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水中計測技術を活用した海洋生物の可視化
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
富安 信・宮下 和士
【背景】
近年電波通信技術,衛星リモートセンシングの発展
によって,陸上の地理情報や交通情報を即時的に取得
できるようになり,スマートフォ...
【水中ドローン】
陸上におけるドローンの発展は目覚ましく,沿岸域
では水中の藻場の分布や底質の判別にもドローンが
導入されつつある.水中においては,もともと
Remotely Operated Vehicle (ROV) や Autonomou...
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北海道地理空間フォーラムin札幌2018 07-19 05-022018-07-19_第5分科会「水産・海洋」 講演2「水中計測技術を活用した海洋生物の可視化」富安信氏

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北海道地理空間フォーラムin札幌2018-07-19_第5分科会「水産・海洋」 講演2「水中計測技術を活用した海洋生物の可視化」富安信氏

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北海道地理空間フォーラムin札幌2018 07-19 05-022018-07-19_第5分科会「水産・海洋」 講演2「水中計測技術を活用した海洋生物の可視化」富安信氏

  1. 1. 水中計測技術を活用した海洋生物の可視化 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 富安 信・宮下 和士 【背景】 近年電波通信技術,衛星リモートセンシングの発展 によって,陸上の地理情報や交通情報を即時的に取得 できるようになり,スマートフォンの地図アプリやカ ーナビゲーション,およびにハザードマップなど日常 生活の中でその情報が活かされている.またこうした 技術は,陸上だけでなく海面の環境情報や漁業情報の 可視化にも役立てられている.しかしながら,完全な 水中での計測技術においては,電波・光の減衰がボト ルネックとなる.特に,科学調査や漁業現場において 水中を自由に移動する海洋生物の存在や現存量など を可視化していくには,陸上とは異なる計測技術のア プローチが求められる. こうした中本講演では,「魚群探知機」,「バイオロ ギング・バイオテレメトリー」,およびに「水中ドロ ーン」の 3 つの技術について,基礎的な理論とフィー ルド調査での例を紹介する. 【魚群探知機】 電波や光の減衰が激しい水中において,広範囲の探 査に適しているのは「音」の技術である.特に人間の 可聴域外となる超音波は,水中での減衰が少なく長距 離を伝わることから,鯨類や魚類のコミュニケーショ ンにも活用されている.魚群探知機は,数十-数百k Hz の超音波を海中に発射し,その反射を捉えること で水中の広範囲を探査できるシステムとなっている. 技術の黎明期は,主に漁業,測深,およびに海中探査 における活用が進んだが,近年では科学調査における 活用が進んでいる.特に,「計量魚群探知機」と呼ば れるシステムでは,一定の基準を設けて反射した音波 の強さを解析することで,水中に存在する生物の量や 生物の種類を推定することが可能となっている.また 複数の周波数特性を用いることによって,プランクト ンから鯨類まで多岐に渡る生物を探査することが可 能である. フィールド調査においては,これらの技術によって, 生物の分布傾向,現存量の変動傾向などを可視化し, 環境変動に対しての生物の応答や漁業との関係性の 検討,およびに生態系サービスの試算などが行われて いる.また昨今では,情報通信技術との連携も進んで おり,漁船における漁業用魚探の生物情報を統合する システムの開発 (経済産業省平成 20 年-21 年度地域 イノベーション創出研究開発事業「多機能型小型計量 魚探の開発と総合的沿岸漁業支援環境の開発),それ らの生物情報を GIS 上に速報システムとして公開し, 効率的・持続的な漁業を目指す取り組みも行われてい る (経済産業省平成 27 年-29 年度戦略的基盤技術高 度化支援事業「沿岸域の漁場管理を漁業者自ら行うた めの漁場情報速報システムの構築). 【バイオロギング・バイオテレメトリー】 水中を動き回る海洋生物を長期的に観察すること は長く望まれてきたが,潜水や水中カメラなどの技術 では限界があった.バイオロギング・バイオテレメト リーの技術は,生物自身に小型のセンサー付き記録計 や発信機を装着することで,長期的連続的に生物の行 動データや環境データを取得可能とした技術である. かつては装着機器の大きさから対象が大型の哺乳類 や鳥類などに限られていたが,2000 年代以降に機器 の高精度化・小型化が進み,現在では小型の生物や 様々な成長段階への応用が期待されている. これらの技術によって,主に海洋生物における水 平・鉛直的な動きの履歴を読み解くことができ,地理 情報中で三次元的な移動経路を理解することができ る.こうした情報は,種の単なる行動生態だけでなく, 漁場内における漁業対象種の分布・移動,およびに競 合種や保全対象種への応答を考える際にも非常に重 要である.昨今では,大型研究プロジェクト (国立研 究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事 業 CREST「データ高回収率を実現するバイオロギン グ・システムの構築 ~魚類の個体群・群集ダイナミク ス解明に挑む~ ) による機器開発,技術導入例の増加 がなされ,水中音波通信・電波通信などを介してリア ルタイムにデータを可視化することも可能となって きている (総務省・戦略的情報通信研究開発推進制度 SCOPE「森林・河川等電波不感地帯における野生生態 系の見える化).
  2. 2. 【水中ドローン】 陸上におけるドローンの発展は目覚ましく,沿岸域 では水中の藻場の分布や底質の判別にもドローンが 導入されつつある.水中においては,もともと Remotely Operated Vehicle (ROV) や Autonomous Underwater Vehicle (AUV)といった機器が水中ロボッ トとして海中探査に用いられてきたが,近年ドローン の発展によって「水中ドローン」という言葉でもこれ らが表現されるようになってきている.これらの機器 は,遠隔でのコントロールが可能であり,水中である 程度自由に動き回りながら周辺の可視化が可能であ る.また用途や機能によって多くのタイプが存在し, 深海探査に用いる巨大なものから,近年では沿岸域に おいてレジャー感覚で用いることのできるものまで 多岐に渡っている. これらの技術のフィールド調査での大きな強みは, 映像による可視化を行うことができる点であり,特に, 潜水の難しい環境や複数定点での可視化に用いられ ている.多くの場合搭載されているのは光学カメラで あるため,映像の範囲や撮影条件は限られるものの, 実際の水中における映像を確かめることは,他の計測 技術で取得された環境情報,および生物情報の論拠を 示す意味でも重要である.また近年技術の汎用性が高 まったことで,安価でスマートフォンでも操作できる 機器も開発されており,今後環境教育やアウトリーチ 活動への積極的な導入も期待されている.

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