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ウェブデザインの体系的分類に関する研究:分類学の視点でウェブデザイン史の系統樹を試みる
1. ウェブデザインの体系的分類に関する研究
- 分類学の視点でウェブデザイン史の系統樹を試みる -
Study on systematic classification of web design
- From a viewpoint of taxonomy, the phylogenetic tree of web design history is attempted to be built -
村井貴
Takashi MURAI
北海道大学
It is thought that we can make clear the whole image of Web
design history more by classifying the characteristics of websites
systematically. In this study, we try to create a phylogenetic tree,
selecting a website that became a milestone in particular from
among the websites of corporations and group organizations, and
classifying it base on its individual characteristics. The
phylogenetic tree is a kind of info graphics that can visualize a
theme to be treated clearly. In this article, we presented a study
concept that is a pre-stage of study. In classification, we showed
elements such as fashion, operational environment, Web
marketing, Web promotion, and so on.
Key Word : Web Design, Phylogenetic Tree, Taxonomy
1.研究の背景
ウェブデザインの歴史を考える上で重要なことは、なにがその
デザインに影響を与えたのかを知ることである。特に、時代ごと
の流行と、動作環境による影響が大きい。前者でいえば、鏡面反
射の効果を取り入れた Web2.0 や、最近広まっているフラット
デザインやグリッドデザインがある。後者であれば、ブラウザや
端末の仕様が挙げられる。PC、スマートフォン、タブレットにひ
とつのソースで対応し、端末ごとにデザインを変化させるレスポ
ンシブデザインなどはまさにその典型例である。これらの影響が
インターネット上に広がると、似たデザインや同じような文書構
造のウェブサイトが急速に広がり、また、淘汰され、生存競争が
行われていく。このプロセスは生物の進化に近いと考えられる。
2.研究の目的
本研究の目的は、ウェブデザインの変遷を多角的にとらえ、各
要素の特徴を具体化し、その特徴がどの系統の影響を受けている
かを分類学的アプローチで顕在化させ、形質[1]
ごとに分類し、系
統樹でまとめることである。単に時系列でまとめるのではなく、
個々のウェブデザインの持っている特徴を進化の過程や外的要
因でとらえていくことが、本研究の重要な点である。ウェブデザ
インはデザイン分野の中でも比較的新しく、その変遷を的確にま
とめた先行研究は多くないのが現状である。その理由として、ウ
ェブデザインの変化があまりにも激しく、分析や考察をしように
も、追いつかない状況が挙げられる。系統立ててまとめることは
進めるべきであり、その中でウェブデザインの進化の可能性や展
望を見出だせるのではないかと考える。
3.先行研究の事例
ウェブデザイン史の初期の頃の変遷は「教科書には載らないニ
ッポンのインターネットの歴史教科書[2]
」が詳しい。デザイン史
をまとめた書物は多々あるが、ウェブデザイン史についてページ
を多く割いたものはあまり見られない。その点で、本書は貴重な
資料といえる。ただし、デザイン学的な視点でまとめられていな
い点と、発行が 2005 年である点で、情報に不足があり、そこに
本研究を進める意義を見出すことができる。
4.系統樹とはなにか
生物同士の関係性を樹の枝のように線で示したもので、進化の
プロセスを表すのに用いられる。図1にチャールズ・ダーウィン、
図 2 にエルンスト・ヘッケルが描いた系統樹を示す[3]
。枝分かれ
していく様はまさに“樹”といえる。
系統樹の構成[4] [5]
を考えていくにあたり、留意しなければなら
ない点は各要素のなにを基に枝分かれ(以下、分岐)させるのか、
進化の程度や時間の経過を示す枝の長さと高さをどうするのか、
という点である。特に、分岐の考え方が重要である。上述したよ
うに、ウェブデザインは流行や動作環境に影響を受けることが多
いが、これら以外にもウェブマーケティングやウェブプロモーシ
ョン、あるいはサイト全体の階層構造や HTML と CSS といった
ソースコードの要素も加味していかなくてはならない。本研究で
は、ウェブサイトのひとつひとつの要素を形質ととらえ、形質が
より色濃く表面化している時に、分岐させて、系統樹を描くこと
を想定している。
5.対象
本研究の対象となるウェブサイトは広大なインターネット上
に存在する全てのウェブサイトの中から、企業あるいは団体組織
のマイルストーンとなり得たものとする。例えば、検索エンジン
でいえば、カテゴリ型検索の始祖である YAHOO!が挙げられる。
カテゴリ型は 2000 年頃に隆盛を極めたが、今は減少の一途であ
る。一方、ロボット型検索エンジンの代表格は Google である。
Google はロボット型検索エンジンの始祖ではなく、Google の誕
生以前にも多くのロボット型検索エンジンは存在していた。が、
いずれも使い勝手の点でカテゴリ型に勝っていなかった。リンク
ポピュラリティ[6]
を取り入れたインデックスの手法が Google に
よって開発されたことで、状況は一変し、YAHOO!は検索エンジ
ンのシェアを大きく落としていくことになり、現在 YAHOO!は検
索エンジンの機能そのものを Google にアウトソーシングしてい
る。この変遷は本研究にとって多くの示唆に富むものであり、参
考にしたい。本来であれば、ミクロの視点で全てのウェブサイト
を対象にするべきであるが、現存するウェブサイトの数は膨大で、
現実的とは言い難い。従って、上述したように企業あるいは団体
組織のウェブサイトの中で、特にマイルストーンとなったものを
重点的にとらえ、マクロの視点で、全体像を俯瞰することとする。
BULLETIN OF JSSD 2016 日本デザイン学会 デザイン学研究292