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90分でワークショップ:アイヒマン実験をトリガーに、組織の「分業化」を見直す

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組織の「分業化」を見直すというテーマで、90分でできる“とっかかり”ワークショップの基本フレームとスライドをシェアします。
アイヒマン実験をトリガーにして「分業化」の弊害に目を向け、組織の分業体制の見直しについて話し合いを深めていく流れを組みました。このネタで人と話し合ってみたい方、うまいことアレンジしてお役立ていただければ幸いです。

詳しくは筆者ブログ(アイヒマン実験をトリガーに、組織の「分業化」を見直すスライドを作ってみた│心のうち)にて。
http://hysmrk.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-4781fb.html

Published in: Leadership & Management
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90分でワークショップ:アイヒマン実験をトリガーに、組織の「分業化」を見直す

  1. 1. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 組織の「分業化」を⾒直す 90分でワークショップ
  2. 2. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 「90分でワークショップ」の基本フレーム 90分でできる“とっかかり”ワークショップの基本フレーム&スライド をシェアします。アレンジしてご活⽤いただければ幸いです。 [時間割] 5分 はじめに 10分 前提知識を共有 20分 ⽰唆を得る 10分 問いを⽴てる 40分 話し合う 5分 振り返る [⼿引き] • 「はじめに」(5分) は、冒頭挨拶や趣旨確認、会場 案内などの諸連絡、ワークショップの流れ確認など に使ってください。 • ファシリテーターを1名⽴てて進⾏、参加者が5〜6 名を超える場合は、グループ分けして話し合うと良 いでしょう。 • グループ分けした場合は、グループ内の話を全体で シェアする時間を加えたり、参加者同⼠が初対⾯の 場合は⾃⼰紹介タイムを設けたり、話し合いたい内 容・実施ゴールに照らして内容を厚くするなど、時 間割をアレンジして活⽤しましょう。 たかが90分、されど90分
  3. 3. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 組織の「分業化」を⾒直す このワークショップは、同じ組織で働く⼈たちが集まり、今の 分業体制を⾒直す時間をもつための“とっかかり”ツールです。 たかが90分、されど90分。何かを変えて出てくることはでき なくても、何かに気づき、何かを始めるとっかかりを築いて、 ワークショップの場を後にすることはできるかもしれません。 今の分業体制に問題はないかを⽴ち⽌まって確認し、あるとす ればどんな問題が起こっているのか具体的な事実をみんなで シェアしたり、どう⾃分たちの仕事を役割分担して階層化・分 業化するのがよいか知恵をしぼったり、そんな話し合いを始め るための “とっかかり” に、ご活⽤いただければ幸いです。 ワークショップテーマ
  4. 4. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 「アイヒマン実験」について、ファシリテーターが解説 or 個々にスライドに⽬ を通して理解し、参加者みんなで前提知識を共有します。 2. ⽰唆を得る (20分)
 この実験から得られる⽰唆や、思ったこと、思い出したこと、考えたことなど
 みんなで⾃由に話し合います。 3. 問いを⽴てる (10分)
 今回得られた⽰唆をもって、集まったメンバーで何を話し合いたいかを話し合っ て決めます。 4. 話し合う (40分)
 3で⽴てた問いについて話し合います。ファシリテーターは話し合いが深まるよ う促進・⽀援します。 5. 振り返る (5分)
 ワークショップを通じて気づいたこと、学んだこと、決めたこと、感想・意⾒を 整理します。
  5. 5. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 「アイヒマン実験」について、ファシリテーターが解説 or 個々にスライドに⽬ を通して理解し、参加者みんなで前提知識を共有します。 2. ⽰唆を得る (20分)
 3. 問いを⽴てる (10分)
 4. 話し合う (40分)
 5. 振り返る (5分)

  6. 6. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) アイヒマン実験 アメリカの社会⼼理学者
 スタンレー・ミルグラム (1933-1984)
  7. 7. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 私たちは本当に、⾃分の意志に
 基づいて⾏動しているのか? ミルグラムの問い
  8. 8. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 被験者を募集 Olivier Hammam “Milgram Experiment advertising” https://en.wikipedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment_advertising.gif ミルグラムは新聞広告を出し、 「学習と記憶に関する実験」に 協⼒してくれる被験者を募集
  9. 9. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 2⼈の被験者 2⼈の被験者と、⽩⾐を着た実 験者 (ミルグラムの助⼿) が実験 に参加 3⼈の実験参加者 実験者
  10. 10. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 先⽣役 被験者2⼈にクジ引きしてもらい 1⼈が先⽣役、もう1⼈が⽣徒役 ⽣徒役 単語の組合せを暗記し、テスト を受ける 先⽣役 ⽣徒が回答を間違えたら、電気 ショックの罰を与える クジで役割決め 実験者
  11. 11. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 全員で実験室に⼊る。⽣徒役を 固定し、先⽣役と実験者は退室 ⽣徒役 電気椅⼦に縛りつけられ、両⼿ を電極に固定される 先⽣役 電気ショック発⽣装置の前に着 席する 持ち場へ移動 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  12. 12. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) • ボタンが30個 • 15ボルトずつ⾼い電圧を発⽣させる • 最⾼で450ボルトまで到達 電気ショック発⽣装置 公益社団法⼈ ⽇本⼼理学会「ミルグラムの電気ショック実験」 https://psych.or.jp/interest/mm-01/ 衝撃の度合い 15v 軽い 75v 中程度 135v 強い 195v かなり強い 255v 激しい 315v 甚だしく激しい 375v 危険で苛烈
  13. 13. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒と先⽣は、インターフォン を通じて会話する 先⽣役 ⽣徒が誤答する度に15vずつ電 圧を上げるように、実験者から 指⽰される ⽣徒役 時々間違えるため、徐々に電気 ショックの電圧が上がっていく 暗記テスト開始 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  14. 14. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 それまでは平然としていたが、 うめき声をもらし始める 75vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  15. 15. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 「痛い、ショックが強すぎる」 と訴え始める 120vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  16. 16. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 「もうダメだ、出してくれ、実 験はやめる、これ以上続けられ ない、実験を拒否する、助けて ください」という叫びを発する 150vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  17. 17. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 断末魔の叫びを発し始める 270vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  18. 18. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 「質問されてももう答えない! とにかく早く出してくれ!⼼臓 がもうダメだ!」と叫ぶだけで 質問に返答しなくなる 実験者 平然と「数秒間待って返答がな い場合、誤答と判断してショッ クを与えろ」と先⽣役に指⽰ 300vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  19. 19. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ⽣徒役 声を発さず、反応がなくなる 実験者 容赦なく、さらに⾼い電圧 ショックを与えるよう、先⽣役 に指⽰する 345vに達すると 先⽣役 実験者 ⽣徒役 Expiring frog “Milgram Experiment.png” https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Milgram_Experiment.png
  20. 20. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) さて、この実験とは何だったのか?
  21. 21. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 実は、「⽣徒役」はサクラだった * 新聞広告で応募してきた⼀般の⼈が「先⽣役」になるよう に、クジには仕掛けがしてあった * 電気ショックは実際には発⽣しておらず、あらかじめ録⾳ しておいた演技がインターフォンから聞こえる仕掛けに 真の被験者は 「先⽣役」だけ 被験者 仕掛け⼈ 先⽣役 ⽣徒役 実験者
  22. 22. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) どこで実験への協⼒を拒否したか? ⾃分が「先⽣役」だったら
  23. 23. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 被験者の 65%(40⼈中26⼈) が ⽣徒役に最⾼450vまで電気ショックを与え続けた ミルグラムの実験結果
  24. 24. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) どう考えても⾮⼈道的な営みに、⽣命の 危機が懸念されるレベルまで実験を続け てしまったのか なぜ、これだけ多くの⼈が…
  25. 25. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 命令を下す実験者への責任転嫁 ミルグラムの仮説 “⾃分は単なる命令執⾏者に すぎない” * 実際に、多くの先⽣役の被験者は、実験途中で逡巡や葛藤を⽰すものの、何か問題が発⽣すれ ば責任は全て⼤学側でとるという⾔質を実験者から得ると、納得したように実験を継続した。
  26. 26. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 「⾃らが権限を有し、⾃分の意思で⼿を下して いる感覚」の強度は、⾮⼈道的な⾏動への関わ りにおいて決定的な影響を与えるのではないか ミルグラムの問い
  27. 27. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 強度を下げてみた ⽣徒役 被験者 仕掛け⼈ 実験者 先⽣役B 回答の正誤を判断し、 電圧の数字を読み上げる係 先⽣役A ボタンを押す係 「先⽣役」を2⼈にして、Aは “ボタンを押 す係”、Bは“回答の正誤を判断し、電圧の 数字を読み上げる係”に、役割を分けた Aは実はサクラ、真の被験者はBのみ ━ 最初の実験より、「⾃らが権限を有し、⾃ 分の意思で⼿を下している感覚」をさらに 弱めると、どうなるか
  28. 28. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ミルグラムの実験結果 被験者の 93%(40⼈中37⼈) が ⽣徒役に最⾼450vまで電気ショックを与え続けた
  29. 29. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 強度を上げてみた 被験者 仕掛け⼈ 先⽣役 実験者A (意⾒が⾷い違う) 実験者B ⽣徒役 「実験者」を2⼈にして、150v到達時点か ら、それぞれが異なった指⽰をするよう にする 実験者A 「⽣徒が苦しんでいる、これ以上は危険 だ、中⽌しよう」と⾔い出す 実験者B 「⼤丈夫ですよ、続けましょう」と促す ━ 最初の実験より、「⾃らが権限を有し、⾃ 分の意思で⼿を下している感覚」を強めて みたら、どうなるか
  30. 30. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 150v以上の電圧に進んだ被験者は 1⼈もいなかった ミルグラムの実験結果
  31. 31. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 弱 ミルグラムの実験結果 [まとめ] 強[⾃⼰裁量] 93%が
 最後まで ⽌めない ⾮⼈道的な⾏動に直⾯したとき 65%が
 最後まで ⽌めない 全員が 早々に
 ⽌めた
  32. 32. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) • 1960年代前半、アメリカでミルグラムが実験 • その後1980年代中頃まで様々な国で追試が⾏われる • そのほとんどがミルグラムによる実験結果以上の⾼い服従 率を⽰した 実験は、他国でも展開された アメリカ固有の国⺠性や、ある時代に特有の 社会状況に依存せず、⼈間の普遍的性質を反 映していると考えられる
  33. 33. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ‒Adolf Otto Eichmann “良⼼の呵責に苛まれることがないよう、
 できる限り責任が曖昧な分断化された
 オペレーションを構築することを⼼がけた” アドルフ・アイヒマンの述懐 * アドルフ・アイヒマンは、ナチスによるホロコーストのオペレーション構築に主導的役割を果たした⼈ 物。名簿作成、検挙、拘留、移送、処刑などの「過度な分業体制」を構築し、⼀般市⺠に分担させた。
  34. 34. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 2. ⽰唆を得る (20分)
 この実験から得られる⽰唆や、思ったこと、思い出したこと、考えたことなど みんなで⾃由に話し合います。 3. 問いを⽴てる (10分)
 4. 話し合う (40分)
 5. 振り返る (5分)

  35. 35. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) [話し合いメモ]この実験から得られる⽰唆、 思ったこと、思い出したこと、考えたことなど •
  36. 36. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) • 責任の所在が曖昧で、責任転嫁しやすい状況では、⾃制 ⼼や良⼼の働きは弱くなる • 意思決定が⾃分に⼤きくのしかかっており、責任転嫁が 難しい状況では、⾃制⼼や良⼼に基づいた⾏動がとれる • ⾃分の良⼼や⾃制⼼を後押ししてくれるアシスト(周囲 の意⾒や態度表明)があれば、⼈は「権威への服従」を 留まることができる 得られる⽰唆 (例)
  37. 37. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 2. ⽰唆を得る (20分)
 3. 問いを⽴てる (10分)
 今回得られた⽰唆をもって、集まったメンバーで何を話し合いたいかを話し 合って決めます。 4. 話し合う (40分)
 5. 振り返る (5分)

  38. 38. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) [問いの決定]今回得られた⽰唆をもって、集まっ たメンバーで何を話し合いたいか [スタンダードな例] • 我が社で類似の問題は起こっていないか(どこで、どんな問題が) • 今回得られた⽰唆から、⾃社で何を⾒直すべきか • ⾒直した場合どのような混乱・リスクが⽣じるか、そのための善後策は? [我が社オリジナル] ※具体的な部署名を出して考える、アクションプランまで落とし込むなど ・ ・ ・
  39. 39. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 2. ⽰唆を得る (20分)
 3. 問いを⽴てる (10分)
 4. 話し合う (40分)
 3で⽴てた問いについて話し合います。ファシリテーターは話し合いが深まるよ う促進・⽀援します。 5. 振り返る (5分)

  40. 40. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) [話し合いメモ]問いについて話し合った内容 •
  41. 41. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) ワークショップの流れ 1. 前提知識を共有 (10分)
 2. ⽰唆を得る (20分)
 3. 問いを⽴てる (10分)
 4. 話し合う (40分)
 5. 振り返る (5分)
 ワークショップを通じて気づいたこと、学んだこと、決めたこと、感想・意⾒を整 理します。
  42. 42. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) [振り返りメモ]ワークショップを通じて気づい たこと、学んだこと、決めたこと、感想・意⾒など •
  43. 43. Mariko Hayashi ( @hysmrk ) 謝辞 このワークショップは、⼭⼝周さんの著作「武器になる 哲学 ⼈⽣を⽣き抜くための哲学・思想のキーコンセプト 50」(KADOKAWA)を読んでいて思いついたものです。 アイヒマン実験について知識共有した上で、⾃社の分業 化について社内で話し合う場をもってみるのは有意義な のではないかという、けっこう⼤雑把な考えのもと、 ワークショップのプロトタイプをスライド化しました。 スライド内で使っている被験者のセリフなどは、⼭⼝周 さんが12章に書かれた「権威への服従」から多くを引⽤ しており、このスライドは、書籍の内容を取り出して、 ワークショップとしてみんなが集まり⾃分ごと化して考 えやすいよう、いくらか流れを加えただけのものです。 「武器になる哲学〜」は、⾮常に⽰唆にとんだ書籍で、 このワークショップに関⼼をもたれた⽅には、12章以外 の49のキーコンセプトも興味をもって読まれるものと思 いますので、ぜひお⼿にとってみてください。 …とお薦めする形で、⼭⼝周さんのお話を存分に使わせ ていただいたお礼とお詫びに返させていただきます。

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