIは,皮疹が出る方が 効くという報告もあります
  37. 37. 末梢神経障害のリスクマネジメント 37 症状と問題点 しびれ感,灼熱感,手袋靴下型の感覚障害,自律神経 障害など.不可逆性のこともある. 発生機序 不明(抗癌剤が神経細胞や微小管を直接障害?) 起きやすい抗癌剤 パクリタキセル,アブラキサン,シスプラチン,カル ボプラチン,ドセタキセル、ナベルビンなど 起きやすい時期 シスプラチンは総投与量200mg/m2以上で起きやすい 危険因子 高容量の抗癌剤,糖尿病,アルコール多飲 予防策 なし これも命にはあまり関わりませんが QOLを下げる副作用です
  38. 38. 末梢神経障害の対策とセルフケア支援 38  末梢神経障害の薬物治療 有効な治療法はない.ビタミン薬や漢方薬(牛車腎気丸,芍薬甘草湯)を投 与するが効果は不確実.  末梢神経障害のケア 保湿,患部を温める,冷やす,マッサージ(かえって症状が強くなることも ある) きつい靴下や靴を避ける  末梢神経障害のセルフケア支援 火傷や転倒のリスクが上がり,創傷を作った場合、気がつかずに悪化するこ とがある.今まで行えていた動作が不自由になる. 末梢神経障害への理解が必要で,危険を回避するには本人のみならず家族も 協力が必要. 患部を温める,マッサージはかえって症状が強くな ることもあります
  39. 39. 過敏症/アナフィラキシーの リスクマネジメント 39 症状と問題点 皮疹,呼吸困難,発熱,血圧低下,アナフィラキシー 特に注意する抗癌剤 パクリタキセル(1%),ドセタキセル(0.3%),カルボプ ラチン,シスプラチン 起きやすい時期 パクリタキセルの過敏症は初回や2回目で、投与開始10分 以内が多い。カルボプラチンの過敏症は6回目以降に多く なり,投与開始数分以内が多い。 予防策 ステロイドと抗ヒスタミン薬を投与開始30分前に前投与 ケア パクリタキセル投与後1時間(特に最初の10分)はバイタ ルを十分観察する 薬物治療 別ルート確保,エピネフリン皮下注,抗ヒスタミン薬, ステロイド,挿管 セルフケア支援 顔がほてる、痒い,息苦しいなどの症状が出た際はすぐ に伝えてもらう 見落としたら死にます! 早期発見が救命のカギ
  40. 40. インフュージョンリアクションの リスクマネジメント 40 症状と問題点 症状は過敏症/アナフィラキシーと類似 発生機序 分子標的治療薬で通常のアレルギーとは異なる機序 起きうる抗癌剤 アバスチン(2%) 予防策 初回は90分かけて投与し,2回目以降は60分で,3回目以降 は30分で投与(投与回数を重ねると頻度が低下する) 薬物治療 別ルート確保,エピネフリン皮下注,抗ヒスタミン薬,ス テロイド,挿管 セルフケア支援 症状出現時はすぐに伝えてもらう アバスチンは何回目なのか確認しましょう
  41. 41. 血管外漏出のリスクマネジメント 41 症状と問題点 漏出後の発赤・腫脹,疼痛,潰瘍,壊死 起きうる抗癌剤 点滴の抗癌剤全て 特に危険な抗癌剤 ナベルビン,パクリタキセル,ドセタキセル,ラステット 危険因子 ・細い静脈 ・何回も抗癌剤投与している血管 ・輸液などで既に使っている静脈 ・関節運動の影響を受けやすい部位 ・24時間以内に注射した部位より遠位側 予防策 ・投与終了後は輸液でフラッシュ(原則終了後抜針) ・疼痛や腫脹時はすぐに投与中止 ・金属針はダメ ・手背や関節部などを避ける ・安全性が疑わしいルートは絶対に使わない ・ナベルビンでは輸液ポンプを使用しない どうしても当日採血する場合は 動脈血でとることもあります 病棟のルート確保は、Drで
  42. 42. 血管外漏出の対策とセルフケア支援 42  血管外漏出の治療 ① 点滴を止める ② 血液5 ml吸引して ルート抜去 ③ 皮下を27G針で吸引 ④ 1%キシロカイン5 mlとソルコーテフ100 mgを 漏出部位を囲むよう に皮下注 ⑤ 15分冷却圧迫(ナベルビン,ラステットは温める) ⑥ 翌日からはデルモベート軟膏塗布.  血管外漏出へのケア 疼痛・腫脹・発赤・滴下不良・逆血がないかどうか早期発見に努める.  血管外漏出へのセルフケア支援 症状がある場合はすぐに知らせるよう患者教育する 院内HPを見ておきましょう
  43. 43. 肺毒性のリスクマネジメント 43 症状と問題点 重篤な間質性肺炎,過敏性肺臓炎,肺水腫を起こし致 命的なことがある. 起きやすい抗癌剤 イレッサ(5%に肺障害が出て,2%が死亡),タルセバ, ジオトリフ(3%),ジェムザール(1%) 起きやすい時期 イレッサ開始後4週間(特に2週間) 危険因子 放射線治療併用,間質性肺炎の既往 予防策 EGFR-TKIは1カ月は入院に準じて経過観察する ケア 酸素化の増悪,ラ音に注意する セルフケア支援 乾いた咳,息切れ,呼吸困難などが出たらすぐに伝え てもらう 5%ってのは結構多い数字です 裁判にもなりました
  44. 44. 出血のリスクマネジメント 44 症状と問題点 鼻出血,痔出血,喀血など 発生機序 血管新生調節因子であるVEGF(血管内皮増殖因子)の活性 を阻害する 起きやすい抗癌剤 アバスチン(17%) 危険因子・予防策 脳転移,肺出血,血栓症,消化管穿孔,高血圧.腫瘍内空 洞化や大血管への浸潤では使わない セルフケア支援 10分程度で血が止まらない場合,口から血が出た場合は連 絡してもらう アバスチンに血小板減少が重複すると注意. 出血症状は必ずチェックしましょう
  45. 45. 腎障害のリスクマネジメント 45 症状と問題点 急性腎不全により体重増加,心不全,浮腫など 特に注意する抗癌剤 シスプラチン 起きやすい時期 投与後1~2週 発生機序 尿細管の変性・壊死 予防策 腎障害予防のために3L/dayの尿量が必要. 大量輸液と,心不全を避けるためにラシックスやマンニ トールを併用する. ケア In-Outバランスの測定,体重測定,浮腫の確認 薬物治療 対症療法のみ セルフケア支援 体重測定,飲水・尿量測定の必要性を理解してもらう
  46. 46. 肝障害のリスクマネジメント 46 症状と問題点 無症状が多い 特に注意する抗癌剤 アリムタ,トポテシン,イレッサ,タルセバ、ジオトリ フなど 起きやすい時期 投与後4週以内 予防策 アリムタでは副作用予防のため葉酸とVitB12を投与する. 抗癌剤治療前に,B型肝炎を確認する 治療・ケア 強力ネオミノファーゲンC,ステロイドなど. B型肝炎の再発に注意する 通常,問題となるほどの肝障害は稀. セルフケア支援 黄疸,消化管出血,肝性脳症に気をつけてもらう
  47. 47. 視力障害のリスクマネジメント 47 症状と問題点 目のかすみ、見えにくさ 本人にしか分からない 特に注意する抗癌剤 アブラキサン(稀),ザーコリ(40%) 起きやすい時期 投与2週以後 予防策 なし 回復率は25~70% 薬物治療 薬剤の減量・中止 ザーコリは軽度の視力障害が 出やすく要注意です
  48. 48. 医者が言ってるコト 48 あと10分で終わります
  49. 49. 49 PS2かな,PS3かな・・・? Performance Status (PS) と 肺癌Stage4 初回治療の目安 NSCLC 遺伝子変 異あり NSCLC 遺伝子変 異なし SCLC 0 無症状で社会活動ができ,制限を受けることなく,発 病前と同等にふるまえる. ケモ 分子標的 治療薬 ケモ ケモ 1 軽度の症状があり,肉体労働は制限を受けるが,歩行, 軽労働や座業はできる 2 歩行や身の回りのことはできるが,時に少し介助がい ることもある.軽労働はできないが,日中の50%以上 は起居している 3 身の回りのある程度のことはできるが,しばしば介助 がいり,日中の50%以上は就床している. 分子標的 治療薬 BSC 4 身の回りのこともできず,常に介助がいり,終日就床 している BSC
  50. 50. 50 CBDCA+PEM+Bev day 12 略名 一般名 商品名(日赤採用) AMR アムルビシン カルセド Bev ベバチニブ アバスチン CBDCA カルボプラチン カルボプラチン CDDP シスプラチン シスプラチン CPT-11 イリノテカン トポテシン DTX,DOC ドセタキセル ドセタキセル GEM ゲムシタビン ジェムザール nabPTX パクリタキセル(アルブミン懸濁型) アブラキサン PEM ペメトレキセド アリムタ PTX パクリタキセル パクリタキセル TS-1 テガフール・ギメラシル・オテラシル ティーエスワン UFT テガフール・ウラシル ユーエフティ VNR ビノレルビン ナベルビン VP-16 エトポシド ラステット
  51. 51. 51 発現時期 主な副作用 投与日 ・アレルギー反応 ・アナフィラキシー ・血圧低下 ・頻脈 ・不整脈 ・めまい ・発熱 ・血管痛 ・耳下腺痛 ・吐き気、嘔吐 (急性) 2~3日 ・全身倦怠感 ・食欲不振 ・吐き気、嘔吐(遅延性) 7~14日 ・口内炎 ・下痢 ・食欲不振 ・胃部重感 ・血液毒性(白血球減少、好中球減少、血小板減少、赤血球減少) 14~28日 ・臓器障害(骨髄、内分泌腺、生殖器、心臓、肝臓、腎臓、膵臓) ・膀胱 炎 ・脱毛 ・皮膚の角化、肥厚 ・色素沈着 ・神経障害(手足のしびれ など) ・免疫不全 2~6ヵ月 ・肺線維症 ・うっ血性心不全 そろそろ副作用が出るころかな、と予測しながら診ています
  52. 52. 52 嘔気(G2),WBC(G3),Plt(G1) Grade1 Grade2 Grade3 Grade4 白血球 <LLN-3000 /mm3 <3000-2000 /mm3 <2000-1000 /mm3 <1000 /mm3 好中球/顆粒球 <LLN-1500 /mm3 <1500-1000 /mm3 <1000-500 /mm3 <500 /mm3 ヘモグロビン <LLN-10.0 g/dL <10.0-8.0 g/dL <8.0-6.5 g/dL <6.5 g/dL 血小板 <LLN-75,000 /mm3 <75,000-50,000 /mm3 <50,000-25,000 /mm3 <25,000 /mm3 LLN:正常下限 有害事象共通用語規準 v4.0日本語訳JCOG版 おおよその目安は,G3注意,G4危険,G5死亡 G3~4が出たら次回から減量します
  53. 53. 緊急処置が必要な,Oncological emergency 小細胞肺癌ケモ後に尿が出なくなった 脊椎に転移がある人の両足の動きが悪くなった 急に顔面や上肢がむくんできた 53 多量喀血や低酸素,痙攣は見落とす人はいないと思いますが 高Ca血症,低Na血症,気道狭窄,頭蓋内圧亢進,癌性髄膜炎 などが原因で緊急処置が必要です 腫瘍融解症候群による急性腎不全を疑う 重症なら透析 脊髄転移や病的骨折を疑う 24時間以内に放射線・ステロイド 上大静脈症候群を疑う 放射線・化学療法,ステント これは急いで治療!!
  54. 54. 体表面積1.3m2だからアリムタは650mg/回だな. 太った人だったけどこれでいいかな? 身長129.3cm, 体重129.3kgの猫はフィクションです  抗癌剤投与量の決め方 AUCをもとにした投与量決定(カルボプラチンなど) 投与量(mg) = 目標AUC×(GFR + 25) GFR= (140 - 年齢)×実測体重/72/Cre (女性は×0.85) 体表面積をもとにした投与量決定(ナベルビン,アリムタなど) 体表面積=体重 0.425 × 身長 0.725 × 0.007184 何か数字が違うときは,身長や体重の入力間違いであることが多い
  55. 55. 55 投与時間の注意 ナベルビン 短時間投与の方が静脈炎が少ない ジェムザール 短時間投与の方が骨髄抑制が少ない エトポシド 血圧低下や不整脈を防ぐために30分以上かけて点滴 ドセタキセル アレルギーを予防するため1時間以上かける アバスチン インフュージョンリアクションの発見のため初回は90分かけて投与し, 2回目以降は60分で,3回目以降は30分で投与 投与順の注意 シスプラチンとパクリタキセルでは、シスプラチンを先に投与すると副作用が強くなる これは全開で落とそう こっちは必ずゆっくりと 早く落とした方がいいものと, ゆっくり落とした方がいいものがあります 短 時 間 で ゆ っ く り と
  56. 56. 「薬剤部門」で、 「手袋、マスク、ガウン、ゴーグル、キャップを着けて防護」し、 「安全キャビネット」で調整する. 抗癌剤の曝露により、皮膚炎、結膜炎、頭痛、めまい、嘔気、気道炎症な どの急性毒性症状を起こす危険がある. 抗癌剤曝露予防曝露されるよ?
  57. 57. 抗癌剤曝露予防 曝露を防ぐためのポイント  抗癌剤が付着している恐れのあるもの(空アンプルやバイアルを含む)は、 エアロゾルを防ぐためにビニル袋に入れて、防水性・非貫通性の感染性医療廃 棄物容器に捨てる.  ルート接続時は,目の高さより下で作業をする  抗癌剤を取り扱うときは必ず手袋をする 曝露されたら…?  体に付いたらとにかく洗う  こぼしたら,マスク,ガウン,手袋,ゴーグルを付けて次亜塩素酸ナトリウ ムやチオ硫酸ナトリウムで拭く

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