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過疎地域における創造農村創出プロセス:秋田県五城目町の取組*
須藤 順**
1. 問題意識
 日本創生会議・人口減少問題検討分科会 (増田寛也座長)
が2014年5月8日に提出した「ストップ少子化・地方元気戦略」
(通称、増田レポート) が衝撃を与えている。増田レポートで
は、全国1799市区町村1のうち、約半数となる896市町村 (全
体の49.8%) が、2040年までに若年女性人口 (20~39歳) が5
割以上減少する「消滅可能性都市」とされ、523市町村 (全体
の29.1%) は、人口が1万人未満となることが予想されている2。
これを受け、政府は、2014年9月5日、「まち・ひと・しごと創
生本部」を設立し、2014年11月21日、「まち・ひと・しごと創
生法案」及び「地域再生法の一部を改正する法律案」の地方
創生関連2法案を可決、成立させるなど、政策支援の検討を
進めている。
 地域活性化対策としてはこれまで、企業誘致を軸とした雇
用創出や地域経済の活性化に向けた取り組みが実施されて
きた。また、各地の成功事例の紹介や、地域おこしのスペシャ
リストを地域へ派遣し、助言・支援を行う「地域活性化伝道師」
派遣制度 (内閣官房地域活性化統合事務局) 、地域力創造ア
ドバイザー (総務省) の派遣などが進められてきた。しかしな
がら、そうした取り組みが十分な成果につながっているのか
といえば疑問符が浮かぶ面があるのに加え、従来ほどそうし
た取り組みの成果を期待できなくなっているという事実もある。
 こうした中、独自の取組により成果を上げる事例も報告さ
れている。それらに共通する視点は、「人」という資源への集
中的投資と、その人と地域が協働して試行錯誤を繰り返し、
徐々に着実な成果へと展開させている点にある。
 本稿では、創造都市論や創造農村の議論を辿りながら、秋
田県五城目町の事例を基に、創造的人材と地域の協働による
創造農村創出のプロセスと条件について検討する。
2. 先行研究と本稿における視点
2.1. 創造都市論の展開
 都市政策の目標として、「創造都市」という概念が注目を集
めている。その源流とされるのが、Jane Jacobsによる議論
である。彼女は、都市が活力を持ち、安全に暮らしやすくなる
には、多様性が必要だとし、都市の多様性は、イノベーション
の苗床、つまり、インキュベーション機能を発揮するとして、「都
市的多様性の生成条件 (The conditions for city diversity)
」、具体的には、1) 用途の混合、2) 小規模街区、3) 古い建物、4)
人口密度、の4条件を示した (Jacobs, 1961)。重要となるのは、
この4条件がすべて欠けることなく満たされる必要があるとい
う点にある。Jacobs (1984) は、都市を基本単位として経済を
捉え、都市の発展におけるイノベーションの重要性を指摘し、
特に、「輸入置換 (import-replacing) 」をその中核に据えた。
輸入置換とは、他地域から輸入していた財を自力で生産する
財に置換することを指し、輸入置換が次から次へと起こること
で都市は発展すると認識される。そして、輸入置換が起こるには、
「臨機応変の改良(improvisation)」(Jacobs, 1984訳書, p.66) 、
すなわち、創造性が必要であると主張する。
 Jacobs の議論に影響を受けつつ、近年の創造都市論
を支えるのが、Charles LandryとRichard Floridaである。
Landry (2000) は、芸術や文化が持つ力を積極的に取り入れ
る都市を「創造都市」と位置付け、都市問題の解決のために
「創造的な環境 (creative milieu) 」をいかにして作り、運営
し、持続的に取組を進めていくのかという観点から議論を展
開する。産業の空洞化や失業の増大、福祉国家の危機、都市
環境の悪化など、浮き彫りになる社会問題を、政府の財政支
援に依存することなく、自ら解決を進める新たな都市のあり
The Creation Process of Creative Village in Depopulated Areas: Case of Gojome, Akita Prefecture
高知大学教育研究部総合科学系地域協働教育学部門
2013年3月時点、福島県を除く、政令指定都市のうち12市は行政区ごと。
増田レポートでは、若年女性 (20~39歳) の人口に注目している。子どもを出産する中心世代である若年女性の数そのものが減少すれば、たとえ出生率
が向上しても出生数は減少するため、人口減少自体には歯止めがかからないことから、人口の「再生産力」を表す指標として「若年女性人口」を取り上
げた。
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方をどのように見出すか、という問題意識が背景にあった。そ
こで着目したのが、芸術文化の持つ創造性である。芸術文化
の持つ創造性が、社会に眠っている潜在的な力を引き出すこ
とによって、創造的問題解決が図られ、新たな産業創造につ
ながる可能性を展望したのである。
 一方、Florida (2002, 2005, 2008) は、「創造階級 (creative
class、以下、CC) 」をこれからの経済の担い手と位置付け、彼
らが特定の地域に集積することで、相互作用が生まれ、新し
いアイデアが創出され、都市の生産性が増加すると指摘し、
CCが好み、集積する地域こそが創造性に富んだ成長地域で
あると規定した。CCは、「意義のある新しい形態を作り出す」
(Florida, 2002) 仕事に従事し、クリエイティビティを通じて経
済的価値を生み出す者とされ、1) 個人志向、2) 実力主義、3)
多様性と開放性、の3つの価値観を持つ。
 また、CCは階層構造で理解され、「スーパー・クリエイティ
ブ・コア」と「クリエイティブ・プロフェッショナル」からなり、前
者は、1) コンピュータおよび数学に関連する職業、2) 建築お
よびエンジニアリングに関連する職業、3) 生命科学、物理学、
社会科学に関連する職業、4) 教育、訓練、図書館に関連する
職業、5) 芸術、デザイン、エンタテイメント、スポーツ、メディ
アに関連する職業、が分類され、後者は、1) マネジメントに
関連する職業、2) 業務サービスおよび金融サービスに関連す
る職業、3) 法律に関連する職業、4) 医療に関連する職業、5)
高額品のセールスおよび営業管理に関連する職業、が分類さ
れる。
 そして、成長している都市の要件として、イノベーションや
ハイテク産業の集中度を示す「技術 (technology) 」、クリエ
イティブな仕事に従事する人口の比率である「才能 (talent) 」、
文化の多様性や開放性を示す「寛容性 (tolerance) 」の3つ
のTの重要性を提示し、CCを集積させるにはその全てが揃っ
ている必要があるとして、創造性を発揮できる社会的文化的
環境の重要性を指摘した (Florida, 2002) 。特に、寛容性を
重視する点が特徴と言え、Florida (2002) は、ゲイ指数 (ゲイ
人口の割合) 、ボヘミアン指数 (芸術職業人口の割合) 、メル
ティングポッド指数 (外国出身住民の集中度) 、人種統合指数
(地域内で多様な人種が一体化して暮らしているかを示す指
数) からなる「寛容性指数」によって地域の多様性・寛容性を
評価する。その結果、CCが好む地域、すなわち、経済発展は
企業によってではなく、寛容で、多様性があり、クリエイティ
ビティに対して開放的な地域において起きていると結論付け
た (Florida, 2002) 。
 Floridaの議論は、我々に重要な示唆を与える。それは、都
市や地域の活性化における人的資源、とりわけ、CCの存在の
重要性であり、CCの集積により地域は成長を遂げ、生産性を
向上させるという仮説を成り立たせる。したがって、企業や工
場誘致というこれまで地域産業、地域活性化に対して取られ
てきた処方箋に対する内省を要求することになる。
 都市創造論は、佐々木 (1997, 2001) によるイタリア・ボロー
ニャや金沢における丹念な研究を中心に、我が国でも展開を
見せている。佐々木は、「創造都市とは市民の創造活動の自
由な発揮に基づいて、文化と産業における創造性に富み、同
時に、脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備
え、グローバルな環境問題や、あるいはローカルな地域社会
の課題に対して、創造的問題解決を行えるような『創造の場』
に富んだ都市」(佐々木, 2007, p.42) と定義した。そして佐々
木 (2001) は、地域経済の活性化において、企業誘致ではなく、
アートやデザインといった芸術文化の役割を重視し、地域に
固有の資源を活用することで他の地域との差別化を図れるよ
うな創造性のある産業を育てる必要性を指摘しており、各地
の具体的政策へ影響を与えている3。
 以上、創造都市論では、経済成長が鈍化するなかで発生す
る諸問題をいかに乗り越え、持続可能な発展を図っていくの
か、という基本的な問題意識に立ち、芸術文化の持つ創造性
を活かし、地域資源を地域産業に結びつけ、自律的な課題解
決能力のある都市を創造するための環境整備を主要な論点
としてきた。
2.2. 創造農村への拡張
 創造都市論の主要な対象は、一定規模の人口を有する都
市になる。この点に関しては、創造都市論が明快に説明して
いないことで、その考え方を適用することが適切なのかどう
かについて政策立案者等の判断を困難にしてしまうとの指摘
もあり、地域の空間的スケールの立場からの具体的考察の必
要性が指摘されている(長田, 2010) 。
 1966年に経済審議会の地域部会中間報告で初めて「過疎」
という言葉が使われて以降、1970年4月に過疎地域対策緊急
措置法が成立し、2014年4月に施行された過疎地域自立促
進特別措置法の一部を改正する法律では、797市町村 (全市
町村の46%に該当) が過疎地域として示され、過疎やそれに
たとえば、金沢市が2001年に開始した「金沢創造都市会議」や、横浜市で2004年から取り組まれる「クリエイティヴ・シティヨコハマ」があげられる。3
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総務省ホームページより(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html、2015年1月7日参照)。4
伴う地域の生産性の低下、産業の衰退が長年、問題として認
識されてきた。地方の活性化は我が国全体の発展という観点
からも関心が高まっており、都市と農村の関係、農山村の再
生について政府や自治体を中心に様々な取り組みがなされて
きたが成果に結実した地域はそれほど多いとは言えない。
 では、これからの地方、農村の活性化はどのような道筋を
たどればよいのだろうか。そうした中、今から30年以上前に
提示された宮本憲一による論考では、地域自治時代の地域
開発は、「内発的発展」(宮本,1982,p.243) であるとし、特徴
を、1) 外来的開発と違い、外部の企業とくに大企業に依存せ
ず、住民自らの創意工夫と努力によって産業を振興している
こと、2) 地域内需給に重点をおいて、全国市場や海外市場の
開拓を最初から目ざさないこと、3) 個人の営業改善からはじ
まって、全体の地域産業の改善へすすみ、できるだけ地域内
産業連関を生み出すようにしていること、とした (宮本, 1982,
pp.243-245) 。また、宮本(1989)では、1) 住民の参加と自治、2)
目的の総合性、3) 特定業種に限定せず複雑な産業構造、地
域内産業連関、の3原則を提示しており、今なお、重要な示唆
を与えている。
 この内発的発展論を源流に置きながら、創造都市論を拡張
した「創造農村」と呼ばれる興味深い論考が展開されつつある。
創造農村とは、「住民の自治と創意に基づいて、豊かな自然
生態系を保全する中で固有の文化を育み、新たな芸術・科学・
技術を導入し、職人的ものづくりと農林業の結合による自律
的循環的な地域経済を備え、グローバルな環境問題や、ある
いはローカルな地域社会の課題に対して、創造的問題解決を
行えるような『創造の場』に富んだ農村である」(佐々木・川井
田・荻原編,2014,p.21) 。ここでは、文化芸術の持つ創造性を
地域振興や地場産業の振興に活用し、地域社会の抱える社会
的課題の解決を主体的、能動的に図る、生き生きとした農村
の姿が提示されている。佐々木・川井田・荻原編 (2014) は、創
造都市との対比の中で、創造農村の固有の条件として、1) 村
落共同体やコミュニティの自治と創意を重視する、2) 豊かな
自然と生態系を保全する中で固有の文化を育むこと、3) 都市
と連携した芸術・科学・技術の導入と職人的ものづくりの重視、
4) 自律的循環的な地域経済を備えている点、を挙げる (佐々
木・川井田・荻原編, 2014, pp.21-22) 。
 創造農村の議論では、創造的人材を都市との交流の中で
いかにして定住させていくのかが議論の的となる。これに対
して政府は、これまで、積極的な支援を進めてきた。たとえば、
「地域おこし協力隊」では、2013年度で、318自治体へ978人
が移り住み4、地域協力活動に従事し、地域住民との協働を通
じて様々な成果を生み始めている。また、総務省 (2012) は、
定住自立圏構想の推進に向けて、「創造的人材」の定住・交流
により地域力の向上が図られている代表的な10事例と、創造
産業領域で先進的な取り組みを行う40事例を調査し、地方に
おける創造的人材の定住・交流の条件を提示した。ここでは、
創造的人材を惹きつける要素として、1) 人的資源 (キーパー
ソンの存在、文化芸術を支える住民層、地域への愛着心・誇り)、
2) 地域独自の資源 (自然環境、文化資源) 、3)コミュニケーショ
ンの場 (コミュニティ・交流の場、街のにぎわい、宿泊・レスト
ラン) 、4) 創造的活動の支援環境 (大学の取組、企業の取組、
行政の取組) 、5) 利便性・安心感 (交通・通信の利便性、安心・
安全) の5つが示されている(総務省,2012, pp.6-10) 。
 創造的人材の誘致によって成果を生み出している代表的事
例としてしばしば取り上げられるのが、島根県隠岐郡海士町
と徳島県神山町である。海士町は、2004年3月に策定された
「海士町自立促進プラン」を契機に、人口施策と産業振興へ
の投資を積極化させ、商品開発研修生 (月15万円支給) を受
け入れ、地域資源を生かした商品開発 (「島じゃ常識! さざえ
カレー」など) やブランド化 (隠岐海士のいわがき「春香」や「隠
岐牛」、「海士乃塩」など) 、販路開拓を進め、雇用創出へとつ
なげている。また、生徒数が減少し廃校のリスクを抱えてい
た隠岐島前高校を活性化するために「島前高校魅力化プロジェ
クト」に取り組み、県外からの就学を可能とする「島留学」、首
都圏や関西地域の大学生と高校生の交流を図る「AMAワゴ
ンプロジェクト」に取り組んできた。こうした取り組みは地域
外の若者の関心を呼び、2004~2012年の9年間で、Iターン
361人、Uターン204人、定着率は約6割と、地方創生のロー
ルモデルとして知られている。
 神山町では、1999年から「神山アーティスト・イン・レジデン
ス」に取り組んできた。そうした活動での試行錯誤を経て、将
来、町に必要となる起業家や働き手を誘致する「ワーク・イン・
レジデンス」が取り組まれていった。特徴的なのは、誘致する
移住者を「逆指名」する点にある。2008年4月、町から神山町
移住交流支援センターの運営を任されたNPO法人グリーン
バレー (前身の神山町国際交流協会が2004年に法人化) に
は、移住希望者の情報が集約されるようになり、「人がコンテ
ンツ」と考え、町に創造性をもたらす人を優先的に誘致してき
た。その結果、2010年度から2013年度で、58世帯105名が
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移住 (平均年齢30歳前後)し、2014年8月現在でIT企業やデ
ザイン会社など11社 (うち2社は新会社) がサテライトオフィ
スを町内に開設し、30名の新規雇用が生まれている5。
 このように、創造的人材が移住し、芸術や科学、ITといった
創造性を内在するスキルやノウハウを生かし、地域の食資源
や文化、自然に対し、これまでとは異なる角度からその価値
を再定義することで、価値創造につながり始めている。
2.3. 本研究における視点
 これらの議論は、対象エリアや目指すべき目的が異なるも
のの、芸術文化の持つ創造性を、地域や産業が抱える課題解
決の媒介として位置付ける点では共通している。また、主体と
しての人的資源、つまり、創造的人材の集積と交流によって
生まれる協働が、新たな価値創造につながるという点が重視
される。創造農村の観点では、都市との交流により、創造的
人材を定住させる取り組みが重要であるとの基本的な合意が
ある。
 しかしながら、その議論やそれに基づいた実践にはいくつ
かの点で未だ明らかになっていない点もあり、表面的な理解
のまま政策形成を行うケースも見受けられる。第一に、創造
的人材を地域に呼び込むことが目的化してはいないかという
点である。この点について、長田 (2010) は、本来の議論では、
創造的人材が活躍できる地域の環境整備の必要性や、そこで
どのようにそうした人材を活用していくかという点が重視され
るべきであるのにもかかわらず、実際にはいかにして創造的
な人材を地域に集めるかという議論に焦点がすり替えられる
可能性を指摘する。
 農山村の活性化は、外部からの人材だけで実現できるわけ
ではない。地域の受け入れ体制や活動環境の整備、創造的
人材と地域住民との協働を通じた地域住民の創造性の獲得、
複数の創造的人材による協働をどのように促していくのかが
重要となる。また、誰がそのマネジメントを担うのか、創造的
人材はどのような役割を果たすことで創造農村の構築を可能
とするのかについても議論を深める必要がある。
 第二に、価値創造活動を支えるコミュニティ構築の視点の
欠如である。図司 (2014) は、外部から地域サポート人材とし
て地域に入る若者の動機として、「居場所探し志向」と「仕事
おこし志向」があり、地域サポート活動は、「価値創造活動」、「コ
ミュニティ支援活動」、「生活支援活動」に分けられるとしている。
「まち・ひと・しごと創生に関する有識者懇談会」でのNPO法人グリーンバレー理事長大南信也氏の資料より。5
創造都市論や創造農村の議論では、「価値創造活動」へより
強い関心が向けられる。しかし、地域での活動には、コミュニ
ティ支援活動や生活支援活動といった価値創造活動を支える
取り組みの積み上げ方とバランスが求められる (図司, 2014,
pp.41-42) 。
 創造農村では、地域コミュニティとの関係構築のプロセス
の中で、地域に埋め込まれている様々な資源を探し出し、そ
こに創造的人材が保有する知識や技術、スキル、ネットワー
クを有機的に結びつけることで新たな価値創造、課題解決
を図っていく。そのため、地域コミュニティがこれまで取り組
んできた活動や、培ってきた歴史文化、技術、地域住民が抱
く想いや願いを受け止めながら活動を進めることが大切とな
ることから、地域との厚い信頼関係、すなわち、「ソーシャル・
キャピタル」(Putnam, 1993, p.167) が重要となる。しかし、
Florida (2002, 2005) では、Putnamが強調する結びつきの
強い関係は、排他性を内在するため、CCはそうしたコミュニ
ティを欲していないとし、むしろ、結びつきの弱いコミュニティ
の重要性を指摘する。この点については、福島・立花 (2014)
が日本国内の各都市をFloridaの用いた指標を使って比較分
析し、我が国では、必ずしもソーシャル・キャピタル指数が高
い地域において、CCの集積の値が低いとは言えないとの調
査結果を提示しているが、農村においてはより地域の強いつ
ながりが重要となることが予想できる。したがって、創造農村
の構築に向けては、地域のソーシャル・キャピタルを高めるた
めの諸活動と、創造的人材がコミュニティの中にスムーズに
溶け込み、信頼関係を構築していくための地道な活動が基礎
となるとの仮説が設定できる。
 第三に、創造農村創出に向けた動態的な視点の不足である。
創造農村の源流とされる内発的発展論については、次のよう
な指摘がある。それは、内発的発展論は静態的な面があり、
成功した少数の典型事例から一般理論を導いており、現実の
地域開発の結果について事後的に評価するのには有効だが、
いかにして内発的発展を創出していくのかという動態的な視
点を発展させる余地があるというものである (中村, 2000) 。
この指摘は、創造農村の議論にも当てはまり、創造性のある
動態的な農村を目指しながらも、いかにして創造農村を創り
出していくのかという点については具体的に明らかにできて
いない。
 そこで以下では、秋田県五城目町で展開される廃校を活用
したローカルベンチャー育成の取組を紹介しながら、創造農
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村創出のプロセス、特にその初期段階における条件について
仮設探索的に考察を進める。本研究を通じて、農山村におけ
る創造農村構築に向けた実践的な視点を提供することが本
稿の目的である。
3. 事例:秋田県五城目町地域活性化支援
  センター
3.1. 秋田県五城目町の概要
 五城目町 (面積214.94㎢) は、秋田県中央部、干拓地として
知られる大潟村の東方に位置し、県庁所在地の秋田市から車
で約40分の距離にある(図1)。古くから県北部と中央部をつ
なぐ交通の要所として栄え、500年の歴史を誇る五城目朝市
では、農産物や山菜、農機具から生活用品までが露店に並び、
今でも町民の生活を支え、賑わいを見せる。また、町の中央
部には馬場目川が流れ、その源流にそびえる馬場目岳周辺は
太平山県立自然公園に指定され、豊かな自然環境に育まれ
た肥沃な土地を活かした農林業を中心に生活が営まれてきた。
 人口は、1960年の20,025人をピークに減少過程に入り、
2014年10月末現在で10,246人、老年人口割合は41.3% (2014
年10月1日現在、県内3位) と全国平均を大きく上回る。今
後、秋田県で最も人口が減少する地域の一つとされ、国立社
会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』(平成
25年3月推計) によれば、2040年の五城目町の人口は、4,991
人と、約半減し、老年人口割合は、51.0%になると推計される。
また、『秋田県市町村民経済計算年報』(平成23年度)によれ
ば、2011年度(平成23年度)の町内総生産は、25,234百万円
(秋田県全体の0.7%を占める) 、町民所得は、20,203百万円、
一人当たりでは1,950千円と、県平均の2,319千円の84.1%に
とどまっている。
 こうした状況の中、2011年に町が行った町民アンケート
において住民の強い要望として挙げられたのが地域内にお
ける雇用機会の拡充と創出であった。そこで、企業誘致と起
業促進を通じて地域に雇用の場を作り、人口減少に歯止め
をかけようと策定された『五城目町総合発展計画』(2012年
9月) では、2012年度から2016年度まで、企業立地対策を
重点プロジェクトに設定し、企業誘致係が新設されることに
なった。ここで想定されていた道筋は、企業誘致や起業によ
り雇用の場が生まれ、労働人口と定住人口の増加を目指し、
税収の維持・増収につなげ、地域住民の生活を守ろう、とい
うものであった。
3.2. 五城目町地域活性化支援センターの立ち上げによる
   機運の醸成
 企業誘致に本格的に乗り出した五城目町ではあったが、20
年以上前にジーンズメーカーのEDWINが自社工場を立地し
て以来、町には企業の進出はなかったため、ノウハウはもち
ろん、何から手を付けていいのか誰もわからない状態であっ
たという。そこで、首都圏の企業への訪問を重ねたものの、
反応は厳しいものであった。併せて、2012年5月、企業誘致
の可能性について専門機関に調査を依頼した結果、1) 働け
る人の不足、2) 利用できる土地の不足、3) 地理的有利性の欠
如、などの要因により大企業や工場誘致は厳しいことが指摘
され、暗礁に乗り上げていく。五城目町まちづくり課企業誘致
係係長の柴田浩之氏は、こうした状況を受け、「首都圏近郊の
自治体と同じことをしても企業誘致は成功しない」、加えて、「県
内の他市町村と同じことをしても難しい」と考え、町独自の取
組を模索していった。
 そんな折、2013年3月に五城目町馬場目地区にある馬場
目小学校が閉校されることになり、2012年6月から役場内に
利活用検討委員会が設置され、活用策が検討されるようにな
る。活用策を模索する中、柴田氏は2012年6月29日、アキタ
ITコンテンツネットワークの設立総会に参加した。その交流
会で、出席していた株式会社CCL取締役の原亮氏から、IT技
術者向けの勉強会ができる場所がないかと相談を受け、廃校
▶図1 五城目町の位置(出所:五城目町町政要覧より)
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となる場所が使えるかもしれないと伝えた。翌月、町を訪れ
た原氏らは6、建物や周辺環境が素晴らしいことから、ITイベ
ントだけではなく、地域づくりの拠点としても活用できるので
はないかと意見交換を行った。同時期、町は東京都千代田区
にあるインキュベーション施設、「ちよだプラットフォームスク
ウェア」にサテライトオフィスを開設していたこともあり、柴田
氏の中では、インキュベーション施設としての活用のイメージ
が生まれ、レンタルオフィスとして改修し、町内外から起業家
やベンチャー企業に使ってもらうことで地域の雇用創出を図
れないかと検討を進めることになる。そして、2012年12月5
日に開催された利活用検討委員会でまちづくり課から、レン
タルオフィス機能とコミュニティ活動の支援も同時に行える場
として活用する方針が提示され、2013年10月28日、「五城目
町地域活性化支援センター (以下、センター) 」が開設された
(写真1) 。
 センターは、11室のオフィス (月額20,000円)と事業支援棟
1棟 (月額30,000円) の他、体育館や食堂 (ふれあい交流室)、図
書室 (地域交流室) は地域住民や地域活動を行う団体などが
イベントやワークショップで使用できるように整備された。対
象となる使用者は、1) 起業等により地域における新たな事業
等を創出する方、2) 地域産業及びコミュニティ活動の振興に
寄与することが期待できる事業を行う方、と規定され、単なる
レンタルオフィスではなく、入居者が雇用創出や事業創出、コ
ミュニティ活動へ積極的に関わり、地域と一緒に事業や活動
を進めていくことが意識されている。
 入居に際しては、県内で活躍する起業家や金融機関、学識
経験者などにより構成される「五城目町地域活性化支援セン
ター起業等支援施設使用者審査会」が設けられており、入居
希望者は15分間のプレゼンテーションを行い、質疑に応える
ことが必須となる。そこでは、事業計画や収支計画だけでは
なく、どういった想いを持って事業を行っているのか、その事
業が地域にどのような影響を与えるのか、入居後、地域とどの
ように付き合っていくのかといったことを総合的に判断して入
居の可否が判断される。審査会の存在は、入居審査時に地域
内にネットワークや信用を得ている組織や人への面通し機能
も果たしており、入居後のサポート役も担っている。
 開設と同時に、東京に本社を置く、教育ベンチャーのハバ
タク株式会社 (代表取締役 丑田俊輔) 、町内の住宅資材メー
カーから分社化した金型加工を行う株式会社秋田モールド (代
表者 川口豊和) 、が入居した。翌月には、秋田市内でキャラク
ターコンテンツ企画制作を行う合同会社大町ギルド (代表社
員 川邉正和)も入居が決まり、順調な滑り出しを見せた。
 開設以降、様々なイベントも実施されており、地域外から注
目を集めたイベントの一つに、「いなかソンin五城目~秋田
の田舎で廃校ハック!」(2013年11月9-10日) と呼ばれる短期
集中型のITイベントがある。当初は、「こんな場所でITイベン
トなんかやっても人が来るわけがない」という声も聞かれた
が、募集を開始すると、町内だけではなく、宮城県や福島県、
東京や横浜、岐阜県などからIT技術者やまちづくり、地域活
性化に関心のある人が集まった。プログラムは、地域活性化
や地域課題解決へ向けたアプリの活用についての講演、地域
住民によるまち歩き案内、アイデアワーク7とハッカソン8、交
流会では地元食とお酒を地域住民と一緒に食べることで、地
域住民の想いや文化、地域の良さ、悩みを肌で感じ取れるよ
うに設計された。その結果、初めて会った人同士が一緒に地
域課題やその解決に向けたアイデアやアプリケーションのプ
ロトタイプを完成させるといった成果につながった。地域住
民からは、「なぜこんな場所に、県外からこんなに人が集まる
のか」(五城目町住民、50代、男性) 、「地域のことを若い人が
熱心に聞いて、課題解決しようとしてくれていてうれしい」(五
城目町住民、50代、女性) との声も聞かれ、地域住民の中に
地域に対する新たな気づきを与えることになった。
この時、筆者は原氏から相談を受け、視察に同行し、柴田氏から廃校の活用方針や町の現状について意見交換を行い、その後、複数回にわたって意見交換
や地域の訪問を重ねていた。
アイデア創出を目的としたワークショップで、アイデアソンと呼ばれることもある。
ハック (Hack) とマラソン (Marathon) を掛け合わせた造語で、エンジニア、デザイナー、プランナー、マーケティターなどがチームを作り、与えられたテー
マに対し、技術やアイデアを持ち寄り、短期間 (1日~1週間程度) に集中してサービスやシステム、アプリケーションを開発するイベント。
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7
8
▶写真1 五城目町地域活性化支援センター
    (出所:五城目町役場提供)
2015.320145
3.3. 創造人材の誘致を契機とした活動展開
 2014年4月、五城目町での取り組みが一気に動き出す最
大の契機となったのが、ハバタクの代表取締役である丑田俊
輔氏 (29歳) と家族の移住であった。ハバタクは、東京、ベト
ナムを拠点に、「新しい学びのクリエイティブ集団」と自らを位
置づけ、「新しい学び=探究×共創」に向けて、企業や教育機
関と協働した創造性教育プログラムの開発やコンサルティン
グに取り組んできた。
 丑田氏と五城目町がつながるきっかけは、2013年6月、筆
者と打ち合わせをしていた際に遡る。ハバタクの東京事務所
が五城目町のサテライトオフィスのあるちよだプラットフォー
ムスクウェアにあったことや、兼ねてから地域における教育事
業について関心があった丑田氏がつながり、廃校を活用した
ベンチャー育成に取り組めば相乗効果が生まれるのではない
かと考え、町を紹介した。すぐに意気投合し、翌月には丑田氏
と筆者は一緒に五城目町に足を運び、柴田氏の案内で町内
やセンターを視察し、意見交換を行った。町を訪れた丑田氏
は当時の印象について、「日本の原風景が残っていると感じた。
確かにビジネスがうまくないという印象も持ったが、何よりも
地域の共同体の良さが地域には残っていると感じた」と話す
ように、すぐに町を気に入り、翌月にはセンターへの入居を
決めた(写真2)。
 ハバタクは、「世界一子どもが育つまち」を五城目町での活
動のスローガンに掲げ、「ビジネスインキュベーション事業」、「教
育事業」を軸に、持続可能な地域社会の創造へ向けたプロジェ
クトを進めている。活動の土台にあるのは、ないものねだり
をするのではなく、地域にあるものを活かし、仕事はもちろん、
生き方や町の課題解決に自分ごととして関わっていくことと、
住民一人一人が創造力を高め、小さなビジネスに取り組み地
域内の小さな経済の循環を生み出すこと、という基本的な考
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 いなかソンを皮切りに、県内企業を対象とした運動会「大
人の運動会withなべっこ遠足」(2013年11月24日) 、中年を
対象とした勉強会「五城目町逆襲計画~秋田中年会議所・第
6回公開会議」(2013年11月27日) 、地域住民がそれぞれの
夢やビジョンを語り合う「秋田のイナカから、セカイに叫ぶ〜
みんなの『ごじょうめびじょん』発表会」(2014年1月18日) 、
第2弾となるいなかソン「地域の宝を掘り起こせ! 第一次産
業×ITで地域を輝かせる!~農家ソン」(2014年3月21-22日)、
失敗や挫折を味わったベンチャーや人の再起を応援しようと
いう「『バツベン連』発足記念オープニングイベント~鯛は地
球を救う」(2014年3月30日) などを通じて、町内外の様々な
バックグラウンドを持つ人が集まり、交流・ネットワークが導
出され、センター自体に対する認知拡大にもつながっていった。
 入居者にとっては、低コストで入居でき、同時に自社以外
の多様な人や組織との接点を増やす機会にもなっている。ま
た、センター主導で入居者と管理する職員、役場が定期的に
合同の経営会議を開き、各社の今後の方向性、現在進めてい
るプロジェクトや課題、町への要望、地域で今後どんな取り組
みが必要かについて話し合う機会を設けており、相互にメン
ター機能を果たしている。
 こうした取り組みは、徐々に注目を集め、毎週のように各地
から視察が相次ぎ、2014年12月30日現在、町内外から3,671
人がセンターを訪れ、入居企業や地域おこし協力隊との交流
が生まれている。柴田氏は、開設から1年を振り返り、「20年
以上企業誘致の成果がなかった町に、たくさんの人と出会い、
ご縁ができたことで、寂しくなっていた廃校に若者が県内外
から集まり、入居してくれる企業も増えてきた」と話し、「20代
30代の若者がビジネスを目的に集い、地域住民と一緒にコト
を起こす場にしていきたい」と語る。
 2014年1月末現在で、4社1団体が入居しており、地域おこ
し協力隊をはじめ、8名の若者が町へ移住した。入居企業の
中には、秋田市内の広告代理店に勤める五城目町出身のデ
ザイナーとWEBエンジニアが移住者の活動に感化され、自ら
会社を説得し、センターにサテライトオフィスを開設し、仕事
の拠点を町内に移したというケースも生まれている。2015年
4月以降には、さらに首都圏から入居を検討している企業も
あるとのことで、決してネームバリューのある大企業が入居し
ているわけでも、大きな雇用が生まれているわけでもないが、
地域にはこれまでにない機運が芽生え始めている。
▶写真2 ハバタクの五城目オフィス
    (出所:ハバタク株式会社提供)
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え方にある。この価値観に基づき、地域における教育機能と
事業創造機能を連関させながら高めることで、地域自体の持
続可能性を高めていこうと考えたのである。
 入居当初は、町と東京を往復しながら事業の基盤づくりを
進めていたが、2014年4月1日、家族と共に町への移住を決
断したことで取り組みが本格化していった。東京から家族で
秋田の田舎に移住するということ自体が注目を集めることに
もなり、地元テレビ局や新聞社が連日取材に訪れ、結果的に
五城目町やセンターの認知度の向上へもつながっている。移
住当初は、柴田氏やこれまでのイベントなどを通じて関係を
形成していた地域のキーパーソンが間を取り持ち、町内会や
地域のお祭りへ積極的に参加するなど、地域住民との顔合わ
せを連日行い、徹底して地域住民との関係づくりに重点が置
かれた。また、地域の若者と一緒に稲作に取り組むことで、地
域に根付く米作りの文化や苦労を肌で感じ取るばかりではなく、
この町で暮らしていく覚悟を行動で示すことにより、地域への
理解を深め、同時に、地域からも信頼を獲得していった。
 5月になると、町が地域おこし協力隊の受け入れを始め、
丑田氏とともに地域で活動を始めるようになる。受け入れた
地域おこし協力隊は、元グローバルコンサルティング企業に
勤務し、退職後には産前産後の女性支援団体の代表を務め
ていた丑田氏の妻である丑田香澄氏 (29歳) 、東京大学工学
系大学院で公共交通の最適システムを研究後、大手IT企業
に勤務していた柳澤龍氏 (27歳) 、記者や映像制作の職に就
いた後、東京大学大学院で情報学を研究した石田万梨奈氏
(37歳) 、の3名であった。五城目町での取組を知り、また、丑
田氏が地域で仕掛けようというプロジェクトに共感したことが
地域おこし協力隊に応募するきっかけとなり、移住することに
なった。彼らも、丑田氏と同様、移住当初は、徹底して地域住
民との関係づくりを意識し、地域での集まりへの参加や、地域
住民宅へ積極的に足を運び、一緒に食事や飲み会をしたり、
作業の手伝いをしながら、地域住民の声を聴き、同時に、自
分たちの想いや夢を伝えていった。この時、丑田氏や柴田氏は、
地域独特のルールやしきたり、スピード感を地域おこし協力
隊に伝え、地域への理解を促すようにしたという。
 こうして、丑田氏と地域おこし協力隊 (写真3) 、役場や彼ら
を応援する地域住民が揃い、具体的なプロジェクトが動き出
していく。まず取り組んだのが、秋田市にある国際教養大学 (以
下、教養大)9の大学生と協働した、五城目小学校6年生の総
合学習授業 (2014年6月~12月)「ごじょうめで世界一周」で
ある (写真4) 。プログラムは、前半を「世界に触れる時間」と
して、週1回2コマ、留学生が小学校で直接、自分の国や地元
についてスピーチし、小学生と対話を行った。後半は、「外の
刺激を受けて内を知る時間」として、2週に1回、五城目町の
林業や朝市などについて地域住民から話を聞き、子どもたち
がそれぞれ興味のあることを調べている。そして、2014年12
月には、子どもたちが、教養大を訪問し、大学生を前に、「い
ろんな国の人たちに五城目のことを伝える」スピーチ大会が
開かれた。この時、大学生は子どもたちのプレゼンテーショ
ンや資料作りをサポートし、どうすれば自分たちの地域のこと
を伝えることができるのかなどを一緒に考えることで双方の
教育効果を高めていった。
▶写真3 丑田氏と地域おこし協力隊
    (出所:ハバタク株式会社提供)
▶写真4 ごじょうめで世界一周の様子
    (出所:ハバタク株式会社提供)
国際教養大学は、授業は全て英語で行われ、新入生は外国人留学生と一年間、大学の敷地内にある寮で生活し、海外留学も義務化されるなど、厳しい卒業
要件で知られ、就職内定率100%と、近年、各方面からそのユニークな教育内容が注目されている。2014年4月1日現在、26か国の地域から165人の留学
生が学んでいる。
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 プログラムに参加した子どもたちからは、「世界の広さを知っ
た」、「意外と地元のことを知らないことに気づいた」、「大学に
行ってみたくなった」といった声が聞かれ、未知の世界を知る
ことで、自分たちの町の良さや自分の未来に対する関心を高
めることにつながっている。また、留学生には、小学校での授
業終了後、地域おこし協力隊が案内役となって町内の散策や
地元農家と一緒に地元料理を楽しむといったアクティビティ
を用意し、フィリピンやノルウェーからの留学生からは、「この
町で仕事をしてみたい」といった声も聞かれており、地域の魅
力の発信にも一役買っている。
 町をまるごと活用した学びの場の提供は、ごじょうめで世
界一周だけではなく、地元企業が扱う素材や地域の自然素材
を使い、幼児から小学生、大人が一緒になって自分たちで遊
びを創造する、「asobi基地in五城目」(2014年5月) や、首都
圏の中高生が4日間、町でサマーキャンプを行う「グローバル
イナカキャンプ@五城目 2014 〜世界に触れ、地域に触れ、
自分を探る熱い4日間」(2014年8月24日~27日) 、STEM
(Science, Technology, Engineering, Math) 教育に取り組
む米国タフツ大学CEEOの研究者を招へいし、子どもたち向
けの「ロボットづくりワークショップ」(2014年8月2日) を次々
に開催し、「ラーニング・ツーリズム」の拠点としての機能を強
化しつつある。
 一方、地域資源を活用した6次産業化プロジェクトも動き出
している。企画力やネットワークを有する丑田氏や地域おこ
し協力隊、デザイナーやIT技術者が日々顔を合わせ、コミュ
ニケーションを図れる環境が日常となったことで、地域の農産
物や加工品の商品パッケージ、広報デザイン、WEBデザイン
のリデザイン、リブランディングを協働して仕掛けている。た
とえば、町内で活動する農林業ベンチャー アグリ(代表 畑澤
與左右衛門) のWeb/パンフ/米袋デザインの刷新や販売支
援、地元菓子店の「キイチゴもなか」のパッケージデザインの
刷新を行い (写真5) 、倍以上の売上を達成するなど、成果が
生まれている。加えて、町の若者と連携した「Teamキイチゴ」
を組成し、畑を借りて、キイチゴ栽培を始めており、キイチゴ
を使った新商品のプロトタイプづくりや、東京でのイベント出
店、秋田大学と連携したプロジェクトを進めている。
 こうした動きに呼応して、地域おこし協力隊主導の動きも
加速している。2014年7月には、秋田県庁と連携した「お試し
移住体験プログラム」を企画運営し、首都圏の若手起業家を
ピンポイントで町に招待し、連携可能性を視野に入れた交流
事業を実施した。この時受け入れた農家からは、「農家民泊
を本格的にやってみたい」と、前向きな声も聞かれるようにな
り、モチベーションの向上など、好影響が生まれている。また、
地域おこし協力隊と地域住民の対話の場である「明日の五城
目を語ろう」(2014年7月) を開催し、相互理解を図るとともに、
地域の課題について意識を共有していった。この場が契機と
なって、10月には、地域住民有志による「ごじょうめ朝市大学」
がスタートし、地域の課題を話し合い、学び合い、行動するこ
とを目指した場が開催されており、多くの地域住民も参加し、
活発な動きへと発展している。
 移住した若者と地域の若者、これまで地域を支えてきた住
民による協働が生まれ、それが地元メディアだけではなく、首
都圏のメディアからも注目を集め、「若者がチャレンジできる町」、
「子育て・教育環境がユニークな町」というイメージも広がっ
ている。実際、2014年11月には、海外で日本酒の営業職とし
て働いていた教養大の卒業生である女性 (28歳) が起業を目
指し移住し、さらには、地域おこし協力隊とゆかりのあった女
性デザイナー(29歳)、集落支援員として山形県から25歳の女
性も移住するなど、若者が次々と町に移住し始めた。また、大
手IT企業等で働いていた若者がUターンで戻ってきたり、た
またまIターンで町に移住してきた若者とも協働が始まってい
る。加えて、家族での移住を希望する問い合わせも相次いで
おり、大企業に勤務するオフィスワーカーや地域活性化領域
で活躍する若者、世界的に活躍するクリエーターが移住を検
討中だという。もちろん、センターへの入居に対する関心も高
まっており、2015年春には、インバウンドに取り組んでいる首
都圏のベンチャー企業の入居が予定されている。
▶写真5 キイチゴもなかの新デザイン
    (出所:ハバタク株式会社提供)
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 移住者が増え、移住希望者も増えつつある五城目町ではあ
るが、一つの課題も明らかになってきた。それが、住居確保
の問題である。町には400軒の空き家があるものの、管理体
制が構築されていないため、移住者が居住する住居を探すこ
とが難しい10。そこで、役場と連携し、移住者向けに空き家を
貸し出す仕組みづくりを模索しているという。さらに、茅葺の
古民家(写真6)を取得し、移住者向けのシェアハウス機能、起
業家人材や国内外の旅行者向けの滞在・宿泊・コミュニティ機
能を併設したシェアビレッジ構想が動き出している。移住者
の家賃収入だけではなく、町のファンになってくれる人から会
費を集めるほか、その場を使って農林業体験や6次産業化に
取り組み、地域外の人と地域を繋ぐ拠り所としての場づくりを
目指しており、2015年1月から、クラウドファンディングを活用
した資金集めを始めている。
 五城目町での取り組みは始まってわずか1年余りと、まだま
だ成功と呼べるものではないが、地域での暮らしや起業に関
心を持つ若者、企業が集積を始めており、地域住民との協働
も生まれ、地域住民の中にも「みんなでやれば何とかできる
かもしれない」という希望が芽生え始めている。
▶写真6 シェアビレッジの核となる予定の古民家
    (出所:ハバタク株式会社提供)
4. 考察
4.1. 創造的人材との相互作用・協働が地域住民に変化を
   与える
 五城目町では、移住してきた創造的人材と地域内の創造的
人材が短期間に濃密な相互作用を通じて、想いの共有と行動
の伝搬が生まれたことで良循環が生まれていった。その一つ
の象徴が、センター開所の際、管理スタッフとして雇用されて
いた男性 (54歳) が、センターに集まる若者の生き生きとした
姿に感化され、新たにプロジェクトを始めたことである。この
男性は、宮城県仙台市でIT企業を経営していたが、事業がう
まくいかなくなり、地元に戻って暮らしていたが、「自分は失敗
してしまったベンチャー、『バツベン』だ。自信を失っていたが、
若者の姿を見て、自分にもやれることがあると思った」と次の
一歩を踏み出すことになった。
 地域では、地域活動を担う人材がいない、という嘆きが聞
かれることがある。しかし、実際は「いない」のではなく、地域
の未来についてこのままではいけないと思っている地域住民
が、自らの想いを伝える場や一緒に行動できる仲間との接点
がなかったためにアクションに結実していなかっただけ、とい
う場合も多い。五城目町の取組では、勉強会や商品開発、農
作業、イベントなどのフォーマルな活動だけではなく、食事会
や飲み会といったインフォーマルな場面も活用して、創造的
人材と地域住民が協働する機会を丹念に設けていった。その
結果、協働のプロセスを通じて、次々と新たにアクションを起
こしたいと考える地域住民が顕在化していった。つまり、創造
的人材が自らの想いや覚悟、ビジョンを表明し、地域内の創
造的人材との相互作用を生み出す場 (プラットフォーム) が生
まれることで、地域住民が引き寄せられ、徐々に創造性を獲
得し、新たな協働を創発させるプロセスが生まれていくのだ
と考えられる。
 
4.2. 「地域のお手伝い」と「協働」の違いを理解した受け入れ
   体制の整備
 創造的人材の誘致は、地方行政の移住政策、地域活性化
政策として徐々に広がりを見せ、地域おこし協力隊や集落支
援員などの事業が実施されている。しかし、地域に溶け込め
地方への移住に向けてボトルネックとなっているのが、住居の確保の問題である。移住希望者がいても、すぐに住める状態のものは少なく、空き家になっ
ていても持ち主が貸し出す希望を持っていないなど、移住促進を進めたいという地方の意向がある一方で、住む場所がないというミスマッチがある。
10
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ずに道半ばで帰ってしまうケースや、高いモチベーションを持っ
て地域に移住したものの、地域側からの理解が得られずに孤
立してしまうケースも見受けられる。
 五城目町で創造的人材が短期間に成果を生み出した要因
としては、コーディネート役である五城目町役場のマネジメン
ト力がある。丑田氏は、「地域おこし協力隊をある程度フリー
ハンドで動けるように役場が自由度高くマネジメントをしてく
れていることが大きい」と話し、さらに、「地域のお祭りや集ま
りを紹介し、関係性を創りながらも、地域のお手伝いさんで
はないことを地域住民に丁寧に説明してくれていることで、地
域住民と一緒に価値を創造することがミッションだということ
を伝えてくれていることで動きやすくなった」という。役場側
が地域との関係づくりをサポートしつつも、彼らのミッション
や取り組もうとするプロジェクトに対する地域側の理解を促す
ことで活動環境が整えられていったのだと考えられる。
 移住した創造的人材を地域に溶け込ませるためのマネジ
メントと、自由度を与えて、創造的人材の持っている新しい価
値観に基づいた新たなチャレンジができる環境づくりをバラ
ンスよく行うことが重要だと言える。既存の活動の手伝いをさ
せるだけであったり、便利屋として不足する労働力を補わせ
るといったような扱いでは、創造的人材が地域で力を発揮す
ることは難しいことを踏まえておく必要がある。
4.3. ソーシャル・キャピタル・マネジメントの重要性
 基本的な創造農村構築のプロセス (図2) は、地域との信頼
関係の構築/地域のソーシャル・キャピタル醸成→プロジェク
ト・事業の実践による小さな成功の積み重ね→創造的活動の
持続的展開、という流れを辿る。地域からの信頼獲得と同時に、
地域内のソーシャル・キャピタルを新たに醸成していく必要が
あり、地域内の強いつながりを創るだけではなく、地域外と
の弱いつながりも並行して創っていくことがポイントになる。
 五城目町の場合、地域の祭りやイベントへの参加、地元団
体との会合の機会を意識的に設け、地域との関係構築を図る
一方で、地域外からきた創造的人材が保有する首都圏や海
外のネットワークを活用し、新たな価値観や視点で地域の資
源や可能性についての評価を地域住民が知ることで、新たな
気づきや自信を獲得していったと想定される。
 地域における信頼関係は、地域でプロジェクトや事業を展
開する上で土台となるもので、信頼関係があることによって、
本来より低いコストで資源の獲得が可能となる。実際、丑田
氏や地域おこし協力隊は、本来かかるコストよりも低いコスト
で、地域から農地や機材、情報やネットワークの提供を受け
ており、それによりプロジェクトのイニシャルコストを低く抑え
ながら取り組みをスタートさせることにつながっている。
 本来、そうした信頼関係を醸成するのには時間や労力が多
大にかかるものだが、移住前の半年の間に、イベントや交流
を通じて地域からの信頼やこれまで地域で地道な活動を展開
してきた役場や民間のキーパーソンと想いをすり合わせてき
たことで、彼ら自身が保有する信頼を介して地域に入り込むこ
とができた。その結果、地域から信頼のある人が後ろ盾になっ
ているという事実が、与信力として機能し、地域の様々な資源
▶図2 創造農村構築のプロセス(出所:筆者作成)
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へのアクセスを可能とし、プロジェクトの実施を比較的短期間
で可能とさせた。
 したがって、地域の外部から創造的人材を誘致しても、な
かなか地域との関係構築や取り組みが想定通りに進んでいな
いケースでは、地域における信頼形成に向けた取り組みが不
足していることに加え、地域内から厚い信頼を獲得している
キーパーソンや組織との協働が少ないことが予想される。また、
創造的人材に対する地域からの信頼形成を行うマネジメント
が行われないままに、いきなり、プロジェクトや事業の実践を
目指してしまうところに活動の阻害要因があると考えられるの
である。たとえ、創造的人材が考えるプロジェクトや事業が素
晴らしいものであったとしても、地域にはもともと排他的な面
があり、これまで自分たちの価値観では考えることができなかっ
たような新しい取組を受け入れることは、不安や恐怖も大きく、
素直に応援することを躊躇してしまう場合も多い。
 創造農村の創出には、信頼醸成を丁寧に進めることが大切
であり、そのためには、ソーシャル・キャピタル・マネジメント
を意識的に行うことが求められる11。地域住民のもとへ何度
も足を運び、話をし、時には飲みあかしながら本音でぶつか
ることも必要となり、それは一見、面倒であり、時間もかかり、
もどかしさすら覚えることもある。しかし、この段階を軽視す
ることは、その後の取組に多大な影響を与える可能性がある
と言える。
 なお、注意が必要なのは、地域の合意形成や巻き込みの
濃淡は、取り組むプロジェクトや事業によって異なるというこ
とである。つまり、ソーシャル・キャピタル・マネジメントは、
重複する部分はあるものの、基本的にはプロジェクトや事業
毎に調整することが求められる。たとえば、地域の既存の事
業者や関係者が存在する領域と創造的人材がこれまで地域
にはない新たな活動を行う場合では、ステークホルダーや調
整が必要な場面が異なる。地域にある暗黙のルールを理解し、
協力体制を確保しなければ取組そのものが着手できない場
合もあれば、創造的人材のみで展開できるものもあり、状況
は異なる。
 また、取り組みの初期段階においてのプロジェクト・事業は、
図3の通り、「②SC醸成(高)×事業性(低)」がまずは重要と
なると考えられ、それを徐々に、「①SC醸成(高)×事業性(高)」
へと展開することが基本戦略となる。またこの時、「④SC醸成
(低)×事業性(高)」も同時並行で進めることも重要となり、そ
れを、①へ展開するようにマネジメントしていくことが求めら
れる。一見、①の活動を重視すべきと考えられがちであるが、
いきなりその領域を進めることは困難性が高いため、②や④
から取り組み、それを徐々に、①へ統合していくプロセスを戦
略的に展開することが望ましいと考えられる。
4.4. 地域と外部からの人材を繋ぐ装置としてのチームの
   必要性
 五城目町では、地域の優れたリーダーや創造的人材が単独
で取り組みを進めるのではなく、地域内外の複数の創造的人
材とそれを支える地域住民や行政職員、地域外のサポート人
材がチームとして取り組みを進めてきたことが有効に機能した。
その際、ビジョンを語り、価値創造をプロデュースできる人材、
地域の中に入り込み、地域の人と一緒に悩みや想いを語り、
引き出し、協働を実践できる人材、地域の中の暗黙知を形式
知化し、かつ、地域の資源に新たな評価軸を提示できる人材、
そして、裏方として地域の人や組織を繋ぎ、地域の歴史や文化、
過去の取組の経緯、地域のネガティブな面を伝え、創造的人
材が活動しやすいようにコーディネーションできる人材、加えて、
多様なネットワークと専門性を持つ地域外のサポート人材が
チームとなってそれぞれがビジョンを共有しながらも異なる
役割を果たしている。
 このチームは、いわば装置として、地域内と地域外の人材
や情報を繋ぐ役割を持つだけでなく、役割や視点、地域との
関わりの深さが異なることで、地域を様々な角度、レイヤーか
ら認識できるという利点がある。その結果、地域で起こってい
る動きや変化を多面的・立体的に理解することにつながり、そ
れがプロジェクトや事業を展開する際に、有効に機能する可
能性を持つ。また、これらの活動を役場がバックアップしてい
▶図3 創造農村創出に向けた事業分類イメージ
    (出所:筆者作成)
ここでは、ソーシャル・キャピタルのネガティブな面、例えば、しがらみなどに対するマネジメントも含まれる。11
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るということも大切であり、行政に対する地域住民や地域内
外の企業や支援機関からの信用が、地域で活動する創造的
人材への信用にも好影響を与えることになる。行政の支援と
いえば、補助金を提供するといったことに視点が置かれがち
だが、その保有する信用力や情報力を活かすことも創造的人
材の活動を後押しする重要な役割となる。たとえば、五城目
町では千代田区にサテライトオフィスを構え、五城目町での
活動を積極的に情報発信する一方で、丑田氏や地域おこし協
力隊が、地域に必要な創造的人材を意図的に町へ招待し、町
の魅力を知ってもらうとともに、行政や地域住民との交流を通
じて、地域のファンとなってもらう活動を地道に続けている12。
 このように、チームとして創造的人材を受け入れる体制づく
りと、それを支える受け入れ側のチーム、サポート人材、そし
て、自分たちの地域に必要な人材との接点を創れる拠点や町
のビジョンに共感を持ってもらう情報の発信を総合的に進め
ていくことが重要なのである。
4.5. 地域住民が地域に「自分ごと」として関わるきっかけ
   づくり
 創造農村は、地域の外部から創造的人材を誘致し、事業創
造してもらうことがゴールではない。創造的人材の活動をきっ
かけとしながら、地域に住む一人ひとりの住民が、自分ごとと
して地域にコミットし、協働しながら創造的なアクションを次々
と持続的に実践していく、動態的に農村が活性されている状
態を目指すことになる。
 したがって、創造的人材やベンチャー企業を誘致するだけ
では、創造農村を創出することはできない。彼らはきっかけ
に過ぎないのである。五城目町では、ローカルベンチャーの
創出や6次産業、地域の教育事業など様々なプロジェクトが取
り組まれている。しかし、そこで意識されているのは、地域住
民一人ひとりが安心して自分の想いや願いを語り合うことの
できる対話の場を用意するということである。地域住民の誰
もが、地域で暮らす中で、その濃度や内容は異なるにせよ、
何気ない疑問を抱き、「解決したい」、「地域のためにこんなこ
とをしたい」、「子どもたち、孫のために地域を残したい」といっ
た気持ちを少なからず持っている。しかし、大抵の場合、自分
たちではそんな大きな夢はかなえられないとあきらめていた
り、地域全体のことでないために、自分勝手と思われてしまう
のではないかと不安に思い、言葉や行動に出せずにいること
もある。
 丑田氏は、「ベンチャー創出によって産業を活性化させ、雇
用を生み出すだけでは一部の人しか巻き込むことはできない。
地域のことを考えれば、一人ひとりの住民が自分の想いや熱
を伝播し合い、自分ごととしてアクションを起こしていけるよう
な活動が大事だ」と話す。そして、「ごじょうめ朝市大学」など
の場を通じて、小物作りが好きでそれを売ってみたい、子ども
が自然で遊べるイベントをやりたい、ヨガ会をやってみたい、
Facebookをやってみようかな、朝市に出店してみようか、カ
フェをやってみたいなど、地域住民一人ひとりが自分ごととし
て取り組めるプロジェクトの最初の一歩を踏み出せるきっか
けづくりを行っている。このような草の根の活動を地域住民
一人ひとりの想いから始め、同時に、地域住民同士が相互に
応援し合える関係を創ることは、結果的に、地域のソーシャル・
キャピタルの醸成に役立つ。
 また、新たに動き出す地域住民が増えていることで、地域
外から町を訪れる人は、地域に対して「前向きな雰囲気」と感
じ取り、町のファンとなるといった副次的な効果にもつながっ
ているという。
 創造的人材による取り組みやローカルベンチャーの創出、
地域の草の根活動は、それぞれが独立しているものではなく、
相互に連関し合うことで、それぞれがポジティブに影響し、相
乗効果を生み出すと考えられる。
5. 結びに代えて
 本稿では、創造農村創出のプロセスと条件について、秋田
県五城目町の事例を通して検討した。そこからは、以下のよう
な点が指摘できよう。
 第一に、創造的人材を誘致するだけでは地域に変化を生
み出すことは難しい点である。誘致した創造的人材に任せっ
きりにしていては、これまで同様、その人材が地域から退出す
ると取組は衰退してしまう。重要となるのは、創造的人材と地
域住民が協働し、それぞれの知識やノウハウ、想いを交換し
合いながら、取り組みを進めていくことにある。
 第二に、地域における多様な主体間の協働を通じて信頼
関係を醸成しながら、価値創造を図っていくためのマネジメ
ントとその体制づくりが重要となる点である。すなわち、ソー
シャル・キャピタルがより重要性を増すと言え、地域住民から
創造的人材が受け入れられるための関係づくり、創造的人材
丑田氏はこのことを、林業ベンチャーの集積を進めている岡山県西粟倉村の言葉を借りて、「地域の人事部」としての役割と表現する。12
2015.320145
|101|(20)
が持つ能力を最大限発揮できる環境づくり、地域と地域外の
コネクティングをトータルにマネジメントできるコーディネー
ト機能 (個人、組織、チーム) と体制があるか否かが創造農村
の構築には影響を与えるものと考えられる。
 第三に、地域住民が創造的人材へと成長するための人材
育成機能を意識的に構築することが必要だという点である。
創造農村として持続性を持つには、創造的人材が次々と地域
の内側から育ち、主体的に活動を展開していくことが求めら
れる。そのための人材育成機能を取組当初から意識的に構築
し、移住してきた創造的人材との協働を通じて地域住民の学
習を促す仕掛けの有無が持続可能な創造農村の構築に向け
ては重要となると考えられる。
 第四に、創造的人材の定義や位置づけが、CCとは根本的に
異なる可能性があるという点である。CCでは、創造性ある仕
事に就く者を指しているが、創造農村を担う創造的人材の場合、
創造性ある仕事に就いているというだけではなく、地域での暮
らしを楽しみながら、地域住民を含めた多様な人々と一緒に地
域を持続可能なものにしていくために主体的に協働できる行
動特性やリーダーシップを含めて理解すべきであろう。
 五城目町の取組は緒についたばかりであり、必ずしも成功
事例と呼べるものではないことと、限られたケースから得られ
た知見の普遍性を強調することは拙速である。しかしながら、
その取組からはいくつかの有益な発見があったと考える。また、
地域への創造的人材の移住や企業誘致が内在する問題に対
しても理解が必要だということが明らかであろう。つまり、創
造農村の目的は人口を増やすことでも、都市化を目指すこと
でもない。創造的人材と地域住民が協働を通じて、創造性を
高め、地域に小さな経済循環を生み出し、持続可能な地域の
創造に一人ひとりが主体的にコミットするようになることが大
切なのである。すなわち、人口減少が問題なのではなく、地
域の歴史や文化といった地域のアイデンティティや誇りが持
続できないことが問題なのだという発想の転換を求めること
になる。
 今後は、複数地域の比較分析、より深い地域調査を行い、
議論の妥当性・普遍性を明らかにしていくことを我々の研究課
題として指摘して本稿を閉じよう。
謝辞
 本研究を進めるにあたり、調査にご協力いただいた、ハバ
タク(株)代表取締役丑田俊輔氏、五城目町役場まちづくり課
柴田浩之氏に深く感謝いたします。
【参考文献】
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 It's Transforming Work,Leisure, Community and Everyday Life,
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 エイティブ・クラスの世紀』ダイヤモンド社, 2007.)
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佐々木雅幸 (1997)『創造都市の経済学』勁草書房.
佐々木雅幸 (2001)『創造都市への挑戦:産業と文化の息づく街へ』岩波 
 書店.
佐々木雅幸 (2007)「創造都市論における系譜と日本における展開:文化と
 産業の『創造の場』に溢れた都市へ」佐々木雅幸・総合研究開発機構『創
 造都市への展望:都市の文化政策とまちづくり』学芸出版社.
佐々木雅幸・川井田祥子・荻原雅也編著 (2014)『創造農村:過疎をクリエイ
 ティブに生きる戦略』学芸出版社.
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宮本憲一 (1982)『現代の都市と農村』日本放送出版社.
宮本憲一 (1989)『環境経済学』岩波書店.

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