I-TRIZのエッセンスと事例

I-TRIZのエッセンスを学ぶ
（IPSのプロセスを例に）

熟達者の問題解決レシピ
(C) 2012 IDEATION JAPAN

1

I-TRIZのIPSの基本プロセスとツール
Step 1

Step 2

Step 3

状況分析

アイデア
創出

初期状況
状況観察

システム・アプ
ローチ
状況を多面的に観察し
いろいろと質問する

Step 4
コンセプト
構築

資源把握

ﾌﾟﾛﾌﾞﾚﾑ･ﾌｫｰﾐｭﾚｰﾀ

利用可能資源

状況を詳しく分析し

を洗い出す

改革への問題点を得る

Step 5

新コンセプ

問題予測と
ト
洗練化

オペレータ・シス
テム
進化法則に関連付けて
アイデアを考える

熟達者のレシピとは

2

システム・アプローチで状況把握
状況を多方面から徹底観察し、様々な質問を投げていく
①システム階層軸 ②機能軸

③時間軸

④問題軸

②

得られるもの
③

④

①








深い理解
資源の把握
新たな洞察
新たな可能性
新たな方向性
新たなアイデア


3

実例：ジェットエンジンの吸気ファン・システム

 ファンが破壊して飛び散っても、破片が外へ飛び出さないよう、ファン
の外周に頑丈な保護リングがある。しかし、保護リングは分厚い鋼鉄製
で大変重く、強度試験をするときに作業が大変。
 どうにかして保護リングを軽量化できないだろうか？


4

スーパーシステム – システム –
を観る（質問例）

質問











サブシステム

そのシステムの理想像は何か？
そのシステムの構造はどうなっている？
その部品は何のためにあるか？
構造やある部品をどう変化させたら状況が改革できるか？
スーパーシステムに何があるか（周辺、人間、隣接、類似）？
スーパーシステムは何を望んでいるか？
スーパーシステムにとり何が問題か？
スーパーシステムをどう変化させたら状況が改革できるか？
スーパーシステムはどう進化するか？


5

スーパーシステム – システム –
を観る（洞察例）







サブシステム

機体側以外は弱くてもいいのでは？
機体を強化したら？
機体と違う方向へ破片を導いたら？
試験のとき分解して運べたら？
ファンがバラバラにならなければ？
ファンが粉のようになれば？


6

類似システムも観る（洞察例）
防弾チョッキのように
 柔らかく吸収したら？

 破片を受けた際に瞬時に厚み・硬さ
を増して衝撃を吸収する液体物質
は？
 重要箇所のみ覆う？
 着脱が容易な構造は？

安全ガラスのように
 細かく粉砕したら？

ワイヤーガラスのように
 割れても破片にならないようにした
ら？


7

インプット – 機能 –
を観る（質問例）

アウトプット

質問









そのシステムは何の機能を得るためにあるか？
基本機能、補助機能、付随機能は何か？
機能を追加/除去/変化/利用したら状況を改革できるか？
補助/付随機能を基本機能にしらどうなるか？
そのシステムに何が入るか（有益、有害）？
そのシステムから何が出るか（有益、有害）？
インプットを変化/利用したら状況が改革できるか？
アウトプットを変化/利用したら状況が改革できるか？


8

ファンのインプット – 機能 – アウトプット
を観る（洞察例）
 吸気
 空気流

 回転の慣性力（遠心力）
 飛行の慣性力
 破片
 排気熱

空気の力で
 リングを強化できないか？
 破片を別の方向へ導けないか？
破片の慣性運動を別の方向へ変えられないか？
破片の運動エネルギーを小さくできないか？


9

原因 – 問題 – 結果を観る（質問例）
質問












どんな問題があるか？
どんなメカニズムでその問題が生じるのか？
どんな条件下でその問題が生じるのか？
問題の原因は何か？
どうしたら原因が除去できるか？
原因があっても、どうしたら問題が生じないようになるか？
問題が解決できないと、どんな望ましくない結果がでるか？
問題があっても、どうしたら結果が生じないようになるか？
望ましくない結果を有益なものに転化できないか？
別の問題を解決することで、その問題を無視できないか？


10

原因 – 問題 – 結果を観る（洞察例）
 リングが重くても、どうすれば試験が容易にできるか？
 軽くても、どうすれば強くできるか？

 破片が当たっても、どうすれば飛行機が安全か？
 どうすれば破片が飛ばないか？
 高速回転ファンなしに、どうすれば空気が圧縮できるか？


11

過去 – 現在 – 未来を観る（質問例）
質問

 そのシステムは今までどう進化してきたか？その過程で失った
特徴を復活させたらどうか？
 過去にそのシステムと競合してきたシステムにどんなものが
あったか？その競合システムがもつ特徴を取り込んだらどう
か？
 ライフサイクルのどの段階（誕生、幼児、成長、成熟、衰退）
にあるか？その段階での一般的な進化方向性は何か？
 特許によるとそのシステムの進化トレンドはどういうものか？
 他の同機能または逆機能のシステムとを組み合わせたらどう
か？

 そのシステム機能する前と、機能した後の時間にどういう問題
があるか？その前後の時間を有効利用できないか？


12

過去 – 現在 – 未来を観る（洞察例）

空調要求増大

回転高速化

リング増強

増厚

ファン回転を上げずに、送りだす空気量を増やすにはどうするか？
例えば多段化はどうか？


13

次に利用可能な資源を洗い出す
誰も気づいてない（十分利用してない）資源を上手く利用することで、斬新な
アイデアが生まれる。
機能(FUNCTIONAL)
システムやその環境が、革新につなが
る追加の機能や格別の効果（しばしば
予想外）を生みだす能力

場(FIELDS)(エネルギー)
システムや環境で利用可能な、あら
ゆる種類のエネルギー、動作、力な
ど。（機械的、熱的、化学的、電気
的、磁気的、電磁気的）

時間(TIME )

情報(INFORMATION)

プロセスの開始前、終了後、サ
イクル間に存在する、部分的ま
たは全く未利用な時間

空間(SPACE)
システムとその環境内に存在する
未利用の空き空間

物質(SUBSTANCES)

システムとその環境に関する追加の情報であ
り、システムに吸収され、システムを通過す
る、またはシステムから出てくる物質や場から
得られる。

システムとその環境を作っている
あらゆる種類の材料や部材


14

資源発見で特許アイデアを得た事例：複合プリン
課題：大規模事業所の随所に配置された複合プリンタの配置場
タ
所を自動的に把握するにはどうするか？

GPS？屋内では使えない。
無線ICタグ？無線局のコストが高いから無
理。

社員
名簿

システム内外の資源を探
せ！

使用者
リスト

LAN

アイデア：各社員のPCログインコード、サーバ
内の社員名簿、複合プリンタ内の履歴の使用者
リストを利用して、プリンタの主要使用者の部
署を割り出す。その部署が設置場所。

使用者
リスト


15

さらにプロブレム・フォーミュレータで状況モデ
リング
状況の原因結果ダイヤグラムを描き、具体的問題点を導き出す
エレベータが
多くの階で止
まる

エレベータ
が遅い

人がうんざ
りする

人が待つ

多くの階の
人を乗せる

質問
待っていても、うんざ
りしない方法は？

状況に含まれるさまざまな事物の
機能（動作、特性など）の間の因
果関係を絵にする

有害要素

引起こす
提供する

有益要素

アイデア
待っている間に興味
あることを行う

阻止する
妨害する


16

ダイヤグラムから
具体的問題点（解決指針）を導く

原因に影響されずに
有害機能

を除去・軽減・防止する方法は？

有益機能

を実現する、今まで違う方法は？

矛盾

を解決する方法は？

これが状況改革のための
具体的問題点(解決指針）である


17

プロブレム・フォーミュレータの
モデリング（保護リングの例）
物事の原因結果をダイヤグラムの形でモデリングする
飛行機を
破壊

高エネル
ギーの破片

ファンが
破壊

有害要素

カバーが
強い

破片が
飛散

遠心力

有益要素

材料傷

カバーが
厚い

カバーが
重い

ファン回転
試験が容易

矛盾
高速回転

空気移動


18

ダイヤグラムを読んで、状況改革の作戦を練る
飛行機を
破壊

高エネル
ギーの破片

どこに取り組む
のが有望そう
か？

破片が
飛散

ファンが
破壊

遠心力

ファン回転

高速回転

カバーが
強い

材料傷

カバーが
厚い
カバーが
重い

試験が容易

空気移動


19

作戦に基づき、具体的問題点（解決指針）を導く
飛行機を
破壊

高エネル
ギーの破片

ファンが破壊があっても、
カバーが強いが無くても、
破片が飛散を除去・軽減・
防止する方法は？

破片が
飛散

ファンが
破壊

カバーが
強い

材料が
傷つく

カバーが
厚い

カバーが
重い

遠心力

カバーが厚いが無くても、カバーが強いを得る方法は？
ファン回転
矛盾を解決する：カバーが強いを得ると同時に、カバーが重い
を除去するには、カバーが厚いをどう変えればいいか？

試験が容易

遠心力、材料傷があっても、ファンが破壊を除去・軽減・防止する方
高速回転
空気移動
法は？


20

次に、
各問題点の解決アイデアをオペレータを参考に考える
自分の問題点に熟達者の知恵に関連づけてアイデア創造

オペレータ・システム
知恵の
エッセンス

類似する
既知の
問題点

類似する
既知の
解決法

様々な技術分野の
熟達者の知恵袋

関連付け思考
質問

私の
問題点

私の
解決法

従来は試行錯誤


21

オペレータ（熟達者の知恵）の一例
問題解決オペレータ:

既知の問題「物体を破壊するか、異物を除去したい」
→ 既知の解決策「圧力（エネルギー）をゆっくり上昇させ、次に一気に落とす
」

既知の問題例：ピーマンの種を抜く

 ヒマワリ種の殻を外す

オペーレタは
全部で約５００
個

 ダイヤモンドを割る  フィルターを掃除する

別分野への関連付け→イノベーショ
ン



22

同種の作用による対抗
障害を引き起こす作用に他の同種の作用を対抗させること
を検討してください。

徹甲弾に対する防護
アクティブ装甲は、徹甲弾の対応策として
利用することができます。
アクティブ装甲には小さな起爆装置を埋め
込んだ外被がついています。徹甲弾が外被
に衝撃を与えると、起爆装置が爆発して弾
を跳ね返し、弾体が本体の装甲を貫通する
のを防ぎます


23

2007/06/28 16:45:12 アイデア #13
ファンが破壊すると同時にカバーを爆発させ（又はエアバッグのよう
に膨張させ）、ファンの破壊力を逆向きの力で相殺する


24

問題のある部分を対象物から引き離す
システム、またはプロセスが有益、及び有害な特性、機能、特徴をも
つ場合は、有害な部分を残りの部分から分離してみてくださ
い。
関連項目：
有害機能の防止（削減、排除）

パラシュートを帆に使用
大きな帆を船に装備することは、船の安定性と大き
さによって制限されます。
普通の帆の他に、パラシュートを装備する。パラ
シュートは船首の前に長い紐でつながれます。傘の
部分は、パラシュートで一般的に使われるようなも
のではなく、空気よりも軽い気体が入った二層構造
になっています。


25

2007/06/28 17:05:42 アイデア #15
カバーそのものの肉厚を薄くし、代わりにリブで補強する。破片がリブに
ぶつかってつぶす際にエネルギーが失われる


26

2007/06/28 17:08:57 アイデア #16
カバーを多層式にする。追加の補強層、硬度や粘りの異なる複数の層、層
と層との間にエネルギー吸収物質をつめる、など


27

プリストレス構造
対象物、またはシステム内に最も望ましく分布するように、内部
応力を、（組立時や建設時などに）事前に発生させること
ができます。
望ましい内部応力を得るには対象物、またはシステム内の別の部品に逆
向きの応力をかける必要があります。それは、以下のようにして実現で
きます：
対象物の統合
対象物の分割

銃身の強化
発砲の際に銃身を破裂から防ぐために、予熱
した鉄の輪または鉄管を銃身にはめこみま
す。
温度が下がったときに銃身を締め付けて補強
します。銃身のまわりに巻き付けられたワイ
ヤやバンドは、銃身内部の圧力に対抗して補
強する効果があります。


28

2007/06/28 17:59:41 アイデア #41
カバーが内向きの応力を持つようにする。外側にワイヤーを巻いたり
、ベルトで締めたり、二重のパイプ構造にしたりする


29

アイデアからコンセプトを
組上げる（保護リングの例）
短期的コンセプト
1. 多層化

中期的コンセプト

カバーを爆発させる
長期的コンセプト
ファンの羽根に繊維（ワイ
ヤ）をいれて破壊しても破
片が飛ばないようにする

2. リブつきのカバー


30

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