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板書スライドの問題を解決する授業設計とは(2015PCカンファレンス)
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2015PCカンファレンス(@富山大)の角南北斗の分科会発表スライドです。学生の「黒板写メ」の行為を通して、板書スライドとノート取り、それに関わる学びについて考察しています。
Sunami Hokuto
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2.
角南 北斗 Sunami Hokuto
3.
Web 学習
4.
Webサイトや教材の制作: 日本語教育業界を中心に
5.
講師&授業設計: Web・情報教育・プレゼン
6.
執筆: プレゼン・IT活用
7.
2005: 目的と実践の符号を ∼ホームページ作成を例に 2006:
検索力ってどうよ 2007: ひとつ下のプレゼン。 2008: お料理のコツと情報教育 2009: 日記じゃないのよブログは ∼じぶんチャンネルのススメ 2010: 勝たないプレゼンテーションの学びかた 2011: 名刺デザインで学ぶプレゼンテーション 2012: スマホ時代のWeb教材制作アプローチ 2013 : 3分ではじめるお仕着せのe-Learningからの卒業 2014 : 授業外・教室外の学習を見据えた教材設計 2015 : 板書スライドの問題を解決する授業設計とは PCCでの発表も11回目。
8.
Blog: withcomputer.jp Site: sunamihokuto.com Twitter:
@shokuto Sunami Hokuto
9.
板書スライドの問題を 解決する授業設計とは
10.
板書スライド?
11.
板書スライドとは プレゼン用アプリで板書データを作成 ✴ PowerPointやKeynoteで作る スクリーンに常時投影&板書代わり ✴ ちょうどこの発表みたいな形式です ✴
設備のある教室(PC部屋)を講義でも利用
12.
板書スライドの利点 板書する時間や手間がなくなる ✴ 授業をテンポよく進められる スライドを使い回せる ✴ 他クラスや次回授業の復習、来年度にも 板書を資料として残せる ✴
後で検証しやすく、授業の精緻化に役立つ
13.
板書スライドで陥りがちなこと スライドを早く切り替えがちになる。 授業展開が早くなりすぎる。 ✴ 板書の手書きによって生まれていた間が なくなってしまう。 ✴ 学生も対応策を持っている
14.
それが、黒板写メ。
15.
黒板写メの利点 板書を漏れなく正確かつ迅速に記録 特別な道具は不要 ✴ スマホだから常に持っている 写真データだから管理や運用も容易 ✴ 一箇所にまとまってるから、なくさない ✴
LINEですぐ送れるし、プリントもできる
16.
合理的で いいね!
17.
合理的で いいね! ...とは考えない教師も 実際は多いみたいで
18.
教師の言い分と、それへの返答 シャッター音が邪魔 ✴ → 無音にするアプリを使えばいい 撮られるのに慣れない ✴
→ よくわかるけど... 所 は慣れでは それでは勉強にならない!! ✴ → 正論っぽいけど、本当にそうなの?
19.
黒板写メは 学びにならないのか? 自身の授業で実践しつつ考えてみた
20.
対象とした授業 情報サービスに関する講義 ✴ 図書館司書の資格取得を目指す大学生向け 一斉講義形式がメイン 資料はスライド投影+教科書 ✴ 口頭説明だけでは学生には負荷が高い PC教室で実施
21.
先生、ノートが 間に合いません...
22.
ス ラ イ ド 全 部 丸 写 し
23.
学生がしていたこと スライドすべてを丸写しにする学生に 「時間がない」と言われた。 ✴ そりゃ時間がなくて当然である ✴ 黒板写メをする学生が目立たなかったのは 教師に配慮する意識があったのかも。
24.
じゃあ、資料を全部 あげちゃおう!
25.
資料は事後に配布することに 板書スライドはPDFにして 授業後にダウンロード形式で配布。 ✴ 授業用のサイトをJimdoで作成して、 ファイル置き場やリンク集として活用。
26.
あとでもらえるし ノートはいいや...
27.
スライドを配布した結果 メモを全然取らない人が大多数に ✴ 寝てる人はともかく、聴いている人もそう スライドが唯一の授業記録となり 学生の間では重宝される。 ✴ 授業を休んだ学生には喜ばれる ✴
授業中に過去のスライドを見返す人が増える
28.
スライドの作り込みが加速 もしスライドがキーワードだけだと、 メモがなければ資料として機能しない。 読むだけでもある程度わかるよう スライドに説明文も盛り込むように。 ✴ スライドの分量が増えることになり、 その作成に必要な時間が急激に増加。
29.
作り込んだスライドの欠点 スライドの資料完成度が上がるほど、 わざわざメモする必要がなくなる。 ツッコミの余地・余白のない資料は、 学生の思考の機会を奪いがち。 ✴ スライドツールは説得には向くが、 聴き手が途中で立ち止まって疑問を持ったり、 横道に逸れたりしにくくなる。
30.
板書スライドはやめて 手書きにする?
31.
手書き板書で予想されること 一定量以下の板書であれば、 学生は必死になってノートに写す。 それが無理そうなら黒板写メをする ✴ いまの時代、もはや手書きノートは 最初から候補には考えないかもしれない。
32.
そもそもですね... 情報を取捨選択し加工することが ノート取りによる学びだとするなら... 手書きも黒板写メも、 ただの丸写しなら学びにならない。 ✴ 記録のためだけなら写メすら不要な作業
33.
見るだけ、聴くだけで 学びとしては十分か?
34.
ノートは取らなくてOK? 学生の理解度を確認するため、 簡単な確認タスクを定期的に実施。 ✴ 専門用語を平易な言葉で説明させる(記述) ✴ 過去のスライドやネットを活用してOK
35.
一般に「図書館における間接サービスと 直接サービスは相互関係にある」と言わ れます。その理由を具体例を挙げつつ説 明してください。 Q
36.
確認テストの結果 多くの学生は説明文が満足に書けない ✴ ツギハギのコピペで意味が通らない文も多数 ✴ 書いた文にツッコミを入れられると返せない ✴
1∼2行でも、ものすごく時間がかかる 理解の曖昧さに学生が自分で気づく ✴ 分かったつもりだった、という声が聞かれる
37.
教師は結果をどう捉えるか ただ聴くだけでは理解不十分のよう ✴ 平易な説明ができない背景には、 学生の文章説明スキルの不足もあるけど... 学生が自身の理解を深めるためには、 主体的に情報を扱うプロセスが必要。 ✴ その1つが「ノート取り」ではあるが、 やり方が分からないという学生は少なくない。
38.
ノート取りの実践への高い壁 そもそも「ノート取り」は高度な技術 ✴ ビジネスセミナーでも実践できる人は少数 高校までで身につくものなの? ✴ 「ノートにそのまま写せる板書は教師の義務」 ✴
「最近の学生はノートも満足に取れない...」 授業内でスキルを育成するのは難しい
39.
暫定的な結論: ノート取りは教えない
40.
まずは自覚してもらうことから ノートの取り方は無理に教えない 聴くだけではダメかも?と思わせ、 次の工夫は個々の学生に任せる。 ✴ 記録という結果だけに価値があるのではなく、 そのプロセスに学びがあると思えないと、 丸写しのノート作業はなくならない。
41.
教師がしたこと(1) 自分の理解度を確認できるような タスクを授業に盛り込む。 ✴ 専門用語を平易な言葉で説明してもらう ✴ 授業とは違う切り口で複数の概念を比較させる いったん立ち止まって考えてもらう ✴
教師の話の中に問いかけを用意する
42.
教師がしたこと(2) 教科書もWebも参照資料として扱う ✴ 教科書を端から「読んであげる」スタイルは 聴くだけの受け身の姿勢にさせやすい。 ✴ 何を学ぶために読むのか毎度意識してもらう 教科書にない話、正解のない話も 授業で積極的に扱っていく。 ✴
メモ取りに意識が向きそうなポイントを作る
43.
教師がしたこと(3) レポート課題は理解重視を明確に ✴ 記述量を求めても力がないと書けないから、 学生を何かのコピペに走らせてしまう。 ✴ コピペで体裁や分量を整えても評価されないと 学生が感じるような条件にする。 ✴
難しい言い回しを多用しないよう条件を付け、 本人にも意味不明な文章になるのを防ぐ。
44.
教師がしたこと(4) 教師への質問の機会を増やす ✴ タスクに取り組む時間を授業時間に用意し、 学生と話をする機会を増やした 授業時間外でも質問できる環境を ✴ Googleフォームを利用した質問ページで いつでも質問や要望が伝えられるように。 ✴
質問には翌週の授業でフォローする。
45.
学生の反応 学生がノートを取るようになった... というわけではない(さすがに) 質問をする学生は増えた ✴ 教師は学生とのやり取りが増えたことで、 どこが難しいのかを知る手がかりも増えた。 ✴ 少なくとも「理解の確認」の機会は増加
46.
黒板写メは 学びにならないのか? を 改めて考えると...
47.
写メは記録でしかない 記録としてなら写メは効率的な手段 手書きか写メかの違いよりも、 それが学びにつなげる行為なのか、 単なる記録行為なのかの違いが重要。
48.
写メ禁止!の前に 学生が写メをしたくなるような状況を 教師が作り出していないだろうか。 ✴ 記録が困難な情報提示になっていないか? ✴ 学生が「記録=学び」だと勘違いするような 授業内容になっていないか?
49.
記録と学びの関係が変わった 記録が自然に学びになる時代は、 記録方法の機械化で終わった。 ✴ 手書きしか選択の余地がなかった時代は、 その過程で情報の整理法が身につくことも 少しは期待できたのかもしれない...。
50.
これからの記録と学び 写メに限らず記録が容易な現代は、 記録行為と学びを分けて捉え、 学びを実現する方法を再考することが、 いっそう重要なのではないか? ✴ デジタルな記録に一手間加える学びかたや、 学びを優先するための効率的な記録方法も、 これからの授業設計には必要。
51.
写メも いいね! という考えから出発して 授業をデザインしよう。